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【発明の名称】 フェノール樹脂成形材料
【発明者】 【氏名】鈴木 孝之

【要約】 【課題】成形材料の溶融時に流動性が良好で、金型内の充填性、特に射出成形機のシリンダー内での熱安定性に優れたフェノール樹脂成形材料を提供すること。

【解決手段】フェノール樹脂100重量部に、サイジング剤の一部として脂肪酸金属塩系ワックスを含むガラス繊維50〜200重量部を充填材として配合してなることを特徴としたフェノール樹脂成形材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フェノール樹脂100重量部に、サイジング剤の一部として脂肪酸金属塩系ワックスを含むガラス繊維50〜200重量部を充填材として配合してなることを特徴としたフェノール樹脂成形材料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的特性、成形品外観を低下させるとなく、成形材料の溶融時に流動性が良好で、金型内の充填性、特に射出成形機のシリンダー内での熱安定性に優れたフェノール樹脂成形材料を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ガラス繊維充填フェノール樹脂成形材料の溶融時の流動性を向上させるために、低粘度のフェノール樹脂を用いたり、成形材料化する過程でフローを長くしたり、ワックスを添加するなど行われてきたが、成形材料の硬化性が低下したり、成形品外観が悪くなったり、機械的強度が低下するなどの問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、機械的特性、成形品外観を低下させることなく、成形材料の溶融時の流動性が良好で、金型内への充填性、特に射出成形機のシリンダー内での熱安定性に優れたフェノール樹脂成形材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、充填材に使用しているガラス繊維のサイジング剤に着目し、サイジング剤の一部として脂肪酸金属塩系ワックスを含むガラス繊維を50〜200重量部配合することを特徴とするガラス繊維充填フェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0005】成形材料の機械的強度を上げる方法として、繊維状の有機基材や無機基材を配合する方法が知られており、特にガラス繊維は有効な手段として多種の成形材料に使用されている。しかし、繊維形状の基材を配合することは、形状が球形や不定形の無機基材と比較して樹脂の流動抵抗が大きく材料の溶融時の粘度が高くなるとともに、せん断発熱が大きいため樹脂の硬化反応が進行し易く流動性を失いやすい性質を有しており、溶融樹脂の熱安定性を低下させることとなる。このため従来のガラス繊維充填フェノール樹脂成形材料を射出成形する場合、金型内での充填性や射出成形機のシリンダー内で溶融された成形材料の熱安定性が劣り、安定した成形が困難となるという問題がある。
【0006】従来より成形材料中にはワックスが配合されており、これにより成形材料の溶融時及び成形時の流動性、シリンダー内の熱安定性、成形時の離型性の向上等を図っている。一方で、材料中にワックスを添加することは、成形材料の硬化性が低下したり、成形品外観が悪くなったり、機械的強度が低下するなどの問題があったが、本発明はこの問題点を解決したものである。
【0007】本発明において、充填材に使用されるガラス繊維は、その製造過程で予めサイジング剤の一部として脂肪酸金属塩系ワックスを懸濁させ配合することにより、流動性を向上させるワックスをガラス繊維の表面のみに効果的に付着させることが出来る。このため処方の一部として成形材料中にワックスを配合する場合に比べ使用するワックスの量が少量で済み、機械的特性の低下や成形品外観の劣化が少なく、且つ成形材料の溶融時の流動性を向上することができる。
【0008】本発明において使用されるワックスとは、熱硬化性樹脂成形材料の成形において従来から金型の離型剤として使用されている脂肪酸金属塩系ワックスであり、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等がある。種々検討した結果、低融点のワックスに比較して少量の配合量で優れた流動性が得られることが分かり、本発明を得るに至った。添加量はガラス繊維100重量部に対し0.02重量部から0.20重量部が好ましい。0.02重量部未満では十分な流動性が得られず、0.20重量部を越えるとガラス繊維の収束性が低下し生産性に悪影響を及ぼすとともに、硬化性、機械的特性を低下させる。
【0009】本発明によるフェノール樹脂成形材料から成形品を得るための成形方法は、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等のいずれにも適応できるが、特に射出成形に最適である。
【0010】
【実施例】表1に示す原料を所定の配合でミキシングロールにて加熱混練し、粉砕して成形材料を製造した。得られた成形材料について、スパイラルフローと東洋精機(株)のラボプラストミルによる材料の100℃における溶融トルク、反応時間(熱安定時間)を測定した。次いで175℃、3分間のトランスファー成形でテストピース(JIS K 6911)を成形した。このテストピースにより曲げ強さ(常態及び熱時120℃)を測定した。また成形品外観は曲げ強さと同様の方法で50φ×3mmのテストピースを成形し外観を目視で判断した。これらの結果を表1の下欄に示す。
【0011】
【表1】

【0012】
【発明の効果】上記の結果からも明らかなように、本発明のフェノール樹脂成形材料は、機械的特性、成形品外観を低下させることなく成形材料の溶融時の流動性が良好で、金型内の充填性、特に射出成形機のシリンダー内での熱安定性に優れているため、射出成形において極めて成形加工性に優れている。また、本発明で得られるような100℃での溶融トルクが2500g・m以下の低い溶融粘度のフェノール樹脂成形材料は一般に熱可塑性樹脂成形材料に用いられる1.5以上の圧縮比を有するスクリュー、または逆流防止機構を設けたスクリューを備えた射出成形機でも同様に射出成形できる。
【出願人】 【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月3日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−80504
【公開日】 平成11年(1999)3月26日
【出願番号】 特願平9−238610