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【発明の名称】 樹脂組成物
【発明者】 【氏名】秋山 義邦

【氏名】坂田 稔

【要約】 【課題】マトリックスがポリプロピレン系樹脂、分散相がポリフェニレンエーテル系樹脂であるモルフォロジーを示す樹脂組成物の、成形時の成形配向によるモルフォロジー変化を抑制する。

【解決手段】(a)ポリプロピレン系樹脂 45〜95重量%(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂 55〜5重量%上記(a)、(b)成分の合計100重量部に対して、(c)ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とからなる特定の水添ブロック共重合体 1〜30重量部(d)ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムのコアに、ビニル芳香族化合物またはビニル芳香族化合物とシアン化ビニル化合物をシェルとしてグラフト重合し、該複合ゴムの一次粒子径が0.08〜0.6μmである複合ゴム系グラフト共重合体を、(b)/(d)=99/1〜30/70の重量比率の割合で配合してなる樹脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂組成物が、(a)ポリプロピレン系樹脂 45〜95重量%(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂 55〜5重量%上記(a)、(b)成分の合計100重量部に対して、(c)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物のビニル結合量(1,2−ビニル結合量および3,4−ビニル結合量の合計量)が45%以上である少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなる水添ブロック共重合体 1〜30重量部(d)ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムのコアに、ビニル芳香族化合物またはビニル芳香族化合物とシアン化ビニル化合物をシェルとしてグラフト重合し、該複合ゴムの一次粒子径が0.08〜0.6μmである複合ゴム系グラフト共重合体を、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂/(d)複合ゴム系グラフト共重合体=99/1〜30/70の重量比率の割合で配合してなる樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリプロピレン系樹脂およびポリフェニレンエーテル系樹脂よりなる樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、各種成形品の成形用材料として好適に使用し得るモルフォロジー変化を抑制した樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテルをポリオレフィンとブレンドすることにより、耐溶剤性、耐熱性、耐衝撃性を改良する試みは従来より数多く行われており、例えば、米国特許第3361851号公報明細書では、ポリフェニレンエーテルをポリオレフィンとブレンドすることにより、耐溶剤性、耐衝撃性を改良する提案がなされ、米国特許第3994856号明細書には、ポリフェニレンエーテルまたはポリフェニレンエーテルおよびスチレン系樹脂を水添ブロック共重合体とブレンドすることによる耐衝撃性、耐溶剤性の改良に関する記載があり、米国特許第4145377号明細書には、ポリフェニレンエーテルまたはポリフェニレンエーテルおよびスチレン系樹脂をポリオレフィン/水添ブロック共重合体=20〜80重量部/80〜20重量部からなる予備混合物および水添ブロック共重合体とブレンドすることによる耐衝撃性、耐溶剤性の改良に関する記載があり、さらに米国特許第4166055号明細書および米国特許第4239673号明細書には、ポリフェニレンエーテルを水添ブロック共重合体およびポリオレフィンとブレンドすることによる耐衝撃性の改良が記載されている。そして米国特許第4383082号明細書およびヨーロッパ公開特許第115712号明細書ではポリフェニレンエーテルをポリオレフィンおよび水添ブロック共重合体とブレンドすることにより耐衝撃性を改良するという記載がなされている。
【0003】また、特開昭63−113050号公報、特開昭63−113058号公報および特開昭63−225642号公報ならびに米国特許第4863997号明細書、さらに特開平2−247240号公報、特開平2−248447号公報、特開平2−305814号公報、特開平3−72512号公報、特開平4−183748号公報、特開平5−320471号公報および特開平7−165998号公報には、ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂からなる樹脂組成物の改質に特定の水添ブロック共重合体を配合し、相溶性と耐薬品性、加工性に優れた樹脂組成物が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記先行技術のようにポリフェニレンエーテル樹脂に対し多量のポリオレフィン樹脂をブレンドした樹脂組成物は飛躍的に耐溶剤性が改良された樹脂組成物を与えている。そしてこれらの樹脂組成物の多くは、マトリックスがポリオレフィン樹脂、分散相がポリフェニレンエーテル樹脂のモルフォロジーを形成している。
【0005】そしてこれら従来材料のマトリックスがポリオレフィン樹脂、分散相がポリフェニレンエーテル樹脂のモルフォロジーを形成する樹脂組成物は、成形時にホットランナーを設けた成形機を用いて成形した場合や、成形機内に樹脂を滞留させた場合に、成形前後で分散相のモルフォロジーに大きな変化(分散相の凝集肥大化)をもたらせたり、さらに、これらの樹脂組成物を用いて大型成形品や薄肉成形品を成形した場合、成形時の高シェアーによる成形配向により、分散相のモルフォロジーがフィブリル状、最悪の場合はラメラ状に変形し、これに起因して成形品の層剥離現象が起こったり、材料が有する機械的物性が低下するなど、成形材料として好ましくない現象を抱えているのが現状である。
【0006】したがって、成形時の成形品のモルフォロジー変化を抑制した樹脂組成物が望まれているのが実状である。
【0007】本発明は、このような現状に鑑み、マトリックスがポリプロピレン系樹脂、分散相がポリフェニレンエーテル系樹脂であるモルフォロジーを示す樹脂組成物の、成形時の成形配向によるモルフォロジー変化を抑制した材料を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリプロピレン系樹脂およびポリフェニレンエーテル系樹脂を含む樹脂組成物の、成形加工時の成形配向による分散相のモルフォロジー安定性を付与させるため、混和剤となり得る水添ブロック共重合体、および成形時の分散相安定化剤となり得る添加材料に関して鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン系樹脂およびポリフェニレンエーテル系樹脂に特定の構造を有する水添ブロック共重合体と、特定の構造を有するコアーシェル重合体を用いることにより、成形加工時の分散相のモルフォロジー変化および変形を抑制された樹脂組成物をもたらすことを見出した。
【0009】すなわち、本発明は、(a)ポリプロピレン系樹脂 45〜95重量%(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂 55〜5重量%上記(a)、(b)成分の合計100重量部に対して、(c)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物のビニル結合量(1,2−ビニル結合量および3,4−ビニル結合量の合計量)が45%以上である少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなる水添ブロック共重合体 1〜30重量部(d)ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムのコアに、ビニル芳香族化合物またはビニル芳香族化合物とシアン化ビニル化合物をシェルとしてグラフト重合し、該複合ゴムの一次粒子径が0.08〜0.6μmである複合ゴム系グラフト共重合体を、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂/(d)複合ゴム系グラフト共重合体=99/1〜30/70の重量比率の割合で配合してなる樹脂組成物を提供するものである。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明で用いる(a)ポリプロピレン系樹脂は、結晶性プロピレンホモポリマーおよび、重合の第一工程で得られる結晶性プロピレンホモポリマー部分と重合の第二工程以降でプロピレン、エチレンおよび/もしくは少なくとも1つの他のα−オレフィン(例えば、ブテン−1、ヘキセン−1等)を共重合して得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分を有する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体であり、さらにこれら結晶性プロピレンホモポリマーと結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の混合物であってもかまわない。
【0012】かかるポリプロピレン系樹脂は、通常、三塩化チタン触媒または塩化マグネシウムなどの担体に担持したハロゲン化チタン触媒等とアルキルアルミニウム化合物の存在下に、重合温度0〜100℃の範囲で、重合圧力3〜100気圧の範囲で重合して得られる。この際、重合体の分子量を調製するために水素等の連鎖移動剤を添加することも可能であり、また重合方法としてバッチ式、連続式いずれの方法でも可能で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の溶媒下での溶液重合、スラリー重合等の方法も選択でき、さらには無溶媒下モノマー中での塊状重合、ガス状モノマー中での気相重合方法などが適用できる。
【0013】また、さらには、上記した重合触媒の他に得られるポリプロピレンのアイソタクティシティおよび重合活性を高めるため、第三成分として電子供与性化合物を内部ドナー成分または外部ドナー成分として用いることができる。
【0014】これらの電子供与性化合物としては公知のものが使用でき、例えば、ε−カプロラクトン、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、トルイル酸メチルなどのエステル化合物、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリブチルなどの亜リン酸エステル、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどのリン酸誘導体などや、アルコキシエステル化合物、芳香族モノカルボン酸エステルおよび/または芳香族アルキルアルコキシシラン、脂肪族炭化水素アルコキシシラン、各種エーテル化合物、各種アルコール類および/または各種フェノール類などが挙げられる。
【0015】本発明で供するポリプロピレン系樹脂は上記した方法で得られるものであれば、いかなる結晶性や融点、分子量を有するものでも用いることができ、また結晶性や融点、分子量の異なる数種類のポリプロピレンを併せて用いることもできる。
【0016】つぎに本発明で用いる(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂は、下記構造を有するポリフェニレンエーテルである。ポリフェニレンエーテルは、それ自体公知の化合物である。結合単位:【0017】
【化1】

【0018】(ここで、R1,R2,R3,およびR4はそれぞれ、水素、ハロゲン、炭素数1〜7までの第一級または第二級低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基または少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよい)からなり、還元粘度(0.5g/dl,クロロホルム溶液,30℃測定)が、0.15〜2.50の範囲、好ましくは0.30〜2.00、より好ましくは0.35〜2.00の範囲にあるホモ重合体および/または共重合体である。
【0019】このポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、例えばポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
【0020】かかるポリフェニレンエーテルの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3306874号明細書記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば2,6−キシレノールを酸化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3306875号明細書、同第3257357号明細書および同第3257358号明細書、ならびに特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報および同63−152628号公報等に記載された方法で容易に製造できる。
【0021】また、本発明で用いるポリフェニレンエーテル系樹脂は上記したポリフェニレンエーテルのほかに、これらポリフェニレンエーテル100重量部に対してポリスチレン(シンジオタクチックポリスチレンも含む)またはハイインパクトポリスチレンを400重量部を超えない範囲で加えたものも好適に用いることができる。
【0022】つぎに、本発明で用いる(c)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック−共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素添加反応して得られる水添ブロック共重合体(以下、水添ブロック共重合体と略記する)は、(a)ポリプロピレン系樹脂と(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂を溶融混合した際に、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂を(a)ポリプロピレン系樹脂中に好適に分散させる能力を有する水添ブロック共重合体である。すなわち、本発明では、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合量および3,4−ビニル結合量の合計量が45%以上である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個のブロックBとからなる水添ブロック共重合体である。該水添ブロック共重合体のヨウ素価は40以下であることが好ましい。これらの水添ブロック共重合体の構造は、例えば、A−B、A−B−A、A−B−A−B、(A−B−)4−Si、A−B−A−B−A等の構造を有する水添ブロック共重合体である。
【0023】このブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等のうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。そして、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの1,2−ビニル結合量および3,4−ビニル結合量の合計量(以下ビニル結合量と略記する)は45%以上であり、好ましくは、ブタジエンを主体とする重合体ブロックにおいては、ビニル結合量が65〜90%、より好ましくは70〜85%である。また、イソプレンを主体とする重合体ブロックにおいては、好ましくはビニル結合量が48%以上、より好ましくは48〜90%である。また、ブタジエンとイソプレンの組み合わせよりなるランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、ブロック共重合体等の共役ジエン化合物から成る重合体ブロックにおいては、好ましくはビニル結合量が48%以上、より好ましくは48〜90%である。このビニル結合量が45重量%未満であるとポリプロピレン系樹脂と変性ポリフェニレンエーテル系樹脂の混和性が低下し、成形品の分散相が大きく配向し、層剥離現象が起こり好ましくない。また、かかるビニル結合量が90%を超えても、混和性の改良効果は顕著でない。そしてこれらのビニル結合量は通常、赤外分光光度計やNMR等で知ることができる。
【0024】また、該水添ブロック共重合体のヨウ素価は40以下であり、好ましくは37以下、より好ましくは35以下である。この水添ブロック共重合体のヨウ素価が40を超えると、樹脂組成物を加熱溶融混練により製造する際、および樹脂組成物が高温下に置かれたときの水添ブロック共重合体の熱劣化の度合いが大きく、衝撃強度や引張伸度が低下し好ましくない。この水添ブロック共重合体のヨウ素価は通常、ヨウ素滴定法によって定量し、消費されたヨウ素量(mg)を水添ブロック共重合体の100gあたりに換算した値である。
【0025】また、上記の構造を有する水添ブロック共重合体の数平均分子量は40000〜500000、好ましくは50000〜300000、さらに好ましくは60000〜200000の範囲であり、分子量分布(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比)は10以下である。さらに、ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。
【0026】これらの上記した(c)水添ブロック共重合体は、上記した構造を有するものであればどのような製造方法で得られるものであってもかまわない。公知の製造方法の例としては、例えば、特開昭47−11486号公報、特開昭49−66743号公報、特開昭50−75651号公報、特開昭54−126255号公報、特開昭56−10542号公報、特開昭56−62847号公報、特開昭56−100840号公報、特開平2−300218号公報、英国特許第1130770号明細書、米国特許第3281383号明細書および同第3639517号明細書に記載された方法や英国特許第1020720号明細書、米国特許第3333024号明細書および同第4501857号明細書に記載された方法がある。
【0027】また、本発明で用いる(c)水添ブロック共重合体は、上記した水添ブロック共重合体のほかに、該水添ブロック共重合体とα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶液状態、スラリー状態で80〜350℃の温度下で反応させることによって得られる公知の変性(該α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体が0.01〜10重量%グラフトまたは付加)水添ブロック共重合体であってもよく、さらに上記した水添ブロック共重合体と該変性水添ブロック共重合体の任意の割合の混合物であってもかまわない。
【0028】つぎに、本発明の(d)成分として用いる、ポリオルガノシロキサンおよびまたはポリアルキル(メタ)アクリレートのゴム成分を含む平均粒子径0.08〜0.6μmの複合ゴムのコアに、ビニル芳香族化合物またはビニル芳香族化合物とシアン化ビニル化合物、特にスチレンまたはスチレンとアクリロニトリルのビニル系単量体をシェルとしてグラフト重合した複合ゴム系グラフト共重合体は、本発明の樹脂組成物において、少なくとも、分散相を形成する(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂中に複合ゴムとして存在することにより、成形加工時の成形配向によるモルフォロジー変化を抑制することができる。
【0029】かかる(d)成分の複合ゴム系グラフト共重合体は、オルガノシロキサンと架橋剤、場合によっては、グラフト交叉剤とを微小粒子状に重合したポリオルガノシロキサンゴムおよびまたはアルキル(メタ)アクリレートと架橋剤、場合によっては、グラフト交叉剤とを微小粒子状に重合したポリアルキル(メタ)アクリレートゴムが相互に絡み合った複合ゴムに、ビニル芳香族化合物またはビニル芳香族化合物とシアン化ビニル化合物をグラフト重合させたものである。
【0030】オルガノシロキサンとしては、3員環以上の各種の環状体があげられ、好ましく用いられるのは3〜6員環である。例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いられる。これらの使用量は、ポリオルガノシロキサンゴム成分中50重量%以上、好ましくは70重量%以上である。
【0031】シラン化合物系の架橋剤としては、3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が用いられる。特に4官能性の架橋剤が好ましく、この中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが特に好ましい。架橋剤の使用量はポリオルガノシロキサンゴム成分中0.1〜30重量%である。
【0032】また、シラン化合物系のグラフト交叉剤として、(メタ)アクリロイルオキシシロキサンはグラフト効率が高いため有効なグラフト鎖を形成することが可能であり耐衝撃性発現の点でも有利である。
【0033】中でもメタクリロイルオキシシロキサンが特に好ましい。このメタクリロイルオキシシロキサンの具体例としてはβ−メタクリロイルオキシシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。このグラフト交叉剤の使用量は、ポリオルガノシロキサンゴム成分中0〜10重量%である。
【0034】このポリオルガノシロキサンゴム成分のラテックスの製造は、例えば米国特許第2891920号明細書、同第3294725号明細書等に記載された方法を用いることが出来る。具体的には、例えば、オルガノシロキサンと架橋剤および所望によりグラフト交叉剤の混合溶液とを、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン酸系乳化剤の存在下で、例えばホモジナイザー等を用いて水と剪断混合する方法により製造することができる。中でもアルキルベンゼンスルホン酸は、オルガノシロキサンの乳化剤として作用すると同時に重合開始剤ともなるので好適である。この際、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルスルホン酸金属塩等を併用するとグラフト重合を行う際にポリマーを安定に維持するのに効果があるので好ましい。
【0035】そして上記複合ゴム成分として構成されるポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分は以下に示すアルキル(メタ)アクリレート、架橋剤およびグラフト交叉剤を用いて合成することが出来る。このアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートおよびヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、特にn−ブチルアクリレートの使用が好ましい。
【0036】架橋剤としては、例えばエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0037】アクリレート系化合物のグラフト交叉剤としては、例えばアリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは架橋剤として用いることもできる。これら架橋剤並びにグラフト交叉剤は、単独または2種以上併用して用いられる。これら架橋剤およびグラフト交叉剤の合計の使用量は、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分中0.1〜20重量%である。
【0038】本発明で用いる(d)成分の複合ゴム系グラフト共重合体の前駆体である複合ゴムの最も好ましい製造方法は、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリの水溶液の添加により中和されたポリオルガノシロキサンゴムのラテックス中へ上記アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤およびグラフト交叉剤を添加しポリオルガノシロキサンゴム粒子へ含浸させた後、通常のラジカル開始剤を作用させて行う。重合の進行とともにポリオルガノシロキサンゴムの架橋網目に相互に絡んだポリアルキル(メタ)アクリレートゴムの架橋網目が形成され、実質上分離できないポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分との複合ゴムのラテックスが得られる。
【0039】なお、本発明の実施に際してはこの複合ゴムとしてポリオルガノシロキサンゴム成分の主骨格がジメチルシロキサンの繰り返し単位を有したもの、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の主骨格として例えばn−ブチルアクリレート等のポリアルキル(メタ)アクリレートの繰り返し単位を有する複合ゴムが好ましく用いられ、これらはポリオルガノシロキサンゴム成分、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の各々が単独で構成される複合ゴムであってもよく、また上記したように、これらポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分を併用した複合ゴムが用いられる。
【0040】なお、上記複合ゴムにおけるポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分を併用する複合ゴムの場合の割合は、通常、前者が3〜90重量%に対して、後者が97〜10重量%である。
【0041】そして通常この複合ゴムは、トルエンにより90℃で12時間抽出して測定したゲル含量は70重量%以上が必要である。ここでかかるゲル含量が70重量%未満の場合は、本発明の樹脂組成物では目的とする成形時の成形配向に伴う分散相のモルフォロジー変化および変形を抑制することができず好ましくない。
【0042】ここで上記の複合ゴムの一次粒子径は0.08〜0.6μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。この複合ゴムの一次粒子径は、最終的にビニル系単量体をグラフト重合して得られた複合ゴム系グラフト共重合体をエポキシ樹脂に包埋したり、かかる複合ゴム系グラフト共重合体をポリスチレン樹脂と任意の割合で溶融混練した組成物を、通常、ルテニウム酸により染色したサンプルとして超薄切片化し、透過型電子顕微鏡を用いて写真撮影し、この写真をもとに画像解析装置(旭化成(株)製 IP1000)を用いて一次粒子を重量平均粒子径として求めることができる。
【0043】ここでかかる複合ゴムの一次粒子径が0.6μmを超える場合は、本発明の樹脂組成物の耐熱性、剛性の低下が著しく好ましくない。またかかる一次粒子径が0.08μm未満以下では、目的とする成形時の成形配向に伴う分散相のモルフォロジー変化および変形を抑制する効果は顕著に改善されない。
【0044】このようにして乳化重合により調整された複合ゴムは、ビニル芳香族化合物またはビニル芳香族化合物とシアン化ビニル化合物等のビニル系単量体とグラフト共重合し本発明の複合ゴム系グラフト共重合体として用いる。
【0045】なお、上記複合ゴムにグラフト重合できるビニル系単量体は、ビニル芳香族化合物として、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、アクリル(メタ)アクリル酸エステル系化合物としては、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等が挙げられ、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、その他としてグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有ビニル化合物やメタクリル酸等のカルボン酸基含有ビニル化合物等の各種ビニル系単量体が挙げられる。これらの単量体は単独または2種以上組み合わせて用いられる。
【0046】本発明においては、ビニル芳香族化合物単独またはビニル芳香族化合物とシアン化ビニル化合物の組み合わせが好ましく、中でもスチレン単独またはスチレンとアクリロニトリルの組み合わせが特に好ましい。
【0047】なお、グラフト重合させるビニル系単量体は、通常、上記した複合ゴム3〜95重量%に対して5〜97重量%の割合で用いられグラフト重合される。
【0048】複合ゴム系グラフト共重合体は、上記ビニル系単量体を上記の複合ゴムのラテックスに加え、ラジカル重合技術によって一段または多段で重合させて得られる複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスを、塩化カルシウムまたは硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固する事により分離、回収することが出来る。
【0049】このような複合ゴム系グラフト共重合体は、例えば三菱レイヨン株式会社より、メタブレンSRK−200、メタブレンKS−6123、メタブレンKS−6124、メタブレンSX−2、メタブレンKS−6125、メタブレンKS−6126、メタブレンKS−7133、メタブレンKS−7134、メタブレンKS−7135、メタブレンKS−7136などとして商業的に入手可能であるが、上記した複合ゴム系グラフト共重合体であれば特に限定されるものではない。
【0050】本発明の樹脂組成物は、上記した(a)〜(d)成分を基本成分として構成される。本発明において、(a)ポリプロピレン系樹脂の配合量は、45〜95重量%であり、好ましくは45〜85重量%である。かかる配合量が45重量%未満では、得られる樹脂組成物の耐熱性は優れるものの、成形加工性、耐溶剤性が劣り好ましくない。また、95重量%を超える場合は成形加工性、耐溶剤性は良好なものの、耐熱性が劣り耐熱性材料として利用できない。
【0051】本発明において、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂の配合量は55〜5重量%、好ましくは55〜15重量%である。かかる配合量が55重量%を超える場合、得られる樹脂組成物の耐熱性は極度に優れるものの、成形加工性、耐溶剤性が劣り好ましくない。また、5重量%未満では成形加工性、耐溶剤性に優れるものの、耐熱性が劣り耐熱材料として利用できない。
【0052】本発明において、(c)水添ブロック共重合体の配合量は、上記(a)、(b)成分の合計100重量部に対して、1〜30重量部である。かかる配合量が1重量部未満では混和剤としての効果が見られず好ましくない。また、かかる配合量が30重量部を超える場合は、(a)、(b)成分が示す作用効果の耐熱性、耐溶剤性、剛性および機械的強度の低下が顕著であり好ましくない。
【0053】本発明において、(d)複合ゴム系グラフト共重合体の配合量は、(b)成分/(d)成分=99/1〜30/70の重量比率の割合である。かかる(d)成分の重量比率が1未満ではモルフォロジー変化の抑制効果が見られず好ましくない。また、かかる(d)成分の重量比率が70を超える場合は、(b)成分が示す作用効果の耐熱性、剛性の低下が顕著であり好ましくない。
【0054】本発明では、上記の成分の他に、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附加的成分、例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、無機リン系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤など)、フッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、無機または有機の充填材や強化材(ガラス繊維、ガラスフレーク、カーボン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ウィスカー、マイカ、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ワラストナイト、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等を添加してもかまわない。
【0055】本発明の樹脂組成物を得るための方法は特に制限は無いが、一般には加熱溶融混練方法により容易に得ることができる。具体的な方法として、例えば、■(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(d)複合ゴム系グラフト共重合体の溶融混練状態に(c)水添ブロック共重合体と(a)ポリプロピレン系樹脂を追加添加し一緒に溶融混練する方法。
【0056】■(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(d)複合ゴム系グラフト共重合体および(c)水添ブロック共重合体の溶融混練状態に、(a)ポリプロピレン系樹脂を追加添加し一緒に溶融混練する方法。
【0057】■(c)水添ブロック共重合体の一部と(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(d)複合ゴム系グラフト共重合体の溶融混練状態に、(a)ポリプロピレン系樹脂と残部の(c)水添ブロック共重合体を追加添加し一緒に溶融混練する方法。
【0058】■(a)ポリプロピレン系樹脂の一部と(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(d)複合ゴム系グラフト共重合体の溶融混練状態に、(c)水添ブロック共重合体と残部の(a)ポリプロピレン系樹脂を追加添加し一緒に溶融混練する方法。
【0059】■(a)ポリプロピレン系樹脂の一部と(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(d)複合ゴム系グラフト共重合体および(c)水添ブロック共重合体の溶融混練状態に、残部の(a)ポリプロピレン系樹脂を追加添加し一緒に溶融混練する方法。
【0060】■(a)ポリプロピレン系樹脂の一部と(c)水添ブロック共重合体の一部および(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(d)複合ゴム系グラフト共重合体の溶融混練状態に、残部の(a)ポリプロピレン系樹脂と残部の(c)水添ブロック共重合体を追加添加し一緒に溶融混練する方法などが好ましい方法として挙げることができる。
【0061】これらの方法を行う溶融混練機として例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練方法が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。具体的には、WERNER&PFLEIDERER社製のZSKシリーズ、東芝機械株式会社製のTEMシリーズ、日本製鋼所株式会社製のTEXシリーズなどが挙げられる。
【0062】このようにして得られる本発明の樹脂組成物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形、押出成形、中空成形により各種部品の成形体として成形できる。これら各種部品としては、例えば自動車部品が挙げられ、具体的には、バンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種モール、エンブレム、エンジンフード、ホイールキャップ、ルーフ、スポイラー、各種エアロパーツ等の外装品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等の内装部品等に適している。さらに、電気機器の内外装部品としても好適に使用でき、具体的には各種コンピューターおよびその周辺機器、その他のOA機器、テレビ、ビデオ、各種ディスクプレーヤー等のキャビネット、シャーシーや冷蔵庫等の部品用途に適している。
【0063】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0064】実施例に用いた(a)ポリプロピレン系樹脂(a):ホモ−ポリプロピレンMFR=5.3g/10分ポリプロピレンのMFR(メレトフローレート)はASTM D1238に準拠し、230℃、2.16Kgの荷重で測定した。
【0065】
実施例に用いた(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂(b−1):2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度 0.46のポリフェニレンエーテル(b−2):2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度 0.37のポリフェニレンエーテル実施例に用いた(c)水添ブロック共重合体(c−1):ポリスチレン−水添ポリイソプレン−ポリスチレンの構造を有し、結合スチレン量48重量%、数平均分子量86,300、分子量分布1.10、水素添加前のポリイソプレンのビニル結合量が53%、ポリスチレンの数平均分子量20,200、ヨウ素価33.9の水添ブロック共重合体を合成し、このポリマーを(c−1)とした。
【0066】(c−2):ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレンの構造を有し、結合スチレン量48重量%、数平均分子量82,000、分子量分布1.10、水素添加前のポリブタジエンのビニル結合量が77%、ポリスチレンの数平均分子量19,800、ヨウ素価3.9の水添ブロック共重合体を合成し、このポリマーを(c−2)とした。
【0067】(c−3):ポリスチレン−水添ポリ(ブタジエン/イソプレン=33/67重量比率)−ポリスチレンの構造を有し、数平均分子量83,000、分子量分布1.20、水素添加前のポリ(ブタジエン/イソプレン)のビニル結合量が50%、ポリスチレンの数平均分子量20,100、ヨウ素価30.4の水添ブロック共重合体を合成し、このポリマーを(c−3)とした。
【0068】(c−4):ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレンの構造を有し、結合スチレン量48重量%、数平均分子量82,000、分子量分布1.10、水素添加前のポリブタジエンのビニル結合量が40%、ポリスチレンの数平均分子量19,800、ヨウ素価3.9の水添ブロック共重合体を合成し、このポリマーを(c−4)とした。
【0069】実施例に用いた(d)複合ゴム系グラフト共重合体(d−1):商品名、メタブレン KS−7133:三菱レイヨン株式会社製ポリジメチルシロキサンゴム成分およびポリ(n−ブチルアクリレート)ゴム成分にスチレンをグラフト重合して成る複合ゴム系グラフト共重合体。一次粒子径0.13μm(d−2):商品名、メタブレン KS−6123:三菱レイヨン株式会社製ポリジメチルシロキサンゴム成分およびポリ(n−ブチルアクリレート)ゴム成分にスチレンをグラフト重合して成る複合ゴム系グラフト共重合体。一次粒子径0.27μm(d−3):試作品Aポリジメチルシロキサンゴム成分およびポリ(n−ブチルアクリレート)ゴム成分にスチレンをグラフト重合して成る複合ゴム系グラフト共重合体。一次粒子径0.54μm(d−4):試作品Bポリジメチルシロキサンゴム成分およびポリ(n−ブチルアクリレート)ゴム成分にスチレンをグラフト重合して成る複合ゴム系グラフト共重合体。一次粒子径0.66μm(d−5):試作品Cポリジメチルシロキサンゴム成分およびポリ(n−ブチルアクリレート)ゴム成分にスチレンをグラフト重合して成る複合ゴム系グラフト共重合体。一次粒子径0.05μmなお、上記の(a)〜(d)成分より得られた樹脂組成物の各特性およびモルフォロジーは下記に示す方法で求めた。
【0070】(1)耐熱性試験ASTM D648に準拠し、荷重18.6kg/cm2にて熱変形温度(HDT)を測定した。
【0071】(2)曲げ弾性率(剛性)
ASTM D790に準拠し、曲げ弾性率を測定した。
【0072】(3)成形品ゲート部のモルフォロジー確認スクリューインライン型射出成形機で成形した厚さ1/8インチ、幅0.5インチ、長さ5インチのテストピースのゲート部(ゲート開口1/8インチ×1/10インチ)より5mmに位置し、樹脂流動方向と平行な面をウルトラミクロトーム(ライヘルト社製 ウルトラカットE)を用いて超薄切片を作成し、ルテニウム酸により染色したサンプルを透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製 1200EX)を用いて観察、写真撮影した。この写真をもとに画像解析装置(旭化成工業株式会社製 IP1000)を用いて、各粒子の円周長より分散相の長径(L)と短径(D)を求め、平均L/Dを求めた。
【0073】実施例1〜6および比較例1〜6ポリプロピレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、水添ブロック共重合体および複合ゴム系グラフト共重合体を表1に示した組成で配合し、ベントポート付き二軸押出機(ZSK−25;WERNER&PFLEIDERER社製、ドイツ国)を用いて、設定温度280〜300℃、スクリュー回転数300rpmにて溶融混練し樹脂組成物をペレットとして得た。
【0074】ここで得た樹脂組成物のペレットを用いて、240〜290℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度60℃の条件で熱変形温度測定用テストピース、曲げ弾性率測定用テストピースを射出成形した。
【0075】さらに、成形時の流動配向によるモルフォロジーを確認するため、厚さ1/8インチ、幅0.5インチ、長さ5インチのテストピースを同様にして射出成形した。
【0076】これらのテストピースの物性およびモルフォロジーを測定し、その結果を併せて表1に載せた。
【0077】これらの結果より、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物のビニル結合量が45%以上である少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなる水添ブロック共重合体と、平均粒子径が0.08〜0.6μmの複合ゴム系グラフト共重合体を用いることにより、成形時の流動配向による分散相(ポリフェニレンエーテル系樹脂)の流動変形が抑制された樹脂組成物が得られる。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂、水添ブロック共重合体および複合ゴム系グラフト共重合体からなり、水添ブロック共重合体として特定の構造を有する水添ブロック共重合体を用い、かつ特定の複合ゴム系グラフト共重合体を用いるため、従来技術では困難であったポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂を含む樹脂組成物の、成形時のモルフォロジー変化を抑制でき、層剥離が軽減され、耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性に優れた樹脂組成物をもたらす。
【出願人】 【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀岳 (外2名)
【公開番号】 特開平11−80453
【公開日】 平成11年(1999)3月26日
【出願番号】 特願平9−236843