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【発明の名称】 オレフィン系樹脂製フィルム
【発明者】 【氏名】小川 武志

【氏名】佐藤 正明

【氏名】菊入 信幸

【要約】 【課題】化粧用フィルムとして使用されるオレフィン系樹脂製フィルム表面の傷付き防止性を改善する。

【解決手段】オレフィン系樹脂100重量部当たり、水素添加スチレン−イソプレンゴムを3〜50重量部混合してなるオレフィン系樹脂組成物を用い、厚さ0.05〜0.2mmのフィルムを得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 オレフィン系樹脂100重量部当たり、水素添加スチレン−イソプレンゴムを3〜50重量部混合してなるオレフィン系樹脂組成物を、厚さ0.05〜0.2mmのフィルムに成形して得られるオレフィン系樹脂製フィルム。
【請求項2】 オレフィン系樹脂が、アイソタクチックポリプロピレンである請求項1記載のオレフィン系樹脂製フィルム。
【請求項3】 オレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレンである請求項1記載のオレフィン系樹脂製フィルム。
【請求項4】 オレフィン系樹脂と水素添加スチレン−イソプレンゴムの合計100重量部当たり、炭酸カルシウムを5〜50重量部添加してなる請求項1〜3いずれか1項記載のオレフィン系樹脂製フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面の傷付き防止性に優れ、家具、家電、建材等の表面化粧用として好適に使用される、オレフィン系樹脂製フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、建材等の表面化粧に使用される化粧用フィルムとしては、主に塩化ビニル系樹脂フィルムが使用されている。一方、近年では、この塩化ビニル系樹脂フィルムに代えて、オレフィン系樹脂からなるフィルムを使用することが試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような化粧用フィルムには、ある程度の剛性が要求されるため、オレフィン系樹脂からなるフィルムとしては、剛性に優れるアイソタクチックポリプロピレンや高密度ポリエチレンからなるフィルムが検討されている。しかしながら、このアイソタクチックポリプロピレンや高密度ポリエチレン等のオレフィン系樹脂からなるフィルムは、表面に傷が付きやすいという欠点を有するものであった。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、アイソタクチックポリプロピレンや高密度ポリエチレン等のオレフィン系樹脂からなるフィルム表面の傷付き防止性を改良することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためになされた本発明のオレフィン系樹脂製フィルムは、オレフィン系樹脂100重量部当たり、水素添加スチレン−イソプレンゴムを3〜50重量部混合してなるオレフィン系樹脂組成物を、厚さ0.03〜0.2mmのフィルムに成形して得られることを特徴とするものである。
【0006】本発明において使用されるオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等のポリプロピレン等のポリプロピレン;エチレンを主体とする酢酸ビニルや不飽和カルボン酸エステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等)との共重合樹脂;エチレン−プロピレン共重合樹脂;等のオレフィン系樹脂、或いはこれらの混合樹脂が使用できるが、化粧用フィルムとして好適には、アイソタクチックポリプロピレンもしくは高密度ポリエチレンである。
【0007】化粧用フィルムとして好適なフィルムを得るために選択される上記のアイソタクチックポリプロピレンとしては、アイソタクチックホモポリプロピレン、アイソタクチックランダムポリプロピレン、アイソタクチックブロックポリプロピレンのいずれであっても使用できるが、中でも好適なのは、剛性に特に優れるアイソタクチックホモプロピレンである。
【0008】上記のアイソタクチックポリプロピレンを使用して得たフィルムは、エンボス絞を付与できる軟化温度範囲が狭く、後エンボス加工性(フィルム作製後、後工程でエンボス加工を施す場合の加工性)が悪い。そこで、この後エンボス加工性を改良するために、アイソタクチックポリプロピレンに、低密度ポリエチレンを混合するのが望ましい。この場合の低密度ポリエチレンの混合割合は、低すぎれば、後エンボス加工性の向上が殆ど見られず、高すぎると化粧用フィルムとして充分な剛性を有するフィルムを得ることができないので、アイソタクチックポリプロピレン100重量部に対し10〜300重量部、更に好ましくは30〜200重量部とするのが望ましい。
【0009】また、上記のアイソタクチックポリプロピレンを使用したフィルムは、Tダイ押出法、カレンダー法、インフレーション法等の手段で成形することができ、成形方法は特に限定されるものではないが、このフィルムをカレンダー法により成形する場合には、カレンダー加工性を改良するために、このアイソタクチックポリプロピレンにシンジオタクチックポリプロピレンを混合するのが望ましい。この場合のシンジオタクチックポリプロピレンの混合割合は、低すぎれば、カレンダー加工性の向上が殆ど見られず、高すぎると、化粧用フィルムとして充分な剛性を有するフィルムを得ることができないので、アイソタクチックポリプロピレン100重量部に対し5〜200重量部とするのが望ましい。
【0010】化粧用フィルムとして好適なフィルムを得るために選択される上記の高密度ポリエチレンとしては、密度が0.94〜0.97g/cm3 のものが好適であり、更に好ましくは0.95〜0.96g/cm3 のものである。密度が0.94g/cm3 未満であると、得られるフィルムの剛性が不充分となって化粧用フィルムとしては適さず、密度が0.97g/cm3 を超えるものを使用した場合には、得られるフィルムが耐衝撃引裂強度に劣り、やはり化粧用フィルムとしては適さない。
【0011】上記した通り、化粧用フィルムとして好適なフィルムを得るためには、オレフィン系樹脂としてアイソタクチックポリプロピレン(低密度ポリエチレン、シンジオタクチックポリプロピレンとの混合物も含む)或いは高密度ポリエチレンが選択され、使用されるが、その特性を損なわない範囲であれば、上記のアイソタクチックポリプロピレン或いは高密度ポリエチレンに、上記したような他のオレフィン系樹脂を混合しても差し支えない。
【0012】上記のオレフィン系樹脂に混合する水素添加スチレン−イソプレンゴムとしては、スチレン成分が5〜30重量%の範囲にあるものが好適である。また、この水素添加スチレン−イソプレンゴムは、スチレン及びイソプレン以外のモノマー成分を含むものであっても差し支えない。
【0013】更に、得られるフィルムの特性を損なわない範囲であれば、水素添加スチレン−イソプレンゴム以外のゴムを併用しても差し支えない。他のゴムとして具体的には、エチレン−プロピレンゴム、水素添加スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合体からなるゴム等が挙げられる。これらの他のゴムを併用する場合にあっては、全ゴム中の50重量%未満とするのが望ましい。
【0014】水素添加スチレン−イソプレンゴムの混合割合については、上記のオレフィン系樹脂100重量部に対し、3〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。混合する水素添加スチレン−イソプレンゴムの量が多すぎると、得られるフィルムが剛性に劣るものとなり、混合する水素添加スチレン−イソプレンゴムの量が少なすぎるとと、フィルム表面の傷付き防止性の向上が殆ど見られない。
【0015】本発明のオレフィン系樹脂製フィルムの剛性を更に向上させるためには、上記したオレフィン系樹脂と水素添加スチレン−イソプレンゴムの混合物に、炭酸カルシウムを添加するのが望ましい。この炭酸カルシウムの添加量としては、オレフィン系樹脂と水素添加スチレン−イソプレンゴムの合計100重量部当たり、5〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。炭酸カルシウムの添加量が上記範囲よりも少ない場合には、炭酸カルシウムを添加する意義がなく、添加量が上記範囲よりも多い場合には、得られるフィルムが脆くなり、耐衝撃引裂強度が著しく低下する。また得られるフィルムの耐衝撃引裂強度の低下を抑えつつ、剛性を向上させるためには、上記の炭酸カルシウムとして、平均粒径が0.05〜2.0μmのものを使用するのが望ましい。尚、上記の炭酸カルシウムは、分散性を向上させるために、ステアリン酸等で表面処理したものであってもよい。
【0016】本発明のオレフィン系樹脂製フィルムを得るための上記のオレフィン系樹脂組成物中には、必要に応じて、帯電防止剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤等を添加することもできる。また、得られるフィルムの特性を損なわない範囲であれば、上記の炭酸カルシウム以外の無機質粉末を添加することもできる。
【0017】本発明のオレフィン系樹脂製フィルムを着色するために使用する着色剤としては、酸化チタン、酸化鉄、チタンイエロー、カーボンブラック、ポリアゾブラウン、キナクリドンマゼンタ、ペリレンレッド、ポリアゾレッド、ピロールレッド、イソインドリノンイエロー、ポリアゾイエローから選ばれる一種以上の着色剤が好適である。
【0018】上記からなるオレフィン系樹脂組成物は、カレンダー法、押出法、インフレーション法等の適宜の手段によって、厚さ0.05〜0.2mmのフィルムに成形され、本発明のオレフィン系樹脂製フィルムが得られる。
【0019】上記のようにして得られた本発明のオレフィン系樹脂製フィルムは、片面或いは両面に、印刷を施してもよい。このとき使用される印刷用インクは、オレフィン系樹脂製フィルムに被着製のあるインクであれば、いずれのものであってもよいが、環境上の観点から、ハロゲンを含有しないウレタン系インクは熱硬化タイプのインクが好ましい。これらのインクを用いての印刷法は、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等の印刷法が採用できる。勿論、印刷するに先立ち、フィルムの被印刷面にコロナ放電処理を施してもよい。また、印刷インクの密着性を向上させるためには、プライマー処理層を設けた上に印刷するのが望ましい。
【0020】また、本発明のオレフィン系樹脂製フィルムは、エンボス加工を施すこともできるし、エンボス加工により彫設された凹部に、いわゆる谷印刷を施すこともできる。エンボス加工は、カレンダーやTダイ押出機等でフィルムを作製する際に同時にエンボスする方法や、フィルム作製後に、後工程でエンボスする後エンボス加工法により行われる。
【0021】更に、本発明のオレフィン系樹脂製フィルムは、別途作製したオレフィン系樹脂製フィルムや、アクリル系樹脂製フィルムを積層することもできる。このとき、適宜の接着剤を使用してもよい。
【0022】
【実施例】以下に、具体的実施例を示すが、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0023】〔実施例1〜3、比較例1〜3〕表1に示す配合からなるオレフィン系樹脂組成物を用い、90mmの単軸押出機にて、シリンダー温度220℃、ダイス温度210℃の条件で、厚さ0.1mmのオレフィン系樹脂製フィルムを得た。得られたフィルムの、傷付き防止性及び剛性について評価した。結果を表1に併せて示す。
【0024】
【表1】

【0025】〔実施例4〜6、比較例4〜6〕表2に示す配合からなるオレフィン系樹脂組成物を、ロール温度150℃のカレンダー装置にて成形し、厚さが0.1mmのオレフィン系樹脂製フィルムを得た。得られたフィルムの、傷付き防止性及び剛性について評価した。結果を表2に併せて示す。
【0026】
【表2】

【0027】
【発明の効果】上記した通り、本発明のオレフィン系樹脂製フィルムは、化粧用フィルムとして重要な特性である表面の傷付き防止性に優れるものである。また、オレフィン系樹脂としてアイソタクチックポリプロピレンもしくは高密度ポリエチレンを使用することにより、化粧用フィルムとして適した剛性を有するフィルムを得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月16日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−80446
【公開日】 平成11年(1999)3月26日
【出願番号】 特願平9−269362