トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 ゴム組成物および加硫ゴム
【発明者】 【氏名】白田 孝

【氏名】細谷 三樹男

【氏名】菊池 義治

【氏名】川崎 雅昭

【氏名】東條 哲夫

【要約】 【課題】離型性および耐フォギング性に優れたゴム組成物および加硫ゴムを提供する。

【解決手段】天然ゴムおよび合成ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴム、および下式(1)で表わされるベタインまたはその誘導体を含有するゴム組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)天然ゴムおよび合成ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴム、および(B)下記一般式(1)で表わされるベタインまたはその誘導体を含有することを特徴とするゴム組成物。
【化1】

〔式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族炭化水素基、置換基R4を有する脂肪族炭化水素基(ここで置換基R4は水酸基またはR5C(=O)NH基(ここでR5は脂肪族炭化水素基を示す。)を示す。)、芳香族炭化水素基、置換基R6を有する芳香族炭化水素基(ここで置換基R6は水酸基または脂肪族炭化水素基を示す。)、またはR7C(=NH)基(ここでR7は脂肪族炭化水素基を示す。)を示し、これらは互いに結合して環を形成していてもよい。YはC(=O)O基またはC(OH)HCH2SO3基を示す。〕
【請求項2】 ゴム(A)100重量部あたり、ベタインまたはその誘導体(B)0.1〜20重量部を含有する請求項1記載のゴム組成物。
【請求項3】 ゴム(A)がエチレン・α−オレフィン共重合ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)およびシリコーンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムである請求項1または2記載のゴム組成物。
【請求項4】 ベタインまたはその誘導体(B)の分子量が200〜1500である請求項1ないし3のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項5】 ゴム(A)100重量部あたり、白色充填材(C)10〜200重量部を含有する請求項1ないし4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載のゴム組成物からなる加硫ゴム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、離型剤を配合したゴム組成物および加硫ゴム、特に耐フォギング性および加硫後の金型離型性に優れたゴム組成物および加硫ゴムに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用のヘッドランプやフォグランプなどのランプシールゴムパッキンや窓ガラス周辺で用いられるゴムには、ランプやガラスを曇らせない耐フォギング性に優れていることが望まれている。ランプやガラスなどを曇らせるフォギング現象は、ゴム中に配合された薬品類が揮発してランプやガラスに付着し、光透過率が減少することによって引き起こされる。従って、フォギング現象は雰囲気温度に大きく影響され、高温雰囲気下では促進される。
【0003】特に自動車用ランプは発熱が激しく、ランプ内雰囲気温度は150℃以上になる場合もあることから、フォギング性が促進され、問題となることが多い。さらに最近ではランプの照明性能の向上に伴い、ランプ内の雰囲気温度が上昇する傾向にあり、これまで以上に耐フォギング性に優れたランプシールゴムパッキンおよびゴム組成物が望まれている。
【0004】フォギングの原因となるフォギング物質は、多くの場合内部金型離型剤として配合される脂肪酸などの滑剤であり、その他には加硫剤残渣および活性剤等がある。従って、滑剤を配合しなければフォギング現象は大幅に低減するが、この場合は加硫成形時の金型離型性が悪化するので、生産性が悪化するという不具合がある。
【0005】このような問題点を解決する方法として、滑剤を配合したランプシールゴムパッキンなどの成形品を2次加硫し、フォギングの原因となる滑剤などを揮発させるという方法がある。しかし、この方法では、滑剤などを完全に揮発させるためには高温でしかも長時間の2次加硫が必要であるので、その過程でゴム自体が劣化して物性の低下を引き起こすほか、生産工程が増えることによって生産性が低下するなどの問題点がある。
【0006】また、金型の表面を処理することにより、離型剤を配合しないでゴム組成物の金型離型性を維持しようとする試みもなされている。しかし、この方法は金型離型性が不十分であり、また金型作成コストが上昇することからも不利である。従って、金型離型性および耐フォギング性に優れたゴム組成物および加硫ゴムの出現が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、離型性および耐フォギング性に優れたゴム組成物、およびこれからなる加硫ゴムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は次のゴム組成物および加硫ゴムである。
(1) (A)天然ゴムおよび合成ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴム、および(B)下記一般式(1)で表わされるベタインまたはその誘導体を含有することを特徴とするゴム組成物。
【化2】

〔式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族炭化水素基、置換基R4を有する脂肪族炭化水素基(ここで置換基R4は水酸基またはR5C(=O)NH基(ここでR5は脂肪族炭化水素基を示す。)を示す。)、芳香族炭化水素基、置換基R6を有する芳香族炭化水素基(ここで置換基R6は水酸基または脂肪族炭化水素基を示す。)、またはR7C(=NH)基(ここでR7は脂肪族炭化水素基を示す。)を示し、これらは互いに結合して環を形成していてもよい。YはC(=O)O基またはC(OH)HCH2SO3基を示す。〕
(2) ゴム(A)100重量部あたり、ベタインまたはその誘導体(B)0.1〜20重量部を含有する上記(1)記載のゴム組成物。
(3) ゴム(A)がエチレン・α−オレフィン共重合ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)およびシリコーンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムである上記(1)または(2)記載のゴム組成物。
(4) ベタインまたはその誘導体(B)の分子量が200〜1500である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のゴム組成物。
(5) ゴム(A)100重量部あたり、白色充填材(C)10〜200重量部を含有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のゴム組成物。
(6) 上記(1)ないし5のいずれかに記載のゴム組成物からなる加硫ゴム。
【0009】本発明で用いるゴム(A)は特に制限されず、天然ゴムでも合成ゴムでも使用できる。ゴム(A)としては、天然ゴムおよび合成ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムが使用される。好ましく使用されるゴム(A)としては、エチレン・α−オレフィン共重合ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合ゴム、NBR、IIR、SBRおよびシリコーンゴムなどがあげられる。
【0010】前記エチレン・α−オレフィン共重合ゴムは、エチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜8のα−オレフィンとの共重合ゴムである。上記炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンおよび1−エイコセンなどがあげられる。これらのα−オレフィンは、単独でまたは組合せて用いることができる。これらの中では、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンなどの炭素数3〜8のα−オレフィンが好ましい。
【0011】エチレン・α−オレフィン共重合ゴムは、エチレンとα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)が50/50〜90/10、好ましくは55/45〜85/15、特に好ましくは62/38〜80/20の範囲にあり、135℃のデカヒドロナフタレン中で測定した極限粘度[η]が1〜5dl/g、好ましくは1.3〜4dl/g、特に好ましくは1.5〜3.5dl/gの範囲にあるものが望ましい。
【0012】前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合ゴムは、エチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜8のα−オレフィンと非共役ポリエンとの共重合ゴムである。上記炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、エチレン・α−オレフィン共重合ゴムのα−オレフィンとして例示したものと同じものがあげられる。
【0013】前記非共役ポリエンとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−5−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエンなどの環状ジエン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエンおよび7−メチル−1,6−オクタジエンなどの鎖状の非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネンおよび4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエンなどのトリエン等があげられる。これらの中では、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。また加硫する際、耐熱老化性に優れるペルオキシド架橋を行う場合は、架橋効率、耐熱老化性に優れる5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネンが好ましい。
【0014】エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合ゴムは、エチレンとα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)が50/50〜90/10、好ましくは55/45〜85/15、特に好ましくは62/38〜80/20の範囲にあり、135℃のデカヒドロナフタレン中で測定した極限粘度[η]が1〜5dl/g、好ましくは1.3〜4dl/g、特に好ましくは1.5〜3.5dl/gの範囲にあり、ヨウ素価が1〜40、好ましくは1〜20、特に好ましくは2〜15の範囲にあるものが望ましい。
【0015】本発明では離型剤(金型離型剤)として、前記一般式(1)で表されるベタインまたはその誘導体(B)を使用する。前記一般式(1)において、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族炭化水素基、置換基R4を有する脂肪族炭化水素基(ここで置換基R4は水酸基またはR5C(=O)NH基(ここでR5は脂肪族炭化水素基を示す。)を示す。)、芳香族炭化水素基、置換基R6を有する芳香族炭化水素基(ここで置換基R6は水酸基または脂肪族炭化水素基を示す。)、またはR7C(=NH)基(ここでR7は脂肪族炭化水素基を示す。)などである。これらは2以上の基が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0016】前記R1〜R3の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル(ラウリル)基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖アルキル基;これらのアルキル基から水素原子が失なわれて形成された構造を有する炭素数2〜20の不飽和脂肪族炭化水素基などがあげられる。
【0017】前記R1〜R3で示される置換基R4を有する脂肪族炭化水素基としては、上記脂肪族炭化水素基に置換基R4として水酸基またはR5C(=O)NH基等が1個以上置換した基などがあげられる。ここでR5としては、前記と同じ炭素数1〜20のアルキル基および炭素数2〜20の不飽和脂肪族炭化水素基などがあげられる。
【0018】前記R1〜R3で示される芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などの炭素数6〜14のアリール基などがあげられる。また置換基R6を有する芳香族炭化水素基としては、上記アリール基に置換基R6として水酸基または炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基等が1個以上置換した基などがあげられる。
【0019】前記R1〜R3で示されるR7C(=NH)基としては、R7が前記炭素数1〜20のアルキル基または炭素数2〜20の不飽和脂肪族炭化水素基である基などがあげられる。前記一般式(1)のYとしてはC(=O)O基およびC(OH)HCH2SO3基などがあげられる。
【0020】前記一般式(1)で表わされる化合物の中では分子量が200〜1500のベタイン誘導体が望ましい。分子量が上記範囲にある場合、離型性および耐フォギング性に最も優れたゴム組成物が得られる。
【0021】前記一般式(1)で表されるベタインまたはその誘導体(B)の好ましいものとして、下記一般式(2)で表されるアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、下記一般式(3)で表されるアルキルアミドアルキルベタイン、下記一般式(4)で表されるアルキルヒドロキシスルホベタイン、下記一般式(5)で表される2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシアルキルイミダゾリニウムベタインなどがあげられる。
【0022】
【化3】

(式(2)中、R12は炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖アルキル基、あるいは炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖不飽和脂肪族炭化水素基を示す。式(3)中、R13は炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖アルキル基、あるいは炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖不飽和脂肪族炭化水素基、mは1〜6の整数を示す。式(4)中、R14は炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖アルキル基、あるいは炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖不飽和脂肪族炭化水素基を示す。式(5)中、R15は炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖アルキル基、あるいは炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖不飽和脂肪族炭化水素基、nは1〜6の整数を示す。)
【0023】前記一般式(2)〜(5)のR12〜R15の具体的なものとしては、デシル基、ウンデシル基、ドデシル(ラウリル)基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のアルキル等;これらのアルキル基から水素原子が失われて形成された構造を有する不飽和脂肪族炭化水素基;これらの混合物などがあげられる。
【0024】前記一般式(2)で表される化合物の具体的なものとしては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどがあげられる。前記一般式(3)で表される化合物の具体的なものとしては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ酸アミドプロピルベタインなどがあげられる。前記一般式(4)で表される化合物の具体的なものとしては、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどがあげられる。前記一般式(5)で表される化合物の具体的なものとしては、2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどがあげられる。
【0025】前記一般式(2)〜(4)の化合物の中では一般式(2)または(4)で表される化合物が好ましく、特にラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインおよび2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが好ましい。
【0026】ベタインまたはその誘導体(B)の含有量は、ゴム(A)100重量部あたり0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部であるのが望ましい。(B)成分の含有量が上記範囲にある場合、離型性、耐フォギング性、電気特性およびコスト面で最も優れたゴム組成物が得られる。
【0027】本発明のゴム組成物には、白色充填材(C)を配合するのが好ましい。白色充填材(C)としては、通常のゴムに配合されているものが使用でき、例えばシリカ、表面処理シリカ、タルク、微粉タルク、表面処理タルク、クレー、カップリング剤処理クレー、ケイ酸、微粉ケイ酸、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどがあげられる。白色充填材(C)の配合量は、ゴム(A)100重量部あたり10〜200重量部、好ましくは15〜100重量部とするのが望ましい。本発明のゴム組成物には、(A)〜(C)成分の他に、本発明の目的を損わない範囲で他の添加剤、例えば軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、顔料、補強材、(C)成分以外の充填材など、通常ゴムの製造に使用される添加剤を配合することができる。
【0028】本発明のゴム組成物はそのまま使用することもできるが、通常加硫(架橋)して、加硫ゴムとして用いられる。架硫に用いる前記加硫剤としては、イオウ系化合物および有機過酸化物などをあげることができる。イオウ系化合物としては、イオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレンなどを例示できる。これらの中ではイオウが好ましい。イオウ系化合物の使用量は、ゴム(A)100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部とするのが望ましい。
【0029】上記有機過酸化物としてはジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ第三ブチルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、第三ジブチルヒドロペルオキシドなどを例示できる。これらの中ではジクミルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましい。有機過酸化物の使用量は、ゴム(A)100gに対して、通常3×10-3〜5×10-2モル、好ましくは1×10-3〜3×10-2モルとするのが望ましい。
【0030】加硫剤としてイオウ系化合物を使用する場合には、加硫促進剤の併用が好ましい。加硫促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジル−ジスルフィドなどのチアゾール系:ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジンなどのグアニジン系;アセトアルデヒド−アニリン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物などのアルデヒドアミン系;2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系;ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレアなどのチオウレア系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオ酸塩系;ジブチルキサントゲン酸亜鉛などのザンテート系;その他亜鉛華などをあげることができる。これらの加硫促進剤の使用量は、ゴム(A)100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部とするのが望ましい。
【0031】加硫剤として有機過酸化物を使用するときは、加硫助剤の併用が好ましい。加硫助剤としてはP−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系;その他マレイミド系、ジビニルベンゼンなどがあげられる。加硫助剤の使用量は、使用する有機過酸化物1モルに対して0.5〜2モル、好ましくは均等モルとするのが望ましい。
【0032】本発明のゴム組成物および加硫ゴムは、例えば次のような方法で調製することができる。まず(A)および(B)成分、ならびに必要により配合する(C)成分や他の添加剤をバンバリーミキサーなどのミキサー類を用いて約80〜170℃の温度で約3〜10分間混練する。次に、加硫剤、加硫助剤などの添加剤をオープンロールなどのロール類を用いて追加混合し、ロール温度約40〜80℃で約3〜30分間混練して部出し、本発明のゴム組成物からなるリボン状またはシート状の末加硫ゴム配合物を調製する。
【0033】このようにして調製した未加硫ゴム配合物を、押出物、カレンダーロール、プレス、射出成形機、トランスファー成形機などにより所望の形状に成形し、成形と同時にまたはその成形品を加硫槽内で、通常約150〜270℃で約1〜30分間加熱して加硫し、本発明の加硫ゴムを得る。
【0034】本発明のゴム組成物および加硫ゴムは、耐フォギング性が要求される分野で好適に利用することができる。例えば、自動車用のヘッドランプシールゴム、フォグランプシールゴム、サイドランプシールゴムおよび自動二輪車用ランプシールゴム等のランプシールゴム、自動車窓ガラス周辺シールゴム、建材用窓ガラスシール材、ならびに建材用ガスケットなどがあげられる。
【0035】本発明のゴム組成物および加硫ゴムが耐フォギング性に優れている理由は明確ではないが、前記一般式(1)で表されるベタインまたはその誘導体(B)は双極イオン化合物であるので、ゴム組成物中でイオン結合し、このため150〜180℃の高温雰囲気下でも揮発しないためであると推測される。
【0036】
【発明の効果】本発明のゴム組成物は、前記一般式(1)で表されるベタインまたはその誘導体を含有しているので、離型性および耐フォギング性に優れている。本発明の加硫ゴムは、上記組成物からなっており、離型性に優れているので、成形品を容易に成形することができ、また得られた成形品は耐フォギング性に優れているので、例えば自動車用のランプシールゴムパッキンなどに使用された場合もランプやガラスは曇らない。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の優れた効果を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1表1に示す配合剤を1.7 literバンバリーミキサーを用いて140〜150℃の温度で5分間混練した。このコンパウンドを配合物(1)とする。
【0038】
【表1】

*1 エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム 商品名:三井EPT 3062E、三井石油化学工業(株)製 *2 エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム 商品名:三井EPT 3045、三井石油化学工業(株)製 *3 亜鉛華3号、堺化学(株)製 *4 商品名:シーストS、東海カーボン(株)製 *5 日本ミストロン(株)製、ミストロンベーパータルク、商標 *6 出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイルPW−380、商標 *7 商品名:サンダントMB、三新化学(株)製【0039】次に、上記配合物(1)を含むゴム組成物を、8インチオープンロール(日本ロール(株)製)に巻付け、このオープンロール上で表2に示す配合処方になるように配合剤を添加し、5分間混練したのち、厚さ3mmでシート出しした。このときロール表面温度は、前ロール50℃、後ロール60℃であった。
【0040】
【表2】

*8 商品名:アンヒトール20BS、花王(株)製、 ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン31重量%濃度品 *9 三井石油化学工業(株)製、三井DCP−40C、商標 *10 三新化学(株)製、サンエステルEG、商標【0041】上記配合物を、プレス成形機(コータキ精機(株)製)を用いて、型温度170℃で6分間加熱し、2mm厚の加硫シートを成形した。この加硫シートについて、下記方法によりモジュラス、引張特性、耐フォギング性および金型離型性を測定した。
【0042】《モジュラス》JIS K 6251(1993年)に従って測定した。測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、100%、200%または300%伸長したときのモジュラスM100、M200またはM300を測定した。
《引張特性》JIS K 6251(1993年)に従って測定した。測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、破断時の伸び(EB)と強度(TB)を測定した。
《硬さ試験》JIS 6253に従って、硬さ(HS(JIS A))を測定した。
【0043】《耐フォギング性》2mmの加硫シートを直径80mmにカットし、直径84mm×高さ200mmのビーカーに入れる。直径40mmの丸穴のあいたシリコーンパッキンをビーカーの上に載せ、その上に125mm×125mm×3mmのガラス板(ヘイズ:0.2%、60°鏡面光沢度:110%)を置き、丸穴を塞ぐ。ビーカーを160℃に調整されたシリコーンオイルバスに入れ、ビーカーを60mm浸漬した状態で24時間加熱する。加熱終了後に1時間経ってから、丸穴を塞いだ部分のガラスの曇り価(ヘイズ値)をJIS K6714に準拠して測定する。
試験機:ヘイズメーターNDH−20D、日本電色工業(株)、商標温度:23±2℃測定回数:3回【0044】《金型離型性》配合物を、プレス成形機(コータキ精機(株)製)を用いて、型温度170℃で6分間加熱し、2mm厚の加硫シートを成形した。このシートを金型から取り出す時の離形性を、下記基準で評価した。
1:金型から非常に剥がれにくく、金型を開けるのに非常に大きな応力が必要。
2:金型から剥がれにくく、金型を開けるのに大きな応力が必要。
3:金型からやや剥がれにくく、金型を開けるのに応力が必要。
4:金型からスムーズに取り出せるものの、金型を開けるのに多少の応力が必要。
5:金型からスムーズに取り出せ、金型がすんなり開く。
【0045】実施例2実施例1において、アンヒトール20BSの配合量を2重量部から10重量部に変更した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表3に示す。
【0046】実施例3実施例1において、アンヒトール20BSの配合量を2重量部から20重量部に変更した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表3に示す。
【0047】実施例4実施例1において、アンヒトール20BSの代わりにアンヒトール20Y(花王(株)製、商品名、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン58重量%品)を5重量部用いた以外は実施例1と同様にして行った。結果を表3に示す。
【0048】実施例5実施例1において、アンヒトール20BSの配合量を2重量部から3.5重量部に変更し、合成ゴムEPTをSBR 1502(JSR(株)製、商標、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕:52、結合スチレン(%):23.5)に変更し、加硫剤をDCP−40C(7重量部)およびサンエステルEG(2重量部)からイオウ(1.75重量部)およびN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルヘンアミド(1.5重量部)(商品名サンセラーCM、三新化学(株)製)に変更した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表3に示す。
【0049】比較例1実施例1において、アンヒトール20BSを配合しなかった以外は実施例1と同様にして行った。結果を表3に示す。
【0050】比較例2実施例1において、アンヒトール20BSの代わりにステアリン酸(商品名:ステアリン酸 椿、日本油脂(株)製)1重量部を配合した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表4に示す。
【0051】比較例3比較例2において、ステアリン酸をイソステアリン酸(商品名:イソステアリン酸、東京化成(株)製)に変更した以外は比較例2と同様にして行った。結果を表4に示す。
【0052】比較例4比較例2において、ステアリン酸をストラクトールWB−212(商品名:ストラクトールWB−212、エスアンドエスジャパン(株)より市販、高分子量親水性脂肪酸エステルと不活性フィラーに処理された縮合物からなる混合物で、一定水分を持つエマルジョン)に変更した以外は比較例2と同様に行った。結果を表5に示す。
【0053】比較例5実施例5において、アンヒトールBSの代わりにストラクトールWB−180(商品名:ストラクトールWB−180、エスアンドエスジャパン(株)より市販、オルガノシリコン系)を1重量部用いた以外は実施例5と同様にして行った。結果を表5に示す。
【0054】比較例6比較例5において、ストラクトールWB−180の代わりにモールドウィズIMRI(商品名:モールドウィズIMRI、小桜商会(株)より市販、亜リン酸モノまたはジフェニルモノまたはジアルキル(またはアルコキシアルキルC8〜C13)35重量%、グリセリンソルビタン縮合物脂肪酸エステル65重量%)を用いた以外は比較例5と同様にして行った。結果を表5に示す。
【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】表3〜表5の注*1 エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム商品名:三井EPT 3062、三井石油化学工業(株)製*2 エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム商品名:三井EPT 3045、三井石油化学工業(株)製*3 JSR(株)製、商標*4 商品名:アンヒトール20BS、花王(株)製、ジメチルラウリルベタイン31重量%濃度品*5 商品名:アンヒトール20Y、花王(株)製、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン58重量%濃度品*6 有機過酸化物、三井石油化学工業(株)製、三井DCP−40C、商標*7 架橋助剤、三新化学(株)製、サンエステルEG、商標*8 架橋助剤、商品名サンセラーCM、三新化学(株)製*9 商品名:ステアリン酸 椿、日本油脂(株)製*10 東京化成(株)製*11 商品名:ストラクトールWB−212、エスアンドエスジャパン(株)より市販*12 商品名:ストラクトールWB−180、エスアンドエスジャパン(株)より市販*13 商品名:モールドウィズIMRI、小桜商会(株)より市販【0059】表3の結果からわかるように、各実施例の加硫シートは物性、金属離形性および耐フォギング性に優れている。表4および表5の結果からわかるように、比較例1および3の加硫シートは、金型離型性が悪い。比較例2、4および5の加硫シートは、フォギング性試験においてヘイズ値が15%以上になっており、耐フォギング性が悪い。比較例6の加硫シートは、金型離型性および耐フォギング性ともに悪い。
【出願人】 【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柳原 成
【公開番号】 特開平11−80436
【公開日】 平成11年(1999)3月26日
【出願番号】 特願平9−250875