| 【発明の名称】 |
分岐状ポリマーを含有する光学用樹脂組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】串田 尚
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| 【要約】 |
【課題】光学的異方性が小さい光学用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)コアとそれから伸びる直鎖状ポリマーから構成され、かつ該直鎖状ポリマーの分子量が500〜100万である星型または櫛形の分岐状ポリマーと、(B)直鎖状ポリマーとからなり、かつ(A)/[(A)+(B)]の比が1〜99重量%である光学用樹脂組成物。(A)における直鎖状ポリマーと(B)の直鎖状ポリマーはともにポリスチレンであることが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)コアとそれから伸びる直鎖状ポリマーから構成され、かつ該直鎖状ポリマーの分子量が500〜100万である星型または櫛形の分岐状ポリマーと、(B)直鎖状ポリマーとからなり、かつ(A)/[(A)+(B)]の比が1〜99重量%である光学用樹脂組成物。 【請求項2】 (B)が、(A)における直鎖状ポリマーと同一のポリマーからなる請求項1記載の光学用樹脂組成物。 【請求項3】 直鎖状ポリマーがポリスチレンである請求項2記載の光学用樹脂組成物。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の光学用樹脂組成物からなるフィルムまたはシート状成形物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は光学用樹脂組成物に関し、更に詳しくは、コアとそれから伸びる直鎖状ポリマーとからなる分岐状ポリマーを含有する、光学材料に有用な樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】コアと、コアから外側に放射状もしくは櫛状に伸びる直鎖状ポリマーアームとからなる熱可塑性分岐状ポリマーは、直鎖状ポリマーと比較して溶融状態および溶液状態の著しく異なるため注目されている。 【0003】例えば高分子論文集, Vol.53, No.2, p85 (1996)や高分子論文集, Vol.53, No.2, p91 (1996)においてはハイソリッド塗料の減粘成分として検討がなされている。また特開平7−261457号公報、特開平7−219272号公報、特開平6−019196号公報、特開平5−150466号公報、特開平2−189307号公報においては分岐状ポリマーをトナーのバインダー成分として用いることが開示されている。 【0004】また特開平8−169920号公報等には、分岐状ポリマーを樹脂の改質剤とすることが開示されている。 【0005】これらはいずれも分岐ポリマーを添加剤あるいは改質剤として用いており、そのため比較的低分子量の分岐ポリマーを用いている。 【0006】一方分岐状ポリマーをバルク体として用いる報告もなされている。例えばポリスチレンに関してはJ. Am. Chem. Soc. 116, 1185(1994)に、ポリ(ε−カプロラクトン)に関してJ. Appl. Polym. Sci. 50, 1977 (1993)に報告されている。またナイロン−6に関してはChem. Mater. 4, 1000 (1992)に詳しく報告されている。 【0007】特にナイロン−6に関しては破断点伸びおよび衝撃強度を除く機械的特性は直鎖状ポリマーと同等であり、更にはガラス転移温度、融点に関しては直鎖状ポリマーと全く同一であると報告されており、その他のポリマーに関しても同様の報告がなされている。 【0008】つまりこれまでの報告は直鎖状ポリマーと同等の物性を保ちつつ、溶融粘度を低下させることによる成形性の向上を目的としたものであり、分岐させることにより直鎖状ポリマーに見られなかった新たな特性を報告したものはこれまでになかった。 【0009】一方光学ポリマーについてもより高い耐熱性と光学等方性を有する材料が求められている。しかしながら直鎖状ポリマーは成形時の流動配向や延伸時の延伸配向による複屈折等を生じやすいといった問題がある。 【0010】したがってこれまでは特開昭61−120816号公報、特開昭60−26024号公報、特開平1−132625号公報、特開平1−132626号公報等に開示されているように、光学的等方性の高い特殊な繰り返し単位によるポリマーが光学用として検討されている。これらの樹脂は配向時にも複屈折が生じ難いという優れた光学特性を有するが、嵩だかい繰り返し単位のため力学物性の面で問題が大きい。 【0011】 【発明が解決しようとしている課題】本発明の目的は、光学的異方性が小さい光学材料を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、多数の直鎖状ポリマーの片末端がコアと一点で結合した特定の分岐状ポリマーを一般的な直鎖状ポリマーにブレンドした樹脂組成物が、光学的異方性が極めて小さく、光学用途に最適であることを見出した。 【0013】即ち本発明は、(A)コアとそれから伸びる直鎖状ポリマーとからなり、かつ該直鎖状ポリマーの分子量が500〜100万である星型または櫛形の分岐状ポリマーと、(B)直鎖状ポリマーとからなり、かつ(A)/[(A)+(B)]の比が1〜99重量%である光学用樹脂組成物である。また前記直鎖状ポリマーがポリスチレンからなる分岐状光学ポリマーである。更には本発明は、上記状光学用樹脂組成物からなるフィルムもしくはシート状成形物を包含する。 【0014】 【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明する。本発明における分岐状ポリマーは、(A)コアとそれから伸びる直鎖状ポリマーから構成され、かつ該直鎖状ポリマーの分子量が500〜100万である星型または櫛形の分岐状ポリマーである。 【0015】ここで星型分岐状ポリマーとは、少なくとも3つの直鎖状ポリマーがコア分子により一点で結合したポリマーを指す。すなわち、コア部分と、それから伸びる直鎖状のポリマー(ポリマーアーム)とから構成され、該ポリマーアームの一端はフリーであり、他の一方の末端は全てコアで束縛されているという特徴を有する。また櫛形分岐状ポリマーとは、一本のポリマー主鎖であるコアから多数のポリマーアームが分岐して伸びているポリマーをいう。従って、いわゆるデンドリマーやランダム多分岐ポリマーとは厳密に区別される。 【0016】コアに結合している直鎖状ポリマー(ポリマーアーム)としては、例えばポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(1,3−シクロペンタジイル)等の開環メタセシス水添樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、もしくはそれらの共重合体を挙げることができる。 【0017】本発明におけるコアには、3つ以上の上記直鎖状ポリマーのそれぞれの一端が結合している。このようなコアとしては、星型分岐状ポリマーの場合、例えば官能基を3つ以上持つ多官能性コア形成性化合物(を誘導する化合物)を挙げることができ、櫛形分岐状ポリマーの場合には、例えば官能基を3つ以上持つ多官能性コア形成性の直鎖状ポリマーを挙げることができる。これらはポリマーアームを構成するポリマーの種類、分岐状ポリマーの製造方法等によって適宜選ぶことができる。 【0018】例えば、星型分岐状ポリマーの場合、ポリマーアームとしてポリスチレンを用いる場合は、例えば(1)通常のポリスチレンを重合するときに用いるイオン重合、ラジカル重合等の開始剤、(2)直鎖状ポリスチレンの片末端に官能基を結合し変性ポリスチレンとし、該変性ポリスチレンと反応して結合することができる化合物、等をコア形成性化合物として用いることができる。具体的には、例えば下記式【0019】 【化1】
【0020】で表される化合物を挙げることができる。 【0021】また、かかる多官能性コア形成性化合物としては、いわゆる多官能性モノマーや多官能性オリゴマー(マクロモノマー)であってもよく、いわゆるデンドリマーも含まれる。 【0022】本発明において、コアの大きさは、分子量12〜5000程度である。 【0023】上記分岐状ポリマーの重合法としては一般的な方法を用いることができるが、交換反応によるゲル化を防止する意味から、リビング重合が好ましい。例えばリビングラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングメタセシス重合法等を例示することができる。 【0024】したがって、リビング重合が可能であるという見地から前記ポリマーアームとしては、好ましくはポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリプロピレン、ポリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(1,3−シクロペンタジイル)等の開環メタセシス水添樹脂である。より好ましくはビニル系樹脂およびポリオレフィン系樹脂である。 【0025】例えばポリマーアームがポリスチレンからなる分岐状ポリマーの場合には、開始剤として多官能性コア形成性化合物を用い、これとスチレンモノマーとをリビング重合反応させることにより得ることができる。あるいは直鎖状ポリスチレンの片末端に官能基を結合した変性ポリスチレンを、該官能基と反応する多官能性コア形成性化合物と反応させることにより得ることもできる。 【0026】上記ポリマーアームの重量平均分子量は500〜100万である。500より小さい場合は(A)成分の含有量を増やした場合力学物性が不十分になる場合があり、100万より大きい場合は溶融粘度等が増大し成形性等に問題が生じることがある。好ましくは1万〜100万である。 【0027】本発明における分岐状ポリマー(A)は、重量平均分子量が通常1500〜300万程度である。 【0028】本発明において(B)成分は、片末端がコアと一点で結合した直鎖状ポリマーであり、分岐状ポリマー(A)のポリマーアームを構成する直鎖状ポリマーと同一の組成からなるポリマーであることが好ましい。(A)成分のポリマーアームと(B)成分の組成が異なる場合、その屈折率差、相溶性からヘイズ等を生じやすく、光学用途として好ましくない。 【0029】本発明の分岐状ポリマーを含有する樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はないが、例えば分岐状ポリマー(A)と直鎖状ポリマー(B)とをそれぞれ準備しておき、それらの所定量を溶融混合または湿式で混合する方法を挙げることができる。 【0030】本発明の樹脂組成物において、分岐状ポリマー(A)と直鎖状ポリマー(B)の割合は、樹脂組成物全体における(A)が重量比で1〜99%の範囲内、すなわち(A)/[(A)+(B)]が1〜99重量%であり、好ましくは10〜99重量%の範囲内である。(A)が重量比で1%未満では、(A)の含有による樹脂組成物の光学的等方性の効果が発現しにくい。 【0031】本発明の分岐状ポリマー(A)を含有する樹脂組成物は、その光学的等方性により光学用途に好ましく用いることができる。光学用途としては光ディスク用基板、液晶表示用基板、タッチパネル等の光学フィルムもしくはシート、プラスチックレンズ、プラスチック光ファイバー等を例示することができる。 【0032】かかる樹脂組成物からなる成形物は延伸処理を行った場合の位相差が小さい。これは分子配向による光学的異方性の誘起が小さいことを示しており、射出成形、押し出し成形等の流動配向が生じ易い成形法による光学部品の製造に極めて有利である。この様な光学部品としてはCD基板等の光ディスク基板等を例示することができる。 【0033】また応力歪み等による配向の影響も少ないため、液晶表示素子用基板材料、タッチパネル用フィルム等にも好ましく用いることができる。 【0034】フィルム状もしくはシート状に成型する方法としては溶融押し出し法、溶媒キャスト法により成形できる。さらにはそれらのフィルムもしくはシートを延伸することにより成形することができる。得られたフィルム状もしくはシート状成形体の厚さとしては通常0.001〜10mmである。 【0035】 【発明の効果】本発明の光学用樹脂組成物は、分岐状ポリマー成分である(A)成分を含有しない直鎖状ポリマーのみからなる場合と比較して、極めて優れた光学的等方性を有するため、光学用途に有効に用いることができる。 【0036】特に延伸フィルム、流延フィルム等のフィルムやシート状成形体としたときにその効果が大きい。 【0037】また本発明の分岐状光学用ポリマーは分子配向が光学特性に与える影響が極めて小さいため、光学等方性が極めて高く、光ディスク基板等射出成形による光学材料として好ましく使用することができる。 【0038】 【実施例】以下実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。分子量測定、熱分析、光学的当方性の評価は以下の方法で行った。 【0039】(1)重量平均分子量(Mw)測定分子量測定は、ワイアットテクノロジー製 DAWN DSP−Fを用いて光散乱法で測定した。 【0040】(2)ポリマーアームの重量平均分子量(Mw)測定分岐状ポリマー2重量部を水10重量部、テトラヒドロフラン(THF)40重量部に溶解し、水酸化カリウム2重量部を加えて10時間還流した後、水で再沈殿し洗浄後乾燥した。重量平均分子量測定は(1)と同様に、ワイアットテクノロジー製 DAWNDSP−Fを用いて光散乱法で測定した。 【0041】(3)光学異方性の評価各サンプルを日本分光(株)製M−150型エリプソメータを用いて400nmの波長(wavelength)範囲で位相差(retardation)測定を行い、フィルムの厚さを100μmに換算した値で比較した。 【0042】[合成例]Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 34 (13/14) 1456 (1995) の方法に従い、多官能性コア形成性化合物として下記式【0043】 【化2】
【0044】で表される開始剤0.3重量部、およびスチレンモノマー220重量部を窒素ガス気流下、130℃で100時間重合した。反応液をTHFで希釈した後、メタノールで再沈殿して目的の3分岐ポリスチレンを得た。このポリマーの分子量測定およびポリマーアーム部の分子量測定を行ない3分岐ポリマーであることを確認した。その結果を表1に示す。 【0045】 【表1】
【0046】[実施例1]上記合成例で得られた3分岐ポリスチレン1部と市販の直鎖状ポリスチレン(電気化学工業(株)製 デンカスチロール)9部をTHF45部に溶解し、ドクターブレードを用いて厚さ110μmのキャストフィルムを作成した。このフィルムを103℃で1.7倍に一軸延伸し、このフィルムの位相差測定を行った。結果を表2に示す。 【0047】[実施例2]上記合成例で得られた3分岐ポリスチレン3部と市販の直鎖状ポリスチレン(電気化学工業(株)製 デンカスチロール)7部をTHF45部に溶解し、ドクターブレードを用いて厚さ94μmのキャストフィルムを作成した。このフィルムを105℃で1.7倍に一軸延伸し、このフィルムの位相差測定を行った。結果を表2に示す。 【0048】[実施例3]上記合成例で得られた3分岐ポリスチレン5部と市販の直鎖状ポリスチレン(電気化学工業(株)製 デンカスチロール)5部をTHF45部に溶解し、ドクターブレードを用いて厚さ78μmのキャストフィルムを作成した。このフィルムを107℃で1.7倍に一軸延伸し、このフィルムの位相差測定を行った。結果を表2に示す。 【0049】[実施例4]上記合成例で得られた3分岐ポリスチレン7部と市販の直鎖状ポリスチレン(電気化学工業(株)製 デンカスチロール)3部をTHF45部に溶解し、ドクターブレードを用いて厚さ77μmのキャストフィルムを作成した。このフィルムを109℃で1.7倍に一軸延伸し、このフィルムの位相差測定を行った。結果を表2に示す。 【0050】[実施例5]上記合成例で得られた3分岐ポリスチレン9部と市販の直鎖状ポリスチレン(電気化学工業(株)製 デンカスチロール)1部をTHF45部に溶解し、ドクターブレードを用いて厚さ73μmのキャストフィルムを作成した。このフィルムを111℃で1.7倍に一軸延伸し、このフィルムの位相差測定を行った。結果を表2に示す。 【0051】 【表2】
【0052】[比較例]市販の直鎖状ポリスチレン(電気化学工業(株)製 デンカスチロール)を比較例とした。このポリマーを塩化メチレンに溶解して20重量%溶液とし、ドクターブレードを用いて厚さ67μmのキャストフィルムを作成した。このフィルムを102℃で1.7倍に一軸延伸し、このフィルムの位相差測定を行った。結果を表2に併記した。以上のように、本発明の分岐状ポリマーを含む樹脂組成物は、該分岐状ポリマーのポリマーアームを構成する直鎖状のポリマーに比べて光弾性定数が小さく(好ましくは150以下)、光学等方性の要求される光学用途に特に有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003001 【氏名又は名称】帝人株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月21日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】前田 純博
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| 【公開番号】 |
特開平11−60973 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−224846 |
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