| 【発明の名称】 |
剥離性紫外線硬化型シリコーン組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】入船 真治
【氏名】伊東 秀行
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| 【要約】 |
【課題】紫外線硬化性に優れ、その硬化皮膜が粘着物質に対して優れた剥離特性を示す、剥離性紫外線硬化型シリコーン組成物の提供。
【解決手段】(1)ケイ素原子に結合したフェニル基と分子末端のアルケニル基を含有し、分子構造が分岐状であるオルガノポリシロキサン、(2)ケイ素原子に結合したメルカプトアルキル基を含有するオルガノポリシロキサン及び(3)上記オルガノポリシロキサンに相溶する光開始剤を主成分とする組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】(1)下記式(I)〜(III) で示されるシロキサン単位からなり、式(III) で示されるシロキサン単位を1分子中に平均で1〜3個含有し、25℃における粘度が100〜100,000cP であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン 100重量部、【化1】
[ここで、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基で、R1中の1〜10モル%がフェニル基であり、R2は式(IV) -CnH2n-CH=CH2 (IV) (ここで、nは0〜8の整数。)で示されるアルケニル基であり、R3はR1またはR2である。] (2)1分子中にケイ素原子に結合した少なくとも2個のメルカプトアルキル基を含有するオルガノポリシロキサン1〜30重量部、及び(3)上記オルガノポリシロキサンに相溶する光開始剤を主成分とする剥離性紫外線硬化型シリコーン組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線硬化性に優れ、紫外線照射後の硬化皮膜が粘着物質に対して優れた離型性を有するシリコーン組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、紙、加工紙、金属箔、プラスチックフィルムなどの固体基材と粘着物質との接着、固着を防止することを目的として、基材面にシリコーン組成物の硬化皮膜を形成させ、離型性を付与することが行われている。この場合、固体基材面にシリコーン組成物の硬化皮膜を形成させる方法としては、[1]白金系化合物を触媒として、シリコーン組成物中の脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを付加反応させて離型性硬化皮膜を形成させる方法、[2]有機スズ化合物などの有機金属触媒を使用して、シリコーン組成物中のオルガノポリシロキサンを縮合反応させて離型性硬化皮膜を形成させる方法、などが知られている。しかし、これらの方法において使用するシリコーン組成物は、いずれも加熱によって硬化皮膜が形成されるため、熱に弱い基材には使用できず、また硬化には多大なエネルギーが必要であった。 【0003】これらの欠点を改良するため、紫外線照射により硬化可能な組成物として、ビニル基含有オルガノポリシロキサンとメルカプト基含有オルガノポリシロキサンに光開始剤を添加した組成物が特開昭52-40334号公報に提案されている。しかし、この組成物を硬化させるためには紫外線照射を長く行う必要があり、紫外線硬化性は必ずしも満足できるものではなかった。そこで、紫外線硬化性を改良するために、ビニル基含有オルガノポリシロキサン中のビニル基含有量を多くしたり、メルカプト基含有オルガノポリシロキサンの添加量を多くしたりする方法も採られた。しかし、これらの方法では紫外線硬化性は向上するけれども、粘着テープ等の剥離力が大きくなってしまうという欠点があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、紫外線硬化性に優れ、かつ粘着テープ等の剥離力が小さく残留接着率も大きいという、優れた剥離特性を有する硬化皮膜を与える剥離性紫外線硬化型シリコーン組成物を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、分子末端の各々に少なくとも1個のアルケニル基を持ち、分子構造が分岐状であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、1分子中にケイ素原子に結合した少なくとも2個のメルカプトアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンと、光開始剤とを主成分とするシリコーン組成物によれば、短時間の紫外線照射で良好に硬化し、硬化性が向上するとともに、その硬化皮膜が優れた剥離特性を有することを見いだし、本発明を成すに至った。 【0006】本発明は、(1)下記式(I)〜(III) で示されるシロキサン単位からなり、式(III) で示されるシロキサン単位を1分子中に平均で1〜3個含有し、25℃における粘度が100〜100,000cP であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン 100重量部、【化2】
[ここで、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基で、R1中の1〜10モル%がフェニル基であり、R2は式(IV) -CnH2n-CH=CH2 (IV) (ここで、nは0〜8の整数。)で示されるアルケニル基であり、R3はR1またはR2である。] (2)1分子中にケイ素原子に結合した少なくとも2個のメルカプトアルキル基を含有するオルガノポリシロキサン1〜30重量部、及び(3)上記オルガノポリシロキサンに相溶する光開始剤を主成分とする剥離性紫外線硬化型シリコーン組成物を提供する。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳しく説明する。本発明の剥離性紫外線硬化型シリコーン組成物を構成する最も重要な成分である(1)成分のオルガノポリシロキサンは、上記式(I)〜(III) で示されるシロキサン単位からなるものである。式中のR1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であり、優れた紫外線硬化性などの特性を得るためR1中の1〜10モル%をフェニル基とする。フェニル基が1モル%未満では紫外線硬化性が低下し、10モル%を超えると重剥離化するため剥離特性が低下する。さらに、R1中の3〜5モル%がフェニル基であって、その他は剥離特性からメチル基であることが好ましい。R2は上記式(IV)で示されるアルケニル基で、メルカプトアルキル基と反応して架橋(硬化)に与る。硬化性からみて、式中のnは0〜8の整数、好ましくは0(ビニル基)であり、また、R2として分子末端の各々に少なくとも1個存在することが必要である。R3はR1またはR2であり、R3中の少なくとも 0.5〜1モル%程度は硬化性からみてR2であることが好ましい。また、R2の量はR3中の10モル%以下が好ましい。10モル%を超えると重剥離化により剥離特性が低下する傾向にある。 【0008】(1)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造を規定する式(III) で示されるシロキサン単位は1分子中に平均で1〜3個存在することが必要であり、この平均値が1より小さいと優れた紫外線硬化性が得られなくなり、3より大きいと粘度が高くなり合成が困難である。更に、(1)成分のオルガノポリシロキサンは、形成される硬化皮膜の性能上から、25℃における粘度が 100〜100,000cP 、好ましくは 200〜10,000cPのオイル状のものがよい。 【0009】(2)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合した少なくとも2個のメルカプトアルキル基を有するものであり、下記平均組成式(V) R4eSiO(4-e)/2 (V) で示されるものを用いることができる。ここで、R4は炭素数1〜8、好ましくは1〜3の有機基であるが、1分子中のR4のうち少なくとも2個はメルカプトアルキル基である。また、メルカプトアルキル基の量は全有機基に対して10〜50モル%であることが、架橋効率の面から好ましい。 【0010】メルカプトアルキル基の例としては、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基、メルカプトプロピル基、メルカプトヘキシル基などがあげられるが、原料の入手、合成の容易さから、メルカプトプロピル基であることが好ましい。メルカプトアルキル基以外の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、あるいはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した基があげられる。なお、ケイ素原子に結合するメルカプトアルキル基以外の有機基は、剥離性及び(1)成分との相溶性から、全有機基に対して50モル%以上がメチル基であることが好ましい。 【0011】また、式(V)においてeは1〜3の正数であり、(2)成分の構造は直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、分子末端に水酸基あるいはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシル基を有していてもよい。(2)成分のオルガノポリシロキサンの粘度は特に制限されないが、通常25℃において5〜1,000cP のものを使用することができる。(2)成分の配合量は(1)成分 100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。1重量部より少ないと紫外線硬化性が低下し、30重量部より多いと粘着物質を剥離する特性が低下する場合がある。また、(1)成分中のアルケニル基に対しては、メルカプトアルキル基とアルケニル基のモル比を1以上とすることが好ましい。 【0012】(3)成分の光開始剤は、上記オルガノポリシロキサンと相溶し、アルケニル基とメルカプトアルキル基の反応を促進するものであれば特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、3−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾールなどが例示される。光開始剤の配合量は紫外線硬化に必要な量でよく、通常(1)、(2)成分の合計量に対し 0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲の量が用いられる。 【0013】上記(1)〜(3)成分からなる組成物には、その他の任意成分を添加することが可能であり、例えば、安定剤、耐熱向上剤、充填剤、着色染料、顔料、レベリング剤、溶剤などを添加することができる。本発明のシリコーン組成物を使用して剥離紙を製造する場合、上述の成分の所定量を混合した組成物を、紙、プラスチックフィルム等の基材に、ロールコーター、グラビアコーター、グラビアオフセット、スクリーン印刷機などを用いて、膜厚 0.1〜10μmになるように、基材の全面または剥離性の必要な箇所に部分的に塗布し、次いで、紫外線を照射して硬化させる。なお、紫外線の光源としてはキセノンランプ、中圧水銀灯、高圧水銀灯などが例示される。本発明のシリコーン組成物は(1)成分が式(III) で示されるシロキサン単位を有するため硬化性が良いので紫外線照射量は少量でよく、10〜 100mJ/cm2で硬化させることができる。 【0014】 【実施例】以下、実施例及び比較例を示して具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において部はいずれも重量部であり、粘度は25℃の値である。また、シリコーン組成物の紫外線硬化性、剥離力、残留接着率は下記の方法により測定した。 【0015】(紫外線硬化性)固体基材にシリコーン組成物を薄膜塗工したものに、80Wの高圧水銀ランプ・HI−20N(日本電池社製、商品名)を用い、8cmの距離から照射し、皮膜を指で10回こすった後に、スミヤー(くもり)、ラブオフ(脱落)の生じない最小のUV照射エネルギー(mJ/cm2)を求め、紫外線硬化性とした。 【0016】(剥離力)固体基材表面でシリコーン組成物に紫外線を照射して硬化皮膜を形成させた後、この硬化皮膜面にアクリルエマルジョン型粘着剤・オリバインBPW−3110H(東洋インキ製造社製、商品名)を塗布して 100℃で3分間加熱処理した。次に、この塗布面に坪量64g/m2の上質紙を貼り合わせ、25℃で20時間エージングした後、試料を5cm幅に切断し、引っ張り試験機により 180°の角度で剥離速度 0.3m/min で貼り合わせ紙を引っ張り、剥離するのに要する力(g/5cm) を測定した。 【0017】(残留接着率)剥離力測定と同様の硬化皮膜面にポリエステル粘着テープ31B(日東電工社製、商品名)を貼り合わせ、20g/cm2 の荷重をのせ70℃で20時間加熱エージングした後、テープをはがし、ステンレス板に貼り付けた。次に、このテープをステンレス板から 180°の角度で剥離速度0.3m/minではがし、剥離するのに要する力(g)を測定すると共に、未使用の標準テープをステンレス板から剥離するのに要する力(g)を測定し、これらの比をとって百分率で表した。 【0018】実施例1平均組成式【化3】
で示され、粘度が 800cPのオルガノポリシロキサン(A) 100部、粘度が50cPのメルカプトアルキル基含有シロキサン10部、光開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン3部を混合し、シリコーン組成物[1]を調製した。得られた組成物について紫外線硬化性、剥離力、残留接着率を測定し、その結果を表1に示した。 【0019】実施例2平均組成式【化4】
で示され、粘度が 800cPのオルガノポリシロキサン(B) 100部、粘度が50cPのメルカプトアルキル基含有シロキサン10部、光開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン3部を混合し、シリコーン組成物[2]を調製した。得られた組成物について紫外線硬化性、剥離力、残留接着率を測定し、その結果を表1に示した。 【0020】比較例1平均組成式【化5】
で示され、粘度が 1,000cPのオルガノポリシロキサン(C)をオルガノポリシロキサン(A)の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にしてシリコーン組成物[3]を調製した。得られた組成物について紫外線硬化性、剥離力、残留接着率を測定し、その結果を表1に示した。 【0021】比較例2平均組成式【化6】
で示され、粘度が 800cPのオルガノポリシロキサン(D)をオルガノポリシロキサン(A)の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にしてシリコーン組成物[4]を調製した。得られた組成物について紫外線硬化性、剥離力、残留接着率を測定し、その結果を表1に示した。 【0022】比較例3平均組成式【化7】
で示され、粘度が 4,000cPのオルガノポリシロキサン(E)をオルガノポリシロキサン(A)の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にしてシリコーン組成物[5]を調製した。得られた組成物について紫外線硬化性、剥離力、残留接着率を測定し、その結果を表1に示した。 【0023】比較例4平均組成式【化8】
で示され、粘度が 200cPのオルガノポリシロキサン(F)30部と、比較例3で用いたオルガノポリシロキサン(E)70部を、オルガノポリシロキサン(A)の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にしてシリコーン組成物[6]を調製した。なお、オルガノポリシロキサン(E)と(F)の混合物の粘度は 850cPであった。得られた組成物について紫外線硬化性、剥離力、残留接着率を測定し、その結果を表1に示した。 【0024】 【表1】
比較例1、2は硬化性が悪いため剥離特性を測定していない。 【0025】 【発明の効果】本発明の剥離性紫外線硬化型シリコーン組成物は、紫外線硬化性に優れ、剥離紙製造における生産性の向上、エネルギーコストの低減をはかることができると共に、剥離特性に優れた硬化皮膜を与える。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002060 【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月14日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】山本 亮一 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−60953 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−219351 |
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