| 【発明の名称】 |
熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物 |
| 【発明者】 |
【氏名】塩田 淳
【氏名】村田 清
【氏名】佐藤 穂積
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| 【要約】 |
【課題】硬化特性、各種溶媒への溶解性および溶液としての保存安定性に優れるとともに、ポリカルボジイミド本来の耐熱性、機械的特性、化学的安定性、電気絶縁性等を損うことなく、主要な構成成分間の相溶性に優れた硬化物をもたらしうるポリカルボジイミド系熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂組成物は、(A)カルボン酸無水物基を有するポリカルボジイミド、並びに(B)分子中に2つ以上のシアン酸エステル基を有する芳香族シアン酸エステル化合物を含有することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)カルボン酸無水物基を有するポリカルボジイミド、並びに(B)分子中に2つ以上のシアン酸エステル基を有する芳香族シアン酸エステル化合物を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。 【請求項2】 (A)カルボン酸無水物基を有するポリカルボジイミド、並びに(B)分子中に2つ以上のシアン酸エステル基を有する芳香族シアン酸エステル化合物を含有する熱硬化性樹脂組成物を加熱してなる硬化物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、特定の官能基を有するポリカルボジイミドを含有し、硬化特性、各種溶媒への溶解性、溶液としての保存安定性、透明性、耐熱性、機械的特性等に優れた新規な熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物に関する。 【0002】 【従来の技術】ポリカルボジイミドを含有する組成物は、耐熱性の高い硬化物を与えることが知られており、その例として特開平2−218751号公報に、芳香族ポリカルボジイミドと分子中に2つ以上のシアン酸エステル基を有する芳香族シアン酸エステル化合物より成る熱硬化性の積層材料用組成物が開示されている。しかしながらその一方で、ポリカルボジイミドは溶剤や他の樹脂との相溶性が悪く、ポリカルボジイミドを含有する熱硬化性組成物は、加工特性に劣るという欠点があった。この欠点を克服する方法として、特開平8−81545号公報に、グラフト反応性基とカルボン酸無水物基とを有する化合物の1種以上をポリカルボジイミドにグラフトさせた樹脂(変性ポリカルボジイミド)が、ポリカルボジイミドの溶剤への溶解性や反応性を改良しうることが開示されており、その具体例として、該変性ポリカルボジイミドとエポキシ樹脂より成る組成物が提案されている。しかしながら、前記変性ポリカルボジイミドとエポキシ樹脂より成る組成物は他の成分との相溶性、反応性に優れるものの、耐熱性の点では、ポリカルボジイミドとシアン酸エステル化合物より成る組成物に劣るという問題点があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、硬化特性、各種溶媒への溶解性および溶液としての保存安定性に優れるとともに、ポリカルボジイミド本来の耐熱性、機械的特性、化学的安定性、電気絶縁性等を損うことなく、主要な構成成分間の相溶性に優れた硬化物をもたらしうるポリカルボジイミド系熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、第一に、(A)カルボン酸無水物基を有するポリカルボジイミド、並びに(B)分子中に2つ以上のシアン酸エステル基を有する芳香族シアン酸エステル化合物を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物、からなる。 【0005】本発明は、第二に、(A)カルボン酸無水物基を有するポリカルボジイミド、並びに(B)分子中に2つ以上のシアン酸エステル基を有する芳香族シアン酸エステル化合物を含有する熱硬化性樹脂組成物を加熱してなる硬化物、からなる。 【0006】以下、本発明を詳細に説明する。 (A)変性ポリカルボジイミド本発明における(A)成分は、カルボン酸無水物基を有するポリカルボジイミド(以下、「変性ポリカルボジイミド」という。)からなる。このような変性ポリカルボジイミドは、例えば、ポリカルボジイミドに、反応性基とカルボン酸無水物基とを有する化合物(以下、「反応性化合物」という。)を反応させることにより製造することができる。 〈ポリカルボジイミド〉変性ポリカルボジイミドの製造に使用されるポリカルボジイミドの合成法は特に限定されるものではないが、例えば、有機ポリイソシアネートを、イソシアネート基のカルボジイミド化反応を促進する触媒(以下、「カルボジイミド化触媒」という。)の存在下で重合することにより、ポリカルボジイミドを合成することができ、具体的には、例えば、D.J.Lyman らによるDie Makromol. Chem.,67,1(1963)、E.Deyer らによるJ. Am. Chem. Soc.,80,5495(1958) に開示されている方法を採用することができる。また、得られるポリカルボジイミドの分子量を規制する方法としては、例えば、ポリカルボジイミド形成触媒の存在下で有機ポリイソシアネートを重合したのち、得られたイソシアナート末端ポリカルボジイミドをアルコールと反応させることによってウレタン末端ポリカルボジイミドを得る方法( T.W.Campbell によるJ. Org. Chem.,28,2069(1963) 参照)、有機モノイソシアナートを用いて重合を停止させる方法( L.M.Alberion らによるJ. Appl. Polym. Sci.,21,1999(1977)や特公昭52−16579号公報等参照)、特定の混合溶媒を用いて分子量を規制しつつゲル化させないで安定的にポリカルボジイミドを得る方法(特開平2−202906号公報参照)、ジフェニルメタンジイソシアナートおよびフェニルイソシアナートを、カルボジイミド化触媒の存在下、芳香族炭化水素溶媒中で加熱重合後、反応液を冷却することによりポリマーを析出させて、低分子成分と高分子量成分とを分別する方法(特開平4−261428号公報参照)等を採用することができる。 【0007】ポリカルボジイミドの合成に用いられる有機ポリイソシアネートとしては、有機ジイソシアネートが好ましい。このような有機ジイソシアネートとしては、例えば、フェニレン−1,3−ジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、1−メトキシフェニレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルフェニレン−2,4−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、シクロブチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,6−ジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,3−ビス(メチルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ドデカメチレン−1,12−ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル等や、これらの有機ジイソシアネートの化学量論的過剰量と2官能性活性水素含有化合物との反応により得られる両末端イソシアネートプレポリマー等を挙げることができる。前記有機ジイソシアネートは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。 【0008】また、場合により前記有機ジイソシアネートと共に使用される他の有機ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニル−1,3,5−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,5,4’−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−2,4’,4”−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,2’,4’−テトライソシアネート、ジフェニルメタン−2,5,2’,5’−テトライソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−トリイソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、3,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、ジシクロヘキシルメタン−2,4,2’−トリイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート等の3官能以上の有機ポリイソシアネートや、これらの3官能以上の有機ポリイソシアネートの化学量論的過剰量と2官能以上の多官能性活性水素含有化合物との反応により得られる末端イソシアネートプレポリマー等を挙げることができる。前記他の有機ポリイソシアネートは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、その使用量は、有機ジイソシアネート100重量部当たり、通常、0〜40重量部、好ましくは0〜20重量部である。 【0009】さらに、ポリカルボジイミドの合成に際しては、必要に応じて有機モノイソシアネートを添加することにより、有機ポリイソシアネートが前記他の有機ポリイソシアネートを含有する場合、得られるポリカルボジイミドの分子量を適切に規制することができ、また有機ジイソシアネートを有機モノイソシアネートと併用することにより、比較的低分子量のポリカルボジイミドを得ることができる。このような有機モノイソシアネートとしては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、ステアリルイソシアネート等のアルキルモノイソシアネート類;シクロヘキシルイソシアネート、4−メチルシクロヘキシルイソシアネート、2,5−ジメチルシクロヘキシルイソシアネート等のシクロアルキルモノイソシアネート類;フェニルイソシアネート、o−トリルイソシアネート、m−トリルイソシアネート、p−トリルイソシアネート、2−メトキシフェニルイソシアネート、4−メトキシフェニルイソシアネート、2−クロロフェニルイソシアネート、4−クロロフェニルイソシアネート、2−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート、4−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート、ナフタレン−1−イソシアネート等のアリールモノイソシアネート類を挙げることができる。前記有機モノイソシアネートは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、その使用量は、ポリカルボジイミドの所望の分子量、前記他の有機ポリイソシアネートの有無等により変わるが、全有機ポリイソシアネート成分100重量部当り、通常、0〜40重量部、好ましくは0〜20重量部である。 【0010】また、カルボジイミド化触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−スルフィド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−スルフィド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−スルフィド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−スルフィド、1−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−メチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−メチル−2−ホスホレン−1−スルフィド、1−メチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−スルフィドや、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホレン化合物;ペンタカルボニル鉄、ノナカルボニル二鉄、テトラカルボニルニッケル、ヘキサカルボニルタングステン、ヘキサカルボニルクロム等の金属カルボニル錯体;ベリリウム、アルミニウム、ジルコニウム、クロム、鉄等の金属のアセチルアセトン錯体;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート、トリ−t−ブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等の燐酸エステルを挙げることができる。前記カルボジイミド化触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、その使用量は、全有機イソシアネート成分100重量部当たり、通常、0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜10重量部である。 【0011】ポリカルボジイミドの合成反応は、無溶媒下でも適当な溶媒中でも実施することができる。前記溶媒としては、合成反応中の加熱によりポリカルボジイミドを溶解しうるものであればよく、例えば、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、トリクロロメチルベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジオキサン、アニソール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;シクロヘキサノン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、1−デカロン、2−デカロン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン等のケトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N−ベンジル−2−ピロリドン、N−メチル−3−ピロリドン、N−アセチル−3−ピロリドン、N−ベンジル−3−ピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−n−プロポキシエチルアセテート、2−n−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のアセテート系溶媒を挙げることができる。前記溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、その使用量は、全有機イソシアネート成分の濃度が、通常、0.5〜60重量%、好ましくは5〜50重量%となる割合である。全有機イソシアネート成分の濃度が高過ぎると、生成されるポリカルボジイミドが合成反応中にゲル化するおそれがあり、また全有機イソシアネート成分の濃度が低すぎても、反応速度が遅くなり、生産性が低下する。 【0012】ポリカルボジイミドの合成反応の温度は、有機イソシアネート成分やカルボジイミド化触媒の種類に応じて適宜選定されるが、通常、20〜200℃である。ポリカルボジイミドの合成反応に際して、有機イソシアネート成分は、反応前に全量を添加しても、あるいはその一部または全部を反応中に、連続的あるいは段階的に添加してもよい。また本発明においては、イソシアネート基と反応しうる化合物を、ポリカルボジイミドの合成反応の初期から後期に至る適宜の反応段階で添加して、ポリカルボジイミドの末端イソシアネート基を封止し、得られるポリカルボジイミドの分子量を調節することもでき、またポリカルボジイミドの合成反応の後期に添加して、得られるポリカルボジイミドの分子量を所定値に規制することもできる。このようなイソシアネート基と反応しうる化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ベンジルアミン等のアミン類等を挙げることができる。以上のようにして合成されたポリカルボジイミドは、必要に応じて溶液から分離される。この場合、ポリカルボジイミドの分離法としては、例えば、ポリカルボジイミド溶液を、該ポリカルボジイミドに対して不活性な非溶媒中に添加し、生じた沈澱物あるいは油状物をろ過またはデカンテーションにより分離・採取する方法;噴霧乾燥により分離・採取する方法;得られたポリカルボジイミドの合成に用いた溶媒に対する温度による溶解度変化を利用して分離・採取する方法、即ち、合成直後は該溶媒に溶解しているポリカルボジイミドが系の温度を下げることにより析出する場合、その混濁液からろ過等により分離・採取する方法等を挙げることができ、さらに、これらの分離・採取方法を適宜組合せて行うこともできる。本発明におけるポリカルボジイミドのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)は、通常、400〜500,000、好ましくは1,000〜200,000、特に好ましくは2,000〜100,000である。 【0013】〈反応性化合物〉次に、変性ポリカルボジイミドの合成に使用される反応性化合物は、芳香族化合物、脂肪族化合物あるいは脂環族化合物であることができ、環式化合物では炭素環式化合物でも複素環式化合物でもよい。反応性化合物における反応性基とは、ポリカルボジイミドと反応して、カルボン酸無水物基を有する反応性化合物残基が結合した変性ポリカルボジイミドをもたらす基を意味する。このような反応性基としては、活性水素を有する官能基であればよく、例えば、カルボキシル基または第一級もしくは第二級のアミノ基を挙げることができる。反応性化合物において、反応性基は同一のあるいは異なる基が1個以上存在することができ、またカルボン酸無水物基は1個以上存在することができる。 【0014】このような反応性化合物としては、例えば、トリメリット酸無水物、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸無水物、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸無水物、ナフタレン−1,4,5−トリカルボン酸無水物、ナフタレン−2,3,6−トリカルボン酸無水物、ナフタレン−1,2,8−トリカルボン酸無水物、4−(4−カルボキシベンゾイル)フタル酸無水物、4−(4−カルボキシフェニル)フタル酸無水物、4−(4−カルボキシフェノキシ)フタル酸無水物等の芳香族トリカルボン酸無水物類:ピロメリット酸一無水物モノメチルエステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸一無水物モノメチルエステル、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸一無水物モノメチルエステル等の芳香族テトラカルボン酸一無水物モノアルキルエステル類;3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物等の脂肪族トリカルボン酸無水物類;3−アミノ−4−シアノ−5−メチルフタル酸無水物、3−アミノ−4−シアノ−5,6−ジフェニルフタル酸無水物、3−メチルアミノ−4−シアノ−5−メチルフタル酸無水物、3−メチルアミノ−4−シアノ−5,6−ジフェニルフタル酸無水物等のアミノ芳香族ジカルボン酸無水物類;アミノコハク酸無水物、4−アミノ−1,2−ブタンジカルボン酸無水物、4−アミノヘキサヒドロフタル酸無水物、N−メチルアミノコハク酸無水物、4−メチルアミノ−1,2−ブタンジカルボン酸無水物、4−メチルアミノヘキサヒドロフタル酸無水物等のアミノ脂肪族ジカルボン酸無水物類等を挙げることができる。これらの反応性化合物のうち、特にトリメリット酸無水物が好ましい。前記反応性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。 【0015】〈変性ポリカルボジイミドの合成〉次に、変性ポリカルボジイミドの合成法について説明する。変性ポリカルボジイミドは、ポリカルボジイミドに、反応性化合物の少なくとも1種を、適当な触媒の存在下あるいは不存在下で、適宜温度で反応(以下、「変性反応」という。)させることによって合成することができる。この場合、ポリカルボジイミドは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。変性反応における反応性化合物の使用量は、ポリカルボジイミドや該化合物の種類、得られる熱硬化性樹脂組成物の用途等に応じて適宜調節されるが、カルボジイミド単位1モルに対し、反応性化合物中の反応性基が0.01〜1モル、好ましくは0.02〜0.8モルとなる割合で使用する。この場合、反応性基の割合が0.01モル未満では、得られる熱硬化性樹脂組成物を硬化させるのに長時間の加熱が必要となったり、該樹脂組成物の溶液としての保存安定性の改善効果が不十分となるおそれがあり、また1モルを超えると、ポリカルボジイミド本来の特性が損なわれるおそれがある。前記変性反応においては、反応性化合物中の反応性基とポリカルボジイミドとの反応は定量的に進行し、該反応性化合物の使用量に見合う反応率が達成される。変性反応は、無溶媒下でも実施することができるが、適当な溶媒中で実施することが好ましい。このような溶媒は、ポリカルボジイミドおよび反応性化合物に対して不活性であり、かつこれらを溶解しうる限り、特に限定されるものではなく、その例としては、ポリカルボジイミドの合成に使用される前記エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また変性反応に、ポリカルボジイミドの合成時に使用された溶媒が使用できるときは、その合成により得られるポリカルボジイミド溶液をそのまま使用することもできる。変性反応における溶媒の使用量は、反応原料の合計100重量部当たり、通常、10〜10,000重量部、好ましくは50〜5,000重量部である。変性反応の温度は、ポリカルボジイミドおよび反応性化合物の種類に応じて適宜選定されるが、通常、100℃以下、好ましくは−10〜+80℃である。 【0016】以上のようにして得られる変性ポリカルボジイミドのMnは、通常、500〜1,000,000、好ましくは1,000〜400,000、さらに好ましくは2,000〜200,000である。変性ポリカルボジイミドは、通常、溶液として本発明の熱硬化性樹脂組成物の調製に使用されるが、溶液から分離して使用してもよい。その合成時に溶液として得られた変性ポリカルボジイミドを溶媒から分離する方法としては、前述したポリカルボジイミドの分離法と同様の方法を挙げることができる。 【0017】本発明における変性ポリカルボジイミドは、反応性化合物中の反応性基がポリカルボジイミドと反応して、該化合物のカルボン酸無水物基を有する残基が結合した構造を有するものであり、変性反応前のポリカルボジイミドとは本質的に異なる構造を有するものである。そのため、変性ポリカルボジイミドは、変性反応前のポリカルボジイミドとはその性状が異なっており、後述する芳香族シアン酸エステル化合物と混合して加熱することにより、変性ポリカルボジイミド中のカルボン酸無水物基の作用によって硬化触媒を用いなくても、通常、100〜350℃、好ましくは150〜300℃の温度で容易に硬化する特性を有する。しかも、変性ポリカルボジイミドは、各種溶媒に対して容易に溶解するとともに、芳香族シアン酸エステル化合物の共存下でも、溶液としての保存安定性が極めて優れたものとなる。このような変性ポリカルボジイミドおよび芳香族シアン酸エステル化合物を含有する樹脂組成物の硬化特性、並びに変性ポリカルボジイミドあるいはそれと芳香族シアン酸エステル化合物との混合物の溶液としての保存安定性は、従来のポリカルボジイミド系熱硬化性樹脂組成物における重大な欠点を解消するものであって、工業上多大の寄与をなすものである。 【0018】(B)芳香族シアン酸エステル化合物本発明における(B)成分は、分子中に2つ以上のシアン酸エステル基(即ち、−OCN)を有する芳香族シアン酸エステル化合物からなる。この芳香族シアン酸エステル化合物は、一般的に、下記式で表すことができる。 【0019】Ar(−OCN)n【0020】(式中、Arはn価の芳香族基を示し、シアン酸エステル基は芳香環に直接結合しており、nは2以上の整数で、通常10以下である。) このような芳香族シアン酸エステル化合物は、例えば、対応する多価のフェノール系化合物をハロゲン化シアンと反応させる公知の方法、例えば特公昭41−1928号公報に示された方法によって合成することができる。芳香族シアン酸エステル化合物の具体例としては、1,3−ジシアナートベンゼン、1,4−ジシアナートベンゼン、1,3,5−トリシアナートベンゼン等のポリシアナートベンゼン類;1,3−ジシアナートナフタレン、1,4−ジシアナートナフタレン、1,6−ジシアナートナフタレン、1,8−ジシアナートナフタレン、2,6−ジシアナートナフタレン、2,7−ジシアナートナフタレン、1,3,6−トリシアナートナフタレン等のポリシアナートナフタレン類;2,2’−ジシアナートビフェニル、4,4’−ジシアナートビフェニル等のポリシアナートビフェニル類;2,2’−ジシアナートベンゾフェノン、4,4’−ジシアナートベンゾフェノン等のポリシアナートベンゾフェノン類;ビス(4−シアナートフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シアナートフェニル)エタン、1,2−ビス(4−シアナートフェニル)エタン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−シアナートフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−シアナートフェニル)シクロヘキサン等のビス(4−シアナートフェニル)アルカン類や、ビス(4−シアナートフェニル)エーテル、ビス(4−シアナートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナートフェニル)スルホン、トリス(4−シアナートフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナートフェニル)ホスフェート、、フェノール樹脂とハロゲン化シアンとの反応より得られるベンゼン多核体のポリイソシアネート化合物(例えば、特公昭45−11712号公報、特公昭55−9433号公報等参照)等を挙げることができる。また、これらの芳香族シアン酸エステル化合物は、それらの芳香族環の適宜の位置に、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、アシルオキシ基、、アルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基等の置換基を1種以上有することができる。さらに、前記芳香族シアン酸エステル化合物を香油、ルイス酸、塩(例えば、炭酸ナトリウム、塩化リチウム等)、りん酸エステル等の触媒の存在下に重合して得られるプレポリマーを使用することもできる。このプレポリマーは、シアン酸エステル基の3量化によって形成されたs−トリアジン環を有しており、その平均分子量は、通常、400〜6,000程度である。これらの芳香族シアン酸エステル化合物のうち、入手が容易であり、かつ成形性および最終硬化物に良好な性質を与えるという観点から、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパンのようなビスフェノール類から誘導された2価のシアン酸エステル化合物が特に好ましい。また、フェノールおよび/またはクレゾールとホルムアルデヒドとの初期縮合物にハロゲン化シアンを反応させて得られるポリシアナート化合物も有用である。前記芳香族シアン酸エステル化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。芳香族シアン酸エステル化合物の使用量は、変性ポリカルボジイミド100重量部当り、通常、5〜500重量部、好ましくは10〜300重量部である。この場合、シアン酸エステル化合物の使用量が5重量部未満では、硬化速度の改善効果が低下する傾向があり、また500重量部を超えると、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。 【0021】熱硬化性樹脂組成物の調製本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記変性ポリカルボジイミドおよび芳香族シアン酸エステル化合物を必須成分とするものであるが、必要に応じて、各種の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、滑剤、防曇剤、接着性改善剤、防カビ剤等を挙げることができる。さらに、クレー、ゼオライト、タルク、マイカ、シリカ、グラファイト、アルミナ、炭酸カルシウム、ワラストナイト等の充填剤や、ガラス、カーボン、アルミナ、チタン酸カリウム、ほう酸アルミニウム、炭化けい素、窒化けい素、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、全芳香族ポリエステル、超高分子量ポリエチレン、高強度ポリアクリロニトリル、高強力ポリビニルアルコール等の繊維あるいはウイスカー等の補強材を配合することもできる。また前記補強材を織布、不織布、編み物等の布帛の形で用い、これらの布帛に本発明の熱硬化性樹脂組成物を含浸させて使用することもできる。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、それ自体優れた硬化特性を有するものであるが、所望により、変性ポリカルボジイミド中のカルボジイミド基および/または酸無水物基との反応性を有するか、あるいはシアン酸エステル基の3量化反応を促進する、硬化触媒、硬化促進剤、硬化助剤等をさらに配合してもよい。 【0022】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、変性ポリカルボジイミドおよび芳香族シアン酸エステル化合物を、場合により使用される各種添加剤と共に、適当な溶媒中で混合する方法や、溶媒から分離して固体として採取した変性ポリカルボジイミドと芳香族シアン酸エステル化合物を、場合により使用される各種添加剤と共に、必要に応じて加熱しつつ、無溶媒下で混練する方法等により調製することができる。熱硬化性樹脂組成物の調製に際して使用される前記溶媒は、変性ポリカルボジイミドおよびシアン酸エステル化合物に対して不活性であり、かつこれらを溶解しうる限り、特に制約されるものではなく、その例としては、ポリカルボジイミドの合成に使用される前記エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。熱硬化性樹脂組成物を調製する際の溶媒の使用量は、変性ポリカルボジイミドと芳香族シアン酸エステル化合物との合計100重量部当り、10〜10,000重量部が好ましく、さらに好ましくは20〜5,000重量部である。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、溶液として使用してもよいし、また無溶媒下で混合したものをそのまま使用してもよい。 【0023】熱硬化性樹脂組成物の特性および用途本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化特性、各種溶媒への溶解性および溶液としての保存安定性に優れるのみならず、該組成物を加熱して得られる硬化物は、透明性、耐熱性、機械的特性、化学的安定性、電気絶縁性等に優れている。したがって、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、特に、各種の電気機器や電子部品等の保護膜、電気絶縁膜等として極めて好適に使用することができるほか、耐熱性が要求される接着剤や塗料としても有用である。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物を適当な基体に塗布して、熱硬化性膜を成形し、該膜を硬化前に基体から強制的に剥離することによって、熱硬化性膜を取得することができる。該熱硬化性膜は、電気機器や電子部品等の耐熱性接着フィルム等として有用である。あるいは前記基体から強制的に剥離された熱硬化性膜を加熱して硬化させるか、または適当な基体上で熱硬化性膜を加熱して硬化させたのち、該硬化膜を基体から強制的に剥離することによって、硬化膜を取得することができる。さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、その溶液をガラスクロス等の適当な布帛に含浸させたのち乾燥したプリプレグ、あるいは無溶媒の該樹脂組成物をガラスクロス等の適当な布帛に含浸させたプリプレグとして、銅張り積層板等の積層材等に有用であり、また粉末、ペレット等の形態で、熱硬化性成形材料としても有用である。本発明の熱硬化性樹脂組成物から熱硬化性膜あるいは硬化膜を成形する際に使用される基体は、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、ニッケル、ステンレス、チタン、アルミニウム、銅、各種合金等の金属;窒化けい素、炭化けい素、サイアロン、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化ほう素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、アルミナ、シリカや、これらの混合物等のセラミック;Si、Ge、SiC 、SiGe、GaAs等の半導体; ガラス、陶磁器等の窯業材料;芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、全芳香族ポリエステル等の耐熱性樹脂等を挙げることができる。また、これらの基体には、所望により、予め離型処理を施しておくことができ、あるいはシランカップリング剤、チタンカップリング剤等による薬品処理や、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着の如き適宜の前処理を施すこともできる。本発明の熱硬化性樹脂組成物を前記基体に塗布する際には、該樹脂組成物を、必要に応じて溶液に調製して、回転塗布法、ロール塗布法、流延塗布法、浸漬塗布法、噴霧塗布法等の適宜の塗布手段を採用することができる。また、塗布厚さは、塗布手段の選択、組成物溶液の固形分濃度や粘度を調節することにより、適宜制御することができる。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物から形成される熱硬化性膜あるいは硬化膜の厚さは、適宜選定することができるが、通常、0.1〜10,000μm、好ましくは1〜1,000μmである。さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、無溶媒下で混合したもの、あるいは溶媒から分離・採取したものを、射出成形法、トランスファー成形法、押出し成形法、圧縮成形法等の成形法により成形して、各種の工業製品や工業部品等として使用することもできる。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に何ら制約されるものではない。実施例および比較例における部は、重量基準である。実施例および比較例における曲げ強度および曲げ弾性率は、ASTM D−790に準拠し、また熱変形温度は、ASTM D−648に準拠して評価した。 合成例1ポリカルボジイミドの合成ジフェニルメタンー4、4’ージイソシアネート(MDI)50gとフェニルイソシアネート2.6gを、トルエン200g中で、1ーフェニルー3ーメチルー2ーホスホレンー1ーオキシド0.044gの存在下、110℃、還流下で5時間反応して、ポリカルボジイミドの溶液を得た。次いで、この溶液を室温まで冷却して、ポリカルボジイミドを析出させたのち、ろ過して分離・採取し、Mnが9,800のポリカルボジイミド(P-MDI)の粉末を得た。 変性ポリカルボジイミドの合成P-MDI の粉末30gを、加熱下でトルエン120gに溶解し、反応性化合物としてアセトン12gに溶解したトリメリット酸無水物(TMAH) 2.8gを、反応系の温度を80℃に保持して、30分かけて滴下した。その後、さらに30分反応させたのち、室温まで冷却して、反応生成物を析出させ、ろ過して分離・採取し、変性ポリカルボジイミド(Mn=4,500)の粉末を得た。この変性ポリカルボジイミドを赤外線分光測定法により分析したところ、カルボジイミド単位に特有の赤外線吸収(波数2,150〜2,100cm-1)およびカルボン酸無水物に特有の赤外線吸収(波数1,850〜1,780cm-1)を有することが確認された。この変性ポリカルボジイミドを、P-MDI/TMAHとする。 【0025】合成例2ポリカルボジイミドの合成トリレンジイソシアネート(TDI) 50gとフェニルイソシアネート3.8gを、シクロヘキサノン200g中で、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド0.031gの存在下、80℃で4時間反応して、Mnが3,800のポリカルボジイミド(P-TDI)の溶液を得た。 変性ポリカルボジイミドの合成P-TDI の溶液に、反応性化合物としてトリメリット酸無水物5.5gを添加し、20℃で3時間反応して、変性ポリカルボジイミド(Mn=4,300)の溶液を得た。この変性ポリカルボジイミドを赤外線分光測定法により分析したところ、カルボジイミド単位に特有の赤外線吸収(波数2,150〜2,100cm-1)およびカルボン酸無水物に特有の赤外線吸収(波数1,850〜1,780cm-1)を有することが確認された。この変性ポリカルボジイミドを、P-TDI/TMAHとする。 【0026】 【実施例】 実施例1P-MDI/TMAH100部と2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン50部とを十分に混合し、130℃で溶解したのち、230℃の金型中、20kgf/cm2の圧力で1時間熱プレス成形を行って、1.5mm厚のシートを得た。このシートは、曲げ強度 :155MPa曲げ弾性率:2.1GPa熱変形温度:232℃であった。また、このシートは透明であり、変性ポリカルボジイミドと芳香族シアン酸エステル化合物とが良く相溶していることが認められた。【0027】比較例1P-MDI/TMAHの代わりにP-MDI を用いた以外は、実施例1と同様に処理して、1.5mm厚のシートを得た。このシートは、曲げ強度 :105MPa曲げ弾性率:2.6GPa熱変形温度:243℃であった。また、このシートは不透明で所々に粒状塊が見られ、ポリカルボジイミドと芳香族シアン酸エステル化合物との相溶性が不十分であることが認められた。 【0028】実施例2P-TDI/TMAH100部とビス(4−シアナトフェニル)メタン100部とを十分に混合し、150℃で溶解したのち、230℃金型中、20kgf/cm2 の圧力で1時間熱プレス成形を行って、1.5mm厚のシートを得た。このシートは、曲げ強度 :140MPa曲げ弾性率:2.6GPa熱変形温度:224℃であった。また、このシートは透明であり、変性ポリカルボジイミドと芳香族シアン酸エステル化合物とが良く相溶していることが認められた。 【0029】比較例2P-TDI/TMAHの代わりにP-TDI を用いた以外は、実施例2と同様に処理して、1.5mm厚のシートを得た。このシートは、曲げ強度 :96MPa曲げ弾性率:2.8GPa熱変形温度:240℃であった。また、このシートは不透明で所々に粒状塊が見られ、ポリカルボジイミドと芳香族シアン酸エステル化合物との相溶性が不十分であることが認められた。 【0030】 【発明の効果】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化特性、各種溶媒への溶解性および溶液としての保存安定性に優れており、また当該組成物の硬化物は、変性ポリカルボジイミドと芳香族シアン酸エステル化合物とが良く相溶しており、しかもポリカルボジイミド本来の優れた耐熱性、機械的特性、化学的安定性、電気絶縁性等を保持している。したがって、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、電気機器や電子部品等の保護膜、電気絶縁膜等に極めて好適に使用することができるほか、接着剤、塗料、熱硬化性膜、硬化膜、プリプレグ、硬化成形品等にも有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004178 【氏名又は名称】ジェイエスアール株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月8日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】福沢 俊明
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| 【公開番号】 |
特開平11−60946 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−225588 |
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