トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 架橋性ポリウレタン樹脂組成物ならびに其れを使用した人工皮革および合成皮革
【発明者】 【氏名】松本 泰宏

【氏名】竹内 秀行

【要約】 【課題】とりわけ、耐溶剤性ならびに耐薬品性などにも優れるものであって、しかも、とりわけ、配合液の安定性、就中、保存安定性にも優れるし、加えて、縦しんば、工程中で以てゲル化したものであっても、其の皮膜の洗浄除去性などにも優れるという、極めて実用性の高い架橋性ポリウレタン樹脂組成物を、併せて、該ポリウレタン樹脂組成物を使用した人工皮革および合成皮革を提供するにある。

【解決手段】加水分解性シリル基含有のポリウレタン樹脂と、該基不含のポリウレタン樹脂とから構成される、さらに必要に応じて、潜在性触媒とから構成される形のポリウレタン樹脂組成物を用いるということによって、はじめて、叙上のような諸性能などを発現することを見出すに及んで、目的を見事に達成することが出来た。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 分子の側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)と、加水分解性シリル基を有しないポリウレタン樹脂(B)と、有機溶剤(C)とを必須の成分として含有することを特徴とする、ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項2】 分子の側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)と、加水分解性シリル基を有しないポリウレタン樹脂(B)と、有機溶剤(C)と、加水分解性シリル基の加水分解用ないしは縮合用の触媒(D)とを必須の成分として含有することを特徴とする、ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項3】 前記した触媒(D)が酸無水基を有する化合物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】 前記した触媒(D)が、酸類と、アミン類またはアンモニアとの塩類である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】 分子の側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)と、加水分解性シリル基を有しないポリウレタン樹脂(B)と、有機溶剤(C)とを必須の成分として含有するポリウレタン樹脂組成物を充填ないしは積層せしめたことを特徴とする、人工皮革および合成皮革。
【請求項6】 分子の側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)と、加水分解性シリル基を有しないポリウレタン樹脂(B)と、有機溶剤(C)と、加水分解性シリル基の加水分解用ないしは縮合用の触媒(D)とを必須の成分として含有するポリウレタン樹脂組成物を充填ないしは積層せしめたことを特徴とする、人工皮革および合成皮革。
【請求項7】 前記した触媒(D)が酸無水基を有する化合物である、請求項6に記載の皮革。
【請求項8】 前記した触媒(D)が、酸類と、アミン類またはアンモニアとの塩類である、請求項6に記載の皮革。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用なる架橋性ポリウレタン樹脂組成物ならびに其れを使用して製造した人工皮革および合成皮革に関する。さらに詳細には、本発明は、それぞれ、加水分解性シリル基を有する特定のポリウレタン樹脂と、加水分解性シリル基を有しないポリウレタン樹脂と、有機溶剤とから成るか、あるいは該加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂と、該加水分解性シリル基不含のポリウレタン樹脂と、有機溶剤と、此の加水分解性シリル基の加水分解・縮合用の触媒とから成る、ポリウレタン樹脂組成物ならびに該組成物を使用して製造した形の人工皮革および合成皮革に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタン樹脂溶液というものは、以前から、広く、人工皮革および合成皮革の用途に利用し適用されている。
【0003】こうした人工皮革ないしは合成皮革とは、広義には、ポリウレタン樹脂組成物と、不織布、織布または編布などとを組み合わせた形のシート状物を指称するものであるが、一般的には、次のように分類されているというものである。
【0004】すなわち、まず、人工皮革とは、いわゆるポリウレタン樹脂組成物を、不織布に充填ないしは積層せしめた形のシート状物を指称するものであって、その製法としては、一般には、該ポリウレタン樹脂組成物のジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)溶液を、不織布に含浸せしめるか、あるいは該不織布にコーティングせしめ、次いで、それを、水凝固浴中あるいはDMF−水の混合溶液からなる凝固浴中で、ポリウレタン樹脂を、多孔質状に凝固せしめたのち、洗浄工程と、乾燥工程とを経るという、いわゆる湿式加工が採用されている。
【0005】さらに、必要に応じて、かくして得られるシート状物の表面を、ラミネートまたはコーティングせしめるというによって、スムース調のものと為したり、あるいは此のシート状物の表面を、バフィングせしめるということによって、ヌバック調とか、スエード調のものと為すなどの方法も亦、採用されている。
【0006】次いで、合成皮革の方はというと、一般に、湿式合成皮革と、乾式合成皮革とに大別されていて、織布や編布などに、ポリウレタン樹脂組成物を積層せしめた形のシート状物を指称するものであるが、そのうちの湿式合成皮革の調製法としては、一般には、該ポリウレタン樹脂組成物のDMF溶液を、織布や編布などに含浸あるいはコーティングせしめ、次いで、それを、水凝固浴中あるいはDMF−水の混合溶液からなる凝固浴中で、ポリウレタン樹脂を、多孔質状に凝固せしめたのち、洗浄工程と、乾燥工程とを経ることにより行なう湿式加工が採用されている。
【0007】さらに、必要に応じて、かくして得られるシート状物の表面を、ラミネートまたはコーティングせしめるというによって、スムース調のものと為したり、あるいは此のシート状物の表面を、バフィングせしめるということによって、ヌバック調とか、スエード調のものと為すなどの方法も亦、採用されている。
【0008】合成皮革における、もう一方の乾式合成皮革の調製法としては、一般には、ポリウレタン樹脂組成物を、離型紙上に流延せしめ、次いで、加熱して溶剤を揮撒させることによってフィルム化せしめ、必要に応じて、接着剤を用いて、織布や編布などにラミネートせしめるといった、いわゆるラミネート法であるとか、あるいは織布や編布などに、直接、ポリウレタン樹脂組成物をコーティングして、加熱乾燥せしめるといった、いわゆるダイレクト・コート法などが採用されている。
【0009】それらのうちの人工皮革については、最近、鹿皮調の、非常に、しなやかなる手触りが求められているということである。
【0010】一方、合成皮革については、汗や皮脂などに対する耐久性であるとか、整髪料やトイレタリー製品などに対する耐久性の要求が強くなっているということである。
【0011】前者の方の、いわゆる、しなやかなる人工皮革については、基布である不織布の繊維を極細化せしめるという方法、つまり、ファインデニール化せしめるというような方法が採られている。
【0012】不織布の繊維を極細化せしめるという方法としては、海島繊維(海島構造を有する繊維)からなる不織布に、ポリウレタン樹脂を含浸あるいはコーティングせしめ、湿式凝固を行なったのちに、溶剤やアルカリ水溶液などで以て、海島繊維の海成分または島成分を溶解し溶出せしめるとか、あるいは分解溶出せしめるというような工程が採用されている。
【0013】斯かる方法によって、人工皮革に、しなやかさを付与せしめることが出来る。通常、不織布繊維の海成分には、溶剤などで溶出され易い材料としての、たとえば、ポリスチレンまたはポリエチレンなどを使用するという一方で、島成分には、溶剤などで溶出され難い材料としての、たとえば、ポリエステルまたはナイロンなどを使用することにより、加熱したトルエンなどの溶剤で以て、海成分を溶出せしめて、島成分を残すという方法が一般的である。
【0014】また、場合によっては、海成分または島成分に、ポリエステルを使用することによって、熱アルカリ水溶液で以て、此のポリエステルを分解溶出せしめるという方法もある。
【0015】溶剤で溶出させる加工法を採る場合には、一般的に、90〜100℃に加熱したトルエン中に、約1時間のあいだ浸漬せしめるということによって、不織布繊維の海成分を溶出せしめる処理を行なわなければならない。
【0016】したがって、こうした方法に用いるポリウレタン樹脂に対しては、加熱トルエンなどの溶剤類によって溶出されずに、しかも、膨潤もしないというような、高度の耐溶剤性が要求されている。
【0017】通常、イソシアネート化合物として、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記する。)などのような、いわゆる芳香族ジイソシアネート化合物を使用して調製される汎用タイプのポリウレタン樹脂を、前述したような海島繊維からなる不織布を使用した極細繊維不織布製人工皮革(以下、極細繊維人工皮革ともいう。)の調製に用いる場合には、ポリウレタン樹脂のハード・セグメントを増やして硬くするというような方法、すなわち、芳香族ジイソシアネート含有率を増やすという方法で以て、此の耐溶剤性を改良している。
【0018】しかるに、このような方法に従う限りは、ポリウレタン樹脂が硬くなることによって、耐溶剤性こそ良好とはなるものの、極細繊維人工皮革の狙いでもある、しなやかさが損なわれる処となっているということである。
【0019】このように、芳香族ジイソシアネートをベースとするポリウレタン樹脂を使用した、柔らかく、しなやかで、しかも、耐溶剤性に優れるという、極めて実用性の高い極細繊維人工皮革は、未だに、開発されていないというのが実状である。
【0020】加えて、脂肪族−ないしは脂環式ジイソシアネート化合物を用いて調製される形の、いわゆる無黄変タイプのポリウレタン樹脂においては、原料の種類や、その使用比率であるとか、あるいは分子量を変えるなどの手段によって、此の耐溶剤性の改良の試みが為されて来てはいるけれども、結局の処は、大幅なる耐溶剤性の改善化は、全くと言ってよいほど達成されてはいなく、所詮、脂肪族−ないしは脂環式ジイソシアネート化合物をベースとする無黄変タイプのポリウレタン樹脂で以て、極細繊維人工皮革を調製するということは、およそ、不可能であるとされて来た。
【0021】また、一方の合成皮革は、すでに、自動車用シートや、たとえば、ソファの如き家具用などとして利用し適用されていて、とりわけ、汗、皮脂、整髪料またはトイレタリー製品などに対する耐久性が向上化されたような、実用性の高い合成皮革の開発が、やはり、切に望まれている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とする処は、主として、MDIなどのような芳香族系ジイソシアネート化合物をベースとする汎用タイプのポリウレタン樹脂を使用した人工皮革および合成皮革にあって、芳香族ジイソシアネート化合物の使用比率の低い軟質タイプを使用した形の人工皮革および合成皮革にあっても、あるいは脂肪族または脂環式ジイソソアネート化合物を使用した無黄変タイプのポリウレタン樹脂を使用した形の人工皮革および合成皮革にあっても、耐溶剤性が良好で、しかも、極細繊維人工皮革として使用可能であるし、さらには、耐薬品性などに優れた人工皮革および合成皮革を提供することにある。
【0023】そこで、本発明者らは、上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、分子の側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の有機溶剤溶液を湿式成膜または乾式成膜することによって、加水分解性シリル基の加水分解反応と、縮合反応による架橋とによって、網目構造を有するポリウレタン樹脂皮膜が得られ、とりわけ、耐溶剤性ならびに耐薬品性などが著しく改善されるということを見出し、特開平8−253545 特願平8−215605および特願平8−235057として、すでに、特許の出願を行なっている。
【0024】しかしながら、上掲した出願特許のように、分子の側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の有機溶剤溶液であって、場合によっては、硬化触媒を含有する配合液を使用して、人工皮革または合成皮革を製造する場合には、こうした配合液の安定性が不充分なるために、配合液が製造工程中で、あるいは配管ライン中で増粘したり、ゲル化して固まったりすることがある。
【0025】また、ゲル化した皮膜をDMFなどの溶剤で洗浄除去しようとしても、全く、DMFに溶けないという処から、洗浄除去出来なかったり、縦しんば、洗浄除去が出来たとしても、長時間を要するといったような、現場操業上の問題点があった。
【0026】
【課題を解決する為の手段】そこで、本発明者らは、上述したような、発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、ベース樹脂成分として、分子の側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)と、此の加水分解性シリル基を有しないポリウレタン樹脂(B)とのブレンド物を使用した場合には、とりわけ、耐溶剤性ならびに耐薬品性に優れると共に、配合液の安定性が優れるし、さらに、ゲル化した皮膜の洗浄除去性にも優れることを見出すに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0027】すなわち、本発明は、基本的には、分子の側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)と、加水分解性シリル基を有しないポリウレタン樹脂(B)と、有機溶剤(C)とから構成される、架橋性ポリウレタン樹脂組成物を、あるいは斯かる組成物に、さらに、加水分解性シリル基の加水分解ないしは縮合用の触媒(D)をも配合せしめた形の組成物を提供するものであり、さらには、これらの両組成物を、織布または不織布に含浸ないしはコーティングせしめるか、あるいはラミネートせしめた形の人工皮革あるいは合成皮革をも提供するものである。
【0028】本発明において、分子の側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)〔以下、これを加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂(A)ともいう。〕と、加水分解性シリル基を有しないポリウレタン樹脂(B)〔以下、これを加水分解性シリル基不含のポリウレタン樹脂(B)ともいう。〕との使用比率としては、(A)/(B)なる重量比で以て、1/9〜9/1なる範囲内が適切であり、2/8〜8/2が特に好ましい。
【0029】この加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂(A)の使用比率が、(A)/(B)=1/9よりも少ないような場合には、どうしても、配合液の安定性や、洗浄除去性は良好でこそあるものの、架橋の効果が少なくなり易いし、熱トルエンなどの耐溶剤性が悪くなるし、一方、上記した加水分解性シリル基不含のポリウレタン樹脂(B)の使用比率が、(A)/(B)=9/1よりも少ないような場合には、どうしても、架橋効果は大きく、したがって、熱トルエンなどの耐溶剤性こそは優れるものの、その逆に、配合液の安定性や、洗浄除去性などは悪くなり易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0030】ここにおいて、本発明に係る、人工皮革および合成皮革あっては、ベース樹脂成分として、分子の側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)と、加水分解性シリル基不含のポリウレタン樹脂(B)とが使用されるが、斯かるポリウレタン樹脂(A)および(B)としては、単に、ウレタン結合を有するポリウレタン樹脂であってもよいし、さらには、ウレタン結合と尿素結合とを併有する、いわゆる、ポリウレタンポリ尿素樹脂であってもよいことは、勿論である。
【0031】そして、当該ポリウレタン樹脂(A)中に含まれる加水分解性シリル基とは、たとえば、次のような一般式[I]
【0032】
【化1】

【0033】(ただし、式中のR1 は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基の如き一価の有機基を表わすものとし、また、R2 は、水素原子もしくはハロゲン原子またはアルコキシル基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、置換アシロキシ基、フェノキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基を表わすものとし、さらに、aは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
【0034】で示されるような、それぞれ、ヒドロシリル基、ハロシリル基、アルコキシシリル基、アシロキシシリル基、フェノキシシリル基、イミノオキシシリル基またはアルケニルオキシシリル基などのような、加水分解され易い基が結合した珪素原子を有する、各種の反応性基を指称するものである。
【0035】当該ポリウレタン樹脂(A)の調製に際しては、それぞれ、(i) アミノ基や水酸基などのような、種々のイソシアネート基と反応し得る官能基と、加水分解性シリル基とを併有する部類の化合物を必須の原料成分として使用する方法であるとか、【0036】(ii) 予め調製した、分子の側鎖および/または末端に水酸基の如き、各種の活性水素を有する基(活性水素含有基)を有するポリウレタン樹脂と、イソシアネート基の如き、活性水素含有基と反応し得る官能基と、加水分解性シリル基とを併有する部類の化合物とを反応せしめる方法であるとか、【0037】(iii) 予め調製した、分子の側鎖および/または末端に二重結合を有するポリウレタン樹脂と、トリメトキシシラン、トリエトキシシランまたはトリクロロシランの如き、各種のヒドロシラン化合物を、ヒドロシリル化反応によって付加反応せしめる方法などの、公知慣用の種々の方法を適用することが出来るが、これらのうちでも、上記(i)の方法によるのが、最も簡便である。
【0038】また、前記した(i)の方法により、加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂(A)を調製する際の方法としても、それぞれ、(iv) 末端にイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂に、イソシアネート基と反応し得る官能基の1個と、加水分解性シリル基とを併有する化合物を反応させることによって、分子末端に此の加水分解性シリル基を導入せしめる方法であるとか、【0039】(v) イソシアネート基と反応し得る官能基の2個と、加水分解性シリル基とを併有する化合物を使用することによって、ポリウレタン分子の主鎖の内部に、つまり、好ましくは、分子の側鎖の部分に、此の加水分解性シリル基を導入せしめる方法であるとか、【0040】(vi) 予め調製した、分子末端にイソシアネート基を有し、しかも、分子の側鎖部分に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂に、イソシアネート基と反応性する官能基の1個と、加水分解性シリル基とを併有する化合物を反応せしめることによって、分子の側鎖部分と分子末端との両方に、此の加水分解性シリル基を導入せしめる方法などの、種々の方法を適用することが出来る。
【0041】これらの諸方法によって当該ポリウレタン樹脂(A)を調製する際に使用される、イソシアネート基と反応し得る官能基と、加水分解性シリル基とを併有する化合物〔以下、これを(a−1)とも、化合物(a−1)ともいう。〕において、此のイソシアネート基と反応し得る官能基として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アミノ基または水酸基などであるが、就中、こうした両基が好適である。
【0042】そして、斯かるイソシアネート基と反応し得る官能基・加水分解性シリル基併有化合物(a−1)のうちでも、イソシアネート基と反応し得る官能基の2個と、加水分解性シリル基とを併有する化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、【0043】γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシランまたはγ−(ビス−2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリエトキシシランなどである。
【0044】また、こうした化合物(a−1)のうち、イソシアネート基と反応し得る官能基の1個と、加水分解性シリル基とを併有する化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランまたはγ−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシランなどである。
【0045】前掲したような各種の化合物(a−1)を使用して、前掲したような種々の方法により、当該ポリウレタン樹脂(A)を調製することが出来るが、それらの調製方法のうちでも特に代表的なる処方のみを例示するにとどめれば、斯かる化合物(a−1)と、長鎖のジオール化合物〔以下、これを(a−2)ともいう。〕と、ジイソシアネート化合物〔以下、これを(a−3)ともいう。〕とを必須の原料成分として用いて、これらの各原料成分を反応せしめる方法であるとか、【0046】あるいは此等の、それぞれ、化合物(a−1)と、長鎖のジオール化合物(a−2)と、ジイソシアネート化合物(a−3)と、さらに必要に応じて、いわゆる鎖伸長剤〔以下、これを(a−4)ともいう。〕とを反応せしめる方法などである。
【0047】また、一方の加水分解性シリル基不含のポリウレタン樹脂(B)を調製するには、(a−1)の使用を、一切、欠如するように変更した以外は、加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂(A)を調製する際の方法と同様に行なうことが出来る。
【0048】ここにおいて、これらの樹脂(A)および樹脂(B)を調製するに際して使用される、上記した長鎖のジオール化合物(a−2)としては、特に限定されるものではないが、それらのうちでも特に代表的なるもののみを例示するにとどめるならば、ポリエステル系ジオール、ポリカーボネート系ジオールまたはポリエーテル系ジオールなどであるし、さらには、此等の混合物あるいは共重合物などである。
【0049】これらの長鎖ジオール化合物(a−2)のうちの、まず、ポリエステル系ジオール類は、公知慣用の種々のジオール化合物と、公知慣用の種々のジカルボン酸類と、あるいは其れらの諸反応性誘導体とを、公知慣用の種々の方法で以て、つまり、常法に従って、反応せしめることによって調製される。
【0050】ここにおいて、此のジオール化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコール、1,3−ないしは1,2−プロピレングリコール、1,4−ないしは1,3−ないしは2,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、【0051】2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン−3,9−ジエタノール、 β,β’−ジメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン−3,9−ジエタノール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、【0052】ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールなどである。
【0053】一方のジカルボン酸類としては、勿論、脂肪族−、脂環族−、芳香族−ないしは複素環式のいずれをも使用することが出来るが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、それ自体、いわゆる不飽和化合物であってもよいし、あるいは、たとえば、ハロゲン原子で以て置換されているような化合物であてもよい。
【0054】これらのカルボン酸あるいは其の反応性誘導体として特に代表的なものとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメチン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸またはジメチルテレフタレートなどである。
【0055】また、ポリエステル系ジオールとして、ε−カプロラクトンなどの開環重合物であるとか、ε−ヒドロキシカプロン酸のポリ縮合物などをも使用することが出来る。
【0056】さらに、ポリカーボネート系ジオールとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール−またはポリテトラメチレングリコールなどによって代表されるようなジオール類と、ジメチルカーボネートなどによって代表されるようなジアルキルカーボネート類あるいはエチレンカーボネートなどによって代表されるような環式カーボネート類との反応生成物などである。
【0057】さらには、ポリエーテル系ジオールとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、活性水素原子(反応性水素原子)を有する化合物と、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、酸化スチレン、テトラヒドロフランまたはエピクロルヒドリンなどのような、種々の酸化アルキレンとの反応生成物などであり、さらには、此等の混合物との反応生成物などである。
【0058】ポリエーテル系ジオールを調製する際に使用される、反応性水素原子を有する化合物としては、水、ビスフェノールAならびにポリエステル系ジオールを調製する際に使用されるものとして、すでに、上掲したような、公知慣用の種々のジオール化合物などが挙げられる。
【0059】そして、ポリウレタン樹脂(A)およびポリウレタン樹脂(B)を調製する際に使用されるジイソシアネート化合物(a−3)とは、一般式【0060】
【化2】R(NCO)2【0061】(ただし、式中のRは、任意の二価の有機基を表わすものとする。)
【0062】で示されるような化合物を指称するものであり、斯かるジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ないしは1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(別名を、イソホロンジイソシアネートともいう。)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(別名を、水添MDIともいう。)、【0063】2−ないしは4−イソシアナトシクロヘキシル−2’−イソシアナトシクロヘキシルメタン、1,3−ないしは1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ないしは1,4−α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4−ないしは2,6−ジイソシアナトトルエン、2,2’−、2,4’−ないしは4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(つまり、MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−ないしはm−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートまたはジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどである。
【0064】これらのうちでも、とりわけ、機械的強度などの面からは、芳香族ジイソシアネート化合物の使用が望ましく、また、とりわけ、耐久性ならびに耐光性などの面からは、脂肪族−ないしは脂環式ジイソシアネート化合物の使用が望ましい。
【0065】また、鎖伸長剤(a−4)としてとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、公知慣用の種々の、短鎖のジオール化合物などであるし、さらには、ジアミン化合物などである。
【0066】これらのうち、短鎖のジオール化合物としては、前述したポリエステル系ジオ−ルを調製する際に用いられるものとして、すでに、例示しているような各種のジオール化合物のうちの、比較的低分子量のジオール類などが挙げられる。
【0067】斯かる鎖伸長剤(a−4)のうちの、ジアミン化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、1,2−ジアミノエタン、1,2−ないしは1,3−ジアミノプロパン、1,2−ないしは1,3−ないしは1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、N,N’−ビス−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(=イソホロンジアミン)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−ブチルシクロヘキシル)メタン、1,2−、1,3−ないしは1,4−ジアミノシクロヘキサンなどであり、さらには、ヒドラジンまたはアジピン酸ジヒドラジドなどをも使用することが出来る。
【0068】ポリウレタン樹脂(A)およびポリウレタン樹脂(B)を調製するには、上掲し、上述したような各原料成分を使用して、公知慣用の種々の方法で以て反応せしめれるようにすればよい。
【0069】すなわち、たとえば、無溶剤で以て、あるいは有機溶剤中で以て、0〜約250℃なる範囲内、好ましくは、20〜100℃なる範囲内で反応せしめるようにすれればよい。
【0070】有機溶剤中で反応させる場合には、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、シクロヘキサノン、ジメチルフォルムアミド(DMF)、エチレングリコールモノエチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのような、公知慣用の種々の有機溶剤を、反応の開始時であるとか、反応の途中であるとか、あるいは反応終了時などのような、反応の任意の段階で以て加えることが出来る。
【0071】上掲したような各種の原料成分を反応せしめる際の、それぞれの原料成分の使用割合は、特に限定されるものではないが、シリル基含有ポリウレタン樹脂(A)を調製するする際に使用される、化合物(a−1)、すなわち、イソシアネート基と反応し得る官能基と、加水分解性シリル基とを併有する化合物を、諸原料成分の合計重量に対して、0.1〜約30重量%の範囲内、好ましくは、0.5〜20重量%の範囲内、さらに好ましくは、1〜10重量%の範囲内となるような割合で以て用いるのが適切である。
【0072】此の化合物(a−1)の使用量が0.1重量%未満の場合には、どうしても、架橋性に劣るようになる処から、耐溶剤性や耐薬品性などの不十分となるような硬化物が得られ易くなるし、一方、約30%を超えて余りにも多くなるような場合には、どうしても、架橋密度が高すぎるようにもなり易いし、柔軟性に劣る人工皮革および合成皮革が得られることにもなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0073】また、当該ポリウレタン樹脂(A)を調製する際の、ジイソシアネート化合物(a−3)の使用量としては、通常、これらの(a−1)、(a−2)および(a−4)なる各原料成分中に含まれる活性水素の合計量を1当量とした場合に、イソシアネート基が約0.9〜約1.1当量の割合となるように設定するようにすればよい。
【0074】他方、当該ポリウレタン樹脂(B)を調製する際の、ジイソシアネート化合物(a−3)の使用量としては、通常、これらの(a−2)および(a−4)なる各原料成分中に含まれる活性水素の合計量を1当量とした場合に、イソシアネート基が約0.9〜約1.1当量の割合となるように設定するようにすればよい。
【0075】本発明において使用される当該ポリウレタン樹脂(A)および(B)を調製するに際して、必要ならば、モノアルコール、3官能以上のアルコール、有機モノアミン、3官能以上のアミン、有機モノイソシアネートおよび/または3官能以上のポリイソシアネートを使用してもよい。
【0076】また、当該ポリウレタン樹脂(A)および(B)を調製するに際して、必要ならば、ウレタン化触媒あるいは安定剤などを使用することも出来る。これらの触媒や安定剤などは、斯かる反応の任意の段階で以て、加えることが出来る。
【0077】上記ウレタン化触媒として特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンまたはN−メチルモルホリンなどによって代表されるような種々の含窒素化合物;酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛またはオクチル酸錫などによって代表されるような種々の金属塩;あるいはジブチル錫ジラウレートなどによって代表されるような種々の有機金属化合物などである。
【0078】また、上記安定剤としてとして特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、置換ベンゾトリアゾール類などによって代表されるような、紫外線に対する各種の安定剤などであるし、さらには、フェノール誘導体などによって代表されるような、熱酸化に対する各種の安定剤などであり、これらの各安定剤は、目的に応じて、適宜、選択して加えることが出来る。
【0079】このようにして調製される当該ポリウレタン樹脂(A)およびポリウレタン樹脂(B)の数平均分子量としては、とりわけ、流動性や加工性などの面からは、約5,000〜約500,000の範囲内が、好ましくは、5,000〜100,000の範囲内が適切である。
【0080】本発明に係るポリウレタン樹脂組成物を調製するに当たって使用される、前記した有機溶剤(C)としては、上述したようなポリウレタン樹脂(A)およびポリウレタン樹脂(B)を溶解し得るような化合物であれば、いずれの化合物をも使用することが出来る。
【0081】こうした有機溶剤(C)としては、ポリウレタン樹脂(A)およびポリウレタン樹脂(B)を調製する際に使用されるものとして既に掲げたような種々の化合物を使用することが出来る。
【0082】そして、これらのポリウレタン樹脂(A)およびポリウレタン樹脂(B)を調製する際に、有機溶剤中で反応を行なった場合には、格別に、当該有機溶剤(C)を添加せずとも、反応に使用した有機溶剤を、そのまま、当該(C)成分と見なすことが出来ることは、言う迄もない。
【0083】当該有機溶剤(C)の使用量としては、(A)および(B)成分の固形分の100重量部に対して、約40〜約5,000部の範囲内が、好ましくは、100〜2,000部の範囲内が、特に好ましくは、100〜900部の範囲内が適切である。
【0084】本発明におけるポリウレタン樹脂(A)は、人工皮革および合成皮革の製造工程での、それぞれ、熱や水分(湿度)などによっても、徐々に加水分解が、そして、縮合が起こって架橋構造を形成するので、必ずしも、硬化触媒の添加を必要とするものではない。
【0085】しかし、短時間で以て、確実に、加水分解性シリル基の加水分解・縮合を行なわしめる必要のある場合は、次のような加水分解性シリル基の加水分解ないしは縮合用の触媒(D)を添加するのが有効である。
【0086】こうした、加水分解性シリル基の加水分解ないしは縮合用の触媒(D)として特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、リンゴ酸、クエン酸、ピバリン酸、コハク酸、マレイン酸、酢酸、乳酸、サリチル酸、フタル酸、安息香酸、テトラクロロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸、燐酸、モノアルキル燐酸、ジアルキル燐酸またはモノアルキル亜燐酸の如き、各種の酸性化合物;
【0087】水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸カリウム、ナトリウムメチラート、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルラウリルアミンまたはトリエチレンジアミンの如き、各種の塩基性化合物類;テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、アルミニウムトリス(エチルアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ジ−n−ブチル錫ジアセテート、ジ−n−ブチル錫ジオクトエート、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイドまたはジ−n−ブチル錫マレエートの如き、各種の含金属化合物類;
【0088】あるいは無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、アルケニル無水コハク酸、または無水マレイン酸と、スチレンとの共重合体や、無水マレイン酸と、α−オレフィン類との共重合体などをはじめ、【0089】さらには、上掲したような各種のカルボン酸無水基含有ビニル系単量体と、該単量体と共重合性のある単量体との共重合体、あるいは無水安息香酸、無水メタクリル酸または安息香酸と、酢酸との混合酸無水物の如き、種々のカルボン酸無水基を有する化合物;無水ベンゼンスルホン酸、無水p−トルエンスルホン酸、無水ドデシルベンゼンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸と、メタンスルホン酸との混合酸無水物の如き、各種のスルホン酸無水物;酢酸または安息香酸と、ベンゼンスルホン酸との混合酸無水物、安息香酸と、メタンスルホン酸との混合酸無水物の如き、各種のカルボン酸とスルホン酸の混合酸無水物などであるし、【0090】さらには亦、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミンまたは2−ジメチルアミノエタノールの如き、各種のアミン類またはアンモニアと、上掲したような各種の酸類との塩類;
【0091】特開平2−232253号公報または特開平4−23807号公報に記載されている、4−メチルベンジル−4−シアノピリジニウム−ヘキサフルオロアンチモネート、4−クロロベンジル−2−メチルピリジニウム−ヘキサフルオロアンチモネート、4−メトキシベンジル−3−クロロピリジニウム−テトラフルオロボレートもしくはN−(α−メチルベンジル)−N,N−ジメチル−N−フェニルアンモニウムヘキサフルオロアンチモネートの如き、加熱により酸を発生するような各種のピリジニウム塩もしくはアンモニウム塩類;
【0092】特開昭58−198532号公報あるいは特開平4−11626号公報に記載されているプレニル−テトラメチレンスルホニウム−ヘキサフルオロアンチモネート、クロチル−テトラメチレンスルホニウム−ヘキサフルオロアルセネートもしくはベンジル−4−ヒドロキシフェニル−メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートの如き加熱により酸を発生するスルホニウム塩類;
【0093】各種の有機スルホン酸の2−ヒドロキシアルキルエステル類や、特開平4−108861号公報に記載されている各種の有機スルホン酸と、2級アルコールとのエステル類などであって、加熱によりスルホン酸を遊離する化合物類などをはじめ、さらには、特開平4−80242号公報に記載されている、プロトン酸基を有する各種の化合物と、ビニルエーテル類とを付加反応せしめて得られるような、ケタールエステル基やアセタールエステル基などを有する化合物であって、加熱により遊離の酸基を有するような化合物を生成するものなどである。
【0094】斯かる触媒類のいずれもが、有効に、使用できるけれども、(A)成分、(B)成分、(C)成分および硬化触媒(D)成分から成る形のポリウレタン樹脂組成物としての保存安定性を、さらに長期間に亘って保持する必要がある場合には、硬化触媒(D)として、加熱により酸を発生するものとして上掲したような各種の化合物、いわゆる熱潜在性触媒として機能するような化合物、あるいは酸無水基を有する化合物、あるいは亦、アミン類またはアンモニアと、酸類との塩を、斯かる触媒として使用するようにすればよい。
【0095】すなわち、カルボン酸無水基、スルホン酸無水基あるいはカルボン酸−スルホン酸混合酸無水基などの、いわゆる酸無水基含有化合物を、当該触媒として使用した場合には、組成物それ自体としては、良好なる安定性を示すものではあるけれども、湿式成膜においては、凝固浴や洗浄浴などの水によって、他方、乾式成膜においては、加熱成膜時における空気中の水分によって、加水分解することにより、カルボン酸またはスルホン酸などのような、いわゆる遊離酸を発生して、触媒効果を発現するような化合物を、斯かる触媒として使用すればよいということである。
【0096】また、アミン類またはアンモニアと、酸類との塩を、斯かる触媒として使用したような場合にも、斯かる触媒を含有する、本発明の組成物それ自体は、良好なる安定性を示し、しかも、湿式成膜における其の湿式成膜後の乾燥工程での熱により、あるいは乾式成膜における加熱成膜時の熱により、脱アンモニア反応または脱アミン反応を起こして、カルボン酸、燐酸またはスルホン酸などのような、いわゆる遊離酸を生成して、触媒効果を発現するような化合物を、斯かる触媒として使用すればよいということである。
【0097】つまり、これらの触媒を使用すると、湿式成膜するまで、あるいは乾式成膜するまでは、触媒効果は発現せずに、配合液の安定性を保持できることになる。
【0098】したがって、このような酸無水基を有する化合物あるいはアミン類またはアンモニアと、酸類との塩のような化合物は、いわゆる、潜在性触媒として機能するというものである。
【0099】上記した硬化触媒(D)の添加量としては、それぞれの触媒の効果としての、たとえば、酸性度や塩基性度などであるとか、あるいは有効成分の含有量などによっても異なるが、概ね、ポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)との固形分の合計量100重量部に対して、約0.05〜約10重量部なる範囲内が、好ましくは、0.2〜7.0部なる範囲内が、最も好ましくは、0.5〜5.0部なる範囲内が適切である。
【0100】このようにして、それぞれ、(A)、(B)および(C)から成るポリウレタン樹脂組成物、あるいは(A)、(B)、(C)および(D)から成るポリウレタン樹脂組成物が得られるが、こうした諸々の組成物には、さらに、必要に応じて、成膜助剤、界面活性剤、染色性のコントロール剤などであるとか、あるいはブレンド用の樹脂、加水分解性シリル基含有化合物などのような、公知慣用の種々の添加剤類や顔料であるとか、さらには、充填剤類などを配合せしめることも出来る。
【0101】こうした添加剤類のうちの染色性のコントロール剤としては、ポリエチレングリコール鎖、あるいはアミンの4級塩基などを有する親水性のポリマーであり、具体例としては、ポリエチレングリコールとジイソシアネートからのポリウレタン樹脂、ジメチルアミノエチルメタクリレートと、メチルクロライドまたはベンジルクロライドとの反応によって得られる4級アンモニウム塩構造を有するモノマーを共重合せしめた形のポリ(メタ)アクリル系樹脂、N−メチル−N−ジ−β−ヒドロキシエチル−N−ベンジル アンモニウムクロリドを共重合せしめた形のポリウレタン樹脂などが挙げられるし、【0102】ブレンド用の樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、繊維素系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂またはポリアミド樹脂などが挙げられる。
【0103】また、上記した加水分解性シリル基含有化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラエチルシリケ−トまたは其の部分加水分解縮合物;テトラメチルシリケートの部分加水分解縮合物;あるいはテトライソプロピルシリケ−トまたは其の部分加水分解縮合物のような、各種のアルキルシリケートまたは其の部分加水分解縮合物などであるし、さらには、一般的に、シランカップリングと称される部類の、次に例示するような種々の化合物や、ポリウレタン樹脂(A)を調製する際に使用されるものとして既に例示しているような種々の化合物(a−1)などである。
【0104】すなわち、シランカップリングとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランまたはγ−クロロプロピルトリメトキシシランなどである。
【0105】本発明に係わる人工皮革および合成皮革それ自体の製造方法は、何ら限定されるものではないけれども、一般的に利用し適用されている、次のような方法で以て製造されるということである。
【0106】すなわち、湿式加工法による、本発明の人工皮革および合成皮革の製造方法についての説明をすることにするが、これらの両皮革の製造方法にあっては、まず、5〜25%程度に、不揮発分を調整した形の、ポリウレタン樹脂組成物を、不織布、織布または編布などの基布に、含浸またはコーティング加工を行なう。
【0107】次いで、5〜50℃程度の水中に、あるいは5〜50%程度のDMFを含有するDMF−水混合物中に、3〜30分程度のあいだ浸漬せしめることにより、凝固を行なう。
【0108】さらに、20〜95℃程度の水中で、あるいは温水または熱水中で洗浄するという、いわゆる洗浄工程を経たのちに、60〜130℃程度の温度で乾燥することにより、本発明の人工皮革もしくは合成皮革を得ることが出来る。
【0109】上述したような加工工程を経る際に、ポリウレタン樹脂組成物のベース樹脂成分である、加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂(A)が加水分解・縮合を受けて架橋し、非架橋のポリウレタン樹脂(B)を含むポリウレタン樹脂皮膜を有する人工皮革および合成皮革が得られることとなるが、これらの両皮革は、とりわけ、高度の耐溶剤性や耐薬品性などを有する処となる。
【0110】ここにおいて、上記した基布として、不織布を使用する場合には、人工皮革が得られることになるし、また、上記基布として、織布または編布を使用する場合には、合成皮革が得られることになる。
【0111】上述した人工皮革の製造において、海島繊維からなる不織布を、上記基材として用い、溶解溶出あるいは分解溶出によって、不織布繊維の少なくとも一成分を除去して、不織布繊維を極細化せしめ、あるいは多孔化せしめることにより、しなやかさを有する人工皮革を得ることが出来る。
【0112】たとえば、溶解溶出の場合には、まず、前記した湿式加工法における洗浄工程ののちに、必要により乾燥工程を経てから、約70〜約90℃の加熱トルエン中に、15〜90分程度のあいだ浸漬せしめる。
【0113】さらに、20〜95℃程度の水で、あるいは温水または熱水で洗浄したのちに、60〜130℃程度の温度で乾燥せしめることによって、本発明に係る人工皮革が製造されるということである。
【0114】この工程においては、海島繊維の一成分として、たとえば、ポリスチレンあるいはポリエチレンなどを使用して、これらの成分を溶解溶出せしめることによって、極細化が達成される処となる。
【0115】本発明に係る人工皮革においては、ポリウレタン被膜それ自体が、高度の耐溶剤性などを有するという処から、上述したような極細化を行なう工程で、ポリウレタン樹脂皮膜それ自体が、加熱トルエンなどの溶出溶剤によって溶出されることがなく、とりわけ、柔軟性などに優れるという、極めて実用性の高い人工皮革を得ることが出来るということである。
【0116】また、配合液の粘度安定性が良好であるし、しかも、製造工程中において配合液が、万一、ゲル化を起こして、配管中などで固まっても、そのゲル化物を、DMFで以て洗浄除去せしめることが容易となるということである。
【0117】さらに、分解溶出の場合には、前記の湿式加工法における洗浄工程ののちに、必要により、乾燥を行ない、70〜90℃程度に加熱した、約3〜約15%濃度の水酸化ナトリウム水溶液中に、15〜90分程度のあいだ浸漬せしめるということにより、【0118】次いで、20〜95℃程度の水で、あるいは温水または熱水で洗浄したのちに、60〜130℃程度の温度で乾燥せしめるということによって、本発明に係る人工皮革を製造することが出来る。
【0119】こうした一連の工程においては、海島繊維の一成分として、たとえば、ポリエステルなどを使用し、此の成分を分解溶出せしめることによって、極細化が達成されることになる。
【0120】さらに、人工皮革の調製においては、不織布の材料として、一成分または多成分からなる分割繊維を使用する場合もあるけれども、本発明に係る人工皮革においては、使用する不織布の種類あるいは加工の形態などは、何ら限定されるというものではなく、本発明に係る人工皮革の用途や形状なども、何ら限定されるというものではない。
【0121】上述したような湿式加工法によって得られる、本発明に係る人工皮革および合成皮革に対しては、さらには、こうした湿式加工に加えて、不織布繊維を極細化するための、上述したような処理を施して得られる、本発明に係る人工皮革に対しては、公知慣用の種々の方法によって、ラミネートまたはコーティングによる表面造面加工あるいはバフィング加工が行なわれる場合があるが、これらの諸々の加工方法については、何ら限定されるというものではない。
【0122】次には、乾式法に従う、本発明に係る合成皮革の製造方法についても亦、説明することにする。此の方法による製造においても、加工条件は、何ら限定されるというものではないが、一般的には、次のような加工条件で以て行なうことが出来る。
【0123】すなわち、ラミネート加工の場合には、不揮発分を10〜30%程度に調整した、本発明に係るポリウレタン樹脂組成物を、離型紙上に、乾燥後の膜厚が約5〜約50マイクロ・メートル(μm)となるように流延せしめ、50〜150℃程度の温度で以て乾燥せしめることによって、目的とする、ポリウレタン・フィルムを調製する方法が採用できる。
【0124】次いで、かくして得られるポリウレタン・フィルムと、不織布、織布あるいは編布などの基布とを、公知慣用の種々の接着剤を使用して、ラミネートせしめ、然るべき熱処理を行なったのちに、離型紙から剥離せしめることによって、本発明に係る合成皮革が得られるというものである。
【0125】また、ダイレクト・コート加工の場合には、不揮発分を10〜50%程度に調整した、本発明に係るポリウレタン樹脂組成物を、不織布、織布あるいは編布などの基布上に、直接、塗布せしめ、50〜150℃程度の温度で乾燥せしめることによって、目的とするポリウレタン・フィルムを形成せしめる方法が採用できるし、このようにして、本発明に係る合成皮革が得られるというものである。
【0126】また、必要によって、屡々、同様にして、複数回の塗布工程を繰り返すということがある。
【0127】上述したような乾式法によって得られる合成皮革においても、ポリウレタン被膜を有するというものであるという処から、とりわけ、耐溶剤性ならびに耐薬品性などに優れるという、高度の耐久性などを有していることである。
【0128】本発明に係る合成皮革ならびに人工皮革の調製に当たり、ポリウレタン樹脂組成物として、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用の触媒(D)を含有しないという形のものを使用するような場合であっても、斯かる形の組成物に、水を添加せしめるとか、湿式凝固浴または洗浄浴を、酸性またはアルカリ性にせしめるとか、さらには、各種の乾燥工程で以て、アミン化合物などのような、公知慣用の種々の触媒の蒸気雰囲気で以て、加熱せしめるとか、などのような諸々の処方によって、ポリウレタン樹脂(A)中に含まれる加水分解性シリル基の加水分解ないしは縮合を促進せしめるということが出来る。
【0129】
【実施例】次に、本発明を、実施例および比較例により、一層、具体的に説明することにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるというものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0130】参考例1数平均分子量が2,000なる、アジピン酸/1,4−ブタンジオール系ポリエステルジオール(PE−2000)の70部と、数平均分子量が2,000なるポリテトラメチレングリコール(PTMG−2000)の30部と、エチレングリコールの10部、ジメチルホルムアミド(DMF)の394部と、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの3部とを、1リットル4つ口フラスコ中に入れて、均一に溶解した。
【0131】次いで、この溶液を激しく撹拌しながら、ここへ、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)の56部を投入し、70℃で、10時間のあいだ反応を行なうことによって、不揮発分が30.0%で、しかも、25℃におけるブルック・フィールド粘度(以下同様)が950ポイズ(ps)なる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、これをポリウレタン樹脂溶液(A−1)と略称する。
【0132】参考例2γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの代わりに、1.0部のエチレングリコールを使用するように変更した以外は、参考例1と同様にして反応を行なうことによって、不揮発分30.0%で、しかも、粘度が950psなる、全く、加水分解性シリル基を含有しない、ポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(B−1)と略称する。
【0133】実施例1(A−1)の50部と、(B−1)の50部とを混合し、成膜助剤としての、「アディティブ No.10」[大日本インキ化学工業(株)製品]の1.0部と、「アシスター SD−8i」(同上社製品)の2部とを添加し、さらに、不揮発分が20%となるように、DMFを加えた。
【0134】次いで、このような混合物に、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用触媒としてのジブチル錫ジラウレート(DBTL)の0.15部を添加して混合せしめることによって、ポリウレタン樹脂組成物を調製した。かくして得られたポリウレタン樹脂組成物は、溶液の粘度安定性は良好であって、3ヵ月後においても、溶液の粘度は殆ど変化していなかった。
【0135】次いで、かくして得られた組成物を、厚さが約1mmとなるように、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート上に流延せしめた。
【0136】しかるのち、ポリウレタン樹脂組成物の塗布された此のPETシートを、25℃の、DMF濃度が10%なるDMF水溶液中に、20分間のあいだ浸漬して凝固せしめた。
【0137】次いで、40℃の温水中で、充分に洗浄してから、100℃に加熱した熱風乾燥機中で、30分間のあいだ乾燥することによって、架橋したポリウレタン樹脂製多孔層シートを得た。
【0138】引き続いて、このシートを、90℃に加熱したトルエン中に、1時間のあいだ浸漬し、次いで、90℃の熱水で、1時間のあいだ洗浄し、80℃で30分間のあいだ乾燥せしめた。
【0139】ここに得られたシ−トは、その表面の平滑性も良好であるし、見かけ比重の方は0.472となっていたし、このシ−ト断面を観察した処、均一に分散した微細気孔を有していた。
【0140】また、乾燥後の、加熱トルエン浸漬前の重量に対する、加熱トルエン浸漬後の重量減少率で以て表わされる重量減少率は0.8%であり、しかも、加熱トルエン浸漬前のシートの面積に対する、加熱トルエン浸漬後のシートの面積保持率で以て表わされる面積保持率は98.5%であった。
【0141】次いで、このシートを、50℃のDMFに浸漬すると、徐々に形状が崩れてDMFに分散状態になり、DMFで洗浄除去することが可能であった。
【0142】また、此のポリウレタン樹脂組成物を、厚さが約1mmとなるように、海成分がポリエチレンで、かつ、島成分がポリエステルなる海島繊維不織布上にコ−ティングせしめた。
【0143】引き続いて、これを、25℃の、DMF濃度が10%なるDMF水溶液中に、20分間のあいだ浸漬せしめることによって凝固せしめた。さらに引き続いて、40℃の温水中で、充分に洗浄してから、100℃に加熱した熱風乾燥機中で、30分間のあいだ乾燥することによって、ポリウレタン多孔層シートを有する人工皮革を得た。
【0144】次いで、此の人工皮革を、90℃に加熱したトルエン中に、1時間のあいだ浸漬せしめ、しかるのち、90℃の熱水で、1時間のあいだ洗浄せしめ、80℃で、30分間のあいだ乾燥せしめた。
【0145】かくして得られた人工皮革の表面の平滑性は良好であるし、その断面を観察した処、均一に分散した微細気孔を有していた。また、此の人工皮革の手触りは、非常に柔らかく、しかも、しなやかであった。
【0146】比較例1(A−1)の50部と、(B−1)の50部との代わりに、(A−1)の100部を使用するように変更した以外は、実施例1と同様にして、対照用のポリウレタン樹脂組成物を調製した。かくして得られたポリウレタン樹脂組成物は、溶液の粘度安定性は良くなくて、約5日を経るか経ない時間で以て、早くも、溶液全体が固化してしまった。
【0147】引き続き、このポリウレタン溶液を使用して、実施例1と同様にして、シートを作製した。
【0148】ここに得られたシ−トの表面の平滑性は良好であり、見かけ比重は0.472であり、このシ−ト断面を観察した処、均一に分散した微細気孔を有していた。
【0149】また、乾燥後の、加熱トルエン浸漬前の重量に対する、加熱トルエン浸漬後の重量減少率で以て表わされる重量減少率は0.8%であり、しかも、加熱トルエン浸漬前のシートの面積に対する、加熱トルエン浸漬後のシートの面積保持率で以て表わされる面積保持率は98.5%であった。
【0150】しかし、このシートを、50℃のDMFに浸漬しても、全く形状が崩れずに、DMFに溶解したり、分散状態になったりすることもなく、DMFで以て洗浄除去せしめることが不可能であることが判った。
【0151】比較例2(A−1)の50部と、(B−1)の50部との代わりに、(B−1)の100部を使用するように変更し、しかも、触媒のDBTLを添加しないように変更した以外は、実施例1と同様にして、対照用のポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0152】次いで、このポリウレタン溶液を、実施例1と同様にして、シートを作製し、見かけ比重が0.475なる、表面の平滑性の良好な多孔層シ−トを得た。
【0153】また、実施例1と同様にして、加熱トルエン中への浸漬と、熱水洗浄ならびに乾燥とを行なった。その結果は、シートの重量減少が5.5%であり、しかも、面積保持率が96.5%であって、表面状態が悪くなっており、極細繊維人工皮革用としては、到底、実用に供し得るというようなものではなかった。加えて、このシートはDMFに可溶なるものであった。
【0154】参考例3まず、PE−2000の70部、PTMG−2000の30部およびDMFの366部を、1リットル4つ口フラスコ中に入れて、均一に溶解した。
【0155】次いで、この溶液を激しく攪拌しながら、ここへ、MDIの44部を投入し、70℃で、3時間のあいだ反応を行なうことによって、分子の末端にイソシアネート基を有するウレタン・プレポリマーの溶液を得た。
【0156】さらに、この溶液を、40℃で、激しく攪拌しながら、1,4−ブタンジオールの10部およびγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの3部を投入してから、70℃に昇温して、同温度で、5時間のあいだ反応を行なうことによって、不揮発分30.0%で、しかも、粘度が930psなる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(A−2)と略称する。
【0157】参考例43部のγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランに替えて、1.0部の1,4−ブタジオールを使用するように変更した以外は、参考例3と同様にして、反応を行なうことによって、加水分解性シリル基を含有しない、不揮発分が30.0%で、粘度が950psなる、ポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(B−2)と略称する。
【0158】実施例2それぞれえ、(A−1)に替えて、同量の(A−2)を、(B−1)に替えて、同量の(B−2)を使用するように変更した以外は、実施例1と同様にして、成膜助剤と、DMFおよびDBTLとを混合せしめることによって、本発明のポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0159】かくして得られたポリウレタン樹脂組成物は、溶液の粘度安定性も良好であるし、3ヵ月後においても、溶液の粘度は殆ど変化していなかった。
【0160】以後も、この組成物を使用するように変更した以外は、実施例1と同様にして、湿式成膜せしめたのち、洗浄および乾燥を行なうことによって、多孔層シートを得た。
【0161】ここに得られたシ−トの表面の平滑性は良好であり、見かけ比重は0.470であったし、このシ−ト断面を観察した処、均一に分散した微細気孔を有していることが判明した。
【0162】さらに、成膜多孔層シ−トを、90℃のトルエン中に、1時間のあいだ浸漬せしめ、90℃で、1時間のあいだ熱水で洗浄せしめ、80℃で、30分間のあいだ乾燥を行なった。
【0163】かくして得られたシートは、その表面状態も平滑であったし、乾燥後の重量減少率は0.9%と小さく、しかも、面積保持率は98.8%であった。
【0164】また、このシートを、50℃のDMFに浸漬せしめると、徐々に形状が崩れていって、DMFに分散状態になり、DMFで以て洗浄除去せしめることが可能であった。
【0165】引き続いて、上記のポリウレタン樹脂組成物を、実施例1と同様にして、海島繊維不織布上にコ−ティングせしめ、湿式成膜せしめたのちに、加熱トルエンによる溶出ならびに熱水洗浄および乾燥を行なうということによって、目的とする、ポリウレタン多孔層シートを有する人工皮革を得た。
【0166】かくして得られた人工皮革は、その表面の平滑性も良好であったし、その断面を観察した処、均一に分散した微細気孔を有していた。また、手触りは非常に柔らかく、しかも、しなやかであった。
【0167】比較例3(A−2)の50部と、(B−2)の50部との代わりに、(A−2)の100部を使用するように変更した以外は、実施例2と同様にして、対照用のポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0168】この対照用のポリウレタン樹脂組成物は、溶液の粘度安定性は良くなくて、約5日で以て、溶液全体が固化してしまった。
【0169】このポリウレタン溶液を、実施例1と同様にして、シートを作製した。ここに得られたシ−トの表面の平滑性は良好であり、見かけ比重は0.472となっていたし、このシ−ト断面を観察した処、均一に分散した微細気孔を有していた。
【0170】また、乾燥後の、加熱トルエン浸漬前の重量に対する、加熱トルエン浸漬後の重量減少率で以て表わされる重量減少率は0.8%であり、しかも、加熱トルエン浸漬前のシートの面積に対する、加熱トルエン浸漬後のシートの面積保持率で以て表わされる面積保持率は98.5%であった。
【0171】しかし、このシートを、50℃のDMFに浸漬しても、全く形状が崩れずに、DMFに溶解したり、分散状態になったりもしなくて、DMFで以て洗浄除去せしめることが不可能であった。
【0172】比較例4(A−2)の50部と、(B−2)の50部との代わりに、(B−2)の100部を使用するように変更し、しかも、触媒のDBTLを添加しないというように変更した以外は、実施例2と同様にして、対照用のポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0173】次いで、この組成物を、実施例2と同様にして、湿式成膜せしめるということによって、見かけ比重が0.475なる、表面の平滑性の良好なる多孔層シ−トを得た。また、この対照用の成膜多孔層シ−トについて、実施例2と同様にして、耐熱トルエン試験を行なった結果は、重量減少も5.5%と大きく、しかも、面積保持率は96.5%であった。
【0174】加えて、このシートの表面状態が悪くなっており、したがって、極細繊維人工皮革用としては、到底、実用に供し得るというようなものではなかった。その上に、このシートはDMFに可溶なるものであった。
【0175】参考例5数平均分子量が2,000なる、アジピン酸/エチレングリコール(EG)系ポリエステルジオールの60部と、分子量が1,300なるポリテトラメチレングリコールの40部と、EGの5部と、DMFの410部とを、1リットル4つ口フラスコ中に入れて、均一に溶解した。
【0176】次いで、この溶液を激しく攪拌しながら、MDIの35部を投入し、70℃で、10時間のあいだ反応を行なうことによって、分子の末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。
【0177】引き続いて、この溶液を、40℃に保持して、激しく攪拌しながら、EGの5部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの5部およびMDIの26部を、順次、投入した。
【0178】しかるのち、70℃に昇温して、同温度で、5時間反応を行なうことによって、不揮発分が30.0%で、しかも、粘度が1,010psなる、目的とする、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(A−3)と略称する。
【0179】参考例65部のγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランに替えて、1.0部のEGを使用するというように変更した以外は、参考例5と同様にして、反応を行なうことによって、不揮発分が30.0%で、粘度が950psなる、加水分解性シリル基を含有しない、ポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(B−3)と略称する。
【0180】実施例3(A−3)の30部と、(B−3)の70部とを混合せしめるようにした形で使用するように変更した以外は、実施例1と同様にして、成膜助剤と、DMFおよびDBTLとを混合せしめることによって、本発明のポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0181】かくして得られたポリウレタン樹脂組成物は、その溶液の粘度安定性は良好であって、1ヵ月後においても、殆ど粘度の上昇が認められなかった。
【0182】以後も、この組成物を使用するように変更した以外は、実施例1と同様にして、湿式成膜せしめたのちに、加熱トルエンによる抽出ならびに熱水洗浄および乾燥を行なうということによって、多孔層シートを得た。
【0183】かくして得られたシートは、その平滑性も良好であったし、見かけ比重は0.474となっていたし、そのシ−ト断面を観察した処、均一に分散した微細気孔を有していた。
【0184】此のシートの表面状態は平滑であって、乾燥後の重量減少率は0.9%と小さく、しかも、面積保持率は98.8%であった。また、このシートを、50℃のDMFに浸漬すると、徐々に形状が崩れていって、DMFに分散状態になり、DMFで洗浄除去が可能であった。
【0185】比較例5実施例3の(A−3)の30部と、(B−3)との70部の代わりに(A−3)の100部を使用するように変更した以外は、実施例3と同様にして、対照用のポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0186】このポリウレタン樹脂組成物は、その溶液の粘度安定性は余り良くなくて、約5日で以て、溶液全体が固化してしまった。
【0187】次いで、このポリウレタン溶液を、厚さが約1mmとなるように、PETシート上に流延せしめた。
【0188】しかるのち、ポリウレタン樹脂組成物の塗布された此のPETシートを、25℃の、DMF濃度が10%なるDMF水溶液中に、20分間のあいだ浸漬をして凝固せしめた。
【0189】次いで、40℃の温水中で、充分に洗浄せしめてから、100℃に加熱した熱風乾燥機中で、30分間のあいだ乾燥せしめることによって、架橋したポリウレタン樹脂製多孔層シートを得た。
【0190】引き続いて、このシートを、90℃に加熱したトルエン中に、1時間のあいだ浸漬せしめ、次いで、90℃の熱水で、1時間のあいだ洗浄せしめから、80℃で、30分間のあいだ乾燥せしめた。
【0191】ここに得られたシ−トは、その表面の平滑性も良好であり、見かけ比重は0.472となっていたし、このシ−ト断面を観察した処、均一に分散した微細気孔を有していた。
【0192】また、乾燥後の、加熱トルエン浸漬前の重量に対する、加熱トルエン浸漬後の重量減少率で以て表わされる重量減少率は0.8%であり、しかも、加熱トルエン浸漬前のシートの面積に対する、加熱トルエン浸漬後のシートの面積保持率で以て表わされる面積保持率は98.5%であった。
【0193】しかし、このシートを、50℃のDMFに浸漬しても、全く形状が崩れずDMFに溶解したり分散状態になったりせず、DMFで洗浄除去することが不可能であることが判った。
【0194】比較例6加水分解性シリル基を含有しないウレタン樹脂溶液(B−3)の100部を使用するというように変更した以外は、実施例3と同様にして、成膜助剤と、DMFとを加えることによって、全く、加水分解性シリル基を含有しない、対照用の、非架橋型のポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0195】このようにして得られた組成物を、実施例3と同様にして、湿式成膜せしめることによって、見かけ比重が0.475なる、表面の平滑性の良好なる多孔層シ−トを得た。
【0196】また、この成膜多孔層シートについて、実施例3と同様にして、耐熱トルエン試験を行なった結果は、重量減少が5.5%と大きく、面積保持率の方は96.5%であった。このシートの表面状態が悪くなっており、したがって、極細繊維人工皮革用としては、到底、実用に供し得るというようなものではなかった。
【0197】参考例7PTMG−2000の100部と、EGの10部と、DMFの394部と、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの3部とを、1リットル4つ口フラスコ中に入れて、均一に溶解した。
【0198】次いで、この溶液を激しく撹拌しながら、MDIの56部を投入し、70℃で、10時間のあいだ反応を行なうということによって、不揮発分が30.0%で、しかも、粘度が890psなる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(A−4)と略称する。
【0199】参考例83部のγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランに替えて、1.0部のEGを使用するというように変更した以外は、実施例4と同様にして、合成を行なうということによって、樹脂濃度が30.0%で、しかも、粘度が910psなる、全く、加水分解性シリル基を含有しない、ポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(B−4)と略称する。
【0200】実施例4(A−4)を30部に変更し、また、(B−4)を70部に変更した上で、DMFを加えて、不揮発分を15%と為し、さらに、0.15部の無水フタル酸を、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用の触媒として、添加し混合せしめるというように変更を行なった以外は、実施例1と同様にして、本発明の、ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0201】次いで、かくして得られた組成物を、室温下に、3ヵ月間のあいだ保存した際に、粘度の上昇は、全く認められなく、したがって、この組成物の安定性は、頗る、優れているということが確認された。
【0202】引き続いて、この組成物を、海成分がポリエチレンで、しかも、島成分がポリエステルである、海島繊維からなる不織布に含浸せしめた。
【0203】次いで、かくして含浸された不織布を、25℃の、DMF濃度が10%なるDMF水溶液中に、20分間のあいだ浸漬をすることによって、ポリウレタン樹脂を凝固せしめた。
【0204】次いで更に、40℃の温水中で、充分に洗浄せしめたのち、100℃の熱風乾燥機中で、30分間のあいだ乾燥せしめてから、90℃に加熱したトルエン中に、1時間のあいだ浸漬せしめて、海島繊維のポリエチレン部分を溶出せしめた。
【0205】しかるのち、90℃の熱水で、1時間のあいだ洗浄せしめ、80℃で、30分間のあいだ乾燥せしめるということによって、人工皮革を得た。
【0206】加熱トルエンによる抽出処理後の人工皮革の厚みは、抽出前の厚みの89%、すなわち、厚みの保持率が89%というものであった。また、顕微鏡により、この人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を形成していたポリエチレンは溶出しており、その反面で、ポリウレタン樹脂は大部分が残っているということが確認された。また、風合いは非常に柔らかくて、目的とする、鹿皮調の風合を有するというものであった。
【0207】引き続いて、此の組成物を使用するように変更した以外は、実施例1と同様にして、湿式成膜せしめたのちに、加熱トルエンによる抽出ならびに洗浄および乾燥を行なうということによって、多孔層シートを得、これを50℃のDMFに浸漬せしめると、徐々に形状が崩れていって、DMFに分散状態になり、DMFで洗浄除去が可能であった。
【0208】比較例7加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂溶液(A−4)の100部を使用するというように変更した以外は、実施例4と同様にして、ポリウレタン樹脂組成物を調製し、以後は、実施例7で使用したものと同様の海島繊維不織布に含浸せしめたのちに、実施例7と同様にして、処理を行なうということによって、対照用の人工皮革を調製した。
【0209】かくして得られた対照用の人工皮革は、トルエン処理後の厚み保持率が、91%と極めて高いものであった。また、顕微鏡により、この人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を形成していたポリエチレンは溶出しているけれども、ポリウレタン樹脂は、殆ど溶出しておらず、大部分が残っていることが判明した。しかも、このようにして調製された人工皮革は非常に柔らかく、極めて風合の良好なものであった。
【0210】また、この組成物を使用するというように変更した以外は、実施例4と同様にして、湿式成膜せしめたのちに、加熱トルエンによる抽出ならびに熱水洗浄および乾燥を行なうということによって、多孔層シートを得、次いで、これを、50℃のDMFに浸漬せしめても、全く、溶解したり、形状が崩れることが無く、DMFに分散状態になり、DMFで洗浄除去が可能であった。
【0211】比較例8加水分解性シリル基不含のウレタン樹脂溶液(B−4)の100部を使用し、不揮発分が15%となるように、DMFで以て希釈せしめるというようにした以外は、実施例7と同様にして、対照用の、非架橋型のポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0212】引き続いて、かくして得られた組成物を、実施例7で使用したものと同様の海島繊維不織布に含浸せしめたのちに、実施例4と同様にして、処理を行なうということによって、対照用の人工皮革を調製した。
【0213】かくして得られた対照用の人工皮革は、トルエン処理後の厚み保持率が、35%と極めて低いものであった。また、顕微鏡により、この人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を形成していたポリスチレンは溶出すると共に、ポリウレタン樹脂も亦、殆ど溶出しており、極めて僅かしか残ってはいないということが判明した。
【0214】このようにして調製された対照用の人工皮革は非常に硬く、極めて風合に劣るものであった。
【0215】参考例9数平均分子量が1,400なるポリテトラメチレングリコールの100部と、1,4−ブタンジオールの10部と、DMFの383部と、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの4部とを、1リットル4つ口フラスコ中に入れて、均一に溶解した。
【0216】次いで、この溶液を激しく撹拌しながら、MDIの50部を投入し、70℃で、10時間のあいだ反応を行なうということによって、樹脂濃度が30.0%で、しかも、25℃における粘度が1,100psなる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(A−5)と略称する。
【0217】参考例104部のγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランに替えて、2部の1,4−ブタンジオールを使用するというように変更した以外は、参考例9と同様にして、合成反応を行なうということによって、不揮発分が30.0%で、しかも、粘度が980psなる、全く、加水分解性シリル基を含有しない形のポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(B−5)と略称する。
【0218】実施例5(A−5)の35部と、(B−5)の65部に加水分解性シリル基の加水分解・縮合用触媒としてのクエン酸3アンモニウムの0.3部とを混合せしめるということによって、ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0219】次いで、かくして得られた組成物を、離型紙上に、溶剤が揮発したのちの厚みが30μmとなるように流延せしめ、140℃で、3分間のあいだ加熱せしめるということによって、フィルムを作製した。
【0220】引き続いて、此のフィルムを、室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのちに、このフィルムを剥離せしめて、それぞれ、汗の成分であるオレイン酸中と、整髪料の成分であるイソプロパノール中と、トイレタリー用品の代用品としての、トルエン、酢酸エチルならびにメタノール中に、室温で、1時間のあいだ浸漬せしめた処、このフィルムの外観は、全く変化が認められなかった。
【0221】また、此のフィルムを、50℃のDMFに浸漬せしめると、徐々に形状が崩れていって、DMFに分散状態になり、DMFで洗浄除去が可能であった。
【0222】次いで、此のフィルムを、織布上にラミネートせしめて作製した合成皮革は、とりわけ、耐汗性ならびに耐整髪料性などに優れるものであった。
【0223】また、ここにおいて使用した、ポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、3ヵ月間のあいだ保存したのちにおいても、粘度上昇は認められなく、したがって、安定性に優れるものであることが確認された。
【0224】比較例9(A−5)の100部を使用するというように変更した以外は、実施例5と同様にして、離型紙上に、フィルムを作製した。
【0225】引き続いて、かくして得られた対照用のフィルムを、室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのちに、フィルムを剥離せしめ、それぞれ、汗の成分であるオレイン酸中と、整髪料の成分であるイソプロパノール中と、トイレタリー用品の代用品としての、トルエン、酢酸エチルならびにメタノール中とに、室温で、1時間のあいだ浸漬せしめた。
【0226】此の対照用フィルムの外観は、全く、変化が認められなかったし、耐薬品性や耐溶剤性などにも優れるというものであった。しかし、この対照用フィルムを、50℃のDMFに浸漬せしめても、全く溶解せず、形状が崩れるということも無く、DMFで以て、洗浄除去が不可能なものであった。
【0227】比較例10(B−5)の100部を使用するというように変更した以外は、実施例5と同様にして、離型紙上に、フィルムを作製した。
【0228】引き続いて、かくして得られた対照用のフィルムを、室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのちに、フィルムを剥離せしめ、それぞれ、汗の成分であるオレイン酸中と、整髪料の成分であるイソプロパノール中と、トイレタリー用品の代用品としての、トルエン、酢酸エチルならびにメタノール中とに、室温で、1時間のあいだ浸漬せしめた。
【0229】此の対照用フィルムは完全に溶解するか、あるいは形が崩れて仕舞うというものであり、したがって、この対照用フィルムは、とりわけ、耐薬品性や耐溶剤性などに劣るというものであった。
【0230】参考例11数平均分子量が2,000なる1,6−ヘキサンジオール系のポリカーボネートジオール(PC−2000)の100部と、DMFの66部とを、1リットル4つ口フラスコに入れて、攪拌下に溶解せしめる。
【0231】次いで、この混合物に、NCO/OH当量比が1.7/1.0となるように、水添MDIの22部と、ウレタン化触媒としてのDBTLの0.005部とを投入し、85℃で、3時間のあいだ反応を行ない、NCO当量を測定した処、該NCO当量が理論値に達しているということを確認した。
【0232】引き続いて、DMFの300部を投入せしめるということによって、不揮発分を25%に調整してから、35℃に保持して、攪拌しながら、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの4部と、イソフォロンジアミン(IPDA)の2部とを、順次、投入せしめる。
【0233】15分間のあいだ攪拌したのちに、DMFの151部と、メタノールの10部とを投入せしめ、さらに、1時間のあいだ攪拌して溶解せしめるということによって、不揮発分が20%で、しかも、粘度が70psなる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(A−6)と略称する。
【0234】参考例124部のγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランに替えて、3部のIPDAを使用するというように変更した以外は、参考例11と同様にして合成反応を行なうということによって、樹脂濃度が20.0%で、しかも、粘度が68psなる、全く、加水分解性シリル基を含有しない、ポリウレタンの溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(B−6)と略称する。
【0235】実施例6(A−6)の40部に、(B−6)の60部を混合せしめ、DMFを加えて、不揮発分を15%と為し、さらに、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用の触媒としての無水コハク酸の0.1部を添加し、混合せしめることによって、本発明のポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0236】引き続いて、此の組成物を、室温下に、3ヵ月間のあいだ保存した処、僅かの粘度上昇が認められたというだけで、頗る、保存安定性に優れるというものであることが確認された。
【0237】さらに、此の組成物を、実施例4で使用したものと同様の海島繊維不織布に含浸せしめたのちに、実施例4と同様にして、処理を行なうということによって、人工皮革を調製した。
【0238】次いで、かくして得られた人工皮革は、トルエン処理後の厚み保持率が90%というように、頗る、良好なるものであった。また、顕微鏡により、この人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を形成していたポリエチレンは溶出しており、その反面で、ポリウレタン樹脂は、ほぼ完全に残っているということが認められた。
【0239】このようにして得られた人工皮革は、非常に柔らかく、目的とする、鹿皮調の風合いを有するというものであった。
【0240】比較例11加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂の溶液(A−6)を、100部、使用するというように変更した以外は、実施例6と同様にして、海島繊維不織布に含浸せしめたのちに、実施例6と同様にして、処理を行なうということによって、対照用のポリウレタン樹脂組成物を得、そして、対照用の人工皮革を調製した。
【0241】かくして得られた人工皮革は、トルエン処理後の厚み保持率が90%と高いものであった。また、顕微鏡により、此の対照用の人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を構成していたポリエチレンが溶出しているが、ポリウレタン樹脂は溶出せず、大部分残っていることが確認された。
【0242】加えて、このようにして得られた対照用の人工皮革は、非常に柔らかく、目的とする、鹿皮調の風合いを有するというものであった。
【0243】ところが、此の対照用組成物を、室温下に、1ヵ月間のあいだ保存した処、かなりの粘度上昇が認められるというものであり、したがって、粘度の保存安定性に劣るものであることが確認された。
【0244】比較例12加水分解性シリル基不含のポリウレタン樹脂の溶液(B−6)を、100部、使用するというように変更した以外は、実施例6と同様にして、海島繊維不織布に含浸せしめてから、実施例6と同様にして、処理を行なうということによって、対照用の人工皮革を調製した。
【0245】このようにして得られた対照用の人工皮革は、トルエン処理後の厚み保持率が45%と低いものであった。また、顕微鏡により、この対照用の人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を構成していたポリエチレンが溶出すると共に、ポリウレタン樹脂も亦、殆ど溶出しており、僅かしか残ってはいないということが確認された。
【0246】また、風合いは非常に硬くなっており、到底、実用に供し得るというようなものではなかった。
【0247】参考例13PC−2000の100部と、1,4−ブタンジオールの13部と、トルエンの89部とを、2リットルの4つ口フラスコに入れて、攪拌下に溶解せしめた。
【0248】次いで、この混合物に、NCO/OH当量比が2.0/1.0となるようにして、水添MDIの51部と、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)の44部とを投入し、ウレタン化触媒としてのDBTLの0.007部をも投入してから、85℃に昇温し、同温度で、5時間のあいだ反応を続行せしめ、NCO当量を測定して、理論値に達しているということを確認した。
【0249】しかるのち、DMFの375部と、トルエンの160部とを投入して、不揮発分を25%に調整した。
【0250】さらに、このウレタン・プレポリマー溶液を、35℃に保持して、攪拌しながら、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの6.5部と、IPDAの28部とを、順次、投入した。
【0251】15分間のあいだ攪拌したのちに、DMFの394部と、メタノールの12部とを投入して、1時間のあいだ攪拌し、溶解せしめるということによって、不揮発分が20%で、粘度が80psなる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(A−7)と略称する。
【0252】参考例146.5部のγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランに替えて、5部のIPDAを使用するというように変更した以外は、参考例13と同様にして、合成反応を行なうということによって、樹脂濃度が20.0%であり、かつ、粘度が85psなる、全く、加水分解性シリル基を含有しないポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(B−7)と略称する。
【0253】実施例7(A−7)の70部に、(B−7)の30部をブレンドせしめ、次いで、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用の触媒としてのクエン酸三アンモニウムの0.2部を添加混合せしめるということによって、本発明のポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0254】引き続いて、この組成物を使用するというように変更した以外は、実施例5と同様にして、離型紙上に、フィルムを作製せしめた。
【0255】次いで、かくして得られたフィルムを、室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのちに、このフィルムを剥離せしめてから、それぞれ、汗の成分であるオレイン酸中と、整髪料の成分であるイソプロパノール中と、トイレタリー用品の代用品としての、トルエン、酢酸エチルならびにメタノール中とに浸漬せしめた処、フィルムの外観は、殆ど変化が認められかった。また、このフィルムを、50℃のDMFに浸漬せしめると、徐々に形状が崩れていって、DMFに分散状態になり、DMFで洗浄除去が可能であった。
【0256】このフィルムを、織布上にラミネートせしめるということによって作製した合成皮革は、とりわけ、耐汗性や耐整髪料性などに優れているというものであり、特に、自動車のシート用として適するものであることが確認された。
【0257】また、この実施例において使用したポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、3ヵ月間のあいだ保存した際においても、粘度上昇は殆ど認められなく、したがって、頗る、保存安定性に優れているものであるということが確認された。
【0258】比較例13加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂の溶液(A−7)の100部を使用するというように変更した以外は、実施例7と同様にして、離型紙上に、フィルムを作製せしめた。
【0259】次いで、このフィルムを、室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのちに、このフィルムを剥離せしめて、それぞれ、汗の成分であるオレイン酸中と、整髪料の成分であるイソプロパノール中と、トイレタリー用品の代用品としての、トルエン、酢酸エチルならびにメタノール中とに浸漬せしめた処、フィルムの外観は、殆ど変化が認められかった。また、このフィルムを、50℃のDMFに浸漬せしめると、徐々に形状が崩れていって、DMFに分散状態になり、DMFで洗浄除去が可能であった。
【0260】このフィルムを、織布上にラミネートせしめるということによって作製した合成皮革は、とりわけ、耐汗性や耐整髪料性などに優れているというものであり、特に、自動車のシート用として適するものであることが確認された。
【0261】しかしながら、使用した、此の対照用ポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、1ヵ月間のあいだ保存したものが、粘度が上昇してしまって、容器から取り出せなくなっており、したがって、粘度の保存安定性に劣るものであった。
【0262】比較例14加水分解性シリル基不含のポリウレタン樹脂の溶液(B−7)の100部を使用するというように変更した以外は、実施例7と同様にして、離型紙上に、対照用のフィルムを作製せしめた。
【0263】室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのちに、フィルムを剥離せしめて、それぞれ、汗の成分であるオレイン酸中と、整髪料の成分であるイソプロパノール中と、トイレタリー用品の代用品としての、トルエン、酢酸エチルならびにメタノール中とに、室温で、1時間のあいだ浸漬せしめた。フィルムは完全に溶解するか、あるいは形が崩れてしまというものであり、したがって、とりわけ、耐薬品性や耐溶剤性などに劣るというものであった。
【0264】参考例15PC−2000の100部と、数平均分子量が1,000なる1,6−ヘキサンジオール系のポリカーボネートジオール(PC−1000)の50部と、トルエンの83部とを、2リットルの4つ口フラスコに入れて、攪拌下に溶解せしめた。
【0265】次いで、この混合物に、NCO/OH当量比が2.0/1.0となるように、IPDIの44部を投入し、さらに、ウレタン化触媒としてのDBTLの0.007部をも投入してから、85℃に昇温し、同温度で、6時間のあいだ反応を続行せしめた。NCO当量を測定して、このNCO当量が、理論値に達しているということを確認した。
【0266】しかるのち、DMFの499部を投入して、不揮発分を25%に調整した。引き続いて、このウレタン・プレポリマーの溶液を、35℃に保持して、攪拌しながら、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの6部と、水添MDA(ジシクロヘキシルメタンジアミン)の6部とを、順次、投入せしめた。
【0267】次いで、この混合物を、15分間のあいだ攪拌せしめたのちに、ここへ、DMFの193部と、メタノールの10部とを投入して、1時間のあいだ攪拌し、溶解せしめるということによって、不揮発分が20%で、しかも、粘度が50psなる、分子の末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(A−8)と略称する。
【0268】参考例166部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランに替えて、3部のジ−n−ブチルアミンを使用するというように変更した以外は、参考例15と同様にして、合成反応を行なうということによって、不揮発分が20%で、しかも、粘度が55psなる、全く、加水分解性シリル基を含有しない、ポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(B−8)と略称する。
【0269】実施例8(A−8)の50部に、(B−8)の50部を混合し、さらに、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用の触媒としてのフタル酸アンモニウムの0.2部を添加し混合せしめるということによって、ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0270】次いで、この組成物を使用するというように変更した以外は、実施例5と同様にして、離型紙上に、フィルムを作製せしめた。
【0271】室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのちに、このフィルムの表面に、それぞれ、汗の成分であるオレイン酸と、整髪料の成分であるイソプロパノールと、トイレタリー用品の代用品としての、トルエン、酢酸エチルならびにメタノールとを、数滴、載置せしめて、室温下に、1時間のあいだ放置せしめてから、このフィルム表面の状態を観察した。
【0272】その結果は、このフィルムの表面上に、全く、変化が認められなかった。また、このフィルムを、50℃のDMFに浸漬せしめると、徐々に形状が崩れていって、DMFに分散状態になり、DMFで洗浄除去が可能であった。
【0273】次いで、このフィルムを、織布上に、ラミネートせしめるということによって作製した合成皮革は、とりわけ、耐汗性ならびに耐整髪料性に優れるというものであり、特に、自動車のシート用として適するというものであった。
【0274】また、この実施例において使用した組成物は、室温で3ヵ月間保存しても、粘度上昇が殆ど認められないというものであり、したがって、頗る、保存安定性に優れているというものでるあことが確認された。
【0275】比較例15ポリウレタン樹脂の溶液(A−8)の100部を使用するというように変更した以外は、実施例8と同様にして、離型紙上に、対照用のフィルムを作製せしめた。
【0276】次いで、室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのちに、このフィルムの表面に、それぞれ、汗の成分であるオレイン酸と、整髪料の成分であるイソプロパノールと、トイレタリー用品の代用品としての、トルエン、酢酸エチルならびにメタノールとの数滴を載置せしめたのち、室温下に、1時間のあいだ放置せしめてから、表面の状態を観察した。
【0277】その結果は、この対照用フィルムの表面上に、全く、変化が認められなかったけれども、この対照用フィルムを、50℃のDMFに浸漬せしめても、形状が崩れてしまって、DMFに分散状態になることはなく、DMFで以ての洗浄除去が不可能であることが判明した。
【0278】比較例16全く、加水分解性シリル基を含有しない形のポリウレタン樹脂の溶液(B−8)の100部を使用するというように変更した以外は、実施例8と同様にして、離型紙上に、対照用のフィルムを作製せしめた。
【0279】次いで、室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのちに、この対照用フィルムの表面に、それぞれ、汗の成分であるオレイン酸と、整髪料の成分であるイソプロパノールと、トイレタリー用品の代用品としての、トルエン、酢酸エチルならびにメタノールとの数滴を載置せしめたのちに、室温下に、1時間のあいだ放置せしめてから、表面の状態を観察した。
【0280】その結果は、此の対照用フィルムの表面が収縮したり、白化したりしてしまっていて、とりわけ、耐薬品性と耐溶剤性との上で、頗る、劣っているということが判明した。
【0281】参考例17数平均分子量が1,000なる1,6−ヘキサンジオール系のポリカーボネートジオール(PC−1000)の50部と、PC−2000の50部と、DMFの70部とを、1リットル4つ口フラスコに入れて、攪拌下に溶解せしめる。
【0282】次いで、この混合物に、NCO/OH当量比が1.5/1.0となるように、水添MDIの29.5部を投入し、さらに、ウレタン化触媒としてのDBTLの0.005部をも投入せしめて、85℃で、3時間のあいだ反応を行ない、NCO当量を測定して、理論値に達しているということを確認した。
【0283】引き続いて、DMFの320部を投入して、不揮発分を25%に調整してから、35℃に保持して攪拌をしながら、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの4部と、IPDAの2部とを、順次、投入せしめた。
【0284】15分間のあいだ攪拌したのちに、DMFの150部と、メタノールの10部とを投入し、さらに、1時間のあいだ攪拌して溶解せしめるということによって、不揮発分が20%で、かつ、粘度が40psなる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(A−9)と略称する。
【0285】参考例184部のγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランに替えて、3部のIPDAを使用するというように変更した以外は、参考例17と同様にして、合成反応を行なうということによって、樹脂濃度が20%で、しかも、25℃におけるブルック・フィールド粘度が41psなる、全く、加水分解性シリル基を含有しない、ポリウレタンの溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を(B−9)と略称する。
【0286】実施例9(A−9)の60部に、(B−9)の40部と、DMFとを加えて、不揮発分を15%と為すというよう変更をして、本例においては、特に、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用の触媒を、一切、添加しないという形の、目的とする、架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0287】引き続き、この組成物を、実施例4で使用したものと同様の海島繊維不織布に含浸せしめたのちに、湿式成膜後の乾燥を、100℃なる熱風乾燥機中で、2時間のあいだ乾燥せしめるという条件の下に行なうというように変更した以外は、実施例4と同様にして、処理を行なうということによって、目的とする人工皮革を調製した。
【0288】かくして得られた人工皮革は、トルエン処理後の厚み保持率が88%と、頗る、良好なるものであった。また、顕微鏡により、この人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を形成していたポリエチレンの方は溶出しており、その反面で、ポリウレタン樹脂の方は、ほぼ、完全に残っているということが確認された。
【0289】このようにして得られた人工皮革は、非常に柔らかく、目的とする、鹿皮調の風合いを有するというものであった。
【0290】また、この組成物を使用するように変更した以外は、実施例4と同様にして、湿式成膜せしめたのちに、加熱トルエンによる抽出ならびに洗浄および乾燥を行なうということによって、多孔層シートを得、次いで、これを、50℃のDMFに浸漬すると、徐々に形状が崩れてDMFに分散状態になり、DMFで以ての洗浄除去が可能であった。
【0291】比較例17ポリウレタン樹脂の溶液(A−9)を用い、実施例4と同様にして、海島繊維不織布に含浸せしめ、以後は、実施例9と同様にして、処理を行なうということによって、対照用のポリウレタン樹脂組成物ならびに人工皮革を調製した。
【0292】このようにして得られた対照用の人工皮革は、トルエン処理後の厚み保持率が90%と非常に高いものであった。また、顕微鏡により、此の対照用の人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を構成していたポリエチレンは溶出しているが、ポリウレタン樹脂は完全に残っているということが確認された。
【0293】また、この対照用の組成物を使用するように変更した以外は、実施例4と同様にして、湿式成膜せしめたのちに、加熱トルエンによる抽出ならびに洗浄および乾燥を行なうということによって、対照用の多孔層シートを得、しかるのち、これを、50℃のDMFに浸漬せしめたが、形状が崩れず、DMFで以ての洗浄除去が不可能であった。
【0294】比較例18全く、加水分解性シリル基を含有しない形のポリウレタン樹脂の溶液(B−9)を、実施例4と同様にして、海島繊維不織布に含浸せしめ、以後は、実施例9と同様にして、処理を行なうということによって、対照用のポリウレタン樹脂組成物ならびに人工皮革を調製した。
【0295】次いで、かくして得られた対照用の人工皮革は、トルエン処理後の厚み保持率が45%と低いというものであった。また、顕微鏡により、この対照用の人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を構成していたポリエチレンが溶出していると共に、ポリウレタン樹脂も亦、その殆どが溶出していて、僅かしか残ってはいないということが確認された。
【0296】また、風合いは非常に硬くなっており、到底、実用に供し得るというようなものではなかった。
【0297】
【発明の効果】本発明に係るポリウレタン樹脂組成物は、水分によって架橋し得るポリウレタン樹脂と、此の水分によって架橋しないポリウレタン樹脂との混合物とすることにより、架橋し得るポリウレタン樹脂のみからなる樹脂組成物に比して、触媒を配合した形の配合液の粘度安定性に優れ、トルエンのような比較的溶解性の低い溶剤には耐えるというものであるし、しかも、DMFのような溶解性の強い溶剤には架橋していないウレタン樹脂が溶解するということにより、形状が崩れるというものであり、万一、工程中で以てゲル化を起こしたとしても、DMFで以て洗浄除去し易いという特徴を有しているものである。
【0298】こうした特徴ある、本発明の樹脂組成物を使用した、本発明に係る、人工皮革、特に、極細繊維人工皮革にあっては、とりわけ、極細化のためのトルエン抽出処理工程においては、ポリウレタン樹脂が溶出することが少なく、極めて、しなやかなる、外観の良好なものであり、また、合成皮革にあっては、とりわけ、耐溶剤性ならびに耐薬品性などに優れているものである。
【0299】本発明に係る人工皮革ならびに合成皮革は、衣料用、スポーツシューズ用、自動車シート用として、さらには、家具用などとして、極めて実用性の高いものである。
【0300】また、保存安定性に優れるという形の樹脂組成物が提供できるので、従来においては、ポリウレタン樹脂組成物を使用するまでの間にゲル化してしまうという製造上のトラブルがあったが、本発明は、こうしたトラブルをも、防止することが出来るというものである。
【出願人】 【識別番号】000002886
【氏名又は名称】大日本インキ化学工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勝利
【公開番号】 特開平11−60936
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−232413