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【発明の名称】 照明器具成形用樹脂組成物
【発明者】 【氏名】伊藤 幸一

【氏名】小島 正

【氏名】岩崎 嘉則

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、平均粒径0.5〜10μmの炭酸カルシウム微粉体0.05〜5.0重量部及び平均粒径0.02〜0.5μmの微粒子酸化チタン0.05〜0.5重量部を配合してなる照明器具成形用樹脂組成物。
【請求項2】 請求項1にエチレンエチルアクリレ−ト0.01〜1.0重量部を配合してなる照明器具成形用樹脂組成物。
【請求項3】 請求項1に蛍光増白剤を配合してなる照明器具成形用樹脂組成物。 【請求項4】 請求項3にエチレンエチルアクリレ−ト0.01〜1.0重量部を配合してなる照明器具成形用樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、照明器具のフ−ドや笠等の成形に最適な照明器具成形用樹脂組成物に関するものであり、詳しくは、本願発明品の使用により得られる成形品は、透過する光線が乳白色の柔らかな散乱された光線となるように調整された樹脂組成物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、透明性や耐光性等に優れているアクリル樹脂やポリカ−ボネ−ト樹脂に、酸化珪素や酸化チタンを配合して光遮蔽効果を発揮する白色系成形品が製造され、電気照明器具のフ−ドや笠として使用されている。しかし、これらの樹脂組成物を使用した場合得られる成形品は、全く光散乱効果が発揮されず、このため電気照明器具のフ−ドや笠に照射した光線により、外側面から内部の電球や蛍光灯の輪郭が見えるか、全く隠蔽された状態となりフ−ドや笠に照射する光線が柔らかな光線となって透過(照射)することが不可能である。
【0003】又、アクリル樹脂使用の成形品では、機械的物性にやや劣り長期間使用すると角や端の部分等にひび割れを生じ易く、このため成形品に傷が付き易い欠点がある。ポリカ−ボネ−ト樹脂では、機械的な物性は優れているのであるが溶融混練温度が高く、このため使用する添加剤も限定されており、従ってアクリル樹脂に比較して充分な光拡散効果が発揮されていない。しかも、アクリル樹脂及びポリカ−ボネ−ト樹脂は、ともにポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の汎用性樹脂に比較して比重が大きく成形品の重量が大きく、樹脂単価も高いために、用途として汎用性が求められる照明器具成形用樹脂組成物としては好ましくない。
【0004】更に近年、各種用途への開発が盛んな熱可塑性ポリエステル樹脂は、比重が軽く透明性に優れた汎用性樹脂であり、アクリル樹脂やポリカ−ボネ−ト樹脂に比較して混練温度も低く、染顔料や各種の添加剤の配合も容易であり照明器具の成形品開発も検討されている。しかし、これら熱可塑性ポリエステル樹脂を使用した成形品は、光拡散性について考慮したものでなく、単に淡い(うす暗い)色調感覚を求めているに過ぎない。
【0005】例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂に酸化チタンを配合した照明器具の成形が試みられているが、従来から使用の酸化チタン顔料では、遮光(隠蔽)性には優れた効果が発揮されるのであるが光拡散性については全く考慮されたものではなく、このため照明器具に使用した場合、必要な柔らかな明るい光線となって成形品を透過する効果が得られない。このように酸化チタン顔料の単独使用では、熱可塑性ポリエステル樹脂の特徴である艶や光沢等に代表される光輝性(意匠性)も成形品の表面から全く失われてしまい商品価値を著しく低下する欠点を生じ、色彩的感覚、意匠性等からも好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、比重が比較的小さく、機械的物性が良好な熱可塑性ポリエステル樹脂を使用して成形された照明器具のフ−ドや笠等に光線が照射された場合に、光が拡散して柔らかな光線となって照射するという優れた効果を発揮する成形品を得るために、特定の炭酸カルシウムと酸化チタンを併用配合することについて鋭意検討したところ、上記従来品の欠点を解決することを知見したのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、平均粒径0.5〜10μmの炭酸カルシウム微粉体0.05〜5.0重量部及び平均粒径0.02〜0.5μmの微粒子酸化チタン0.05〜0.5重量部を配合してなる照明器具成型用樹脂組成物である。
【0008】本発明で使用の熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的物性、寸法安定性、耐熱性等に優れた汎用性の樹脂であり、シ−トや容器などの成形に使用可能なものであれば良く、例えばポリエチレンテレフタレ−ト及びポリエチレンナフタレ−トが挙げられる。本発明で用いる熱可塑性ポリエステル樹脂としては、特に機械的物性に優れたポリエチレンテレフタレ−トが好ましい。
【0009】本発明の照明器具成形用樹脂組成物を用いて得られる成形品は、炭酸カルシウム微粉体及び酸化チタンの存在により、照射された光線は光拡散効果を発揮した柔らかな光線となり照明器具のカバ−や笠として使用した場合、照明器具の外面から蛍光灯や電球の輪郭が見えず、外面に柔らかな光線となって透過するのである。本発明で添加剤として使用の炭酸カルシウム微粉体(以後炭酸カルシウムと略す)は、天然チョ−ク、石灰石、大理石等の粉砕品及び化学的沈降法によって得られる合成品のいずれのものでもよく、粒子径は平均粒径として0.5〜10μmであることが好ましい。
【0010】平均粒径が0.5〜10μm炭酸カルシウムは、熱可塑性ポリエステル樹脂に配合した際に、ポリエステル樹脂との光屈折の関係から成形品中に優れた光拡散効果と乳白色効果を発揮する。炭酸カルシウムの粒径が 0.5μm以下であると乳白色効果が低下して好ましくない、一方、10μm以上であると乳白色効果が低下するのみならず光拡散効果も低下するので好ましくない。尚、平均粒径は、電子顕微鏡、沈降法、透過法等の方法により測定されたものである。
【0011】炭酸カルシウムの使用量は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部(以後部と略す)に対して0.05〜5.0部配合する。もし、0.05部より少ないと満足する乳白色効果及び光拡散効果が発揮されず好ましくない。又、5.0部より多く配合しても乳白色調効果が更に向上せず、従って5.0部以上加える必要ない。本発明で添加剤として使用の微粒子酸化チタン(以後酸化チタンと略)は、従来より塗料、コ−チング材、接着剤、成形材料等製品の着色剤に通常使用されているものより粒径が非常に小さく、0.02〜0.5μmのものを使用する。
【0012】本発明で使用の酸化チタンは、熱可塑性ポリエステル樹脂に配合すると、従来の酸化チタン顔料では得られぬ光拡散に優れた効果を発揮するものである。この効果は、粒径が0.02μm以下であると光透過性が大きくなり光拡散効果が充分に発揮されない。一方、0.5μm以上では光隠蔽効果が大きくなり光拡散効果が低下して好ましくない。尚、平均粒径は電子顕微鏡、沈降法、透過法等の方法により測定される。
【0013】酸化チタンの使用量は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.05〜5.0部配合する。もし、0.05部より少ないと十分な光拡散効果が発揮されない。又、5.0部より多いと光隠蔽効果は発揮されるのであるが光拡散効果が低下して好ましくない。特に本発明に於いては、炭酸カルシウムと酸化チタンを併用することで、それぞれの添加剤の特徴を活用することで、透過する光線が柔らかな光線となる照明器具の笠やカバ−として最適な樹脂組成物を提供するのものである。
【0014】即ち、炭酸カルシウムによる光拡散効果と乳白色効果、及び酸化チタンによる光遮蔽効果と光拡散効果は、本願発明での数値限定(使用量と粒径)に於いて使用したときに、炭酸カルシウムや酸化チタンを単独使用したときに比較して飛躍的な相乗効果が発揮されるのである。又、この際に蛍光増白剤を少量添加すると、本願発明の照明器具成型用樹脂組成物は、照明器具を成形した際に青白い色調が加わり柔らかみを帯びた光線が著しく強調されるので、本願発明の乳白色効果が一層強調されるので好ましい。
【0015】使用する蛍光増白剤としては、従来より熱可塑性ポリエステル樹脂混練の際に配合れている、ナフタレン誘導体、ナフタルイミド誘導体化合物やビスベンゾオキサゾリル誘導体化合物が挙げられる。具体的にはC.I. Fluorescent Brightner367、C.I. Fluorescent Brightner 184、C.I. Fluorescent Brightner 398、C.I. Fluorescent Brightner 52、C.I. Fluorescent Brightner 91、C.I. Fluorescent Brightner 258、C.I. Fluorescent Brightner 219等を単独又は混合して使用する。
【0016】この際の蛍光増白剤の配合量としては、ごく少量で上記の効果を発揮するに充分であるが、好ましくは0.001〜0.1部である。0.001部以下であるとより充分な増白作用が発揮されない、また、0.1部以上多く配合しても増白作用効果はあまり向上しない。尚、特に好ましい蛍光増白剤としては、C.I. Fluorescent Brightner 184及びC.I. Fluorescent Brightner 219が挙げられる。また本発明では、エチレンエチルアクリレ−ト(以後EEAという)を添加することで、押出機や真空成形機を使用した照明器具の製造で長時間操業しても、何のトラブルも発生せず安定した成形が可能であり、生産効率の優れた成形原料を提供するのである。
【0017】本発明で添加剤として使用のエチレンエチルアクリレ−ト(以後EEAと略す)は、エチレンとエチルアクリレ−トを共重合したものである。本発明の照明器具成形用樹脂組成物を製造の際にEEAを配合すると、照明器具の中間製品であるシ−トの製造では、長時間連続操業しても得られるシ−トの形状に全く変化がなく、成形品の肉厚も一定している。EEAの使用量は、熱可塑性ポリエステル樹脂100部に対して、0.01〜1.0部配合する。EEAの使用量が0.01部より少ないと、EEA配合による上記の効果が発揮されず好ましくない。又、3.0部より多く配合すると機械的物性が低下する原因を生じるので0.01〜1.0部で十分である。
【0018】このやうに本発明では、EEAを添加することで、本発明の照明器具成形用樹脂組成物を用いシ−ト状成形品を製造の際に長時間操業してもトラブルも発生せず、生産効率の向上に大いに寄与するものである。例えば、汎用真空成形機による照明器具のカバ−や笠等の製造の際に、長時間(100〜200時間)連続操業しても、製品は全て同一形状を保ち、肉厚にもムラがなく均一である。この様に本発明の照明器具成形用樹脂組成物は、添加剤未配合の熱可塑性ポリエステル樹脂使用による成形と何ら変わらぬ速度で長時間連続成形できるものである。
【0019】尚、本発明の照明器具成形用樹脂組成物の製造は、従来より使用の混合機、押出機を用い、通常の方法で混合、混練すれば容易に得られる。この際に、顔料、染料又は分散剤(例えばエステル系ワックス)を必要に応じて任意に配合しても、本願発明の優れた効果であるスリ硝子調効果は全く失われない。又、本発明の照明器具成形用樹脂組成物製造の際に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、滑剤等を必要に応じて添加しても良い。
【0020】以下に実施例と比較例を述べる。実施例1平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム3.0部及び平均粒径0.11μmの酸化チタン0.40部をヘンシェルミキサ−にて均一に混合する。上記混合物6.0部とポリエチレンテレフタレ−ト(固有粘度1.25)100部を2軸押出機を用い270℃で溶融混練して本発明の照明器具成形用樹脂組成物ペレットを製造する。
【0021】得られた本発明品は、押出機を用いてシ−トを製造した後に真空成形機を用い45w蛍光灯用カバ−を連続成形して、下記に記載の(イ)、(ロ)及び(ハ)の測定を行い、その結果を【表1】

に記載する。以後の実施例2〜4で得られた本発明の照明器具成形用樹脂組成物及び比較例1〜10で得られた樹脂組成物についても、押出機を用いシ−トを製造した後に、真空成形機を使用して照明器具用フ−ドを成形して、実施例1と同様な測定を行い、その結果を【表1】に記載する。
【0022】(イ)光拡散性真空成形機を用い成形された40W蛍光灯カバ−に内面より光線を照射した場合、光線が拡散されてカバ−外面から蛍光灯の輪郭が判別されず、カバ−全体が一様に明るくなっているかを目視により判定する。
◎:光拡散が充分に行われカバ−の外面からは、蛍光灯の輪郭が全く見えない。
○:光拡散はかなり行われているが、カバ−外面から蛍光灯の輪郭がやや見える。
△:光拡散が殆ど行われずカバ−外面からは、蛍光灯の輪郭が見える。
【0023】(ロ)乳白色性真空成形機を用い成形された40W蛍光灯カバ−に光線を照射した場合、光線がカバ−を通して外面から見た場合に、カバ−全体が乳白色で明るく柔らかに包まれているかを目視により判定する。
◎:カバ−外面より見ると、カバ−全体が乳白色で明るく柔らかな光線に包まれている。
【0024】○:カバ−外面より見ると、カバ−全体が乳白色な光線に包まれているが蛍光灯の光線が多少遮蔽されている。
△:カバ−外面より見ると、蛍光灯の光線がかなり遮蔽されて、カバ−全体が薄暗くなっている。
(ハ)連続操業性EEA配合の本発明照明器具成形用樹脂組成物について、押出成形機を使用して、蛍光灯カバ−の真空成形用シ−トを100時間連続生産した際に、得られるシ−トの形状安定性及び肉厚の均一性についてのバラツキを検査して、その結果から連続操業性を判定する。
【0025】
◎:シ−トにバラツキが全く見られず、長時間連続操業が可能である。
○:シ−トに若干バラツキを生じることがあり、長期間連続操業には、多少不安がある。
△:シ−トにバラツキをかなり生じ、長時間連続操業は困難である。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム3.0部、平均粒径0.11μmの酸化チタン0.40部及びEEA(三井・デポンケミカル株式会社製商品)0.5部をヘンシェルミキサ−にて均一に混合する。上記混合物6.0部とポリエチレンテレフタレ−ト(固有粘度1.25)100部を2軸押出機を用い270℃で溶融混練して本発明の照明器具成形用樹脂組成物ペレットを製造する。以後、実施例1と同様の操作を行う。
【0028】実施例3平均粒径5μmの炭酸カルシウム3.0部、平均粒径0.11μmの酸化チタン0.40部及び蛍光増白剤(C.I. Fluorescent Brightner 184:チバガギ−社商品ユ−ビテクスOB)0.05部をヘンシェルミキサ−にて均一に混合する。上記混合物3.5部とポリエチレンテレフタレ−ト(固有粘度0.75)100部を2軸押出機を用い270℃で溶融混練して本発明の照明器具成形用樹脂組成物ペレットを製造する。以後、実施例1と同様の操作を行う。
【0029】実施例4平均粒径5μmの炭酸カルシウム3.0部、平均粒径0.11μmの酸化チタン0.04部、EEA(三井・デポンケミカル株式会社製商品)0.5部及び蛍光増白剤(C.I. Fluorescent Brightner 184)0.05部をヘンシェルミキサ−にて均一に混合する。上記混合物3.5部とポリエチレンテレフタレ−ト(固有粘度0.75)100部を2軸押出機を用い270℃で溶融混練して本発明の照明器具成形用樹脂組成物ペレットを製造する。
【0030】以後、比較例について実施例1と同様の操作を行う。
比較例1〜比較例10実施例2に於ける炭酸カルシウム及び酸化チタンの配合量及び平均粒径を下記の【表2】

で記載の条件に定めて、光拡散性、光乳白性、及びEEAによる連続操業性について、実施例2に於ける本願発明の効果との比較検討を行う。
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本願発明の照明器具成形用樹脂組成物は、これを使用して照明器具のカバ−や笠を製造すると、従来の樹脂成形品には見られぬ優れた光拡散効果と乳白色に富んだ意匠性のある半透明な成形品が得られる。特に、蛍光増白剤を配合した本発明の樹脂組成物は、照明器具のカバ−や笠等を成形した商品には高級感が付与されるので好ましい。
【出願人】 【識別番号】000219912
【氏名又は名称】東京インキ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月27日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−60923
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−244833