| 【発明の名称】 |
樹脂組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 稔
【氏名】三宅 澄也
【氏名】永田 寛
【氏名】遠藤 剛
【氏名】三田 文雄
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| 【要約】 |
【課題】保存安定性が良好で、流動性に優れ、かつ硬化性と耐湿性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂、フェノール樹脂、および一般式(1)で表される有機ホスホランからなる潜伏性触媒を、必須成分とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エポキシ樹脂、フェノール樹脂、および一般式(1)で表される有機ホスホランを、必須成分として含むことを特徴とする樹脂組成物。 【化1】
式中、置換基R1〜R3の内の少なくとも一つは、電子吸引基置換のアラルキル基もしくはアリール基であり、それらは互いに同一であっても異なっていても良い。 R4およびR5は、水素原子、一価の有機基、もしくはC1と共に環状構造を形成している有機基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。 【請求項2】 一般式(1)で表される有機ホスホランの置換基R4およびR5が、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基、エステル基、およびシアノ基の中から選ばれた、1種もしくは2種であることを特徴とする、請求項1記載の樹脂組成物。 【請求項3】 一般式(1)で表される有機ホスホランの置換基R4およびR5が、C1と共に形成している環状構造が、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造、およびフルオレン構造の中のいずれかであることを特徴とする、請求項1記載の樹脂組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、保存安定性が良好で、流動性に優れ、かつ硬化性と耐湿性に優れた半導体封止用のエポキシ樹脂組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、成形時における硬化を促進するために触媒が添加されている。しかしこの触媒は、室温程度の低い温度でも硬化促進効果を示すために、樹脂組成物の品質を低下させてしまうことが問題となっている。すなわち、ICやLSIの半導体素子や電気部品などの封止成形を行なう際に、成形時の流動性の低下による充填不良や、ICチップの金ワイヤーの断線、導通不良などの問題を抱えている。例えば、イミダゾール系化合物やアミン類、含窒素複素環式化合物、有機ホスフィン化合物などが硬化触媒として用いられるが、保存・運搬時の低温保管・諸成分との混合時の管理、成形条件の厳密性といった、製造後の品質管理のための煩雑な手間を免れることができなかった。 【0003】そこで、保存安定性を改良するために近年では、室温程度の比較的低温では活性を示さず、成形加熱時にのみ活性を示すような、触媒能の潜伏化検討がなされてきた。例えば、マイクロカプセル化や化学的修飾といった手法である。 【0004】これらの手法のうちで現在最も有効なアプローチは、三級ホスフィンの四級ホスホニウム化である。実際にテトラ置換ホスホニウムのボレート塩や有機酸塩を触媒として用いることにより、保存安定性が良好で、成形時の流動性に優れ、かつ硬化性に優れた樹脂組成物を得ることができることは当業者間においては公知である。しかし、触媒が塩構造をしていることから、樹脂マトリックス中に分散したときに遊離アニオンが耐湿性に悪影響を与え、ICチップ腐食を引き起こす。このため、触媒としてイオン構造をしていない非塩系触媒の開発が求められている。その例として、特開平7-228671号公報には非塩系のアルキリデントリフェニルホスホランの例示があるが、リン側置換基がフェニル基に限定されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような問題点を克服すべく種々検討した結果なされたものであり、保存安定性が良好で、流動性に優れ、かつ硬化性と耐湿性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機ホスホランのリン側置換基について種々検討した結果、電子吸引基置換のアラルキル基もしくはアリール基をリン原子上に持つ、有機ホスホランを触媒として利用することにより、保存安定性が良好で、流動性に優れ、かつ硬化性と耐湿性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0007】すなわち本発明は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、および一般式(1)で表される有機ホスホランを、必須成分として含むことを特徴とする樹脂組成物である。 【化1】
式中、置換基R1〜R3の内の少なくとも一つは、電子吸引基置換のアラルキル基もしくはアリール基であり、それらは互いに同一であっても異なっていても良い。 R4およびR5は、水素原子、一価の有機基、もしくはC1と共に環状構造を形成している有機基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明において用いられるエポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、含臭素エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、例えばトリスヒドロキシンフェニルメタン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、およびジシクロペンタジエンとフェノール類の縮合反応により合成されたフェノール樹脂をグリシジルエーテル化することによって得られるエポキシ樹脂やナフタレン型エポキシ樹脂などの、従来から半導体装置の封止用に使われる各種エポキシ樹脂が使用できる。 【0009】また、本発明で用いるフェノール樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものである。フェノールの一般的な定義は、ベンゼン、ナフタレン、フェロセンなど芳香族性を持つ分子の、芳香環上の水素原子を水酸基に置換したもの、であり、フェノールとして定義される化合物とカルボニル化合物の縮合生成物がフェノール樹脂である。本発明で用いるフェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、t―ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂などのノボラック変性型フェノール樹脂や、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレンのポリオキシスチレン樹脂、ナフトール樹脂などを挙げることが出来る。エポキシ樹脂とフェノール樹脂との配合比は、エポキシ樹脂中のエポキシ基当量当たり、フェノール樹脂中の水酸基が0.5〜2.0となるように配合することが好ましい。上記範囲をはずれると、充分な硬化性が得られないことがある。 【0010】さらに、本発明において用いる有機ホスホランは、前記の一般式(1)で表される。一般式(1)において、R1〜R3の有機基としては、少なくとも一つが電子吸引基置換のアラルキル基もしくはアリール基であれば良い。ここで言う電子吸引基とは、ハメットの考え方を採用すれば、σP-Xが正の値を示す置換基であると言うことができる(東京化学同人「有機反応機構」第五版、377〜381頁参照)。具体的には例えばハロゲン化フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、アセトフェニル基などが例示されるが、それらは互いに同一であっても異なっていても良い。 【0011】また、R4およびR5は、水素原子もしくは一価の有機基であれば良く、互いに同一であっても異なっていても良い。具体的には、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基などが、取り扱いおよび原料供給の面で好適である。R4およびR5はさらに、C1と共に環状構造を形成していても良く、リンイリド構造が骨格上安定になるため好ましい。具体的には例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのシクロアルカン構造、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどのシクロアルケン構造、あるいはフルオレン構造などが挙げられる。 【0012】有機ホスホランの配合量は、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲で用いることが好ましい。有機ホスホランの配合量が0.1重量部未満では、充分な効果促進効果が得られない。逆に、20重量部を超えると成形時の流動性や耐湿性の低下が見られる場合がある。 【0013】また、本発明の樹脂組成物には、必須成分であるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、及び有機ホスホランの他に、必要に応じて、無機充填剤、シランカップリング剤、離型剤、難燃剤、顔料などの、当業者間では公知の添加剤を加えることができる。 【0014】 【実施例】以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら制限されるものではない。尚、実施例および比較例において使用した、樹脂および触媒(有機ホスホラン)の構造はつぎに示す通りである。 【0015】 【化2】
【0016】 【化3】
【0017】 【化4】
【0018】 【化5】
【0019】 【化6】
【0020】 【化7】
【0021】 【化8】
【0022】 【化9】
【0023】 【化10】
【0024】(実施例1〜6、及び比較例1〜3)成形材料を調整し、その特性評価のため、そのスパイラルフローとフロー残存率の測定、硬化トルクの測定、およびプレッシャークッカー試験を行なった。それぞれの評価方法は、下記の通りとした。 【0025】(1)スパイラルフローEMMI―I―66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分の条件で測定した。スパイラルフローは、成形材料の流動性のパラメーターであり、数値が大きいほど流動性が大きいことを示す。 【0026】(2)フロー残存率材料を調整した直後のスパイラルフロー、および、30゜Cにて15日間保存した後のスパイラルフローを測定し、材料調整直後のスパイラルフロー値(cm)に対する、保存後のスパイラルフロー値(cm)の百分率を求めた。この値が大きいほど、保存性が良いことを示す。 【0027】(3)硬化トルクキュラストメーター(オリエンテック(株)製、JSRキュラストメーターIVPS型)を用いて、175℃、90秒後のトルクを求めた。キュラストメーターにおけるトルクは硬化性のパラメーターであり、数値が大きいほど硬化性が高いことを示す。 【0028】(4)プレッシャークッカー試験(PCT) テスト素子を搭載した16pDIPを、175℃、2分の条件で成形した後、175℃で8時間ポストキュアを実施し、オートクレーブ中、125゜C、2.3気圧の条件で耐湿試験を実施した。不良判定は、n=10にて5個導通不良になった時間を、50%不良発生時間とした。50%不良発生時間の長いものほど、耐湿性が良好であることを示す。 【0029】(実施例1)オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN―1025―65、軟化点65℃、エポキシ当量210)を67重量部、フェノールノボラック樹脂(住友デュレズ(株)製、PR―51470、軟化点105℃、水酸基当量104)を33重量部、触媒として式(4)で表される有機ホスホランを1.8重量部、溶融シリカ300重量部およびカルナバワックス2重量部を配合し、90℃で8分間ロール混練して成形材料を得た。この成形材料のスパイラルフローは81cm、硬化トルクは76kgf・cmで、フロー残存率は89%であった。また、 PCT耐湿信頼性試験において、2000時間まで不良は発生しなかった。 【0030】(実施例2)式(2)で示されるエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、YX4000H、エポキシ当量187〜197)を52重量部、式(3)で示されるフェノール樹脂を48重量部、触媒として式(5)で表される有機ホスホランを2.5重量部、球状溶融シリカ800重量部、およびカルナバワックス3重量部を配合し、実施例1と同様に操作して成形材料を得た。得られた材料のスパイラルフローは79cm、硬化トルクは82kgf・cmで、フロー残存率は80%であった。また、PCT耐湿信頼性試験において、2000時間まで不良は発生しなかった。 【0031】(実施例3)実施例1において、触媒を式(6)で表される有機ホスホラン1.9重量部に代えた以外は実施例1と同様に配合・操作して成形材料を得た。得られた材料のスパイラルフローは84cm、硬化トルクは80kgf・cmで、フロー残存率は90%であった。また、PCT耐湿信頼性試験において、2000時間まで不良は発生しなかった。 【0032】(実施例4)実施例2において、触媒を式(7)で表される有機ホスホラン2.3重量部に代えた以外は実施例1と同様に配合・操作して成形材料を得た。得られた材料のスパイラルフローは80cm、硬化トルクは86kgf・cmで、フロー残存率は82%であった。また、PCT耐湿信頼性試験において、2000時間まで不良は発生しなかった。 【0033】(実施例5)実施例1において、触媒を式(8)で表される有機ホスホラン1.8重量部に代えた以外は実施例1と同様に配合・操作して成形材料を得た。得られた材料のスパイラルフローは77cm、硬化トルクは79kgf・cmで、フロー残存率は92%であった。また、PCT耐湿信頼性試験において、2000時間まで不良は発生しなかった。 【0034】(実施例6)実施例2において、触媒を式(9)で表される有機ホスホラン2.6重量部に代えた以外は実施例1と同様に配合・操作して成形材料を得た。得られた材料のスパイラルフローは82cm、硬化トルクは83kgf・cmで、フロー残存率は83%であった。また、PCT耐湿信頼性試験において、2000時間まで不良は発生しなかった。 【0035】(比較例1)実施例1において、触媒をトリフェニルホスフィン0.8重量部に代えた以外は、実施例1と同様に配合・操作して成形材料を得た。得られた材料のスパイラルフローは79cm、硬化トルクは74kgf・cmで、フロー残存率は33%であった。また、PCT耐湿信頼性試験の50%不良発生時間は、1100時間であった。 【0036】(比較例2)実施例2において、触媒をテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(TPP−K)3.9重量部に代えた以外は実施例1と同様に配合・操作して成形材料を得た。得られた材料のスパイラルフローは87cm、硬化トルクは83kgf・cmで、フロー残存率は73%であった。また、PCT耐湿信頼性試験の50%不良発生時間は、600時間であった。 【0037】(比較例3)実施例1において、触媒を式(10)で表される有機ホスホラン2.0重量部に代えた以外は実施例1と同様に配合・操作して成形材料を得た。得られた材料のスパイラルフローは80cm、硬化トルクは81kgf・cmで、フロー残存率は70%であった。また、PCT耐湿信頼性試験において、2000時間まで不良は発生しなかった。 【0038】実施例および比較例について、配合組成および評価結果をまとめて表1に示した。触媒として有機ホスホランを配合した本発明の樹脂組成物(実施例1〜6)は、いずれも製造直後の流動性が良好であり、またフロー残存率も極めて高い値を示したことから、保存安定性に優れているといえる。また、硬化トルクも高い値を示し、 PCT50%不良発生時間が2000時間を超えるレベルであったことから、硬化性および耐湿性にも優れているといえる。 【0039】一方、比較例1では、流動性や硬化性は実施例同様の良好な値を示すものの、フロー残存率は50%以下の低い値を示したことから、保存安定性に問題があるといえる。比較例2では、流動性、硬化性、保存安定性が良好であるものの、PCT50%不良発生時間が1000時間以下となり耐湿性が良くない。比較例3に対して、本発明の実施例は諸特性が同等以上であることを保持しつつ、保存安定性の点で向上が見られた。 【0040】 【表1】
【0041】 【発明の効果】本発明に係るエポキシ樹脂組成物はいわゆる潜在硬化性に優れており、室温程度では硬化反応が起こりにくいために、長期間にわたる安定保存が可能になった。リン原子上に電子吸引性置換基を導入することにより、保存安定性の改良を行うことができた。また、触媒が非塩系構造をしているために、耐湿性に優れた材料を与えることから、特に半導体封止材に有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002141 【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月22日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−60903 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−226512 |
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