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【発明の名称】 水溶性重合体の水分散組成物及びその製造方法
【発明者】 【氏名】上野 信彦

【氏名】森 康治

【氏名】三上 洋

【要約】 【課題】低粘度で、取り扱い性に優れた、カチオン性水溶性重合体の水分散組成物を提供する。

【解決手段】(a)N−ビニルアミドに由来する構成単位と(b)(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル及び(メタ)アクリル酸のアミドから選ばれる少なくとも1種のアクリル系単量体に由来する構成単位を(a):(b)=60:40〜90:10(モル比)の割合で含有する共重合体の加水分解物が、遊離の酸を含む水中に分散されてなる水溶性重合体の水分散組成物
【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)N−ビニルアミドに由来する構成単位と(b)(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル及び(メタ)アクリル酸のアミドから選ばれる少なくとも1種のアクリル系単量体に由来する構成単位を(a):(b)=60:40〜90:10(モル比)の割合で含有する共重合体の加水分解物が、遊離の酸を含む水中に分散されてなる水溶性重合体の水分散組成物【請求項2】N−ビニルアミドがN−ビニルホルムアミド又はN−ビニルアセトアミドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水溶性重合体の水分散組成物【請求項3】アクリル系単量体が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリルアミド及びアクリル酸から選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の水溶性重合体の水分散組成物【請求項4】(a)N−ビニルアミドに由来する構成単位と(b)アクリル系単量体に由来する構成単位のモル比(a):(b)が60:40〜80:20であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の水溶性重合体の水分散組成物【請求項5】遊離の酸の量が、該共重合体の構成単位(a)及び(b)に対し0.01〜3倍モルであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の水溶性重合体の水分散組成物【請求項6】遊離の酸が塩酸であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の水溶性重合体の水分散組成物【請求項7】(a)N−ビニルアミドと(b)(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル及び(メタ)アクリル酸のアミドから選ばれる少なくとも1種のアクリル系単量体を、(a):(b)=60:40〜90:10(モル比)の割合で重合させ、得られた共重合体を水溶液中で、加水分解後の水溶液中に遊離の酸が存在する条件下、酸又は塩基を用いて加水分解し、加水分解された共重合体の微粒子を水中に分散させることを特徴とする水溶性重合体の水分散組成物の製造方法【請求項8】(a)N−ビニルアミドと(b)アクリル系単量体を水溶液中で共重合させることを特徴とする請求項7に記載の水溶性重合体の水分散組成物の製造方法【請求項9】(a)N−ビニルアミドと(b)アクリル系単量体を(a):(b)=60:40〜80:20(モル比)の割合で重合させることを特徴とする請求項7又は8に記載の水溶性重合体の水分散組成物の製造方法【請求項10】N−ビニルアミドがN−ビニルホルムアミド又はN−ビニルアセトアミドであることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の水溶性重合体の水分散組成物の製造方法【請求項11】共重合体の加水分解を、該共重合体を構成する単量体(a)及び(b)に対し1.01〜4倍モルの塩酸を用いて行うことを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の水溶性重合体の水分散組成物の製造方法
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性重合体の水分散組成物に関する。更に詳しくは、カチオン性の水溶性重合体の水分散物であって、水希釈やpH調節により容易に水溶液となり、高分子凝集剤等として使用される組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアミンは、下水汚泥用の高分子凝集剤、紙用薬剤(添料歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤、サイズ定着剤等)や繊維染色時の染料定着剤等として有用な、カチオン系水溶性高分子である。ポリビニルアミンの製法としては種々知られているが、現在、工業的にはNービニルアミドの重合体の加水分解に依る製法が最も一般的である。この方法の利点は、モノマーの重合性が高いため、低分子量から分子量数百万の高分子量の重合体を比較的自由に設計出来ること、共重合により自由に他の官能基を導入できること、加水分解率を調節することにより任意のカチオン量の重合体が得られることなどが挙げられる。一方、問題点は、Nービニルアミドの値段が、比較的高価であることが挙げられる。そのためそれほど高密度のカチオン量を要求されない場合、コスト低減を主目的に他の不飽和二重結合を有する単量体との共重合体が使用されている。
【0003】共重合の相手は、エチレン性二重結合を有するモノマーであるが、スチレン、エチレン等は共重合性が悪く、不適当である。アクリロニトリルは交互共重性がよく、且つ、加水分解によりカチオン性重合体を与えるが、そのカチオン基はNービニルアミドの加水分解で生じたアミノ基が、隣接するニトリル基と反応して生成するアミジン環に由来するので、用途によっては、その性質の相違が性能に影響する可能性もある。アクリルアミド、アクリル酸エステル類は、共重合性が良いものの加水分解によりカルボキシル基を生成し、両性化するため、カチオン性ポリマーとしての利用は制限されると考えられてきた。
【0004】一方、上記ポリビニルアミンの用途の多くは、凝集剤や紙用薬剤の様に高分子量の重合体を水溶液にして用いる。而して高分子量の水溶性重合体の水溶液は、極めて高粘度となりやすく、輸送や使用時の取り扱いが難しい。そのため、製品形態は、低濃度の水溶液とするか、重合体を粉末とし使用場所で水に溶解するかの何れかであった。しかし、低濃度の水溶液にすると、輸送コストが増大し、また粉末化すると製造コストが大きくなる上、粉塵が発生したり、使用時の溶解に手間がかかり無駄が多くなるという問題があった。
【0005】この点を改良するものとして、重合体を油中水型エマルションとすることが提案されている(特開平5−117313号他)。これは、重合体の高濃度水溶液が非水溶媒中に分散しているもので、単なる水溶液より遥かに低粘性で取り扱い性が良くなり濃度も高くすることが出来るが、オイルを多量に含有することや、エマルションの安定性に難点がある。特開平8−188699はN−ビニルアミド単独重合体又はこれとアクリロニトリルとの共重合体を加水分解後、硝酸塩水溶液中に析出させスラリー化した組成物を提案しているが、アクリロニトリルの共重合体には上述の如き問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は比較的低コストで取り扱い性に優れたカチオン系水溶性重合体の水分散液を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は種々検討の結果、N−ビニルアミドは、前述の様に、アクリル酸エステル、アクリルアミド等とは比較的交互性の高い共重合体を与え、且つ重合性もよく高分子量の重合体をを与えるが、加水分解するとアミノ基ばかりでなくカルボキシル基を生じて両性化し、カチオン性重合体として使用し難いと考えられていたが、単量体の比率を調節して重合し加水分解すると、カチオン性に優れた重合体が得られ、また水中で、遊離の酸が残存する条件下で加水分解すると、生成重合体が微粒子状で分散した水分散液が得られることを知り、本発明を達成した。即ち本発明は、(a)N−ビニルアミドに由来する構成単位と(b)(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル及び(メタ)アクリル酸のアミドから選ばれる少なくとも1種のアクリル系単量体に由来する構成単位を(a):(b)=60:40〜90:10(モル比)の割合で含有する共重合体の加水分解物が、遊離の酸を含む水中に分散されてなる水溶性重合体の水分散組成物に存する。また本発明は、かかる水分散組成物の製造方法にも関する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本発明に係る水溶性重合体の製造に使用される(a)N−ビニルアミドとしては、Nービニルホルムアミド,N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオン酸アミド,N−メチル−Nービニルアセトアミド等が例示されるが、重合性、重合後の加水分解性が良いこと、更にアクリル系単量体との共重合性等を考慮すると,N−ビニルホルムアミドが好ましい。N−ビニルアミドと共重合させる(b)のアクリル系単量体としては、アクリル酸又はメタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等の低級アルキルエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類が挙げられる。(本明細書では簡単のため、アクリル酸又はメタクリル酸を「(メタ)アクリル酸」と記載する。)。好ましくはアクリル酸、アクリル酸アルキルエステル又はアクリルアミドであり、特にアクリルアミド、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。また、2種以上のアクリル系単量体を併用しても良い。
【0009】本発明においては、(a)N−ビニルアミドと(b)アクリル単量体の共重合比の選択は重要である。即ち、本発明の目的とするカチオン性の重合体を得るためには、(a)N−ビニルアミドが(b)アクリル系単量体より過剰であることが必要である。一方、(b)アクリル系単量体が少なすぎると、コスト低減効果が小さいばかりでなく、加水分解後の重合体粒子の析出性が悪くなり、好ましい水分散組成物が得られない。従って、単量体のモル比は、(a)N−ビニルアミド:(b)アクリル系単量体=60:40〜90:10、好ましくは60:40〜80:20である。また、加水分解後カチオン性基を与える単量体(a)がアニオン性基を与える単量体より過剰であるという本発明の趣旨に反しない限り、他のモノマーを添加して3元或いはそれ以上多種の共重合体とすることも可能である。かかる目的に使用される他のモノマーとしては、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、エチレン等が例示される。
【0010】N−ビニルアミドとアクリル系単量体の共重合方法は、公知の方法に従って行われる。即ち共重合は通常、水溶性ラジカル重合開始剤の存在下、水性媒体中で行われる。ラジカル重合開始剤としては、開始剤の分解により酸を発生しないので、アゾ系開始剤が好ましい。具体的には、例えば2、2’ーアゾビスアミジノプロパン塩酸塩、2、2’ーアゾビスー2ー(5ーメチルー2ーイミダゾリンー2ーイル)プロパン塩酸塩等が例示される。開始剤の量は、所望の共重合体の分子量に応じ広い範囲から選択できるが、通常、10〜100、000ppmである。
【0011】反応形式は、水溶液重合、有機溶媒からの沈殿重合、非水系での逆相懸濁重合、乳化重合等のいずれでもよいが、重合後、同じ系で加水分解を行うことが出来るという簡便さから水溶液重合が好ましい。但し、例えば、高分子量の重合体の製造を目的とする場合等では、水溶液重合では重合反応液が極めて高粘性となり取り扱いが困難になるので、水溶性の有機溶媒、無機或いは有機の塩、水溶性ポリマー、界面活性剤などの助剤を添加して、重合体を析出させる塊状重合を行うこともできる。この助剤としては、硝酸ソーダ、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム等の無機塩、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、セルロース及びその誘導体等の高分子化合物が挙げられる。また、単量体が水不溶性の場合は、必要に応じ、油溶性開始剤を使用し、懸濁重合、乳化重合等で重合することも出来る。
【0012】反応温度は、使用する開始剤の分解速度によっても異なるが、通常、30〜90℃の範囲で行われる。単量体は、重合開始時に全量添加する一括仕込みでも、重合の進行に合わせて、添加する滴下重合であってもよい。重合によって得られる溶液の重合体濃度に関しては、重合体濃度が濃厚過ぎると、以下で述べる加水分解反応時の発熱や、分子間の副反応による架橋、ゲル化等が起こりやすく、また薄過ぎると、加水分解後に重合体が析出し難く安定な分散組成物の形成が困難となる。
【0013】共重合体の加水分解も公知の方法に準じて行うことが出来る。即ち、水溶液重合の場合は、重合反応液をそのまま、或いは必要に応じ重合体濃度を調整し、また、その他の重合方法を採用した場合は、重合反応液から重合体を分離し、水に分散または溶解し、酸又は塩基を添加して加熱、攪拌することにより加水分解する。
【0014】加水分解により生成するアミノ基は、反応性が高く、架橋、ゲル化を惹起することがある。特にアルデヒド基を有する不純物が存在すると架橋しやすいので、ヒドロキシルアミン類、過酸、過酸化物等のアルデヒドと反応或いはアルデヒドを分解する物質を添加しても良い。加水分解試薬は酸でも塩基でも良いが、過剰の試薬を使用することにより、加水分解後そのまま、重合体の水分散液とすることが出来るので、酸を使用することが好ましい。用いる酸としては、1価の強酸が好ましく、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等が挙げられるが、特に塩酸の使用が好ましい。塩基としては、強塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0015】本発明においては、加水分解後の系内に、共重合体を構成する単量体に対し、0.01倍モル以上、好ましくは、0.2倍モル以上の遊離の酸を存在させることが必要である。遊離の酸量の上限は特に規定されるものではないが、水分散組成物の液性等を考慮すると、通常、3倍モル以下である。従って、加水分解試薬として1価の強酸、例えば塩酸を使用する場合は、加水分解される共重合体を構成する単量体に対し、1.01倍モル以上、好ましくは1.2倍モル以上4倍モル迄の酸を使用する。加水分解試薬として使用された酸は、共重合体のホルムアミド基をアミノ基に加水分解し、また、エステル基、カルバモイル基をカルボキシル基に加水分解すると共に、加水分解後の共重合体を疎水化し、析出させる役割を果たし、加水分解の進行に伴い、重合体の微粒子が析出しスラリーを形成する。加水分解試薬として1価の塩基を使用する場合は、添加した塩基の量+0.01モル以上、好ましくは塩基の量+0.2モル以上の酸を添加する必要がある。
【0016】特に加水分解に供される重合体溶液が、均一系の場合、1ミクロン程度の微細粒子を析出する。析出粒子は、中和もしくは希釈すると、容易に水に溶解し均一溶液を形成する。一方、このスラリー溶液に塩類を添加して塩析効果を高めると部分中和或いはある程度希釈しても安定な水分散系を保持することが出来る。塩としては1価の酸の塩が好ましく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、硝酸ソーダ、硝酸カリ、硝酸アンモニウム、スルファミン酸ソーダ、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩等が例示される。
【0017】この塩類添加の効果は、加水分解の際に酸もしくは塩基と塩類を共存させておくことによっても同様に期待できることから、実質的に最終的な遊離の酸を減らすこともできる。本発明により得られた水溶性重合体の水分散組成物は、少なくとも、0.1〜50重量%の水溶性重合体、該重合体を構成する単量体に対し0.01〜3モル倍の遊離の酸及び水から構成させる。本発明組成物は、同量の重合体を含有する水溶液にくらべ、粘度が低く、そのため、輸送、その他の取り扱いが容易である。また、水で希釈することにより容易に水溶液になるので、使用場面で所望の濃度の水溶液を、容易に調製することが出来る。
【0018】本発明により得られた共重合体水分散液は、カチオン性優位で、実質的にカチオン重合体としての性能を示す。その理由は明らかではないが、(a)Nービニルアミドに由来するアミノ基と(b)アクリル系単量体に由来するカルボキシル基の1部とでラクタム環を形成し、その際、アニオン、カチオンのユニットを1:1で消費するため、両者のモル比の差が大きくなるものと推測される。即ち、後述する実施例に示される様に、(a):(b)=5:5の重合体の加水分解物のカチオン:アニオンの比は、大略1:1であるのに対し、(a):(b)=7:3の共重合体の場合は、大略9:2或いはそれ以上にカチオン性が優勢となる。また、形成されたラクタム環が共重合体の疎水化に寄与し、共重合体を析出させるものと推定される。
【0019】本発明の水分散組成物はカチオン系凝集剤、紙薬剤例えば、添料歩留まり剤、濾水性向上剤、サイズ定着剤、湿潤並びに乾燥強度増強剤、インクジェット用紙のインク定着等の表面処理剤、繊維処理剤、染料定着剤等として使用することが出来る。
【0020】
【実施例】以下に実施例及び試験例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び試験例に制約されるものではない。なお、実施例中「%」は特記しない限り「重量%」を意味する。
【0021】重合例 1N−ビニルホルムアミド/アクリルアミド(モル比7/3)の共重合体;攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロート及び窒素導入管を備えた3Lのジャケット付きセパラブルフラスコに、脱塩水652g,N−ビニルホルムアミド210g,アクリルアミド90g,次亜塩素酸ナトリウム3gを加え、70℃に昇温した。次いで、窒素雰囲気下に、アゾ系重合開始剤V−50の10%水溶液45gを加え、重合を開始させた。開始後5時間で温度を下げ、重合反応を停止し、N−ビニルホルムアミド/アクリルアミド共重合体の30%水溶液(重合体A水溶液)を得た。この重合体は1N食塩水中、25℃で測定した還元粘度(ηsp/C、C=0.1%)は0.3dl/gであった。
【0022】重合例 2N−ビニルホルムアミド/アクリルアミド(モル比8/2)の共重合体;N−ビニルホルムアミドの量を240g、アクリルアミドの量を60gに変更した以外は重合例1と同様に反応して、重合体濃度30%の水溶液(重合体B水溶液)を得た。この重合体は1N食塩水中、25℃で測定した還元粘度(ηsp/C、C=0.1%)は0.4dl/gであった。
【0023】重合例 3Nービニルホルムアミド/メチルアクリレート(モル比7/3)の共重合体;重合例1で用いたと同様のセパラブルフラスコに、脱塩水655g,Nービニルホルムアミド197.4g、メチルアクリレート102.6gを加え、70℃に昇温した。次いで、窒素雰囲気下に、V−50の10%水溶液45gを加え、重合を開始させた。開始後5時間で温度を下げ、重合反応を停止し、N−ビニルホルムアミド/メチルアクリレート共重合体の30%シャーベット状水溶液(重合体C水溶液)を得た。この重合体は1N食塩水中、25℃で測定した還元粘度(ηsp/C、C=0.1%)は1.1dl/gであった。
【0024】重合例 4N−ビニルホルムアミド/アクリルアミド(モル比7/3)の高分子量共重合体;重合例1で用いたと同様のセパラブルフラスコに、脱塩水577g,N−ビニルホルムアミド210g,アクリルアミド90g,ポリエチレングリコール(分子量2万)120gを加え、70℃に昇温した。次いで、窒素雰囲気下に、アゾ系重合開始剤V−50の10%水溶液3gを加え、重合を開始させた。開始後5時間で温度を下げ、重合反応を停止し、N−ビニルホルムアミド/アクリルアミド共重合体の30%シャーベット状水溶液(重合体D水溶液)を得た。この重合体は1N食塩水中、25℃で測定した還元粘度(ηsp/C、C=0.1%)は8.7dl/gであった。
【0025】重合例 5N−ビニルホルムアミド/アクリルアミド/アクリロニトリル(モル比5/3/2)の共重合体;攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロート及び窒素導入管を備えた1Lのジャケット付きセパラブルフラスコに、脱塩水288.5g,N−ビニルホルムアミド79g,アクリルアミド47.4g,アクリロニトリル23.6g、ポリエチレングリコール(分子量2万)60gを加え、70℃に昇温した。次いで、窒素雰囲気下に、アゾ系重合開始剤V−50の10%水溶液1.5gを加え、重合を開始させた。開始後5時間で温度を下げ、重合反応を停止し、N−ビニルホルムアミド/アクリルアミド/アクリロニトリル共重合体の30%シャーベット状水溶液(重合体E水溶液)を得た。得られた重合体は、食塩水に不溶であるため還元粘度の測定は行えなかった。
【0026】比較重合例 1N−ビニルホルムアミド/アクリルアミド(モル比1/1)の共重合体;N−ビニルホルムアミドの量を150g、アクリルアミドの量を150gに変更した以外は重合例1と同様に反応して、重合体濃度30%の水溶液(比較重合体3水溶液)を得た。この重合体は1N食塩水中、25℃で測定した還元粘度(ηsp/C、C=0.1%)は0.4dl/gであった。
【0027】実施例 1攪拌機、冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた300mlのジャケット付きセパラブルフラスコに、重合例1で得られた重合体水溶液Aを100g(ポリマー純分30g)仕込んだ。次いで36%塩酸42.8g(ポリマー中の全モノマーのモル数に対し1.4倍モル)を加えた後、昇温し、80℃で5時間加水分解を行った。加水分解の進行に伴い、微粒子が析出し白色の分散液が得られた(組成物A)。得られた白色分散液の1部を取り大量の10%塩酸(35%)/メタノール中に添加し、析出した重合体塩酸塩を濾取し、イオン当量及び還元粘度を測定した。なお、イオン当量の分析は以下の方法で行った。
カチオン当量:pH2.5でポリビニルスルホン酸カリウムを用い、トルイジンブルーを指示薬としてコロイド滴定を行った。
アニオン当量:過剰量のジアリルジメチルアンモニウムクロリドを加え、pH11でコロイド滴定(逆滴定)を行った。結果を表−1に示した。
【0028】実施例2〜3重合例2〜3で得られた重合体水溶液B,Cを用い、実施例1と同様にして、加水分解を行い、同様に白色の分散液(組成物B)及び淡黄色の分散液(組成物C)を得た。また実施例1と同様にして重合体を析出させ、そのイオン当量及び還元粘度を測定した。結果を表−1に示した。
【0029】実施例 4攪拌機、冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた300mlのジャケット付きセパラブルフラスコに、重合例4で得られた重合体水溶液Dを100g(ポリマー純分30g)仕込み、10%塩酸ヒドロキシルアミン水溶液23.9gを加え、50℃で1時間加熱した。次いで36%塩酸42.8g(ポリマー中の全モノマーのモル数に対し1.4倍モル)を加えた後、昇温し、80℃で5時間加水分解を行い白色の分散液(組成物D)を得た。実施例1と同様にして重合体のイオン当量及び還元粘度を測定し、結果を表−1に示した。
【0030】実施例 5重合例5で得られた重合体水溶液Eを用い、実施例1と同様にして、加水分解を行い、白色の分散液(組成物E)を得た。実施例1と同様にして重合体を析出させ、そのイオン当量及び還元粘度を測定した。結果を表−1に示した。
【0031】比較例1〜3重合度の異なる2種のポリN−ビニルホルムアミド(比較重合体1、2)の水溶液及び重合例6で得られた比較重合体水溶液3を用い、実施例1と同様に加水分解を行い、それぞれ、比較組成物1、2、3を得た。比較組成物1及び2は、透明溶液であり、比較組成物3は白色懸濁液であった。これらを実施例1と同様にして、重合体のイオン当量及び還元粘度を測定し、結果を表−1に示した。
【0032】
【表1】
表−1─────────────────────────────────── 原料重合体 単量体組成 加水分解後の重合体物成 外観 A:B:C:D イオン 当量(meq/g) 還元粘度 カチオン アニオン dl/g───────────────────────────────────組成物A 重合体A 7:3:0:0 8.8 1.9 0.4 白色懸濁液組成物B 重合体B 8:2:0:0 10.0 0.3 0.3 白色懸濁液組成物C 重合体C 7:0:3:0 9.1 0.6 0.8 淡黄色懸濁液組成物D 重合体D 7:3:0:0 6.6 0.6 測定不能 白色懸濁液組成物E 重合体E 5:3:0:2 5.6 1.4 2.34 白色懸濁液比較 10:0:0:0 12.6 0 0.5 透明溶液組成物1比較 10:0:0:0 8.6 0 3.3 透明溶液組成物2比較 比較重合体 5:5:0:0 4.8 4.1 測定不能 白色懸濁液組成物3 3─────────────────────────────────── 注:単量体A:N−ビニルホルムアミド 単量体C:メチルアクリレート 単量体B:アクリルアミド 単量体D:アクリロニトリル実施例で得られた重合体分散組成物の性能評価のため以下の試験を行った。
【0033】[パルプスラリーの濾水試験]
試験例1〜5及び比較試験例1〜3新聞故紙パルプスラリー(パルプ濃度0.8%、pH=4.5)200mlをポリエチレン製ビーカーに採り、実施例で得られた表−2に示す組成物を、水で希釈して重合体濃度を0.1%とした液を0.96ml添加した後、タービン羽根を備えた攪拌機を用いて、250rpmで20秒間攪拌し、パルプを凝集させた。次いで、紙漉き用濾布を敷いたロートに、内径5cmの塩ビ製の円筒を置き、その中へ凝集したパルプスラリーを注ぎ込み、10秒後の濾水量をメスシリンダーを用いて測定した結果を表−2に示した。
【0034】
【表2】
表−2 濾水試験─────────────────────────────────── 水分散組成物 10秒後の濾水量(ml)
─────────────────────────────────── 試験例1 組成物A 70 試験例2 組成物B 50 試験例3 組成物C 60 試験例4 組成物D 50 試験例5 組成物E 65 比較試験例1 比較組成物1 45 比較試験例2 比較組成物2 70 比較試験例3 比較組成物3 40───────────────────────────────────本発明組成物は、比較試験例1、2で使用されたN−ビニルホルムアミドの単独重合体の加水分解物に比べ、同程度の濾水性を示した。
【0035】[凝集性試験]
試験例6〜7及び比較試験例4〜5下水処理場混合生汚泥(固形分2.0%、pH6.0)200mlを300mlのポリエチレン製ビーカーに採り、実施例で得られた表−3に示す水分散組成物の水希釈液(重合体濃度0.2%)を重合体濃度が0.6%となる量添加した後、TRITON社製のCST測定装置の攪拌機で10秒間攪拌した。攪拌により生成した凝集フロックの大きさを測定した後、60メッシュのナイロン濾布を付した円筒に移し、重力濾過により、凝集汚泥を濾過し、10秒後の濾水量を測定した。また、濾過後汚泥を30cm角のポリエチレン製フィラメント濾布2枚に挟み、更にこれを水抜け溝を有するポリ塩化ビニル製の板に挟み、2kg/cm2 の圧力で60秒間圧搾した後、定法により脱水汚泥ケーキの含水率を測定した。結果を表−3に示した。なお、比較試験例5では実施例で得られた水分散組成物の代わりに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムの重合体の水溶液(比較組成物4)を使用した。
【0036】
【表3】
表−3 凝集試験─────────────────────────────────── 水分散組成物 10秒後の濾水量 含水率 (ml) (%)
─────────────────────────────────── 試験例6 組成物D 140 79.1 試験例7 組成物E 140 79.4 比較試験例4 比較組成物2 145 79.8 比較試験例5 比較組成物4 100 81.0───────────────────────────────────【0037】
【発明の効果】本発明によれば、Nービニルアミドとアクリル系単量体を特定の比率で重合させた共重合体の加水分解物を、遊離の酸が存在する水中に分散させることにより、低粘度で、取り扱い性に優れたカチオン性水溶性重合体の水分散組成物が得られる。本発明組成物は、水で希釈することにより容易にカチオン性重合体水溶液となり、紙用薬剤、凝集剤等として、Nービニルアミドの単独重合体から得られるカチオン性水溶性重合体と同等の性能を有し、低コストで取り扱い性に優れた、組成物である。
【出願人】 【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 曉司
【公開番号】 特開平11−60879
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−217417