| 【発明の名称】 |
耐油、耐熱ゴム組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 豊
【氏名】森川 明彦
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| 【要約】 |
【課題】フッ素ゴムとアクリルゴムの併用に基づいた、耐熱性、耐油性、強度、伸び、圧縮永久ひずみ特性、および含アミンオイル耐性に優れた加硫ゴムを与える、スコーチ特性に優れたゴム組成物を提供すること。
【解決手段】(A)フッ素ゴム、(B)炭素−炭素不飽和結合を有するアクリルゴム、(C)有機過酸化物、(D)有機第4級アンモニウム塩、有機第4級ホスホニウム塩、および1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンから誘導される塩からなる群から選択される少なくとも1種の有機塩、(E)多官能性化合物、ならびに(F)金属酸化物および金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物を含有する耐油、耐熱ゴム組成物が提供される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】(A)フッ素ゴム、(B)炭素−炭素不飽和結合を有するアクリルゴム、(C)有機過酸化物、(D)有機第4級アンモニウム塩、有機第4級ホスホニウム塩、および1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンから誘導される塩からなる群から選択される少なくとも1種の有機塩、(E)多官能性化合物、ならびに(F)金属酸化物および金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物、を含有することを特徴とする耐油、耐熱ゴム組成物。 【請求項2】上記各成分の配合割合が、(A)フッ素ゴム95〜5重量部、(B)アクリルゴム5〜95重量部(ここで、(A)と(B)の合計量は100重量部である)、(C)有機過酸化物0.5〜20重量部、(D)有機塩0.1〜10重量部、(E)多官能性化合物0.5〜20重量部、(F)金属化合物0.5〜30重量部、であることを特徴とする請求項1記載のゴム組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、耐油、耐熱ゴム組成物に関し、詳しくはフッ素ゴムとアクリルゴムとの併用系に基づく耐油、耐熱ゴム組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】アクリルゴムは、耐熱性、耐油性および耐候性を兼ね備えたゴム材料であり、自動車用ゴム部品などとして広範に用いられている。近年、自動車の高機能化に伴い、自動車用ゴム部品を構成するアクリルゴムには、耐熱性などの諸特性について更なる向上が要請されている。 【0003】これらの要請に応えるため、耐熱性、耐薬品性などに極めて優れたゴム材料であるフッ素ゴムとの複合化を図ることが検討されている。例えば、フッ素ゴムと活性ハロゲン原子、エポキシ基または不飽和結合基を有するアクリルゴムとを、(イ)2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン〔通称ビスフェノールAF〕、(ロ)第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩またはグアニジン類、(ハ)金属酸化物または水酸化物、および(ニ)アンモニアまたはアミンの水素酸付加塩とともに混合する技術(特開昭54−154446号公報)、6−フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンおよび/または4−フッ化エチレンからなるフッ素ゴムと、架橋性水酸基または架橋性塩素原子を有するアクリルゴムとが相互分散した複合体に、(イ')金属酸化物および/または金属水酸化物よりなる受酸剤、ならびに(ロ')第4級アンモニウム塩および/または第4級ホスホニウム塩よりなる有機塩、を混合する技術(特開平7−286081号公報)などが提案されている。 【0004】しかしながら、上記の技術は、加硫反応速度の制御が困難なためスコーチ特性に問題があったり、機械的強度、圧縮永久歪特性が充分なレベルに達せず、またエンジンルームの高温化に対応した潤滑油に添加されるアミン系添加剤に関する耐性に乏しく、自動車用途の製品を工業的に供給することが困難である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フッ素ゴムとアクリルゴムの併用に基づいた、スコーチ特性に優れ、耐油性および耐熱性に優れた加硫ゴムを与える耐油、耐熱ゴム組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、強度、伸び、圧縮永久歪特性、および含アミンオイル耐性などに優れた加硫ゴムを与えるゴム組成物を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、(A)フッ素ゴム、(B)炭素−炭素不飽和結合を有するアクリルゴム、(C)有機過酸化物としての有機過酸化物、(D)有機第4級アンモニウム塩、有機第4級ホスホニウム塩、および1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンから誘導される塩からなる群から選択される少なくとも1種の有機塩、(E)多官能性化合物、ならびに(F)金属酸化物および金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物、を含有することを特徴とする耐油、耐熱ゴム組成物が提供されて、本発明の上記目的が達成される。さらに、本発明によれば、好ましい耐油、耐熱ゴム組成物として、上記各成分の配合割合が、(A)フッ素ゴム95〜5重量部、(B)アクリルゴム5〜95重量部(ここで、(A)と(B)の合計量は100重量部である)、(C)有機過酸化物0.5〜20重量部、(D)有機塩0.1〜10重量部、(E)多官能性化合物0.5〜20重量部、(F)金属化合物0.5〜30重量部、であることを特徴とする耐油、耐熱ゴム組成物が提供される。本発明の耐油、耐熱ゴム組成物は、(A)フッ素ゴムと(B)アクリルゴムとを組み合わせて用いているので、耐熱性および耐油性に優れる加硫物が得られる。しかも、本発明の耐油、耐熱ゴム組成物は、上記成分(C)〜(F)からなる特定の加硫系を用いているので、高分子鎖に架橋点となる炭素−炭素不飽和結合を有する(B)アクリルゴムと、(A)フッ素ゴムとが加硫時に効率よく共加硫する。その結果、得られる加硫物は、強度、伸びおよび圧縮永久歪特性に優れ、しかも驚くべきことには、含アミンオイル耐性に優れた加硫ゴムが得られる。以下本発明を詳述するが、それにより本発明の他の目的、利点および効果が明らかとなるであろう。 【0007】 【発明の実施の形態】 (A)フッ素ゴムについて説明する。本発明の耐油、耐熱ゴム組成物(以下、単に「組成物」ともいう)に含有されるフッ素ゴムは、好ましくはフッ化ビニリデン、およびこれと共重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体を共重合して得られる共重合体であるが、これに制限されない。上記エチレン性不飽和単量体としては、好ましくは炭素数2または3のα−オレフィン、より好ましくは水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された上記α−オレフィンを挙げることができる。エチレン性不飽和単量体の好ましい具体例として、α−ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルフルオライド、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニリデン)、プロピレンなどを挙げることができる。 【0008】(A)フッ素ゴムの好ましい具体例としては、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン−プロピレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などが挙げられ、特にテトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン−プロピレン三元共重合体が好ましい。テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン−プロピレン三元共重合体において、各単量体の好ましい範囲は、フッ化ビニリデン単位が2〜70モル%、テトラフルオロエチレン単位が20〜60モル%、プロピレン単位が20〜60モル%であり、さらに好ましい範囲は、フッ化ビニリデン単位が3〜60%、テトラフルオロエチレン単位が20〜60モル%、プロピレン単位が20〜60モル%である(ここで、フッ化ビニリデン単位、テトラフルオロエチレン単位およびプロピレン単位の合計量は、100モル%)。 【0009】さらにこれらの(A)フッ素ゴムは、塩基性物質の存在下に加熱処理し不飽和結合などを導入する方法(特開昭54−122350号公報参照)あるいは、高温で加熱処理し不飽和結合などを導入する方法(特公昭55−41641号公報、特開昭51−86551号公報参照)などにより、本発明の組成物に用いられる加硫系で効率的な架橋が進行しやすいようにすることも可能である。 【0010】これらの(A)フッ素ゴムは、単独で、または2種以上混合して用いられる。また、(A)フッ素ゴムの分子量および分子量分布は特に制限されるものではなく、用途や成形条件などに応じ、適宜、選択されるが、重量平均分子量は、通常1×105〜30×105、好ましくは1×105〜20×105である。これらの(A)フッ素ゴムの製造には、例えば乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などの従来公知の重合方法が好ましく採用される。 【0011】(B)アクリルゴムについて説明する。本発明の耐油、耐熱ゴム組成物に含有される構成するアクリルゴムは、不飽和基(炭素−炭素不飽和結合)を有するアクリルゴムである。アクリルゴムが有する炭素−炭素不飽和結合としては、ビニル基、ビニリデン基、アクリロイル基、メタアクリロイル基およびこれらの基の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数6〜12の芳香族基、炭素数5〜12の脂環式基などで置換された重合性炭素−炭素二重結合を挙げることができるが、なかでもアクリロイル基、メタアクリロイル基およびビニル基が好ましい。アクリルゴムが有する炭素−炭素不飽和結合は、本発明の組成物の加硫時に、アクリルゴムの加硫点として機能し、前記(A)フッ素ゴムとの共加硫が容易となる。その結果、耐熱性、圧縮永久歪特性、機械的強度および含アミンオイル耐性に優れた加硫ゴムを得ることができる。 【0012】このようなアクリルゴムは、例えばアクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルコキシエステルから選択される少なくとも1種の単量体成分(a)と、上記重合性炭素−炭素二重結合を2個以上1分子中に含有する単量体成分(b)とを共重合する方法により得ることができるが、この方法に制限されない。 【0013】単量体成分(a)であるアクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の炭素数が1〜8のものが好ましい。アクリル酸アルキルエステルの好ましい具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、エチルアクリレートおよびn−ブチルアクリレートが好ましい。 【0014】単量体成分(a)であるアクリル酸アルコキシアルキルエステルは、アルコキシアルキル基の炭素数が2〜6のものが好ましい。アクリル酸アルコキシアルキルエステルの好ましい具体例としては、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシエトキシエチルアクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、メトキシエチルアクリレートが好ましい。 【0015】単量体成分(a)および(b)の合計量に占める単量体成分(a)の割合は、通常99.9〜80重量%であり、好ましくは99.5〜86重量%である。 【0016】2個以上の重合性炭素−炭素二重結合を1分子中に含有する単量体成分(b)は、加硫点(炭素−炭素二重結合)を(B)アクリルゴムに導入するための単量体である。単量体成分(b)は、上記単量体成分(a)と共重合して、(B)アクリルゴムに上記炭素−炭素不飽和結合が導入される。 【0017】(B)アクリルゴムに不飽和基を導入するために用いられる、2個以上の重合性炭素−炭素二重結合を分子中に含有する単量体(b)の炭素数は、好ましくは5〜25である。単量体(b)の好ましい具体例としては、例えばビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、アリルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、1,1−ジメチルプロペニルメタクリレート、1,1−ジメチルプロペニルアクリレート、1,1−ジメチル−3−ブテニルメタクリレート、1,1−ジメチル−3−ブテニルアクリレート、イタコン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、ビニル1,1−ジメチルプロペニルエーテル、ビニル1,1−ジメチル−3−ブテニルエーテル、1−アクロイルオキシ−1−フェニルエテンなどを挙げることができる。これらのうち、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレートおよびジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートが好ましい。 【0018】単量体成分(a)および(b)の合計量に占める単量体成分(b)の割合は、通常0.1〜10重量%であり、好ましくは0.5〜8重量%である。単量体成分(b)の割合が0.1重量%未満であると、架橋密度が過小となり良好な物性を有する加硫ゴムを得ることができない。一方、この割合が10重量%を越えると、ゴム組成物がスコーチしやすいものとなり、貯蔵安定性の観点から好ましくない。 【0019】(C)有機過酸化物について説明する。本発明の組成物に用いられる(C)有機過酸化物は、(−O−O−)結合を持つ有機化合物であり、一般的にゴムの加硫剤として用いられている有機過酸化物を特に制限なく用いられる。(C)有機過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−(t−ブチルパーオキシ)−m−ジ−イソプロピルベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられ、これらの有機過酸化物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。 【0020】(C)有機過酸化物の使用量は、加硫物に十分な加硫密度、強度および破断伸びを与える観点から、(A)フッ素ゴムと(B)アクリルゴムの合計量100重量部に対し、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。 【0021】(D)有機塩について説明する。本発明の組成物に用いられる(D)有機塩は、有機第4級アンモニウム塩、有機第4級ホスホニウム塩、および1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンから誘導される塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩である。この(D)有機塩は、加硫時にフッ素ゴムから脱フッ化水素反応を促進し、(A)アクリルゴムとの共加硫を円滑に行わせる加硫促進剤としての作用を有する。有機第4級アンモニウム塩の具体例として、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、硫酸水素トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素ベンジルトリメチルアンモニウム、などを挙げることができる。有機第4級ホスホニウム塩の具体例として、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリシクロヘキシルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムブロマイド、トリシクロヘキシルベンジルホスホニウムブロマイドなどを挙げることができる。1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンから誘導される塩の具体例として、硫酸水素1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムクロライド、硫酸水素1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムブロマイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムクロライド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムブロマイド、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンのp−トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。これらの(D)有機塩は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。 【0022】(D)有機塩の使用量は、(A)フッ素ゴムと(B)アクリルゴムの合計量100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜7重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。(D)有機塩の使用量が上記範囲であることにより、加硫物は充分な加硫密度が得られて、優れた強度および含アミン耐性を示すと共に、本発明の組成物のスコーチ性は小さい。 【0023】(E)多官能性化合物について説明する。本発明の組成物の(E)多官能性化合物としては、多アリル化合物類、多(メタ)クリレート化合物類、ジビニル化合物類、ビスマレイミド化合物類、オキシム化合物類などの、ゴムの加硫時に架橋反応を十分に進める目的で加硫助剤として一般的に用いられている多官能性化合物が用いられる。(E)多官能性化合物の具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレートなどの多アリル化合物類;トリメチロールプロパントリメタアクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、エチレングリコールジメタアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、1,6−ヘキサンジオール・ジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロイルジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどの多メタクリレート化合物類;ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどのジビニル化合物類;ビスマレイミドなどのビスマレイミド類;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのオキシム化合物類;その他トリアジンチオールなどが挙げられる。なかでも、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドが好ましい。これらの(E)多官能性化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。 【0024】(E)多官能性化合物の使用量は、十分な架橋密度および破断伸びを有する加硫物を得る目的から、(A)フッ素ゴムと(B)アクリルゴムの合計量100重量部に対し、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部である。 【0025】(F)金属化合物について説明する。本発明の組成物に用いられる(F)金属化合物は、金属酸化物および金属水酸化物から選択される。(F)金属化合物は、フッ素ゴムの加硫時に一般的に受酸剤として作用し、ポリオール加硫時において使用される従来公知の金属化合物はすべて使用可能である。(F)金属化合物の具体例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられ、これらの化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。 【0026】(F)金属化合物の使用量は、(A)フッ素ゴムと(B)アクリルゴムの合計量100重量部に対し、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。使用量が上記範囲であることにより、充分な加硫密度および強度を得ることができ、金型腐食が少ない。 【0027】本発明の耐油、耐熱ゴム組成物には、必要に応じて、本発明の目的の達成を損なわない範囲で、他の成分、接着促進剤、可塑剤、着色剤などを配合すること、さらには天然ゴムやその他の合成ゴム、熱可塑性樹脂や熱効果性樹脂などを併用することも可能である。また天然ゴムおよびその他の合成ゴム、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂あるいは、天然または合成繊維、各種金属との積層体として使用することも可能である。 【0028】本発明の組成物は、上記成分をロール、ニーダーなどの通常のゴムの混練り装置により均一に混合することにより得られる。このようにして得られる本発明の耐油、耐熱ゴム組成物は、従来公知の成形方法によりゴム製品を製造することができる。例えばプレス成形、射出成形、トランスファー成形などの金型を用いる方法、あるいはロートキュアー、熱空気加硫、蒸気加硫、高周波加硫、などの方法により通常の成形と全く同様にして成形して、所望の成形品を得ることが可能である。 【0029】また、本発明の耐油、耐熱ゴム組成物は、例えば押し出し成形、カレンダー成形、溶剤に溶かしてからのコーティングやディップ成形などの通常のゴムの成形方法により加硫、成形することも可能である。加硫条件は成形しようとするものの形状や条件により適宜きめられるが、通常、100〜400℃の温度で、数秒〜24時間の加硫を行う。また、得られる加硫物の特性を安定化させるために、二次加硫を行ってもよい。この二次加硫の条件は、通常、150〜300℃で30分〜48時間程度である。 【0030】本発明の耐油、耐熱ゴム組成物を加硫した加硫物は、優れた耐油性、耐熱性、耐候性、圧縮永久歪、耐圧縮荷重性、さらには優れた含アミンオイル耐性を有しており、各種工業分野、例えば自動車、船舶、航空機、油圧機器、一般機械工業、電気関係、化学分野などにおいて、Oリング、ガスケット、オイルシール、ダイアフラム、ホース、防震ゴム、ロール、シート材、被覆材などとして広く利用が可能である。特に自動車エンジンルーム周りのゴム製品に好適に使用される。 【0031】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。また、実施例における未加硫ゴム組成物および加硫物の特性は次のようにして求めた。 【0032】(1)スコーチ性JIS K6300に準拠して、L型ローターを用い、温度125℃で測定した。 (2)引張試験JIS K6301に準拠して、加硫物の破断点強度(Tb)、破断点伸び(Eb)を測定した。(なお、プレス加硫後の試料の外観を肉眼で観察して、加硫物の発泡の有無について判定した。) (3)硬度(Hs) 加硫物の表面硬度をJIS−Aに従って測定した。 (4)耐熱老化試験JIS K6301に準拠して、温度200℃、試験時間168時間の条件で、空気加熱老化試験方式により、加硫物の破断点強度変化率〔Ac(Tb)〕、破断点伸び変化率〔Ac(Eb)〕、固さ変化率〔Ah〕を測定した。 (5)圧縮永久歪試験JIS K6301に準拠して、加硫物の圧縮永久歪を測定した。 (6)金型腐蝕性関西ロール(株)製、100t電熱プレスによりシート状金型(キャビティー140×140×2mm)を用い、温度170℃、加硫時間20分の条件で加硫を実施し、加硫物を取出した後の金型の状態を観察した。 (7)耐アミンオイル性JIS#1オイルにヘキサメチレンジアミンを0.01mol添加したオイルに175℃×70時間浸せき後、取り出した試験片についてJIS K6301に準拠した引張り試験を実施した後、試験片表面の亀裂発生の有無を観察した。 【0033】さらに、実施例および比較例に用いた各成分は、次のとおりである。 (i)フッ素ゴム1乳化重合法により得られた、テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/プロピレン(モル比)=40/30/30のフッ素ゴムを300℃で加熱処理したフッ素ゴム(ii)フッ素ゴム2乳化重合法により得られた、テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/プロピレン(モル比)=40/30/30のフッ素ゴム(iii)アクリルゴム1乳化重合法により得られた、エチルアクリレート/アリルメタクリレート(モル比)=99.4/0.6のアクリルゴム(iv)アクリルゴム2乳化重合法により得られてなる、エチルアクリレート/アリルグリシジルエーテル(モル比)=99.4/0.6のアクリルゴム【0034】(v)アクリルゴム3乳化重合法により得られてなる、エチルアクリレート/クロロ酢酸ビニル(モル比)=99.4/0.6のアクリルゴム(vi)MTVanderbilt(社)製、MTカーボンブラック(vii)ニップシールER日本シリカ(社)製、合成含水ケイ酸(viii)MgO#30協和化学(株)製、酸化マグネシウム【0035】(ix)ノクラックCD大内新興化学工業(社)製、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(x)カルビット近江化学(株)製、水酸化カルシウム(xi)TAIC日本化成(株)製、トリアリルイソシアヌレート(xii)TBAHS和光純薬(株)製、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(xiii)パーカドックス14化薬アクゾ(株)製、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジ−イソプロピルベンゼン(xiv)V−1ダイキン工業(株)製、ヘキサメチレンジアミンカーボネート【0036】実施例1〜2、比較例1〜6表1に示されるコンパウンド(I)の成分を、温度設定150℃のハーケレオコードミキサー(内容量300cc)を用い、回転数60rpmで5分間混練りした。次いで、得られたコンパウンド(I)に表1に示されるコンパウンド(II)の成分を添加し50℃の4インチロールで5分間混練りし、加硫性組成物を得た。この加硫性組成物を用い、2mm厚シートおよび圧縮永久歪計測用試験片を圧力150Kg/cm2、温度170℃で20分間、プレス加硫した後、200℃で24時間オーブン加硫したものを試験片とし、各種の物性の測定に供した。結果を表2に示す。 【0037】 【表1】
【0038】 【表2】
【0039】表1,表2の結果から、実施例1および2は、本発明の耐油、耐熱ゴム組成物のスコーチ特性、該組成物から得られる加硫物の強度、伸び、金型腐食性、圧縮永久歪特性、含アミンオイル耐性などにバランスよく優れていることが分かる。一方、(B)アクリルゴムを使用しない比較例1の加硫物は、含アミンオイル耐性、伸びに劣り、未加硫組成物のスコーチ特性にも若干劣る。 (A)フッ素ゴムを配合しない比較例2の加硫物は耐熱性に劣り、未加硫組成物はスコーチ特性にも若干劣る。 (D)有機塩を配合しない比較例3は、加硫物の強度、耐熱性および圧縮永久歪特性に劣る。 (E)多官能性化合物を配合しない比較例4は、加硫物の強度、伸び、耐熱性および圧縮永久歪特性に劣り、未加硫組成物はスコーチ特性にも若干劣る。また、アクリルゴムとして、炭素−炭素不飽和結合を有さないアクリルゴム2、アクリルゴム3をそれぞれ用いた比較例5,6は、いずれもスコーチ特性に劣り、さらにアクリルゴム2を用いた比較例2の場合は、圧縮永久歪特性にも劣る。なお、アクリルゴム2は、エポキシ基が架橋点となり、アクリルゴム3は、塩素原子が結合している炭素原子が架橋点となる。そのため、比較例5、6では、加硫剤として有機過酸化物は使用されず、ヘキサメチレンジアミンカーボネートが加硫剤として用いられた。 【0040】 【発明の効果】本発明の耐油、耐熱ゴム組成物はスコーチ特性に優れ、その加硫物は、優れた耐油性、耐熱性、含アミンオイル耐性、耐候性、圧縮永久歪特性、耐圧縮荷重性を有している。従って、各種工業分野、例えば自動車、船舶、航空機、油圧機器、一般機械工業、電気関係、化学分野などにおいて、Oリング、ガスケット、オイルシール、ダイアフラム、ホース、防震ゴム、ロール、シート材、被覆材などとして広く利用が可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004178 【氏名又は名称】ジェイエスアール株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月26日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−60869 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−244785 |
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