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【発明の名称】 塩化ビニル系樹脂組成物
【発明者】 【氏名】五百蔵 賢一

【氏名】松井 耕一

【要約】 【課題】抗菌性および熱安定性にともにすぐれ、そのうえ耐候性にもすぐれ、またロ―ル加工などの加工性や加工後の印刷性にもすぐれる塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを目的とする。

【解決手段】塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、a)無機銀系抗菌剤0.01〜10重量部とともに、b)リン酸モノまたはジアルキルエステルの亜鉛、カルシウム、バリウムまたはマグネシウム塩からなるリン系化合物0.01〜5重量部、またはこれとさらにc)グリシジル(メタ)アクリレ―トを1モル%以上含有する単量体の数平均分子量2,000〜300,000の重合体0.1〜10重量部を含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、a)無機銀系抗菌剤0.01〜10重量部、b)つぎの一般式(1)または(2);

(式中、R1 ,R2 ,R3 は炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基、M1 ,M2 は亜鉛、カルシウム、バリウムまたはマグネシウムである)で表されるリン系化合物0.01〜5重量部を含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
【請求項2】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、a成分およびb成分とともに、c)グリシジル(メタ)アクリレ―トを1モル%以上含有する単量体の数平均分子量2,000〜300,000の重合体0.1〜10重量部を含有する請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性と熱安定性にすぐれる塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は、すぐれた機械的性質、成形加工の容易さ、経済的利点から、幅広く使用されている。とくに可塑剤を配合することにより、自由に柔軟性を調整できることから、床材、壁紙、テ―ブルクロス、農業用ビニル、アコ―デオンカ―テン、防水シ―ト、ホ―ス、チユ―ブ、食品包装材などに幅広く使用されている。しかし、これらの塩化ビニル系樹脂は、しばしば多湿環境において使用されるため、種々の菌類、黴類が樹脂の表面上または内部に発生し、衛生上有害になるほか、外観を害することが指摘されている。
【0003】この問題に対して、様々な抗菌剤が開発されている。具体的には、特開昭62−241932号公報、特開昭63−270756号公報、特開平1−311008号公報には、ゼオライト、とくに銀系ゼオライトがすぐれた抗菌性を示すことが報告されている。ゼオライト以外では、特開平5−156103号公報にビニルベンジルホスホニウム塩をモノマ―成分として少なくとも含むポリマ―が、特開平6−65142号公報に1個以上のカルボキシル基を持つ多環式化合物カルボン酸の金属石鹸が、特開平6−192428号公報にビグアニジル基を有するオルガノポリシロキサン化合物が、特開平8−53538号公報に軟化点が30〜120℃、分子量が500〜10,000のサリチル酸エステル樹脂が、特開平8−113729号公報に硫酸亜鉛を吸着保持したシリカ粒子が、抗菌作用にすぐれる抗菌剤として報告されている。さらに、特開平8−81320号公報には、銀を含有する非晶質含水酸化チタン微粒子により耐強酸性、耐強アルカリ性の抗菌剤を得ることが報告されている。
【0004】これらの抗菌剤の中でも、塩化ビニル系樹脂に対して最もすぐれた抗菌性を示すものは、銀ゼオライトである。ところが、この銀ゼオライトを含め、抗菌剤を塩化ビニル系樹脂に添加すると、熱安定性が大きく低下するという問題がある。この解決のため、特開平5−17617号公報には酸化銀、リン酸銀などの熱変質温度が300℃以上の銀化合物を用いて熱安定性を向上させることが、また特開平8−59935号公報には竹類抽出物を塩化ビニル系樹脂に加えて熱安定性と抗菌性を合わせ持つ塩化ビニル系樹脂組成物を得ることが、報告されている。しかるに、これらの手段では、抗菌性が不十分である。
【0005】ところで、塩化ビニル系樹脂は成形加工温度が分解温度に接近しているため、成形加工時に分解して熱安定性が低下するという問題を本質的に有しており、これの解決のため、通常、安定剤を配合するようにしている。この種の安定剤は、塩化ビニル系樹脂から発生する塩化水素ガスを捕捉したり、塩化ビニル系樹脂と直接反応することによつて、熱安定性を向上させるものである。
【0006】これまで、可塑剤を含まない系では、樹脂の熱安定性、加工性の良さから、鉛系の安定剤、たとえば、ステアリン酸鉛、三塩基性硫酸鉛など、また透明性の良さから、錫系安定剤、たとえば、ジブチル錫マレエ―ト、ジブチル錫ラウレ―トなどが使用されてきた。また、可塑剤を含む系では、カドミウム石鹸、バリウム石鹸、カルシウム石鹸、マグネシウム石鹸、亜鉛石鹸を主とする金属石鹸系安定剤が使用されてきた〔「ポリ塩化ビニルの安定化の解明と安定化助剤の配合・効果の実際」(昭和59年3月15日、ソフト技研出版部発行)〕。しかるに、いずれの系でも、抗菌性を有する塩化ビニル系樹脂成形品を得るため、無機銀系抗菌剤を添加すると、熱安定性が大きく低下する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の事情に照らし、抗菌性および熱安定性にともにすぐれ、そのうえ耐候性にもすぐれ、またロ―ル加工などの加工性や加工後の印刷性にもすぐれる塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、塩化ビニル系樹脂に対して、無機銀系抗菌剤とともに、特定のリン系化合物またはこれと特定のエポキシ化合物を配合したときに、抗菌性と熱安定性にともにすぐれ、そのうえ耐候性にもすぐれ、またロ―ル加工時にプレ―トアウトなどの支障をきたさない良好な加工性が得られ、さらに加工後の印刷性にもすぐれる塩化ビニル系樹脂組成物が得られることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0009】すなわち、本発明は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、a)無機銀系抗菌剤0.01〜10重量部、b)つぎの一般式(1)または(2);

(式中、R1 ,R2 ,R3 は炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基、M1 ,M2 は亜鉛、カルシウム、バリウムまたはマグネシウムである)で表されるリン系化合物0.01〜5重量部を含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物(請求項1)に係るものである。また、本発明は、上記の組成物において、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、上記のa成分およびb成分とともに、さらにc)グリシジル(メタ)アクリレ―トを1モル%以上含有する単量体の数平均分子量2,000〜300,000の重合体0.1〜10重量部を含有する塩化ビニル系樹脂組成物(請求項2)に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明における塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの単独重合体のほか、塩化ビニルと他の単量体、たとえば酢酸ビニル、ビニルアルコ―ルなどとの共重合体が用いられ、とくに重合度が500〜4,000のものが好ましい。
【0011】本発明におけるa成分の無機銀系抗菌剤としては、銀ゼオライト、銀セラミツクス、銀リン酸カルシウム、銀シリカゲル、銀チタニア、銀・ガラス・ケイ酸銀、銀リン酸チタン・酸化亜鉛などを挙げることができる。これらの中でも、とくに好ましいのは銀ゼオライト、銀シリカゲルである。
【0012】これらa成分の無機銀系抗菌剤の使用量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部とするのがよい。この使用量が0.01重量部より少ないと、抗菌性の効果が得られにくく、10重量部を超えると、熱安定性が低下し、耐候性も悪くなる。
【0013】本発明におけるb成分のリン系化合物は、前記の一般式(1)または(2)で表されるものであつて、式中、R1 ,R2 ,R3 は炭素数8〜22、好ましくは12〜18のアルキル基またはアルケニル基であり、具体的には、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、ベヘニル基などである。また、式中、M1 ,M2 は亜鉛、カルシウム、バリウムまたはマグネシウムの中から選ばれる二価の金属である。
【0014】これらb成分のリン系化合物の使用量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部とするのがよい。この使用量が0.01重量部より少ないと、熱安定性(初期着色、長期熱安定性)の改善効果が得られにくく、また耐候性が低下する。また、5重量部を超えると、ロ―ル加工時のプレ―トアウトの発生や、滑性過剰による成形不良などの加工性低下の問題があり、加工後の印刷性低下の問題も起こりやすい。
【0015】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂に対して、上記a成分の無機銀系抗菌剤および上記b成分のリン系化合物を、上記割合で配合することを特徴としたものであるが、上記a成分およびb成分に加えて、さらにc成分のエポキシ化合物として、グリシジル(メタ)アクリレ―ト系重合体を配合することにより、耐候性のさらなる改善をはかることができる。
【0016】上記の重合体は、グリシジル(メタ)アクリレ―トを1モル%以上、好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上含有する単量体の重合体であつて、数平均分子量が2,000〜300,000、好ましくは4,000〜100,000、さらに好ましくは5,000〜50,000であるものが用いられる。グリシジル(メタ)アクリレ―トが1モル%未満では、耐候性の改善効果が得られない。また、数平均分子量が上記範囲外では、耐候性の改善に好結果が得られにくく、熱安定性もやや低下する傾向がみられる。
【0017】このような重合体としては、グリシジル(メタ)アクリレ―トの単独重合体、グリシジル(メタ)アクリレ―トと、メチル(メタ)アクリレ―ト、エチル(メタ)アクリレ―ト、ブチル(メタ)アクリレ―ト、t−ブチル(メタ)アクリレ―ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ―ト、ラウリル(メタ)アクリレ―ト、ミリスチル(メタ)アクリレ―ト、パルミチル(メタ)アクリレ―ト、ステアリル(メタ)アクリレ―ト、ベヘニル(メタ)アクリレ―ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ―ト、1,2−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ―トなどの(メタ)アクリレ―ト類、スチレン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物、マレイン酸、酢酸ビニル、エチレンなどの他のモノマ―との共重合体が挙げられる。
【0018】これらc成分の重合体の使用量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部とするのがよい。この使用量が0.1重量部より少ないと、耐候性の改善効果に乏しくなり、10重量部を超えると、初期着色の低下が起こつたり、滑性が不足してロ―ル加工時にロ―ルからの剥離性が悪くなり、また耐候性も低下する。
【0019】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、必要により、ステアリン酸などの高級脂肪酸類、ステアリルアルコ―ルなどの高級アルコ―ル類、パラフインワツクス、ポリエチレンワツクス、ポリプロピレンワツクス、モンタン酸ワツクスなどのワツクス類、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミドなどの滑剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸類、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油などのエポキシ化脂肪酸エステル、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、ハイドロタルサイト、酸化チタンなどの充填剤、ペンタエリスリト―ル、ジペンタエリスリト―ルなどのポリオ―ル類、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタンなどのβジケトン類、ジオクチルフタレ―ト、ジオクチルアジペ―トなどの可塑剤、さらに顔料、難燃剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などを配合することができる。
【0020】
【実施例】以下に、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。
【0021】実施例1〜7塩化ビニル系樹脂として、日本ゼオン(株)製の塩化ビニル樹脂(重合度1,050)を使用し、表1,表2に示す配合組成にて、9インチロ―ルにより、190℃で3分間混練りして、厚さが0.5mmのシ―トにした。
【0022】比較例1〜16配合組成を表3〜表6のように変更した以外は、実施例1〜7と同様にして、厚さが0.5mmのシ―トを作製した。
【0023】以下の表1〜表6において、a成分としての「銀シリカゲル」は(株)ペイントハウス製の商品名「ペンタノン」、同「銀ゼオライト」は品川燃料(株)製の商品名「ゼオミツクス」である。また、b成分としての「リン系化合物A〜F」は、それぞれ、下記の化学式にて表されるものである。
【0024】<リン系化合物A>
【0025】<リン系化合物B>
【0026】<リン系化合物C>
【0027】<リン系化合物D>
【0028】<リン系化合物E>
【0029】<リン系化合物F>
【0030】また、c成分としての「GMA含有ポリマ―1」はグリシジルメタクリレ―ト単独重合体(数平均分子量6,000)、同「GMA含有ポリマ―2」はメチルメタクリレ―ト/グリシジルメタクリレ―ト(モル比:50/50)共重合体(数平均分子量20,000)、同「GMA含有ポリマ―3」はメチルメタクリレ―ト/グリシジルメタクリレ―ト/アクリロニトリル(モル比:40/30/30)共重合体(数平均分子量15,000)である。
【0031】さらに、塩化ビニル系樹脂の可塑剤として用いた「DOP」はジオクチルフタレ―トである。また、他成分である「竹類抽出物」は、孟宗竹の茎をボ―ルミルで粉砕し、エ―テル抽出後、抽出液を減圧乾固して得られた褐色抽出物である。同「ホスフアイト化合物」はジフエニルモノデシルホスフアイトである。同「GMA含有ポリマ―4」はグリシジルメタクリレ―ト単独重合体(数平均分子量1,000)、同「GMA含有ポリマ―6」はメチルメタクリレ―ト/グリシジルメタクリレ―ト(モル比:50/50)共重合体(数平均分子量1,000,000)である。同「リン系化合物G」および「リン系化合物H」は、それぞれ、下記の化学式にて表されるものである。
【0032】<リン系化合物G>
【0033】<リン系化合物H>
【0034】

【0035】

【0036】

【0037】

【0038】

【0039】

【0040】以上の実施例1〜7および比較例1〜16で作製した各シ―トを裁断して、5cm×5cmの試験片を得、この試験片を用いて、下記の方法により、熱安定性、抗菌性、耐候性および印刷性を、評価した。また、各シ―トをロ―ル加工により作製する際のプレ―トアウトおよび滑性を、下記の方法により、評価した。これらの結果は、表7および表8に示されるとおりであつた。
【0041】<熱安定性>試験片を190℃のオ―ブンに入れ、15分後の色調と黒色、濃赤色または濃赤褐色になるまでの時間を調べた。15分後の色調を初期着色として評価し、黒色、濃赤色または濃赤褐色になるまでの時間を長期熱安定性として評価した。
【0042】<抗菌性>供試菌株は、大腸菌(Escherichia coli IFO3301)ならびに黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO14462)とした。菌液は、これらの菌株をSCD寒天〔日本製薬(株)〕斜面培地上で37℃にて24時間培養して得られた培養物を減菌PBS〔日本製薬(株)〕中に懸濁することにより調製した。菌濃度は、計算盤を用いた測定により、菌液1mlあたり5×107 個のレベルになるように調整した。
【0043】試験片の表面に75容量%のエタノ―ル水溶液を噴霧したのち乾燥させて、試験に供した。抗菌力は密着法により測定した。すなわち、減菌シヤ―レに試験片を置き、その表面に上記の菌液200μlを載せ、さらに7cm角に切断したストマツカ用減菌ポリ袋〔栄研器材(株)〕を重ね、液を試験片の表面全体に広げ、インキユベ―タに入れて37℃に6時間保持後、試験片とラツプの表面を合計10mlのSCD液体〔日本製薬(株)〕培地で洗い流し、洗液1mlをシヤ―レに取り、そこへSCD寒天培地約20mlを注入し、撹拌したのち、凝固させ、37℃で24時間培養後、生じた集落の数を数えた。この結果を、以下の基準により判定し、評価した。
○:培地上に集落が観察されない△:培地上の集落数が1〜100個未満である×:培地上の集落数が100個以上である【0044】<耐候性>試験片について、下記の条件で紫外線照射による耐候試験を行い、この試験後の着色の度合いを肉眼により調べた。
試験機:アイス―パ―UVテスタ―SUV−F1型〔岩崎電気(株)製〕
紫外線強度:100mW/cm2ブラツクパネル温度:60±3℃照射距離:240mm(光源と試料間)
水スプレ―:なし試験時間:50時間【0045】<印刷性>試験片を80℃,90%RHの恒温槽に1週間入れたのち、塩ビ用インク〔東洋インキ製造(株)の「VCH 3 赤」〕をバ―コ―タを用いて塗布、乾燥したのち、セロハンテ―プを貼り、勢いよく剥がしたときのインクの剥がれ具合を、目視により観察した。この結果を、以下の基準により判定し、評価した。
○:インクの剥がれが2割未満である△:インクの剥がれが2割以上5割未満である×:インクの剥がれが5割以上である【0046】<プレ―トアウト>ロ―ル素練り中のロ―ルへの付着物の有無を調べ、評価した。
【0047】<滑性>ロ―ル素練り中の滑性を、以下の基準で判定し、評価した。
過剰:滑性が強すぎてシ―ト成形が不可能か、または網目状シ―トとなる並 :ロ―ルからの適度の剥離性があり、艶のあるシ―トが得られる不足:滑性が不足して、ロ―ルからの剥離性に劣る【0048】

【0049】

【0050】上記表7の結果から明らかなように、実施例1〜7の各シ―トは、いずれも、初期着色がなく、かつ長期熱安定性が70分以上であつて、すぐれた熱安定性を有し、しかも抗菌性にすぐれ、また耐候性にもすぐれており、とくにc成分を併用した実施例4〜7の各シ―トは耐候性の改善効果が大きく、そのうえ熱ロ―ル混練時のプレ―トアウトがなく、適度な滑性を示して良好な加工性を備えており、また加工後の印刷性も良好であることがわかる。
【0051】これに対し、上記表8から明らかなように、a成分だけを用いた比較例1は、熱安定性(初期着色、長期熱安定性)が悪く、滑性が不足し、耐候性も悪くなつており、b成分だけを用いた比較例2は、長期熱安定性が低下し、抗菌性も劣つており、c成分だけを用いた比較例3は、熱安定性(初期着色、長期熱安定性)が悪く、抗菌性に劣り、滑性が不足し、耐候性にも劣つている。また、b,c二成分を用いた比較例4は、抗菌性に劣り、長期熱安定性もやや低下しており、a,c二成分を用いた比較例5は、熱安定性(初期着色、長期熱安定性)が悪く、滑性が不足し、耐候性にも劣つている。
【0052】また、塩化ビニル樹脂100重量部に対し、a成分の使用量が10重量部を超える比較例6は、熱安定性(初期着色、長期熱安定性)が悪く、耐候性に劣り、印刷性も低下しており、b成分の使用量が5重量部を超える比較例7は、滑性過剰のために、加工が困難で、プレ―トアウトもあり、加工後の印刷性にも劣つており、c成分の使用量が10重量部を超える比較例8は、初期着色が悪く、滑性が不足し、また耐候性にも劣つている。
【0053】また、a成分に代えて、竹類抽出物を使用した比較例9は、抗菌性が低下しており、亜鉛ゼオライトを使用した比較例10は、長期熱安定性が悪く、抗菌性が低下している。さらに、一般式(1)中のアルキル基(R1 ,R2 )の炭素数が8未満となるリン系化合物を用いた比較例11は、熱安定性(初期着色、長期熱安定性)が悪く、耐候性にも劣つており、上記の炭素数が22を超えるリン系化合物を用いた比較例12は、滑性過剰のために、加工が困難で、プレ―トアウトもあり、加工後の印刷性にも劣つている。また、b成分に代えて、ホスフアイト化合物を用いた比較例13は、熱安定性(初期着色、長期熱安定性)が悪くなつており、耐候性にも劣つている。
【0054】さらに、c成分のエポキシ化合物に代えて、数平均分子量が2,000未満のグリシジルメタクリレ―ト系重合体を使用した比較例14、数平均分子量が300,000を超えるグリシジルメタクリレ―ト系重合体を使用した比較例15は、耐候性に劣り、初期着色ないし長期熱安定性がやや低下する傾向もあり、また、ポリメタクリル酸メチルを用いた比較例16は、やはり耐候性に劣り、長期熱安定性がやや低下する傾向もみられる。
【0055】
【発明の効果】以上のように、本発明は、塩化ビニル系樹脂に対して、無機銀系抗菌剤とともに、特定のリン系化合物またはこれと特定のエポキシ化合物を配合するようにしたことにより、抗菌性および熱安定性にともにすぐれ、また耐候性にもすぐれ、そのうえ、適度な滑性を有して、ロ―ル加工時にプレ―トアウトなどの支障をきたすことのない良好な加工性が得られ、また加工後の印刷性にもすぐれた塩化ビニル系樹脂組成物を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日本油脂株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】祢▲ぎ▼元 邦夫
【公開番号】 特開平11−60861
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−221785