| 【発明の名称】 |
熱可塑性樹脂組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】桑原 大助
【氏名】西垣 薫
【氏名】中川 啓次
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| 【要約】 |
【課題】耐衝撃性、熱安定性、流動性、成形品の外観が優れた熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】特定のグラフト共重合体、特定のビニル系共重合体、特定の分子量および無水マレイン酸含有率を有するスチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマーおよび芳香族ポリカーボネートを配合してなる熱可塑性樹脂組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ゴム質重合体(a)20〜80重量部存在下に芳香族ビニル系単量体(b)40〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)10〜60重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜80重量%からなる単量体混合物80〜20重量部をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(A)50〜3重量%、芳香族ビニル系単量体(b)40〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)10〜60重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜80重量%からなる単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体(B)5〜90重量%、重量平均分子量が500〜10000であり、無水マレイン酸含有率が10〜80重量%であるスチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)0.01〜5重量%、および芳香族ポリカーボネート(D)0〜98重量%からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 【請求項2】 グラフト共重合体(A)がスチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。 【請求項3】 グラフト共重合体(A)のゴム質重合体がゴム粒子の平均粒子径0.15〜0.6μmのポリブタジエンゴムであり、グラフト率が30〜120重量%のスチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体であことを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物. 【請求項4】スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)が重量平均分子量1000〜8000であり、かつ無水マレイン酸含有率が15〜55重量%であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、耐衝撃性、熱安定性、成形加工性、成形品の外観が優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ABS樹脂(スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体)はすぐれた機械的性質、成形加工性、電気絶縁性によって家庭電気機器、OA機器、自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用されている。 【0003】特に、耐衝撃性を要求される用途においては、ABS樹脂とポリカーボネート樹脂との組成物が使用されている。 【0004】しかし、この樹脂組成物は成形機シリンダー内に滞留すると、衝撃強度が著しく低下し成形品の色調が悪くなるという問題点があった。これに対して、特公昭60−26506号公報記載のように無機酸、有機酸、有機酸無水物を添加することが提案されている。しかし、分子量が小さいため、樹脂組成物あるいは成形品製造中に飛散して効果が十分出なく、成形品の外観を損なうことがあった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐衝撃性、熱安定性、流動性、成形品の外観が優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のグラフト共重合体と特定の分子量および無水マレイン酸含有率を有する共重合体オリゴマーを配合することにより、上記目的が効率的に達成されることを見出し本発明に到達した。 【0007】すなわち、本発明は、「ゴム質重合体(a)20〜80重量部存在下に芳香族ビニル系単量体(b)40〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)10〜60重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜80重量%からなる単量体混合物80〜20重量部をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(A)50〜3重量%、芳香族ビニル系単量体(b)40〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)10〜60重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜80重量%からなる単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体(B)5〜90重量%、重量平均分子量が500〜10000であり、無水マレイン酸含有率が10〜80重量%であるスチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)0.01〜5重量%および芳香族ポリカーボネート(D)0〜98重量%からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。」である。以下、本発明を具体的に説明する。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明における グラフト共重合体(A)とは、ゴム質重合体(a)20〜80重量部存在下に 芳香族ビニル系単量体(b)40〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)10〜60重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜80重量%からなる単量体混合物80〜20重量部をグラフト共重合してなるグラフト共重合体である。 【0009】ここでいう グラフト共重合体とは、ゴム質重合体にグラフト共重合した構造をとった材料の他に、グラフトしていない共重合体を含むものである。 【0010】上記ゴム質重合体(a)としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ましく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまたはブタジエン共重合体が好ましい。 【0011】ゴム質重合体(a)のゴム粒子径は特に制限されないが、ゴム粒子の平均粒子径が0.10〜0.60μm、特に0.15〜0.50μmのものが耐衝撃性の点で好ましい。 【0012】グラフト共重合体(A)およびビニル系共重合体(B)に用いる芳香族ビニル系単量体(b)としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましい。 【0013】グラフト共重合体(A)およびビニル系共重合体(B)に用いるシアン化ビニル系単量体(c)としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが耐衝撃性の点で好ましい。 【0014】グラフト共重合体(A)およびビニル系共重合体(B)に用いるその他の共重合可能なビニル系単量体(d)としてはマレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、、どのα,β−不飽和カルボン酸エステルおよびアクリルアミドなどが使用でき、中でもN−フェニルマレイミド、メタクリル酸メチルが成形性の点で好ましい。 【0015】グラフト共重合体(A)において用いる単量体混合物は、芳香族ビニル系単量体(b)は40〜90重量%、好ましくは50〜80重量%である。芳香族ビニル系単量体(b)が40重量%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でなく90重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分ではない。また、シアン化ビニル系単量体(c)は10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%である。シアン化ビニル系単量体(c)が10重量%未満だと、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、60重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でない。また、その他の共重合可能なビニル系単量体(d)は0〜80重量%、好ましくは0〜70重量%である。その他の共重合可能なビニル系単量体(d)が80重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。 【0016】グラフト共重合体(A)を得る際のゴム質重合体(a)と単量体混合物との割合は、ゴム質重合体(a)20〜80重量部の存在下に、単量体混合物80〜20重量部をグラフト重合する必要がある。ゴム質重合体(a)が20重量部未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、80重量部を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でない。 【0017】グラフト共重合体(A)は公知の重合法で得ることができる。例えばゴム質重合体(a)のラテックスの存在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤に溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に供給して乳化重合する方法などによって得ることができる。 【0018】グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体(a)にグラフトした構造をとった材料の他に、グラフトしていない共重合体を含有する。 グラフト共重合体(A)のグラフト率は特に制限がないが、耐衝撃性および光沢が均衡して優れる樹脂組成物を得るために30〜120重量%が好ましい。ここで、グラフト率は次式により算出される。 【0019】グラフト率(%)=<ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有量>×100【0020】本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるビニル系共重合体(B)は、芳香族ビニル系単量体(b)40〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)10〜60重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜80重量%からなる単量体混合物を共重合しすることが必要である。ここで、単量体混合物中の芳香族ビニル系単量体(b)は、40〜90重量%、好ましくは50〜80重量%である。芳香族ビニル系単量体(b)が40重量%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でなく90重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分ではない。また、シアン化ビニル系単量体(c)は10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%である。シアン化ビニル系単量体(c)が10重量%未満だと、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、60重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でない。また、その他の共重合可能なビニル系単量体(d)は0〜80重量%、好ましくは0〜70重量%である。その他の共重合可能なビニル系単量体(d)が80重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。 【0021】また、 ビニル系共重合体(B)の分子量としては特に制限がないが、極限粘度[η](N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、30℃測定)が0.30〜0.90dl/g、特に0.35〜0.85dl/gの範囲のものが、優れた耐衝撃性、流動性成の点から好ましく用いられる。 【0022】ビニル系共重合体(B)の製造法は特に制限がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状−懸濁重合法など通常の公知の方法で製造することができる。 【0023】本発明で用いられる スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)とは、スチレンと無水マレイン酸との共重合体のオリゴマーであり、スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)の重量平均分子量は、500〜10000、好ましくは800〜8000である。スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)の重量平均分子量が500未満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品の外観が好ましくなく、10000を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。 【0024】また、スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)の無水マレイン酸含有量は10〜80重量%であり、好ましくは20〜70重量%である。無水マレイン酸含有率が10重量%未満であると得られる熱可塑性樹脂組成物の熱安定性が十分でなく、80重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。 【0025】また、スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)の製造方法は特に制限がなく、例えば、塊状重合法、溶液重合法、溶液−塊状重合法等の公知の方法で製造できる。 【0026】本発明において、必要により用いられる 芳香族ポリカーボネート(D)としては、一般には2,2−ビス(4−オキシフェニル)アルカン系、ビス(4−オキシフェニル)エ−テル系、ビス(4−オキシフェニル)スルホン、スルフィドまたはスルホキサイド系などのビスフェノール類からなる重合体、もしくは共重合体である。芳香族ポリカ−ボネ−トは任意の方法によって製造される。例えば、4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン(通称ビスフェノ−ルA)からのポリカ−ボネ−トの製造には、苛性アルカリ水溶液および溶剤存在下にホスゲンを吹き込んで製造するホスゲン法、または4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンと炭酸ジエステルとを触媒存在下でエステル交換させて製造する方法などが利用できる。 【0027】また、芳香族ポリカーボネート(D)の分子量は特に制限されないが、テトラヒドロフラン溶媒で30℃測定の極限粘度が0.30〜0.70dl/g、特に0.35〜0.65dl/gの範囲のものが得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と溶融成形時の流動性のバランスに優れ好ましい。 【0028】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、グラフト共重合体(A)は50〜3重量%、好ましくは45〜5重量%である。グラフト共重合体(A)が50重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でなく、3重量%未満では得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。また、ビニル系共重合体(B)は5〜90重量%好ましくは、10〜85重量%である。ビニル系共重合体(B)が5重量%を未満では得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でなく、90重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。 【0029】また、スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)は0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜4.5重量%である。スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)が0.01重量%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の熱安定性が十分ではなく、5重量%を越えると得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。 【0030】芳香族ポリカーボネート(D)は0〜98重量%好ましくは0〜90重量%である。芳香族ポリカーボネート(D)が98重量%を越えると得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でない。 【0031】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関しては特に制限はなく、グラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)および芳香族ポリカーボネート(D)を例えばバンバリミキサー、ロール、エクストルーダー、ニーダーなどで溶融混練することによって製造することができる。 【0032】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ボリシクロヘキサンジメチルテレフタレートなどのポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリグルタルイミド、ポリフェニレンサルファイド、および各種エラストマー類を配合することにより、成形用樹脂組成物として性能をさらに改良することができる。 【0033】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じてヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンソフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系などの光安定剤などの各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類などの滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類などの可塑剤、デカブロモビフェニールエーテル、テトラブロモビスフェノールA、塩素化ポリエチレン、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネート、三酸化アンチモン、縮合リン酸エステルなどの難燃剤・難燃助剤、カーボンブラック、酸化チタン、顔料および染料などを添加することもできる。 【0034】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維および金属繊維などの補強剤や充填剤を添加することもできる。 【0035】上記によって得られた熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形および、ガスアシスト成形などの現在の熱可塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって成形することができ、特に制限されるものではない。 【0036】本発明の熱可塑性樹脂組成物は耐衝撃性、熱安定性、流動性、成形品の外観に優れた特徴を生かして、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類に適している。 【0037】 【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以下、実施例および比較例を挙げて説明する。なお、実施例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。 【0038】また、平均ゴム粒子径の測定法はアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める。「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison」参照。)による。 【0039】重量平均分子量はWATERS社ゲル浸透クロマトグラフGPC−244を用いて、次のような測定条件でポリスチレンを基準に測定した。 【0040】カラム:TSK−gel−GMHXL、溶媒:テトラヒドロフラン流速:1ml/分 測定温度:23℃ 試料濃度:0.1%検出器:示差屈折率検出器【0041】参考例1( グラフト共重合体(A)の調製)以下にグラフト共重合体の調製方法を示す。なおグラフト率は次の方法で求めたものである。グラフト共重合体の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この溶液を8000rpm(10,000G)30分遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定した。 グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]×100ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。 【0042】<A−1>ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)45部(固形分換算)の存在下でスチレン79%、アクリロニトリル21%からなる単量体混合物55部を乳化重合した。得られたグラフト共重合体を硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(A−1)を調製した。得られたグラフト共重合体(A−1)のグラフト率は41%であった。 【0043】<A−2>ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子径0.32μm、ゲル含率88%)60部(固形分換算)の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物40部を乳化重合した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥してパウダー状のグラフト共重合体(A−2)を調製した。得られたグラフト共重合体(A−2)のグラフト率は38%であった。 【0044】<A−3>ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子径0.32μm、ゲル含率88%)15部(固形分換算)の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物85部を乳化重合した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥してパウダー状のグラフト共重合体(A−3)を調製した。得られたグラフト共重合体(A−3)のグラフト率が130%であった。 【0045】参考例2 ビニル系共重合体(B)の調製<B−1>スチレン70%、アクリロニトリル30%の単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体(B−1)を調製した。得られたビニル系共重合体(B−1)はN,N−ジメチルホルムアミド可溶分の極限粘度が0.65dl/gであった。 【0046】<B−2>スチレン50%、N−フェニルマレイミド30%、アクリロニトリル20%、の単量体混合物を乳化重合してビニル系共重合体(B−2)を調製した。得られたビニル系共重合体(B−2)はN,N−ジメチルホルムアミド可溶分の極限粘度が0.56dl/gであった。 【0047】<B−3>スチレン95%、アクリロニトリル5%の単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体(B−3)を調製した。得られたビニル系共重合体(B−3)はN,N−ジメチルホルムアミド可溶分の極限粘度が0.45dl/gであった。 【0048】参考例3 スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)<C−1>エルフアトケム社製SMA1000A(重量平均分子量1000、無水マレイン酸含有率48%)を使用した。 【0049】<C−2>エルフアトケム社製SMA2000A(重量平均分子量1000、無水マレイン酸含有率32%)を使用した。 【0050】<C−3>無水マレイン酸を使用した。 【0051】<C−4>重量平均分子量150000、無水マレイン酸含有率48%のスチレン−無水マレイン酸共重合体を使用した。 【0052】参考例4 ( 芳香族ポリカーボネート(D)の調製)<D−1>4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンを用いて、苛性アルカリ水溶液および溶剤存在下にホスゲンを吹き込んで芳香族ポリカ−ボネ−ト(D−1)を調製した。得られたポリマはテトラヒドロフラン溶媒で30℃測定の極限粘度が0.45dl/gであった。 【0053】<D−2>D−1と同じ方法でテトラヒドロフラン溶媒で30℃測定の極限粘度が0.49dl/gの芳香族ポリカーボネート(D−2)を調製した。 【0054】実施例1〜10(難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造)参考例で示したグラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)および芳香族ポリカーボネート(D)を表1に示した配合比で混合し、ベント付30mmφ2軸押出機で樹脂温度260℃で溶融混練、押出しを行うことによって、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を製造した。次いで射出成形機により、シリンダー温度260℃、金型温度60℃で試験片を成形し、次の条件で物性を測定し、得られた測定結果を表2に示した。 【0055】 アイゾット衝撃強さ:ASTM D256−56A (テストピース厚み=3.2mm、6.4mm、12.7mm) MFR(メルトフローレート値):ISO 1133 (240℃、98N) 熱安定性:射出成形機内で260℃で30分滞留後の12.7mmtアイゾッ ト衝撃強さの保持率(%) 成形品外観:○:シルバーストリーク等がないもの。 △:ややシルバーストリーク等が発生があるもの。 ×:シルバーストリーク等の発生が多いもの。 【0056】比較例1〜9参考例で調製した グラフト共重合体(A)、 ビニル系共重合体(B)、スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)および芳香族ポリカーボネート(D)を表1に示した配合比で混合し、実施例と同様の方法で各物性を測定し、測定結果を表2に示した。 【0057】 【表1】
【0058】 【表2】
【0059】表2の結果から次のことが明らかである。本発明の熱可塑性樹脂組成物(実施例1〜10)はいずれも耐衝撃性、熱安定性、流動性および成形品外観が均衡してすぐれる。 【0060】一方、グラフト共重合体(A)の配合量が50重量%を越える場合(比較例1,8,9)は薄肉成形品の耐衝撃性が劣り、3重量%未満の場合(比較例2)は厚肉成形品の耐衝撃性が劣り好ましくない。 【0061】また、比較例5、6はビニル系共重合体(B)本発明の請求項記載範囲外であり、耐衝撃性や成形品の外観性が劣り好ましくない。 【0062】スチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)の配合量が0.01重量部未満の場合(比較例3)は熱安定性、耐衝撃性、外観が劣り、5重量部を越える場合(比較例4)は耐衝撃性、流動性が悪くなるので好ましくない。 【0063】また、本発明に規定するスチレン−無水マレイン酸共重合体オリゴマー(C)以外のスチレン−無水マレイン酸共重合体を使用した場合(比較例7)は耐衝撃性、熱安定性が悪くなり好ましくない。 【0064】 【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、熱安定性、流動性および成形品外観が均衡して優れており、自動車外装・内装部品、OA機器、家電機器、一般雑貨、住宅機器部品などに有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月13日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−60851 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−218693 |
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