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【発明の名称】 自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物
【発明者】 【氏名】矢 崎 尚 行
【氏名】渡 充
【氏名】木 村 孝 志
【課題】

【解決手段】本発明の自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物は、(A)MFRが1〜40g/10分のプロピレンブロック共重合体1〜99重量部と、(B)プロピレンとエチレンまたは炭素原子数4〜10のα- オレフィンとからなり、MFRが1〜40g/10分であり、α- オレフィン含量が10モル%以下であるプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体1〜99重量部と、さらに、上記成分(A)と(B)との合計100重量部に対して、(C)繊維状有機充填材1〜10重量部とを含有してなることを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(A)メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が1〜40g/10分のプロピレンブロック共重合体:1〜99重量部と、(B)プロピレンとエチレンまたは炭素原子数4〜10のα- オレフィンとからなり、メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が1〜40g/10分であり、α- オレフィン含量が10モル%以下であるプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体:1〜99重量部と、さらに、上記成分(A)および(B)の合計100重量部に対して、(C)繊維状有機充填材:1〜10重量部とを含有してなることを特徴とする自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項2】前記ポリプロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が1〜40g/10分であることを特徴とする請求項1に記載の自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項3】ピラー用であることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の技術分野】本発明は、軽量性、剛性、表面硬度および引張特性のバランスに優れた自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリプロピレンは、軽量で成形加工性に優れるとともに、耐熱性、耐薬品性にも優れた成形体を提供することができるため、家電機器部品、自動車部品、建材などの用途に広く利用されている。
【0003】たとえばプロピレンブロック共重合体にタルク等の無機充填材を配合したポリプロピレン樹脂組成物は、耐衝撃強度特性等の機械的強度特性と表面硬度とのバランスに優れた自動車内装材を提供することができることが知られている。しかしながら、この組成物から得られる成形体は、比重が重く、引張強度、引張破断点伸びなどの引張特性が十分ではない。
【0004】たとえば自動車部品は、ガソリン消費量の効率化から軽量性が求められ、また機械的強度特性の面では従来は要求されていなかった引張特性も求められてきている。
【0005】本発明者らは、自動車部品の軽量化を目的として、無機充填材の代わりにパイル等の繊維状の有機充填材をプロピレンブロック共重合体に配合し、得られた組成物から成形体を調製した。しかしながら、得られた成形体は、プロピレンブロック共重合体に無機充填材を配合した組成物から調製した成形体に比し、軽量にはなったものの、表面硬度と引張特性は十分ではなかった。
【0006】そこで、本発明者らは、さらに上記問題を解決すべく鋭意研究し、プロピレンブロック共重合体に繊維状有機充填材と特定のプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体を配合した組成物から、軽量で、剛性と表面硬度と引張特性とのバランスに優れた成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、軽量で、剛性と表面硬度と引張特性とのバランスに優れた成形体を製造することができる自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物、特にピラー用として好適なポリプロピレン樹脂組成物を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物は、(A)メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が1〜40g/10分のプロピレンブロック共重合体:1〜99重量部と、(B)プロピレンとエチレンまたは炭素原子数4〜10のα- オレフィンとからなり、メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が1〜40g/10分であり、α- オレフィン含量が10モル%以下であるプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体:1〜99重量部と、さらに、上記成分(A)および(B)の合計100重量部に対して、(C)繊維状有機充填材:1〜10重量部とを含有してなることを特徴としている。
【0009】前記ポリプロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)は、1〜40g/10分であることが好ましい。
【0010】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物について具体的に説明する。
【0011】本発明に係る自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物は、(A)プロピレンブロック共重合体と、(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体と、(C)繊維状有機充填材とからなる。
【0012】(A)プロピレンブロック共重合体本発明で用いられる(A)プロピレンブロック共重合体は、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、2.16kg)が1〜40g/10分、好ましくは5〜30g/10分、さらに好ましくは8〜25g/10分である。
【0013】本発明で用いられる(A)プロピレンブロック共重合体は、具体的には、プロピレン・エチレンブロック共重合体であって、エチレンから誘導される構成単位を5〜20モル%、好ましくは7〜15モル%、さらに好ましくは8〜13モル%の割合で含有しており、[I]135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が通常1.5〜10dl/g、好ましくは2.0〜9dl/g、さらに好ましくは2.0〜7dl/gであるエチレン・プロピレン共重合ゴム成分5〜20重量%、好ましくは8〜15重量%、さらに好ましくは10〜13重量%と、[II]樹脂成分80〜95重量%、好ましくは85〜92重量%、さらに好ましくは87〜90重量%とからなる。
【0014】[I]エチレン・プロピレン共重合ゴム成分の量は、常温n- デカン可溶分量として求めることができる。また、[II]樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂であり、[II]樹脂成分の量は、常温n- デカン不溶分量として求められる。
【0015】なお、上記のようなエチレンから誘導される構成単位の含有量(エチレン含量)は、赤外線分光法、NMR分光法などの常法によって測定される値であり、常温n- デカン可溶分は、試料2gを沸騰n- デカン500g中に5時間浸漬して溶解した後、室温まで冷却して、析出した固相をG4型ガラスフィルターで濾過し、乾燥した後測定した固相重量から逆算した値である。
【0016】本発明で用いられる(A)プロピレンブロック共重合体の密度(ASTM D 150523℃)は、通常0.895〜0.910g/cm3 、好ましくは0.898〜0.907g/cm3 、さらに好ましくは0.900〜0.905g/cm3 であることが望ましい。
【0017】上記のような(A)プロピレンブロック共重合体は、たとえばハロゲン含有チタン化合物触媒成分あるいは担体に担持させた遷移金属化合物触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下に、プロピレンおよびエチレンをたとえば2段重合させて得られる。具体的には、まずプロピレン単独で重合させ、引き続いてプロピレンとエチレンとを共重合させることによって、プロピレンブロック共重合体を製造することができる。このような触媒は、さらに必要に応じて電子供与体を含有していてもよく、共粉砕等の手法により活性化されていてもよい。具体的な製造方法は、たとえば特開昭52―98045号、特公昭57―26613号公報に詳細が記載されている。
【0018】さらに本発明で用いられる(A)プロピレンブロック共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、他の重合性モノマーから誘導される構成単位を含有してもよい。
【0019】このようなモノマーとしては、たとえば1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1- ペンテン等のα- オレフィン、酢酸ビニル等のビニルエステル、無水マレイン等の不飽和有機酸またはその誘導体などを挙げることができる。
【0020】これら他の重合性モノマーが含有される場合には、(A)プロピレンブロック共重合体は、エチレン、プロピレンおよびこれら他の重合性モノマーの三元系共重合体であってもよく、またこの三元系共重合体とこれら他の重合性モノマーを含まないプロピレンブロック共重合体との混合物であってもよい。
【0021】(A)プロピレンブロック共重合体は、(A)プロピレンブロック共重合体および(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体の合計量100重量部に対して、1〜99重量部、好ましくは50〜95重量部、さらに好ましくは50〜90重量部の割合で用いられる。(A)プロピレンブロック共重合体を上記範囲内の割合で用いると、剛性と表面硬度と引張特性とのバランスに優れた成形体を提供することができるポリプロピレン樹脂組成物が得られる。
【0022】(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体本発明で用いられる(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体は、プロピレンとエチレンまたは炭素原子数4〜10のα- オレフィンとのランダム共重合体である。
【0023】この(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体のコモノマーは、エチレンまたは炭素原子数4〜10のα−オレフィン、たとえば1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどである。これらのα- オレフィン(エチレンも含む)は、コモノマーとして単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
【0024】上記のようなα- オレフィン含有量は、(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体100モル%に対して、10モル%以下、通常1〜10モル%、好ましくは1.5〜5モル%、さらに好ましくは2〜4モル%の範囲にある。上記のようなα- オレフィン含有量は、赤外線分光法、NMR分光法などの常法によって測定される値である。
【0025】本発明で用いられる(B)プロピレ・α- オレフィンランダム共重合体のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)は、1〜40g/10分、好ましくは5〜30g/10分、さらに好ましくは5〜25g/10分である。
【0026】本発明で用いられる(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体の密度(ASTM D 150523℃)は、通常0.895〜0.910g/cm3 、好ましくは0.898〜0.907g/cm3 、さらに好ましくは0.900〜0.905g/cm3 であることが望ましい。
【0027】(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体は、(A)プロピレンブロック共重合体および(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体の合計量100重量部に対して、1〜99重量部、好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは10〜50重量部の割合で用いられる。(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体を上記範囲内の割合で用いると、剛性と表面硬度と引張強度とのバランスに優れた成形体を提供することができるポリプロピレン樹脂組成物が得られる。
【0028】(C)繊維状有機充填材本発明で用いられる(C)繊維状有機充填材としては、天然繊維であっても合成繊維であってもよく、具体的には、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維などが挙げられる。特にレーヨン繊維、アセテート繊維が好ましく、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ケン化アセテート人絹が使用できる。
【0029】繊維状であれば如何なる形状でもよいが、パイルのような毛羽立った状態の繊維が意匠性も付与できるため好ましい。(C)繊維状有機充填材の繊維長さは、通常0.1〜3mm、好ましくは0.5〜1.5mmであることが望ましい。
【0030】(C)繊維状有機充填材は、上記の(A)プロピレンブロック共重合体および(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体の合計量100重量部に対して、1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部の割合で用いられる。(C)繊維状有機充填材を上記範囲内の割合で用いると、軽量で、剛性と表面硬度と引張強度とのバランスに優れた成形体を提供することができるポリプロピレン樹脂組成物が得られる。
【0031】ポリプロピレン樹脂組成物本発明に係る自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物は、上述した(A)プロピレンブロック共重合体、(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体および(C)繊維状有機充填材を含有してなる。
【0032】本発明に係る自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物中に、上記成分(A)、(B)および(C)のほかに、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、難燃剤、過酸化物等の流れ性改良剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、ウエルド強度改良剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で、配合することができる。
【0033】本発明に係る自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物としては、メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が1〜40g/10分であることが好ましい。
【0034】
【発明の効果】本発明に係る自動車内装材用ポリプロピレン樹脂組成物は、(A)プロピレンブロック共重合体、(B)プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体および(C)繊維状有機充填材を含有することにより、軽量で、剛性と表面硬度と引張強度等の引張特性とのバランスに優れた成形体を提供することができる。
【0035】このポリプロピレン樹脂組成物は、フェンダー、サイドガーニッシュ、特にセンターピラーやピラーガーニッシュのようなピラー材、ドアトリムなどの自動車内装材の用途に好適である。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
【0037】実施例および比較例で得られた成形体の比重、引張強度、引張破断点伸び、曲げ初期弾性率(剛性の指標)およびロックウェル硬度は、次の方法により測定した。
(1)比重ASTM D 1505(水中置換法)に従って、比重を測定した。
【0038】(2)引張強度および引張破断点伸びASTM D 638(試験片 タイプ−I、23℃)に従って、引張速度50mm/分の条件で引張試験を行ない、引張強度、引張破断点伸びを測定した。
試験片:12.7mm(幅)×3.2mm(厚さ)×175mm(長さ)
【0039】(3)曲げ初期弾性率ASTM D 790(23℃)に従って曲げ試験を行ない、曲げ初期弾性率を測定した。
試験片:127mm(縦)×12.7mm(幅)×3.2mm(長さ)
スパン:48mm曲げ速度:5mm/分(4)ロックウェル硬度ASTM D 648に準拠してロックウェル硬度試験を行ない、ロックウェル硬度を測定した。この試験では、Rスケールを採用した。
試験片:120mm(縦)×130mm(横)×3.0mm(厚さ)の成形体を2枚重ねたもの。
【0040】また、実施例、比較例において、ポリプロピレン樹脂組成物の調製に用いた各成分の物性は、以下の通りである。
プロピレンブロック共重合体(a):・エチレン含量(ゴム成分に含まれるエチレン含量と樹脂成分に含まれるエチレン含量との合計量)= 7モル%・プロピレンブロック共重合体におけるゴム成分部の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]= 2.7dl/g・MFR(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)=11g/10分・密度(ASTM D 150523℃)=0.901g/cm3・ゴム成分含有量(常温n- デカン可溶成分量)=12重量%・樹脂成分含有量(常温n- デカン不溶分量)=88重量%プロピレン・エチレンランダム共重合体(b):・エチレン含量=4モル%、・密度(ASTM D 150523℃)=0.901g/cm3、・MFR(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)=9g/10分繊維状有機充填材(c)・レーヨン繊維・繊維のサイズ:平均15デニール×0.5mm【0041】
【実施例1】上記のプロピレンブロック共重合体(a)50重量部と、プロピレン・エチレンランダム共重合体(b)50重量部と、繊維状有機充填材(c)3重量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて十分混合した後、200℃に設定した二軸押出機に通してポリプロピレン樹脂組成物のペレットを調製した。
【0042】次いで、調製した組成物のペレットを、樹脂温度200℃、金型温度40℃の条件下にインライン射出成形機にて、上記物性試験用の試験片を成形した。得られた試験片について、上記試験により比重、引張強度、引張破断点伸び、曲げ初期弾性率およびロックウェル硬度を測定した。
【0043】その結果を第1表に示す。
【0044】
【実施例2】実施例1において、プロピレンブロック共重合体(a)およびプロピレン・エチレンランダム共重合体(b)の配合量をそれぞれ75重量部、25重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行なった。
【0045】結果を第1表に示す。
【0046】
【比較例1】実施例1において、プロピレンブロック共重合体(a)およびプロピレン・エチレンランダム共重合体(b)の配合量をそれぞれ100重量部、0重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行なった。
【0047】結果を第1表に示す。
【0048】
【参考例】実施例1において、プロピレン・エチレンランダム共重合体(b)と繊維状有機充填材(c)を用いずに、プロピレンブロック共重合体(a)のペレットを用いて上記物性試験用試験片を作製した以外は、実施例1と同様に行なった。
【0049】結果を第1表に示す。
【0050】
【表1】

【出願人】 【識別番号】596059945
【氏名又は名称】株式会社グランドポリマー
【出願日】 平成9年(1997)8月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊一郎
【公開番号】 特開平11−60843
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−227944