| 【発明の名称】 |
ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤ |
| 【発明者】 |
【氏名】森永 啓詩
【氏名】寺谷 裕之
【氏名】山口 裕二
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| 【要約】 |
【課題】優れた氷上性能を有するタイヤのトレッド等の原料に好適なゴム組成物の提供。
【解決手段】天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選ばれた少なくとも1種からなるゴム成分を含むゴムマトリックスと、中空有機繊維とを含有してなり、加硫時において、前記ゴムマトリックスの温度が加硫最高温度に達するまでの間に、前記中空有機繊維の粘度が前記ゴムマトリックスの粘度よりも低くなることを特徴とするゴム組成物である。中空有機繊維の融点が加硫最高温度よりも低い態様、中空有機繊維の中空率が20〜70%である態様、及び、ゴムマトリックス100重量部に対して中空有機繊維を5〜30重量部含有する態様が好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選ばれた少なくとも1種からなるゴム成分を含むゴムマトリックスと、中空有機繊維とを含有してなり、前記中空有機繊維の粘度が、加硫時に前記ゴムマトリックスの温度が加硫最高温度に達するまでの間に該ゴムマトリックスの粘度よりも低くなることを特徴とするゴム組成物。 【請求項2】 中空有機繊維が結晶性高分子を含んでなり、その融点が加硫最高温度よりも低い請求項1に記載のゴム組成物。 【請求項3】 結晶性高分子が、ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれた少なくとも1種である請求項2に記載のゴム組成物。 【請求項4】 中空有機繊維の中空率が20〜70%である請求項1から3のいずれかに記載のゴム組成物。 【請求項5】 ゴムマトリックス100重量部に対して、中空有機繊維を5〜30重量部含有する請求項1から4のいずれかに記載のゴム組成物。 【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載のゴム組成物を加硫してなり、長尺状の空隙を有することを特徴とする加硫ゴム。 【請求項7】 1対のビード部、該ビード部にトロイド状をなして連なるカーカス、該カーカスのクラウン部をたが締めするベルト及びトレッドを有してなり、少なくとも前記トレッドが、請求項1から5のいずれかに記載のゴム組成物を含んでなることを特徴とするタイヤ。 【請求項8】 長尺状の空隙がタイヤ周方向に沿って配向された請求項7に記載のタイヤ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤに関し、更に詳しくは、特に市場が要望する優れた氷上性能を有するタイヤ、該タイヤのトレッド等に好適な加硫ゴム、及び該加硫ゴムの原料等として好適に使用できる、発泡剤を含まないゴム組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】スパイクタイヤが規制されて以来、氷雪路面上でのタイヤの制動・駆動性能(氷上性能)を向上させるため、特にタイヤのトレッドについての研究が盛んに行われてきている。前記氷雪路面においては、該氷雪路面と前記タイヤとの摩擦熱等により水膜が発生し易く、該水膜が、タイヤと氷雪路面との間の摩擦係数を低下させる原因になっている。このため、前記タイヤのトレッドの水膜除去能やエッヂ効果が、前記氷上性能に大きく影響する。したがって、タイヤにおける前記氷上性能を向上させるためには、前記トレッドの水膜除去能やエッヂ効果を改良することが必要である。 【0003】そこで、前記トレッドの表面にミクロな排水溝(深さ、幅共に100μm程度)を多数設け、該ミクロな排水溝により前記水膜を排除し、該トレッドを有するタイヤの前記氷雪路面上での摩擦係数を大きくさせ、前記氷上性能を向上させることが提案されている。しかし、この場合、該タイヤの使用初期における前記氷上性能を向上させることはできるものの、該タイヤの摩耗に伴い、徐々に前記氷上性能が低下してしまうという問題がある。 【0004】また、前記トレッドに発泡ゴムを用い、該発泡ゴムにおける気泡が露出して形成される凹部により前記水膜を除去し、前記氷上性能を向上させることが提案されている。しかし、単なる発泡ゴムにおける気泡が露出して形成される凹部は、その断面が球状であり異方性を持たず、ミクロな排水溝として機能し得ないため、この場合、市場の要求レベルを満たす程度にまで前記氷上性能を向上させることができないという問題がある。また、工業的に発泡剤のコストが比較的高いことも問題である。 【0005】更に、特開平4−38207号公報等においては、短繊維入発泡ゴムを前記トレッドに用いることにより、該トレッドの表面に前記ミクロな排水溝を形成することが記載されている。しかし、この場合、該短繊維は熱収縮によりカールしたり、モールド加硫時にサイプ部に押し込まれて屈曲してしまい、走行により該トレッドが摩耗しても、摩耗面と略平行でない該短繊維は、該トレッドから容易に離脱せず、当初の狙いのような前記ミクロな排水溝が効率的に形成できず、前記氷雪路面上での摩擦係数の向上が十分でない。また、前記短繊維の離脱は走行条件等に大きく左右され、確実に前記氷上性能を向上させることができない。また、前記ミクロな排水溝は、タイヤにかかる負荷が大きい場合には潰れてしまう等の問題がある。 【0006】一方、特開平4−110212号公報等においては、前記トレッドに中空繊維を分散させることにより、前記氷雪路面と前記トレッドとの間に存在する前記水膜を該中空繊維の中空部分で排除し得るタイヤが開示されている。しかしながら、このタイヤの場合、該中空繊維のゴム中への混練り時や成形時における圧力、ゴム流れ、温度等によって該中空繊維が潰れてしまい、実際には該中空繊維は中空形状を保つことができず、前記ミクロな排水溝が効率的に形成できず、依然として前記氷上性能が十分でないという問題がある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、前記氷雪路面上に生ずる水膜の除去能力に優れ、該氷雪路面との間の摩擦係数が大きく、前記氷上性能に優れるタイヤ、該タイヤのトレッドなど、氷上でのスリップを抑えることが必要な構造物に好適な加硫ゴム、及び、該加硫ゴムの原料等として好適な、発泡剤を含まないゴム組成物を低コストで提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、<1> 天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選ばれた少なくとも1種からなるゴム成分を含むゴムマトリックスと、中空有機繊維とを含有してなり、前記中空有機繊維の粘度が、加硫時に前記ゴムマトリックスの温度が加硫最高温度に達するまでの間に該ゴムマトリックスの粘度よりも低くなることを特徴とするゴム組成物である。 <2> 中空有機繊維が結晶性高分子を含んでなり、その融点が加硫最高温度よりも低い前記<1>に記載のゴム組成物である。 <3> 結晶性高分子が、ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれた少なくとも1種である前記<2>に記載のゴム組成物である。 <4> 中空有機繊維の中空率が20〜70%である前記<1>から<3>のいずれかに記載のゴム組成物である。 <5> ゴムマトリックス100重量部に対して、中空有機繊維を5〜30重量部含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載のゴム組成物である。 【0009】<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のゴム組成物を加硫してなり、長尺状の空隙を有することを特徴とする加硫ゴムである。 【0010】<7> 1対のビード部、該ビード部にトロイド状をなして連なるカーカス、該カーカスのクラウン部をたが締めするベルト及びトレッドを有してなり、少なくとも前記トレッドが、前記<1>から<5>のいずれかに記載のゴム組成物を含んでなることを特徴とするタイヤである。 <8> 長尺状の空隙がタイヤ周方向に沿って配向された前記<7>に記載のタイヤである。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明のゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤについて詳細に説明する。 【0012】(ゴム組成物)本発明のゴム組成物は、ゴムマトリックスと、中空有機繊維とを含有する。なお、本発明のゴム組成物は、発泡剤を含有しない。 −−ゴムマトリックス−−前記ゴムマトリックスは、本発明のゴム組成物において前記中空有機繊維を除く成分を含み、具体的には、天然ゴム及びジエン系合成ゴムから選ばれた少なくとも1種からなるゴム成分を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。 【0013】−ゴム成分−前記ゴム成分は、天然ゴムのみを含んでいてもよいし、ジエン系合成ゴムのみを含んでいてもよいし、両者を含んでいてもよい。前記ジエン系合成ゴムとしては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)などが挙げられる。これらのジエン系合成ゴムの中でも、ガラス転移温度が低く、前記氷上性能の効果が大きい点で、シス−1,4−ポリブタジエンが好ましく、シス含有率が90%以上のものが特に好ましい。 【0014】なお、前記ゴム組成物をタイヤのトレッド等に用いる場合、前記ゴム成分としては、−60℃以下のガラス転移温度を有するものが好ましい。このようなガラス転移温度を有するゴム成分を用いると、該トレッド等は、低温域においても十分なゴム弾性を維持し、良好な前記氷上性能を示す点で有利である。 【0015】−その他の成分−前記その他の成分としては、本発明の目的を害しない範囲で使用することができ、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム等の無機充填材、シランカップリング剤等のカップリング剤、軟化剤、硫黄等の加硫剤、ジベンゾチアジルジスルフィド等の加硫促進剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−ベンゾチアジル−スルフェンアミド等の老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、オゾン劣化防止剤等の添加剤等の他、通常ゴム業界で用いる各種配合剤などを適宜使用することができる。これらはそれぞれ1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、本発明においては、前記その他の成分については市販品を使用することができる。 【0016】−−中空有機繊維−−前記中空有機繊維としては、前記ゴムマトリックスが加硫最高温度に達するまでの間に溶融(軟化を含む)する熱特性を有していること、換言すれば、前記ゴム組成物の加硫時に前記ゴムマトリックスの温度が加硫最高温度に達するまでの間に該中空有機繊維の粘度が該ゴムマトリックスの粘度よりも低くなる熱特性を有していることが必要である。 【0017】前記加硫最高温度とは、前記ゴム組成物の加硫時における前記ゴムマトリックスが達する最高温度を意味する。例えば、モールド加硫の場合には、該ゴム組成物がモールド内に入ってからモールドを出て冷却されるまでに前記ゴムマトリックスが達する最高温度を意味する。前記加硫最高温度は、例えば、前記ゴムマトリックス中に熱電対を埋め込むこと等により測定することができる。 【0018】なお、前記ゴムマトリックスの粘度は流動粘度を意味し、前記中空有機繊維の粘度は溶融粘度を意味し、これらは、例えばコーンレオメーター、キャピラリーレオメーター等を用いて測定することができる。 【0019】前記中空有機繊維の素材としては、前記熱特性を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記熱特性を有する中空有機繊維としては、例えば、その融点が前記加硫最高温度よりも低い結晶性高分子からなる中空有機繊維などが好適に挙げられる。 【0020】該結晶性高分子からなる中空有機繊維を例に説明すると、該中空有機繊維の融点と、前記ゴムマトリックスの前記加硫最高温度との差が大きくなる程、前記ゴム組成物の加硫中に速やかに該中空有機繊維が溶融するため、該中空有機繊維の粘度が前記ゴムマトリックスの粘度よりも低くなる時期が早くなる。このため、該中空有機繊維が溶融すると、該中空有機繊維の中空部に存在していた空気はそのまま該中空部に残留する。その結果、該加硫ゴム中には、該中空有機繊維の素材樹脂で被覆された長尺状の空隙(長尺状気泡)が多く存在する。 【0021】一方、前記中空有機繊維の融点が、前記ゴムマトリックスの前記加硫最高温度に近くなり過ぎると、加硫初期に速やかに該中空有機繊維が溶融せず、加硫終期に該中空有機繊維が溶融する。加硫終期では、該中空有機繊維の中空部内に存在していた空気が拡散し、加硫したゴムマトリックス中に分散乃至取り込まれてしまっており、溶融した該中空有機繊維内には十分な量の空気が保持されない。他方、前記中空有機繊維の融点が低くなり過ぎると、該ゴム組成物の混練り時の熱で該中空有機繊維が溶融し、混練りの段階で該中空有機繊維同士の融着による分散不良、混練りの段階で該中空有機繊維が複数に分断されてしまう、該中空有機繊維が前記ゴム組成物中に溶け込んでミクロに分散してしまう、等の不都合が生じ好ましくない。 【0022】前記中空有機繊維の融点の上限としては、特に制限はないものの、以上の点を考慮して選択するのが好ましく、一般的には、前記ゴムマトリックスの前記加硫最高温度よりも、10℃以上低いのが好ましく、20℃以上低いのがより好ましい。ゴム組成物の工業的な加硫温度は、一般的には最高で約190℃程度であるが、例えば、加硫最高温度がこの190℃に設定されている場合には、前記中空有機繊維の融点としては、通常190℃以下の範囲で選択され、180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。 【0023】一方、ゴム組成物の混練りを考慮すると、前記中空有機繊維の融点としては、混練り時の最高温度に対して、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が特に好ましい。前記ゴム組成物の混練りでの最高温度を例えば95℃と想定した場合には、前記中空有機繊維の融点としては、100℃以上が好ましく、105℃以上がより好ましく、115℃以上が特に好ましい。 【0024】なお、前記中空有機繊維の融点は、それ自体公知の融点測定装置等を用いて測定することができ、例えば、DSC測定装置を用いて測定した融解ピーク温度を前記融点とすることができる。 【0025】前記中空有機繊維は、結晶性高分子から形成されていてもよいし、非結晶性高分子から形成されていてもよいし、結晶性高分子と非結晶性高分子とから形成されていてもよいが、本発明においては、相転移があるために粘度変化がある温度で急激に起こり、粘度制御が容易な点で結晶性高分子を含む有機素材から形成されているのが好ましく、結晶性高分子のみから形成されるのがより好ましい。 【0026】前記結晶性高分子の具体例としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、シンジオタクティック−1,2−ポリブタジエン(SPB)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の単一組成重合物や、共重合、ブレンド等により融点を適当な範囲に制御したものも使用でき、更にこれらに添加剤を加えたものも使用できる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの結晶性高分子の中でも、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体が好ましく、汎用で入手し易い点でポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)がより好ましく、融点が低く、取扱いが容易な点でポリエチレン(PE)が特に好ましい。 【0027】前記非結晶性高分子としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル、これらの共重合体、これらのブレンド物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記結晶性高分子と前記非結晶性高分子とを併用してもよい。 【0028】前記中空有機繊維には、本発明の目的を害しない範囲において、必要に応じて公知の添加剤が添加されていてもよい。 【0029】前記中空有機繊維の素材の分子量は、該素材の化学組成、分子鎖の分岐の状態等によって異なり一概に規定することはできないが、一般に、該中空有機繊維は、同じ素材で形成されていてもその分子量が高い程、ある一定の温度における粘度(溶融粘度)は高くなる。本発明においては、前記中空有機繊維の素材の分子量は、前記ゴムマトリックスの加硫最高温度における粘度(流動粘度)よりも該中空有機繊維の粘度(溶融粘度)が高くならないような範囲で選択するのが好ましい。 【0030】なお、一試験例では、前記中空有機繊維が、1〜2×105 程度の重量平均分子量のポリエチレンの場合の方が、7×105 以上の重量平均分子量のポリエチレンの場合よりも、中空有機繊維の中空部内に存在した空気が加硫後においても多量に残留していた。この相違は、該中空有機繊維の素材であるポリエチレンの分子量の違いに起因する粘度(溶融粘度)の差に基づくものと推測される。 【0031】前記中空有機繊維の中空率としては、発泡ゴムのように気体をゴム中に多く存在させ、前記氷上性能を向上させる観点からは、20〜70%が好ましく、25〜65%がより好ましく、30〜60%が特に好ましい。また、本発明においては、前記中空有機繊維の中空率として、前記数値範囲のいずれかの下限値若しくは上限値又は後述の実施例において採用した中空率の値を下限とし、前記数値範囲のいずれかの下限値若しくは上限値又は後述の実施例において採用した中空率の値を上限とする数値範囲も好ましい。前記中空率が、20%未満であると、ゴム組成物中に配合する前記中空有機繊維に対して、該ゴム組成物中に取り込み乃至保持される空気の量が少なく、該ゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムの前記氷上性能を十分に向上させることができず、70%を越えると、該中空有機繊維の生産性が悪化する上、該中空有機繊維が潰れ易く、この潰れにより該ゴム組成物の混練り時等において該中空有機繊維の中空部内に存在する空気のゴム組成物外への流出が起こり好ましくない。一方、前記中空率が前記好ましい数値範囲内にあると、そのようなことはない点で好ましい。 【0032】前記中空有機繊維のデニールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記氷上性能を向上させる観点からは、1〜1000デニールが好ましく、2〜800がより好ましい。前記中空有機繊維の長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記氷上性能を向上させる観点からは、1〜10mmが好ましく、2〜8mmがより好ましい。 【0033】前記中空有機繊維の前記ゴム組成物における含有量としては、前記ゴムマトリックス100重量部に対して、5〜30重量部が好ましく、7〜26重量部がより好ましく、9〜22重量部が特に好ましい。また、本発明においては、前記中空有機繊維の前記ゴム組成物における含有量として、前記数値範囲のいずれかの下限値若しくは上限値又は後述の実施例において採用した含有量の値を下限とし、前記数値範囲のいずれかの下限値若しくは上限値又は後述の実施例において採用した含有量の値を上限とする数値範囲も好ましい。 【0034】前記含有量が、5重量部未満であると、ゴム組成物中に配合する前記中空有機繊維に対して、該ゴム組成物中に保持される乃至は取り込まれる空気の量が少なく、長尺状の空隙の体積比率が小さいため、前記氷上性能を十分に向上させることができず、30重量部を越えると、該中空有機繊維のゴム組成物中での分散性が悪化する、押出時の作業性が悪化する、タイヤのトレッドにクラックが発生する等の不都合が生ずることがあり好ましくない。また、コスト的にも高くなり、好ましくない。一方、前記含有量が前記好ましい数値範囲内にあると、そのようなことはない点で好ましい。 【0035】−−ゴム組成物の調製−−前記ゴム組成物は、以上の各成分を適宜選択した装置、条件、手法等にて混練り、熱入れ、押出等することにより調製される。 【0036】前記混練りは、混練り装置への投入体積、ローターの回転速度、ラム圧等、混練り温度、混練り時間、混練り装置等の諸条件について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記混練り装置としては、市販品を好適に使用することができる。 【0037】前記熱入れ又は押出は、熱入れ又は押出の時間、熱入れ又は押出の装置等の諸条件について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記熱入れ又は押出の装置としては、市販品を好適に使用することができる。 【0038】本発明のゴム組成物を後述のタイヤのトレッド等に用いる場合、該ゴム組成物を加硫する前に、該ゴム組成物中の前記中空有機繊維を所定の方向に配向させておくのが好ましい。この場合、得られるタイヤ等の走行方向の排水性が高まり、前記氷上性能を向上させることができる点で好ましい。前記中空有機繊維を配向させる方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができるが、例えばタイヤのトレッドを得る場合には、該トレッドにおける地面と接触する表面に平行な方向に、更には、該タイヤの周方向に沿った方向が好ましい。 【0039】前記ゴム組成物中で前記中空有機繊維を所定の方向に配向させるには、公知の方法を採用することができるが、例えば、図1に示すように、前記中空有機繊維14が混練りされたゴムマトリックス15を、流路断面積が出口に向かって減少する押出機の口金16から押し出す方法などが挙げられる。この場合、押し出される前のゴムマトリックス15中の中空有機繊維14は、口金16へ押し出されていく過程でその長手方向が押出方向(A方向)に沿って除々に揃うようになり、口金16から押し出されるときには、その長手方向が押出方向(A方向)にほぼ完全に揃うようになる。なお、この場合の中空有機繊維14のゴムマトリックス15中の配向の程度は、流路断面積の減少程度、押出速度、ゴムマトリックスの粘度等によって変化する。 【0040】本発明のゴム組成物は、各種分野において好適に使用することができるが、後述の本発明の加硫ゴムの原料等として特に好適に使用することができる。 【0041】(加硫ゴム)本発明の加硫ゴムは、前記本発明のゴム組成物をそのまま、あるいは用途によっては上述のように前記中空有機繊維を配向させてから、加硫することにより容易に得られる。 【0042】前記加硫を行う装置、条件、方法等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、タイヤのトレッド等を得る場合にはモールド加硫を行うのが好ましい。前記加硫の温度としては、一般に前記ゴム組成物の加硫中におけるゴムマトリックスの加硫最高温度が前記中空有機繊維の融点以上になるように選択される。前記加硫最高温度が前記中空有機繊維の融点未満であると、前記中空有機繊維が溶融しない。 【0043】加硫前の前記ゴム組成物においては、前記ゴムマトリックスよりも前記中空有機繊維の方が粘度が高くなっている。加硫開始後、該ゴム組成物が加硫最高温度に達するまでの間に、該ゴム組成物に含まれる前記ゴムマトリックスは加硫によりその粘度が上昇していく。一方、該ゴム組成物に含まれる前記中空有機繊維は、溶融しその粘度が大幅に低下する。そして、加硫途中において、前記ゴムマトリックスよりも前記中空有機繊維の方が粘度が低くなる。即ち、加硫前の前記ゴムマトリックスと前記中空有機繊維との間における粘度の関係が、加硫途中の段階で逆転する現象が生ずる。このとき、前記中空有機繊維の中空部内に存在していた空気は、加硫反応が進行し粘度が上昇している前記ゴムマトリックスに比べて、溶融により相対的に粘度が低下した前記中空有機繊維の樹脂部内にそのまま残留する。 【0044】その結果、該ゴム組成物の加硫後に得られる加硫ゴムにおいては、発泡剤を使用せずとも、前記中空有機繊維が存在していた場所に長尺状の空隙(長尺状気泡)が存在する。該長尺状の空隙(長尺状気泡)は、その周囲(長尺状気泡の壁)が該中空有機繊維の素材によって被覆されており、加硫ゴム中にそれぞれ独立して存在している。前記中空有機繊維の素材をポリエチレン、ポリプロピレン等とした場合は、加硫したゴムマトリックスと該中空有機繊維の素材による被覆層(以下「保護層」と称することがある)とは特に強固に接着している。 【0045】本発明の加硫ゴムにおいては、上述の通り、前記中空有機繊維の素材によっては、加硫したゴムマトリックスと前記被覆層とは強固に接着しているが、該接着力を向上させる必要がある場合には、例えば、該中空有機繊維にゴムマトリックスとの接着性を向上させる成分を含有させる方法等が採用できる。 【0046】本発明の加硫ゴムにおいては、加硫したゴムマトリックス6A中に、長尺状の空隙11が存在している。原料である前記本発明のゴム組成物を押出等することによって該ゴム組成物中の前記中空有機繊維を一定の方向に配向させた場合には、図2に示すように長尺状の空隙11が、該押出方向(A方向)に配向した状態で存在している。この長尺状の空隙11は、加硫したゴムマトリックス6Aと接着している、溶融した前記中空有機繊維の素材からなる保護層13によりその周囲が囲まれている。また、長尺状の空隙11は、加硫ゴム6において独立した空間として存在し、長尺状の空隙11の内部には、空気が保持されている。 【0047】本発明の加硫ゴムにおいては、長尺状の空隙11が表面に露出した場合(図7参照)には、該長尺状の空隙11のよる凹部12が、水の効率的な排出を行う排水路として機能する。該凹部12の周囲は、耐剥離性に優れる保護層13により被覆され、保護されているため、該凹部12は、水路形状保持性、水路エッジ部摩耗性、荷重入力時の水路保持性等に優れる。 【0048】長尺状の空隙11の平均中空径D(=保護層13の内径、図2参照)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、10〜500μm程度であるのが好ましい。前記平均中空径Dが、10μm未満であると、該加硫ゴムをタイヤのトレッド等に用いても該タイヤ等の水排除性能が十分でないことがある。一方、500μmを越えると、該加硫ゴムの耐カット性、ブロック欠け性が悪化し、また、乾燥路面での耐摩耗性が悪化することがある。 【0049】前記長尺状の空隙11の1個当たりの最大長さL(図2参照)と、前記平均中空径Dとの比(L/D)としては、3以上が好ましい。前記比(L/D)が3以上であると、摩耗した加硫ゴムの表面に露出する長尺状の空隙11の長さを長くすることができ、また、その容積を大きくすることができるため、該加硫ゴムをタイヤのトレッド等に用いる場合に該タイヤ等の水排除性能を向上させることができる点で有利である。 【0050】本発明の加硫ゴムは、各種分野において好適に使用することができるが、氷上でのスリップを抑えることが必要な構造物に特に好適に使用でき、例えば空気入りタイヤのトレッド等に最も好適に用いることができる。前記氷上でのスリップを抑えることが必要な構造物としては、例えば、更生タイヤの貼り替え用のトレッド、中実タイヤ、氷雪路走行に用いるゴム製タイヤチェーンの接地部分、雪上車のクローラー、靴底等が挙げられる。 【0051】(タイヤ)本発明のタイヤは、少なくともトレッドを有してなり、少なくとも該トレッドが前記本発明の加硫ゴムを含んでなる限り、他の構成としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。換言すれば、前記本発明のゴム組成物を用い、これを加硫してなる加硫ゴムを含むトレッドを有するタイヤが、本発明のタイヤである。 【0052】本発明のタイヤの一例を図面を用いて説明すると以下の通りである。図3に示すように、本発明のタイヤ4は、一対のビード部1と、該一対のビード部1にトロイド状をなして連なるカーカス2と、該カーカス2のクラウン部をたが締めするベルト3と、トレッド5とを順次配置したラジアル構造を有する。なお、トレッド5以外の内部構造は、一般のラジアルタイヤの構造と変わりないので説明は省略する。 【0053】トレッド5には、図4に示すように、複数本の周方向溝7及びこの周方向溝7と交差する複数本の横溝8とによって複数のブロック9が形成されている。また、ブロック9には、氷上でのブレーキ性能及びトラクション性能を向上させるために、タイヤの幅方向(B方向)に沿って延びるサイプ10が形成されている。 【0054】トレッド5は、図5に示すように、直接路面に接地する上層のキャップ部5Aと、このキャップ部5Aのタイヤの内側に隣接して配置される下層のベース部5Bとから構成されており、いわゆるキャップ・ベース構造を有する。 【0055】キャップ部5Aは、図2及び図7に示すように、長尺状の空隙11を多数に含んだゴムであり、ベース部5Bには通常のゴムが使用されている。前記長尺状の空隙11を無数に含んだゴムが、前記本発明の加硫ゴムである。長尺状の空隙11は、図2に示すように、実質的にタイヤの周方向(A方向)に配向されており、その周囲が前記中空有機繊維の素材による保護層13で被覆されている。なお、本発明においては、長尺状の空隙11は、総てタイヤの周方向に配向されていなくても、一部タイヤの周方向以外の向きに配向していてもよい(図5参照)。 【0056】タイヤ4は、その製造方法については特に制限はないが、例えば、以下のようにして製造することができる。即ち、まず、前記ゴム組成物を調製する。このゴム組成物においては、前記中空有機繊維を一方向に配向させておく。該ゴム組成物を、生タイヤケースのクラウン部に予め貼り付けられた未加硫のベース部の上に貼り付ける。このとき、前記中空有機繊維の配向を、タイヤの周方向と一致させておく。そして、所定のモールドで所定温度、所定圧力の下で加硫成形する。その結果、前記ゴム組成物が加硫されてなる本発明の加硫ゴムで形成されたキャップ部5Aを、加硫されたベース部5B上に有してなるタイヤ4が得られる。 【0057】このとき、未加硫のキャップ部がモールド内で加熱され、加硫反応が進行すると、該加硫反応の途中で、前記中空有機繊維が溶融(又は軟化)し、その粘度(溶融粘度)が前記ゴムマトリックスの粘度(流動粘度)よりも低下することにより(図6参照)、該中空有機繊維の中空部内に存在していた空気がそのままそこに残留する。図2に示すように、冷却後のキャップ部5Aには、長尺状の空隙11が多数存在している。このキャップ部5Aは、本発明の加硫ゴムである。 【0058】次に、タイヤ4の作用について説明する。氷雪路面上でタイヤ4を走行させると、タイヤ4と前記氷雪路面との摩擦により、タイヤ4のトレッド5の表面が摩耗する。すると、図7に示すように、長尺状の空隙11による凹部12が、トレッド5のキャップ部5Aの接地面に露出する。更にタイヤ4を走行させると、タイヤ4とその接地面との間の接地圧及び摩擦熱により、タイヤ4と前記氷雪路面との間に生じた水膜は、トレッド5のキャップ部5Aの接地面に露出する無数の凹部12により、素早く排除され、除去される。このため、タイヤ4は、前記氷雪路面上でもスリップ等することが少なくなる。 【0059】タイヤ4においては、実質的にタイヤの周方向に配向している凹部12が効率的な排水を行う排水溝として機能する。凹部12は、その表面(周囲)が耐剥離性に優れる保護層13で被覆されているため、高荷重時でも潰れ難く、排水溝形状保持性、水排除性能に優れる。この凹部12により、タイヤ4の回転方向後側への水排除性能が向上するため、タイヤ4は、氷上ブレーキ性能に特に優れる。タイヤ4においては、保護層13による引っ掻き効果によって横方向の氷上μが向上し、その結果、氷上ハンドリングが良好である。 【0060】本発明のタイヤは、いわゆる乗用車用のみならず、トラック・バス用等の各種の乗物にも好適に適用できる。 【0061】 【実施例】以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これの実施例に何ら限定されるものではない。 (実施例1〜6及び比較例1〜2)表1に示す組成のゴム組成物を調製した。これらのゴム組成物の加硫時におけるゴムマトリックスの加硫最高温度は、該ゴムマトリックス中に熱電対を埋め込んで測定したところ175℃であった。 【0062】表1中の「繊維」は中空有機繊維を意味する。この中空有機繊維は、ノズルがドーナツ状である外は通常の溶融紡糸法と同様にして製造されたものであり、軸に直交する方向の断面がほぼ円形である。この中空有機繊維の素材は、実施例1〜6では、ポリエチレン(HDPE、重量平均分子量(Mw)1.8×105 )であり、Dupont社製DSCにより、昇温速度10℃/分、サンプル重量約5mgの条件にて測定した融点ピーク温度(融点)が135℃であった。また、比較例2では、ポリエチレンテレフタレートであり、Dupont社製DSCにより、昇温速度10℃/分、サンプル重量約5mgの条件にて測定した融点ピーク温度(融点)が255℃であった。 【0063】したがって、中空有機繊維の融点は、実施例1〜6では前記ゴム組成物の加硫時における前記ゴムマトリックスの加硫最高温度よりも低くなっており、比較例2では前記ゴム組成物の加硫時における前記ゴムマトリックスの加硫最高温度よりも高くなっている。このため、前記ゴム組成物の加硫時において、前記ゴムマトリックスの温度が加硫最高温度に達するまでの間に、前記中空有機繊維の粘度が、実施例1〜6では前記ゴムマトリックスの粘度よりも低くなったが(図6参照)、比較例2では前記ゴムマトリックスの粘度よりも低くならなかった。 【0064】なお、前記中空有機繊維の前記加硫最高温度における粘度(溶融粘度)は、コーンレオメーターを用いて測定(スタート温度を190℃とし、5℃ずつ温度を下げながら発生するトルクを中空有機繊維の粘度として、該粘度の温度依存性を測定し、得られたカーブからトレッドの最高温度での中空有機繊維の粘度を読み取り、ゴムマトリックスの粘度と比較した。温度以外は、後述のゴムマトリックスの粘度の測定と同条件で行った。)したところ、実施例1〜6では6kg・cmであった。比較例2では、溶融しないため、粘度が著しく高く測定できなかった。 【0065】前記ゴムマトリックスの前記加硫最高温度における粘度(流動粘度)は、モンサント社製コーンレオメーター型式1−C型を使用し、温度を変化させながら100サイクル/分の一定振幅入力を与えて経時的にトルクを測定し、その際の最小トルク値を粘度としたところ(ドーム圧力0.59MPa、ホールディング圧力0.78MPa、クロージング圧力0.78MPa、振り角±5°)、実施例1〜6及び比較例1〜2では13kg・cmであった。 【0066】次に、各ゴム組成物を用い、タイヤのトレッドを形成し、トレッドが本発明の加硫ゴムで形成されたタイヤ(空気入りタイヤ)を通常のタイヤ製造条件に従って製造した。このタイヤは、乗用車用ラジアルタイヤであり、そのタイヤサイズは185/70R13であり、その構造は図3に示す通りである。即ち、一対のビード部1と、該一対のビード部1にトロイド状をなして連なるカーカス2と、該カーカス2のクラウン部をたが締めするベルト3と、トレッド5とを順次配置したラジアル構造を有する。 【0067】このタイヤ4において、カーカス2は、タイヤ周方向に対し90°の角度で配置され、コードの打ち込み数は、50本/5cmである。タイヤ4のトレッド5には、図4に示す通り、タイヤ4の幅方向に4個のブロック9が配列されている。ブロック9のサイズは、タイヤ4の周方向の寸法が35mmであり、タイヤ4の幅方向の寸法が30mmである。また、ブロック9に形成されているサイプ10は、幅が0.4mmであり、タイヤ4の周方向の間隔が約7mmになっている。 【0068】得られた各タイヤの氷上性能及び各タイヤを製造する際の精錬作業性(中空有機繊維の分散性)を評価した。その結果を表1に示した。 <氷上性能>タイヤを国産1600CCクラスの乗用車に装着し、該乗用車を、一般アスファルト路上に200km走行させた後、氷上平坦路を走行させ、時速20km/hの時点でブレーキを踏んでタイヤをロックさせ、停止するまでの距離を測定した。結果は、距離の逆数を比較例1のタイヤを100として指数表示した。なお、数値が大きいほど氷上性能が良いことを示す。 【0069】<精錬作業性(中空有機繊維の分散性)>以下の基準に従い、○、×、△の3段階で評価した。なお、△以上であれば、実作業上問題のないレベルと言える。 ○: 精錬作業に何ら支障のないレベルであった△: 中空有機繊維の分散不良(径が5mm未満の塊)が少量観られた×: 中空有機繊維の塊(径が5mm以上の塊)が複数箇所観られた【0070】また、各タイヤのトレッド部分における「含泡率」を、該トレッドの空気中での比重と、エタノール中での比重とから算出し、その結果を表1に示した。なお、加硫ゴム(トレッド)の「ゴム硬度」は、JIS K 6301−1995(25℃、スプリング式硬さ(Aタイプ))に従って測定し、その結果を表1に示した。 【0071】 【表1】
【0072】表1の結果から、以下のことが明らかである。即ち、中空有機繊維を用いた本発明の実施例1〜6の場合、潰れのない長尺状の空隙が形成されており、また、該長尺状の空隙は、加硫したゴムマトリックスと強固に接着した前記中空有機繊維の素材による保護層で被覆されているため、中空有機繊維を用いない比較例1、及び、融点が高く、加硫中に溶融しない有機繊維を用いた比較例2に比べて、いずれも前記氷上性能に優れていた。実施例1〜6の中でも、中空有機繊維の中空率(%)及び中空有機繊維のゴム組成物中の含有量がいずれも特に好ましい数値範囲内にある実施例1〜3の場合は、特に優れた前記氷上性能及び前記精錬作業性を示した。 【0073】また、実施例1及び3の比較から、前記中空有機繊維の中空率が高い方が、 前記氷上性能に優れてることが明らかである。前記中空有機繊維の中空率(%)が好ましい数値範囲(20〜70%)内にない実施例6は、実施例1〜3に比べて、前記氷上性能がやや劣っていた。また、中空有機繊維のゴム組成物中の含有量が好ましい数値範囲の下限値である5重量部を下回る実施例4は、実施例1〜3に比べて前記氷上性能がやや劣っていた。中空有機繊維のゴム組成物中の含有量が好ましい数値範囲の上限値である30重量部を上回る実施例5は、実施例1〜3に比べて、前記中空有機繊維の分散性が悪くなり、前記氷上性能及び前記精錬作業性がやや劣っていた。 【0074】なお、比較例2の場合には、加硫中に中空有機繊維が溶融せずに潰れ等が生じたため、該中空有機繊維の中空部内に存在していた空気が分散し、長尺状の空隙が十分には形成できず、前記氷上性能を効果的に向上させることができなかった。また、中空有機繊維と加硫したゴムマトリックスとが強固に接着していないため、走行中に該中空有機繊維の脱落が観られ、摩耗に対する保護層の耐剥離性、水路形状保持性等が十分でなかった。 【0075】 【発明の効果】本発明によると、前記従来における諸問題を解決することができる。また、本発明によると、前記氷雪路面上に生ずる水膜の除去能力に優れ、該氷雪路面との間の摩擦係数が大きく、前記氷上性能に優れるタイヤ、該タイヤのトレッドなど、氷上でのスリップを抑えることが必要な構造物に好適な加硫ゴム、及び、該加硫ゴムの原料等として好適な、発泡剤を含まないゴム組成物を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005278 【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月27日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】中島 淳 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−60814 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−231481 |
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