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【発明の名称】 防曇性透明シート材料及び食品包装容器
【発明者】 【氏名】鈴木 正広

【氏名】渡辺 明人

【氏名】小山 政利

【要約】 【課題】ワンウェイ食品包装容器用成形材料として好適なポリプロピレン系樹脂からなる防曇性透明シート材料及びそれを熱成形して得られる防曇性透明食品包装容器を提供する。

【解決手段】高級脂肪酸三級アミド、ソルビタン高級脂肪酸エステル及びグリセリンもしくはポリグリセリン高級脂肪酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を0.05〜1.0重量%含有するプロピレン/エチレンランダム共重合体からなる基材シートと、その表面に形成されたHLBが14〜16のショ糖ラウリン酸エステル被膜とからなることを特徴とする防曇性透明シート材料。ポリプロピレン系樹脂からなる基材シートと、その表面に形成された前記界面活性剤を0.05〜1.0重量%含有するプロピレン/エチレンランダム共重合体からなる中間層と、その中間層の表面に形成されたHLBが14〜16のショ糖ラウリン酸エステル被膜とからなることを特徴とする防曇性透明シート材料。前記シート材料を熱成形してなる防曇性透明食品包装容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高級脂肪酸三級アミド、ソルビタン高級脂肪酸エステル及びグリセリンもしくはポリグリセリン高級脂肪酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を0.05〜1.0重量%含有するプロピレン/エチレンランダム共重合体からなる基材シートと、その表面に形成されたHLBが14〜16のショ糖ラウリン酸エステル被膜とからなることを特徴とする防曇性透明シート材料。
【請求項2】 ポリプロピレン系樹脂からなる基材シートと、その表面に形成された高級脂肪酸三級アミド、ソルビタン高級脂肪酸エステル及びグリセリンもしくはポリグリセリン高級脂肪酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を0.05〜1.0重量%含有するプロピレン/エチレンランダム共重合体からなる中間層と、その中間層の表面に形成されたHLBが14〜16のショ糖ラウリン酸エステル被膜とからなることを特徴とする防曇性透明シート材料。
【請求項3】 請求項1又は2のシート材料を、該ショ糖ラウリン酸エステル被膜が容器内面を形成するように熱成形してなる防曇性透明食品包装容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワンウェイ食品包装容器を形成するのに好適な防曇性透明シート材料及びそれを熱成形することにより得られる防曇性透明食品包装容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、シートから熟成形されるワンウェイ食品包装容器を成形するためのポリプロピレンシートに極めてむらの少ない良好な防曇処理を施したものは皆無である。これは、ポリプロピレン自体の透明性が一般に高くなく、通常用いられているポリプロピレンによって成形される食品包装容器が、極めてむらの少ない防曇特性を必要とするほど良好な透明性を要求されなかったことに加え、ポリプロピレン製ワンウェイ食品包装容器に高い防曇性及び高い透明性を与えることが実際上技術的に困難であったことによるものである。また、ポリプロピレンシートから成形されるポリプロピレン製食品包装容器は、一般に、ラップで包装されるトレーや容器内部に食品とともに水を充填するシール用容器が多く、前者のトレーの表面を高度に平滑化させた容器にラップをかけようとするとラップが容器に張り付いてしまい、ラップのちぎれや容器の破損を生じてしまうため、わざと容器の表面に微細な凹凸をつけ、特に表面ヘイズの高い半透明容器に形成することによりラップによる包装適性を改善せざるを得ないという状況がある。前記した容器の内部に水等を充填してシールするタイプのポリプロピレン製容器にあっては、充填した水などが容器の内表面の凹凸に入り込んで表面ヘイズを殆どなくしてしまい、それによって良好な透明性が得られるが逆に、その内部に水等を大量に充填してしまう為に防曇性能の有無が意味をなさなくなってしまう。例えば、シールする蓋材のフィルムに防曇処理を行っても容器がわずかに動いただけで防曇剤が直ちに充填した水に洗い流されてしまって防曇性を発揮させることができない。近年においては、耐熱性の高いポリプロピレン系樹脂を用いたワンウェイ食品包装容器が広く用いられる状況となってきた。しかしながら、それらの中で透明ポリプロピレン成形品には練り込み型防曇剤によっても、塗布型防曇剤によっても十分良好な防曇性を与えることが出来ない。従って、従来のポリプロピレン系樹脂成形容器の場合、高度な防曇性を必要としない限られた用途にしか用いられていないのが実状である。一方、ポリプロピレンは素材としての耐熱性が高く、加えて高い透明性を得ることのできる樹脂グレード、及び二次成形の加工方法の開発が進んできたことと相まって、ポリプロピレンを素材とした高い透明性を持つワンウェイ食品包装容器のニーズは確実に高くなってきており、それに伴って容器そのものの高い透明性を生かすことの出来る、実用的な高透明性を得るための防曇処理方法及び高い防曇特性を備えたワンウェイ食品包装容器が要望されている。
【0003】ところが、ワンウェイ食品包装容器を形成するためのポリプロピレン系樹脂シートに防曇剤を混合分散させたり塗布したりすることによって透明性の低下や黄変を避けつつ、例えば5℃以下の低温環境中で見栄えのよい防曇効果を得る事ができる食品包装容器を製造するのは極めて困難である。一般的に、透明なワンウェイ食品包装容器やその蓋体は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の低温陳列ケースの中に陳列された際には陳列された直後から販売されるまでの間、単に包装された食品が見えるだけではなく、視覚的に食欲をそそるような見栄えの良さで、つまり容器の内面に凝縮した水を購買客が意識しなくてすむ程度の平面性を持った水膜が得られる程度の防曇性を必要とする。更にこの容器が購買客の手に取られてまた陳列ケースに戻されるという取り扱いを受けても容器の内面に生じた水膜の流動によって防曇性の極端な低下をきたすことの無い様にしなければならない。しかしながら、練り込み型防曇剤又は塗布型防曇剤を用いる従来行われている防曇処理方法では、特に低温環境下では容器内面に水蒸気が凝集した水滴により、防曇剤が流れ去ったり、防曇面の親水性が不足になったりして防曇性が阻害されたり付着むらが生じる。そして、この付着むらが生ずると見栄えが悪く、食品の新鮮なイメージを阻害する。
【0004】特に、ポリプロピレン系樹脂にあっては、従来から行われている防曇処理方法である練り込み防曇剤でも、塗布型防曇剤でも完全な防曇効果を発揮出来ない。例えばある種の界面活性剤を練り込んで押出成形後表面にブリードさせ防曇性を発揮させる、いわゆる防曇剤の練り込み法の場合にあっては、次のような問題を含む。
(1)ポリプロピレンに練り込み型の防曇剤を十分な程度に練り込むと混練押出シート成形時に発煙を生じたり、ロール汚れによるシートの不透明化を生じたり、或いは一見良品を得たとしてもその製品を保管している問にブリードによる白化を生ずる。また物性強度も低下しやすい。
(2)防曇剤の親油基が大きいと防曇剤がブリードしにくくなると共に良好な防曇性が全く得られなくなる。
(3)防曇剤の親油基が小さいとブリードはしやすいが、安定した練り込みが出来にくく、防曇特性も安定して発現しにくく、防曇性の長時間維持もしにくい等の問題を生ずる。
(4)この様にポリプロピレンに練り込み型の防曇剤を適用した場合には、防曇性の安定な発揮が難しく、特に低温防曇性の初期効果が劣り、無理に初期効果を発揮させようとすると長時間効果を持続出来ない。
【0005】他方、防曇剤の塗布法による場合にあっては、次のような問題を含む。
(1)ポリプロピレンシートに防曇剤を塗布しようとすると、塗布液の親油性が高くないと均一な塗布が出来ず、塗布ムラが生じたり塗布液そのものがポリプロピレンシート上ではじきを生じてしまう。
(2)ところが、塗布液の親油性が高いと、塗布は安定に出来るようになるが、十分な防曇特性を得にくく、曇りを生じやすい。
(3)ポリプロピレンシート上では、塗布面が擦れると塗布した防曇剤の部分的な剥離を生じてしまい、防曇性不良を生じやすい。
(4)これらを改善するためポリプロピレンシートの表面にコロナ処理をかけ、その上に塗布液を塗布することがよく行われるが、塗布状態は若干良好となるが上記(1)〜(3)の問題点は根本的には改善されず、相変わらず問題となる。
(5)防曇剤のべたつきやコロナ処理のかけすぎにより、食品包装容器のブロッキングを生じやすい。
(6)全般的には初期防曇性は良好だが、長時間経つと防曇剤が流されてしまい防曇効果が極端に低下する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ワンウェイ食品包装容器用成形材料として好適なポリプロピレン系樹脂からなる防曇性透明シート材料及びそれを熱成形して得られる防曇性透明食品包装容器を提供することことをその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、高級脂肪酸三級アミド、ソルビタン高級脂肪酸エステル及びグリセリンもしくはポリグリセリン高級脂肪酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を0.05〜1.0重量%含有するプロピレン/エチレンランダム共重合体からなる基材シートと、その表面に形成されたHLBが14〜16のショ糖ラウリン酸エステル被膜とからなることを特徴とする防曇性透明シート材料が提供される。また、本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂からなる基材シートと、その表面に形成された高級脂肪酸三級アミド、ソルビタン高級脂肪酸エステル及びグリセリンもしくはポリグリセリン高級脂肪酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を0.05〜1.0重量%含有するプロピレン/エチレンランダム共重合体からなる中間層と、その中間層の表面に形成されたHLBが14〜16のショ糖ラウリン酸エステル被膜とからなることを特徴とする防曇性透明シート材料が提供される。さらに、本発明によれば、前記シート材料を熱成形してなる防曇性透明食品包装容器が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において有効な界面活性剤としては、高級脂肪酸三級アミド、ソルビタン高級脂肪酸エステル、グリセリンもしくはポリグリセリン高級脂肪酸エステルがあげられるが、特に高級脂肪酸三級アミドを用いた場合にあっては着色や着臭が発生しにくく、又、本発明の塗布型防曇剤と併用した場合に最も良好な防曇特性を得ることができる。本発明で用いる高級脂肪酸三級アミドには、界面活性剤として用いられている従来公知の各種のものが包含される。一般的には、下記一般式(1)で表されるものが有利に用いられる。
【化1】

前記式中、R1COは高級脂肪酸から誘導されるアシル基を示し、R2及びR3は脂肪族基を示し、R2及びR3は相互に結合して環を形成していてもよい。アシル基R1COにおいて、その脂肪族基R1には、置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基が包含され、そのR1の炭素数は7〜21、好ましくは11〜17である。置換基としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。脂肪族基R2及びR3には、置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基が包含され、その炭素数は2〜22、好ましくは2〜18である。置換基としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。本発明では、一方の脂肪族基R2は2−ヒドロキシルエチル基(CH(OH)−CH2−)であるのが好ましい。前記高級脂肪酸三級アミドの具体例を示すと、ジエタノールラウリルアミド、ジエタノールステアリルアミド、N−ドデシル−N−ヒドロシキシエチルオクタデカンアミド、N−(2−ヒドロキシドデシル)−N−ヒドロキシエチルオクタデカンアミド、N−ヒドロキシエチル−N−オタタデシルオクタデカンアミド、N−ヒドロキシエチル−N−(2−ヒドロキシオクタデシル)オクタデカンアミド等が挙げられる。
【0009】本発明で用いるソルビタン高級脂肪酸エステルには、界面活性剤として用いられている従来公知のものが包含される。この場合のソルビタンは、ソルビトールの分子内脱水化物であり、このソルビタンには、1,4−ソルビタンや、1,5−ソルビタン、ソルバイドが包含される。本発明で用いるソルビタン高級脂肪酸エステルは、前記ソルビタンと高級脂肪酸とのエステルであり、本発明の場合、ソルビタンモノ高級脂肪酸エステルを主成分、即ち50〜100%、好ましくは、80〜100%の割合で含むものが好ましい。また、ジエステルの混入を妨げるものではなく、50%までのジエステルの混入は許容される。前記ソルビタン高級脂肪酸エステルにおいて、その高級脂肪酸成分としては、そのアシル基(R1CO)の炭素数が8〜22、好ましくは12〜18であるものが用いられる。本発明で好ましく用いられるソルビタン高級脂肪酸エステルの具体例を示すと、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエートが挙げられる。
【0010】本発明で用いるグリセリンもしくはポリグリセリン高級脂肪酸エステルには、界面活性剤として用いられている従来公知のものが包含される。この場合のポリグリセリンにおいて、そのグリセリンの平均縮合度は、1.5〜10、好ましくは2〜6である。本発明で用いるグリセリンもしくはポリグリセリン高級脂肪酸エステルは、グリセリン又はポリグリセリンと高級脂肪酸とのエステルであり、本発明の場合、グリセリンもしくはポリグリセリンモノ高級脂肪酸エステルを主成分、即ち、50〜100%、好ましくは80〜100%の割合で含むものが好ましい。この場合もジエステルの混入は50%までは許容される。前記グリセリンもしくはポリグリセリン高級脂肪酸エステルにおいて、その高級脂肪酸成分としては、そのアシル基(R1CO)の炭素数が8〜22、好ましくは12〜18であるものが用いられる。本発明で好ましく用いられるグリセリンもしくはポリグリセリン(以下、これらを(ポリ)グリセリンとして示す)高級脂肪酸エステルの具体例を示すと、(ポリ)グリセリンモノステアレート、(ポリ)グリセリンモノパルミテート、(ポリ)グリセリンモノラウレート、(ポリ)グリセリンモノオレエートなどが挙げられる。
【0011】前記界面活性剤には、必要に応じ、他の界面活性剤、例えば炭素数8〜18のアルカンスルホン酸塩や、アルキルアリールスルホン酸塩等を適量併用することができる。
【0012】本発明で用いるショ糖ラウリン酸エステルには、界面活性剤として用いられている従来公知のものが包含される。この場合のショ糖ラウリン酸エステルは、そのHLBが14〜16の範囲にあるものである。そのHLBの調節は、ショ糖に結合するラウリン酸の結合量により行うことができる。
【0013】次に、本発明を図面を参照して説明する。図1は本発明の防曇性透明シート材料の1つの実施例についての説明断面図を示す。図2は本発明の防曇性透明シート材料の他の実施例についての説明断面図を示す。図1において、1は前記特定界面活性剤を含有するプロピレン/エチレンランダム共重合体からなる基材シートを示し、2はショ糖ラウリン酸エステル被膜を示す。図2において、2はショ糖ラウリン酸エステル被膜を示し、3はプロピレン系樹脂からなる基材シートを示し、4は前記特定界面活性剤を含有するプロピレン/エチレンランダム共重合体からなる中間層を示す。
【0014】本発明で前記基材シート1又は中間層4に用いる前記プロピレン/エチレンランダム共重合体は、透明性と内部に混入した界面活性剤のブリード性の両方の点ですぐれたものである。この共重合体において、そのエチレン含有量は、0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。本発明では、そのMFR(メルトフロレート)が、0.5〜5.0g/10分、好ましくは1.0〜3.0g/10分の範囲にあるものが好ましい。前記、プロピレン/エチレンランダム共重合体には、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンを添加することができ、また他のポリマー、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体ゴム、エチレン/ブテン共重合体等のポリマーを添加することができる。プロピレン/エチレンランダム共重合体に他のポリマーを添加した混合物において、そのプロピレン/エチレンランダム共重合体の含有割合は、50重量%以上、好ましくは60重量%以上である。
【0015】図2におけるポリプロピレン系樹脂基材シート3としては、プロピレン/エチレンランダム共重合体や、ホモポリプロピレン等の透明性を有するポリプロピレン系樹脂であれば任意のものを用いることができる。前記プロピレン系樹脂には、必要に応じ、その物性改良のために、ブロックポリプロピレン、エチレン/ブテン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン等を単独又は組み合わせ添加することができ、その添加量は、通常、20重量%以下である。
【0016】前記プロピレン/エチレンランダム共重合体からなる基材シート1又は中間層4には、前記した(i)高級脂肪酸三級アミド、(ii)ソルビタン高級脂肪酸エステル及び(iii)グリセリンもしくはポリグリセリン高級脂肪酸エステルの中から選ばれる界面活性剤の単独又は2種以上の混合物が添加されている。その添加量は、そのプロピレン/エチレンランダム共重合体に対し、0.05〜1重量%、好ましくは1.0〜0.5重量%の割合である。その添加量が0.05重量%を下回ると、塗布型防曇剤であるショ糖ラウリン酸エステルを塗工した直後から塗工した防曇剤水溶液からなる塗工膜にはじきを生じたり、厚みむらを生じたりして乾燥が完了した時点で防曇剤被膜の厚みむらを生じ、優れた防曇効果を発揮させることができない。一方、前記界面活性剤の添加量が1重量%を上回ると、ブリードするその界面活性剤の量が多くなりすぎてシートに白化を生ずる場合がある。
【0017】ショ糖ラウリン酸エステル被膜1の塗布量は、20〜100mg/m2、好ましくは40〜80mg/m2である。その塗布量が20mg/m2を下回ると有効な防曇性を得ることができなくなり、防曇むらや白化が生じやすくなる。一方、その塗布量が、100mg/m2を上回ると防曇性には問題はないものの、シート表面がべたつきやすくなり、商品価値が低下してしまう。従って望ましいのは20〜100mg/m2、更に望ましくは40〜80mg/m2が良い。また、塗布するショ糖ラウリン酸エステルのHLBが14を下回ると特に低温で食品を保存する際に十分な防曇効果が得られなくなり、逆に16を上回るとシート層に塗布した直後からはじきを生じ、均一な塗布を行うことができにくくなってしまう。
【0018】図1において、そのシート1の厚さは、通常0.15〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.5mmである。図2において、そのプロピレン/エチレン共重体中間層4の厚さは、通常、10〜200μm、好ましくは20〜100μmであり、基材シート3の厚さは、通常0.15〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.5mmである。
【0019】本発明のシート材料は、そのプロピレン/エチレンランダム共重合体基材シート1又は4及びプロピレン系樹脂基材シート3に透明核剤を含み、これにより、厚さが0.5mmのシートの全ヘイズは10%以下であり、その熱成形品の全ヘイズは15%以下である。
【0020】本発明のシート材料は、従来公知の方法に従って製造することができる。図1に示した構造のシート材料を製造するには、前記特定の界面活性剤を配合したプロピレン/エチレンランダム共重合体からなる基材樹脂を押出機内で加熱溶融し、その押出機先端のダイスからシート状に押出す。次に、このようにして得られたシートの表面に、ショ糖ラウリン酸エステルを水溶液又は水−アルコール溶液として塗布し、乾燥する。この場合の塗布方法、及び塗布後の乾燥方法としては、現在行われている各種の公知となっている方法をそのまま用いればよい。即ち、一般のエアドクターコーター、スクイズコーター、含浸機、ロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーターなどで塗布し、乾燥すれば良い。ショ糖ラウリン酸エステルを塗布する前に、その塗布予定面、すなわち上記界面活性剤を練り込んだ共重合体表面に対しコロナ処理を施すのが好ましいことが多い。処理レベルとしては、当該界面活性剤を練り込まない共重合体のみの組成でコロナ放電後のシートのJIS K6768による濡れ指数が40〜55dyn、好ましくは46〜50dynになるようにコロナ処理のレベルを選択する。これにより、ショ糖ラウリン酸エステルの塗布時のはじきやかすれが少なくなり、且つ、塗布したショ糖ラウリン酸エステルによる防曇効果の持続性を強化できる。この様にコロナ処理を行うことは良い効果をもたらすことが多いが、コロナ処理が必須である訳でなく、界面活性剤を組み合わせて練り込むことで、必ずしもコロナ処理なしでもショ糖ラウリン酸エステルを塗布でき、良好な防曇効果を発揮させることができる。
【0021】一方、図2に示したシート材料を製造するには、プロピレン系樹脂シートの表面に前記特定の界面活性剤を配合したプロピレン/エチレンランダム共重合体フィルムを積層し、その表面にショ糖ラウリン酸エステルを塗布し、乾燥する。この場合、プロピレン系樹脂シートに対するプロピレン/エチレンランダム共重合体フィルムの積層は、従来公知の方法、例えば、共押出し法や、熱圧着法等で行うことができる。
【0022】前記のようにして得た特定界面活性剤を含有するプロピレンエチレンランダム共重合体層を含み、かつその上にショ糖ラウリン酸エステル被膜を有する本発明のシート材料は、防曇性と透明性にすぐれたものであることから、それらの特性を活かして各種用途に供することができる。本発明の場合、特にワンウェイ食品包装容器やその蓋体を得るための成形材料として好ましく用いることができる。
【0023】本発明のシート材料を用いて食品包装容器を製造するには、前記シート材料を、そのショ糖ラウリン酸エステル被膜面を内面にして熱成形する。この場合の熱成形は、シート材料を容器形状に成形するための各種の方法、例えば、真空成形方法、圧空成形方法、圧縮成形方法等が挙げられる。
【0024】食品包装容器においては、その容器を多数重ね合わせて保管したときにブロッキングを生じ、個々の容器が分離しにくくなって、食品を包装する作業に支障がでる場合がある。これを防止するためには、そのショ糖ラウリン酸エステル塗布面の反対面にスリップ剤としてシリコーンオイルを塗布乾燥しておくことが、ワンウェイ食品包装容器としてはよく行われている。本発明の場合においても、シリコーンオイルは通常スリップ剤として販売されているものを通常の使用方法で用いればよく、通常は塗布後直ちに十分乾燥して、きれいなシリコーン塗布面を形成する様に乾燥条件を選べばよい。またシリコーンオイルを塗るのはショ糖ラウリン酸エステルを塗布する前でも後でもかまわない。
【0025】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0026】実施例1日本ポリケム製のプロピレン/エチレンランダム共重合体(EG7FT:MI=1.3、エチレン含量=3wt%)を用いてポリプロピレンの2層共押し出しを行い、図2のシートにおける中間層4に対応する表層約80μmと基材シート3に対応する厚さ約320μmのプロピレン/エチレンランダム共重合体からなる2層シートを得た。この表層部分には押出時にジエタノールラウリルアミド(日本油脂株式会社製スタフオームDL)0.3wt%を練り込んであり、該表層に界面活性剤を練り込まない場合のポリプロピレンシートに対して濡れ指数46ダインを与えることが出来る強度レベルのコロナ処理を実施し、更に該コロナ処理を行った面に防曇剤としてショ糖ラウリン酸エステル4wt%水溶液(三菱化学製LWA1570:HLB=15)をリバースロール法で塗布(塗布量50mg−固形分/m2)し、また、同時に基材シートの裏側面にエマルジョン型のジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン社製KM787を水で10倍に希釈したもの)を塗布型防曇剤と同様な別装置で塗布し(塗布量30mg−固形分/m2)、乾燥して積層ポリプロピレン系シートを製造した。次いでこの積層ポリプロピレン系シートを圧空成形して、縦20cm、横15cm、高さ35mmのサイズの容器本体、及び施蓋時に蓋体の内面がこの容器本体の口縁部とほぼ同じ高さとなる蓋体を10個作成し、容器中に50℃の温水を50cc入れて予め5℃に設定しておいた陳列用ショーケースの中に保管して曇りや水滴の発生を観察したところ、初期から曇りや大きな水滴は発生せず、容器本体や蓋体の内面に水が凝集していることがわかりにくい極めて良好な防曇効果が得られ、その状況を24時間以上維持することができた。
【0027】実施例2実施例1において、練り込んだ界面活性剤をソルビタンモノラウレート(花王株式会社製レオドールSP−L10)とした他は実施例1と同じ条件として成形品の製造及び防曇試験を行ったところ、実施例1と同様に初期から曇りや大きな水滴は発生せず、容器本体や蓋体の内面に水が凝集していることがわかりにくい良好な防曇効果を得られると共に、その状況を24時間以上維持することが出来た。
【0028】実施例3実施例1において、ジエタノールラウリルアミドに替えてステアリン酸モノグリセライド(花王株式会社社製エキセルT−95)を練り込んだ図2のシートにおける中間層4に対応する表層を300μmとし、基材シート3に対応する層を無くした、すなわち図1に示した構成のシートとした以外は同様にして成形品の製造及び防曇試験を行ったところ、実施例1と同様に初期から曇りや大きな水滴は発生せず、容器本体や蓋体の内面に水が凝集していることがわかりにくい良好な防曇効果を得られると共に、その状況を24時間以上維持することが出来た。
【0029】比較例1界面活性剤の練り込み及び塗布型防曇剤の塗布、コロナ処理の実施を行わない他は実施例1と同様に容器を作成して、やはり実施例1と同様に防曇性の評価を行ったところ、陳列用ショーケースの中に保管した直後から容器内面が白化してしまい、全く内部を見ることは出来なくなった。更にそのまま4時間経過した後においても、容器内面に付着した微細な水滴が大きくなる事によって白化状況はなくなったものの小さな水滴が無数に付着した状況となり、内部がぼやけたままで必要な透明性を得ることはできなかった。
【0030】比較例2界面活性剤の練り込みの実施を行わない他は実施例1と同様に容器を作成して、やはり実施例1と同様に防曇性の評価を行ったところ、ショーケースの中に保管した直後は実施例1に近い防曇性が見られたが、4時間経過後においては大きな水滴が蓋内面の全面に亘って付着し、内部がぼやけるとともに商品の新鮮感を出すことができず、必要な透明性を得ることはできなかった。
【0031】比較例3塗布型防曇剤の塗布を行わない他は実施例1と同様に容器を作成して、やはり施例1と同様に防曇性の評価を行ったところ、陳列用ショーケースの中に保管した直後は容器内面に曇りを生じ、内部を見ることは出来なくなった。この曇りは完全な白化では無く、小さな水滴が密集した状態の曇りではあったが、実用性のある透明性にはほど遠いものであった。この曇りは時間の経過とともに徐々に改善されていったが4時間経過後においても大小の水滴が容器内面に付着し、内部がぼやけるとともに商品の新鮮感を出す事ができず、必要な透明性を得ることはできなかった。
【0032】
【発明の効果】本発明の防曇処理を行ったシート材料を用いて製造した食品包装用容器は雰囲気温度が5℃付近の陳列ケースで保管しても極めて良好な防曇性を発揮するとともにその効果を長時間維持することが出来る。本発明によれば、シリコーン処理面と防曇剤処理面が対面して接触する状態を経ても防曇剤の効果が低減して防曇効果不足部分を生じることが無い。
【出願人】 【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】池浦 敏明 (外1名)
【公開番号】 特開平11−322980
【公開日】 平成11年(1999)11月26日
【出願番号】 特願平10−148419