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【発明の名称】 ポリマー基材の被覆法、被覆されたポリマー基材の使用及びそれからなる製品
【発明者】 【氏名】ローラント クンツ

【氏名】クリスティーネ アンダース

【氏名】ペーター オッタースバッハ

【要約】 【課題】ポリマー基材の被覆法、被覆されたポリマー基材の使用及びそれからなる製品【解決手段】 ポリマー基材の被覆法において、(A) 一般式: R−(A)のビニルモノマー(モノマーA)少なくとも1種;及び(B) 少なくとも2つのオレフィン系二重結合を有する架橋性ビニルモノマー(モノマーB)少なくとも1種又は(C) 少なくとも1種のモノマーAを含むポリマー(ポリマーC)をポリマー基材上の少なくとも1種のモノマーBとグラフトさせ、その際、ポリマー基材をグラフト前に活性化させ、かつグラフトを電磁線又は熱により開始させるか、又は開始剤を併用して、グラフトを電磁線又は熱により開始させる。

【解決手段】ポリマー基材の被覆法において、(A) 一般式: R−(A)のビニルモノマー(モノマーA)少なくとも1種;及び(B) 少なくとも2つのオレフィン系二重結合を有する架橋性ビニルモノマー(モノマーB)少なくとも1種又は(C) 少なくとも1種のモノマーAを含むポリマー(ポリマーC)をポリマー基材上の少なくとも1種のモノマーBとグラフトさせ、その際、ポリマー基材をグラフト前に活性化させ、かつグラフトを電磁線又は熱により開始させるか、又は開始剤を併用して、グラフトを電磁線又は熱により開始させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリマー基材の被覆法において、(A) 一般式:R−(A) 式I[式中、Rは、a価を有するモノ又はジ脂肪族不飽和有機基を表し、Aは、カルボキシル基−COOH、硫酸基−OSO2OH、スルホン酸基−SO3H、リン酸基−OPO(OH)2、ホスホン酸基−PO(OH)2、亜リン酸基−OP(OH)2、フェノール系ヒドロキシル基又は前記の基のいずれかの塩を表し、かつaは、1、2又は3であるが、但し、式Iのモノマーがカルボキシル基−COOH又はカルボキシレート基を有する場合は、このモノマーがAの前記の意味とは別の意味を有する少なくとももう1個の基Aを有するか、又はAが、Aの前記の意味とは別の意味を有する少なくとももう1種の式Iのモノマーが併用される]のビニルモノマー(モノマーA)少なくとも1種;及び(B) 少なくとも2つのオレフィン系二重結合を有する架橋性ビニルモノマー(モノマーB)少なくとも1種又は(C) 少なくとも1種のモノマーAを含むポリマー(ポリマーC)をポリマー基材上の少なくとも1種のモノマーBとグラフトさせ、その際、ポリマー基材をグラフト前に活性化させ、かつグラフトを電磁線又は熱により開始させるか、又は開始剤を併用し、かつグラフトを電磁線又は熱により開始させることを特徴とする、ポリマー基材の被覆法。
【請求項2】 モノマーA及びBの他に、生体学的効果に関して中性か、又は多少の弱い効果しか有しない他のモノオレフィン系不飽和モノマーDを併用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】 モノマーAとして一般式II又はIII:(C2n−q−x)(COOR1) II(C2n−q−x)(SO31) III[式中、nはそれぞれ無関係に2〜6の整数であり;xはそれぞれ無関係に1又は2であり;qはそれぞれ無関係に0又は2であり;かつR1はそれぞれ無関係に−H、金属イオンの等価物、脂肪族、脂環式又は芳香脂肪族アルコールの基を表す]のモノマーの混合物を使用する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】 モノマーAとして、式IV:(C66−b−c−d)B3(OH) IV[式中、Bは、それぞれ無関係に、式:(C2n−1−q−y)(COOR1)又は(C2n−1−q−y)(SO31)のモノ又はジ不飽和の直鎖又は分枝鎖基を表し、ここでR1、n及びqは請求項3中と同様に規定され、かつyは0、1又は2であり;R3はそれぞれ無関係に、C1〜C4−アルキル、−NH2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−OPO(OH)2、−PO(OH)2、−OP(OH)2、−OPO(O)OCH2−CH2−N(CH3)3、−PO(O)O−CH2−CH2−N(CH3)3、−OP(O)OCH2−CH2−N(CH3)3、前記の基の塩又はエステルを表し;bは1、2又は3であり;cは0、1、2又は3であり;かつdは0、1、2又は3であるが;但し、b+c+d≦6、有利に≦4である]のベンゼン化合物を使用する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】 モノマーAとして一般式V及びVI:【化1】

[式V及びVI中、R1は水素又はメチル基を表し、R2は2価の有機基又はC−C−単結合を表し、R3は−O−又は−NH−を表し、R4は水素又は基−SO3Naを表し、R5は水素、メチル基又は基:−R2−COOR6を表し、R6は水素又はNaを表し、かつnは4又は5を表すが、但し、置換基R4の少なくとも1つが基:−SO3Naである]のモノマーからなる混合物を使用する,請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】 グラフトされたポリマー層が、カルボキシル−及びスルホン酸基、カルボキシル−及びスルホネート基、カルボキシレート−及びスルホネート基、カルボキシル−、カルボキシレート−及びスルホネート基又はカルボキシル−、スルホン酸−及びスルホネート基を有するように、式II及びIIIのモノマーAを選択する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】 カルボキシル基及び/又はカルボキシレート基とスルホン酸基及び/又はスルホネート基とのモル比が0.2〜3である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】 カルボキシル基及び/又はカルボキシレート基とスルホン酸基及び/又はスルホネート基とのモル比が2〜10である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】 カルボキシル基及び/又はカルボキシレート基とスルホン酸基及び/又はスルホネート基とのモル比が3〜5である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】 架橋性ビニルモノマー(モノマーB)が3〜6個のオレフィン系二重結合を有する、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】 モノマーBが被覆の生体学的効果に寄与する基を有しない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】 ポリマーCを少なくとも1種のモノマーA及び場合により少なくとも1種のモノマーDから製造し、かつこれを少なくとも1種のモノマーBと一緒にポリマー基材上にグラフトさせる、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】 モノマーA、B及び場合によりDを、又はポリマーC及びモノマーBを、ポリマー基材の活性化された表面上に熱又は放射線によりグラフトさせ、かつ基材表面の活性化をUV−光線、プラズマ処理、強酸又は強塩基を用いてのコロナベ(Coronabe)処理により行う、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】 グラフトを250〜500nmの範囲の放射線により生じさせる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】 電磁線又は熱の作用下にラジカル形成しながら分解し、かつグラフト前にポリマー基材をそれで処理する開始剤を用いて、モノマーA、B及び場合によりDを、又はポリマーC及びモノマーBをグラフトさせる、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項16】 ポリマー基材上で、開始剤をモノマーと一緒に作用させて処理する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】 食品及び嗜好品工業、水処理技術、バイオテクノロジー、衛生用品及び殊に医療技術の分野で使用するための製品を製造するための、請求項1から16の記載により被覆されたポリマー基材の使用。
【請求項18】 食品及び嗜好品工業、水処理技術、バイオテクノロジー、衛生用品及び殊に医療技術の分野で使用するための、請求項1から16の記載により全体的に又は部分的に被覆された製品。
【請求項19】 製品が、テキスタイル、室内備品及び器具、管及びチューブ、床材、壁面及び天井材、貯蔵容器、包装、窓枠、受話器、便座、ドアノブ、公共交通機関の手すり及び吊革及び医療用具である、請求項18に記載の製品。
【請求項20】 医療用具が、ドレナージ、血管プロテーゼ、カニューレ、眼内レンズ、コンタクトレンズ、ステント、形成外科用の血管プロテーゼ、義関節、義骨、靭帯プロテーゼ、義歯、血液バッグ、透析膜、縫合材料、包帯用ガーゼ、フリース製品、手術用器具又はカテーテルである、請求項19に記載の製品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のモノマー又はそれからなるポリマーを用いてグラフトすることにより、ポリマー基材の表面を生体活性被覆する方法に関する。本発明により施与された被覆の重要な特性は、その細菌忌避特性並びに体液及び組織と接触する際のその良好な相容性である。被覆モノマーの官能性もしくは、被覆中の特定の官能基のモル比に応じて、表面は更に、細胞増殖抑制性又は細胞増殖促進性に調節される。本発明は更に、食品及び嗜好品工業、水処理技術、衛生備品のバイオテクノロジー及び殊に医療技術の分野で使用するためのこのような被覆を有する製品に関する。
【0002】
【従来の技術】ドイツ特許出願第19723132.2号明細書の目的は、(a) 一般式:R−(A) 式I[式中、Rは、a価を有する脂肪族不飽和有機基を表し、Aは、カルボキシル基−COOH、硫酸基−OSO2OH、スルホン酸基−SO3H、リン酸基−OPO(OH)2、ホスホン酸基−PO(OH)2、亜リン酸基−OP(OH)2、フェノール系ヒドロキシル基又は前記の基のいずれかの塩を表し、かつaは、1、2又は3であるが、但し、式Iのモノマーがカルボキシル基−COOH又はカルボキシレート基を有する場合は、このモノマーがAの前記の意味とは別の意味を有する少なくとももう1個の基Aを有するか、又はAが、Aの前記の意味とは別の意味を有する少なくとももう1種の式Iのモノマーが併用される]の少なくとも1種のモノマー;及び(b) 他の脂肪族不飽和モノマー少なくとも1種のラジカル重合により得られる水不溶性ポリマーAを細菌嫌忌性材料として使用することである。
【0003】ドイツ特許出願第19723132.2号明細書のもう1つの目的は、(c) 成分Iとしてのカルボキシル基及び/又はカルボキシレート基を含有する脂肪族不飽和モノマー又は該モノマーの相応する官能化誘導体1種以上を、(d) 成分IIとしてのスルホン酸基及び/又はスルホネート基含有脂肪族不飽和モノマー又は該モノマーの相応する官能化誘導体1種以上及び(b) もう1つの脂肪族不飽和モノマー又はいくつかの他の脂肪族不飽和モノマーを含有する成分IIIとラジカル共重合させ、その際、場合により相応して官能化された誘導体を共重合の後に少なくとも表面で、カルボキシル基又はカルボキシレート基もしくはスルホン酸基又はスルホネート基に変えることにより得られる新規の、ポリマーAとして挙げられる水不溶性細菌嫌忌性ポリマーBである。
【0004】更に、この発明の課題は、水不溶性細菌嫌忌性ポリマーBの製法である。
【0005】モノマー(b)としてもしくは成分IIIとして併用できる他のモノマーには、ジオレフィンも挙げられる。
【0006】ドイツ特許出願19723131.4号明細書の目的は、同一のポリマーAの使用であり、かつ同一のポリマーBであるが、その際、カルボキシル基及び/又はカルボキシレート基とスルホン酸基及び/又はスルホネート基との特定のモル比で特に著しい細胞増殖抑制作用が該当する。
【0007】ドイツ特許19700078.9号明細書はこれら両方の出願のポリマーBに関するが、その際、カルボキシル基及び/又はカルボキシレート基とスルホン酸基及び/又はスルホネート基との特定のモル比で得られる細胞増殖に有利な作用を目的としている。
【0008】ドイツ特許出願第19720370.1号明細書は、基材、殊にポリマー基材の表面生体活性被覆法に関し、その際、一般式:R−(A) 式I[式中、R、A及びaは、ドイツ特許出願第19723132.2号明細書に記載の意味を有する]の少なくとも1種のモノマーを放射線により、活性化された基材表面上でグラフト重合させるが、但し、式中のAがカルボキシル基−COOH又はカルボキシル基の塩又はエステルを表すモノマーIは、Aの前記の意味とは別の意味を有する少なくとももう1個の基Aを有するか、又はAが、Aの前記の意味とは別の意味を有する少なくとももう1種のモノマーIと一緒に使用される。
【0009】その際、式Iのモノマーとして、一般式II又はIII:(C2n−q−x)(COOR1) II(C2n−q−x)(SO31) IIIの混合物を用いるのが有利である。一般式Iに含まれているこれらの式中で、nはそれぞれ無関係に2〜6の整数であり;xはそれぞれ無関係に1又は2であり;qはそれぞれ無関係に0又は2であり;かつ基R1はそれぞれ無関係に−H又は金属イオンの等価物、殊にアルカリ金属イオン、脂肪族、脂環式又は芳香脂肪族アルコール、有利に1〜6個の、殊に1〜4個の炭素原子を有するアルカノール、5〜12個の炭素原子を有するシクロアルカノール、7〜10個の炭素原子を有するアリールアルカノール又は鎖中に酸素原子及び/又は窒素原子及び12個までの炭素原子を有するアルカノールのいずれかの基、例えば−(CH2−CH2−O)−H、−(CH2−CH(CH)−O)−H、−(CH2−CH2−CH2−O)−H又は−(CH2)−NH2−e(R2)[ここで、R2は−CH3又は−C25であり、dは1、2、3又は4であり、かつeは0、1又は2である]を表す。
【0010】この方法では、一方でカルボキシル基及び/又はカルボキシレート基を、かつ他方でスルホン酸基及び/又はスルホネート基を有する被覆をもたらすモノマーI及びIIからなる組合せが有利である。これらの被覆は良好な血液相容性及び同様に良好な細菌忌避効果を示す。前記の基の比が0.2〜3、有利に0.4〜3、殊に0.4〜2である場合に、被覆は強力な細胞増殖抑制特性を有する。これに対して、前記のモル比が2〜10、有利に3〜10、かつ殊に3〜5である場合に、被覆された表面は細胞増殖促進性を示す。
【0011】この場合にも、作用特定基を有するモノマーI、II及びIIIの他に、ジオレフィンもそれに挙げられる他のモノマーを使用することができる。
【0012】ドイツ特許出願第19700081.9号明細書の目的は、基材、殊にポリマー基材の表面上に細菌忌避性共有固定被覆の製造であり、その際、(i)一般式:R−(A) 式I[式中、R、A及びaは、ドイツ特許出願第19723132.2号明細書に記載の意味を有する]の少なくとも1種のモノマー及び(ii)少なくとも1種のUV−光線反応性モノマーを重合導入された形で含有する被覆ポリマーを、放射線により活性化された基材表面上でグラフトさせる。
【0013】グラフトされた被覆ポリマーにはここでも、一般式II又はIII:(C2n−q−x)(COOR1) II(C2n−q−x)(SO31) III[式中、R1、n、q及びxはドイツ特許出願第19720370.1号明細書中に記載の意味を有する]のモノマーの混合物をモノマーIとして使用するものが挙げられる。
【0014】作用特定基を有するモノマーI、II及びIIIの他にここでも、ジオレフィンも挙げられる他のモノマーを併用することができる。
【0015】ドイツ特許出願第19700827号明細書の目的は、ドイツ特許出願第19700081.9号明細書中と同じ被覆ポリマーの製造であり、その際、カルボキシル基及び/又はカルボキシレート基とスルホン酸基及び/又はスルホネート基との特定のモル比で特に著しい細胞増殖抑制作用が生ずる。
【0016】ドイツ特許出願第1970083.5号明細書は、基材表面上での細菌忌避性で同時に細胞増殖に有利な共有結合で固定された被覆の製法に関し、その際、(i) 一般式I:R−(COOR1) 式I[式中、Rはa価を有するモノ又はジオレフィン系不飽和有機基を表し、R1は、水素、金属等価物又は有機基を表し、かつaは1、2又は3である]のモノマー少なくとも1種、(ii) 一般式II:R−(SO31) 式II[式中、R、R1及びaは前記の意味を有する]のモノマー少なくとも1種及び(iii) 少なくとも1種のUV−光線反応性基を有するモノマーを重合導入した形で含有する被覆ポリマーを、放射線により活性化基材表面上でグラフトさせ、その際、基−COOR1と−SO31とのモル比は3〜10である。
【0017】この方法の場合も、モノマーI及びIIに付加的に、再びジオレフィンが挙げられる作用特定基を有しない他の基を併用することができる。
【0018】最後に、ドイツ特許出願第19715449.2号明細書は、光化学的に誘起されるグラフト重合によるポリマー基材表面の変製法に関し、その際、ポリマー基材を先ず光開始剤及び少なくとも1種の脂肪族不飽和モノマーで予め処理し、次いで、予め処理されたポリマー基材上で電磁線により誘起して少なくとも1種の脂肪族不飽和モノマーを重合する。使用可能な脂肪族不飽和モノマーには、前記の式I、II及びIIIに相応するものが挙げられる。モノオレフィン系モノマーの他に、式:CH2=CR1−R6−CR1=CH2[式中、R1は水素又はメチル基であり、かつR6は2価の有機基を表す]のジオレフィン系モノマーも重合導入されてよく、それにより架橋されたグラフトコポリマーが生じる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、先行特許出願の方法よりもより強い細菌忌避性及びより良好に付着する被覆を提供することであった。
【0020】
【課題を解決するための手段】意外にも、(A) 一般式:R−(A) 式I[式中、Rは、a価を有するモノ又はジオレフィン系不飽和有機基を表し、Aは、カルボキシル基−COOH、硫酸基−OSO2OH、スルホン酸基−SO3H、リン酸基−OPO(OH)2、ホスホン酸基−PO(OH)2、亜リン酸基−OP(OH)2、フェノール系ヒドロキシル基又は前記の基のいずれかの塩を表し、かつaは、1、2又は3であるが、但し、式Iのモノマーがカルボキシル基−COOH又はカルボキシレート基を有する場合は、このモノマーが、Aの前記の意味とは別の意味を有する少なくとももう1個の基Aを有するか、又はAが、Aの前記の意味とは別の意味を有する少なくとももう1種の式Iのモノマーが併用される]のビニルモノマー(モノマーA)少なくとも1種;及び(B) 少なくとも2つのオレフィン系二重結合を有する架橋性ビニルモノマー(モノマーB)少なくとも1種又は(C) 少なくとも1種のモノマーAを含むポリマー(ポリマーC)をポリマー基材上の少なくとも1種のモノマーBとグラフトさせ、その際、ポリマー基材をグラフト前に活性化させ、かつグラフトを電磁線又は熱により開始させるか、又は開始剤を併用し、かつグラフトを電磁線又は熱により開始させる場合に、ポリマー基材は、モノマー又はポリマーでグラフトすることにより、先行特許出願の方法に比べてより強力に細菌忌避性で、かつより良好に付着する被覆を有しうることが発見された。
【0021】選択的に、予め調製された未架橋のポリマーを架橋剤と一緒にグラフトするか、又はモノマーから出発し、そうして方法技術的に有利に重合をグラフトと結び付ける。
【0022】式I中のAに挙げられている基の塩には、アルカリ金属塩及び殊にナトリウム塩が有利である。
【0023】式Iのモノマー(モノマーA)の共通する特徴は、これらが1又は2個のオレフィン系二重結合並びに少なくとも1つの酸性基又は酸性基の塩を有することである。
【0024】本発明で被覆された表面は、有利な特性の注目すべき組合せを示し、従って優れた生理学的相容性を示す。これらは前記の特許出願による被覆の場合よりも殊に、より良好に血液相容性であり、かつ高い規模で、しかもより長い期間、細菌の付着及び増殖を低減する。これらは殊に、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、化膿性ブドウ球菌、肺炎桿菌、緑膿菌及び大腸菌に有効である。同時に多くの場合、細胞、例えばヒト臍の緒細胞の増殖も抑制する。被覆が細菌は忌避するが、細胞増殖は促進する特別な条件は、後記で説明する。本発明で被覆された基材の表面は、場合により抽出の後に、移動可能及び/又は抽出可能なモノマー成分及びオリゴマー成分を含まない。遊離された体外物質又は殺菌された細菌による不所望な副作用は観察されない。
【0025】1.モノマーAモノマーのグラフト(共)重合の際に、例えばモノマーAとして一般式II又はIII:(C2n−q−x)(COOR1) II(C2n−q−x)(SO31) III[一般式Iに含まれているこれらの式中、nはそれぞれ無関係に2〜6の整数であり;xはそれぞれ無関係に1又は2であり;qはそれぞれ無関係に0又は2であり;かつR1はそれぞれ無関係に−H又は金属イオンの等価物、殊にアルカリ金属イオンを表す]のモノマーの混合物を使用するのが有利である。
【0026】所定の定義に相応して、基:(C2n−q−x)−はそれぞれ無関係に、直鎖又は分枝鎖の一価アルケニル基(q=0、x=1)又はアルカジエニル基(q=2、x=1)又は2価アルケニレン基(q=0、x=2)又はアルカジエニレン基(q=2、x=2)を意味する。
【0027】式II及びIIIを含む2種のモノマーAの代わりに、それ自体の分子中に基−COOR1及び−SO31を有するモノマー(II+III)のみを使用することもできる。
【0028】ベンゼンから誘導された一般式IV: (C66−b−c−d)B3(OH) IV[式中、Bは、それぞれ無関係に、式:(C2n−1−q−y)(COOR1)又は(C2n−1−q−y)(SO31)のモノ又はジ不飽和の直鎖又は分枝鎖基を表し、ここでR1、n及びqは前記と同様に規定され、かつyは0、1又は2であり;R3はそれぞれ無関係に、C1〜C4−アルキル、−NH2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−OPO(OH)2、−PO(OH)2、−OP(OH)2、−OPO(O)OCH2−CH2−N(CH3)3、−PO(O)O−CH2−CH2−N(CH3)3、−OP(O)OCH2−CH2−N(CH3)3又は塩、殊に前記の基のアルカリ塩又はエステルを表し;bは1、2又は3であり;cは0、1、2又は3であり;かつdは0、1、2又は3であるが;但し、b+c+d≦6、有利に≦4である]のモノマーAも使用することができる。
【0029】勿論、一般式II及びIIIのモノマーAの前記の組み合わせの他に、一般式I、II、III及びIVのモノマーAの任意の混合物を本発明方法に使用することもできる。
【0030】他の好適なビニルモノマーは、硫酸基又はその基の塩(スルフェート基):スルホン酸基又はその塩;ホスホン酸基、酸性ホスホン酸エステル基又はホスホン酸基の塩又は酸性ホスホン酸エステル基;リン酸基、酸性リン酸エステル基又はリン酸基の塩又は酸性リン酸エステル;亜リン酸基、酸性亜リン酸エステル基又は亜リン酸基の塩又は酸性亜リン酸エステル基を有する式Iに相当する化合物である。これらのモノマーも相互に、かつ/又は一般式II、III及びIVのモノマーAと混合して、本発明の方法に使用することができる。
【0031】更に、式Iに相応する1〜3価(又は1〜3塩基性)のフェノール並びにその塩も、好適なモノマーとして述べることができる。これらも場合により、相互に、かつ/又は前記のモノマーAと混合して使用する。
【0032】本発明の方法には、一方でカルボキシル基及び/又はカルボキシレート基を、かつ他方でスルホン酸基及び/又はスルホネート基を有する被覆をもたらすモノマーI〜IVからの組合せが有利である。相容性もしくは共存の観点では、前記の基からの3つの可能な2成分系組合せ、即ちカルボキシル基及びスルホン酸基;カルボキシル基及びスルホネート基;並びにカルボキシレート基及びスルホネート基、更に2つの3成分系組合せ、即ちカルボキシル基、カルボキシレート基及びスルホネート基;並びにカルボキシル基、スルホン酸基及びスルホネート基がある。これら全ての組合せが、本発明方法の使用可能な実施形と同定される。勿論、グラフト重合の後にその官能基が変化するモノマーを使用することも可能である。例えば、アクリルアミド−成分を後に、酸性媒体中での加水分解によりアクリル酸成分に変えることができる。更に、カルボキシル基及びスルホン酸基は、中和(例えばホスフェート緩衝剤中での)により、並びにカルボンエステル基及びスルホン酸エステル基は加水分解によりカルボキシレート基もしくはスルホネート基に変えることができる。前記の組合せで、被覆中でのカルボキシル基及び/又はカルボキシレート基とスルホン酸基及び/又はスルホネート基とのモル比は、広い範囲で変動可能である。前記の比が0.2〜3、有利に0.4〜3、殊に0.4〜2である場合に、特に強力な細胞増殖抑制特性が達成される。前記のモル比が2〜10、有利に3〜10、かつ殊に3〜5である場合に、被覆された表面は、注目に値する細菌忌避性、細胞増殖促進性を示す。哺乳動物の細胞の付着及び増殖が、被覆により、被覆されていない表面と比べて改善されているか、少なくとも、細菌の付着及び増殖よりも少なく阻害されている場合に、本発明では被覆が細胞増殖促進性であるとしている。
【0033】好適なモノマーAとして例えば、次のものを挙げることができる:アクリル酸、4−ビニルサリチル酸、イタコン酸、ビニル酢酸、ケイ皮酸、4−ビニル安息香酸、2−ビニル安息香酸、ソルビン酸、カフェ酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、ジメチルフマル酸、メチルフマル酸、ジヒドロキシマレイン酸、アリル酢酸;並びにこれらの酸のナトリウム塩、ナトリウムアリルスルフェート、ナトリウムアリルスルホネート、ナトリウムメタリルスルフェート、ナトリウムスチレンスルホネート、ナトリウムビニルトルエンスルホネート、ブテン−(2)−ジオール−(1,4)−二リン酸、ブテン−(2)−ジオール−(1,4)−二ホスホン酸並びにこれら両方のリン酸もしくはホスホン酸の二ナトリウム塩、モノアリルホスフィット、2−ビニルフェノール、2−アリルヒドロキノン、4−ビニルレソルシン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、カルボキシビニルベンゼンスルホン酸。
【0034】本発明方法のもう1つの実施形では、モノマーAとして、一般式V及びVI:【0035】
【化2】

【0036】[式中、R1は水素又はメチル基を表し、R2は2価の有機基、有利に10個までの炭素原子を有する脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基又はC−C−単結合を表し、R3は−O−又は−NH−を表し、R4は水素又は基−SO3−Naを表し、R5は水素、メチル基又は基:−R2−COO−Naを表し、R6は水素又はNaを表し、かつnは4又は5を表すが、但し、置換基R4の少なくとも1つが基:−SO3−Naである]のモノマーからなる混合物を使用する。
【0037】式V及びVIの有利なモノマーA中では、R1は水素を表し、R2は1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、フェニレン基又はC−C−単結合を表し、R3は−O−又は−NH−を表し、R4は水素又は基−SO3−Naを表し、R5は水素又は基:−R2−COO−Naを表し、R6は水素又はNaを表し、かつnは4である。
【0038】式VのモノマーAには変性された、有利にペントース及び殊にアラビノースに由来している糖基が含まれる。これらの糖基は、少なくとも1つの基:−O−SO3−Na(O−スルフェート)又は−NH−SO3−Na(N−スルフェート)を有利には基R2の隣に含む。これらは、1〜4個のこれらの基を有するのが有利である。糖基中に、O−スルフェート基及びN−スルフェート基が同時に存在してよく、その際、N−スルフェート基は基R2の隣に位置するのが有利である。場合により、糖基は、専らこれらの基の1種のみを、例えばO−スルフェート基のみを有していても良い。前記の種類(O−スルフェートを含有し、並びにN−スルフェートのみを含有する基)のそれぞれは、単独で、又は他の種と共に式VのモノマーAとして好適である。混合比はほぼ0:100〜100:0である。
【0039】2.架橋性ビニルモノマーB架橋性ビニルモノマー(モノマーB)は少なくとも2個、有利に3〜6個のオレフィン系二重結合を有し、一般に生体学的効果を被覆にもたらす基を有しない。その併用は、より厚くかつより耐層剥離な層をもたらし、かつ他の点で同じ条件下に細菌付着及び増殖をもう一度かなり低下させる。2個以上、殊に3〜6個のオレフィン系二重結合を有する架橋剤はその限りで、ジオレフィン系架橋剤に比べてかなり効果的である。この併用は、モノマーAが1個以上のオレフィン系二重結合を有し、従って単独でネットワークを形成しうる場合にも有用である。勿論、2つ以上の異なるモノマーBで処理することもできる。モノマーBはそのオレフィン系二重結合の他に例えば、親水基、例えばヒドロキシル基及び/又はアルキレンオキシド基を含有してもよく、その場合同時に親水性で、かつ架橋性のモノマーBである。モノマーBを、モノマーAに対して好適に0.01〜50モル%、有利に0.1〜20モル%の量で使用する。
【0040】好適なモノマーBは例えば、オレフィン系二重結合を2つ有するもの、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン及びクロロプレン;(メタ)アクリル酸エステル、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート及びポリエチレングリコール−1000−ジメタクリレート;及びビニル化合物、例えば1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル及び1,4−ジビニルベンゼンである。3個以上のオレフィン系二重結合を有する架橋剤のうち例えば、アクリル酸エステル、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びペンタエリトリットテトラアクリレート;ポリビニルエーテル、例えばグリセリン−12EO−トリビニルエーテル及びペンタエリトリット−64EO−テトラビニルエーテル;炭水化物誘導体、例えば1分子当たり2個以上のアクリロイル基を有するアクリロイル化ヒドロキシプロピルセルロース;及びアリル化合物、例えばペンタエリトリットテトラアリルエーテルを挙げることができる。
【0041】3.場合により併用可能な他のモノマーD前記の血液相容性を生じさせ、かつ細菌忌避性で並びに細胞増殖抑制性又は促進性に作用する基を有する前記のモノマーA及び架橋剤Bの他に、中性であるか、若干作用するのみの他のモノオレフィン系不飽和モノマー(後にはモノマーDと記載)を併用することができる。これは例えば、(メタ)アクリル酸誘導体、例えばエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチルアクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルエチルアクリレート、2−N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルメタクリレート、2−N,N−ジ−メチルアミノエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、(メタ)アクリルニトリル;ビニルケトン、例えばビニルエチルケトン;オレフィン及びジオレフィン、例えば1−ブテン及び1−ヘキセン;ビニル芳香族、例えばスチレン、ビニルトルエン及びジビニルベンゼン;及びビニルシロキサンであってよい。このモノマーは、優勢な量で存在してよく、例えば90モル%までであってよい。
【0042】4.モノマーA及び場合によりDからなるポリマーCモノマーA、B及び場合によりDをそのままグラフトする代わりに、モノマーA及び場合によりDを予め重合し、そうして得られたポリマー(C)を架橋性モノマーBと一緒にグラフト(又はグラフト重合)させることもできる。ポリマーCを常法で、ラジカル重合により、有利に溶液又はエマルジョン重合により製造する。好適な溶剤は例えば、水;ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン;エーテル例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−及びイソ−プロパノール、n−及びイソ−ブタノール及びシクロヘキサノール;強極性溶剤、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びジメチルスルホキシド;炭化水素、例えばヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン及びトルエン;ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン及びトリクロロメタン;エステル、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル及び酢酸アミル;並びにニトリル、例えばアセトニトリル;又はこれらの溶剤からなる混合物である。
【0043】好適な重合開始剤は例えば、アゾニトリル、アルキルペルオキシド、アシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケトン、ペルオキシエステル及びペルカーボネート、並びに通常の光開始剤の全てである。重合を熱により、例えば60〜100℃に加熱することにより、又は適当な波長での照射により行う。発熱重合反応の終了後に、ポリマーCを慣用の方法で溶剤から、例えば水溶液の重合を実施した場合にはエタノールでの沈殿により分離する。エマルジョン中で製造されたポリマーは、噴霧乾燥により収得することができる。好適な溶剤を用いての抽出により、モノマー又はオリゴマー成分を除去できる。
【0044】5.ポリマー基材ポリマー基材として、全てのポリマープラスチック、例えばポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル及びポリエーテル、ポリエーテルブロックアミド及びポリオルガノシロキサンが好適である。更に例えば、放射線反応性基を有する、又は有さないポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、相応するコポリマー及びブレンド並びに天然及び合成ゴムが好適である。本発明の方法は、塗装又は別の方法でプラスチック被覆された金属体、ガラス体又は木材の表面にも適用することができる。
【0045】6.ポリマー基材のグラフト6.1 活性化された基材表面上で基材の表面を本発明により一連の方法で活性化することができる。これらから公知の方法で、溶剤を用いてオイル、脂肪又は他の不純物を除去することができる。
【0046】6.1.1 UV光線反応基を有しない通常のポリマーの活性化は有利にUV光線、例えば波長範囲100〜400nm、有利に125〜310nmで行うことができる。好適な光源は例えばUV−エキシマ−装置(HERAEUS Noblelight,Hanau, ドイツ)である。しかし、水銀ランプも、それが前記の範囲でかなりの照射成分を照射するならば基材活性化に好適である。露出時間は通常、0.1秒〜20分、有利に1秒〜10分である。酸素の存在が有利であると判明している。有利な酸素圧は、2×10−5〜2×10−2である。例えば、10−4〜10−1バールの真空中、又は不活性ガス、例えば酸素含有率0.02〜20パーミルを有するヘリウム、窒素又はアルゴンの使用下に処理する。
【0047】6.1.2 活性化を本発明では、高周波数プラズマ又はマイクロウェーブプラズマ(Hexagon, Technics Plasma社、85551Kirchheim、ドイツ)により、空気、窒素又はアルゴン雰囲気中で達成することができる。露出時間は通常、30秒〜30分、有利に2〜10分である。エネルギー使用は、実験装置で通常、100〜2000W、有利に200〜1800Wである。
【0048】6.1.3 更に、コロナ−装置(SOFTAL社、Hamburg、ドイツ)も活性化のために使用することができる。露出時間はこの場合通常、1秒〜10分、有利に1〜60秒である。
【0049】6.1.4 電子又はガンマ−線(例えばコバルト−60−源からの)による活性化は、通常0.1〜60秒の短時間の露出時間を可能にする。
【0050】6.1.5 表面の燃焼も同様に表面の活性化をもたらす。好適な装置は、殊に、バリアフレームフロントを有するものは簡単な方法で作ることができるか、又は例えばARCOTEC社(71297Moensheim、ドイツ)から購入することができる。これは、燃焼ガスとして炭化水素又は水素を用いて操作することができる。いずれの場合にも、基材の有害な過熱を回避する必要があり、このことは、燃焼面に向いていない基材表面上での冷却された金属表面との密接な接触により容易に達成することができる。燃焼による活性化はこれに相応して、かなり薄く、平滑な基材に限られる。露出時間は通常、0.1秒〜1分、有利に0.5〜2秒で、その際、例外なく発光しない炎が該当し、かつ基材表面と外側燃焼面との距離は0.2〜5cm、有利に0.5〜2cmである。
【0051】6.1.6 最後に、ポリマー基材表面は、強酸又は強塩基を用いての処理によっても活性化することができる。好適な強酸には、硫酸、硝酸及び塩酸が挙げられる。例えば、ポリアミドを室温で濃硫酸を用いて5秒〜1分処理できる。強塩基としては、特に水又は有機溶剤中のアルカリ金属水酸化物が好適である。その場合、例えば、希水酸化ナトリウム水溶液を基材上で20〜80℃で1〜60分作用させることができる。もしくは例えば、テトラヒドロフラン中の2%KOHを表面上で1分〜30分作用させて、ポリアミドを活性化することができる。
【0052】多くの場合、例えば高親水性ポリマーでは、ポリマー基材の表面を2つ以上の方法の組み合わせで活性化するのが望ましい。有利な活性化方法は、6.1.1及び6.1.2に記載されている方法である。
【0053】ポリマー基材を6.1.1〜6.1.6に記載の方法で予備処理した後に、活性化された表面を1〜20分、有利に1〜5分、酸素、例えば空気の形の酸素にさらし得る。引き続き、活性化された表面に公知の方法で、例えば浸漬、噴霧又は刷け塗りで、被覆溶液を施与する。これは、モノマーA、B及び場合によりDの溶液であってよい。もしくは、活性化基材上にポリマーC及び架橋性モノマーBの溶液を施与する。溶剤としては、殊に親水性モノマーもしくはポリマーでは、水及び水−エタノール混合物が有利であるが、モノマーもしくはポリマーに関して十分な溶解特性を有し、かつ基材表面をよく湿らせるならば、他の溶剤も使用可能である。モノマーの溶解性及びできる被覆の所望の層厚に応じて、溶液のモノマーもしくはポリマーの濃度は、0.1〜50重量%であってよい。モノマーもしくはポリマー含有率3〜10重量%、約5重量%を有する溶液が実際に有利である。
【0054】グラフトは、被覆溶液中に浸漬された基材の照射により行うことができる。しかし基材を、先ず被覆溶液から出すことも(又は他の慣用の方法、例えば噴霧、ドクター、刷け塗り又はスピン−コーティングにより被覆することも)できるし、溶剤の蒸発の後に、又は既に蒸発の間に照射することもできる。可視光線の短波セグメントの、また電磁線のUV範囲の長波セグメントの放射線で処理するのが有利である。250〜500nm、有利に290〜320nmの波長のUV−エキシマーの照射が特に好適である。この場合も、前記の領域でかなりの照射成分を有する水銀灯も好適である。露出時間は通常、10秒〜30分、有利に2〜15分である。
【0055】もしくは、グラフトを熱により開始させることもできる。このために、被覆溶液で被覆した後に、活性化基材を通常の方法で、50〜100℃であってよい温度に5分〜4時間加熱する。
【0056】場合により、このような多段階工程により、気密なかつ/又は厚い被覆を生じさせるために、記載の処理工程を活性化工程を含めて繰り返すのが有利である。もしくは、活性化ポリマー基材を、場合により記載の酸素処理の後に、モノマーA、B及び場合によりDに、もしくは相応するポリマーCの溶液に浸漬し、かつ浸漬された状態で照射することも可能である。予備実験により、所定の光源でどれほどの照射時間が、かつどれほどの、場合によりより長い基材と溶液との接触時間で所望の層厚が達成できるかを難なく確めることができる。
【0057】6.2 低分子量の開始剤でのグラフトこの被覆変法で使用される開始剤は、電磁線又は熱の作用により、ラジカル形成下に分解する基を有する低分子量化合物(つまり高分子開始剤は含まない)である。いずれの種類の開始剤も重合技術ではよく知られている。
【0058】熱によりラジカル形成をしながら分解する好適な開始剤には、例えばアゾニトリル;アルキルぺルオキシド、アシルぺルオキシド、ヒドロぺルオキシド、ペルオキソジスルフェート、ペルオキシケトン、ペルオキシエステル及びペルカーボネートが挙げられる。
【0059】電磁線により開始されるグラフトのための好適な開始剤は、全ての慣用の光開始剤、例えばベンゾイン、ベンジルケタール、α−ヒドロキシケトン、ぺルオキシド、アゾ化合物、アゾキシ化合物、ジアゾスルホネート、ジアゾスルホン、ジアゾチオエーテル、ジアシルジアゾメタン、ジアリールスルフィド、ヘテロ芳香族置換ジスルフィド、ジアロイルスルフィド、テトラアルキルチウラムジスルフィド、ジチオカルボネート又はジチオカルバメートである。詳細には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、フルオレノン、ベンゾアルデヒド、プロピオフェノン、アントラキノン、カルバゾール、3−又は4−メチルアセトフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、アリルアセトフェノン、2,2’−ジフェノキシアセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインアセテート、ベンゾインフェニルカルバメート、ベンゾインアクリレート、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、フェニルジスルフィド、アシルホスファンオキシド又はクロルメチルアントラキノン並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。有利な特に短い照射時間を可能にする光開始剤は、ベンゾイン、ベンゾイン誘導体、ベンジルケタール及びα−ヒドロキシケトンである。
【0060】グラフトの前に、ポリマー基材を開始剤で予備処理する。開始剤の溶液をポリマー基材上に施与し、溶剤を蒸発させることによりこれを行う。好適な溶剤は基材及び開始剤に応じて、例えば水、アセトン、メチルエチルケトン、ブタノン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸アミル又はアセトニトリルである。溶剤は、ポリマー基材と開始剤とが密に接触しないように、ポリマー基材を膨潤させるべきであるが、溶かすべきでない。
【0061】ポリマー基材への生体活性被覆の良好な付着の点ではしかし、ポリマー基材をドイツ特許出願第19715449.2号明細書の教示に従い、先ず開始剤及び少なくとも1種のモノマーで予め処理し、次いで、モノマーA、B及び場合によりDもしくはポリマーC及びモノマーBを予備処理されたポリマー基材上でグラフトさせるのが有利である。開始剤及びモノマーの選択は特に、ポリマー基材の化学的性質による。モノマーは、ポリマー基材を膨潤させなければならなく、そうしてポリマー基材の表面付近の帯域への開始剤の浸透を可能にしなければならない。予備処理のためのモノマーが所望の生体特性を仲介するかどうかは、これに対して何ら関連がない。更に、ポリマー基材を十分に膨潤させ、かつ開始剤を良好に溶かし、かつ浸透しうるが、最後に望まれる生体学的特性を示さないモノマーで予備処理し、かつグラフト相で初めて、生体学的に作用する基を有する所望のモノマーを使用することもできる。ポリマー基材、予備処理のための開始剤及びモノマーの最適な組み合わせは、予備実験で難なく知ることができる。例えば、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルが、前記の有利な光開始剤と結びつくと、ポリアミド−、ポリウレタン−、ポリエーテルブロックアミド−又はポリエステルアミド−又は−イミド−基材の予備処理に良好に好適である。
【0062】ポリマー基材を予備処理するための混合物は少なくとも優勢に、開始剤及び少なくとも1種のモノマーからなるのが有利である。この混合物はもっぱら前記の成分からだけからなっていてもよいか、又はいずれの場合にも、副次的な量、例えば溶剤40、有利に20重量%までを含有する。後者は、モノマー及び開始剤が、均一混合物又は溶剤に混合しないか、よく混合しない場合か、又は基材がモノマーだけでは著しく膨張する場合に該当する。好適な溶剤は、例えば前記で開始剤のための溶剤として挙げたものである。本発明の方法のより短い照射時間は主に、溶剤を、ポリマー基材の予備処理のための混合物中に副次的な量で添加していることに由来する。
【0063】開始剤及びモノマーを用いてのポリマー基材の処理を、ポリマー基材の表面がやや膨潤するように行う。処理時間は、ポリマー基材、開始剤及びモノマーのそれぞれの組み合わせ並びに温度に依存している。これは1〜10秒のみを要し、かつ有利に1〜5秒である。最適な温度及び処理時間は難なく予備実験で知ることができる。ポリマー基材の開始剤及び脂肪族不飽和モノマーでの処理を、温度10〜200℃、特に有利に温度20〜80℃及び殊に30〜60℃で行うのが有利である。
【0064】ポリマー基材を処理するための開始剤を含有する混合物は、通常の施与技術、例えば噴霧、刷け塗り又は浸漬によりポリマー基材上に施与することができる。
【0065】開始剤を備えたポリマー基材上に、本発明により光化学的に又は熱により誘起させてモノマーA、B及び場合によりDを、又はポリマーC及び架橋剤をグラフトさせる。モノマーもしくはポリマーCはグラフトの際に物質で、又は有利には溶剤に溶かして、ポリマー基材に接触させることができる。溶剤としては、モノマーもしくはポリマーCの種類に応じて、予備処理の際に好適であったものが好適である。通常、モノマーもしくはポリマーC2〜50重量%を含有する溶液を用いて処理する。ポリマー基材は浸漬するか、又は前記の施与方法により、モノマーもしくはポリマーの溶液を用いて被覆することができる。
【0066】光開始グラフトは、波長領域180〜1200nm、有利に200〜800nm、殊に200〜400nmの電磁線により誘起することができる。これらの波長範囲での照射は、比較的穏やかで、かつ通常ポリマー基材を侵さない。例えば、連続的な照射を伴う、例えば照射媒体としてXeCl又はXeFを用いるエキシマー−UV−エミッタ(Heraeus 社、D−63801、Neuostheim)を用いて処理する。原則的に、可視領域もしくは前記の領域で広いUVのスペクトル及び照射成分を有する水銀灯を使用することもできる。露出時間は通常、60秒〜300秒である。露出時間は特に、照射される基材の形状大きさに依存している。著しい三次元特性を有する物品は回転させなければならず、かつより長い照射を要する。
【0067】もしくは、グラフトを熱により誘起させることもできる。このために、モノマーA、B及び場合によりCで、もしくはポリマーC及びモノマーBで被覆されたポリマー基材を、使用された開始剤がラジカル形成下に分解し、かつグラフトが開始される温度に加熱する。これは、開始剤及びモノマーA、B及び場合によりD、もしくはポリマーC及びモノマーBでは通常、ポリマー基材を50〜100℃の温度に5〜240分加熱することに該当する。
【0068】グラフト(6.1及び6.2)の後に導入された基を通常の方法で完全に又は部分的に誘導体に変えることができる。例えば、カルボキシル基をカルボキシレート基に、又はスルホン酸基をスルホネート基に中和すること、カルボンエステル基をヒドロキシル−又はカルボン酸基に、並びにカルボンアミド基又はニトリル基をカルボキシル基にけん化することがきる。本発明で変成されたポリマー基材の他の誘導体化は、通常の方法により行うことができる(H.Beyer, Lehrbuchder organischen Chemie、S.Hirzel Verlag、Stuttgart、1988、p.260〜)。
【0069】殊に医療技術で使用する場合、グラフトされた被覆は溶解性モノマー又はオリゴマーを有してはならない場合、これらの不所望な成分を例えば熱水を用いて抽出することができる。被覆はポリマー基材に共有結合しているので、これにより、被覆は剥離せず、傷まないか、又はその生体学的作用に影響を及ぼされない。
【0070】7.被覆された基材の使用本発明で製造される被覆されたポリマー基材は、食品及び嗜好品工業、水処理技術、バイオテクノロジー、衛生用品及び殊に医療技術の分野で使用するための製品の製造に好適であるか、又はそれらの製品と定められる。全体的に、又は部分的に本発明により被覆されうるような製品も、同様に本発明の目的である。このための例は、、テキスタイル、室内備品及び器具、管及びチューブ、床材、壁面及び天井材、貯蔵容器、包装、窓枠、受話器、便座、ドアノブ、公共交通機関の手すり及び吊革及び医療用具である。医療用具は例えば、インプラント又は補助材、例えば、ドレナージ、誘導線、カニューレ、眼内レンズ、コンタクトレンズ、ステント、形成外科用血管プロテーゼ、義関節、義骨、靭帯プロテーゼ、義歯、血液バッグ、透析膜、縫合材料、包帯用ガーゼ、フリース製品及び手術用器具である。本発明の材料の有利な使用はカテーテルの製造のための使用である。
【0071】
【実施例】次の例で本発明を詳述するが、しかし請求項中に記載されているように、これは本発明の使用分野を限定するものではない。
【0072】例1〜6例1及び2ではポリマーを、例3〜6ではモノマーをグラフトさせた。
【0073】被覆実験のための溶液を次のように製造した:例1ナトリウム−4−スチレンスルホネート(NaSS)、マレイン酸(MS)及びポリエチレングリコール−1000−モノメチルエーテルモノアクリレート(PEG−1000−MeO−MA;Polyscience Europe GmbH社、Heidelberg)の1モル溶液をモル比5:5:1で合わせ、かつモノマー全量に対して1モル%のK228を添加した。このバッチを攪拌下に60℃に4時間加熱し、冷却し、かつ徐々に、かつ攪拌下に5倍容量のエタノール中に注いだ。沈殿したコポリマーを濾別し、かつエタノールで洗浄し、かつ空気循環キャビネット中、55℃で10時間乾燥させた。被覆実験のために、コポリマーの10重量%水溶液を製造した。この溶液に濃度が20重量%であるような量のジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA;Polyscience Europe GmbH社、Heidelberg)を架橋剤として添加した。
【0074】例2例1と同様に処理したが、溶液の容量比は50:50:1であり、製造された溶液は1重量%であり、かつ架橋剤は再び20重量%の濃度のポリエチレングリコール−1000−ジメタクリレート(PEG1000DMA;Polyscience Europe GmbH社、Heidelberg)であった。
【0075】例3〜6モノマーNaSS及びマレイン酸(MS)もしくはアクリル酸(AS)を表に記載の濃度で水中に溶かした。架橋剤の種類及び濃度は同様に、表に記載している(PETAE=ペンタエリトリットトリアリルエーテル、PETA=ペンタエリトリットテトラアクリレート;Polyscience Europe GmbH社、Heidelberg)。
【0076】ポリマー基材及びその活性化基材材料として、全ての場合に0.1mm厚のポリアミド12−シート(Typ L2101、Huels AG)を使用した。シートを被覆する前に次のように活性化した:例1ポリアミド−シートを、70℃に温められた2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(”UV−開始剤”)40gの溶液中に5秒浸漬し、かつ空気中で乾燥させた。
【0077】例2〜6ポリアミドシートをそれぞれ、1ミリバールの圧力で波長172nmのエキシマーザーで5分、照射した。照射は、出力1.7kW、試料までの距離4cmのエキシマー−UV−レーザー(Heraeus、Kleinostheim、ドイツ)による。
【0078】グラフト重合例1〜6活性化されたPA12−シートを被覆溶液中に浸漬し、かつ浸漬した状態で、表に記載の時間、波長308nmエキシマー−UV−照射した。照射はここでも、出力1.7kW、試料までの距離4cmのエキシマー−UV−レーザー(Heraeus、Kleinostheim、ドイツ)による。
【0079】ATPを介しての被覆された基準シートの細菌付着測定(静止)
技術的に慣用の生体発光法を使用する。株肺炎桿菌の細菌細胞を、本発明で被覆された、もしくは未被覆のPA12−シートに吸着させた後に、付着しなかった細菌を、無菌PBS−緩衝液で流す。シートに付着する細菌から、細菌内容物アデノシントリホスフェートを抽出し、かつ市販の試験コンビネーションを用いて、生体発光試験で測定した。測定された光周波数の数は、付着した細菌の数に比例する。
【0080】
【表1】

【出願人】 【識別番号】390009173
【氏名又は名称】ヒユールス アクチエンゲゼルシヤフト
【出願日】 平成10年(1998)6月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄 (外3名)
【公開番号】 特開平11−80394
【公開日】 平成11年(1999)3月26日
【出願番号】 特願平10−182329