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【発明の名称】 エポキシ樹脂組成物および半導体封止装置
【発明者】 【氏名】伊藤 昌彦

【要約】 【課題】金型離型性を損なうことなく、充填性良好で、パッケージフクレ、パッケージ剥離がなく、金型汚れの少ないエポキシ樹脂組成物および半導体封止装置を提供する。

【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)末端のカルボキシル基、エポキシ基又はアミノ基及び炭素数10〜99の非末端アルキル基を有するポリオルガノシロキサンと、ワックスとを予め予備分散させたノボラック型フェノール樹脂、(C)硬化促進剤および(D)無機質充填剤を必須成分とし、前記(B)のフェノール樹脂とポリオルガノシロキサンとワックスの比が1 :(0.01 〜0.5):(0〜0.04) であり、(D)の無機質充填剤が25〜90重量%の割合で含有してなるエポキシ樹脂組成物、この硬化物により樹脂封止した半導体封止装置である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)エポキシ樹脂、(B)次の一般式で示されるポリオルガノシロキサンとワックスとを予め予備分散させた、ノボラック型フェノール樹脂、【化1】

(但し、式中、Xはカルボキシル基、エポキシ基又はアミノ基を、Rはメチル基又はフェニル基を、R′はC10〜C99のアルキル基を、m,nは1 以上の整数をそれぞれ表す)(C)硬化促進剤および(D)無機質充填剤を必須成分とし、前記(B)成分におけるノボラック型フェノール樹脂とポリオルガノシロキサンとワックスの重量比が1 :(0.01 〜0.5):(0〜0.04) であり、(D)の無機質充填剤が全体の樹脂組成物に対して25〜90重量%の割合で含有されてなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】 (A)エポキシ樹脂、(B)次の一般式で示されるポリオルガノシロキサンとワックスとを予め予備分散させた、ノボラック型フェノール樹脂、【化2】

(但し、式中、Xはカルボキシル基、エポキシ基又はアミノ基を、Rはメチル基又はフェニル基を、R′はC10〜C99のアルキル基を、m,nは1 以上の整数をそれぞれ表す)
(C)硬化促進剤および(D)無機質充填剤を必須成分とし、前記(B)成分におけるノボラック型フェノール樹脂とポリオルガノシロキサンとワックスの重量比が1 :(0.01 〜0.5):(0〜0.04) であり、(D)の無機質充填剤が全体の樹脂組成物に対して25〜90重量%の割合で含有されたエポキシ樹脂組成物の硬化物によって、半導体チップが封止されてなることを特徴とする半導体封止装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金型離型性を損なうことなく、充填性良好で、パッケージフクレまたはパッケージ剥離がなく、また金型汚れの少ないエポキシ樹脂組成物および半導体封止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ダイオード、トランジスタ等の電子部品を熱硬化性樹脂によって樹脂封止する方法が行われてきた。この方法は、ガラス、金属、セラミックを用いたハーメチックシール方式に比較して、経済的に有利なため、広く実用化されている。封止樹脂としては、熱硬化性樹脂のなかでも信頼性および価格の点から、エポキシ樹脂が最も一般的に用いられている。エポキシ樹脂には、酸無水物、芳香族アミン、ノボラック型フェノール樹脂などの硬化剤、ワックスなどの滑剤が用いられるが、これらのなかでもノボラック型フェノール樹脂を硬化剤として用いたエポキシ樹脂は、他の硬化剤を利用したものにくらべて成形性、耐湿性に優れ、毒性がなく、安価であるため、半導体封止用樹脂として広く使用されている。また、充填剤としては、一般的に溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末が前述の硬化剤とともに使用されている。
【0003】近年、トランジスタの大電力化が進んで、パッケージ裏面厚さは薄型化しているが、これまでのものと同等の熱放散性を有しながら、離型性、充填性がよく、パッケージフクレ、剥離がなく、金型汚れの少ない半導体封止用樹脂の開発が要望されてきた。
【0004】こうしたことから、ワックスを単純に減らし、ノボラック型フェノール樹脂を硬化剤としたエポキシ樹脂と、結晶性シリカ粉末からなる樹脂組成物は、パッケージフクレ、剥離の欠点は改善されるが、離型性が大幅に劣化する欠点がある。また、ワックスを減らした分、ポリオルガノシロキサンを添加し、ノボラック型フェノール樹脂を硬化剤としたエポキシ樹脂と結晶性シリカ粉末からなる樹脂組成物は、離型性、充填性、パッケージフクレ、剥離は改善されるが、ポリオルガノシロキサンは分散性が悪いため、金型に徐々に堆積し、金型汚れとなる欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点を解決するためになされたもので、金型離型性を損なうことなく、充填性がよく、パッケージフクレ、剥離がなく、金型汚れの少ないエポキシ樹脂組成物および半導体封止装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的を達成しようと鋭意研究を重ねた結果、予め特定のポリオルガノシロキサンとワックスとを分散させたノボラック型フェノール樹脂を、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることによって、上記の目的を達成できる樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0007】即ち、本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)次の一般式で示されるポリオルガノシロキサンとワックスとを予め予備分散させた、ノボラック型フェノール樹脂、【0008】
【化3】

(但し、式中、Xはカルボキシル基、エポキシ基又はアミノ基を、Rはメチル基又はフェニル基を、R′はC10〜C99のアルキル基を、m,nは1 以上の整数をそれぞれ表す)
(C)硬化促進剤および(D)無機質充填剤を必須成分とし、前記(B)成分におけるノボラック型フェノール樹脂とポリオルガノシロキサンとワックスの重量比が1 :(0.01 〜0.5):(0〜0.04) であり、(D)の無機質充填剤が全体の樹脂組成物に対して25〜90重量%の割合で含有されてなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。また、このエポキシ樹脂組成物の硬化物によって半導体チップが封止されてなることを特徴とする半導体封止装置である。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明に用いる(A)エポキシ樹脂としては、その分子中にエポキシ基を少なくとも2 個有する化合物である限り、分子量、構造などに特に制限されることはなく、一般封止材料として用いられているものを広く使用することができる。例えば、ビスフェノール系エポキシ樹脂、エピビス系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのエポキシ樹脂は単独又は2 種以上混合して使用することができる。
【0011】本発明に用いる(B)ノボラック型フェノール樹脂は、ポリオルガノシロキサンとワックスとを予め予備分散させたものである。
【0012】このノボラック型フェノール樹脂としては、フェノール、アルキルフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等のアルデヒド類とを反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂、およびこれらの変性樹脂、例えば、エポキシ化もしくはブチル化ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられ、これらの樹脂は単独又は2 種以上混合して使用することができる。
【0013】ノボラック型フェノール樹脂に予め予備分散させるポリオルガノシロキサンとしては、化3に示される化合物で、R′として離型性に寄与するC10〜C99のアルキル基を有し、エポキシ樹脂に固定されるカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基などのX基を有する。一般式化3で示される各化合物は、単独又は併用して使用することができる。また、予め予備分散させるワックスとしては、エステル系(例えばカルナバワックスやモンタン酸ワックスなど)やポリエチレン系ワックスがある。これらは、単独あるいは併用して使用される。
【0014】ここで、最も重要なことは、ポリオルガノシロキサンとワックスとを併用し、かつ、ノボラック型フェノール樹脂に予め予備分散させておくことである。予備分散は、ノボラック型フェノール樹脂を、120 〜150 ℃に溶融させて、ポリオルガノシロキサンおよびワックスを溶融混合して分散させる。分散の方法については特に制限されるものではない。
【0015】本発明に用いる(C)硬化促進剤としては、リン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、DBU系硬化促進剤、その他の硬化促進剤を広く使用することができる。これらは単独又は2 種以上混合して使用することができる。硬化促進剤の配合割合は、全体の樹脂組成物に対して0.01〜5 重量%含有するように配合することが望ましい。その割合が0.01重量%未満では、樹脂組成物のゲルタイムが長く、硬化特性も悪くなり、また、5 重量%を超えると極端に流動性が悪くなって、成形性に劣り、さら電気特性も悪くなり耐湿性に劣り好ましくない。
【0016】本発明に用いる(D)無機質充填剤としては、不純物濃度が低く、最大粒径が100 μm以下で、平均粒径が30μm以下の無機質充填剤が好ましく使用される。平均粒径が30μmを超えると耐湿性および成形性が劣り、好ましくない。無機質充填剤の具体的なものとしては、シリカ粉末、アルミナ粉末、三酸化アンチモン、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、クレー、マイカ、ベンガラ、ガラス繊維等が挙げられ、これらは単独又は2 種以上混合して使用することができる。これらのなかでも特にシリカ粉末やアルミナ粉末が好ましく使用される。無機質充填剤の配合割合は、全体の樹脂組成物に対して25〜90重量%含有するように配合することが好ましい。その割合が25重量%未満では耐熱性、耐湿性、半田耐熱性、機械的特性および成形性が悪くなり、また、90重量%を超えるとカサバリが大きくなり成形性に劣り好ましくない。
【0017】本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、予備分散させたノボラック型フェノール樹脂、硬化促進剤および無機質充填剤を必須成分とするが、本発明の目的に反しない限度において、また必要に応じて、例えば、塩素化パラフィン、ブロム化トルエン、ヘキサブロムベンゼン、三酸化アンチモン等の難燃剤、カーボンブラック等の着色剤、ゴム系の低応力付与剤等を適宜配合することができる。
【0018】本発明のエポキシ樹脂組成物を成形材料として調製する場合の一般的方法は、エポキシ樹脂、予備分散させたノボラック型フェノール樹脂、硬化促進剤および無機質充填剤その他の成分を配合し、ミキサー等によって十分均一に混合する。さらに熱ロールによる溶融混合処理またはニーダ等による混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して成形材料とすることができる。こうして得られた成形材料は、半導体装置をはじめとする電子部品あるいは電気部品の封止、被覆、絶縁等に適用すれば、優れた特性と信頼性を付与させることができる。
【0019】また、本発明の半導体封止装置は、上述の成形材料を用いて半導体チップを封止することにより容易に製造することができる。封止を行う半導体チップしては、例えば集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等で特に限定されるものではない。封止の最も一般的な方法としては、低圧トランスファー成形法があるが、射出成形、圧縮成形、注形等による封止も可能である。成形材料で封止後、加熱して硬化させ、最終的にはこの硬化物によって封止された半導体装置が得られる。加熱による硬化は、150 ℃以上に加熱して硬化させることが望ましい。
【0020】
【作用】本発明のエポキシ樹脂組成物および半導体封止装置は、ポリオルガノシロキサンとワックスを予め予備分散させたノボラック型フェノール樹脂を用いることによって、金型離型性を損なうことなく、充填性良好で、パッケージフクレまたはパッケージ剥離がなく、金型汚れを低減することができたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の実施例および比較例において「%」とは「重量%」を意味する。
「ポリオルガノシロキサン+ワックス類の予備分散」ノボラック型フェノール樹脂91.07 %にポリオルガノシロキサン7.14%、カルナバワックス1.79%を120 ℃の温度で30分間、溶融混合して、予備分散フェノール樹脂を調製した。
【0022】実施例o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂8.2 %、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0 %、上記予備分散フェノール樹脂5.6 %、結晶シリカ粉末82%、トリフェニルホスフィン0.2 %、カーボンブラック0.3 %、三酸化アンチモン2.0 %およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.4 %を常温で混合し、さらに90〜100 ℃で混練冷却した後、粉砕して成形材料(A)を製造した。
【0023】比較例1o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂8.2 %、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0 %、予備分散していないノボラック型フェノール樹脂5.1%、カルナバワックス0.1 %、結晶シリカ粉末82%、トリフェニルホスフィン0.2 %、カーボンブラック0.3 %、三酸化アンチモン2.0 %およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.4 %を常温で混合し、さらに90〜100 ℃で混練冷却した後、粉砕して成形材料(B)を製造した。
【0024】比較例2o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂8.2 %、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0 %、予備分散していないノボラック型フェノール樹脂5.1%、ポリオルガノシロキサン0.4 %、結晶シリカ粉末82%、トリフェニルホスフィン0.2 %、カーボンブラック0.3 %、三酸化アンチモン2.0 %およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.4 %を常温で混合し、さらに90〜100 ℃で混練冷却した後、粉砕して成形材料(C)を製造した。
【0025】比較例3o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂8.2 %、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0 %、予備分散していないノボラック型フェノール樹脂5.1%、カルナバワックス0.1 %、ポリオルガノシロキサン0.4 %、結晶シリカ粉末82%、トリフェニルホスフィン0.2 %、カーボンブラック0.3 %、三酸化アンチモン2.0 %およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.4 %を常温で混合し、さらに90〜100 ℃で混練冷却した後、粉砕して成形材料(D)を製造した。
【0026】比較例4o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂8.2 %、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0 %、予備分散していないノボラック型フェノール樹脂5.1%、カルナバワックス0.2 %、結晶シリカ粉末82%、トリフェニルホスフィン0.2 %、カーボンブラック0.3 %、三酸化アンチモン2.0 %およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.4 %を常温で混合し、さらに90〜100 ℃で混練冷却した後、粉砕して成形材料(E)を製造した。
【0027】実施例および比較例1〜4で製造した成形材料(A)〜(E)を用いて、圧縮成形および射出成形で170 ℃に加熱した金型中に成形硬化させてこの硬化物により封止した半導体封止装置を得た。得られた半導体封止装置について、金型離型性、金型汚れ、ボイド発生、パッケージフクレ等の試験を行い、その結果を表1に示したが本発明の効果を確認できた。
【0028】
【表1】

*1 :図1(a)に示した3 個の型板1、2、3からなる試験用金型により成形品4を成形し、図1(b)のようにその成形直後に型板2から成形品4をストリップするときの荷重Fを測定した。小さい荷重を○、大きい荷重を×、中間荷重を△とした。
*2 :DIP16pin(鏡面)を1000ショット連続成形した後に汚れを評価した。金型汚れのないものを○、少し汚れているものを△、汚れのひどいものを×とした。
*3 :TO−220(鏡面)を試料30個取り50ショット連続成形した後に、目視にて未充填、ボイド試料の有無を調査した。
*4 :TO−220(鏡面)を試料30個取り50ショット連続成形した後に、目視にてパッケージフクレ試料の有無を調査した。
【0029】
【発明の効果】以上の説明および表1から明らかなように、本発明のエポキシ樹脂組成物および半導体封止装置は、離型性、充填性がよく、パッケージフクレがなく、金型汚れの少ないことが判明した。
【出願人】 【識別番号】390022415
【氏名又は名称】東芝ケミカル株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】諸田 英二
【公開番号】 特開平11−80323
【公開日】 平成11年(1999)3月26日
【出願番号】 特願平9−269284