| 【発明の名称】 |
ポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】石崎 邦彦
【氏名】藤丸 洋圭
【氏名】原田 信幸
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| 【要約】 |
【課題】不純物の除去が容易で、架橋を均一に行うことができ、かつ分子量の高いポリ酸性アミノ酸吸水性架橋体を製造する方法を提供する。
【解決手段】酸性アミノ酸系化合物の重縮合反応を架橋剤の存在下で加熱することにより行うとともに、反応途中の重縮合物を粉末状に粉砕し、さらに加熱を継続する工程を含むポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体の製造方法、および、実質的に水不溶性で水膨潤性のポリ酸性アミノ酸吸水性架橋体であって、多価アルコールによって架橋されたポリ酸性アミノ酸吸水性架橋体。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 酸性アミノ酸系化合物の重縮合反応を架橋剤の存在下で加熱することにより行うとともに、反応途中の重縮合物を粉末状に粉砕し、さらに加熱を継続する工程を含むポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体の製造方法。 【請求項2】 酸性アミノ酸系化合物の重縮合反応を均一系溶媒の存在下で行う請求項1記載のポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体の製造方法。 【請求項3】 均一系溶媒としてリン酸系溶媒および/または水を用いる請求項2記載のポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体の製造方法。 【請求項4】 架橋剤が多価アルコールである請求項1〜3のいずれかに記載のポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体の製造方法。 【請求項5】 実質的に水不溶性で水膨潤性のポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体であって、多価アルコールによって架橋されたポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、生分解性を備え吸水性樹脂に好適に用いられる、ポリアスパラギン酸架橋体等のポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体およびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、吸水性樹脂は、紙オムツや生理用品等の衛生材料としての利用のみならず、体液吸収剤等の医療分野、シーリング材(止水材)や結露防止材等の土木・建築分野、鮮度保持材等の食品分野、溶剤から水を除去する脱水剤等の工業分野、緑化等の農業・園芸分野等、非常に多種多様な分野に利用されている。 【0003】吸水性樹脂としては、現在、半合成あるいは合成のものが多く開発され実用に供されているが、最近の社会の環境保全に対する風潮から、あるいは、医薬の担持など生体吸収性材料への応用面から、一部では生分解性の吸水性樹脂に対する要望気運が高まってきている。これまでに提案されている生分解性の吸水性樹脂としては、例えば、半合成や半天然の吸水性樹脂としては、(架橋)でんぷん誘導体、(架橋)カルボキシメチルセルロース、架橋ヒアルロン酸塩、架橋アルギン酸塩等が知られている(例えば、特開昭56−5137号公報、特開昭60−58443号公報、特開昭49−128987号公報、特開昭50−85689号公報、特開昭54−163981号公報、特開昭56−28775号公報、特開昭57−137031号公報、特開昭58−1701号公報、特開昭60−94401号公報、特開昭61−89364号公報、特開平4−161431号公報、特開平5−49925号公報、特開平5−123573号公報等)。 【0004】しかしながら、これらのうち非架橋のものについては生分解性という観点からはある程度評価できるものの吸水力が不十分であり、また架橋されたものは吸水力は非架橋のものに比して向上するものの生分解性が低下し、そのためにその適用範囲については限れられているのが現状である。一方、架橋ポリアクリル酸塩(特開昭62−54751号公報等)に代表される合成の吸水性樹脂の場合、その吸水力は前記半合成の吸水性樹脂よりはるかに優れるものの、生分解性については全く認められておらず、更にこれらの欠点を補うものとして天然物への親水性モノマーのグラフト重合(特開昭56−76419号公報等)も提案されているが、その効果は十分でないのが現状である。したがって吸水力、生分解性ともに優れた合成の吸水性樹脂の出現が嘱望されている。 【0005】そこで、吸水能力にも優れ、かつ生分解性を有する吸水性樹脂として、ポリアスパラギン酸架橋体に代表されるポリ酸性アミノ酸系架橋体が注目されている。さらに、ポリアスパラギン酸は天然物にもかかわらず耐熱性を示す上、工業的にもアスパラギン酸やポリアスパラギン酸を安価にかつ大量に製造することができる。工業的なポリアスパラギン酸の製造方法は、アスパラギン酸を熱縮合させ、次いで、得られた無水ポリアスパラギン酸をさらに鹸化する方法である。 【0006】現在吸水性樹脂として用いられているポリアスパラギン酸架橋体は、かかるポリアスパラギン酸を架橋して水不溶性で且つ水膨潤性の重合体に変性したものであるが、ポリアスパラギン酸製造工程での架橋の時期によって3種類の方法((1)酸性アミノ酸モノマー重合時の架橋、(2)重合後の無水ポリ酸性アミノ酸の架橋、(3)鹸化後の水溶性ポリ酸性アミノ酸の架橋)が提案されている。 【0007】すなわち、(1)の酸性アミノ酸モノマーの重合時の架橋とは、架橋剤存在下にアミノ酸の重縮合を行い、得られた架橋無水ポリ酸性アミノ酸を鹸化する方法であり、例えば複数のアミノ酸を加熱することで重合と同時に架橋する方法が知られている(特表平8−504219号公報、特表平6−506244号公報)。また、(2)の重合後の無水ポリ酸性アミノ酸の架橋としては、アスパラギン酸などの酸性アミノ酸を熱縮合して得られる無水ポリ酸性アミノ酸を多価アミン系架橋剤によって部分架橋した後、これをさらに加水分解する方法が知られている(特開平7−224163号公報、特開平7−309943号公報)。さらに、(3)の鹸化後の水溶性ポリ酸性アミノ酸の架橋としては、加水分解後の水溶性ポリアミノ酸を多価アミン系架橋剤によって架橋する方法(特開平8−59820号公報)も知られている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(1)の方法では架橋剤の存在によって分子量が上がりにくかったり、架橋構造に由来してその後の工程での不純物の除去が困難であったり、架橋剤とアミノ酸の縮合性が異なるため架橋が不均一となったりして、結果的に物性的に好ましくないものしか得られない。(2)の方法では、重合時に架橋剤を用いないので(1)より分子量は上げやすいものの、架橋剤として多価アミンを用いるため着色の問題や、その後必須の鹸化工程での架橋点の分解などの問題があった。(3)の方法では、主鎖の基本分子量は最も上げやすいが、多価アミンによる着色の問題に加え、開環反応する(2)の無水ポリアミノ酸と異なり、鹸化後のポリアミノ酸のカルボキシル基は脱水アミド化の反応性が低いため多価アミンとの縮合が起こりにくく、よって鹸化後のポリアミノ酸の架橋には厳しい架橋条件を課する必要が生じ、そのため主鎖の劣化を伴ったりする。 【0009】したがって、本発明の課題は、不純物の除去が容易で、架橋を均一に行うことができ、かつ分子量の高いポリ酸性アミノ酸吸水性架橋体を製造する方法を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記(1)の方法について検討を進めた結果、酸性アミノ酸系化合物(単量体)の重合反応を架橋剤の存在下で行い、かつ重縮合物を反応途中で粉末状に粉砕することにより、分子量の高い架橋重合体を得ることに成功した。この方法によると不純物の除去が容易で、架橋を均一に行えることもわかった。そして、従来の製法では架橋剤として多価アミンを用いる必要があったのに対し、意外にも重縮合物を反応途中で粉末状に粉砕すると架橋剤として多価アルコールを用いた場合にも同様に架橋重合体を得ることができることを見出し、本発明に到達したものである。 【0011】したがって、本発明は、酸性アミノ酸系化合物の重縮合反応を架橋剤の存在下で加熱することにより行うとともに、反応途中の重縮合物を粉末状に粉砕し、さらに加熱を継続する工程を含むポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体の製造方法を提供する。また、前記製造方法において、酸性アミノ酸系化合物の重縮合反応を均一系溶媒の存在下で行うもの、均一系溶媒としてリン酸系溶媒および/または水を用いるもの、架橋剤が多価アルコールであるものも提供する。 【0012】また、本発明は、実質的に水不溶性で水膨潤性のポリ酸性アミノ酸系架橋体であって、多価アルコールによって架橋されたポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体を提供する。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明における「ポリ酸性アミノ酸系吸水性架橋体」とは、ポリ酸性アミノ酸架橋体そのもの(塩でないもの)と、ポリ酸性アミノ酸架橋体の塩(カルボキシル基の一部または全部が塩になっているもの)の両方を含むものとする。また、「吸水性」とは、自重の10倍以上の水または液体を吸収し固化ないしゲル化させる能力をいう。 【0014】本発明において用いられる酸性アミノ酸系化合物としては、アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸、その塩およびエステルを挙げることができる。塩類としては、カルボキシル基のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩や、アミノ基の塩酸塩などが挙げられる。エステルとしては、メチルエステル、エチルエステルなどのエステルが挙げられる。これらの酸性アミノ酸系化合物の中で、アスパラギン酸、その塩およびエステルが好ましく、特にアスパラギン酸および/またはその塩が好ましい。これらの酸性アミノ酸系化合物は単独で用いてもよいし、二種以上用いてもよい。アスパラギン酸としては、D体、L体、あるいはこれらの混合物を用いることができる。なお、本発明において酸性アミノ酸とは、一分子中のカルボキシル基の個数がアミノ基の個数よりも多いアミノ酸をさす。 【0015】本発明では、酸性アミノ酸系化合物の重縮合反応を溶媒中で行うことが好ましい。溶媒を用いることにより、得られる重合体の分子量が上がり、その結果、収率や吸収倍率、生分解性が向上し、水可溶分が減少する。本発明における溶媒としては、中性または酸性のもの、特に必要により酸触媒を加えて得られた酸性のものが好ましく、さらにリン酸系溶媒および/または水、特にリン酸水溶液を用いることが好ましい。リン酸系溶媒を溶媒として用いると、脱水反応の触媒としても機能するため好ましい。リン酸系溶媒を溶媒として用いることで、高い吸収倍率、生分解性、収率、低い水可溶分などを示す最も優れたポリアミノ酸系吸水性樹脂が得られる。水のみを溶媒として用いると、他の溶媒を用いたときに必要な溶媒を除去する工程が必要ないので好ましい。リン酸系溶媒としては、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、縮合リン酸、無水リン酸なども用いることができる。 【0016】前記以外の溶媒としては、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン等のケトン系溶媒およびn−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、イソブタノール、イソアミルアルコール、第2アミルアルコール、3−ペンタノール、第3アミルアルコール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系溶媒、DMF、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドが挙げられる。これらの中では、ジイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサン等のケトン系溶媒が好ましい。 【0017】これらの溶媒は単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。本発明における溶媒の使用量としては、単量体100重量部当たり10〜1000重量部の範囲が好ましく、より好ましくは20〜200重量部の範囲である。溶媒の量が少ないとその効果が現れにくく、また多すぎるとコストがかかるだけではなく、かえって得られる吸水性樹脂の物性が低下する場合もある。 【0018】本発明では、酸性アミノ酸系化合物の重縮合反応を、架橋剤の存在下で行うことが重要である。酸性アミノ酸系化合物のモノマー段階から架橋剤を存在させることにより、重合と架橋が同時に進行するため、分子量向上や架橋の均一性に由来して諸物性や収率の向上、残存モノマーの低減が達成される。本発明において用いられる架橋剤としては、従来からポリアミノ酸の架橋に広く用いられている多価アミン化合物を挙げることができる。多価アミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ポリエーテルポリアミン等の鎖状脂肪族ジアミン、ノルボルネンジアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の脂環式ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の脂肪芳香族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン、ダイマー酸と脂肪族ポリアミンとから得られるポリアミド類、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸およびその誘導体、グリシン−リジン、リジン−グリシン、アラニン−リジン、リジン−フェニルアラニン等の塩基性アミノ酸を含む二量体、ポリリジン、ポリアルギニン、リジンとアルギニンとの共重合体、塩基性アミノ酸と他のアミノ酸との共重合体、等が挙げられる。これらの中で好ましいのは、塩基性アミノ酸およびその共重合体であり、より好ましくはリジンである。これらの架橋剤は単独で用いてもよいし、二種以上用いてもよい。なお、本発明において塩基性アミノ酸とは、一分子中のアミノ基の個数がカルボキシル基の個数よりも多いアミノ酸をさす。 【0019】これら多価アミン化合物の分子量としては、50〜10万の範囲が好ましく、より好ましくは100〜1万の範囲であり、塩基性アミノ酸ないし二量体程度のオリゴペプチドが好ましい。分子量が小さすぎる場合には、得られるポリ酸性アミノ酸系架橋体を吸水性樹脂として用いた場合の吸水能力が低くなる。また、分子量が大きすぎる場合には、得られるポリ酸性アミノ酸系架橋体の生分解性が劣ったものとなる。 【0020】本発明において多価アミン化合物以外の架橋剤として、従来その低い反応性のためにポリアミノ酸の架橋には用いられなかった、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの各種多価アルコールも好ましく用いることができる。重縮合物を反応途中で粉末状に粉砕することで、反応性の低い多価アルコールを用いても均一に架橋を行うことができる。 【0021】架橋剤の使用量としては、単量体あたり1〜100モル%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜50モル%の範囲である。架橋剤の使用量が少なすぎる場合、水可溶成分が増加し、ゲル強度が低下する。また、架橋剤の使用量が多すぎる場合、吸収倍率が低下する。酸性アミノ酸系化合物の重合の際には、シリカ微粉末など水不溶性無機物を用いても良い。 【0022】本発明の反応においては触媒、特に酸触媒を添加することが好ましい。ただし、前述のように溶媒としてリン酸系溶媒を用いる場合には、リン酸系溶媒が触媒としても機能する。リン酸系溶媒以外に本発明で用いることのできる触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのプロトン酸、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの金属酸化物やその他、それら金属のハロゲン化物や炭酸塩、硫酸塩などが挙げられる。 【0023】本発明において、酸性アミノ酸系化合物が有するカルボキシル基と、架橋剤が有するアミノ基や水酸基等との脱水反応(熱縮合反応)によりアミド結合やエステル結合等が形成され、ポリ酸性アミノ酸系架橋体の架橋構造が形成される。架橋剤として多価アミン化合物を用いた場合には、アミド結合が形成され、架橋剤として多価アルコールを用いた場合には、エステル結合が形成される。酸性アミノ酸系化合物として、酸性アミノ酸のエステルを用いた場合には、該エステルと架橋剤との間で熱縮合反応が起こり、アミド結合等やエステル結合が形成される。このようにして得られる酸性アミノ酸架橋体ないしその塩は、アミド結合やエステル結合等により架橋されているので、土中の細菌や微生物などが生産する酵素により架橋点が開裂しやすいため、生分解性に優れている。エステル結合はアミド結合より加水分解性や熱分解性に優れ、より高い分解性を示すので好ましい。 【0024】本発明により得られるポリ酸性アミノ酸系架橋体の主鎖の分子量としては、2000〜100万の範囲が好ましく、より好ましくは1万〜50万の範囲である。分子量が低すぎると、水可溶分成分が多くなり、また分子量があまり高すぎても、分子量向上に見合った効果が少なく不経済である。なお、主鎖の分子量は同一の重合条件で架橋剤不存在下得られた水溶性重合体をGPCで分析することによって求められる。 【0025】こうして溶媒、架橋剤、酸性アミノ酸系化合物および必要に応じてその他の成分を含む混合物は、加熱して脱水縮合される。反応系は、不活性気体雰囲気下ないし減圧条件下の加熱とするのが好ましい。反応温度および時間は適宜決定されるが、温度としては通常100〜300℃の範囲が好ましく、より好ましくは150〜250℃、さらに好ましくは180〜230℃の範囲である。時間としては1〜24時間の範囲が好ましく、より好ましくは2〜10時間の範囲である。本発明では溶媒を必須に用いるので、均一な架橋のみならず、反応時間の短縮も行え好ましい。 【0026】本発明では、諸物性の向上や反応時間の短縮のため、加熱途中の重合体を粉末状に粉砕し細分化した後、さらに加熱を継続することが必要である。粉砕は加熱と同時に行ってもよいし、別途行ってもよい。また、断続的に行ってもよいし、連続的に行ってもよい。反応途中に粉砕を行うことにより、系全体に熱が均一にかかるようになる。酸性アミノ酸の重縮合反応および架橋反応はいずれも脱水反応であるため、系全体に熱が均一にかかることにより脱水がスムーズに起こり、結果として分子量が高く、かつ均一に架橋した重合体が得られる。粉砕には、水やリン酸などの均一系溶媒の場合、ニーダーなどの通常の粉砕機が使用される。ケトンなどの分散系の溶媒の場合は、重合中たえず攪拌することにより後述の粒径に保ち簡便に行うことができるが、前者の均一系溶媒が本発明を達成する上で好ましい。粉砕後はさらに減圧で加熱することが好ましい。なお、重合の終点は、脱水によって発生する水の量で決定できる。 【0027】架橋剤の存在下で酸性アミノ酸系化合物を重縮合する本発明では、従来の水溶性ポリ酸性アミノ酸系化合物の単独重合と異なり、架橋剤によって重合体の流動性がなくなるため、均一な重合や分子量の向上のため重合途中の粉砕が必須である。特に溶媒を用いて架橋剤存在下で重合を行うと重合体の流動性が顕著に低下するため、粉砕を行わない場合にはたとえ架橋剤を用いていても殆ど架橋しない場合すらある。 【0028】すなわち、アスパラギン酸を例にとって説明すると、アスパラギン酸を単独で無溶媒で重合し水溶性ポリアスパラギン酸を得る場合、アスパラギン酸は粉末のまま流動性を保って重合するため、特に重合途中の粉砕は必要ない。しかしながら、架橋剤、例えばリジンを重合に用いる本発明では、重合前の単量体であるアスパラギン酸や架橋剤(リジン)は1mm以下の粉末であっても、重合と共に流動性のない大きな一体化物となり、重合途中の粉砕を行わない場合、本発明の目的を達成することはできない。よって、粉砕後に得られる重合途中のポリ無水アスパラギン酸は、その粒径として5mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以下、さらには1mm以下の粉末状に粉砕することが重要である。 【0029】このようにして得られた無水ポリ酸性アミノ酸架橋体を含む系から、通常溶媒を除去する。溶媒の除去方法は溶媒の種類や量によって適宜決定され、遠心分離、濾過、揮発なども用いられるが、溶媒としてリン酸系溶媒を用いる場合、洗浄により行うことが好ましい。洗浄には、水や低級アルコール、アセトンなどの親水性有機溶媒が用いられる。また、前述のとおり溶媒として水のみを用いる場合、反応中、揮発により除去するため、特に洗浄は必要ない。 【0030】その後、無水ポリ酸性アミノ酸架橋体を鹸化することにより、ポリ酸性アミノ酸架橋体(塩)を得る。中和率としては0〜100モル%、好ましくは50〜100モル%の範囲であり、目的とする吸液度によって適宜決定される。すなわち、無水ポリ酸性アミノ酸架橋体のカルボキシル基の全部または一部を鹸化により、リチウム、カリウム、ナトリウム等の1価のアルカリ金属、またはアンモニア、モノエタノールアミン等の1価のアミンとの塩とする。鹸化には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの強塩基を用いることができる。 【0031】さらにこのポリ酸性アミノ酸架橋体(塩)を塩酸、硫酸などの酸で中和したり、プロトン型にした陽イオン交換樹脂などでイオン交換することにより、ポリ酸性アミノ酸架橋体(塩でないもの)とすることができる。本発明では多価アルコールを架橋剤として用いた新規なポリ酸性アミノ酸系架橋体をも提供する。すなわち、本発明では、実質的に水不溶性で水膨潤性のポリ酸性アミノ酸系架橋体であって、多価アルコールによって架橋されたポリ酸性アミノ酸系架橋体を提供する。 【0032】多価アルコールを架橋剤として用いると、アミノ化合物を架橋剤として用いる場合に比べて着色も少なく、また前述のとおりエステル結合に由来して高い生分解性を示し、また加水分解性や熱分解性なども向上するので好ましい。なお、本発明における「実質的に水不溶性」とは、以下の実施例で規定される水可溶分が50重量%以下、好ましくは30重量%以下であることをいい、また「水膨潤性」とは、同様に以下の実施例で規定される吸収倍率が5g/g以上、好ましくは10g/g以上であることをいう。 【0033】また、このようにして得られたポリ酸性アミノ酸系架橋体に対して、消臭剤、香料、抗菌剤、医薬、界面活性剤、酸化剤、還元剤、無機粉末などを担持させ新たな機能を付加してもよいし、また更に表面近傍を加熱処理して吸収能を向上させてもよい。本発明の製造方法により得られるポリ酸性アミノ酸系架橋体および本発明にかかるポリ酸性アミノ酸系架橋体は、吸液性、特に吸水性の樹脂として用いられる。吸水とは、水に限らず、尿、血液などの体液、塩や親水性溶媒との混合物の吸収ゲル化もさす。また、カルボキシル基の中和率を下げることで有機溶媒の吸収にも用いることができる。吸水性樹脂としては、紙オムツや生理用品等の衛生材料として好適に使用できるが、その他の用途として体液吸収剤等の医療分野、シーリング材(止水材)や結露防止材等の土木・建築分野、鮮度保持材等の食品分野、溶剤から水を除去する脱水剤等の工業分野、緑化等の農業・園芸分野等で利用することができる。本発明によると、下記測定方法により定義される吸収倍率を5倍以上、水可溶分を50重量%以下、生分解性を10%以上とすることが可能である。より好ましくは、吸収倍率を10倍以上、水可溶分を30重量%以下、さらには20重量%以下とすることが可能である。 【0034】 【実施例】以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例において評価した物性の数値は以下の方法で測定したものである。 (吸収倍率)0.2gの吸水性樹脂をティーバッグ式袋に詰め、100mlの0.9重量%の食塩水に浸漬し、吸水性樹脂を膨潤させた。1時間後に、膨潤ゲルの入ったティーバッグ式袋を取り出し水切りをした後、重量を測定した。同様の操作を空のティーバッグ式袋でも行い、そのブランクの吸収量も求め補正することで、前記膨潤ゲルの重量を求めた。こうして求められた膨潤ゲルの重量を初期の吸水性樹脂の重量(0.2g)で除することで、吸水性樹脂の吸収倍率(g/g)を求めた。 (水可溶分)0.25gの吸水性樹脂を500gのイオン交換水に入れ、4cmのマグネッチックスターラーで攪拌した。16時間後、膨潤ゲルを濾過して得られた濾液中の水溶性成分(以下、水可溶分という)について、40℃のエバポレーターで蒸発乾固させ、その重量を測定した。こうして単離された水可溶分の重量を初期の吸水性樹脂の重量(0.25g)で除することで、水可溶分(%)を求めた。 (生分解性)生分解試験は、修正MITI(Ministry of International Trade and Industry)試験に従って実施した。即ち、JIS K−0102における生物化学酵素消費量の項に規定されている組成液としての基礎培養液200ml に、試験物質としての吸水性樹脂を100ppmとなるように添加すると共に、活性汚泥を30ppmとなるように添加した。その後、この基礎培養液を暗所下で25℃に保ち、攪拌しながら28日間にわたって培養した。そして、上記培養期間中、活性汚泥により消費された酵素量を定期的に測定し、生物化学的酵素要求量(BOD;Biochemical Oxygen Demand)曲線を求めた。 【0035】生分解率(%)は、上記のBOD曲線から得られる試験物質(吸水性樹脂)の生物化学的酵素要求量A(mg)と、BOD曲線から得られるブランク、つまり、基礎培養液の酵素消費量B(mg)と、試験物質を完全酸化させる場合に必要な全酵素要求量(TOD:Total Oxygen Demand)C(mg)とから、次式、生分解率(%)={(A−B)/C}×100に従って算出した。 (実施例1)単量体としてのL−アスパラギン酸13.3g(0.1モル)と、架橋剤としてのL−リジン1.46g(10モル%対単量体)、溶媒としての85重量%リン酸水溶液8.3gを500mlガラスビーカー中で混合した後、混合物を窒素シールされたイナートオーブン(タバイエクペック株式会社IPHH−201)中で195℃静置加熱し重合させた。4時間後、オーブンから塊状の重合体を一旦取り出し、2mm以下に粉砕し、さらに4時間静置加熱した。次いで、195℃の真空減圧乾燥機(HITEC株式会社製DP−31)での静置加熱を4時間行い、ほぼ恒量に達し重合が終了した。こうして得られた粉末状のスクシンイミド架橋体を500mlの水に分散させ濾過する洗浄操作を3回行い、溶媒のリン酸を除去した後、スクシンイミド架橋体を同様に減圧乾燥した。 【0036】次いで、粉末状のスクシンイミド架橋体5.58g(理論値0.05モル)を10重量%苛性ソーダ水溶液20g(0.05モル)に200mlナスフラスコ中で分散させ、60℃のウォーターバスに浸けたところ、数分でポリアスパラギン酸ナトリウム架橋体への鹸化によってゲル化した。1時間加熱した後、得られたポリアスパラギン酸ナトリウム架橋体の膨潤ゲルを濾過して、60℃で減圧乾燥して、次いで、粉砕し、JIS−850μm標準篩を通過させることで、ポリアスパラギン酸ナトリウム吸水性架橋体(1)を得た。 (実施例2)実施例1において、架橋剤のL−リジンの量を3.65g(25モル%対単量体)とする以外は、実施例1と同様にスクシンイミド架橋体を得て、次いで同様に鹸化することで、ポリアスパラギン酸ナトリウム吸水性架橋体(2)を得た。 (実施例3)実施例1において、架橋剤のL−リジンの量を14.6g(100モル%対単量体)とする以外は、実施例1と同様にスクシンイミド架橋体を得て、次いで同様に鹸化することで、ポリアスパラギン酸ナトリウム吸水性架橋体(3)を得た。 (実施例4)実施例1において、架橋剤のL−リジンに代えて、架橋剤をヘキサメチレンテトラミン1.16g(8モル%対単量体)とし、さらに、粉砕後のイナートオーブン中での加熱時間を4時間から8時間に延長する以外は、実施例1と同様にスクシンイミド架橋体を得て、次いで同様に鹸化することで、ポリアスパラギン酸ナトリウム吸水性架橋体(4)を得た。 (実施例5)実施例1において、架橋剤のL−リジンに代えて、架橋剤をグリセリン4.90g(53モル%対単量体)とし、さらに、粉砕後のイナートオーブン中での加熱時間を4時間から8時間に延長する以外は、実施例1と同様にスクシンイミド架橋体を得て、次いで同様に鹸化することで、ポリアスパラギン酸ナトリウム吸水性架橋体(5)を得た。 (実施例6)単量体としてのL−アスパラギン酸13.3g(0.1モル)と、架橋剤としてのトリエチレンテトラミン3.65g(25モル%対単量体)、溶媒としての85重量%リン酸8.8gを200mlナス型フラスコ中で混合した後、ナス型フラスコ中を窒素を流しながら200℃のオイルバスで加熱し重合させた。4時間後、ナス型フラスコ中の塊状の重合体を一旦取り出し、2mm以下に粉砕し、さらに8時間静置加熱した。次いで、195℃の真空減圧乾燥機(HITEC株式会社製DP−31)での静置加熱を4時間行い、ほぼ恒量に達し重合が終了した。 【0037】こうして得られた粉末状のスクシンイミド架橋体について、実施例1と同様に洗浄し減圧乾燥した後、次いで、実施例1と同様に鹸化することで、ポリアスパラギン酸ナトリウム吸水性架橋体(6)を得た。 (実施例7)実施例6において、架橋剤のトリエチレンテトラミンに代えて、架橋剤をL−リジン・1塩酸塩5.48g(25モル%対単量体)とする以外は、実施例6と同様にスクシンイミド架橋体を得て、次いで、実施例6と同様に鹸化することで、ポリアスパラギン酸ナトリウム吸水性架橋体(7)を得た。 (実施例8)実施例7において、溶媒のリン酸水溶液に代えて、溶媒を水8.8gとする以外は、実施例7と同様にスクシンイミド架橋体を得て、次いで、実施例7と同様に鹸化することで、ポリアスパラギン酸ナトリウム吸水性架橋体(8)を得た。 (実施例9)実施例7において、溶媒の85重量%リン酸水溶液を用いず、且つ、粉砕後の加熱時間を12時間とする以外は、実施例7と同様にスクシンイミド架橋体を得て、次いで、実施例7と同様に鹸化することで、ポリアスパラギン酸ナトリウム吸水性架橋体(9)を得た。 (比較例1)実施例6において、架橋剤を用いない以外は、実施例6と同様にスクシンイミドを得て、次いで、実施例6と同様に100%鹸化することで、比較ポリアスパラギン酸ナトリウム(1)を得た。比較ポリアスパラギン酸ナトリウム(1)は100%水溶性であった。 (比較例2)比較例1で得られた比較ポリアスパラギン酸ナトリウム(1)13.7g(単量体換算で0.1モルの重合体)に、これに架橋剤のL−リジン・1塩基酸5.4g(25モル%対単量体)を加え、195℃で加熱縮合させ、比較ポリアスパラギン酸ナトリウム架橋体(2)を得た。 (比較例3)実施例1において、重合途中の粉砕を行わない以外は同様に行いスクシンイミド架橋体を得て、次いで実施例1と同様に100%鹸化することで、比較ポリアスパラギン酸ナトリウム架橋体(3)を得た。 【0038】実施例1〜9、比較例2〜3で得られたポリアスパラギン酸ナトリウム架橋体の評価を表1に示す。 【0039】 【表1】
【0040】実施例1〜8で得られたポリアスパラギン酸ナトリウム架橋体は、いずれも吸収倍率が高く、水可溶分が少ない優れた吸水性樹脂であり、また生分解性にも優れている。実施例9では、溶媒を用いずに重縮合を行っているため、吸水性樹脂としての性能(吸収倍率、水可溶分)および生分解性が少し劣っている。比較例2では、重合と縮合を別工程で行っているため工程が煩雑であるだけでなく、吸水性樹脂としての性能(吸収倍率、水可溶分)が劣っており、また生分解性も低い。比較例3では、粉砕を行わずに重縮合を行っているので、吸水性樹脂としての性能(吸収倍率、水可溶分)が劣っており、また生分解性も低い。 【0041】 【発明の効果】本発明にしたがって、酸性アミノ酸系化合物(単量体)の重合反応を架橋剤の存在下で行い、かつ重縮合物を反応途中で粉末状に粉砕することにより、分子量の高い架橋重合体を得ることができ、この方法によると不純物の除去が容易で、架橋を均一に行える。そして、架橋剤として多価アミンだけでなく、多価アルコールを用いることもできる。得られるポリ酸性アミノ酸吸水性架橋体は、吸水力に優れるとともに、生分解性および生体適合性に優れるものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004628 【氏名又は名称】株式会社日本触媒
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月15日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】松本 武彦
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| 【公開番号】 |
特開平11−60728 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−220454 |
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