| 【発明の名称】 |
ポリエーテル化合物及び磁気記録媒体 |
| 【発明者】 |
【氏名】加藤 順也
【氏名】田口 勇
【氏名】南波 文晴
【氏名】井上 長三
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| 【要約】 |
【課題】従来のパーフルオロポリエーテル化合物は両末端に−OH基を有するため保護膜層表面との結合が強固になりすぎるため分子の運動性が低下し、分子の流動性に基づく潤滑機能(分子潤滑)が発揮され難くなる問題がある。
【解決手段】次の化合物(XII)、(XIII)など、及びそれらの化合物を潤滑膜層に用いた磁気記録媒体。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記式(1) L1 −Z−L2 (1) (式中;Zは次式(2)、(3)、(4)及び/または(5) −CF2 CF2 CF2 O− (2) −CF2 CF(CF3 )O− (3) −CF2 CF2 O− (4) −CF2 O− (5) で表される構造を繰り返し単位とする高分子鎖である。L1 はフッ素原子または末端基Q−A1 −であり、A1 は直接結合、−OCH2 O−、−OCH2 CF2O−または−OCH2 CF2 CF2 O−であり、Qは次式(6) 【化1】
で表される構造の基Yあるいは置換基−O−Yを少なくとも1つ以上有する炭素数が1〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキル基であり、かつQのアルキル基にはエーテル結合を含んでもよく、式(6)中、Rは炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつRのアルキレン基にはエーテル結合を含んでいてもよい。L2 は末端基−A2 −Qで、A2 は直接結合、−CH2 O−、−CF2 CH2 O−または−CF2 CF2 CH2 O−である。)で表される構造であることを特徴とするポリエーテル化合物。 【請求項2】 ポリエーテル化合物が下記一般式(I)〜(VI) 【化2】
(式中;m,nは正の整数を、x,yは0〜6の整数を表す。R1 ,R2 は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR1 ,R2 のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。) 【化3】
(式中;m,nは正の整数を、R3 ,R4 ,R5 ,R6 は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR3 ,R4 ,R5,R6 のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。) 【化4】
(式中;lは正の整数を、zは0〜6の整数を、R7 は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR7 のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。) 【化5】
(式中;lは正の整数を、R8 ,R9 は炭素数1〜5の直鎖状または分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR8 ,R9 のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。) 【化6】
(式中;r,sは正の整数を、wは0〜6の整数を、R10は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR10のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。)、または【化7】
(式中;r,sは正の整数を、R11,R12は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR11,R12のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。)で表される化合物のいずれかである請求項1記載のポリエーテル化合物。 【請求項3】 ポリエーテル化合物の数平均分子量が500〜10000である請求項1記載のポリエーテル化合物。 【請求項4】 非磁性基板上に直接、または下地層を介して形成された磁性膜、該磁性膜上に保護膜を積層してなる磁気記録媒体において、該保護膜上に請求項1に記載のポリエーテル化合物により形成された潤滑膜層を有することを特徴とする磁気記録媒体。 【請求項5】 ポリエーテル化合物が請求項2または3に記載の化合物である請求項4記載の磁気記録媒体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポリエーテル化合物、詳しくは分子末端に環状エーテル構造を有するフルオロポリエーテル化合物、及びそれを用いて摺動面に形成される潤滑層を備えた磁気ディスクに使用する磁気記録媒体、いわゆるハードディスクに関する。 【0002】 【従来の技術】薄膜型の磁気記録媒体においては、強磁性金属またはその合金をスパッタ、蒸着、無電解めっき法等によって非磁性基板上に被着させて製造される。実際の使用時においては、しばしば磁気ヘッドと磁気記録媒体とが高速で接触摺動するので、摩耗損傷を受けたり、磁気特性の劣化を起こしたりする。そのため、磁性層上に保護膜や潤滑層を設けることによって接触摺動の際の静摩擦及び動摩擦を極力低減させ、耐摩耗性を向上させることが行われている。このような保護膜層としては、炭素質膜、SiO2 、ZrO2 等の酸化物膜、窒化物膜、ほう化物膜等が一般的に利用され、また潤滑層としては、一般的に液状のパーフルオロポリエーテル化合物がディスク表面に塗布され用いられている。 【0003】代表的な上記パーフルオロポリエーテル化合物の例としては、一般式(VII) 【化8】
(式中;p,qは正の整数を表す。)で表されるもの、または一般式(VIII)。 【化9】
(式中;kは正の整数を表す。)で表される化合物等が知られており、産業上用いられている。 【0004】前記のように、使用時においてしばしば磁気ヘッドと磁気ディスクとが高速で接触摺動する。即ち、磁気記録媒体(特にハードディスク)の起動時においては、ディスク媒体が停止状態から急速に回転加速されるのに伴って摺動しながらヘッドが浮上し、電源が切断されてディスク媒体を回転させているモーターが停止すると、ディスク媒体とヘッドが高速で接触し摺動する(CSS:Contact-Start-Stop方式)。一方、面記録密度を高める目的で、ヘッドの低浮上化並びにディスク回転の高速化が求められており、近年では媒体基板はより平滑になる傾向にある。そして、潤滑層を設けて動摩擦係数を低減することは、前記の接触摺動によって生ずる摩耗損傷や磁気特性の劣化を抑制する目的においては極めて有効であるものの、液状化合物で形成されたこの潤滑層の膜厚が厚い場合にはヘッドとディスクとの間に吸着現象が生じやすいため、静摩擦係数が増加し、時にはヘッドがディスクに張り付いたまま動作不能となる。特に媒体基板が平滑であるほど、ヘッドとの接触面積が大きくなるため、この吸着現象を発生しやすくなる。逆に潤滑層の膜厚が薄い場合には前記吸着現象の発生を抑制できるものの、十分な耐久性が得られずに高速の接触摺動に起因する摩耗損傷や磁気特性の劣化が生じやすいものとなる。 【0005】そこで、潤滑層に用いる潤滑剤を精選することにより、上述の問題を解消しようとする試みが種々なされている。例えば、前記一般式(VII)の化合物は分子末端に−CH2 OH基を有しており、この水酸基が保護膜層表面と強く結合するため、比較的優れた耐摺動特性を付与するものとなる。また、これ以外にも末端基として主にヘテロ元素を含んだ芳香族残基を導入することによりアンカー機能を付与したパーフルオロポリエーテル化合物が提案されている(特開昭61−155345)。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記一般式(VII)の化合物は両末端に−OH基を有するため保護膜層表面との結合が強固になりすぎるため分子の運動性が低下し、分子の流動性に基づく潤滑機能(分子潤滑)が発揮され難くなる問題がある。特に、潤滑層の膜厚が小さくなる程、全潤滑剤分子中の保護層表面と結合する分子の割合が増えるため動摩擦係数が大きくなり耐摺動特性が低下する。また、その分子の末端OH基は、電子吸引性のパーフルオロアルキル鎖に近接して結合しているため水素イオン(H+ )を放出しやすい性質が有る。水素イオンは主鎖中に存在するアセタール結合単位(−O−CF2 O−)を切断するので自発的に分解劣化する要因を含んでいる。 【0007】一方、一般式(VIII)の化合物は分子中にアセタール結合単位を持たないため、化学的には比較的安定であり、前述のような主鎖の分解は生起しにくい。しかしながら、分子の片末端のみに官能基(−CH2 OH基)を有するに過ぎないため、保護膜層の表面との結合が一般式(VII)の化合物ほど十分でなく、高温中で磁気ディスクを高速回転させると容易に飛散し、潤滑膜層の膜厚減少が起こる。従って、起動及び停止時における動摩擦係数が大きいという問題を有していた。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、潤滑膜層を形成するパーフルオロポリエーテル分子鎖の末端を、保護膜層を形成する材料と親和性の高い構造とし、必要以上に強固な結合を形成せず、かつ−COOH基や−CF2 CH2 OH基等の様な遊離性の水素原子を有さない構造とすることにより、耐摺動摩耗性と潤滑剤の分解劣化を抑制した長期使用安定性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的とする。 【0009】本発明者らは前記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、パーフルオロポリエーテルの分子鎖の末端に環状エーテル構造を導入した化合物が、保護膜層を形成する材料、特にカーボン(炭素)系材料と良好な親和性を有し、潤滑層として用いた場合に優れた耐摺動特性を発現させ上記課題を解決でき、本発明を完成させた。すなわち、本発明は次の事項に関する。 【0010】1)下記式(1) L1 −Z−L2 (1) (式中;Zは次式(2)、(3)、(4)及び/または(5) −CF2 CF2 CF2 O− (2) −CF2 CF(CF3 )O− (3) −CF2 CF2 O− (4) −CF2 O− (5) で表される構造を繰り返し単位とする高分子鎖である。L1 はフッ素原子または末端基Q−A1 −であり、A1 は直接結合、−OCH2 O−、−OCH2 CF2O−または−OCH2 CF2 CF2 O−であり、Qは次式(6) 【化10】
で表される構造の基Yあるいは置換基−O−Yを少なくとも1つ以上有する炭素数が1〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキル基であり、かつQのアルキル基にはエーテル結合を含んでもよく、式(6)中、Rは炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつRのアルキレン基にはエーテル結合を含んでいてもよい。L2 は末端基−A2 −Qで、A2 は直接結合、−CH2 O−、−CF2 CH2 O−または−CF2 CF2 CH2 O−である。)で表される構造であることを特徴とするポリエーテル化合物。 【0011】2)ポリエーテル化合物が下記一般式(I)〜(VI) 【化11】
(式中;m,nは正の整数を、x,yは0〜6の整数を表す。R1 ,R2 は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR1 ,R2 のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。) 【化12】
(式中;m,nは正の整数を、R3 ,R4 ,R5 ,R6 は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR3 ,R4 ,R5,R6 のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。) 【0012】 【化13】
(式中;lは正の整数を、zは0〜6の整数を、R7 は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR7 のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。) 【化14】
(式中;lは正の整数を、R8 ,R9 は炭素数1〜5の直鎖状または分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR8 ,R9 のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。) 【0013】 【化15】
(式中;r,sは正の整数を、wは0〜6の整数を、R10は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR10のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。)、または【化16】
(式中;r,sは正の整数を、R11,R12は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状飽和または不飽和アルキレン基を表し、かつR11,R12のアルキレン基にはエーテル結合を任意に含んでも良い。)で表される化合物のいずれかである前記1記載のポリエーテル化合物。 【0014】3)ポリエーテル化合物の数平均分子量が500〜10000である前記1記載のポリエーテル化合物。 4)非磁性基板上に直接、または下地層を介して形成された磁性膜、該磁性膜上に保護膜を積層してなる磁気記録媒体において、該保護膜上に前記1に記載のポリエーテル化合物により形成された潤滑膜層を有することを特徴とする磁気記録媒体。 5)ポリエーテル化合物が前記2または3に記載の化合物である前記4記載の磁気記録媒体。 【0015】 【発明実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 <ポリエーテル化合物の範囲>前記の式(1)で表される本発明のポリエーテル化合物は、ポリエーテル主鎖Zと末端単位L1 及びL2 から構成される。Zのポリエーテル主鎖部は、繰り返し単位として前記の式(2)〜(5)の1種乃至4種を有するが、好ましくは1種のみの繰り返し単位を有するか、あるいは2または3種の繰り返し単位を有する。2種以上の繰り返し単位を有する場合は、ブロック型、ランダム型のいずれであってもよいが、通常はランダム型となる。繰り返し単位の総数はその繰り返し単位の種類によって異なるが、3〜150が適当である。好ましくは6〜60であり、特に耐久性を向上させるためには分子量(数平均)は500〜10000が好ましく、それに合わせて繰り返し単位の総数を設定することができる。 【0016】末端単位L1 はフッ素原子または基Q−A1 −であり、L2 は基−A2 −Qである。A1 は直接結合または−OCH2 O−,−OCH2 CF2 O−,−OCH2 CF2 CF2 O−で表される非フッ素化のメチレン単位(−CH2 −)を含んだ構造の結合単位である。A2 は直接結合または−CH2 O−,−CF2 CH2O−,−CF2 CF2 CH2 O−で表される非フッ素化のメチレン単位を含んだ構造の結合単位を表す。またQは前記式(6)の構造の環状エーテル基Yあるいは−O−Yの置換基を少なくとも1つ以上有する炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキル基であり、そのアルキル基にはエーテル結合を含んでもよい。Qのアルキル基を例示すれば、メチル基,エチル基,n−プロピル基,sec−プロピル基,n−ブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,n−ペンチル基,n−ヘキシル基,n−ヘプチル基,n−オクチル基,n−ノニル基,n−デシル基,n−ウンデシル基,n−ドデシル基,メトキシメチル基(−CH2 OCH3 ),メトキシエチル基(−CH2 CH2 OCH3 ),エトキシメチル基(−CH2 OCH2 CH3 ),エトキシエチル基(−CH2CH2 OCH2 CH3 ),ジエチレングリコールメトキシエーテル基(−(CH2 CH2 O)2 CH3 ),トリエチレングリコールメトキシエーテル基(−(CH2 CH2 O)3 CH3 ),テトラエチレングリコールメトキシエーテル基(−(CH2 CH2 O)4 CH3 ),ペンタエチレングリコールメトキシエーテル基(−(CH2 CH2 O)5 CH3 ),ヘキサメチレングリコールメトキシエーテル基(−(CH2 CH2 O)6 CH3 )等が挙げられる。 【0017】置換基−O−Yがアルキル基Qへ置換している場合は、1級及び2級炭素原子上であればいずれの位置でもよく、その置換基数は1以上である。式(6)の環状エーテル基Y中のRは、炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルキレン基(またはアルキレン鎖ともいう。)を表し、そのアルキレン基にはエーテル結合を含んでもよいが、不安定な過酸化結合(−O−O−)を形成することはない。Rを例示すれば、メチレン鎖,エチレン鎖,1−メチルエチレン鎖,2−メチルエチレン鎖,1−エチルエチレン鎖,2−エチルエチレン鎖,1−プロピルエチレン鎖,2−プロピルエチレン鎖,1,1−ジメチルエチレン鎖,1,2−ジメチルエチレン鎖,2,2−ジメチルエチレン鎖,n−プロピレン鎖,1−メチルプロピレン鎖,2−メチルプロピレン鎖,3−メチルプロピレン鎖,1−エチルプロピレン鎖,2−エチルプロピレン鎖,3−エチルプロピレン鎖,n−ブチレン鎖,1−メチルブチレン鎖,2−メチルブチレン鎖,3−メチルブチレン鎖,4−メチルブチレン鎖,n−ペンタメチレン鎖,1−メトキシエチレン鎖,2−メトキシエチレン鎖,1−エトキシエチレン鎖,2−エトキシエチレン鎖,1−プロポキシエチレン鎖,2−プロポキシエチレン鎖,メチレンオキシ鎖(−CH2 0−),エチレンオキシ鎖(−CH2 CH2 0−),プロピレンオキシ鎖(−CH2 CH2 CH2 O−)等が挙げられる。ここで例示したアルキレン基の置換基位置を示す数字は環状エーテルの酸素原子と近い方のアルキレン基の一端を1位として付与した。例えば1−メチルプロピレン鎖の結合した環状エーテル基は【化17】
の構造となる。これらの中でメチレン鎖,エチレン鎖は合成が簡便である点において特に好ましい。 【0018】本発明のポリエーテル化合物は、数平均分子量は500〜10000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは2000〜8000の範囲である。分子量が小さいと高温の環境下で揮発し易い問題があり、また分子量が大きすぎると粘度が著しく上昇し、特に低温の環境下では摩擦特性が低下し易い問題がある。さらには塗布性においても実用上好ましくない。 【0019】さらに、本発明のポリエーテル化合物を例として、前記一般式(I)〜(VI)で表される化合物を説明する。前記一般式(I)及び(II)においてm,nは正の整数を表す。m及びnの係数が掛かる繰り返し単位:(CF2 CF2 O)及び(CF2 O)は、ブロック型あるいはランダム型のいずれの配置であってもよいが通常はランダム型である。m/nの組成比に特に制限はないが、概ね0.8〜1.2の範囲が適当である。また、前記一般式(I)においてx,yは整数を表し、好ましくは0〜6の範囲であり、最も好ましくは0である。x,yが大きすぎると親水性が強くなり、磁気ディスク表面に塗布し潤滑膜層として使用している間に環境中の水分を吸収し易く、これによりヘッドとディスクとの吸着現象を引き起こす原因となるため好ましくない。前記一般式(III)及び(IV)においてlは正の整数を表す。また、前記一般式(III)においてzは整数を表し、前述のx,yと同様の理由により、好ましくは0〜6の範囲であり、最も好ましくは0である。前記一般式(V)及び(VI)においてs,tは正の整数を表す。s及びtの係数が掛かる繰り返し単位:(CF2 CF(CF3 )O)及び(CF2 O)は、ブロック型あるいはランダム型のいずれの配置であってもよいが通常はランダム型である。s/tの組成比に特に制限はないが、通常は概ね0.8〜1.2の範囲が適当である。また、前記一般式(V)においてwは整数を表し、前述のx,y,zと同様の理由により、好ましくは0〜6の範囲であり、最も好ましくは0である。 【0020】前記一般式(I)、あるいは(II)乃至(VI)において、R1 乃至R12は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルキレン基(またはアルキレン基ともいう。)を表し、そのアルキレン基にはエーテル結合を含んでもよいが不安定な過酸化結合(−O−O−)を形成することはない。R1 乃至R12は、例示すれば、メチレン鎖,エチレン鎖,1−メチルエチレン鎖,2−メチルエチレン鎖,1−エチルエチレン鎖,2−エチルエチレン鎖,1−プロピルエチレン鎖,2−プロピルエチレン鎖,1,1−ジメチルエチレン鎖,1,2−ジメチルエチレン鎖,2,2−ジメチルエチレン鎖,n−プロピレン鎖,1−メチルプロピレン鎖,2−メチルプロピレン鎖,3−メチルプロピレン鎖,1−エチルプロピレン鎖,2−エチルプロピレン鎖,3−エチルプロピレン鎖,n−ブチレン鎖,1−メチルブチレン鎖,2−メチルブチレン鎖,3−メチルブチレン鎖,4−メチルブチレン鎖,n−ペンタメチレン鎖,1−メトキシエチレン鎖,2−メトキシエチレン鎖,1−エトキシエチレン鎖,2−エトキシエチレン鎖,1−プロポキシエチレン鎖,2−プロポキシエチレン鎖,メチレンオキシ鎖(−CH2 0−),エチレンオキシ鎖(−CH2 CH2 0−),プロピレンオキシ鎖(−CH2 CH2 CH2 O−)等が挙げられる。(ここで例示したアルキレン基の置換基位置を示す数字は前述の通り付与したものである。)これらの中でメチレン鎖,エチレン鎖は合成が簡便である点において好ましい。前記一般式(I)、あるいは(II)乃至(VI)で表される化学構造のポリエーテル化合物の数平均分子量は500〜10000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは2000〜8000の範囲である。分子量が小さいと高温の環境下で揮発し易い問題があり、また分子量が大きすぎると粘度が著しく上昇し、特に低温の環境下では摩擦特性が低下し易い問題がある。さらには塗布性においても実用上好ましくない。 【0021】<ポリエーテル化合物の製造法>本発明のポリエーテル化合物は、一般的には末端構造にある環状エーテル基が水酸基である対応のポリエーテル化合物をほぼ当量比で過剰のα,β−不飽和の環状エーテルに触媒量のプロトン酸の存在下で付加反応させることによって製造することができる。反応溶媒は、フッ素化またはハロゲン化系炭化水素溶媒のような両者を溶解する溶媒が好ましく使用される。反応は室温乃至溶媒または試剤の還流温度が適当である。 【0022】より具体的に説明すると、例えば前記一般式(I)においてx,yが0、R1及びR2 がともにエチレン鎖(−CH2 CH2 −)である化学構造のポリエーテル化合物の製造法の場合は、次に示す方法が挙げられる。前記一般式(VII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(例えばアウジモント社製「FOMBLIN-ZDOL」)とこれに対して当量比で過剰量の3,4−ジヒドロ−2H−ピランとを、HCFC225(一般的には1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン及び1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンの混合物)のような両者を溶解する溶媒中で触媒量のプロトン酸の存在下、室温において攪拌反応させることにより水酸基に3,4−ジヒドロ−2H−ピランが付加し、前記一般式(I)(x,y:0、R1 ,R2 :エチレン鎖)で表される化学構造のポリエーテル化合物が生成する。ここで3,4−ジヒドロ−2H−ピランの代わりに2,3−ジヒドロフランを用いれば前記一般式(I)においてx,yが0、R1 及びR2 がともにメチレン鎖(−CH2 −)である化学構造のポリエーテル化合物が生成する。 【0023】また、反応原料となるポリエーテル化合物として一般式(IX) 【化18】
(式中x,yは4〜6の整数である)で表される化学構造のポリエーテル化合物(例えばアウジモント社製「FOMBLIN-ZDOL TX 」)を用いれば、前記一般式(I)においてx,yが4〜6、R1 及びR2 がともにエチレン鎖であるポリエーテル化合物が得られる。 一般式(X) 【化19】
で表される化学構造のポリエーテル化合物(例えば、アウジモント社製「FOMBLIN-Z TETRAOL 」)と3,4−ジヒドロ−2H−ピランとを前述の手法と同様に反応させることにより、前記一般式(II)においてR3 乃至R6 がいずれもエチレン鎖であるパーフルオロポリエーテル化合物を得ることができる。前記一般式(VIII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(例えばダイキン工業社製「DEMNUM-SA 」)と3,4−ジヒドロ−2H−ピランとを前述の手法と同様に反応させることにより、前記一般式(III)においてzが0、R7 がエチレン鎖である化学構造のポリエーテル化合物を得ることができる。 一般式(XI) 【化20】
で表される化学構造のポリエーテル化合物(例えばアウジモント社製「GALDEN-MF402」)と3,4−ジヒドロ−2H−ピランとを前述の手法と同様に反応させることにより前記一般式(V)においてwが0、R10がエチレン鎖である化学構造のパーフルオロポリエーテル化合物を得ることができる。以上に例示したように、反応原料となるポリエーテル化合物、及び3,4−ジヒドロ−2H−ピラン,2,3−ジヒドロピラン等のα,β−二重結合を有する環状エーテル化合物を種々選択し組み合わせることにより、所望の構造の本発明のポリエーテル化合物を得ることが可能である。 【0024】<磁気記録媒体の基板等>本発明における磁気記録媒体としては、非磁性基板としてアルミニウム、ガラス、カーボン、チタン等のディスク基板、これに直接またはニッケル/燐、チタン、ケイ素、アルマイト等の下地層を介してクロム、コバルト/クロム/タンタル、コバルト/クロム/白金、コバルト/白金/タンタル、コバルト/ニッケル/白金、コバルト/クロム/白金/ケイ素等の磁性膜を単独または累積した磁性膜を積層し、この磁性膜の保護層として、カーボン,含水素カーボン,含窒素カーボン,含フッ素カーボン等のカーボン(炭素)系材料、シリカ、ジルコニア等のセラミックス系材料の保護膜を設けたものを対象としている。なかでも保護膜としてはカーボン、含水素カーボン、含窒素カーボン、含フッ素カーボン等のカーボン系材料を用いることが、本発明のポリエーテル化合物を用いて潤滑膜層を構成する場合に、この化合物と親和性が高い点において好ましい。ただし、その化学的組成については特に制限は無い。保護膜表面は化学的状態を制御するため必要に応じて、酸化性あるいは還元性気体または液体による化学的処理、酸性あるいは塩基性気体または液体による化学的処理、さらにはプラズマ処理、紫外線処理、加熱処理を施してもよい。また、汚染物質の除去及び吸着水の制御のため、水または有機溶剤による洗浄処理を施してもよい。磁気ディスクの径の大きさ、表面の平均粗さ等物理的形状において特に制限は無い。 【0025】<成膜方法・成膜条件・組成>本発明のポリエーテル化合物を潤滑膜層として磁気記録媒体上に成膜する方法としては、該化合物をフッ素化炭化水素あるいはハロゲン化炭化水素、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類等の有機溶剤に溶解し、公知のディップコート法(浸漬法)、スピンコート法、スプレー法等を用いることができる。有機溶剤としてはパーフルオロ化合物を溶解し易い点において、パーフルオロヘキサン,パーフルオロオクタン等のフッ素化炭化水素や、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(フロン113),HCFC225等のハロゲン化炭化水素を用いることが好ましい。 【0026】本発明のポリエーテル化合物の中で、前記一般式(I)乃至(VI)で表される化学構造のポリエーテル化合物は好ましく使用することができ、それぞれ単独で用いても、複数の種類を混合して用いてもよい。また本発明のポリエーテル化合物は摩擦特性を低下させない範囲においてそれ以外のポリエーテル化合物等の潤滑剤あるいは添加剤等を混合して用いてもよい。成膜後には必要に応じて加熱処理を行ってもよい。加熱処理条件はポリエーテル化合物の種類及び磁気記録媒体の種類により異なるので一概には決められないが、250℃以下であることが好ましい。過度に高温で処理するとポリエーテル化合物中の低分子量成分が揮発したり、分子構造の分解による劣化等悪影響がある。 【0027】また、前記一般式(I)、あるいは(II)乃至(VI)で表される化学構造の化合物等本発明のポリエーテル化合物を用いて形成される潤滑膜層の厚さは、30Å以下であることが好ましい。この厚さを越えると磁気ヘッドが媒体上に接地した停止状態時に、磁気ヘッドと媒体間に液状潤滑剤によるメニスカスが形成されやすくなるため吸着が大きくなる問題がある。磁気記録密度向上の観点からは、潤滑膜層の厚さはヘッドクラッシュを起こさない限り小さいほうが良い。 【0028】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。しかし、本発明の技術的範囲はこれらの実施例によって限定されるものでない。 <本発明のポリエーテル化合物の合成例>【0029】[実施例1]前記一般式(VII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(アウジモント社製「FOMBLIN-ZDOL」:数平均分子量2000,p/q=1)10.00gと3,4−ジヒドロ−2H−ピラン4.21gとを50mLのHCFC225中に溶解し、p−トルエンスルホン酸0.02gを添加した後、25℃において4時間攪拌反応させることにより水酸基に3,4−ジヒドロ−2H−ピランを付加させた。反応溶液からHCFC225をエバポレーターにより留去した後パーフルオロヘキサン100mLを加え反応生成物を溶解した。過剰の3,4−ジヒドロ−2H−ピランを除去するためアセトン50mLで2回洗浄し、次いでp−トルエンスルホン酸を除去するため精製水50mLで2回洗浄した。硫酸ナトリウム(無水)10gで脱水処理した後、パーフルオロヘキサンをエバポレーターで留去、さらに40℃で12時間真空乾燥することにより精製を完了した。収量は10.48gであった。NMRスペクトルの分析値は以下の通りであった。 1H−NMR(CDCl3 ;δppm):1.4〜1.9(m,6H),3.5(d,1H),3.7〜4.0(m,3H),4.7(s,1H) 13C−NMR(CDCl3 ;δppm):19,26,30,62,65,99(いずれも末端部分に帰属のピーク) 19F−NMR(CDCl3 ;δppm):−91〜−89(−CF2 CF2 O−部分に帰属のピーク),−80〜−72(−OCF2 CH2 O−部分に帰属のピーク),−54〜−52(−CF2 O−部分に帰属のピーク) 【0030】以上の結果より、生成物が一般式(XII) 【化21】
で表される化学構造のポリエーテル化合物であることを確認した。 【0031】[実施例2]反応原料として前記一般式(X)で表される化学構造のポリエーテル化合物(アウジモント社製「FOMBLIN-Z TETRAOL 」:数平均分子量3000,p/q=1)15.00gと3,4−ジヒドロ−2H−ピラン8.42gとを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応・精製を行った。収量は15.33gであった。NMRスペクトルの分析値は以下の通りであった。 1H−NMR(CDCl3 ;δppm):1.2〜1.9(m,16H),3.4〜3.6(m,2H),3.7〜4.1(m,5H),4.6(s,1H),4.8(s,1H) 13C−NMR(CDCl3 ;δppm):20,25,31,63,70,71,72,75,101(いずれも末端部分に帰属のピーク) 19F−NMR(CDCl3 ;δppm):−91〜−89(−CF2 CF2 O−部分に帰属のピーク),−80〜−72(−OCF2 CH2 O−部分に帰属のピーク),−54〜−52(−CF2 O−部分に帰属のピーク) 【0032】以上の結果より、生成物が一般式(XIII) 【化22】
で表される化学構造のポリエーテル化合物であることを確認した。 【0033】[実施例3]反応原料として前記一般式(VIII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(ダイキン工業社製「DEMNUM SA-1 」:数平均分子量2600)13.00gと3,4−ジヒドロ−2H−ピラン2.11gとを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応・精製を行った。収量は12.96gであった。NMRスペクトルの分析値は以下の通りであった。 1H−NMR(CDCl3 ;δppm):1.4〜1.9(m,6H),3.5(d,1H),3.7〜4.1(m,3H),4.7(s,1H) 13C−NMR(CDCl3 ;δppm):19,26,30,62,65,99(いずれも末端部分に帰属のピーク) 19F−NMR(CDCl3 ;δppm):−131〜−129,−85〜−82【0034】以上の結果より、生成物が一般式(XIV) 【化23】
で表される化学構造のポリエーテル化合物であることを確認した。 【0035】[実施例4]tert−ブタノール25mL中において、前記一般式(VIII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(ダイキン工業社製「DEMNUM SA-1 」:数平均分子量2600)26.00gとカリウム−tert−ブトキシド1.20gとを添加し、40℃で1時間攪拌反応させたところへエピブロモヒドリン2.05gを滴下し、その後80℃で6時間反応することにより末端がグリシジル基で修飾された構造の誘導体を得た。次いでこれを2N−硫酸中で5時間還流することによりグリシジル基に水分子を付加し、一般式(XV) 【化24】
で表される化学構造のポリエーテル化合物を得た。このようにして得たポリエーテル化合物13.00gと3,4−ジヒドロ−2H−ピラン4.21gとを用い、実施例1と同様の条件で反応・精製を行った。生成物の収量は13.05gであった。NMRスペクトルの分析値は以下の通りであった。 1H−NMR(CDCl3 ;δppm):1.2〜1.9(m,16H),3.4〜3.6(m,2H),3.7〜4.1(m,5H),4.6(s,1H),4.8(s,1H) 13C−NMR(CDCl3 ;δppm):20,25,31,63,70,71,72,75,101(いずれも末端部分に帰属のピーク) 19F−NMR(CDCl3 ;δppm):−131〜−129,−85〜−82【0036】以上の結果より、生成物が一般式(XVI) 【化25】
で表される化学構造のポリエーテル化合物であることを確認した。 【0037】[実施例5]反応原料として前記一般式(XI)で表される化学構造のポリエーテル化合物(アウジモント社製「GALDEN MF402」:数平均分子量700,s/t=1)7.00gと3,4−ジヒドロ−2H−ピラン4.21gとを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応・精製を行った。収量は7.18gであった。NMRスペクトルの分析値は以下の通りであった。 1H−NMR(CDCl3 ;δppm):1.4〜1.9(m,6H),3.5(d,1H),3.7〜4.0(m,3H),4.7(s,1H) 13C−NMR(CDCl3 ;δppm):19,26,30,62,65,99(いずれも末端部分に帰属のピーク) 19F−NMR(CDCl3 ;δppm):−131〜−130,−91〜−89,−85〜−83,−55〜−53【0038】以上の結果より、生成物が一般式(XVII) 【化26】
で表される化学構造のポリエーテル化合物であることを確認した。 【0039】[実施例6]実施例4において前記一般式(VIII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(ダイキン工業社製「DEMNUM SA-1 」)の代わりに前記一般式(XI)で表される化学構造のポリエーテル化合物(アウジモント社製「GALDEN MF402」:数平均分子量700,s/t=1)7.00gを用いて、グリシジル基を導入した誘導体の生成を経由した同様の手法により、一般式(XVIII) 【化27】
で表される化学構造のポリエーテル化合物を得た。このようにして得たポリエーテル化合物3.50gと3,4−ジヒドロ−2H−ピラン4.21gとを用い、実施例1と同様の条件で反応・精製を行った。生成物の収量は3.53gであった。NMRスペクトルの分析値は以下の通りであった。 1H−NMR(CDCl3 ;δppm):1.2〜1.9(m,16H),3.4〜3.6(m,2H),3.7〜4.1(m,5H),4.6(s,1H),4.8(s,1H) 13C−NMR(CDCl3 ;δppm):20,25,31,63,70,71,72,75,101(いずれも末端部分に帰属のピーク) 19F−NMR(CDCl3 ;δppm):−131〜−130,−91〜−89,−85〜−83,−55〜−53以上の結果より、生成物が一般式(XIX) 【化28】
で表される化学構造のポリエーテル化合物であることを確認した。 [実施例7]反応原料として前記一般式(VII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(アウジモント社製「FOMBLIN-ZDOL」:数平均分子量2000,p/q=1)20.00gと2,3−ジヒドロフラン3.55gとを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応・精製を行った。収量は20.50gであった。NMRスペクトルの分析値は以下の通りであった。 1H−NMR(CDCl3 ;δppm):1.4〜1.8(m,4H),3.5(d,1H),3.7〜4.0(m,3H),4.6(s,1H) 13C−NMR(CDCl3 ;δppm):21,29,61,65,101(いずれも末端部分に帰属のピーク) 19F−NMR(CDCl3 ;δppm):−91〜−89(−CF2 CF2 O−部分に帰属のピーク),−80〜−72(−OCF2 CH2 O−部分に帰属のピーク),−54〜−52(−CF2 O−部分に帰属のピーク) 【0040】以上の結果より、生成物が一般式(XX) 【化29】
で表される化学構造のポリエーテル化合物であることを確認した。 【0041】[実施例8]反応原料として前記一般式(VII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(アウジモント社製「FOMBLIN-ZDOL」:数平均分子量2000,p/q=1)20.00gと3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン5.71gとを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応・精製を行った。収量は20.76gであった。NMRスペクトルの分析値は以下の通りであった。 1H−NMR(CDCl3 ;δppm):1.4〜1.9(m,6H),3.5(d,1H),3.7〜4.0(m,3H),4.7(s,1H) 13C−NMR(CDCl3 ;δppm):19,26,30,62,65,99(末端修飾部分に帰属のピーク:テトラヒドロピラン環構造) 19F−NMR(CDCl3 ;δppm):−91〜−89(−CF2 CF2 O−部分に帰属のピーク),−80〜−72(−OCF2 CH2 O−部分に帰属のピーク),−54〜−52(−CF2 O−部分に帰属のピーク) 以上の結果より、生成物が一般式(XXI) 【化30】
で表される化学構造のポリエーテル化合物であることを確認した。 【0042】<試験用磁気ディスクの作製>[実施例9]図1に本発明に係る磁気ディスク(ハードディスク)の断面図を示した。アルミニウム合金基板1上に硬質下地層としてNi−Pめっき膜層2が13μm被覆され、次にスパッタリング法により下地膜層3としてCrを600Å、磁気記録層(磁性膜)4としてCo−Cr−Ta合金を400Å、さらに保護膜層5としてカーボンを200Å積層した。次に、潤滑剤として実施例1で合成した前記一般式(XII)で表される化学構造のポリエーテル化合物をフッ素系溶剤であるパーフルオロヘキサン中に0.03重量%となるように溶解して塗布用組成物を調製した。そして、前記保護膜層5の上面に、上述のように調製した塗布用組成物をディップ法により膜厚20Å及び30Å(X線光電子分光法を用いて測定)になるよう塗布して潤滑層6を形成し、実施例9の磁気ディスクを得た。 【0043】[実施例10]潤滑剤として実施例2で合成した前記一般式(XIII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(数平均分子量3000)を用いた以外は実施例9と同様にして実施例10の磁気ディスクを得た。 【0044】[実施例11]潤滑剤として実施例3で合成した前記一般式(XIV)で表される化学構造のポリエーテル化合物(数平均分子量2600)を用いた以外は実施例9と同様にして実施例11の磁気ディスクを得た。 【0045】[実施例12]潤滑剤として実施例4で合成した前記一般式(XVI)で表される化学構造のポリエーテル化合物(数平均分子量2600)を用いた以外は実施例9と同様にして実施例12の磁気ディスクを得た。 【0046】[実施例13]潤滑剤として実施例5で合成した前記一般式(XVII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(数平均分子量700)を用いた以外は実施例9と同様にして実施例13の磁気ディスクを得た。 【0047】[実施例14]潤滑剤として実施例6で合成した前記一般式(XIX)で表される化学構造のポリエーテル化合物(数平均分子量700)を用いた以外は実施例9と同様にして実施例14の磁気ディスクを得た。 【0048】[実施例15]潤滑剤として実施例7で合成した前記一般式(XX)で表される化学構造のポリエーテル化合物(数平均分子量2200)を用いた以外は実施例9と同様にして実施例15の磁気ディスクを得た。 【0049】[実施例16]潤滑剤として実施例8で合成した前記一般式(XXI)で表される化学構造のポリエーテル化合物(数平均分子量2000)を用いた以外は実施例9と同様にして実施例16の磁気ディスクを得た。 【0050】[比較例1]潤滑剤として前記一般式(VII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(アウジモント社製「FOMBLIN-ZDOL」:数平均分子量2000)を用いた以外は実施例9と同様にして比較例1の磁気ディスクを得た。 【0051】[比較例2]潤滑剤として前記一般式(X)で表される化学構造のポリエーテル化合物(アウジモント社製「FOMBLIN-TETRAOL 」:数平均分子量3000)を用い、フッ素系溶剤としてHCFC225を用いて塗布用組成物を調製した以外は実施例9と同様にして比較例2の磁気ディスクを得た。 【0052】[比較例3]潤滑剤として前記一般式(VIII)で表される化学構造のポリエーテル化合物(ダイキン工業社製「DEMNUM-SA 」:数平均分子量2600)を用いた以外は実施例9と同様にして比較例3の磁気ディスクを得た。 【0053】[比較例4]潤滑剤として前記一般式(XI)で表される化学構造のポリエーテル化合物(アウジモント社製「GALDEN MF402」:数平均分子量700)を用いた以外は実施例9と同様にして比較例4の磁気ディスクを得た。 【0054】<試験1;CSS耐久性テスト−動摩擦係数の測定>前記実施例9〜16及び比較例1〜4の各磁気ディスク(潤滑層の膜厚:20Å)のCSS(Contact-Start-Stop)試験を常温常湿(約20℃,約60%RH)の環境下で行った。CSS試験機には市販のCSSテスター(交洋製作所製;KT−202)を用い、磁気ヘッドにはAl2 O3 −TiCスライダーヘッド(形状;TYPE−14、荷重3.5g)を用いて10000回のCSS動作(最高回転数5000rpm(1秒間保持)と静止(1秒間)の間を5秒間で繰り返し往復させる)を行った。10000回後の動摩擦係数の値を表1に示した。実施例9〜16の磁気ディスクでは比較例1〜4よりも摩擦特性が改善される結果となった。 【0055】<試験2;CSS耐久性テスト−静摩擦係数の測定>前記実施例9〜16及び比較例1〜4の各磁気ディスク(潤滑層の膜厚:30Å)のCSS試験を高温高湿(40℃,80%RH)の環境下で行った。CSS試験機及び磁気ヘッドは前述の試験1と同じものを用いた。10000回動作後ディスクとヘッドを24時間静置させた後の静摩擦係数の値を表1に示した。実施例9〜16の磁気ディスクでは比較例1〜4よりも摩擦特性が改善される結果となった。 【0056】<試験3;スピンオフテスト−膜厚減少量の測定>前記実施例9〜16及び比較例1〜4の各磁気ディスク(潤滑層の膜厚:30Å)を80℃の温度環境下、回転速度10000rpmで72時間回転させた(スピンオフ)後の潤滑層の膜厚減少量を調べた。フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により半径20mmの位置における膜厚減少量を表1に示した。実施例9〜16の磁気ディスクでは膜厚減少量は0〜3%となり、耐スピンオフ性も優れている結果が得られた。 【0057】 【表1】
【0058】 【発明の効果】本発明のポリエーテル化合物を用いて潤滑層を形成した磁気記録媒体は、優れた表面潤滑特性及び耐磨耗性を有し、しかも長期間にわたって高温でも安定に機能する潤滑剤を用いたので、特にヘッドの低浮上化に対応した平滑な基板の場合であっても、良好な摺動耐久性と長期にわたる充分な安定性とを有するものとなる。したがって、本発明による磁気記録媒体は、データ記録密度を増大させることが可能となると共に、長期にわたり信頼性の高いものとなる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002004 【氏名又は名称】昭和電工株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月22日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】矢口 平
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| 【公開番号】 |
特開平11−60720 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−226460 |
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