| 【発明の名称】 |
ポリフェニレンエーテル樹脂 |
| 【発明者】 |
【氏名】三井 昭
【氏名】佐久間 照章
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| 【要約】 |
【課題】従来技術では製造するのが困難であった、極めて高い熱安定性を持つ高分子量のポリフェニレンエーテル樹脂及びその製造方法を提供する。
【解決手段】特殊な金属固定化複合体と2級、3級アミンからなる触媒を用いて、重量平均分子量が120,000以上で200,000以上の割合が15%以上のポリフェニレンエーテル樹脂を製造する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 重量平均分子量が120,000以上で200,000以上の割合が15%以上のポリフェニレンエーテル樹脂。 【請求項2】 ポリフェニレンエーテル樹脂が、ポリ(オキシ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)である請求項1記載のポリフェニレンエーテル樹脂。 【請求項3】 下記の(イ)(ロ)からなる触媒を用いる請求項1及び2記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。 (イ)水酸基を持つ無機酸化物を下記式(1) 【化1】
【化2】
【化3】
で表される含窒素有機珪素化合物を用いて接触処理させた後に、遷移金属化合物から選ばれた少なくとも1種の金属化合物で接触処理させた金属固定化複合体。(ただし、金属固定化複合体はフェノール性化合物1重量部あたり少なくとも20分の1重量部使用される。) (ロ)3級アミンまたは2級アミンから選ばれた少なくとも1種以上のアミン。 【請求項4】 (ロ)のアミンが少なくとも1種以上のジアミン又はジアミン以外のアミンとの併用で、フェノール性化合物1molに対し0.5〜10mol%使用されることを特徴とする請求項2記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱的特性が大幅に改善されたポリフェニレンエーテル樹脂に関するものである。 【0002】 【従来の技術】フェノール性化合物を酸化重合させることでポリフェニレンエーテルを製造する際に用いられる重合触媒としては、特公昭36−18692号公報で提案されて以来、銅化合物と各種アミンとの組み合わせが多数提案されてきた。即ち、銅化合物の種類及びこれと共働するハロゲン化物の提案、またアミンに関しても1級アミンか2級アミンか3級アミンかという選択や、モノアミンかジアミンかポリアミンか等の種々の提案がなされてきた。 【0003】例えば、古くは米国特許3306875号明細書、同3344116号明細書及び同3432466号明細書では銅化合物とN,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン等のテトラアルキルタイプのジアミンの触媒系を用いる方法や、特公昭52−17075号公報、特公昭52−17076号公報では銅化合物とテトラアルキルタイプのジアミン及びヨウ素化合物との組み合わせも提案されている。 【0004】また特公昭59−53012号公報、特公昭59−23332号公報では銅化合物とN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン及びN−メチルピロリジン等の3級アミンの組み合わせや前記3級アミンとN−ジ−n−ブチルアミン等の2級モノアミンとの組み合わせからなる方法等が提案されてきた。更に特開昭64−33131号公報には銅化合物と2級脂肪族アミンまたは2級脂肪族アミンと特殊な構造を持つアニリン類とN,N,N’,N’−テトラメチル1,3−ジアミノ(置換または非置換)プロパン及び臭素化合物もしくは塩素化合物を用いることにより耐水性の改良された高活性な方法が開示されている。また、溶液粘度の高い高分子量ポリフェニレンエーテルの製造方法として特開昭53−12992号公報及び特開昭59−74124号公報等が開示されているが、溶液粘度の高い高分子量のポリフェニレンエーテルの製造は反応に長時間必要とすることや、更に触媒を多量に用いていることで後処理工程の困難さなどが伴い、製造が比較的困難であった。また、銅などの金属成分がポリフェニレンエーテルやポリフェニレンエーテル樹脂組成物中に残留すると、色調の悪化や機械的物性の低下をもたらすことが知られており、このため重合工程以降において反応混合物から銅−アミン錯体等の金属化合物を抽出操作や洗浄操作等を用いてポリフェニレンエーテルから分離させるための工程が必要となっている。 【0005】而して、この様な分離操作を必要とすることで、触媒の再使用が困難となるばかりではなく、大がかりな設備工程が必要となり、製造費用の増大をもたらしているのである。従って、フェノール類の単量体を含む溶液とは実質的に不均一の固定された触媒を用いる方法が抽出、洗浄の工程を省くことができるため有利である。すなわち、この種の方法は不均一系での重合となるため、固定床型反応機の利用が可能で触媒の回収、再使用が容易であるという利点がある。そこでこの様な不均一の固定化触媒を用いる方法も数多く提案されている。 【0006】例えば、特公昭55−20485号公報、特公昭63−15939号公報、特公昭63−15940号公報では銅、マンガン等の金属とポリビニルピリジンやポリビニルイミダゾールに代表される塩基性含窒素高分子化合物及びこれらの誘導体を利用した方法、更にこれらの改良方法が報告されている。また特公昭61−26572号公報にはマンガン(II)を用いたベンゾインオキシム基含有の架橋ビニル樹脂を用いる方法が報告されている。更に特公昭57−22056号公報では生体内の酸化還元酵素の活性中心として知られるヘミポルフィラジンやポルフィリン構造の類似単位を含む特殊な合成高分子銅錯体を利用する方法が提案されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来の固定化触媒を用いる方法は有機高分子錯体を用いているために、銅等の金属イオンを配位または結合させるために必要な構造単位の設計及び任意の導入が困難であり、このような担体の合成は煩雑で高価なものとなるという欠点があった。更に固定化することによって触媒の活性が大きく低下する欠点もあった。例えば、特公昭63−15939号公報においてはフェノール類の単量体のモル数に対して10分の1モルの銅を用いる実施例が記載されているが、この例では使用した銅量に比べて得られた重合体の重量平均分子量は24,500にすぎないのであり、従来技術では高分子量のポリフェニレンエーテル樹脂の製造は難しく困難であった。 【0008】本発明は上記の従来技術の問題点を解決し、簡便に合成でき、且つ金属量が少ない上に活性も高い金属固定化触媒を開発し、それを用いた重合体中の残留金属が微量で製造工程が簡略でき、また、高分子量のポリフェニレンエーテル樹脂を容易に製造できる方法と、この方法による高分子量ポリフェニレンエーテル樹脂を提供することを課題とするものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題を解決するため、簡便で、活性が非常に高く性能に優れた固定化触媒について鋭意検討を進めた結果、驚くべきことに、水酸基を持つ無機酸化物を含窒素有機珪素化合物で接触処理させ、更に遷移金属化合物とを接触処理させた金属固定化複合体と、2級または3級アミの組み合わせからなる触媒が、簡便に固定化触媒を合成でき、かつ使用する金属量が少なく、得られた重合体の分子量も大きく分子量のコントロールも行いやすいといった非常に高い触媒性能を持つことを見出し先に特許出願を行った(特願平8−126317号公報)。この方法において、ある特殊な条件で重合を行うと非常に大きな分子量のポリフェニレンエーテル樹脂を容易に作ることが出来ることが判った。この方法を用いて得られたポリフェニレンエーテル樹脂は驚くべきことに従来のポリフェニレンエーテル樹脂には全く見られない優れた特性を得ることができることを見出し本発明に至った。 【0010】即ち本発明は重量平均分子量が120,000以上で200,000以上の割合が15%以上のポリフェニレンエーテル樹脂であり、その製造方法として、(イ)水酸基を持つ無機酸化物を含窒素有機珪素化合物を用いて接触処理させた後に、遷移金属化合物から選ばれた少なくとも1種の金属化合物で接触処理させた金属固定化複合体、ただし、金属固定化複合体はフェノール性化合物1gあたり少なくとも20分の1g使用される。 (ロ)3級アミンまたは2級アミンから選ばれた少なくとも1種以上のアミンからなる触媒を用いることを特徴とする方法である。 【0011】以下本発明を詳細に説明する。本発明のポリフェニレンエーテルは重量平均分子量が120,000以上で200,000以上の割合が15%以上のポリフェニレンエーテル樹脂である。また、本発明に用いるポリフェニレンエーテル樹脂の分子量及び分子量分布は以下の方法で求めることができる。昭和電工株式会社製ゲルパーミェーションクロマトグラフィーSystem21で標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し測定する。標準ポリスチレンの分子量は550、1,300、2,960、9,680、28,600、65,900、172,000、629,000、1,960,000、3,900,000のものを用いる。カラムは昭和電工株式会社製リニアカラムK−805Lを2本直列につないで使用する。また、溶媒はクロロホルム、溶媒の流量は1.00ml/min、カラムの温度は40# C で測定する。検出部のUVの波長は標準ポリスチレンが254nm、ポリフェニレンエーテル樹脂が283nmで測定する。本発明の高分子量のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法は特願平8−126317号公報に記載されている製造方法において、ある定められた条件の下で実施される。この製造方法を以下に示す。 【0012】本発明に使用される無機酸化物は表面に水酸基が存在するものであればどの様な種類のものでも使用することができる。例えばシリカ、珪藻土、ゼオライト類等の無機珪酸化合物、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等である。これらのなかではシリカに代表される無機珪酸化合物やアルミナが好適に使用される。 【0013】表面の水酸基量は平均的に1平方nmあたり0.1個以上あれば良い。表面水酸基の数は種々の文献や成書(例えば触媒学会編/触媒講座10(工業触媒反応編4)触媒各論,p.138,講談社)に記載されている既知の方法で決定することができる。また通常、シリカゲル等の無機酸化物は水を吸着していることが多く、含窒素有機珪素化合物と接触処理させる前に乾燥させた方が良い結果を与えることもあるが特にこの乾燥は行わなくても良い。 【0014】本発明に使用される含窒素有機珪素化合物とは一般に下記の式(1)で表される構造を持つものが使用できる。 【0015】 【化4】
【0016】 【化5】
【0017】 【化6】
【0018】これらの含窒素珪素化合物の例としては、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N−[3−(トリクロロシリル)プロピル]アミン、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N−[5−(トリメトキシシリル)ペンチル]エチレンジアミン、N−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、{N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−メチル−N’,N’−ジメチル}エチレンジアミン、{N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−(2−アミノエチル)}エチレンジアミン、{N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−(2−ジメチルアミノエチル)−N’,N’−ジメチル}エチレンジアミン、{N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(2−アミノエチル)}エチレンジアミン、{N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)−N’−メチル}エチレンジアミン等を挙げることができる。 【0019】好適な含窒素有機珪素化合物は分子内の窒素数が2以上の化合物である。かかる含窒素有機珪素化合物の窒素の級数は1級でも2級でも3級でもよく特に限定はされない。4級窒素(アンモニウム型)を含むものは本発明による方法を妨げない限り共存を許される。含窒素有機珪素化合物の1級、2級窒素部位をアルキル化(例えばメチル化)し、該当する2級、3級窒素としたい場合には該当する2級または3級窒素を含む有機珪素化合物を用いて無機酸化物と処理すれば良いし、または該当する低級の含窒素有機珪素化合物を窒素アルキル化した後の化合物を用いて無機酸化物と処理しても良いし、該当する低級の含窒素有機珪素化合物を無機酸化物と処理した後、窒素をアルキル化しても良い。 【0020】含窒素有機珪素化合物と無機酸化物の接触処理は両者を混合するだけで良いが条件に応じて両者の混合物を加熱、または適切な溶媒を用いて混合、加熱等の操作を用いて行うことができる。溶媒は処理を妨げない限り特に限定されないがトルエン、キシレン等の芳香族化合物や水、メタノール等の極性溶媒やこれらの混合物等が好んで用いられる。接触処理時での含窒素有機珪素化合物の無機酸化物に対する量は特に限定はされない。 【0021】接触処理させる時間は含窒素有機珪素化合物の種類、接触時の温度、溶媒の種類と量(濃度)によって違うため一概にはいえないが、溶媒を用いて行われる場合は、室温または加熱温度下で数分から数十時間の処理が一般的である。処理された後、濾別または遠心分離等の通常用いられる適当な方法を用いて処理物を得ることができる。更に適当な溶媒を用いて洗浄し、未反応の含窒素有機珪素化合物を除去させることもできる。 【0022】洗浄するならば、アセトンやメタノール等の極性溶媒を用いて洗浄する事が好結果を与える場合がある。特に含窒素有機珪素化合物としてモノ,ジ,トリハロゲノシラン構造を持つものを用いた場合には、接触処理時またはその後に適当なアルカリ液による処理を行うかエチレンオキサイド処理を行った方が活性が良くなる場合がある。その後、適当な条件下で乾燥を行っても良い。 【0023】無機酸化物と含窒素有機珪素化合物が、どの様な複合形態を形成しているのかについては、本発明を何ら限定するものではないが、おそらくAdvancedMaterials in Catalysis:James J.Burton and Robert L.Garten編,(Academic Press)中の235頁からの記述にあるような形態で、表面の水酸基に結合しているものと推定される。無機酸化物上の含窒素有機珪素化合物の量は元素分析等の方法で推定することができる。 【0024】上記接触処理と同時に、または上記接触後に更にシリル化剤で接触処理させても良い。ここでシリル化剤は特に限定されないが例えばトリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンエチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリクロロシラン、n−ヘキシルメチルジクロロシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリクロロシラン、n−テトラデシルトリクロロシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン等を挙げることができるがこれらの例には限定されない。これらは1種類でも用い得るし2種類以上を組み合わせて用いてもかまわない。 【0025】上記接触処理の後、遷移金属化合物と接触処理させるが、本発明においては遷移金属化合物はどの様なものでも使用され得るが適当な溶媒に可溶性の塩が好ましい。遷移金属化合物とは周期律表において第4周期、第5周期、第6周期に属する遷移元素を分子内に持った化合物群をいう。遷移元素としては以下のものを含有する。 【0026】まず原子番号21のスカンジウムから原子番号29の銅まで、原子番号39のイットリウムから原子番号47の銀まで、原子番号57のランタンから原子番号79の金まで、更に原子番号30の亜鉛、原子番号48のカドミウム、原子番号80の水銀をも含有する。これらの遷移金属化合物はそれぞれ単独でも用い得るし、2種以上の化合物を併用することもできる。 【0027】遷移金属化合物の中で銅化合物、マンガン化合物は好適である。好適な銅化合物としては第一銅化合物、第二銅化合物またはそれらの混合物を使用することができる。本発明に使用できる第二銅化合物としては、例えば塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、酢酸第二銅、アジ化第二銅、トルイル酸第二銅等を例示することができる。また第一銅化合物としては、例えば塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅、酢酸第一銅、アジ化第一銅、トルイル酸第一銅等を例示することができる。 【0028】これらの中で特に好ましい金属化合物は第一銅,第二銅化合物については塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。またこれらの銅塩は酸化物、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲンまたは酸から使用時に合成しても良い。好適なマンガン化合物としては塩化マンガン(II)、臭化マンガン(II)、ヨウ化マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、硝酸マンガン(II)、酢酸マンガン(II)等を例示することができる。マンガン化合物では塩化マンガン(II)、臭化マンガン(II)が特に好適である。 【0029】含窒素有機珪素化合物で接触処理された処理物とこれらの遷移金属化合物との接触処理は、通常遷移金属化合物を適当な溶媒に溶解させて、含窒素有機珪素化合物で接触処理された処理物と混合することにより行われる。溶媒としては水、メタノールやエタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類が良く使用される。 【0030】水、アルコール類が金属化合物の溶解度の点から好適である。遷移金属化合物が難溶性の場合には沈殿があってもかまわないが、接触処理終了後の残った遷移金属化合物固体と得られる金属固定化複合体との分離が困難になる恐れがあるので、この場合は遷移金属化合物もしくは含窒素有機珪素化合物で接触処理された処理物のどちらかを、透過性の濾紙等でくるむ、もしくは透過性のフィルタ等で両者の固体を直接接触させないようにさせることができる2槽式の処理槽を用いる等の方法で行うことが好ましい。 【0031】遷移金属化合物の使用量や処理時間や処理温度等の条件を変えることにより、含窒素有機珪素化合物で接触処理された処理物上への遷移金属の固定化量を制御することができるが、表面上に存在すると推定される有機珪素化合物の量以上の過剰量で行っても何ら差し支えない。接触処理終了後、濾別または遠心分離等の通常用いられる適当な方法を用いて溶媒を分離し、更に必要であれば適当な溶媒で洗浄して微量の未固定の遷移金属化合物を除去する。必要ならばその後乾燥させても良い。遷移金属化合物の固定化量は既知の分析方法を用いて分析することができる。 【0032】本発明における金属固定化複合体の使用量は多量に使用しても全くかまわないが、フェノール性化合物1g当たり少なくとも20分の1g使用する。遷移金属化合物の固定化状態がどの様になっているのかについては本発明を何ら限定するものではないが、例えば塩化第二銅との接触処理では接触時に、処理物が銅(II)−アミン錯体特有の色調を呈することから、おそらく含窒素有機珪素化合物の窒素部分に銅(II)が配位結合した構造となっているのではないかと推定される。 【0033】本発明においては3級アミンまたは2級アミンから選ばれた少なくとも1種以上のアミンが使用される。従って、3級アミン、2級アミンはそれぞれ単独でも用いうるしこれらを組み合わせて2種以上の併用も可能である。3級アミン類としては例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ブチルジメチルアミン、フェニルジエチルアミン等のモノアミン類、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル1,3−ジアミノ−2−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル1,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル1,4−ジアミノペンタン等が挙げられる。もちろん3級のトリアミン類も使用することが可能である。 【0034】最も好適なアミンはジアミンであり、そのジアミンのうち3級ジアミンの例を示せば、N,N,N’,N’−テトラメチル1,3−ジアミノ(置換または非置換)プロパン類などが挙げられる。本発明のN,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ非置換プロパンとはN,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパンのことをいい、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ置換プロパンとはジアミンの窒素原子間のプロパン主鎖に置換基(側鎖)を有するものをいう。なお該置換基としては低級アルキル基が好ましく、且つモノ置換が好ましい。 【0035】次にN,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ置換プロパンの例を挙げると、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−1−エチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−エチルプロパン等がある。 【0036】2級アミン類としてはジメチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−第2級−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−第2級−ブチルアミン、ジ−第3級−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ脂肪族2級アミン類、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−エチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N,N’−トリメチル−1,3−ジアミノブタン、N−エチル−1,3−ジアミノブタン等の分子内に2級アミンを含む脂肪族ジアミン類、N−フェニルエタノールアミン、N−(m−メチル)フェニルエタノールアミン、N−(p−メチル)フェニルエタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチル)フェニルエタノールアミン、N−(p−クロロ)フェニルエタノールアミン等のN−フェニルエタノールアミン類、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等のN−炭化水素置換アニリン類がある。 【0037】特に最も好適な3級アミンであるN,N,N’,N’−テトラメチル1,3−ジアミノ(置換または非置換)プロパン類と、第2級脂肪族アミンまたは第2級脂肪族アミンとN−フェニルエタノールアミン、N−炭化水素置換アニリンから選ばれた少なくとも1種以上の2級アミンの併用はより好適である。本発明における2級アミンまたは3級アミンの使用量は特に限定されないが、フェノール性化合物1molに対して0.5〜10mol%の範囲にあることが好ましい。 【0038】本発明方法に用いるフェノール性化合物は下記式(4)で表される構造を持つ化合物である。 【0039】 【化7】
【0040】該化合物の例としては例えば、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール等が挙げられる。 【0041】これらの化合物はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。また少量のフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール等を含んでいても実質上差し支えない。これらのフェノール性化合物の中で特に2,6−ジメチルフェノールが重要であり、これより得られるポリ(オキシ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)は工業上極めて重要である。 【0042】本発明においてフェノール性化合物を酸化重合させる際に、フェノール性化合物の溶媒に対する割合は広い範囲で選ぶことができるが通常フェノール性化合物濃度は70重量%以下、好ましくは1〜40重量%の範囲である。本発明方法において用いる反応溶媒は被酸化物であるフェノール性化合物に比較して酸化されにくく、かつ反応過程の中間に生成すると考えられる各種ラジカルに対して反応性をほとんど有しないものである限り特に制限はなく、1種類の単独溶媒でも何種類かの混合溶媒でもかまわない。 【0043】好ましくは金属固定化複合体をほとんど溶解させずまた該複合体から固定された金属化合物をほとんど溶出させず、更にフェノール性化合物と2級または3級アミン類を溶解できるものである。このような溶媒の例としては例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、トリクロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼンの様なハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼンの様なニトロ化合物を挙げることができる。 【0044】またメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシドの様なスルホキシド類をも挙げることができる。 【0045】フェノール性化合物を酸化重合させて得られる重合体であるポリフェニレンエーテルに対する良溶媒と貧溶媒の比率を選ぶことによって溶液重合法にもなるし、反応の進行とともに重合体が反応溶媒中に粒子として析出する沈殿重合法にもなる。本発明はバッチ重合法、連続重合法、トリクルベッド重合法、固定床重合法、溶液重合法、沈殿重合法いずれの方法にも適用できる。 【0046】重合反応系に溶媒間の相分離性改善や活性向上等の目的で4級アンモニウム塩、スルホン酸塩、カチオン性、アニオン性あるいはノニオン性の界面活性剤を加えることができる。更に有機スルホン酸やその塩類、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキサイド、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の中性塩、ゼオライト等も添加することができる。 【0047】重合反応温度については、低すぎると反応が進行しにくく、また高すぎると反応の選択性が低下することがあるので、0〜80℃、好ましくは10〜70℃の範囲である。本発明の酸化重合における酸素は純酸素の他、窒素等の不活性ガスと任意の割合で混合したもの及び空気等が使用できる。重合反応中の系内圧力は常圧で充分であるが必要に応じて減圧でも加圧でも使用できる。 【0048】反応終了後の後処理方法については溶液重合法であれば特に制限はない。濾別、沈降分離、遠心分離等の方法で重合溶液と金属固定化複合体を分離する。固定床であればはじめから触媒は固定された状態であり分離は容易である。得られた重合液は、常法に従えばこれを中和しメタノール等のポリフェニレンエーテルに対する貧溶媒を混合することによりポリフェニレンエーテルの沈殿が得られる。この時点でアミン類はポリフェニレンエーテルと分離される。これを取り出し乾燥すれば良い。 【0049】工業的に有利な方法としては得られた反応液をフラッシングや脱気押出等の方法を用いて溶媒とアミン類とを除去することでポリフェニレンエーテルを得ることである。この際に変性反応や、系内pH調製等の操作を行うこともできる。沈殿重合法では金属固定化複合体はそのままではポリフェニレンエーテル粒子と分けることが困難である。このため、重合終了後ポリフェニレンエーテルに対する良溶媒を加えるか、系内の温度を上げることでポリフェニレンエーテルを溶解させることが必要である。 【0050】その後の方法は溶液重合法と同様である。また濾別された金属固定化複合体はそのまま重合反応系へ戻せば繰り返し使用可能である。アミン類は溶媒の回収操作と同時に回収できる。もし長期の使用で活性が低下するようであれば遷移金属化合物との接触処理により再生できる。 【0051】 【発明の実施の形態】次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。金属固定化複合体に含まれる金属量は以下のようにして測定した。測定対象となる複合体を精秤し、所定量の1規定塩酸水に加え金属を遊離させる。この塩酸水溶液を用いて誘導結合プラズマ分析(ICP)を行い決定する。なお、ICP分析は理学株式会社製JY−138を用いた。 【0052】なお、ポリフェニレンエーテル樹脂の粘度(ηsp/c)は重合体を0.5g/100mlのクロロホルム溶液とし、30℃においてウベローデ粘度計を用いて測定した値である。ポリフェニレンエーテル樹脂の分子量の測定は以下の条件によって行った。ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(以下GPCという):昭和電工株式会社製System21で標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し測定する。標準ポリスチレンの分子量は550、1,300、2,960、9,680、28,600、65,900、172,000、629,000、1,960,000、3,900,000のものを用いる。カラムは昭和電工製リニアカラムK−805Lを2本直列につないで使用する。また、溶媒はクロロホルム、溶媒の流量は1.00ml/min、カラムの温度は40# C で測定する。検出部のUVの波長は標準ポリスチレンが254nm、ポリフェニレンエーテル樹脂が283nmで測定する。 【0053】ポリフェニレンエーテル樹脂の熱重量測定は以下の条件によって行った。熱重量測定(以下TGAという):島津製作所株式会社製マクロ熱重量測定装置TGA−51で測定する。また、ガスの種類は窒素、窒素の流量は30.0ml/min、加熱温度については加熱速度10.0# C/min、ホールド温度は700#Cで測定した。 【0054】 【発明の実施の形態】 【0055】 【実施例1】 (金属固定化複合体の合成)窒素気流下160℃で8時間乾燥させたシリカゲル(Aldrich社製Davisil−645、60〜100メッシュ)20gを3口フラスコに入れ、これにN−[3−トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンを22.2g(0.0998mol)を加え、更にキシレンを60g加えた。わずかな窒素気流下160℃で8時間還流させ放冷後濾別し、キシレン、アセトンの順序で洗浄し90℃で2時間真空乾燥させた。このものをSC剤とする。 【0056】塩化第二銅2水和物0.935g(5.48mmol)をメタノール92gに溶解させた溶液に大気下でSC剤5.5gを攪拌しながら加えた。室温で12時間放置した後濾別し、メタノールで洗浄し90℃で1時間真空乾燥させた。得られたものが金属固定化複合体であるが簡単にCuSC1剤と呼ぶことにする。CuSC1剤に含まれている銅量は3.85wt%であった。 (重合操作)等圧滴下ロートに2,6−ジメチルフェノール4.00g(32.7mmol)とトルエン9gを入れ更にN,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン0.213g(1.64mmol:2,6−ジメチルフェノールに対する割合は5mol%)を加え溶解させた。還流冷却管,温度計,攪拌機及び酸素吸収量を測定するためのガスビュレットを備えた多口フラスコにCuSC1剤1.00g、無水硫酸マグネシウム1.00g、更にトルエン27gを加え、これに先の等圧滴下ロートを取り付けた。酸素をもう一方の口から導入して系内を酸素置換し、温度管理のできる水浴に漬けた。 【0057】滴下ロートから2,6−ジメチルフェノールを含む溶液を一気にフラスコ内に加え激しく攪拌しながら重合を開始させた。重合溶液温度は40℃で管理した。1時間後混合物をガラスフィルターで濾過し、濾液に5mlの濃塩酸を含む350mlのメタノールを滴下することによりポリフェニレンエーテルを沈殿させた。沈殿をガラスフィルターで濾取した後、120℃で1時間真空乾燥させポリフェニレンエーテル粉末を得た。このポリフェニレンエーテルのηsp/c=2.15であった。このポリフェニレンエーテルの分子量をGPCで測定した結果、重量平均分子量が217,700で200,000以上の割合が39.4%であった。このポリフェニレンエーテルを用いてTGAの測定を行った。その結果については表1に記載する。 【0058】表1から明らかなように、本発明により得られたポリフェニレンエーテル樹脂は加熱による分解量が少ないことが判る。 【0059】 【比較例1】従来の製造方法であるフェノール類の単量体を含む溶液に実質的に均一な混合物を形成する錯体の触媒と、非錯体の添加物を利用する方法として特公平5−13965号公報の方法に従って重合を行った。100ccのガラス製反応器を用いて、一定重合させポリフェニレンエーテルを得た。即ち、微粉状酸化第一銅0.0041g(0.029mmol)と48%臭化水素水0.044g(0.55mmol)をいれ、完全に溶解した後メタノール6.3gを加えた。これに別の容器で調整したN−フェニルエタノールアミン0.075g(0.55mmol:2,6−ジメチルフェノールに対する割合は0.95mol%)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン0.149g(1.15mmol:2,6−ジメチルフェノールに対する割合は2mol%)とメタノール6.3gとからなる液を加えた。その後、トルエン37.8gに溶解した2,6−ジメチルフェノール7.0g(57.3mmol)とn−ブタノール12.6gを加えた。使用した反応溶媒は63gであり、その組成はトルエン:n−ブタノール:メタノールが重量比で60:20:20であった。また、2,6−ジメチルフェノールの濃度は10重量%であり、銅は2,6−ジメチルフェノール1molに対して0.05mol%である。その後反応生成水相当量の水1.0gを添加後、攪拌下、酸素を供給しながら30#Cで反応を3.5時間行った。反応液はスラリーを含む黄白色の液体に変化していた。反応液の5倍容量のメタノールを加え、濾過、洗浄、乾燥させポリフェニレンエーテル粉末を得た。このポリフェニレンエーテルのηsp/c=0.98であった。このポリフェニレンエーテルの分子量をGPCで測定した結果、重量平均分子量が102,200で200,000以上の割合が10.2%であった。このポリフェニレンエーテルを用いてTGAの測定を行った。その結果についても表1に記載する。 【0060】 【表1】
【0061】 【発明の効果】本発明では、従来には製造され得ないような高分子量のポリフェニレンエーテル樹脂を用いることにより、熱的特性が大幅に改善される。このポリフェニレンエーテル樹脂は、樹脂組成物の熱特性の改善に役立つ。また、このポリフェニレンエーテル樹脂は固体触媒をある特定条件で用いることにより容易に製造できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月25日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−60700 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−228145 |
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