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【発明の名称】 懸濁重合法
【発明者】 【氏名】戸塚 博己

【氏名】黒崎 雅有

【氏名】前田 昌宏

【氏名】奥川 克弘

【要約】 【課題】本発明は形成された画像を、加熱により布、曲面を有する被着体等に再転写させることを可能ならしめる懸濁重合粒子の製造に適用できる懸濁重合法を提供することにある。

【解決手段】水性媒質よりなる連続相と、重合性単量体及び昇華性色素を含有する分散相とを、各々独立した槽に保持し、かつそれぞれ独立した経路を通して、両者を制御された比率で連続的に造粒機に供給し、所望の大きさの液滴群を有する懸濁液を得る工程、該液滴群を重合槽に導き重合槽中で重合する工程からなる懸濁重合法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水性媒質よりなる連続相と、重合性単量体及び昇華性色素を含有する分散相とを、各々独立した槽に保持し、かつそれぞれ独立した経路を通して、両者を制御された比率で連続的に造粒機に供給し、所望の大きさの液滴群を有する懸濁液を得る工程、該液滴群を重合槽に導き重合槽中で重合する工程からなることを特徴とする懸濁重合法。
【請求項2】 前記昇華性色素がイエロー、マゼンタ、シアンまたはブラックの少なくとも1色の染料であることを特徴とする請求項1記載の懸濁重合法。
【請求項3】 前記分散相は、昇華性色素を有機溶剤に予め分散して予備分散体を作製した後、該予備分散体を重合性単量体に混合分散することを特徴とする請求項1又は2記載の懸濁重合法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに着色した重合粒子が得られる新規な懸濁重合法に関し、特に記録媒体に形成した画像が他の被着体に熱転写可能な懸濁重合粒子の製造に適した懸濁重合法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、粒子自身が機能を有し、かつ均一な粒子径分布を有する機能性微粒子の重要性が高まりつつある。例えば、間隙保持剤、滑り性保持剤、機能性担体、表面活性を有する単分散粒子、塗料の流動性や艶特性を制御する機能性充填剤等の分野で応用されている。これらの粒子の製造法としては、種々の方法が知られているが、一般には重合法、とりわけ懸濁重合法及び乳化重合法が用いられる。従来より知られている懸濁重合法は重合性単量体組成物、重合開始剤等を含有する分散相を、水性媒質よりなる連続相に加えた後、分散して懸濁させ重合させる。この懸濁重合法により得られる懸濁重合粒子の形状は球体であり、流動性に優れ、製造工程も比較的簡略である。そのため、特公昭36−10231号公報、特公昭47−51830号公報、特開昭57−53756号公報には電子写真用トナーの製造に応用することが提案されている。
【0003】ところで、従来の重合法を利用した電子写真用トナーは黒色を主体としていたが、最近ではイエロー、マゼンタ、シアンの各色を加えたフルカラー方式が提案されている。これら従来の重合法フルカラー電子写真用トナーは、紙やOHP用フィルムからなる記録媒体への画像形成のみを目的としていた。従って、従来のフルカラー重合法トナーは紙、OHP用フィルム以外の材料への転写、あるいは形状が平面でない媒体への転写は不可能であるという問題点があった。このような従来では不可能であった媒体への転写を目的として、電子写真用トナーに昇華性色素を含有させて記録媒体へ画像形成を行った後、前記紙、OHP用フィルム以外の材料、あるいは形状が平面でない媒体へ画像を接触させ、加熱して画像を転写させる方法が考えられている。しかし、かかる方法においては、トナーの製造法で従来の混練粉砕法を採用すると、混練時にトナーの構成材料が150℃以上になり、昇華性色素が昇華しやすく好ましくなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、懸濁重合法を用いることで昇華性色素を重合体に均一に含有することができ、それにより熱転写特性を有する懸濁重合粒子を得ることができる懸濁重合法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記問題に鑑み鋭意検討した結果、本発明の懸濁重合法を完成させるに至った。即ち、本発明は、水性媒質よりなる連続相と、重合性単量体及び昇華性色素を含有する分散相とを、各々独立した槽に保持し、かつそれぞれ独立した経路を通して、両者を制御された比率で連続的に造粒機に供給し、所望の大きさの液滴群を有する懸濁液を得る工程、該液滴群を重合槽に導き重合槽中で重合する工程からなる前記懸濁重合法であり、粒子形状、平均粒子径及び粒子径分布の制御、媒体への画像形成性、媒体から被着体への加熱転写性に優れた粒子を得ることができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】本発明の懸濁重合法は、水性媒質よりなる連続相と、重合性単量体及び昇華性色素を含有する分散相とを、各々独立した槽に保持し、かつそれぞれ独立した経路を通して、両者を制御された比率で連続的に造粒機に供給し、所望の大きさの液滴群を有する懸濁液を得る工程、該液滴群を重合槽に導き重合槽中で重合する工程からなることを特徴とする。本発明において、前記分散相は昇華性色素を有機溶剤に予め分散させて予備分散体を作製した後、該予備分散体を重合性単量体に混合分散することで画像特性及び熱転写性が良好になるため好ましい。また、重合後には、該重合粒子を連続相から分離し洗浄、乾燥させる工程を行うことが好ましい。前記製造方法を図1及び図2を参照して説明する。まず、図1に示すように水性媒質よりなる連続相を入れた連続相槽1と、重合性単量体及び昇華性色素を含有する分散相を入れた分散相槽2とを、それぞれ定量ポンプ4、4を介して造粒機5に一定比率で連続的に導入し、ここで剪断力を与えて懸濁液を形成した後、重合槽3に導きここで必要な加熱を行って重合反応を完結させ、本発明の懸濁重合粒子を製造する。ここで加熱は、例えば重合槽3の周囲に設けた加熱用ジャケット7により行うことができる。次に、造粒機5の一例を図2に示す。造粒機5には分散相供給口14と連続相供給口13を有し、両液は両供給口から剪断領域11に入る。この剪断領域11には回転軸8により回転翼10が固定されている。回転翼10は回転軸8により回転し、剪断領域11内で剪断力により懸濁液を生成する。この剪断領域11端縁部には排出規制用間隙12が設けられており、この間隙を通過した懸濁液が懸濁液吐出口9から重合槽3に導かれるようになっている。
【0007】本発明の製造方法に使用する分散相は、少なくとも重合性単量体及び昇華性色素からなり、好ましくは重合開始剤を含有する。また、必要に応じて昇華性色素以外の着色剤、帯電制御剤、離型剤等を含有する。これらの添加剤は分散相中に充分に分散した状態が好ましい。例えば、トナーとして昇華性色素等が分散不充分であると、カブリ、トナー飛散による複写機内汚染が発生する。充分に分散させるためには、分散助剤を用いる手法又はマスターバッチ等の予備分散手法がある。分散助剤としては、チタネート系あるいはアルミニウム系カップリング剤等の顔料分散助剤が使用できる。予備分散手法は分散機による因子も大きく寄与する。例えば、湿式でガラス等の分散媒体を用いたメディア型分散機を用いる方法、具体的にはペイントシェーカー、アトライター、ダイノミル等の分散機は、分散性を向上させるので好ましい。
【0008】本発明の懸濁重合法に用いられる重合性単量体は、ラジカル重合性を有し連続相に相溶しないものであれば使用できる。例えば、下記の重合性単量体を好ましく用いることができる。具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、等の有機酸ビニルエステル類;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸及びその誘導体;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸及びその誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の重合性単量体を挙げることができ、目的に応じて単量体単独または混合物として使用すればよい。例えば、電子写真用トナーとして用いる場合には、上記重合性単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独あるいはメタクリル酸及びその誘導体や、アクリル酸及びその誘導体と混合して用いることが、重合トナーの現像特性および耐久性を高める点で好ましい。
【0009】次に、本発明の懸濁重合法に用いられる昇華性色素は、転写捺染等に使用される昇華性を有する色素であればよく、特にフルカラー発色させるためにイエロー、マゼンタ、シアン又はブラックの少なくとも1色の昇華性色素が好ましい。該昇華性色素は分散型染料が好ましく使用され、構造的にはアゾ系染料、ニトロ系染料、キノフタロン系染料、クマリン系染料、メチン系染料、アントラキノン系染料、ナフトキノン系染料等の転写捺染用染料の他、スチリル系色素、ピリドン系アゾ色素、チアゾール系アゾ色素、チアジアゾール系アゾ色素、ナフトキノン系色素、複素環系アゾ色素、インドアニリン系色素等が昇華性、着色力、色再現性に優れ、フルカラー画像に好適である。具体的には、色素の商品名で、PSYellow GG(三井化学社製)、Kayaset Yellow A−G、Kayaset Red B、Kayaset Blue 714(いずれも日本化薬社製)、TS Turq Blue 618(住友化学社製)、PTB31(三菱化学社製)等が本発明に適用される。また、前記色素の予備分散に用いる有機溶剤は、前記重合性単量体に混和するものが好ましい。中でも、アルコール系有機溶剤は昇華性色素の分散性、重合性単量体への混和性が優れているため好ましい。なお、重合性単量体を有機溶剤として予備分散に用いてもよい。
【0010】また、本発明に使用する分散相には重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤は、重合性単量体に可溶であることが好ましい。このような重合開始剤としては、2,2’−アゾビスバレロニトリル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、その他のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキシカーボネート、その他の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。しかし、ベンゾイルパーオキサイド系の重合開始剤等は、分解し安息香酸のようなカルボン酸を副生するためトナーの保存性などに悪影響を及ぼす恐れがあり、また、芳香臭が発生する等の問題を有するため、アゾ系の重合開始剤を用いることが好ましい。本発明においては、分子量および分子量分布を制御する目的で、または反応時間を制御する目的で、上記のような重合開始剤の二種以上を種々の組成に組み合わせて用いることが好ましい。また、更に、必要に応じて過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の水溶性重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、重合性単量体100重量部に対して通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。重合開始剤が0.1重量部未満では、重合時間が長時間に及ぶこと、重合トナーの分子量が高くなりすぎる問題がある。また、重合開始剤が20重量部を越えると、重合トナーの分子量が低くなりすぎる問題があるため好ましくない。更に、分散相には必要に応じて、耐ブロッキング性、耐久性改善のため、前記重合性単量体の重合体に対する架橋剤を添加してもよい。具体的には、ジビニルベンゼン等の架橋剤を分散相に添加することができる。
【0011】また、本発明の懸濁重合法で電子写真用トナーを製造する場合には帯電制御剤を分散相に含有させることが好ましい。特に淡色または無色の帯電制御剤は、色調に影響を与えないので好ましい。具体的には、下記に示す商品名の帯電制御剤が本発明に適用される。ボントロンE−81、E−84、E−89(いずれもオリエント化学社製)、TP−415、TN−105(いずれも保土谷化学社製)、NEG−2036、NX−434(いずれもクラリアント社製)等があり、さらに樹脂系帯電制御剤FCA−201(藤倉化成社製)等も本発明に好ましく使用される。また、必要に応じてその他の着色剤、離型剤等を分散相に含有させることができる。これらは、フルカラー用トナーとして使用するときに発色に影響を及ぼさないもので鮮明かつ経時安定性にすぐれた色彩を呈するものが好ましい。このような着色剤として、フタロシアニン系顔料、ローダフミンレーキ顔料、アゾレーキ顔料等が好ましく、酸化鉄、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム等も使用できる。離型剤も発色に影響を及ぼさないもので透明性の高いものが好ましい。
【0012】本発明を構成する連続相は、水性媒質であり、親水性媒体と、懸濁安定剤を含有させることが好ましい。上記親水性媒体として、具体的には水、イオン交換水等の純水が例示できる。また、上記懸濁安定剤としては、その分子中に親水性基と疎水性基を有する水溶性ポリマーが多く用いられている。懸濁安定剤は親水性基として水酸基、カルボキシル基、スルホン基等の極性基で、疎水性基として脂肪族及び芳香族等の無極性基で構成され、造粒工程で形成された分散相組成物粒子の合一を防ぎ、安定化させる機能を有している。このような懸濁安定剤は、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルハイドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸及びそれらの塩等が用いられている。そのほかにも、第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、銅や鉄等の金属微粉末、シリカ、アルミナ等の固体微粉末が用いられる。懸濁安定剤の連続相中の添加量は、連続相中の親水性媒体100重量部に対して0.5〜20重量部が好ましい。0.5重量部より少ないと10μm以下の小粒径の重合粒子が得られにくい。一方、20重量部より多いと連続相の粘度が上がり小粒径の重合粒子が得られにくく、かつ均一な粒径の重合粒子が得られにくい。このような懸濁安定剤は、分散相中の重合性単量体および着色剤等からなる単量体組成物の表面に付着し、該単量体組成物を均一な粒子にする作用を有すると共に、電荷制御剤を単量体組成物からなる粒子の表面に付着させる作用を有する。 なお、第三リン酸カルシウム及び炭酸カルシウムからなる懸濁安定剤は、連続相中において、重合粒子を得た後、酸及び純水で洗浄し、重合粒子表面より除去することが好ましい。また、分散相に懸濁された単量体組成物を安定化させ均一な重合粒子を得るため、懸濁助剤を用いることが好ましい。具体的な懸濁助剤としてドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の界面活性剤を連続相に添加することが好ましい。懸濁助剤の添加量は、連続相100重量部に対して、0.005〜0.05重量部が好ましい。
【0013】本発明の懸濁重合法により得られる粒子は球状を有するものであるが、良好な流動性及び耐ブロッキング性を維持するために、ガラス転移温度は40℃以上で、所望の平均粒子径およびシャープな粒子径分布を有するよう重合性単量体の選択及び重合等の製造条件を設定することが好ましい。所望の平均粒子径はその用途によって異なるが、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは3〜30μm、電子写真用トナーとして使用する場合には5〜15μmが好ましい。ガラス転移温度が40℃未満では、保管時に粒子が凝集する問題が発生する。さらに、電子写真用トナーとして使用する場合は、ガラス転移温度は50℃以上が好ましく、より好ましくは55〜80℃である。50℃未満では現像機内部で凝集しやすいため好ましくない。また、電子写真用トナーとして使用する場合には、該懸濁重合粒子の表面にシリカ等の外添剤を付着させてもよい。
【0014】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
<予備分散体の調製>予備分散体(A):イソプロピルアルコール2000g、昇華性色素商品名PSYellow GG(三井化学社製)400g、分散助剤商品名ソルスパーズ20000(ゼネカ社製)70gを混合した後、ダイノミル(分散媒体にガラスメディア使用)に投入して30分間撹拌、分散させてイエローの予備分散体(A)を得た。予備分散体(B):昇華性色素商品名PS Yellow GG(三井化学社製)を商品名カヤセットイエローA−G(日本化薬社製)に代え、分散助剤商品名ソルスパーズ20000(ゼネカ社製)70gを37gに代えた以外は予備分散体(A)の調製と同様にしてイエローの予備分散体(B)を得た。予備分散体(C):昇華性色素商品名PS Yellow GG(三井化学社製)400gを商品名カヤセットレッドB(日本化薬社製)500gに代え、分散助剤商品名ソルスパーズ20000(ゼネカ社製)70gを120gに代えた以外は予備分散体(A)の調製と同様にしてマゼンタの予備分散体(C)を得た。予備分散体(D):昇華性色素商品名PS Yellow GG(三井化学社製)を商品名カヤセットブルー714(日本化薬社製)に代え、分散助剤商品名ソルスパーズ20000(ゼネカ社製)70gを90gに代えた以外は予備分散体(A)の調製と同様にしてシアンの予備分散体(D)を得た。
【0015】実施例1<連続相の調製>ポリビニルアルコール(東京化成社製、重合度約2000、ケン化度約80%)を水に対して1%、硫酸ナトリウムを水に対して3%になるよう調製し、図1に示す連続相槽1を保持した。
<分散相の調製>スチレン2000g及びアクリル酸n−ブチル500gからなる重合性単量体に対して、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル7.5gを溶解させた混合液に、前記予備分散体(A)1235gを混合し、更に無色のクロム錯塩型帯電制御剤商品名ボントロンE−81(オリエント化学社製)を50gを混合し、超音波分散機を用い30分間分散させて得た分散相を図1の分散相槽2に保持した。
<懸濁液及び重合体粒子の作製>上記分散相を100ml/分、連続相を400ml/分の流量で造粒5機に供給した。該造粒機は直径50mmの回転軸を有するものを使用し、10000rpmの条件で前記分散相と連続相との混合液を撹拌した。次いで造粒機を通過した懸濁液を300rpmのタービン型撹拌翼(撹拌翼直径15cm)で撹拌しながら重合槽3に導いた。重合槽では50℃で8時間反応させた。重合を終了させた後、重合体粒子を遠心脱水機により分離し、充分に洗浄・乾燥させた後、平均粒子径が9.0μmでガラス転移温度が60℃の本発明の懸濁重合法による球形の重合体粒子を得た。
【0016】実施例2予備分散体(A)の代わりに予備分散体(B)を用いた以外は実施例1と同様にして平均粒子径が9.1μmの本発明の懸濁重合法による球形の重合体粒子を得た。
【0017】実施例3予備分散体(A)1235gを予備分散体(C)1310gに代えた以外は実施例1と同様にして平均粒子径が9.2μmの本発明の懸濁重合法による球形の重合体粒子を得た。
【0018】実施例4予備分散体(A)1235gを予備分散体(D)1245gに代えた以外は実施例1と同様にして平均粒子径が8.9μmの本発明の懸濁重合法による球形の重合体粒子を得た。
【0019】実施例5予備分散体(A)1235gを247gに代え、さらに分散相中に予備分散体(C)314g及び予備分散体(D)623gを追加添加した以外は実施例1と同様にして平均粒子径が9.0μmの本発明の懸濁重合法による球形の重合体粒子を得た。
【0020】比較例1実施例1において、予備分散体A及び無色の帯電制御剤を使用しない以外は同様にして重合体粒子を得た。しかる後、該重合体粒子2500g、昇華性色素商品名PS YellowGG(三井化学社製)200g、無色のクロム錯塩型帯電制御剤商品名ボントロンE−81(オリエント化学工業社製)50gをヘンシェルミキサーに投入し、2分間混合した後、エクストルーダーで混練した。この混練物の吐出口における温度は140℃であった。得られた混練物をジェットミル及び気流式分級機で粉砕、分級して平均粒子径が9.2μmで形状が不定型である比較用の粒子を得た。
【0021】比較例2<連続相の調製>重合槽にポリビニルアルコール(東京化成社製、重合度約2000、ケン化度約80%)を水に対して1%、硫酸ナトリウムを水に対して3%になるよう連続相を調製した。
<分散相の調製>スチレン2000g及びアクリル酸n−ブチル500gからなる重合性単量体に対して、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル7.5gを溶解させた混合液に、予備分散体(A)1235g、更に無色のクロム錯塩型帯電制御剤商品名ボントロンE−81(オリエント化学社製)を50gを混合し、超音波分散機を用い30分間分散させて分散相を調製した。
<懸濁液及び重合体粒子の作製>上記分散相を100ml/分の流量で重合槽に供給し、10000rpmの条件で前記分散相と連続相との混合液を撹拌し懸濁液を生成した後、該懸濁液を50℃で8時間反応させた。重合を終了させた後、重合体粒子を遠心脱水機により分離し、充分に洗浄・乾燥させた後、平均粒子径が15μmでガラス転移温度が60℃の比較用の重合体粒子を得た。
【0022】なお、平均粒子径はコールターカウンターTA−II(アパーチャー径100μm)で、ガラス転移温度は示差走査熱量計で昇温10℃/分、急冷を繰り返して測定し、2回目のミッドポイント値である。また、得られた粒子の粒子径分布を評価した。実施例1〜5及び比較例1で得られたの粒子は単分散のシャープな粒子径分布であったが、比較例2で得られた粒子は平均粒子径が大きい上に、32μm以上の粗大粉が実施例1〜5に比べて多く、広い粒子径分布であった。
【0023】実施例1〜5及び比較例1、2で得られた重合体粒子または粉砕粒子1000gに対して5gの疎水性シリカ商品名H2000/4(ワッカーケミカル社製)をヘンシェルミキサーで2分間混合して電子写真用トナーを作製した。該電子写真用トナー5部とノンコートフェライトキャリア商品名F−200(パウダーテック社製)95部とをV型混合機で60rpm、30分間混合して2成分現像剤を作製した。得られた現像剤を用いて電子写真複写機Z−133(三洋電機社製)で上質紙に画像を形成した。得られた画像の濃度を反射型濃度計RD−914(マクベス社製)で、画像の色に適したフィルターを通して測定した。カブリは非画像部の白色度を色差計ZE−2000(日本電色工業社製)で測定し、撮像前後の差をカブリ値とした。また、画像の鮮明度を目視により評価した。○印は実用上問題のない良好な鮮明度を有するものであり、×印は鮮明度に不満のあるものを示す。これらの得られた結果を表1に示した。実施例1〜5は1.3以上の画像濃度、0.4以下のカブリが測定され、鮮明度共に良好な画像であった。比較例1のトナーを用いた画像は高精細な画像であったが、画像濃度が低く、カブリが高めであった。比較例2の画像は画像濃度及びカブリは実用上問題ない程度であるが、鮮明度が劣り不満を有する画像であった。
【0024】次いで前記定着画像面と白色のアクリルコート鋼板とを重ね合わせ、紙の背面(非画像面)から家庭用アイロンを用いて加熱した。しかる後上質紙を剥がし、アクリルコート鋼板表面に転写した画像濃度、カブリ及び鮮明度を測定し、表1に示した。その結果、実施例1〜5は1.3以上の画像濃度と0.4以下のカブリ値が測定され、良好な画像が得られた。比較例1は鮮明度は良好であるが、画像濃度が低いうえカブリは1以上と高かった。比較例2は画像濃度及びカブリは実用上問題ないレベルであったが、鮮明度に不満を有する画像であった。
【0025】
【表1】

【0026】さらに白色のポリエステル布を準備し、布と画像面とを重ね合わせ、上質紙の背面から家庭用アイロンを用いて加熱した後、上質紙を剥がすと実施例1〜5の画像は鮮明にポリエステル布に転写した。本発明の懸濁重合法により得られた重合体粒子を電子写真用トナーに応用した場合、熱転写特性に優れた電子写真用トナーが得られることが改めて認められた。
【0027】
【発明の効果】本発明の懸濁重合法によれば、昇華性色素を内包させても比較的低温でシャープな粒子径分布を有する粒子を得ることができるため、電子写真用トナーとして使用した場合、紙等の記録媒体に形成された画像が非着体に鮮明に熱転写できる効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川製紙所
【出願日】 平成10年(1998)5月15日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−322813
【公開日】 平成11年(1999)11月26日
【出願番号】 特願平10−152120