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【発明の名称】 ゴム状共重合体ラテックスの製造方法および熱可塑性樹脂
【発明者】 【氏名】井伊 康明

【氏名】金子 学

【要約】 【課題】耐腐敗性で生産性に優れ、かつ耐衝撃性改質能力に優れたゴム状共重合体ラテックスの製造方法を開発する。

【解決手段】ジエン系単量体50〜99重量部とこれと共重合可能な芳香族ビニル系単量体1〜50重量部からなる単量体(合計100重量部)を、レドックス開始剤系の二次還元剤にフォルムアルデヒドスルフォキシレート塩を用いてなる重合開始剤を使用して重合温度72℃未満で重合し、重合転化率が10〜70%に達した時点でメルカプタン系化合物0.01〜1.0重量部を添加して重合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ジエン系単量体50〜99重量部とこれと共重合可能な芳香族ビニル系単量体1〜50重量部からなる単量体(合計100重量部)を、レドックス開始剤系の二次還元剤にフォルムアルデヒドスルフォキシレート塩を用いてなる重合開始剤を使用して重合温度72℃未満で重合し、重合転化率が10〜70%に達した時点でメルカプタン系化合物0.01〜1.0重量部を添加し重合することを特徴とするゴム状共重合体ラテックスの製造方法。
【請求項2】 請求項1で得られたゴム状共重合体ラテックスをそのままあるいはそのゴム状共重合体ラテックスの粒子径を肥大化し、それの存在下にシアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を必須成分として含む単量体混合物を重合して得られるグラフト共重合体からなる熱可塑性樹脂。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐腐敗性、生産性に優れたゴム状共重合体ラテックスの製造方法ならびにそのゴム状共重合体ラテックスを用いて得られる耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】耐衝撃性の優れた熱可塑性樹脂は種々使用されているが、成形加工性や成形外観が重要とされている用途には、そのバランスに優れた熱可塑性樹脂としてABS樹脂が広く使用されている。しかしながら、近年要求性能が厳しくなり用途によってはABS樹脂でもその耐衝撃性が不足し、その改良が求められる。
【0003】ABS樹脂は、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)にゴム成分を耐衝撃性改良剤として加えたものであり、マトリクス樹脂であるAS樹脂とゴム成分にAS成分をグラフト共重合させたグラフト共重合体から構成される。
【0004】ABS樹脂の耐衝撃性を改良するためには、マトリクス樹脂であるAS共重合体の分子量を大きくするという手法があるが、この手法では、ABS樹脂の流動性、すなわち成形加工性が低下する。また、グラフト共重合体の配合量を多くすれば耐衝撃性は向上するが、硬度あるいは弾性率が下り、流動性および耐熱性も低下する。このように他の性能とのバランスを保つためには、AS共重合体の種類の変更やグラフト共重合体の配合量の変更には限界があり、したがって、耐衝撃性を向上させるためには、グラフト共重合体の耐衝撃性改良剤としての性能向上が必要となる。また、もう一つ広い領域であるポリマーアロイ樹脂組成物においてもグラフト共重合体の耐衝撃改良剤としての性能向上が重要である。
【0005】グラフト共重合体成分に主眼をおくと、ABS樹脂の耐衝撃性は主にその構成するゴム成分に依存する。耐衝撃性に対しグラフト共重合体のゴム成分の粒子径が影響を及ぼすことは良く知られており、アイゾット衝撃強度に関しては、ゴム成分の重量平均粒子径がおよそ0.25〜0.30μmの範囲にアイゾット衝撃強度の極大値が存在する。このような粒子径のゴム成分、すなわちゴム状重合体を乳化重合において重合中に生成させ得ようとすると非常に長い重合時間を必要とし生産性が悪い。
【0006】この生産性の悪さを解決するために比較的小さなゴム状重合体を短時間で乳化重合し、これを何らかの方法で肥大化し所望の粒子径を得る方法が特公平4−79366号公報、特開昭59−93701号公報、特開昭56−167704号公報等に開示されている。しかし、このような方法では、ゴム状重合体を重合する上で短時間で重合を終了させるために、例えば8時間以内に重合を完結しようとすると、約50℃以上の比較的高温での重合となり重合終期にゴム状重合体の架橋が過度にかかりやすくなり、ABS樹脂にしたときの耐衝撃性が低下するという問題を有している。
【0007】また、小粒子径のゴム状重合体を短時間の乳化重合で得る上で重合温度と重合時間のバランスを考えると、レドックス開始剤系乳化重合が望ましく、そのなかで二次還元剤としてデキストロース等の糖を用いたレドックス開始剤系が重合速度が速い。しかしながら、含糖レドックス開始剤系重合法で得られたゴムラテックスは、ABS樹脂用ゴムラテックスに限らず、生産を行う上でそれを保存中、腐敗するという問題を有している。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した如き状況を鑑み、耐腐敗性に優れ、かつ耐衝撃性改質能力に優れたゴム状重合体ラテックスを生産性良く製造する方法について鋭意検討を進めた結果、本発明に至った。
【0009】すなわち本発明は、ジエン系単量体50〜99重量部とこれと共重合可能な芳香族ビニル系単量体1〜50重量部からなる単量体(合計100重量部)を、レドックス開始剤系の二次還元剤にフォルムアルデヒドスルフォキシレート塩を用いてなる重合開始剤を使用して重合温度72℃未満で重合し、重合転化率が10〜70%に達した時点でメルカプタン系化合物0.01〜1.0重量部を添加し重合することを特徴とするゴム状共重合体ラテックスの製造方法、および該方法で得られたゴム状共重合体ラテックスをそのままあるいはそのゴム状共重合体ラテックスの粒子径を肥大化し、それの存在下に、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を必須成分として含む単量体混合物を重合して得られるグラフト共重合体からなる熱可塑性樹脂にある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明においてゴム状共重合体ラテックスの製造に用いる単量体は、ジエン系単量体とこれと共重合可能な芳香族ビニル系単量体とからなる単量体混合物である。
【0011】ジエン系単量体の例としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族ジエン系単量体が挙げられ、耐衝撃性の面から1,3−ブタジエンの使用が好ましい。
【0012】ジエン系単量体と共重合可能な芳香族ビニル系単量体は、ゴム状共重合体の架橋を抑制し、また重合速度を速め生産性を向上させるために用いられる。それの例として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のビニルトルエン類、p−クロルスチレン等のハロゲン化スチレン類、p−t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルナフタレン類等が挙げられ、好ましくはスチレンである。
【0013】ゴム状共重合体ラテックスを製造するのに使用されるジエン系単量体と共重合可能な芳香族ビニル系単量体との使用割合は、ジエン系単量体50〜99重量部に対し、共重合可能な芳香族ビニル系単量体1〜50重量部(合計100重量部)の範囲である。ジエン単量体の使用量が50重量部未満では、ゴム状共重合体の耐衝撃性改質能力が低下し、一方、芳香族ビニル系単量体の使用量が1重量部未満では、ゴム状共重合体の耐衝撃性改質能力が低下するようになる。
【0014】本発明のゴム状共重合体ラテックスは、乳化重合によって製造されるが、この場合、ジエン系単量体と共重合可能な芳香族ビニル系単量体の混合物を添加する方法としては、特に限定されず、重合開始前に全量仕込む寸法、2回以上に分割して添加する方法、一部または全量を連続的または断続的に添加する方法などが挙げられる。
【0015】また、重合に使用される水の添加方法についても特に限定されず、重合開始前に全量仕込む方法、二回以上に分割して重合前および重合中に仕込む方法、一部あるいは全量を重合中連続的に仕込む方法などが挙げられる。
【0016】ゴム状共重合体ラテックスの製造に際して、用いられる乳化剤としては、不均化ロジン酸カリウム、不均化ロジン酸ナトリウム等のロジン酸塩、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム等のn−アシルアミノ酸塩、オレイルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩等が挙げられる。これら乳化剤は一種でまたは二種以上併用することができる。
【0017】ゴム状共重合体ラテックスの製造に使用される重合開始剤としては、ラジカル発生剤としてクメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイドが、酸化剤として鉄イオン、銅イオン等の金属イオンおよびその安定剤としてピロリン酸塩やEDTA(エチレンジアミン4酢酸)塩が、二次還元剤としてフォルムアルデヒドスルフォキシレート塩が用いられる。これらの使用量は、特に制限はないが目的に応じて適切な量を使用するのが望ましい。また、目的に応じて、他のラジカル発生剤を併用することができる。
【0018】本発明のゴム状共重合体ラテックスの製造において使用される二次還元剤であるホルムアルデヒドスルホキシレート塩は、水溶性であることが重要である。工業化されている水溶性化合物としては、ナトリウム塩二水和物があり、これの使用が好ましい。
【0019】本発明において、レドックス開始剤系の二次還元剤にフォルムアルデヒドスルホキシレート塩を用いず、例えばデキストロースを用いた場合、得られるゴム状共重合体ラテックスは腐敗しやすく好ましくない。また、重合開始剤として、過硫酸カリウムを用いた場合、得られるゴム状共重合体ラテックスは、デキストロース系ラテックスより腐敗の進行は遅いものの、フォルムアルデヒドスルホキシレート塩系ラテックスよりも腐敗性に劣り、また、ラテックス重合時の重合速度が遅いので生産が悪く好ましくない。また、他の方法で重合速度を速くし、レドックス式重合法と同等の重合速度にすると得られるゴム状共重合体の耐衝撃性改質能力が低下する。
【0020】ゴム状共重合体ラテックスを得るための重合温度は72℃未満であることが重要である。これは、重合温度が高くなると得られるゴム状共重合体の耐衝撃性改質能力が低下する傾向にあるためである。好ましくは68℃未満である。
【0021】また、本発明のゴム状共重合体ラテックスは、上記の単量体、乳化剤、重合開始剤を用いて乳化重合することにより製造されるが、重合転化率が10〜70%に達した時点において、メルカプタン系化合物を添加することが重要である。
【0022】添加することのできるメルカプタン系化合物の具体例としては、例えばn−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等が挙げられるが、好ましくはn−ドデシルメルカプタンである。その添加回数には特に制限はない。また、これは公知の乳化重合法にみられる分子量調整のための重合開始時に使用されるメルカプタン等の連鎖移動剤の使用を制限するものではない。
【0023】メルカプタン系化合物の添加量は、単量体混合物100重量部に対して0.01〜1.0重量部の範囲である。これは、メルカプタン系化合物の添加量が0.01重量部未満あるいは1.0重量部を超えると得られるゴム状共重合体の耐衝撃性改質能力が低下するためである。
【0024】メルカプタン系化合物の添加は、上記の単量体混合物の重合転化率が10〜70%、好ましくは20〜60%に達した時点において添加されるが、添加する際の重合転化率が10%未満または70%を超える場合には、得られるゴム状共重合体の耐衝撃性改質能力が低下する。
【0025】次に、本発明の熱可塑性樹脂は、上記のようにして得られたゴム状共重合体ラテックスの存在下に、単量体混合物を重合して得られるグラフト共重合体より構成される。
【0026】本発明におけるグラフト共重合体は、公知の重合方法によって製造することが可能である。例えば、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合あるいはこれら二種以上の組み合わせが使用できるが、ゴム状共重合体が乳化重合で製造されることから乳化重合が最適である。例えば、乳化重合で得られた前記ゴム状共重合体ラテックスに単量体混合物を添加し、公知の方法でグラフト重合される。
【0027】グラフト重合に使用される単量体混合物は、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を必須成分とし、これに必要に応じて不飽和カルボン酸エステル系単量体、不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和ジカルボン酸イミド化合物よりなる群から選ばれた一種以上の単量体を加えた単量体混合物である。
【0028】グラフト重合に使用されるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が使用できるが、アクリロニトリルの使用が好適である。
【0029】シアン化ビニル系単量体の使用量は、グラフト重合される単量体混合物中、5〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜30重量%である。5重量%未満では樹脂の耐衝撃性が低く、また50重量%を超える場合には得られる樹脂の流動性が低下する傾向がある。
【0030】グラフト重合に使用される芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のビニルトルエン類、p−クロルスチレン等のハロゲン化スチレン類、p−t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルナフタレン類等が使用でき、原料としてはスチレンまたはα−メチルスチレンが好ましい。これら、ビニル系単量体は、一種または二種以上を併用することもできる。
【0031】芳香族ビニル系単量体の使用量は、グラフトされる単量体混合物中、50〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは70〜95重量%である。70重量%未満では樹脂の流動性が低下し、また、95重量%を超えると樹脂の耐衝撃性が低下する傾向がある。
【0032】グラフト重合に用いることのできる不飽和カルボン酸エステル系単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられる。
【0033】また、グラフト重合に用いることのできる不飽和ジカルボン酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。好ましくは無水マレイン酸である。
【0034】さらに、不飽和ジカルボン酸のイミド化合物としては、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。好ましくはN−フェニルマレイミドである。
【0035】これらの他の共重合可能な単量体の使用量は、グラフト重合に用いられる単量体混合物中、0〜40重量%の範囲であり、その使用量が40重量%を超えると樹脂の耐衝撃性が低下する傾向がある。
【0036】なお、本発明においては、さらに必要に応じてグリシジルメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等の他の単量体を40重量%以下、好ましくは30重量%以下の量を単量体混合物中に併用することも可能である。
【0037】グラフト重合体を得るのに用いられるゴム状共重合体ラテックスにおけるゴムの粒子径およびその分布には特に制限はなく、得られたゴム状共重合体ラテックスをそのままあるいは粒子径の異なる二種以上のゴム状共重合体ラテックスを併用してグラフト共重合体を製造してもよい。また、同様に得られたゴム状共重合体ラテックスを何らかの方法で肥大化し使用することも、重量平均粒子径の異なる肥大化ゴム状共重合ラテックスを2種以上併用してグラフト共重合体を製造してもよい。
【0038】ゴム状共重合体粒子径の肥大化処理としては公知の方法が使用でき、例えば、ゴム状共重合体を撹拌等による剪断応力によって肥大化する方法、酸を添加して肥大化する方法、酸基を含有する共重合体ラテックスを添加して肥大化する方法等が利用できる。
【0039】ゴム状共重合体の粒子径は、耐衝撃性の点から0.1〜3μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.2〜0.4μmである。
【0040】ゴム状共重合体にグラフトさせる単量体混合物の割合は、ゴム状共重合体10〜80重量部に対して、単量体混合物20〜90重量部の範囲が好ましく、より好ましくはゴム状共重合体30〜70重量部に対して、単量体混合物30〜70重量部(合計100重量部)の範囲である。これはゴム状共重合体の量が10重量部未満では得られる樹脂の耐衝撃性が低下するようになり、また、80重量部を超える場合にはゴム状共重合体へのグラフト率が低下し、得られる樹脂中へのゴム状重合体の量を多くしても耐衝撃性および光沢が低下するようになるためである。
【0041】ゴム状共重合体にグラフト重合させる場合、単量体混合物は一度に加えてもよく、また分割添加を行ったり、連続滴下を行ったり、各モノマーを個々に段階的に滴下しても良く、特にその添加方法には制限はない。
【0042】このグラフト重合に際しては、通常公知の乳化剤、分散剤、溶剤、触媒及び開始剤が使用され、その種類や添加量、添加方法については特に制限はない。
【0043】乳化重合法でグラフト重合して得られたグラフト共重合体は、通常のラテックスからのポリマー回収方法である酸または塩による凝固、乾燥工程により粉末状の固体として回収することができる。
【0044】本発明によって得られるグラフト共重合体は、熱可塑性樹脂として、単独でも使用することができるが、目的に応じて他の熱可塑性樹脂を配合して使用することができる。配合することのできる他の熱可塑性樹脂としては、例えばポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−スチレン−マレイミド系化合物の三元共重合体、メチルメタクリレート−スチレン−マレイミド系化合物の三元共重合体、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン−マレイミド系化合物の四元共重合体、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は一種または二種以上配合することができる。
【0045】本発明の熱可塑性樹脂には、必要に応じて適当な安定剤(例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤等を添加してもよいし、さらにガラス繊維、ガラスパウダー、炭素繊維、無機フィラー等の如き補強用充填材も添加することができる。
【0046】また、必要に応じABS樹脂、AAS(アクリロニトリル−アクリル−スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル−エチレン−スチレン)樹脂、ASS(アクリロニトリル−シリコーン−スチレン)樹脂、シリコーン系モディファイヤー等も添加することができる。
【0047】これらの混合にはヘンシェルミキサーやバンバリーミキサー、押出機、加熱ロール等の装置が用いられ、また、さらに射出成形や押出成形等様々な成形方法で有用な成形品を得ることができる。
【0048】本発明の熱可塑性樹脂は、コンピューター、プリンター、コピー機等のOA機器の構造体部品や機構部品、テレビ、ビデオデッキ、ステレオデッキ、ビデオカメラ等のAV機器の構造体部品や機構部品、車両の電装部品や内装/外装部品の構造体部品や機構部品、照明機器の構造体部品や機構部品、冷蔵庫、洗濯機、電子(オーブン)レンジ、炊飯器、ポット、掃除機、エアコン室内/室外機等の家庭電化製品の構造体部品や機構部品に用いられる。
【0049】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明を具体的に説明する。下記の実施例および比較例はさらに具体的に説明するためのものであり、以下の例に限定されるものではない。以下の実施例および比較例中、%および部は明記しない限りは、重量基準とする。また、以下の実施例および比較例中での、各種物性の測定は以下の方法により測定した。
【0050】(1)ゴム状重合体の粒子径透過型電子顕微鏡を用いて、重量平均粒子径を求めた。
【0051】(2)アイゾット衝撃強度ASTM D256に準拠して測定した。
【0052】(3)メルトフローレートJIS K7210に従い、温度200℃、荷重5kgの条件で測定し、10分間あたりの流出g数で表示した。
【0053】(4)耐腐敗性5リットルの容器にゴム状重合体ラテックスを4kg入れ開放にて室外に放置し、1週間毎に試料を採集して細菌の繁殖数(コロニー数)を目視で数え、下記の基準で耐腐敗性を評価した。
(単位:菌数(個)/ラテックス容量(ml))
○:菌数0個腐敗せず×:菌数103 個以上腐敗【0054】(5)表面光沢ASTM D523に準拠して測定した。
【0055】[実施例1]
(1)ゴム状重合体ラテックス(A−1)の製造10リットルのステンレス製オートクレーブに、脱イオン水(以後、単に水と略記)150部、ロジン酸カリウム1部、オレイン酸カリウム1部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物0.4部、硫酸ナトリウム0.1部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.5部、1,3−ブタジエン26.2部およびスチレン1.4部を仕込み57℃に昇温した。昇温途中ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄七水塩0.003部を添加し重合を開始した。重合温度57℃で1,3−ブタジエン68.8部およびスチレン3.6部からなる単量体を連続滴下した。次いで、重合転化率が40%に達した時点でn−ドデシルメルカプタン0.3部添加し、さらに重合を継続した。8時間後残存1,3−ブタジエンを除去し、固形分が40.2%、重合転化率が97%、重量平均粒子径が0.07μmおよびpHが10.0であるゴム状共重合体ラテックス(A−1)を得た。表1に得られたゴム状共重合体ラテックス(A−1)についての耐腐敗性の評価結果を示した。
【0056】(2)酸基含有共重合体ラテックス(B−1)の製造5リットルガラス製反応器に、水200部、オレイン酸カリウム2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム2.3部およびナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物0.3部を仕込み、60℃に昇温し、その時点から、アクリル酸n−ブチル86部、メタクリル酸14部およびクメンハイドロパーオキシド0.5部からなる混合物を120分かけて連続的に滴下した。さらに、その後2時間熟成を行い、固形分が33.0%、重合転化率が99%および重量平均粒子径が0.08μmである酸基含有共重合体ラテックス(B−1)を得た。
【0057】(3)肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)の製造5リットルガラス製反応器に、上記ゴム状共重合体ラテックス(A−1)248.8部(固形分として100部)を入れ、次いで撹拌下で上記の酸基含有共重合体ラテックス(B−1)6.1部(固形分として2部)を添加した後、引続き30分間撹拌し、重量平均粒子径が0.27μm、固形分が39.2%である肥大化されたゴム状共重合ラテックス(C−1)を得た。
【0058】(4)グラフト共重合(D−1)の製造5リットルガラス製反応器に、水150部、上記の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)249.9部(固形分として100部)、デキストロース0.6部、ピロリン酸ナトリウム0.1部および硫酸第1鉄七水塩0.01部を仕込み、窒素置換した後60℃に昇温し、アクリロニトリル30部、スチレン70部、t−ドデシルメルカプタン1.2部およびクメンハイドロパーオキシド0.3部からなる混合物を200分かけて滴下し、その間内温が65℃になる様にコントロールした。
【0059】滴下終了後、クメンハイドロパーオキシド0.12部を添加し、さらに1時間保持し、老化防止剤(川口化学工業(株)製、アンテージW−400)1部を添加した後、冷却した。このグラフト共重合体ラテックス(D−1)を5%硫酸水溶液で凝固し、洗浄、乾燥して乳白色粉末のグラフト共重合体(D−1)を得た。重合転化率は97%であった。
【0060】次いで、このグラフト共重合体(D−1)40部と、アクリロニトリル(AN)−スチレン(St)共重合体(AN/ST重量比=30/70、メルトフローレート3.6g/10分、以下AS樹脂と略称する。)60部とを200℃にて二軸押出機を用いて配合し、ペレット化した後、射出成形にて試験片を作成して物性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0061】[実施例2]
(1)ゴム状共重合体ラテックス(A−2)の製造10リットルのステンレス製オートクレーブに、水150部、ロジン酸カリウム1部、オレイン酸カリウム1部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物0.4部、硫酸ナトリウム0.1部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.5部、1,3−ブタジエン90部およびスチレン10部を仕込み55℃に昇温した。昇温の途中、ピロリン酸ナトリウム0.2部および硫酸第一鉄七水塩0.003部を添加し重合を開始した。重合転化率が60%に達した時にn−ドデシルメルカプタン0.2部添加し、さらに重合を継続した。8時間後残存1,3−ブタジエンを除去し、固形分が40.2%、重合転化率が97%、重量平均粒子径が0.07μmおよびpHが10.2であるゴム状共重合体ラテックス(A−2)を得た。
【0062】(2)肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−2)の製造5リットルガラス製反応器に、上記のゴム状共重合体ラテックス(A−2)248.8部(固形分として100部)およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部を仕込み、これに5%リン酸水溶液40部を3分かけて滴下し、その後10%水酸化ナトリウム水溶液10部を添加して、固形分が27.9%および重量平均粒子径が0.27μmであるゴム状共重合体ラテックス(C−2)を得た。
【0063】(3)グラフト共重合体(D−2)の製造実施例1(4)に記載のグラフト共重合体(D−1)の製造において、使用するゴム状共重合体ラテックス(C−1)を上記の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−2)に変更し、固形分換算で水量を調節した以外は、実施例1(4)と同様にして、グラフト共重合体(D−2)を得た。重合転化率は97%であった。
【0064】次いで、このグラフト共重合体(D−2)40部と、実施例1のAS樹脂60部とを実施例1と同様に二軸押出機を用いて配合し、ペレット化した後、射出成形にて試験片を作成して物性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0065】[実施例3]
(1)ゴム状共重合体ラテックス(A−3)の製造単量体滴下終了後の重合温度を67℃に変更する以外は、実施例1(1)と同様にして重合を行った。6時間後残存1,3−ブタジエンを除去し、固形分が40.1%、重合転化率が97%、重量平均粒子径が0.06μmおよびpHが10.0であるゴム状共重合体ラテックス(A−3)を得た。
【0066】(2)肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−3)の製造実施例1(3)に記載の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)の製造において、使用するゴム状共重合体ラテックス(A−1)を上記のゴム状共重合体ラテックス(A−3)に変更した以外は、実施例1(3)と同様にして、重量平均粒子径が0.27μmおよび固形分が39.4%である肥大化したゴム状共重合体ラテックス(C−3)を得た。
【0067】(3)グラフト共重合体(D−3)の製造実施例1(4)に記載のグラフト共重合体(D−1)の製造において、使用するゴム状共重合体ラテックス(C−1)を上記の肥大化ゴム状共重合体(C−3)に変更し、固形分換算で水量を調節した以外は、実施例1(4)と同様にして、グラフト共重合体(D−3)を得た。重合転化率は97%であった。
【0068】次いで、このグラフト共重合体(D−3)40部と、実施例1のAS樹脂60部とを実施例1と同様に二軸押出機を用いて配合し、ペレット化した後、射出成形にて試験片を作成して物性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0069】[比較例1]
(1)ゴム状重合体ラテックス(A−4)の製造10リットルのステンレス製オートクレーブに、水150部、ロジン酸カリウム1部、オレイン酸カリウム1部、硫酸ナトリウム0.3部、デキストロース0.4部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.5部および1,3−ブタジエン100部を仕込み50℃に昇温した。昇温途中ピロリン酸ナトリウム0.2部および硫酸第一鉄七水塩0.003部を添加し重合を開始した。重合転化率が60%に達した時点にn−ドデシルメルカプタン0.2部添加し、さらに重合を継続した。8時間後残存1,3−ブタジエンを除去し、固形分が40.2%、重合転化率が97%、重量平均粒子径が0.07μmおよびpHが10.0であるゴム状重合体ラテックス(A−4)を得た。得られたゴム状重合体ラテックス(A−4)について、実施例1と同様にして耐腐敗性を評価した。結果を表1に示した。
【0070】(2)肥大化ゴム状重合体ラテックス(C−4)の製造実施例1(3)に記載の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)の製造において、使用するゴム状共重合体ラテックス(A−1)を上記のゴム状重合体ラテックス(A−4)に変更した以外は、実施例1(3)と同様にして、重量平均粒子径が0.27μmおよび固形分が39.5%である肥大化ゴム状重合体ラテックス(C−4)を得た。
【0071】(3)グラフト共重合体(D−4)の製造実施例1(4)に記載のグラフト共重合体(D−1)の製造において、使用する肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)を上記の肥大化ゴム状重合体ラテックス(C−4)に変更し、固形分換算で水量を調節した以外は、実施例1(4)と同様にしてグラフト共重合体(D−4)を得た。重合転化率は97%であった。
【0072】次いで、このグラフト共重合体(D−4)40部と、実施例1のAS樹脂60部とを実施例1と同様に二軸押出機を用いて配合し、ペレット化した後、射出成形にて試験片を作成して物性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0073】[比較例2]
(1)ゴム状重合体ラテックス(A−5)の製造実施例1(1)に記載のゴム状共重合体ラテックス(A−1)の製造において、使用する単量体を1,3−ブタジエン100部のみとし、かつ重合温度を60℃に変更する以外は、実施例1(1)と同様な重合を行って、固形分が40.1%、重合転化率が97%、重量平均粒子径が0.07μmおよびpHが10.0であるゴム状重合体ラテックス(A−5)を得た。
【0074】(2)肥大化ゴム状重合体ラテックス(C−5)の製造実施例1(3)に記載の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)の製造において、使用するゴム状共重合体ラテックス(A−1)を上記の肥大化ゴム状重合体ラテックス(A−5)に変更した以外は、実施例1(3)と同様にして、重量平均粒子径が0.27μmおよび固形分が39.4%である肥大化されたゴム状重合体ラテックス(C−5)を得た。
【0075】(3)グラフト共重合体(D−5)の製造実施例1(4)に記載のグラフト共重合体(D−1)の製造において、使用する肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)を上記の肥大化ゴム状重合体(C−5)に変更し、固形分換算で水量を調節した以外は、実施例1(4)と同様にしてグラフト共重合体(D−5)を得た。重合転化率は97%であった。
【0076】次いで、このグラフト共重合体(D−5)40部と、実施例1のAS樹脂60部とを実施例1と同様に二軸押出機を用いて配合し、ペレット化した後、射出成形にて試験片を作成して物性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0077】[比較例3]
(1)ゴム状共重合体ラテックス(A−6)の製造単量体の滴下終了後の重合温度を72℃に変更する以外は、実施例3(3)と同様に重合を行った。6時間後残存1,3−ブタジエンを除去し、固形分が40.1%、重合転化率が97%、重量平均粒子径が0.06μmおよびpHが10.0であるゴム状共重合体ラテックス(A−6)を得た。
【0078】(2)肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−6)の製造実施例1(3)に記載の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)の製造において、使用するゴム状共重合体ラテックス(A−1)を上記のゴム状重合体ラテックス(A−6)に変更した以外は、実施例1(3)と同様にして、重量平均粒子径が0.27μmおよび固形分が39.4%である肥大化されたゴム状重合体ラテックス(C−6)を得た。
【0079】(3)グラフト共重合体(D−6)の製造実施例1(4)に記載のグラフト共重合体(D−1)の製造において、使用する肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)を上記の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−6)に変更し、固形分換算で水量を調節した以外は、実施例1(4)と同様にして、グラフト共重合体(D−6)を得た。重合転化率は97%であった。
【0080】次いで、このグラフト共重合体(D−6)40部と、実施例1のAS樹脂60部とを実施例1と同様に二軸押出機を用いて配合し、ペレット化した後、射出成形にて試験片を作成して物性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0081】[比較例4]
(1)ゴム状共重合体ラテックス(A−7)の製造実施例1(1)に記載のゴム状重合体ラテックス(A−1)の製造において、重合転化率が40%に達した時点にメルカプタンを使用せずに重合を継続し、7時間後に1,3−ブタジエンを除去した以外は、実施例1(1)と同様に重合を行い、固形分が40.1%、重合転化率が97%、重量平均粒子径が0.07μmおよびpHが10.0であるゴム状共重合体ラテックス(A−7)を得た。
【0082】(2)肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−7)の製造実施例1(3)に記載の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)の製造において、使用するゴム状共重合体ラテックス(A−1)を上記のゴム状重合体ラテックス(A−7)に変更した以外は、実施例1(3)と同様にして、重量平均粒子径が0.27μmおよび固形分が39.4%である肥大化されたゴム状共重合体ラテックス(C−7)を得た。
【0083】(3)グラフト共重合体(D−7)の製造実施例1(4)に記載のグラフト共重合体(D−1)の製造において、使用する肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)を上記の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−7)に変更し、固形分換算で水量を調節した以外は、実施例1(4)と同様にして、グラフト共重合体(D−7)を得た。重合転化率は97%であった。
【0084】次いで、このグラフト共重合体(D−5)40部と、実施例1のAS樹脂60部とを実施例1と同様に二軸押出機を用いて配合し、ペレット化した後、射出成形にて試験片を作成して物性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0085】[比較例5]
(1)ゴム状共重合体ラテックス(A−8)の製造実施例1(1)に記載のゴム状共重合体ラテックス(A−1)の製造において、重合転化率が40%に達した時点で添加するn−ドデシルメルカプタンの量を0.3部から2.0部に変更する以外は、実施例1(1)と同様な重合を行い、固形分が40.1%、重合転化率が97%、重量平均粒子径が0.07μmおよびpHが10.0であるゴム状共重合体ラテックス(A−8)を得た。
【0086】(2)肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−8)の製造実施例1(3)に記載の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)の製造において、使用するゴム状共重合体ラテックス(A−1)を上記のゴム状重合体ラテックス(A−8)に変更した以外は、実施例1(3)と同様にして、重量平均粒子径が0.27μmおよび固形分が39.4%である肥大化されたゴム状重合体ラテックス(C−8)を得た。
【0087】(3)グラフト共重合体(D−8)の製造実施例1(4)に記載のグラフト共重合体(D−1)の製造において、使用する肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)を上記の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−8)に変更し、固形分換算で水量を調節した以外は、実施例1(4)と同様にして、グラフト共重合体(D−8)を得た。重合転化率は97%であった。
【0088】次いで、このグラフト共重合体(D−8)40部と、実施例1のAS樹脂60部とを実施例1と同様に二軸押出機を用いて配合し、ペレット化した後、射出成形にて試験片を作成して物性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0089】[比較例6]
(1)ゴム状重合体ラテックス(A−9)の製造実施例2(1)に記載のゴム状共重合体ラテックス(A−2)の製造において、途中添加のn−ドデシルメルカプタンを重合開始前に添加するように変更する以外は、実施例2(1)と同様な重合を行い、固形分が40.1%、重合転化率が97%、重量平均粒子径が0.07μmおよびpHが10.0であるゴム状共重合体ラテックス(A−9)を得た。
【0090】(2)肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−9)の製造実施例1(3)に記載の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)の製造において、使用するゴム状共重合体ラテックス(A−1)を上記のゴム状共重合体ラテックス(A−9)に変更した以外は、実施例1(3)と同様にして、重量平均粒子径が0.27μmおよび固形分が39.4%である肥大化されたゴム状共重合体ラテックス(C−9)を得た。
【0091】(3)グラフト共重合体(D−9)の製造実施例1(4)に記載のグラフト共重合体(D−1)の製造において、使用する肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)を上記の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−9)に変更し、固形分換算で水量を調節した以外は、実施例1(4)と同様にして、グラフト共重合体(D−9)を得た。重合転化率は97%であった。
【0092】次いで、このグラフト共重合体(D−9)40部と、実施例1のAS樹脂60部とを実施例1と同様に二軸押出機を用いて配合し、ペレット化した後、射出成形にて試験片を作成して物性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0093】[比較例7]
(1)ゴム状共重合体ラテックス(A−10)の製造実施例2(1)に記載のゴム状共重合体ラテックス(A−2)の製造において、途中添加の重合転化率が95%に達した時点でn−ドデシルメルカプタンを0.2部添加した以外は、実施例2(1)と同様な重合を行い、固形分が40.1%、重合転化率が97%、重量平均粒子径が0.07μmおよびpHが10.0であるゴム状共重合体ラテックス(A−10)を得た。
【0094】(2)肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−10)の製造実施例1(3)に記載の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)の製造において、使用するゴム状共重合体ラテックス(A−1)を上記のゴム状共重合体ラテックス(A−10)に変更した以外は、実施例1(3)と同様にして、重量平均粒子径が0.27μmおよび固形分が39.4%である肥大化されたゴム状共重合体ラテックス(C−10)を得た。
【0095】(3)グラフト共重合体(D−10)の製造実施例1(4)に記載のグラフト共重合体(D−1)の製造において、使用する肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−1)を上記の肥大化ゴム状共重合体ラテックス(C−10)に変更し、固形分換算で水量を調節した以外は、実施例1(4)と同様にして、グラフト共重合体(D−10)を得た。重合転化率は97%であった。
【0096】次いで、このグラフト共重合体(D−10)40部と、実施例1のAS樹脂60部とを実施例1と同様に二軸押出機を用いて配合し、ペレット化した後、射出成形にて試験片を作成して物性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】[実施例4〜15]実施例1で得られたグラフト共重合体(D−1)、実施例1で使用したAS共重合体、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製、ノバレックス7022PJ)、ポリエステル樹脂(極限粘度[η]1.05のポリテトラメチレンテレフタレート)、ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、ECSO3T−34)、炭素繊維(三菱レイヨン(株)製、パイロフィルTR−06N)およびタルク(ファイザーMSP(株)製、マイクロタルクMP10−52)を表3に示す割合で配合し、二軸押出機を用いてペレットとした後、射出成形機にて試験片を作成して物性を評価した。その結果を表3に示した。
【0100】
【表3】

【0101】
【発明の効果】実施例1〜15および比較例1〜7に示す結果から明らかなように、本発明によって得られるゴム状共重合体ラテックスは耐腐敗性に優れ、また、このゴム状共重合体ラテックスを用いて得られるグラフト共重合体からなる熱可塑性樹脂は、耐衝撃性改質剤として優れた性能を有する。また、本発明の方法によれば、耐衝撃性改質能力を低下させることなくゴム状共重合体ラテックスの重合時間を短縮でき生産性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】吉沢 敏夫
【公開番号】 特開平11−80280
【公開日】 平成11年(1999)3月26日
【出願番号】 特願平9−256155