| 【発明の名称】 |
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】尾原 栄
【氏名】梅沢 宏
【氏名】丸山 直亮
【氏名】丹野 史枝
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| 【要約】 |
【課題】流動層造粒を使用した好適な打錠末の調製を可能とする低置換度ヒドロキシフロビルセルロースとその製造方法を提供する。
【解決手段】ゆるめ嵩密度が0.40g/mL以上、固め嵩密度が0.60g/mL以上の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ゆるめ嵩密度が0.40g/mL以上、固め嵩密度が0.60g/mL以上であることを特徴とする低置換度ヒドロキシプロピルセルロース。 【請求項2】 圧縮度が35%以下であることを特徴とする請求項1記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース。 【請求項3】 流動性指数が60以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース。 【請求項4】 安息角が40度以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース。 【請求項5】 パルプをアルカリ溶液に浸漬して調製したアルカリセルロースを酸化プロピレンと反応させ、その生成物を水又はアルカリ性の溶媒に半溶解した後、酸で中和して晶出し、これを洗浄、乾燥、粉砕させて低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを製造する工程で、酸による中和前に生成物を完全溶解状態とすることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロ一スの製造方法。 【請求項6】 アルカリセルロースを調製する時のアルカリ溶液が濃度45重量%以下の水酸化ナトリウム水溶液であることを特徴とする請求項5記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、医療用の固形製剤等に、結合剤、崩壊剤、賦形剤として添加される低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(以下L−HPCともいう。)は日本薬局方収載の医薬品添加剤であり、医薬用錠剤、頼粒剤などの固形製剤に添加されるセルロース系高分子である。L―HPCの機能には結合機能、崩壊機能があり、また、主薬との相互作用が少ないことから賦形剤として使用されることもある。L−HPCはセルロースの低置換度ヒドロキシプロピルエーテルであり、そのヒドロキシプロポキシル基含量は5.0〜16.0%である。この点でヒドロキシプロポキシル含量が53.4〜77.5%である日本薬局方ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)と性質を異にする。L−HPCが医薬品の添加剤として使用されていることは、特公昭46―42792号公報、特公昭57―53100号公報に記載されている。 【0003】錠剤を製造するには、主薬と添加剤を混合してそのまま打錠する直接打錠と、主薬と添加剤の混合物を結合剤溶液や水等の適当な溶媒と練合して造粒し、これを乾燥した後で打錠する湿式造粒法がある。後者は主薬や添加物の粉体の流動性が悪い場合にその流動性を高める目的で行われる。湿式造粒法における主な造粒プロセスには、高速攪拌機を使用する攪拌造粒と流動層を使用する流動層造粒がある。 【0004】ここで、流動層造粒は、攪拌造粒に比較して造粒物の粒度分布が狭く、また、工程管理が行いやすい点で近年好んで行われている。しかし、流動層造粒にL−HPCを使用すると、非常に嵩高い造粒物となってしまい、流動性に劣るため打錠機のホッパーから流出せずに打錠が不可能であったり、あるいは錠剤の重量偏差が著しく大きくなってしまう。このため、L−HPCを流動層造粒に使用することは著しく困難である。本発明の目的は、流動層造粒にも対応できるL−HPCを提供することにある。 【0005】これに関し、特願平9―88996号公報には、粘度、固め見かけ密度、安息角、平均粒子径などを規定したL−HPCが開示されている。また、特開平7―324101号公報には、安息角が45度以下で膨潤率が100%以上であることを特徴とするL−HPCが開示されている。これらのものを流動層造粒に適用した場合、従来品よりは若干改善はされるがその効果が十分であるとは言えなかった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に対して、流動層造粒を使用した好適な打錠末の調製を可能とする低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとその製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は、別の観点から粉体物性を改善することにより流動層造粒への対応が十分実用となるL―HPCの開発に成功した。すなわち、本発明は、ゆるめ嵩密度が0.40g/mL以上で、固め嵩密度が0.60g/mL以上であることを特徴とするL−HPCである。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明でいう「ゆるめ嵩密度」とは、疎充填の状態の嵩密度をいい、直径5.03cm、高さ5.03cm(容積100mL)の円筒容器へ試料を24メッシュの篩を通して上方から均一に供給し、上面をすり切って秤量することによって測定される。「固め嵩密度」は、これにタッピングを加えて密充填にした場合の嵩密度である。タッピングとは、試料を充填した容器を一定の高さからくり返し落下させて底部に軽い衝撃を与え、試料を密充填にする操作である。実際にはゆるみ嵩密度を測定する際上面をすり切って秤量したあと、さらにこの容器の上にキャップをはめ、この上縁まで粉体を加えてタップ高さ1.8cmのタッピングを180回行う。終了後、キャップを外して容器の上面で粉体をすり切って秤量し、この状態の嵩密度を固め嵩密度とする。これらの操作は、ホソカワミクロン社製パウダーテスターを使用することにより測定できる。 【0009】本発明者はある値以上のゆるみ嵩密度と固め嵩密度を有するL−HPCが流動層造粒に適用可能なことを見出したものである。この物を流動層造粒に使用した場合、得られる造粒物は重質で流動性が高く打錠に十分実用なものとなる。本発明のL−HPCはゆるめ嵩密度が0.40g/mL以上で固め嵩密度が0.0.60g/mL以上であればその目的を達成するが、ゆるめ嵩密度と固め嵩密度の比が一定のレベル以下であることがより好ましい。その値は、圧縮度として35%以下である。庄縮度はかさべりの度合いを示す値で、以下の式で求められる。 圧縮度(%)=[(固め嵩密度‐ゆるめ嵩密度)/固め嵩密度]×100【0010】圧縮度は粉体の流動性を表す数値と見なせる。流動性を示す値としてはこの他に安息角、スパチュラ角等の特性値があるが、これらを総合的に表した値として流動性指数がある。流動性指数とは、カル(Carr)によって提唱された流動性評価のための指数であり(R.L.Carr,Chem.Eng,72,Jan.18,163,Feb.1,69(1965),76Oct.13,7(1969))、詳細は、「改訂増補 粉体物性図説[粉体工学会・日本粉体工業技術協会編、日経技術図書、1985年]」151頁に記載されている。流動性指致を求めるには、パウダーテスターを使用して安息角、圧縮度、スパチュラ角、凝集度の4種類の値を測定し、その値からそれぞれについて指数を求め、それらを総和する。本発明に係るL−HPCの好ましい流動性指数は60以上である。また、本発明のL―HPCの好ましい安息角は40度以下である。安息角は直径8cmの円板上に漏斗を介して注入して形成させた円錐状の体積層の角度を分度器を用いて直接測定することによって得られる。 【0011】本発明に係るL−HPCは、以下に示す方法により製造できることが見出された。すなわち、パルプをアルカリ溶液に浸漬してアルカリセルロースとし、これを酸化プロピレンと反応させる。この段階までは従来法と同様である。発明者はこの後の工程で生成物を水、又はアルカリ性に調節した水に投入して溶解させた時の状態が製品の流動性に影響することを見出した。すなわち、従来の方法では部分的に中和を行い溶解を不完全とさせて半溶解状態とし、この状態をコントロ一ルすることにより繊維分の率を変えて嵩密度を調節するが、本発明者はこの工程で生成物を完全溶解状態にした場合に特に製品の流動性が上昇することを見出した。 【0012】ここでいう完全溶解状態とは、生成物がその形状をほぼ完全に失う状態を意味する。すなわち、完全に透明になることはもとより、不透明のスラリー状態、また3Lのスラリ一中に、5〜10個の生成物小塊の残留が認められる程度の状態も含む。溶解したあとの状態は高粘性のスラリー状であり、ニーダーなどの攪拌力の強い練合機が必要である。この後は従来法通り塩酸等の酸で中和することにより、L−HPCが祈出し、この物を回収して洗浄、乾燥、粉砕して製品とする。さらに、生成物を完全溶解させるためにはアルカリセルロースの調製条件が影響し、特に浸漬用アルカリ溶液が濃度45重量%以下の水酸化ナトリウムの時に完全溶解状態となりやすいことを見出した。従来は49%の水酸化ナトリウム溶液を用いて行っているが、その濃度を下げることにより、反応の均一性が増し溶解性が向上したためと考えられる。 【0013】 【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例の内容のみに限定されるものではない。 実施例1木材パルプを40重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬後、圧搾してアルカリセルロースを得た。このアルカリセルロース800gを反応機へ仕込み、窒素置換を行った。置換後、酸化プロピレン85.6gを反応機へ仕込み攪拌しながら40℃で1時間及び70℃で1時間反応して生成物を得た。 【0014】5L双腕ニーダーに65℃の熱水2Lを入れ、生成物を投入して、生成物の形状がほぼ完全に消失する(約3Lのスラリ一中、5〜10個の生成物小塊の残留が認められる程度)まで約10分練合したあと、酢酸で中和して晶出させた。なお、溶解時、これを90℃の熱水で洗浄後、圧搾して脱水し、乾燥した後に、高速回転衝撃粉砕機で粉砕してヒドロキシプロポキシル含量が11%のL−HPCを得た。 【0015】実施例2溶解時、生成物の小塊が全く認められなくなるまで約30分間練合した他は実施例1と同様な条件でL−HPCの粉末を得た。 【0016】比較例1実施例1と同様にアルカリセルロース調製と反応を行ったが、溶解工程で生成物を投入する前に中和用の酢酸の一部を65℃の熱水に含ませておき、生成物を半溶解状態のまま残りの酢酸で中和した。その後は再び実施例1と同様な工程でL−HPCの粉末を得た。 【0017】比較例2パルプを49%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、以下実施例1と同様な操作でL−HPCの調製を行った。生成物の溶解において練合を40分間行つたが溶解状態は実施例1の時より完全なものにならなかった。しかし、比較例1の時の半溶解状態よりも溶解が進んた状態であった。そのまま同様な処理をしてL−HPCの粉末を得た。 【0018】粉体物性の比較実施例1、2比較例1、2で調製したL‐HPC及び市販のL−HPCを比較例3として、各L−HPC試料の粉体物性をホソカワミクロン社製パウダーテスターを用いて測定した。結果を表1に示す。 【0019】 【表1】
(注)市販L−HPC(LH−11信越化学工業製) 【0020】流動層造粒試験アセトアミノフェン160g、実施例、比較例のL−HPC試料100g、乳糖98g、コーンスターチ42gを混合し、小型流動層(マルチプレックスMP−01,パウレック社製)に仕込んで吸気温度70℃で流動させた。ここにHPC−L(日本曹達社製)5%水溶液を結合剤としてスプレーして造粒を行った。ここで得られた造粒物の嵩密度、安息角を測定した。また、小型打錠機用のホッパーに造粒物を充填し、その流出状態を観察した。その結果を表2に示す。 【0021】 【表2】
実施例1、2は比較例1〜3のものに比べて重質で流動性の高い流動層造粒末となり、ホッパーからの流出も良好であった。 【0022】 【発明の効果】上記したところから明らかなように、本発明によれば、流動層造粒を使用した好適な打錠末の調製を可能とする低置換度ヒドロキシフロビルセルロースとその製造方法が提供される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002060 【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月12日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】奥山 尚男 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−322802 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−128357 |
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