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【発明の名称】 オキセパン−2−オン誘導体の製造方法
【発明者】 【氏名】栗本 勲

【氏名】日比野 裕明

【要約】 【課題】光学活性オキセパン−2−オン誘導体を光学活性N−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン誘導体から工業的に許容しうる反応濃度で取得すること。

【解決手段】一般式(1)
【特許請求の範囲】
【請求項1】一般式(1)

(式中、*印は不斉炭素原子を示す。)で示されるN−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン誘導体をアセトニトリルまたはt−ブチルアルコールのいずれか一方の存在下で加熱することを特徴とする一般式(2)

(式中、*印は不斉炭素原子を示す。)で示されるオキセパン−2−オン誘導体の製造方法。
【請求項2】60℃以上アセトニトリルまたはt−ブチルアルコールの還流温度以下で加熱することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】N−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン誘導体に対してアセトニトリルまたはt−ブチルアルコールを10〜200重量倍使用する請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】一般式(1)で示されるN−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン誘導体がいずれか一方の光学活性体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オキセパン−2−オン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学活性オキセパン−2−オン誘導体およびこれを加水分解することで容易に得られる光学活性ヒドロキシノルロイシン誘導体は、医薬等の中間体として有用な化合物である。
【0003】かかる光学活性オキセパン−2−オン誘導体の合成法として例えば、光学活性N−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン誘導体をジメトキシエタン溶媒中で還流する合成法が知られている(Tetrahedron Letters, 36, 3,439(1995))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の方法は、得られるオキセパン−2−オン誘導体の収率が原料であるN−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オンの濃度に大きく依存し、高希釈条件下(原料濃度:3.4mmol/L、原料に対する溶媒の使用量:約870倍)で反応を実施する必要があり、高希釈条件から原料濃度を高くしていくと反応系が複雑となり、例えばより実用的な原料濃度(原料濃度:34mmol/L)にした場合には目的とするオキセパン−2−オン誘導体の収率は低く、さらに複雑な反応混合物となるため単離も困難であることが知られている。工業的な実施を考えた場合、上記のような高希釈条件での実施は生産性の観点から許容できるものではなく、さらなる改良が望まれていた。
【0005】そこで本発明者らは上記反応について鋭意検討し、特定の反応溶媒を使用することで、高い原料濃度でもオキセパン−2−オン誘導体が高収率で得られ、さらに単離できることも見出し本発明の完成に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、一般式(1)

(式中、*印は不斉炭素原子を示す。)で示されるN−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン誘導体をアセトニトリルまたはt−ブチルアルコールのいずれか一方の存在下で加熱することを特徴とする一般式(2)

(式中、*印は不斉炭素原子を示す。)で示されるオキセパン−2−オン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明で原料として使用する上記一般式(1)で示されるN−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン誘導体は、例えば、Tetrahedron Letters,36, 3, 439(1995)に記載の方法により製造することができ、該誘導体はいずれか一方の光学活性体でもあってもよいし、2種の光学活性体の混合物であってもよい。
【0008】本発明において、上記一般式(1)で示されるN−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン誘導体を少なくともアセトニトリルまたはt−ブチルアルコールの存在下で加熱することで目的とするオキセパン−2−オン誘導体を得ることができ、アセトニトリルとt−ブチルアルコールの両者の存在下に加熱してもよい。なお本発明に影響を及ぼさない範囲で、アセトニトリルおよびt−ブチルアルコール以外が存在していてもよい。
【0009】加熱温度は、反応速度の観点から60℃以上が好ましく、通常は還流する温度以下である。反応時間は、反応温度等により異なるが、反応の進行に伴って窒素ガスの発生が起き、この窒素ガスの発生停止をもって反応終了とすることもできるが、通常、反応時間は30分程度から3時間程度の範囲である。
【0010】アセトニトリルまたはt−ブチルアルコールの使用量の上限値は特に制限はないが、工業的な生産性の観点から、原料の上記一般式(1)で示される光学活性N−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン誘導体に対して200重量倍以下が好ましい。また下限値は、通常は、10重量倍である。アセトニトリルとt−ブチルアルコールの両者を使用する場合はその合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0011】反応終了後、使用した溶媒を留去することで上記一般式(2)で示されるオキセパン−2−オン誘導体を主成分とした混合物を得ることができ、該オキセパン−2−オン誘導体をさらに他の化合物に誘導する場合、この混合物をそのまま使用することも可能であるし、必要に応じて、この混合物から再結晶あるいはシリカゲルカラムクロマトグラフィー等の方法で高純度のオキセパン−2−オン誘導体を取得することもできるし、該誘導体の光学活性体を別途分離することもきる。また、通常、原料として光学活性N−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン誘導体を用いた場合、上記反応によって光学活性オキセパン−2−オン誘導体が得られる。
【0012】
【発明の効果】本発明の方法によれば、上記一般式(2)で示される光学活性オキセパン−2−オン誘導体を上記一般式(1)で示される光学活性N−ニトロソ−ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン誘導体から工業的に許容しうる反応濃度で製造することができる。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0014】(実施例1)(S)−ヘキサヒドロ−1−ニトロソ−3−フタルイミド−2H−アゼピン−2−オン0.29gをアセトニトリル50.0gに溶解し、還流下1時間攪拌した。反応終了後、反応マスを室温まで冷却し、高速液体クロマトグラフィーで定量したところ目的物の(S)−3−フタルイミドオキセパン−2−オン0.12g(収率46.1%)が含まれていた。
【0015】(実施例2−5)原料の(S)−ヘキサヒドロ−1−ニトロソ−3−フタルイミド−2H−アゼピン−2−オンの仕込量、溶媒種、溶媒使用量を表−1に記載したものに変更した以外は実施例1と同様にして反応および生成物の定量を行ったところ表−1に記載の結果を得た。
【表−1】

【0016】(実施例6)(S)−ヘキサヒドロ−1−ニトロソ−3−フタルイミド−2H−アゼピン−2−オン83.87gをアセトニトリル2326gに溶解し、還流下1時間攪拌した。反応終了後、反応マスを室温まで冷却し、高速液体クロマトグラフィーで定量したところ目的物の(S)−3−フタルイミドオキセパン−2−オン34.44g(収率45.5%)が含まれていた。この反応混合物を減圧濃縮して、淡褐色固体75.7gを得た。この淡褐色固体に85%エタノール水227.1gを加え、還流下、30分間攪拌して溶解させた後、5時間かけて5℃まで冷却し、その後、同温で30分間保温した。析出した結晶を濾過し、5℃に冷却した85%エタノール水151.4gで洗浄した。得られた結晶を真空乾燥して(S)−3−フタルイミドオキセパン−2−オン30.42g(単離後の収率40.2%)を白色結晶として得た。
【0017】(比較例1)(S)−ヘキサヒドロ−1−ニトロソ−3−フタルイミド−2H−アゼピン−2−オン10.77gを1,2−ジメトキシエタン625gに溶解し、還流下1時間攪拌した。反応終了後、反応マスを室温まで冷却し、高速液体クロマトグラフィーで定量したところ目的物の(S)−3−フタルイミドオキセパン−2−オン2.49g(収率25.6%)が含まれていた。この反応混合物を減圧濃縮して、淡褐色ガム状物11.0gを得た。この淡褐色ガム状物に実施例6と同様にして3倍量の85%エタノール水を加え、実施例6と同様の操作で再結晶を試みたが、ガム状物が分離してくるのみで結晶の析出は認められず、精製を行うのは困難であった。
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外1名)
【公開番号】 特開平11−80151
【公開日】 平成11年(1999)3月26日
【出願番号】 特願平9−245186