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【発明の名称】 ジフェニル化合物
【発明者】 【氏名】江島 明男

【氏名】シドニー・クリフォード・バーフォード

【氏名】川越 敬一

【氏名】三輪 保

【要約】 【課題】新規な構造の抗腫瘍性化合物を提供する。

【解決手段】式(I)の構造の化合物、その塩、およびそれらの水和物【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 式(I)の構造の化合物、その塩、およびそれらの水和物【化1】

(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、または構造【化2】>N−Rを意味し、Yは、ケト基、または水酸基を意味し、点線で示された結合は、二重結合を形成する結合となるか、または水素原子との結合を形成する。Rは、ニトロ基、またはアミノ基を意味し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、炭素数1から6のアルコキシル基、または炭素数1から6のアルキルアミノ基を意味する。Rは、水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を意味するが、このアルキル基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、または炭素数1から6のアルコキシル基を置換基として有していてもよい。RおよびRは、各々独立に、水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を意味する。)
【請求項2】 下記の構造の化合物、その塩、およびそれらの水和物【化3】

(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、または【化4】>N−Rを意味し、Rは、ニトロ基、またはアミノ基を意味し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、炭素数1から6のアルコキシル基、または炭素数1から6のアルキルアミノ基を意味する。Rは、水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を意味するが、このアルキル基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、または炭素数1から6のアルコキシル基を置換基として有していてもよい。RおよびRは、各々独立に、水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を意味する。)
【請求項3】 Xが、酸素原子、または硫黄原子である、請求項1または2に記載の化合物、その塩、およびそれらの水和物【請求項4】 置換基Rがニトロ基である、請求項1、2、または3に記載の化合物、その塩、およびそれらの水和物【請求項5】 置換基RまたはRの一方が、ハロゲン原子である、請求項1、2、3、または4に記載の化合物、その塩、およびそれらの水和物【請求項6】 ハロゲン原子が塩素原子である、請求項5に記載の化合物、その塩、およびそれらの水和物【請求項7】 (2−モルホリノ−5−ニトロフェニル)フェニルメタノン、その塩、およびそれらの水和物【請求項8】 (2−モルホリノ−5−ニトロフェニル)(4−クロロフェニル)メタノン、その塩、およびそれらの水和物【請求項9】 (2−チオモルホリノ−5−ニトロフェニル)フェニルメタノン、その塩、およびそれらの水和物【請求項10】 (2−チオモルホリノ−5−ニトロフェニル)(4−クロロフェニル)メタノン、その塩、およびそれらの水和物
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、抗腫瘍作用を有する新規化合物に関する。
【0002】
【技術の背景】抗腫瘍薬は、治療のために投与を継続すると耐性が獲得され、効力が低下することが多い。したがって、新規な構造、骨格、そして新規な作用機作を有する抗腫瘍薬の開発が求められている。本願発明者らは、新規な構造、作用機作の抗腫瘍剤を見出すべく鋭意検討を行った。その結果、下記の一般式(I)で示される構造の化合物が、強い抗腫瘍効果を有することを見いだし、本願発明を完成した。ベンゾフェノン化合物については、免疫調節作用の報告はあるが(米国特許第4,528,294号)、抗腫瘍効果についての報告はない。
【0003】
【課題を解決するための手段】すなわち本願発明は、一般式(I)で表される構造の化合物、その塩、およびそれらの水和物、そしてそれらの製造方法を提供するものである。
【0004】
【化5】

(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、または構造【0005】
【化6】>N−Rを意味し、Yは、ケト基(=O)、または水酸基を意味し、点線で示された結合は、(C=O間の)二重結合を形成する結合となるか、または(Yが結合した炭素原子に結合する)水素原子との結合(−H)を形成する。Rは、ニトロ基、またはアミノ基を意味し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、炭素数1から6のアルコキシル基、または炭素数1から6のアルキルアミノ基を意味する。Rは、水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を意味するが、このアルキル基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、または炭素数1から6のアルコキシル基を置換基として有していてもよい。RおよびRは、各々独立に、水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を意味する。)
さらに本願発明は;下記式の構造を有する化合物、その塩、およびそれらの水和物:【0006】
【化7】

(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、または構造【0007】
【化8】>N−Rを意味し、Rは、ニトロ基、またはアミノ基を意味し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、炭素数1から6のアルコキシル基、または炭素数1から6のアルキルアミノ基を意味する。Rは、水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を意味するが、このアルキル基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、または炭素数1から6のアルコキシル基を置換基として有していてもよい。RおよびRは、各々独立に、水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を意味する。);Xが、酸素原子、または硫黄原子である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;置換基Rがニトロ基である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;置換基RまたはRの一方が、ハロゲン原子である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;ハロゲン原子が塩素原子である上記の化合物、その塩、およびそれらの水和物;(2−モルホリノ−5−ニトロフェニル)フェニルメタノン[式(I)において、X=酸素原子;Y=ケト基;R=ニトロ基;R、R、RおよびRのいずれも水素原子]、その塩、およびそれらの水和物;(2−モルホリノ−5−ニトロフェニル)(4−クロロフェニル)メタノン[式(I)において、X=酸素原子;Y=ケト基;R=ニトロ基;RまたはRの一方が4−クロロ原子で、他方が水素原子;RおよびRのいずれも水素原子]、その塩、およびそれらの水和物;(2−チオモルホリノ−5−ニトロフェニル)フェニルメタノン[式(I)において、X=硫黄原子;Y=ケト基;R=ニトロ基;R、R、RおよびRのいずれも水素原子]、その塩、およびそれらの水和物;(2−チオモルホリノ−5−ニトロフェニル)(4−クロロフェニル)メタノン[式(I)において、X=硫黄原子;Y=ケト基;R=ニトロ基;RまたはRの一方が4−クロロ原子で、他方が水素原子;RおよびRのいずれも水素原子]、その塩、およびそれらの水和物;等にも関するものである。
【0008】
【発明の実施の態様】本願発明化合物の置換基、構造について述べる。Rは、ニトロ基、またはアミノ基であるが、ニトロ基が好ましい。RおよびRは、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、炭素数1から6のアルコキシル基、または炭素数1から6のアルキルアミノ基である。このうちのアルコキシル基またはアルキルアミノ基のアルキル基は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもいずれでもよい。RおよびRとしては、一方が水素原子で、他方がハロゲン原子、アルキル基、またはアルコキシル基である場合が好ましい。アルコキシル基のアルキル基、およびアルキル基としては、炭素数1から6で、直鎖状、分枝鎖状または環状(炭素数3以上の場合)のいずれでもよい。RおよびRとしては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、またはメトキシル基が好ましい。
【0009】Xは、酸素原子、硫黄原子、または構造【0010】
【化9】>N−R(この『>』は、窒素原子に2の単結合が結合していることを示している。)を意味する。すなわち、このXを含む環状置換基部分は、少なくとも1個の窒素原子を有する六員環の複素環置換基である。また、環の大きさは六員環が好ましいが、この他、五員環、または七員環であってもよい。Xが構造【0011】
【化10】>N−Rのとき、Rは、水素原子、またはアルキル基である。このアルキル基は、直鎖状、または分枝鎖状のいずれでもよい。またこのアルキル基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、または炭素数1から6のアルコキシル基を置換基として有していてもよい。これらの置換基の結合する位置は、アルキル基のいずれの位置でもよいが、末端にあるものがより好ましい。RおよびRは、各々独立に、水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を意味する。このアルキル基は、炭素数1から6で、直鎖状、分枝鎖状または環状(炭素数3以上の場合)のいずれでもよい。RおよびRとしては、いずれもが水素原子の場合、一方が水素原子で他方がメチル基の場合が好ましい。また、これらがアルキル基である場合、置換位置は特に制限はなく、環上のいずれの位置にあってもよい。
【0012】Xとしては、酸素原子、または硫黄原子が好ましい。これらの場合、当該部分はエーテルまたはチオエーテル構造となっており、すなわち、このX部分は脂溶性を高める構造となるものが好ましく、一方、立体的には、嵩高さのより小さくなる構造が好ましい。
【0013】Yは、ケト基(=O)、または水酸基であるが、ケト基の方が好ましい。すなわち化合物(I)としてベンゾフェノン構造である化合物が好ましく、したがって本願化合物としては、ベンゾフェノンの一方のフェニル基に含窒素複素環置換基を有する構造の化合物が好ましい。なおこの部分において、点線で示される結合が単結合となって二重結合が形成される場合にはY部分はケト基が形成され、点線で示す結合が水素原子との結合となる場合にはY部分は水酸基となる。本願の化合物には下記の構造のものが含まれる。
【0014】
【化11】

【0015】本願発明化合物は、種々の方法によって製造することができるが、その代表的な製造法を次に示す。
【0016】
【化12】

【0017】すなわち、ハロゲノニトロ安息香酸(II)を酸塩化物に導いた後に、各種置換ベンゼン誘導体とフリーデルクラフツ反応に処してベンゾフェノン化合物(III)を得、これに各種脂環式アミノ化合物を反応させて含窒素複素環基含有のベンゾフェノン化合物を得ることができる。この、Rがニトロ基でYがケト基である化合物(I)は、所望によりニトロ基、またはケト基の一方、あるいは両方を還元することによって、Rがアミノ基で、Yがケト基の化合物(I);Rがニトロ基で、Yが水酸基の化合物(I);Rがアミノ基で、Yが水酸基の化合物(I)、の各々を得ることができる。また、ケトン化合物(III)に対し、脂環式アミノ化合物としてピペラジンを用いて反応させて得られる化合物は、さらにピペラジンの窒素原子をアルキル化することで、4位の窒素原子に、各種の置換基を有していてもよいアルキル基を導入することができる。なお、ピペラジンを反応させるときは、一方の窒素原子は通常使用される保護基によって保護されていてもよいし、また、各種の置換基を有するアルキル基を有していもよい。この場合に、アルキル基上の置換基は適宜保護されていてよい。
【0018】これらの反応で使用する溶媒としては、反応に対して不活性であれば特に限定されないが、例えば、ジクロルメタン、四塩化炭素、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒等を挙げることができる。フリーデルクラフツ反応以外の反応においては前述の溶媒の他に、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等も使用することができる。実際には反応の特性に応じてこれらの溶媒から適宜選択して使用すればよい。フリーデルクラフツ反応においては、通常この反応において使用できる酸触媒を使用すればよいが、例えば、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、フッ化ホウ素等を挙げることができる。還元反応は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、リチウムアルミニウムハイドライド等の金属水素化化合物を使用する還元の他、アルコール中で塩化(II)スズ(SnCl)を反応させる方法、酸と亜鉛を用いる方法、そして、パラジウム、ラネーニッケル、酸化白金等の金属触媒存在下の接触水素添加による方法等を挙げることができる。アルキル化反応は、塩基存在下に反応を行なうのがよいが、この塩基は有機塩基または無機塩基のいずれであってもよい。塩基としては、無水炭酸ナトリウム、無水炭酸カリウム等の炭酸塩類、ナトリウムメトキサイド、t−ブトキシカリウム等のアルコキサイド類を挙げることができる。反応時間は1分〜72時間の範囲でよく、通常は10〜48時間で完結する。
【0019】代表的な反応条件を以下に述べる。ハロゲノニトロ安息香酸誘導体(II)と各種ベンゼン誘導体との反応は、安息香酸誘導体(II)を、先ず、チオニルクロライドや三塩化リン等のクロル化試薬と常法に従って処理して酸塩化物に導く。次いでこの酸塩化物を、ジクロルメタン、四塩化炭素、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒中で塩化アルミニウム等の存在下、各種ベンゼン誘導体を加えることによってケトン化合物(III)を得ることができる。この反応温度は、−20〜100℃の範囲でよいが、通常は5〜50℃の範囲で実施される。また、ケトン化合物(III)は、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒中、あるいはテトラヒドロフランやジオキサン等のエーテル系溶媒中、あるいはそれらの混合溶媒中で、無水炭酸カリウム等の存在下、各種環状アミノ化合物(含窒素複素環化合物)と反応させることによって、含窒素複素環置換基を有し、Rがニトロ基でYがケト基の化合物(I)に導くことができる。なお、本反応においては無水炭酸カリウム等が存在しなくても反応は進行する。反応温度は0〜200℃の範囲が好ましく、通常は50〜170℃の範囲で実施される。
【0020】Rがニトロ基でYがケト基の化合物(I)は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒中で、塩化(II)スズ(SnCl)と処理することによって、Rがアミノ基でYがケト基の化合物(I)を得ることができる。また、Rがアミノ基でYがケト基の化合物(I)を、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒中で、水素化ホウ素ナトリウム等と処理することによって、Rがアミノ基でYが水酸基の化合物(I)を得ることができる。これら還元反応の温度は0〜200℃の範囲が好ましく、通常は10〜100℃の範囲で実施される。また、Rがニトロ基でYがケト基の化合物(I)を、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒中、水素化ホウ素ナトリウム等と処理することによって、Rがニトロ基でYが水酸基の化合物(I)が得られ、さらに、この化合物を、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒中で、塩化(II)スズ(SnCl)等と処理すると、Rをニトロ基からアミノ基に変換することができる。また、接触還元による還元を行うと、まずニトロ基がアミノ基に変換され、さらに還元を継続すればケト基を水酸基に変換することができる。
【0021】また、化合物(III)への置換反応において、ピペラジンを反応させて得られた化合物に対して、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、あるいは、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒中で、無水炭酸カリウムの存在下、各種アルキルハライド(例えば、2−ブロモエタノール)と処理することにより、ピペラジンのもう一方の窒素原子がアルキル化された化合物を得ることができる。この反応の反応温度は0〜200℃の範囲が好ましく、通常は20〜150℃の範囲の温度で実施すればよい。
【0022】本願発明化合物は、所望により、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、あるいは、ギ酸、酢酸、メタンスルホン酸等の有機酸と処理して酸付加塩に変換することができ、生理学的に許容される塩とすることができる。また本願発明の化合物は、遊離体または塩となった化合物のいずれも水和物として存在することができる。
【0023】本願発明化合物が有効な腫瘍として、肺癌、胃癌、大腸癌、肝癌等の固形癌、子宮癌、乳癌、卵巣癌等の婦人科癌、急性白血病等の血液癌を挙げることができる。
【0024】本願発明の化合物は、Yが水酸基のとき、あるいは複素環置換基上に置換基が存在するとき等、立体異性が発生する場合がある。このような場合において、本願発明にはいずれの異性体も包含されることは言うまでもない。
【0025】次に実験により、上述の如くして得られた本願発明化合物の抗腫瘍効果を示す。
【0026】
【実施例】
【0027】[実験例1]P388マウス白血病細胞は、5×10cells/well、PC−6ヒト由来肺癌細胞は、5×10cells/wellになるように96ウェル−マイクロプレートに播種し、前者の場合は2時間後、後者の場合には24時間後に検体を添加した。その後、5%炭酸ガス下、37℃で3日間培養し、薬剤接触終了4時間前にMTT[3-(4,5-Dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium bromide]を添加した。次いで、培養液を除去して150μlのジメチルスルホキサイドを各ウェルに加え、生成したホルマザンを540nmにて吸光度を測定し、50%細胞増殖抑制濃度(GI50)値(ng/ml)を求めた。この結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】[実験例2]1×10個のマウス白血病細胞P388を7〜10週齢の雄CDF−1マウス(体重21〜34g、一群6匹)に腹腔内移植し、移植後1日目、および5日目に被検物質を腹腔内投与し、その延命効果を観察した。被検物質は、BTC溶液(0.9%ベンジルアルコール、0.4%ツイーン80、0.5%ソジウムカルボキシメチルセルロース、0.9%食塩を含む蒸留水)に懸濁して投与した。この結果を表2に示す。第2表において抗腫瘍効果は、最大有効時における被検物質投与群の生存日数中央値(T)と被検物質被投与群の生存日数中央値(C)との日を100倍した値(T/C)をもって表した。
【0030】
【表2】

【0031】本願発明で合成した化合物は、表1および2から明らかなように抗腫瘍活性を示し、各種腫瘍の治療のための抗腫瘍剤として適用することができる。抗腫瘍剤としての投与法は静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射等の各種の注射剤として、あるいは経口投与等の種々の方法によって行うことができる。これらの投与法の中では水性製剤による静脈内投与、および経口投与が好ましい。水性製剤はアミノ基を有する化合物の場合、薬理学的に許容される酸と酸付加物を形成させることができる。経口投与の場合では遊離体のままでも、塩の型でもいずれでも良い。本願発明化合物からなる抗腫瘍製剤の調製方法としては投与法に応じ適当な製剤を選択し、通常用いられている各種製剤の調整法にて調整できる。本願発明化合物の抗腫瘍製剤の剤型としては例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤や、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤、油性ないし水性の懸濁液等を経口用製剤として例示できる。固形製剤としては活性化合物とともに製剤学上許容されている添加物を含み、例えば充填剤類や増量剤類、結合剤類、崩壊剤類、溶解促進剤類、湿潤剤類、潤滑剤類等を必要に応じて選択して混合し、製剤化することができる。液体製剤としては溶液、懸濁液、乳液剤等を挙げることができるが添加剤として懸濁化剤、乳化剤等を含むこともある。注射剤としては製剤中に安定剤、防腐剤、溶解補助剤を使用することもあり、これらの補助剤を含むこともある溶液を容器に収納後、凍結乾燥等によって固形製剤として用事調整の製剤としてもよい。また、一投与量を容器に収納してもよく、多投与量を同一の容器に収納してもよい。液体製剤としては溶液、懸濁液、乳液剤等を挙げることができるが、添加剤として懸濁化剤、乳化剤等を含むこともある。本願発明化合物を含有する抗腫瘍剤の投与量は、化合物として成人1人1日当り10mg〜3gの範囲、好ましくは100mg〜2gの範囲である。
【0032】次に製剤処方例を示す。
【0033】
【表3】
製剤例1.(カプセル剤): 実施例2の化合物 100.0 mg コーンスターチ 23.0 mg CMC カルシウム 22.5 mg ヒドロキシメチルセルロース 3.0 mg ステアリン酸マグネシウム 1.5 mg 総計 150.0 mg次に実施例を挙げ、本願発明をさらに詳しく説明する。
【0034】[実施例1] (2−モルホリノ−5−ニトロフェニル)フェニルメタノン(2−クロロ−5−ニトロフェニル)フェニルメタノン(1.31g)、無水炭酸カリウム(0.69g)、モルホリン(0.65g)をDMF(13ml)に加え、120℃で4時間加熱攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物にクロロホルムを加え、水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して有機層を濃縮した。残留物をエタノールから再結晶し、標記の化合物1.37gを収率88%で得た。
融点:122−123℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):3.0−3.2(m,4H,CH×2),3.3−3.5(m,4H,CH×2),7.03(d,1H,J=10Hz,Ar−H),7.48(t,2H,J=8Hz,Ar−H),7.6−7.7(m,1H,Ar−H),7.7−7.9(m,2H,Ar−H),8.2−8.4(m,2H,Ar−H)
【0035】[実施例2] (2−モルホリノ−5−ニトロフェニル)(4−クロロフェニル)メタノン(1)(2−クロロ−5−ニトロフェニル)(4−クロロフェニル)メタノン2−クロロ−5−ニトロ安息香酸(10g)にチオニルクロライド(6.3g)を加え、3時間加熱還流後、反応液を減圧濃縮した。残留物にジクロルメタン(120ml)を加え、クロロベンゼン(15.6g)、塩化アルミニウム(7g)を加えて室温で一夜攪拌した。反応液を希塩酸を含む氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した後、有機層を1N−NaOH、水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して標記の化合物6.5gを収率44%で得た。
(2)(2−モルフォリノ−5−ニトロフェニル)(4−クロロフェニル)メタノン(1)で得られた化合物(1.50g)、無水炭酸カリウム(0.69g)、モルホリン(0.65g)をDMF(13ml)に加え、120℃で4時間加熱攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物にクロロホルムを加え、水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧濃縮した。残留物をエタノールで再結晶し、標記の化合物1.33gを収率77%で得た。
融点:171−172℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.9−3.2(m,4H,CH×2),3.3−3.5(m,4H,CH×2),7.05(d,1H,J=9Hz,Ar−H),7.47(d,2H,J=9Hz,Ar−H),7.73(t,2H,J=9Hz,Ar−H),8.2−8.4(m,2H,Ar−H)
【0036】[実施例3] (2−チオモルホリノ−5−ニトロフェニル)フェニルメタノンモルホリンの代わりにチオモルホリンを用い、実施例1と同様に反応させ、後処理後再結晶して、標記の化合物を収率73%で得た。
融点:114−115℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.3−2.5(m,4H,CH×2),3.3−3.5(m,4H,CH×2),7.06(d,1H,J=8Hz,Ar−H),7.49(t,2H,J=8Hz,Ar−H),7.64(d,1H,J=8Hz,Ar−H),7.78(d,2H,J=8Hz,Ar−H),8.2−8.4(m,2H,Ar−H)
【0037】[実施例4] (2−チオモルホリノ−5−ニトロフェニル)(4−クロロフェニル)メタノン実施例2(1)で得られた化合物とチオモルホリンを用い、実施例2(2)と同様に反応させ、後処理後、標記の化合物を収率81%で得た。
融点:141−143℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.3−2.5(m,4H,CH×2),3.3−3.5(m,4H,CH×2),7.07(d,1H,J=9Hz,Ar−H),7.46(d,2H,J=8Hz,Ar−H),7.72(d,2H,J=8Hz,Ar−H),8.25(d,1H,J=2Hz,Ar−H),8.30(dd,1H,J=9,2Hz,Ar−H)
【0038】[実施例5] [2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−ニトロフェニル](4−クロロフェニル)メタノン実施例2(1)で得られた化合物とN−メチルピペラジンを用い、実施例2(2)と同様に反応させ、後処理後、標記の化合物を収率56%で得た。
融点:159−161℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.16(t,4H,J=6Hz,CH×2),2.20(s,3H,CH),3.17(t,4H,J=6Hz,CH×2),7.09(d,1H,J=12Hz,Ar−H),7.50(d,2H,J=10Hz,Ar−H),7.78(d,2H,J=10Hz,Ar−H),8.31(s,1H,Ar−H),8.30−8.40(m,1H,Ar−H)
【0039】[実施例6] [2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−ニトロフェニル](4−メトキシフェニル)メタノン(1)(2−クロロ−5−ニトロフェニル)(4−メトキシフェニル)メタノンクロロベンゼンの代わりにアニソールを用い、実施例2(1)と同様に反応させた後処理し、標記の化合物を収率83%で得た。
(2)[2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−ニトロフェニル](4−メトキシフェニル)メタノン(1)で得られた化合物とN−メチルピペラジンを用い、実施例2(2)と同様に反応させ、後処理後、標記の化合物を収率67%で得た。
融点:145−147℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.1−2.3(m,7H,CH,CH×2),3.21(t,4H,J=6Hz,CH×2),3.93(s,3H,OCH),6.99(d,2H,J=12Hz,Ar−H),7.04(m,1H,Ar−H),7.83(d,2H,J=12Hz,Ar−H),8.27(s,1H,Ar−H),8.29−8.31(m,1H,Ar−H)
【0040】[実施例7] [2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−ニトロフェニル](4−フルオロフェニル)メタノン(1)(2−クロロ−5−ニトロフェニル)(4−フルオロフェニル)メタノンクロロベンゼンの代わりにフルオロベンゼンを用い、実施例2(1)と同様に反応させた後処理し、標記の化合物を収率74%で得た。
(2)[2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−ニトロフェニル](4−フルオロフェニル)メタノン(1)で得られた化合物とN−メチルピペラジンを用い、実施例2(2)と同様に反応させ、後処理後、標記の化合物を収率67%で得た。
融点:147−149℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.1−2.3(m,7H,CH,CH×2),3.1−3.2(m,4H,CH×2),6.9−7.3(m,3H,Ar−H),7.78(dd,2H,J=6,3Hz,Ar−H),7.90(s,1H,Ar−H),8.33(dd,1H,J=6,3Hz,Ar−H)
【0041】[実施例8] [2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−ニトロフェニル)(3,4−ジメトキシフェニル)メタノン(1)(2−クロロ−5−ニトロフェニル)(3,4−ジメトキシフェニル)メタノンクロロベンゼンの代わりに3,4−ジメトキシベンゼンを用い、実施例2(1)と同様に反応させ、後処理して標記の化合物を収率12%で得た。
(2)[2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−ニトロフェニル](3,4−ジメトキシフェニル)メタノン(1)で得られた化合物とN−メチルピペラジンを用い、実施例2(2)と同様に反応させ、後処理後、標記の化合物を収率73%で得た。
融点:140−142℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.1−2.3(m,7H,CH,CH×2),3.25(br−t,4H,J=6Hz,CH×2),3.94(s,3H,OCH),3.97(s,3H,OCH),6.8−7.5(m,4H,Ar−H),8.2−8.3(m,2H,Ar−H)
【0042】[実施例9] [2−(1−ピペラジニル)−5−ニトロフェニル]フェニルメタノンモルホリンの代わりにピペラジンを用い、実施例1と同様に反応させ、後処理後再結晶して、標記の化合物を収率91%で得た。
融点:139−140℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.46(s,1H,NH),2.5−2.7(m,4H,CH×2),3.1−3.3(m,4H,CH×2),6.9−7.1(m,1H,Ar−H),7.48(t,2H,J=8Hz,Ar−H),7.62(t,1H,J=8Hz,Ar−H),7.79(d,2H,J=8Hz,Ar−H),8.30(s,1H,Ar−H),8.2−8.4(m,1H,Ar−H)
【0043】[実施例10] 1−(4−フルオロフェニル)−1−[2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−ニトロフェニル]メタノールイソプロパノール(45ml)に実施例7(2)で得られた化合物(3.43g)を加えた後、水素化ホウ素ナトリウムを1時間にわたり徐々に加え、80−90℃で攪拌し、原料が消失したことをTLCで確認した。反応液を冷却し、氷水中に注ぎ、析出物を濾取して水洗した。この析出物をシリカゲルカラムに付し、クロロホルム−メタノール(95:5)の混合溶媒で溶出して単離し、エタノールで再結晶することにより標記の化合物2.05gを収率59%で得た。
融点:170−173℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.70(br−s,1H,OH),2.34(s,3H,CH),2.4−2.6(m,4H,CH×2),2.8−3.0(m,4H,CH×2),6.09(s,1H,Ar−CH),6.9−7.6(m,5H,Ar−H),8.0−8.3(m,2H,Ar−H)
【0044】[実施例11] [2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−5−ニトロフェニル]フェニルメタノン実施例9で得られた化合物(2.2g)、2−ブロモエタノール(1.75g)、無水炭酸ナトリウム(2.22g)をキシレン(4ml)に加え、100℃で1時間加熱攪拌した。反応液にクロロホルムを加え、水洗後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。残留物をシリカゲルカラムに付し、クロロホルム−エタノール(98:2)の混合溶媒で溶出して、標記の化合物1.72gを収率69%で得た。
融点:111−113℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.24(br−t,4H,J=6Hz,CH×2),2.41(t,2H,J=5Hz,CH),3.17(br−t,4H,J=6Hz,CH×2),3.55(t,2H,J=5Hz,CH2),6.9−7.1(m,1H,Ar−H),7.50(t,2H,J=8Hz,Ar−H),7.6−7.9(m,3H,Ar−H),8.28(s,1H,Ar−H),8.2−8.4(m,1H,Ar−H)
【0045】[実施例12] (2−モルフォリノ−5−アミノフェニル)(4−クロロフェニル)メタノン実施例2(2)で得られた化合物(2.7g)と塩化(II)スズ(SnCl;26g)をエタノール(200ml)に加え、20分間加熱還流した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を10N−NaOH、水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムに付し、酢酸エチルで溶出し、標記の化合物(1.93g)を収率79%で得た。
融点:174−176℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.74(t,4H,J=4Hz,CH×2),3.28(t,4H,J=4Hz,CH×2),3.6−3.9(br−s,2H,NH),6.73(d,1H,J=3Hz,Ar−H),6.81(dd,1H,J=8,3Hz,Ar−H),6.98(d,1H,J=8Hz,Ar−H),7.38(d,2H,J=8Hz,Ar−H),7.69(d,2H,J=8Hz,Ar−H)
【0046】[実施例13] [2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−アミノフェニル](4−メトキシフェニル)メタノン実施例6(2)で得られた化合物を用い、実施例12と同様に反応させて後処理し、標記の化合物を収率48%で得た。
融点:137−141℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.0−2.2(m,4H,CH×2),2.13(s,3H,CH),2.84(br−t,4H,J=6Hz,CH×2),3.62(br−s,2H,NH),3.90(s,OCH),6.72(d,1H,J=3Hz,Ar−H),6.80(dd,1H,J=10,3Hz,Ar−H),6.91(d,2H,J=12Hz,Ar−H),7.00(d,1H,J=10Hz,Ar−H),7.78(d,2H,J=12Hz,Ar−H)
【0047】[実施例14] [2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−アミノフェニル](4−フルオロフェニル)メタノン実施例7(2)で得られた化合物を用い、実施例12と同様に反応させて後処理し、標記の化合物を収率75%で得た。
融点:161−163℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.9−2.7(m,7H,CH,CH×2),2.66(br−t,4H,J=6Hz,CH×2),3.55(br−s,2H,NH),6.6−7.2(m,5H,Ar−H),7.5−7.7(m,2H,Ar−H)
【0048】[実施例15] [2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−アミノフェニル)(3,4−ジメトキシフェニル)メタノン実施例8(2)で得られた化合物を用い、実施例12と同様に反応させて後処理し、標記の化合物を収率31%で得た。
融点:180−183℃(decomp.)
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.9−2.7(m,7H,CH,CH×2),2.66(br−t,4H,J=6Hz,CH×2),3.55(br−s,2H,NH),6.6−7.2(m,5H,Ar−H),7.5−7.7(m,2H,Ar−H)
【0049】[実施例16] 1−(4−フルオロフェニル)−1−[2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5−アミノフェニル]メタノール実施例14で得られた化合物を用い、実施例10と同様に反応させて後処理し、標記の化合物を収率61%で得た。
融点:198−200℃H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.75(br−s,1H,OH),2.31(s,3H,CH),2.4−2.8(m,8H,CH×4),3.60(br−s,2H,NH),5.75(br−s,1H,Ar−CH),6.37(d,1H,J=3Hz,Ar−H),6.57(dd,1H,J=9,3Hz,Ar−H),6.8−7.5(m,5H,Ar−H)
【出願人】 【識別番号】000002831
【氏名又は名称】第一製薬株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月5日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−80141
【公開日】 平成11年(1999)3月26日
【出願番号】 特願平9−240574