| 【発明の名称】 |
β−カルバモイルイソ酪酸類及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】榎本 兼彦
【氏名】尾崎 英司
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| 【要約】 |
【課題】医薬品や農薬などの有効な製造中間体であるβ−カルバモイルイソ酪酸類と、その製造方法を提供することにある。
【解決手段】一般式(1):H2NOCCH2C*H(CH3)COOR1 (式中、R1は水素又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。*が付された炭素原子は不斉炭素原子である。)で表される、β−カルバモイルイソ酪酸類。一般式(2):NCCH2C*H(CH3)COOR1 (式中、R1前記のとおりである。)で表されるβ−シアノイソ酪酸類を、ニトリルヒドラターゼ又はニトリルヒドラターゼ生産能を有する微生物の培養物、菌体もしくは菌体処理物の存在下で水和することを特徴とする、β−カルバモイルイソ酪酸類の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(1):H2NOCCH2C*H(CH3)COOR1 (1) (式中、R1は水素又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。*が付された炭素原子は不斉炭素原子である。)で表される、β−カルバモイルイソ酪酸類。 【請求項2】 光学活性である、請求項1に記載のβ−カルバモイルイソ酪酸類。 【請求項3】 一般式(2):NCCH2C*H(CH3)COOR1 (2) (式中、R1は水素又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。*が付された炭素原子は不斉炭素原子である。)で表されるβ−シアノイソ酪酸類を、ニトリルヒドラターゼ、又はニトリルヒドラターゼ生産能を有する微生物の培養物、菌体もしくは菌体処理物の存在下で水和することを特徴とする、請求項1又は2に記載のβ−カルバモイルイソ酪酸類の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品、農薬等の製造中間体として有用な、β−カルバモイルイソ酪酸類及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】β−置換イソ酪酸類としては、例えばβ−シアノイソ酪酸類が知られている(米国特許第3,644,467号公報,米国特許第3,644,468号公報、特開平9−67330号公報、英国特許第808,835号公報、米国特許第2,810,742号公報、特開平8−67330号公報等参照)。しかしながら、β−カルバモイルイソ酪酸類及びその製造方法については知られていない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、β−カルバモイルイソ酪酸及びその製造方法を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、β−シアノイソ酪酸類のシアノ基を水和してアミドに変換する能力、すなわちニトリル水和能を有する微生物を見い出し、本発明を完成した。 【0005】即ち、本発明は、一般式(1):H2NOCCH2C*H(CH3)COOR1 (1) (式中、R1は水素又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。*が付された炭素原子は不斉炭素原子である。)で表される、β−カルバモイルイソ酪酸類である。 【0006】また、本発明は、一般式(2):NCCH2C*H(CH3)COOR1 (2) (式中、R1は水素又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。*が付された炭素原子は不斉炭素原子である。)で表されるβ−シアノイソ酪酸類を、ニトリルヒドラターゼ、又はニトリルヒドラターゼ生産能を有する微生物の培養物、菌体もしくは菌体処理物の存在下で水和することを特徴とする、上記一般式(1)に記載のβ−カルバモイルイソ酪酸類の製造方法である。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。一般式(1)及び(2)において、R1 で表される炭素原子数1〜6のアルキル基は、直鎖状及び分岐状のいずれの構造でもよい。具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert−ブチル、イソブチル、n-ペンチル等が例示される。 【0008】また、本発明のβ−カルバモイルイソ酪酸類には、ラセミ体β−カルバモイルイソ酪酸類のみならず、光学活性β−カルバモイルイソ酪酸類も含まれる。この光学活性β−カルバモイルイソ酪酸類は、特に光学活性医薬、光学活性農薬等の有効な製造中間体である。 【0009】本発明のβ−カルバモイルイソ酪酸類の製造には、原料として上記一般式(2)で表されるβ−シアノイソ酪酸類を用いる。原料としてラセミ体β−シアノイソ酪酸類を用いた場合、ラセミ体β−カルバモイルイソ酪酸類が得られる。また、原料として光学活性β−シアノイソ酪酸類を用いた場合、光学活性β−カルバモイルイソ酪酸類が得られる。 【0010】ラセミ体β−シアノイソ酪酸類は、従来公知の一般的な方法で製造することができる。例えば、ラセミ体β−シアノイソ酪酸メチルは、メチルメタクリレートと青酸をアルカリ性触媒存在下で反応させることにより製造することができる(英国特許第808,835号公報、米国特許第2,810,742号公報、米国特許第3,644,467号公報、特開平8−291158号公報、特開平9−67330号公報)。また、ラセミ体β−シアノイソ酪酸は、例えば、ラセミ体β−シアノイソ酪酸メチルエステルをエステル加水分解酵素により加水分解することによって製造することができる。 【0011】光学活性β−シアノイソ酪酸類は、ラセミ体β−シアノイソ酪酸エステルを、エステル不斉加水分解酵素、又は該酵素生産能を有する微生物の培養物、菌体もしくは菌体処理物の存在下で不斉加水分解することにより製造することができる。以下、光学活性β−シアノイソ酪酸類の製造方法を説明する。 【0012】使用するエステル不斉加水分解酵素は、ラセミ体β−シアノイソ酪酸エステルのエステル結合を不斉加水分解する活性を有するものであれば酵素の種類、その製造源を問わない。そのような酵素には、リパーゼ、エステラーゼ及びプロテアーゼ類が含まれる。酵素としては、例えば、エステル不斉加水分解酵素生産能を有する微生物由来の酵素を用いることができる。エステル不斉加水分解能を有する微生物の代表的なものとしては、シュードモナス(Pseudomonas) 属、及びエシェリキア(Escherichia)属に属する微生物が挙げられる。具体的には、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)FERM BP-3846、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)FERM BP-3835等が挙げられる。尚、エシェリキア・コリ FERM BP-3835 は、シュードモナス・プチダ FERM BP-3846 由来のエステラーゼをコードする遺伝子によって形質転換された株である。 【0013】上記微生物の培養は、液体培地でも固体培地でも行うことができる。培地としては、微生物が通常資化しうる炭素源、窒素源、ビタミン、ミネラルなどの成分を適宜配合したものが用いられる。微生物の加水分解能を向上させるため、培地にエステルを少量添加することも可能である。培養は、微生物が生育可能である温度、pHで行われるが、使用する菌株の最適培養条件で行えばよい。微生物の生育を促進させるため、通気攪拌を行ってもよい。 【0014】また、精製されたエステル不斉加水分解酵素はもちろんのこと、上記のエステル不斉加水分解酵素生産能を有する微生物を培地中で培養して得られる培養物をそのままか、又は該培養物から遠心分離等の集菌操作によって得られる菌体若しくはその菌体処理物を用いることもできる。菌体処理物としては、アセトン、トルエン等で処理した菌体、凍結乾燥菌体、菌体破砕物、無細胞抽出物、無細胞抽出物からゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー等の分離操作により得られる粗酵素等が挙げられる。微生物菌体又は酵素は、架橋したアクリルアミドゲルなどに包括固定化したり、イオン交換樹脂、ケーソー土等の固体担体に物理的、化学的に固定化して用いることができる。これにより反応を行った後に回収再利用することが容易になる。 【0015】エステル不斉加水分解酵素としては市販品を用いることができる。具体的には、リパーゼOF(商品名、名糖産業社製、キャンディダ属由来)、デュラザイム(商品名、NOVO社製、バシラス属由来)、サビナーゼ(商品名、NOVO社製、バシラス属由来)、Flavourzyme MG(商品名、NOVO社製、アスペルギルス属由来)、リパーゼA-6 (商品名、天野製薬社製、アスペルギルス属由来)、リパーゼM(商品名、天野製薬社製、ムコール属由来)、ニューラーゼF(商品名、天野製薬社製、リゾプス属由来)、Lipase type VII (商品名、SIGMA社製、キャンディダ属由来)、Acylase I (商品名、SIGMA社製、アスペルギルス属由来)、Tripsin type II (商品名、SIGMA社製、ブタ膵臓由来)、Protease type XVI (商品名、SIGMA社製、バシルス属由来)、Palatase(商品名、NOVO社製)等を用いることができる。 【0016】ラセミ体β−シアノイソ酪酸エステルの光学選択的な加水分解は、以下のようにして行うことができる。すなわち、反応媒体に基質であるラセミ体β−シアノイソ酪酸エステルを添加して溶解乃至懸濁し、触媒である酵素又は微生物の培養物等を加える。ただし、この触媒は、基質を反応媒体に添加する前に加えてもよい。そして、反応温度及び必要により反応液のpHを制御しながらラセミ体β−シアノイソ酪酸エステルの加水分解反応を行う。この加水分解反応は基質の半量程度が反応するまで行うが、場合によっては、基質の半量未満で反応を終了したり、基質の半量を超えて過剰に反応させることもある。 【0017】反応媒体としては、例えばイオン交換水、緩衝液等が用いられる。反応液中の基質濃度は0.1〜70重量%の範囲であれば特に制限はないが、基質となるラセミ体β−シアノイソ酪酸エステルの溶解度、反応性などを考慮すると5〜40重量%の範囲であるのが好ましい。反応温度は、好ましくは5〜70℃であり、より好ましくは20〜60℃である。 【0018】反応液のpHは用いる酵素又は微生物の不斉加水分解能の至適pHに依存するが、一般的にはpH6〜8の範囲内で実施すると化学的加水分解反応による光学純度の低下を抑えることができるので好ましい。反応が進行するに従って、生成したカルボン酸により反応液のpHが低下してくるので、適当な中和剤で最適pHに維持しながら反応を行うことが望ましい。尚、以上のような基質濃度、媒体、温度、pH及びその他の反応条件は、反応収率、光学収率等を考慮して目的とする光学活性化合物が有利に得られる条件を適宜選択することが望ましい。 【0019】このような不斉加水分解反応により、光学活性β−シアノイソ酪酸が生成する。また、未反応の残存基質は、生成した光学活性β−シアノイソ酪酸の対掌体を主成分とする光学活性β−シアノイソ酪酸エステルとなる。 【0020】反応終了後、反応液から、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶剤で抽出することにより、光学活性β−シアノイソ酪酸エステルを分離することができる。その際、予め、触媒として使用した微生物菌体、酵素等を遠心分離、濾過などの操作により除去し、その後に溶剤抽出を行うことで抽出操作をより容易に行うことができる。一方、抽出残液を硫酸、塩酸などの酸でpH1〜2とした後に、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶剤で抽出することによりその対掌体である光学活性β−シアノイソ酪酸を得ることができる。抽出された生成物と溶媒は、蒸留等の公知の方法により容易に分離できる。 【0021】本発明のβ−カルバモイルイソ酪酸類の製造に用いるニトリルヒドラターゼは、原料である上記一般式(2)で表されるβ−シアノイソ酪酸類のシアノ基を水和してアミドに変換する能力(ニトリル水和能)を有するものであれば、酵素の種類、その製造源を問わない。ニトリルヒドラターゼとしては、例えば、ニトリルヒドラターゼ生産能を有する微生物由来のものも用いることができる。 【0022】そのようなニトリルヒドラターゼ生産能を有する微生物の代表的なものとしては、コリネバクテリウム(Corynebacterium )属、ノカルディア(Nocardia)属、シュードモナス(Pseudomonas) 属、バチルス(Bacillus)属、バクテリディウム(Bacteridium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、マイクロコッカス(Micrococcus)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、エルウィニア(Erwinia)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、ストレプトミセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属等に属する微生物が挙げられる。 【0023】コリネバクテリウム(Corynebacterium )属に属する微生物としては、例えば、コリネバクテリウム sp.(FERM P−4445)(特公昭56―17918号公報参照)等が挙げられる。 【0024】ノカルディア(Nocardia)属に属する微生物としては、例えば、ノカルディアsp.(FERM P−4447)(特公昭56―17918号公報参照)等が挙げられる。 【0025】シュードモナス(Pseudomonas) 属に属する微生物としては、例えば、シュードモナス sp.(FERMP−6220)(特公昭59―37951号公報参照)等が挙げられる。 【0026】バチルス(Bacillus)属に属する微生物としては、例えば、バチルス sp.(FERM P−2717)(特公昭62−21519号公報参照)等が挙げられる。 【0027】バクテリディウム(Bacteridium)属に属する微生物としては、例えば、バクテリディウム sp.(FERM 2719)(特公昭62−21519号公報参照)等が挙げられる。 【0028】ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属する微生物としては、例えば、ブレビバクテリウム sp.(FERM P−2721)等が挙げられる。 【0029】マイクロコッカス(Micrococcus)属に属する微生物としては、例えば、マイクロコッカス sp.(FERM P−2720)(特公昭62−21519号公報参照)等が挙げられる。 【0030】ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物としては、例えば、ロドコッカス sp.(FERM P−1046)(特開昭62―91189号公報参照)等が挙げられる。 【0031】エアロモナス(Aeromonas)属に属する微生物としては、例えば、エアロモナス sp.(FERM P−12389)(特開平5―30983号公報参照)等が挙げられる。 【0032】シトロバクター(Citrobacter)属に属する微生物としては、例えば、シトロバクター フロインディイ(Citrobacter freundii)(FERM P−12390)(特開平5―30984号公報参照)等が挙げられる。 【0033】アグロバクテリウム(Agrobacterium)属に属する微生物としては、例えば、アグロバクテリウム チュメフェイシェンス(Agrobacterium tumefaciens) (IAM 13129)(特開平5―103681号公報参照)等が挙げられる。 【0034】エルウィニア(Erwinia)属に属する微生物としては、例えば、エルウィニアニグリフルエンス(Erwinia nigrifluens) (MAFF 03−01435)(特開平5―161496号公報参照)等が挙げられる。 【0035】エンテロバクター(Enterobacter)属に属する微生物としては、例えば、エンテロバクター sp.(FERM BP−3955)(特開平5―236975号公報参照)等が挙げられる。 【0036】ストレプトミセス(Streptomyces)属に属する微生物としては、例えば、ストレプトミセス sp.(FERM BP−3954)(特開平5―236976号公報参照)等が挙げられる。 【0037】リゾビウム(Rhizobium)属に属する微生物としては、例えば、リゾビウムロッティ(Rhizobium loti)(IAM 13588)(特開平5―236977号公報参照)等が挙げられる。 【0038】上記のニトリル水和能を有する微生物の培養は、液体培地でも固体培地でも行うことができる。培地としては、微生物が通常資化しうる炭素源、窒素源、ビタミン、ミネラル等の成分を適宜配合したものが用いられる。微生物のニトリル水和能を向上させるため、適宜培地にニトリル、アミド、有機酸または尿素を少量添加することも可能である。培養は、微生物が生育可能である温度、pHで行われるが、使用する菌株の最適培養条件で行えばよい。微生物の生育を促進させるため、通気攪拌を行ってもよい。 【0039】また、本発明においては、精製酵素はもちろんのこと、上記のニトリルヒドラターゼ生産能を有する微生物を培地中で培養して得られる培養物をそのままか、又は該培養物から遠心分離等の集菌操作によって得られる菌体若しくはその処理物を用いることもできる。菌体処理物としては、アセトン、トルエン等で処理した菌体、凍結乾燥菌体、菌体破砕物、無細胞抽出物、無細胞抽出物からゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー等の分離操作により得られる粗酵素等が挙げられる。また、微生物菌体又は酵素は、架橋したアクリルアミドゲル等に包括固定化したり、イオン交換樹脂、ケーソー土等の固体担体に物理的、化学的に固定化して用いることができる。これにより反応を行った後に回収再利用することも容易になる。 【0040】一般式(2)で表されるβ−シアノイソ酪酸類のニトリル水和は、以下のようにして行うことができる。すなわち、反応媒体に基質であるβ−シアノイソ酪酸類を添加して溶解乃至懸濁し、触媒であるニトリルヒドラターゼ又は微生物の培養物等を加える。ただし、触媒は、基質を反応媒体に添加する前に加えてもよい。そして、反応温度及び必要により反応液のpHを制御しながらβ−シアノイソ酪酸類の水和反応を行う。反応媒体としては、例えばイオン交換水、緩衝液等が用いられる。 【0041】反応液中の基質濃度は0.1〜70重量%の間であれば特に制限はないが、基質であるβ−シアノイソ酪酸類の溶解度、生産性等を考慮すると5〜40重量%で行うのが好ましい。反応温度は、好ましくは5〜70℃であり、より好ましくは20〜60℃である。反応液のpHは用いる酵素又は微生物の水和能の至適pHに依存するが、一般的にはpH6〜9の範囲内で実施することが好ましい。 【0042】反応終了後、適切な方法により生成したβ−カルバモイルイソ酪酸類を反応液から抽出する。具体的には、得られる化合物がβ−カルバモイルイソ酪酸エステルの場合には、ヘキサン、酢酸エチル等の溶剤で抽出し、得られる化合物がβ−カルバモイルイソ酪酸の場合には、硫酸、塩酸等の酸でpH1〜2とした後に、酢酸エチル等の溶剤で抽出する。この際、予め触媒として使用した微生物菌体、酵素等を遠心分離、濾過等の操作により除去した後に溶剤抽出を行うことで抽出操作をより容易に行うことができる。抽出された生成物と溶媒は、蒸留等の公知の方法により容易に分離できる。 【0043】 【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。 〔実施例1〕 ラセミ体β−カルバモイルイソ酪酸メチルエステルの合成ロドコッカス ロドクロス(Rhodococcus rhodochrous) IFO15564株を下記の培地(50ml)で30℃にて2日間培養した。 培地 グルコース 1.5%リン酸一カリウム 0.05%リン酸二カリウム 0.05%硫酸マグネシウム 0.05%酵母エキス 0.1%ε−カプトラクタム 0.5%pH 7.2【0044】培養終了後、培養液を遠心分離し、得られた菌体の全量をイオン交換水で洗浄したのち、50mMリン酸緩衝液(pH7.5) 100mlに懸濁した。この菌体懸濁液50mlにラセミ体β−シアノイソ酪酸メチルエステルを 2.5g添加し、30℃で20時間反応させた。反応終了後、遠心分離により菌体を除去した後、酢酸エチル20mlで2回抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、酢酸エチルを留去した。このようにして、 2.5g のラセミ体β−カルバモイルイソ酪酸メチルエステルの結晶を得た。 【0045】得られたラセミ体β−カルバモイルイソ酪酸メチルエステルについて、高速液体クロマトグラフィー(カラム:ODS-120-A (東ソー社製)、移動層:10%メタノール、流速:0.5ml/min )で純度を測定したところ、98%であった。以下に得られた化合物の物性値を示す。 【0046】(1H−NMRスペクトル(図1)) 溶媒:CDCl3 、内部標準:TMSδH .09 〜1.12(3H, d,−CH3 ) δH .19 〜2.27(1H, m,−CH2 −) δH .43 〜2.52(1H, m,−CH2 −) δH .73 〜2.86(1H, m,−CH−) δH .83, 7.36 (2H, s,−NH2 ) 【0047】(13C−NMRスペクトル(図2)) 溶媒:CDCl3 、内部標準:TMSδc 6.72 (−CH3 ) δc 5.47 (−CH2 −) δc 8.46 (−CH−) δc 1.45 (−CH3 ) δc 72.90 (−COOCH3 ) δc 75.86 (−COONH2 ) 【0048】〔実施例2〕 ラセミ体β−カルバモイルイソ酪酸の合成ラセミ体β−シアノイソ酪酸 2.5gを純水10mlに溶解し、5N苛性ソーダにてpH=7.5 に調整した。この溶液に、実施例1と同様にして調製した菌体懸濁液50mlを添加し、30℃で40時間反応させた。反応終了後遠心分離により菌体を除去し、硫酸でpHを 1.0に調整後、酢酸エチル20mlで2回抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去した。このようにして、 2.4gのラセミ体β−カルバモイルイソ酪酸を得た。 【0049】得られたラセミ体β−カルバモイルイソ酪酸について、高速液体クロマトグラフィー(カラム:ODS-120-A (東ソー社製)、移動層:10%メタノール、流速:0.5ml/min )で純度を測定したところ、62%であった。以下に得られた化合物の物性値を示す。 【0050】(1H−NMRスペクトル) 溶媒:CDCl3 、内部標準:TMSδH .039〜1.063 (3H, w,−CH3 ) δH .201〜2.552 (2H, m,−CH2 −) δH .64 〜3.58 (1H, m,−CH−) δH .781〜7.352 (2H, w,−NH2 ) δH 2.084 (1H, s,−OH) 【0051】(13C−NMRスペクトル) 溶媒:CDCl3 、内部標準:TMSδc 7.887 (−CH3 ) δc 5.678 (−CH2 −) δc 7.481 (−CH−) δc 73.289(−COONH2 ) δc 77.200(−COOH) 【0052】〔実施例3〕 光学活性(S)−β−カルバモイルイソ酪酸誘導体の合成エシェリキア・コリ(Escherichia coli)FERM BP 3835を、アンピシリン50μg/mlを含むLB培地(1%ポリペプトン、0.5 %酵母エキス、0.5 %NaCl)50ml×2本に植菌し、37℃で24時間振盪培養した。培養終了後、培養液を遠心分離し、得られた菌体の全量をイオン交換水で洗浄したのち、 100mMリン酸緩衝液(pH7.0) 100mlに懸濁した。この菌体懸濁液にラセミ体β−シアノイソ酪酸メチルエステルを4g添加し、30℃で20時間反応させた。この間、反応液のpHを、1NのNaOH水溶液を用いて 7.0に調整した。反応終了後、遠心分離により菌体を除き、未反応のβ−シアノイソ酪酸メチルを酢酸エチルで抽出した。有機相に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、溶媒を蒸発留去した。このようにして、 1.0gの光学活性β−シアノイソ酪酸メチルエステルを得た。 【0053】得られた光学活性β−シアノイソ酪酸メチルエステルについて、高速液体クロマトグラフィー(カラム:Chiralpak AS(ダイセル社製)、移動層:ヘキサン/イソプロパノール/TFA=90/10/0.1 、流速:0.5ml/min )で光学純度を測定したところ、(S)体97.0%e.e.であった。 【0054】実施例1と同様にして調製した菌体懸濁液20mlに、上記の(S)−β−シアノイソ酪酸メチルエステル1gを加え、30℃で20時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル20mlで2回抽出し、抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去した。このようにして、0.98gの(S)−β−カルバモイルイソ酪酸メチルエステルを得た。 【0055】得られた(S)−β−カルバモイルイソ酪酸メチルエステルについて、高速液体クロマトグラフィー(カラム:ODS-120-A (東ソー社製)、移動層:10%メタノール、流速:0.5 ml/min)で純度を測定したところ93%であった。また、高速液体クロマトグラフィー(カラム:Chiralpak AS(ダイセル社製)、移動層:ヘキサン/イソプロパノール/TFA=90/10/0.1 、流速:0.5 ml/min)で光学純度を測定したところ、(S)体97%e.e.であった。 (比旋光度) [α] D 24.5=−8.72°(neat)【0056】 【発明の効果】本発明によれば、各種医薬品、農薬などの製造中間体として有用な、β−カルバモイルイソ酪酸類が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006035 【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月12日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−80103 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−248865 |
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