トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 地点検知試験装置
【発明者】 【氏名】都志 正淳

【氏名】谷口 博

【氏名】杉原 司

【氏名】松澤 勇

【要約】 【課題】地点検知試験において地点検知試験器とATC動作自動試験器を長尺なケーブルを用いることなく接続することができるべく小型軽量な構成とし、可搬型の試験装置が可能となることにより専用検査倉以外の実際の列車軌道においても地点検知試験が行える地点検知試験装置の提供を目的とする。

【解決手段】列車の他方端の車輌のATC車上装置に接続されたATC動作自動試験器3が、試験開始信号を試験開始信号発信器4に送ると、試験開始信号発信器4は乗務員室に配置された連絡電話5を利用して特定の音声信号を発生する。列車の一方端の車輌に配置された地点検知試験器2が、連絡電話5からの特定の音声信号をマイクロフォンで一定時間検知すると、試験コイル1に所定のコンデンサ成分を接続してLC回路を閉成し、これにより発振回路の発振周波数を変周させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 列車の一方端の車輌に配設されている地点検知コイルが一部を構成する発振回路の発振周波数を共振周波数に変周させる試験コイルを接続し、表面に備えた音声受信手段が特定周波数の音声信号を一定時間受信すると上記地点検知コイルを変周させるべく上記試験コイルを駆動する地点検知試験器と、上記列車の他方端の車輌に搭載されているATC車上装置に接続して該ATC車上装置の動作を試験するATC動作自動試験器と、上記一方端の車輌の乗務員室に配置されたスピーカと連通してなる上記他方端の車輌の乗務員室に配置された連絡電話の送話器に上記ATC動作自動試験器からの試験開始信号を受けて上記特定周波数の音声信号を一定時間送出する音声発生手段を備えた試験開始信号発信器とからなることを特徴とする地点検知試験装置。
【請求項2】 地点検知試験器にスピーカから発せられる音声信号の受信感度を調整する感度調整手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の地点検知試験装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、列車速度を自動的に制御する自動列車制御装置、すなわちATCに関連して列車に搭載されている地点検知コイルを試験するための試験装置に係り、特に試験のセッティングが容易で小型軽量化することのできる地点検知試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】新幹線に搭載されているATCに関連する車上装置の一つとして、車上子として地点検知コイルをアンテナとして地上に向け、そのL(コイル成分)を一部としてLとC(コンデンサ成分)の発振回路を備えた地点検知装置があり、この発振回路は常時94KHzを発振している。一方、軌道における特定の地点にはLC回路からなる特定の共振周波数を有する地上子(コイル)が、ここを通過する列車の車上子である地点検知コイルと向き合うように配置されている。この地上子は、この地点を通過する列車に対して伝える情報内容の違いにより大まかに言ってW、X、Y、Zの種類があり、それぞれが異なった共振周波数を有している。そして、地上子のコイルと車上子の地点検知コイルとが向き合って結合することで、地点検知コイルの発振回路のLC成分が変化し、発振回路の発振周波数を変化(これを変周という)させるものである。例えば、ATC停止制御の目的で設置されているY点を列車が通過すると、地点検知装置の発振回路の発振周波数はY点の地上子の共振周波数に相当する124KHzに変周し、地点検知装置は変化した周波数を検知してATCに情報出力するものである。
【0003】ATC試験の中には、上記Y点を一定の速度条件下で続けてY−Yと通過した場合にATCが所定の動作をするかを試験する地点検知試験がある。車上子である地点検知コイルの下方には、地上子を模擬して変周させるための試験コイルがセットされるとともに、試験コイルにはこれを開閉駆動してLC回路を閉成する地点検知試験器が接続される。、そして、ATC車上装置にはATC動作自動試験器が接続され、ATC動作自動試験器から地点検知試験器に各試験ごとに試験開始の信号を送出することで、地点検知コイルを変周させてATC動作試験を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この地点検知装置の地点検知コイルは、新幹線の一方端の1号車にのみ搭載されているのに対し、ATC車上装置は、上りと下りの各専用に一方端の1号車と他方端の例えば16号車に搭載されている。そして、1号車のATC車上装置を試験する際には、地点検知コイルを変周させる地点検知試験器とATC車上装置に接続するATC動作自動試験器とが近いためそれぞれをケーブル接続することは容易であるが、16号車のATC車上装置を試験する際には、ATC車上装置を試験するための専用検査倉であっても、1号車の地点検知コイルと16号車のATC車上装置との間の約400メートルの距離をきわめて長尺なケーブルで接続するという多大な手間と労苦を余儀なくされていた。
【0005】また、災害時等の緊急の際には、専用検査倉以外の実際の列車軌道においても地点検知試験を行えることが望まれており、可搬型とすべく試験器については小型軽量化することは可能であるものの、地点検知試験器とATC動作自動試験器を接続するための400メートルという長尺なケーブルが存在する限りは可搬型とすることは不可能なことであった。
【0006】そこで本発明は、地点検知試験においてATC動作自動試験器から地点検知試験器へ試験開始の信号を送るのに長尺なケーブルを用いる必要をなくした小型軽量な構成とし、可搬型の試験装置が可能となることにより専用検査倉以外の実際の列車軌道においても地点検知試験が行える地点検知試験装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の地点検知試験装置は、列車の一方端の車輌に配設されている地点検知コイルが一部を構成する発振回路の発振周波数を共振周波数に変周させる試験コイルを接続し、表面に備えた音声受信手段が特定周波数の音声信号を一定時間受信すると上記地点検知コイルを変周させるべく上記試験コイルを駆動する地点検知試験器と、上記列車の他方端の車輌に搭載されているATC車上装置に接続して該ATC車上装置の動作を試験するATC動作自動試験器と、上記一方端の車輌の乗務員室に配置されたスピーカと連通してなる上記他方端の車輌の乗務員室に配置された連絡電話の送話器に上記ATC動作自動試験器からの試験開始信号を受けて上記特定周波数の音声信号を一定時間送出する音声発生手段を備えた試験開始信号発信器とからなることを特徴とするものである。
【0008】また、地点検知試験器にスピーカから発せられる音声信号の受信感度を調整する感度調整手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の地点検知試験装置による試験状態を示し、図中1は列車の一方端の車輌(1号車)に搭載されている地点検知コイルに対向して配置され、この発振回路の発振周波数を共振周波数に変周させるべく配置された試験コイル、2は常には電気的に開放されている試験コイル1に試験開始信号によりコンデンサを接続してLC回路を閉成し、地点検知コイルが一部を構成している発振回路の発振周波数を変化させる地点検知試験器、3は列車の他方端の車輌(16号車)に搭載されているATC車上装置に接続され、上記発振回路の変周による作動(非作動)をチェックするATC動作自動試験器、4はATC動作自動試験器3に接続しこれからの試験開始信号を受けて特定周波数の音声信号を発生する試験開始信号発信器、5はATC試験を行う列車の両端車輌の乗務員室間で通話するために配置された連絡電話で、6はその送受話器、7は備え付けのスピーカである。
【0010】地点検知試験器2は、商用電源以外に車内インバータ電源も使用できる小型な可搬型形状であり、地点検知コイルが搭載されている一方端の車輌の乗務員室内に配置される。そしてその正面パネルには、図2に示すごとく、地点検知試験の各種試験に応じた信号電流の種類とその時間を設定するためのスイッチ、商用電源と車内インバータ電源の2種の電源のどちらかを選択するスイッチ、そしてマイクロフォン8とその感度調整手段9等を備えている。この感度調整手段9としては、例えば調整ボリュームを回転してランプが2つ点灯する位置が好適な調整ポイントであると知らせる構成とする。地点検知試験器2に感度調整手段9を設けることにより、試験開始信号を音声で伝送する際の微妙なセッティング等が必要なくなる。
【0011】ATC動作自動試験器3も、地点検知試験器2と同様に車内インバータ電源を使用することもできる小型な可搬型形状で、本実施例にあっては他方端の車輌に搭載されているATC車上装置に接続されている。
【0012】試験開始信号発信器4は、その上に連絡電話4の送受話器6を載置する構造を有し、特に送話器6aを係合する係合部10の下部には、スピーカ等の音声発生手段11を備えている。そして、ATC動作自動試験器3から試験開始信号を受けると、400Hzの音声信号を一定時間、例えば10秒間発信する。この音声信号の発信周波数は、車輌内の1KHzの警報音による誤動作を避けるべく適宜に設定し、また発信時間は1秒間以下と短時間に設定した場合にはノイズによる誤動作が考えられるので、適宜な長さに設定する必要がある。
【0013】このような構成からなる本発明の地点検知試験装置について、その一連の動作を説明する。まず、ATC動作自動試験器3から地点試験を開始する信号を試験開始信号発信器4に送ると、試験開始信号発信器4は、音声発生手段11から400Hzの音声信号を10秒間発信する。この400Hzの音声信号は、連絡電話4を通じて送話器6a(1号車)からスピーカ7(16号車)へ送られ、このスピーカ7が備え付けられている乗務員室内に響き渡る。そして地点検知試験器2は、マイクロフォン8を通じて400Hzの音声信号を10秒間受信検知すると、試験コイル1に対して予め設定されている試験モードに応じた容量のコンデンサ成分を接続してLC回路を閉成するものである。地点検知試験器2は、マイクロフォン8が乗務員室内のスピーカ7から発せられる音声信号を集音しやすい好適な位置にセッティングすることが好ましい。
【0014】これにより、地点検知コイルの発振回路が所定の共振周波数に変周し、これに応じたATCの動作(非動作)をATC動作自動試験器3がチェックするものである。
【0015】尚、本発明の地点検知試験装置にあっては、地点検知試験器2を列車の一方端の車輌(1号車)に搭載されている地点検知コイルに接続し、ATC動作自動試験器3を列車の他方端の車輌(16号車)に搭載されているATC車上装置に接続するものとして説明したが、ATC動作自動試験器3は当然のことながら列車の一方端の車輌(1号車)に搭載されているATC車上装置に接続することもでき、この場合には連絡電話5を使用しなくても、地点検知試験器2とATC動作自動試験器3は同じ車輌に配置されることから、長尺なケーブルや連絡電話がなくとも試験を行うことができる。
【0016】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明の地点検知試験装置によれば、地点検知試験においてATC動作自動試験器から地点検知試験器へ試験開始の信号を送るために、従来必要であった列車を挿通する長尺なケーブルを不要とし、代わりに列車に配置されている連絡電話を利用する構成とすることで、地点検知試験のセッティングがきわめて容易に行え、かつ地点検知試験装置全体として小型軽量な構成とすることができる。これにより、可搬型の地点検知試験装置が実現可能となり、そして従来であれば専用検査倉以外では行えなかった地点検知試験が、実際の列車軌道においても容易に行えることとなる。
【0017】また、地点検知試験器にスピーカから発せられる音声信号の受信感度を調整する感度調整手段を設けることで、地点検知試験器を乗務員室内に設置する際のスピーカとの位置関係や、試験開始信号発信器から発する音声信号のレベルを厳密に設定する必要がなくなって、容易に地点検知試験器の設定が行える。
【出願人】 【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
【識別番号】000122690
【氏名又は名称】岡谷電機産業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 敏郎
【公開番号】 特開平11−341613
【公開日】 平成11年(1999)12月10日
【出願番号】 特願平10−162956