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【発明の名称】 ハイブリッド車両の制御装置
【発明者】 【氏名】矢野 亨

【氏名】玉川 裕

【氏名】青木 滋

【氏名】茨木 茂

【氏名】橘高 栄治

【要約】 【課題】発電電動機と電力授受を行う蓄電装置の放電時における端子間電圧の過大な低下や充電時における端子間電圧の過大な上昇を防止し、蓄電装置が保持する電気エネルギーを発電電動機の電動機としての動作のために可能な限り有効に活用することができ、また、発電電動機の発電エネルギーを蓄電装置を保護しつつ可能な限り該蓄電装置に充電することができるハイブリッド車両の制御装置を提供する。

【解決手段】発電電動機2の発電機あるいは電動機としての動作時の蓄電装置5の充放電電流Ibが蓄電装置5の蓄電量と温度Tbとに応じて定めた制限値以下に収まるように発電電動機2の動作を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車両の推進源であるエンジンと、該エンジンの出力を補助する補助出力を蓄電装置の電源エネルギーから生成する電動機としての動作と前記蓄電装置に充電する発電エネルギーを生成する発電機としての動作とを行う発電電動機と、該発電電動機の動作制御を行う発電電動機制御手段とを備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記発電電動機制御手段は、前記発電電動機の電動機又は発電機としての動作時における前記蓄電装置の通電電流が前記蓄電装置の蓄電量に応じて定めた所定の制限値以下に収まるように前記発電電動機の動作を制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】前記発電電動機制御手段は、前記発電電動機の電動機としての動作時における前記制限値を、前記蓄電装置の蓄電量が多い程、高くなるように定めることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】前記発電電動機制御手段は、前記発電電動機の発電機としての動作時における前記制限値を、前記蓄電装置の蓄電量が多い程、低くなるように定めることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】前記発電電動機制御手段は、前記制限値を前記蓄電装置の蓄電量と該蓄電装置の温度とに応じて定めることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】前記蓄電装置は電気二重層コンデンサにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パラレル型のハイブリッド車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】パラレル型のハイブリッド車両は、車両の主たる推進源としてのエンジンと、電動機及び発電機の両者の動作が可能な発電電動機と、この発電電動機との間で電力授受を行うバッテリやコンデンサ等の蓄電装置とを搭載している。そして、例えば車両の加速時に、発電電動機に蓄電装置から給電して該発電電動機を電動機として動作させることで、エンジンの出力(車両推進力)を補助する補助出力(機械的な動力)を発電電動機に生成させる。また、例えば車両の減速時には、該車両の運動エネルギーによって発電電動機を発電機として動作させ(回生発電動作を行う)、その発電電力を蓄電装置に充電するようにしている。
【0003】ところで、前記蓄電装置の正負の端子間に発生する電圧は、該蓄電装置の放電時あるいは充電時には、該蓄電装置の内部抵抗の影響によって変化する。例えば、発電電動機を電動機として動作させる蓄電装置の放電時(発電電動機への給電時)には、蓄電装置の端子間電圧は、蓄電装置の内部抵抗に起因して、定常時の電圧(端子間の開放電圧)よりも低くなる。また、発電電動機を発電機として動作させる蓄電装置の充電時には、蓄電装置の端子間電圧は、蓄電装置の内部抵抗に起因して、定常時の電圧(端子間の開放電圧)よりも高くなる。特に、蓄電装置が例えば電気二重層コンデンサから成る場合には、その内部抵抗が比較的大きいため、上記のような傾向が顕著に現れる。尚、蓄電装置の放電時における端子間電圧の減少分や、充電時における端子間電圧の上昇分は、蓄電装置を流れる電流が大きい程、大きくなる。
【0004】一方、ハイブリッド車両では、発電電動機の電動機としての動作により生成させる補助出力や、発電機としての動作により生成させる発電量は、車速等、車両の運転状態に応じて設定するようにしており、この場合、蓄電装置の放電電流あるいは充電電流は、比較的大電流となることもある。
【0005】ところが、発電電動機を電動機として動作させる蓄電装置の放電時に、該蓄電装置の通電電流(放電電流)が大電流になると、蓄電装置の端子間電圧が該蓄電装置の内部抵抗に起因して大きく低下し、発電電動機を電動機として正常に動作させることが困難なものとなる虞れがある。
【0006】また、発電電動機を発電機として動作させる蓄電装置の充電時に、該蓄電装置の通電電流(充電電流)が大電流になると、蓄電装置の端子間電圧が該蓄電装置の内部抵抗に起因して大きく上昇し、その結果、該蓄電装置に過大な電圧が付与されて該蓄電装置の劣化を生じる虞れがある。
【0007】尚、ハイブリッド車両の運転時等に蓄電装置の端子間電圧を監視し、その端子間電圧が所定の下限電圧よりも低下したときに、発電電動機の電動機としての正常な動作を確保するために蓄電装置から発電電動機への給電を停止(発電電動機の電動機としての動作を停止)したり、あるいは、蓄電装置の端子間電圧が所定の上限電圧よりも大きくなったときに、蓄電装置を保護するために発電電動機の発電機としての動作による蓄電装置の充電を停止する場合もある。
【0008】しかるに、蓄電装置の端子間電圧は、該蓄電装置の放電時には前記のように内部抵抗に起因した電圧低下を生じるため、該蓄電装置が発電電動機を電動機として支障なく動作させ得る程度の電気エネルギーを保持している場合であっても、該端子間電圧が上記下限電圧よりも低下して、発電電動機の電動機としての動作を停止してしまうような状況が生じ易い。そして、このような場合には、蓄電装置が保持しているエネルギーを有効に活用することができなくなってしまう。
【0009】逆に、発電電動機の発電による蓄電装置の充電時には、蓄電装置の端子間電圧が前記のように内部抵抗に起因した電圧上昇を生じるため、例えば車両の減速時の発電に際して該端子間電圧が上記上限電圧よりも上昇して、発電電動機の発電機としての動作(回生発電動作)を停止してしまうような状況が生じ易い。そして、このような場合には、車両の運動エネルギーを蓄電装置に有効に回収することができなくなってしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる背景に鑑み、発電電動機を電動機として動作させる蓄電装置の放電時における端子間電圧の過大な低下を防止し、蓄電装置が保持する電気エネルギーを発電電動機の電動機としての動作のために可能な限り有効に活用することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【0011】また、発電電動機の発電機としての動作による蓄電装置の充電時における端子間電圧の過大な上昇を防止し、発電電動機の発電エネルギーを蓄電装置を保護しつつ可能な限り該蓄電装置に充電することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のハイブリッド車両の制御装置はかかる目的を達成するために、車両の推進源であるエンジンと、該エンジンの出力を補助する補助出力を蓄電装置の電源エネルギーから生成する電動機としての動作と前記蓄電装置に充電する発電エネルギーを生成する発電機としての動作とを行う発電電動機と、該発電電動機の動作制御を行う発電電動機制御手段とを備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記発電電動機制御手段は、前記発電電動機の電動機又は発電機としての動作時における前記蓄電装置の通電電流が前記蓄電装置の蓄電量に応じて定めた所定の制限値以下に収まるように前記発電電動機の動作を制御することを特徴とする。
【0013】かかる本発明によれば、前記発電電動機の電動機としての動作時における前記蓄電装置の通電電流(放電電流)に制限を設けて、該蓄電装置の通電電流を所定の制限値以下に収めることで、該蓄電装置の正負の端子間の電圧が、発電電動機の電動機としての動作時(前記補助出力の生成時)に該蓄電装置の内部抵抗に起因して大きく低下するような事態が回避される。そして、この場合、通電電流の制限値を蓄電装置の蓄電量に応じて定めることで、蓄電装置の端子間電圧を発電電動機の電動機としての正常な動作が可能な電圧にできるだけ保持しつつ、蓄電装置の可能な限り多くの蓄電エネルギーを発電電動機に給電し、該発電電動機の電動機としての動作を行うことが可能となる。
【0014】同様に、前記発電電動機の発電機としての動作時における前記蓄電装置の通電電流(充電電流)に制限を設けて、該蓄電装置の通電電流を所定の制限値以下に収めることで、該蓄電装置の端子間電圧が、発電電動機の発電機としての動作時(蓄電装置の充電時)に該蓄電装置の内部抵抗に起因して大きく上昇し、過大なものとなるような事態が回避される。そして、この場合、通電電流の制限値を蓄電装置の蓄電量に応じて定めることで、蓄電装置の正負の端子間に過大な電圧を付与することなく、発電電動機の可能な限り多くの発電エネルギーを蓄電装置に充電することが可能となる。
【0015】よって本発明によれば、発電電動機を電動機として動作させる蓄電装置の放電時における端子間電圧の過大な低下を防止し、蓄電装置が保持する電気エネルギーを発電電動機の電動機としての動作のために可能な限り有効に活用することができる。また、発電電動機の発電機としての動作による蓄電装置の充電時における端子間電圧の過大な上昇を防止し、発電電動機の発電エネルギーを蓄電装置を保護しつつ可能な限り該蓄電装置に充電することができる。
【0016】かかる本発明では、より具体的には、前記発電電動機制御手段は、前記発電電動機の電動機としての動作時における前記制限値を、前記蓄電装置の蓄電量が多い程、高くなるように定める。
【0017】また、前記発電電動機制御手段は、前記発電電動機の発電機としての動作時における前記制限値を、前記蓄電装置の蓄電量が多い程、低くなるように定める。
【0018】すなわち、蓄電装置の定常的な端子間電圧(蓄電装置の非通電時の端子間電圧)は基本的には蓄電量が多い程、高くなり、逆に蓄電量が少ない程、低くなる。
【0019】従って、発電電動機の電動機としての動作時(蓄電装置の放電時)において、蓄電装置の通電電流の制限値を、前記蓄電装置の蓄電量が多い程(蓄電装置の定常的な端子間電圧が高い程)、高くすることで、蓄電装置の端子間電圧の過大な低下を回避しつつ、蓄電装置の蓄電エネルギーを最大限に発電電動機の電動機としての動作のために活用することができる。
【0020】同様に、発電電動機の発電機としての動作時(蓄電装置の充電時)において、蓄電装置の通電電流の制限値を、前記蓄電装置の蓄電量が多い程(蓄電装置の定常的な端子間電圧が高い程)、低くすることで、蓄電装置の端子間電圧が過大なものとなるのを回避しつつ、発電電動機の発電エネルギーを最大限に蓄電装置に充電することができる。
【0021】本発明では、さらに、前記発電電動機制御手段は、前記制限値を前記蓄電装置の蓄電量と該蓄電装置の温度とに応じて定めることが好ましい。
【0022】すなわち、蓄電装置の充放電時の内部抵抗は、一般に、蓄電装置の温度(蓄電装置の動作環境温度)によって変化する。従って、前記制限値を蓄電装置の蓄電量だけでなく、蓄電装置の温度にも応じたものに定めることによって、上記の作用効果を奏する上で最適な制限値を定めることができる。
【0023】かかる本発明では、前記蓄電装置はバッテリにより構成したものであってもよいが、特に前記蓄電装置が電気二重層コンデンサにより構成されている場合に好適である。これは、電気二重層コンデンサンサは、一般にバッテリに較べて内部抵抗が大きく、その充放電時に端子間電圧の低下あるいは上昇が生じ易いからである。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1乃至図12を参照して説明する。
【0025】図1は本実施形態の制御装置を具備したハイブリッド車両の全体的システム構成を模式化して示しており、図中、1はエンジン、2は発電電動機、3はクラッチ4を含む変速装置、5は蓄電装置、6は車両走行用の駆動輪、7はエンジンコントローラ、8は発電電動機コントローラ、9は変速装置コントローラ、10は蓄電装置コントローラ、11は統括管理コントローラである。
【0026】エンジン1は、車両の主たる推進源であり、その出力を図示しない出力軸(クランク軸)から発電電動機2及び変速装置3を介して駆動輪6に伝達することで、車両を走行させる。
【0027】このエンジン1には、該エンジン1の回転数NEや吸気圧PB、機関温度TW、図示しないスロットル弁(吸気制御弁)の開度θth(以下、スロットル開度θthという)を含むエンジン1の動作状態を検出するための検出装置12(以下、E/Gセンサ12という)が付設されている。このE/Gセンサ12による回転数NE等の検出データはエンジンコントローラ7に与えられる。
【0028】さらに、エンジン1には、これを動作させるための駆動機構として、エンジン1に供給される燃料及び空気の混合気に点火する点火装置13aや、エンジン1に燃料を供給する燃料供給装置13b、スロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータ13cが付設されている。以下、これらの駆動機構13a〜13cを総称的にエンジン駆動装置13と称する。
【0029】発電電動機2は、そのロータ(図示しない)がエンジン1の出力軸に同軸に連結され、また、該発電電動機2の電機子コイル(図示しない)がレギュレータ/インバータ回路等により構成された通電制御回路14(以下、PDU14という)を介して蓄電装置5の正負の端子に電気的に接続されている。
【0030】この発電電動機2は、蓄電装置5に蓄えられている電力をエネルギー源としてエンジン1の出力を補助する補助出力(エンジン1の出力と併せて駆動輪6に伝達する補助的な車両推進力)を生成する電動機としての動作(以下、アシスト動作という)と、車両の減速時に駆動輪6側から伝達される運動エネルギーやエンジン1の出力の一部をエネルギー源として蓄電装置5に充電する電力を発電(回生発電)する発電機としての動作(以下、回生動作という)とを選択的に行うものであり、それぞれの動作は、蓄電装置5との間の電力授受を上記PDU14を介して制御することで行われる。
【0031】また、発電電動機2に付随して、該発電電動機2の電機子コイルの電流Igm及び電圧Vgmを検出するための検出装置15(以下、G/Mセンサ15という)が備えられ、このG/Mセンサ15による検出データは、発電電動機コントローラ8に与えられる。
【0032】蓄電装置5は、電気二重層コンデンサにより構成されたものである。この蓄電装置5に付随して、該蓄電装置5の充放電電流Ib(通電電流)、端子間電圧Vb(蓄電装置5の正負の端子間の発生電圧)、及び温度Tb(蓄電装置5の動作環境温度)をそれぞれ検出するための検出装置16(以下、U/Cセンサ16という)が備えられ、このU/Cセンサ16による検出データは蓄電装置コントローラ10に与えられる。この場合、U/Cセンサ16が検出する充放電電流Ibは、蓄電装置5に流入する充電電流(以下、参照符号Ibcを付する)と蓄電装置5から流出する放電電流(以下、参照符号Ibdを付する)とがあり、該センサ16は、それらの電流Ibc,Ibdを区別して検出可能としている。尚、図示は省略するが、蓄電装置5は、DC/DCコンバータを介して該蓄電装置5よりも低電圧の12V系バッテリやこれを電源とする車載電装品(エアコン装置やオーディオ装置等)にも給電可能とされている。また、本実施形態では蓄電装置5として、電気二重層コンデンサを使用しているが、バッテリ等の二次電池を使用してもよい。
【0033】変速装置3は、クラッチ4の動作によってエンジン1及び発電電動機2と駆動輪6との間の動力伝達を継断したり、その動力伝達の変速を行うものであり、この変速動作やクラッチ4の継断動作を行わしめるアクチュエータ17が付設されている。さらに、該変速装置3には、その動作状態を車両の運転者が設定するための図示しない変速操作レバーの操作ポジションSP等、変速装置3の動作状態を検出する検出装置18(以下、T/Mセンサ18という)が付設され、このT/Mセンサ18の検出データは変速装置コントローラ9に与えられる。
【0034】前記各コントローラ7〜11は、マイクロコンピュータを用いて構成されたものであり、相互に各種のデータ授受を行うことができるようにバスラインBLを介して接続されている。
【0035】これらのコントローラ7〜11のうち、エンジンコントローラ7はエンジン1の動作を前記エンジン駆動装置13を介して制御するコントローラ、発電電動機コントローラ8は発電電動機2の動作を前記PDU14を介して制御するコントローラ、変速装置コントローラ9は変速装置3(クラッチ4を含む)の動作を前記アクチュエータ17を介して制御するコントローラである。
【0036】また、蓄電装置コントローラ10は、前記U/Cセンサ16の検出データ(蓄電装置5の充放電電流Ib、端子間電圧Vb及び温度Tb)に基づき蓄電装置5の蓄電量(残容量)等を逐次把握するコントローラである。
【0037】また、統括管理コントローラ11は、本実施形態のシステムの統括的な動作管理処理を担うコントローラであり、車両の要求される運転状態を把握したり、その把握した運転状態に対応したエンジン1や発電電動機2の目標動作状態(具体的にはエンジン1のスロットル開度θthの指令値や、発電電動機2のアシスト動作時の目標補助出力あるいは回生動作時の目標発電量)を決定して、それをエンジンコントローラ7や発電電動機コントローラ8に指示する等の処理を行う。この統括管理コントローラ8には、その処理を行うために、車速Vcar を検出するセンサ19や車両の図示しないアクセルペダルの操作量Ap(以下、アクセル操作量Apという)を検出するセンサ20の検出データが与えられる。
【0038】尚、本発明の構成に対応させると、発電電動機コントローラ8及び統括管理コントローラ11は発電電動機制御手段に相当するものである。
【0039】次に、本実施形態のハイブリッド車両の走行時の基本的作動を説明する。
【0040】車両の走行時において、前記統括管理コントローラ11は、図2のフローチャートに示すような処理を所定の制御サイクルで行う。
【0041】統括管理コントローラ11は、まず、蓄電装置5の蓄電量のデータを蓄電装置コントローラ10から取得する(STEP2−1)。
【0042】この場合、蓄電装置コントローラ10は、例えば次のように蓄電装置5の蓄電量を逐次把握し、それを統括管理コントローラ11に与える。
【0043】すなわち、蓄電装置コントローラ10は、前記U/Cセンサ16から与えられる蓄電装置5の充放電電流Ib及び端子間電圧Vbの検出値の積(Ib・Vb)、すなわち、蓄電装置5の充放電の電力を所定の制御サイクル毎に求める。尚、このようにして求められる充放電電力(Ib・Vb)は、発電電動機2のアシスト動作時には発電電動機2への供給電力に概ね一致し、回生動作時には発電電動機2の発電電力に概ね一致する。
【0044】さらに、蓄電装置コントローラ10は、U/Cセンサ16から与えられる蓄電装置5の温度Tbの検出データから例えば図7に示すデータテーブルにより蓄電装置5の内部抵抗を求める。そして、この求めた内部抵抗の値と充放電電流Ibとから該内部抵抗による電力消費分(=内部抵抗・Ib2)を求め、その電力消費分に応じて上記の充放電電力(Ib・Vb)を補正することで、蓄電装置5の事実上の充放電電力(蓄電装置5に実際に蓄えられる電力あるいは蓄電装置5が実際に消耗する電力)を求める。具体的には、例えば、蓄電装置5の充電時には、充放電電力(Ib・Vb)から内部抵抗による電力消費分を差し引いたものを蓄電装置5の事実上の充電電力として求め、蓄電装置5の放電時には、充放電電力(Ib・Vb)に、内部抵抗による電力消費分を加算したものが蓄電装置5の事実上の放電電力として求める。尚、このとき、蓄電装置5の放電電力を正極性、充電電力を負極性とする。
【0045】蓄電装置コントローラ10は、このようにして求めた充放電電力に、制御サイクルの周期時間を乗算してなる値(これは各制御サイクルにおける蓄電装置5の充電エネルギー量あるいは放電エネルギー量に相当する)を蓄電装置5の満充電状態から上記制御サイクル毎に積算(累積加算)していくことによって、満充電状態から行われた蓄電装置5の充放電の総エネルギー量(蓄電装置5が放電したエネルギーの総量から充電されたエネルギーの総量を差し引いたもの)が求められる。そして、蓄電量把握処理部21は、このようにして求めた充放電の総エネルギー量を、蓄電装置5がその満充電状態から放出可能な全エネルギー量(満充電状態での容量)から減算することで、蓄電装置5の蓄電量(残容量)を把握する。尚、蓄電装置5の蓄電量を把握するための手法は、この他にも種々の手法があり、例えばU/Cセンサ16から得られる蓄電装置5の端子間電圧Vbを、蓄電装置5の温度Tbに応じた内部抵抗による電圧変化分だけ補正してなる電圧によって蓄電量を把握するようにしてもよい。
【0046】図2のフローチャートの説明に戻って、統括管理コントローラ11は、次に前記センサ19から与えられる車速Vcar の検出データから、図8の実線rに示すようにあらかじめ設定されたデータテーブルにより現在車速Vcar における車両の走行抵抗(検出された車速Vcar を維持して車両を走行させるために必要な車両推進出力)を求める(STEP2−2)。
【0047】さらに、前記センサ20から与えられるアクセル操作量Apの検出データから、あらかじめ定められたデータテーブル(図示しない)によりエンジン1のスロットル開度θthの基本値(以下、基本スロットル開度θth0 という)を求める(STEP2−3)。この場合、基本スロットル開度θth0 は基本的にはアクセル操作量Apに比例する。
【0048】次いで、統括管理コントローラ11は、上記基本スロットル開度θth0 と、前記E/Gセンサ12からエンジンコンローラ7を介して与えられるエンジン1の回転数NEの検出データとから、それらのスロットル開度θth0 と回転数NEとでエンジン1を動作させたとした場合に該エンジン1が生成する出力(以下、エンジンパワーという)をあらかじめ定められたマップにより求める(STEP2−4)。尚、基本スロットル開度θth0 がθth0 ≒0の場合(アクセル操作量Apが十分に小さい状態)におけるエンジンパワーは「0」である。
【0049】さらに、上記基本スロットル開度θth0 と、エンジン1の回転数NEの検出データとから車両の要求されるトータルの目標推進出力をあらかじめ定められたマップにより求める(STEP2−5)。この目標推進出力は、エンジン1の出力のみにより車両を走行させる場合は、該エンジン1の目標出力に相当するものであり、エンジン1の出力と発電電動機2のアシスト動作による補助出力とを併せて車両を走行させる場合は、エンジン1の出力と発電電動機2の補助出力との総和の目標値に相当するものである。尚、この目標推進出力も、基本スロットル開度θth0 ≒0の場合(アクセル操作量Apが十分に小さい状態)では「0」である。
【0050】次に、統括管理コントローラ11は、上記目標推進出力をエンジン1に生成させるために必要な前記基本スロットル開度θth0 の補正量Δθth1 を算出する(STEP2−6)。この補正量Δθth1 は、基本スロットル開度θth0 に加算することで該基本スロットル開度θth0 を補正するものであり、前記エンジンパワーがSTEP2−5で求めた目標推進出力に等しくなるようなエンジン1のスロットル開度θth(これはSTEP2−4で用いるマップにより求めることができる)とSTEP2−3で求めた基本スロットル開度θth0 との偏差として与えられる。
【0051】次いで、統括管理コントローラ11は、前記STEP2−4で求めたエンジンパワーが「0」であるか否かを判断し(STEP2−7)、エンジンパワー=0である場合、すなわち、アクセル操作がなされていない場合には、車両の要求される運転状態が、発電電動機2の回生動作を行いつつ車両の減速を行う減速回生モードであると判断し、そのモードの制御処理を行う(STEP2−8)。
【0052】この減速回生モードの制御処理は、図3のフローチャートに示すように行われる。
【0053】すなわち、統括管理コントローラ11は、車速Vcar 及びエンジン1の回転数NE(本実施形態では、これは発電電動機2のロータの回転数に等しい)の検出データからあらかじめ定められたマップにより発電電動機2の回生動作による目標発電量を求める(STEP3−1)。この場合、目標発電量は、基本的には車速Vcar やエンジン1の回転数NEが大きい程、大きなものに定められる。尚、減速回生モードにおける目標発電量は、車速Vcar やエンジン1の回転数NEの他、車両のブレーキ操作を考慮して設定するようにしてもよい。
【0054】次いで、統括管理コントローラ11は、蓄電装置5の充放電電流Ibcを制限するための制御処理(以下、充放電電流制限処理という。詳細は後述する)を行って、STEP3−1で求めた目標発電量を適宜補正した後(STEP3−2)、エンジン1のスロットル開度θthの指令値を決定する(STEP3−3)。この場合、スロットル開度θthの指令値は、前記STEP2−3で求めた基本スロットル開度θth0 に、前記STEP2−6で求めた補正量Δθth1 を加算した値(=θth0 +Δθth1 )とする。尚、減速回生モードにおけるスロットル開度θthの指令値は、基本的には「0」である。
【0055】このようにして発電電動機2の目標発電量とエンジン1のスロットル開度θthの指令値とを求めた後、統括管理コントローラ11は、該目標発電量及びスロットル開度θthの指令値をそれぞれ発電電動機コントローラ8及びエンジンコントローラ7に指示する(STEP3−4)。
【0056】このとき、上記指示を与えられたエンジンコントローラ7は、前記エンジン駆動装置13によってエンジン1のスロットル弁の閉弁、エンジン1への燃料供給の停止、点火処理の停止を行い、該エンジン1の出力軸及びこれに連結された発電電動機2のロータが、車両の駆動輪6側から伝達される車両の運動エネルギーによって回転駆動される状態とする。
【0057】また、前記目標発電量を指示された発電電動機コントローラ8は、前記G/Mセンサ15から与えられる電機子コイルの電流Igm 及び電圧Vgmの検出データにより把握される発電電動機2の発電量が、指示された目標発電量になるように該発電電動機2から蓄電装置5への給電をPDU14を介して制御する。これにより発電電動機2は回生動作を行い、その回生発電エネルギーを蓄電装置5に充電する。
【0058】図2の説明に戻って、前記STEP2−7の判断でエンジンパワー≠0(エンジンパワー>0)である場合、すなわち、アクセル操作がなされている場合には、エンジンパワーがSTEP2−2で求めた走行抵抗よりも大きいか否かを判断する(STEP2−9)。この場合、エンジンパワー>走行抵抗である場合(エンジンパワーが図8のA領域に存する場合)には、統括管理コントローラ11は、車両の要求される運転状態が、発電電動機2のアシスト動作を行いつつ車両の加速を行うアシスト走行モードであると判断し、そのモードの制御処理を行う(STEP2−10)。
【0059】このアシスト走行モードの制御処理は、図4のフローチャートに示すように行われる。
【0060】すなわち、統括管理コントローラ11は、前記STEP2−5で求めた目標推進出力のうち、発電電動機2のアシスト動作により分担する割合を規定する係数K1,K2,K3(以下、分担率係数K1,K2,K3という)を求める(STEP4−1)。ここで、分担率係数K1は、前記STEP2−1で取得した蓄電装置5の蓄電量から所定のデータテーブルにより定める係数、分担率係数K1は、前記STEP2−3で求めた基本スロットル開度θth0 から所定のデータテーブルにより定める係数、分担率係数K3は、前記エンジンパワーの走行抵抗に対する余裕出力(STEP2−4で求めたエンジンパワーからSTEP2−2で求めた走行抵抗を引いたもの)及び車速Vcar から所定のマップにより定める係数である。
【0061】次いで、統括管理コントローラ11は、前記STEP2−5で求めた目標推進出力に上記分担率係数K1,K2,K3を乗算することで、該目標車両推進出力のうち、発電電動機2のアシスト動作により分担すべき該発電電動機2の基本目標補助出力を決定する(STEP4−2)。
【0062】さらに、統括管理コントローラ11は、発電電動機コントローラ8に最終的に指示する発電電動機2の目標補助出力を、上記基本目標補助出力に対して図9に例示するように漸変的に追従させるように決定する(STEP4−3)。つまり、発電電動機2の目標補助出力は、制御サイクル毎にSTEP4−2で決定される基本目標補助出力が変化したとき、ある時定数の応答遅れを有して基本目標補助出力に追従するように決定される。尚、図9中の括弧内の用語は後述するクルーズ回生モードの制御処理に対応するものである。
【0063】次いで、統括管理コントローラ11は、前記減速回生モードの場合と同様に充放電電流制限処理(詳細は後述)を行って、STEP4−3で求めた目標補助出力を適宜補正した後(STEP4−4)、発電電動機2の目標補助出力を前記STEP2−5で求めた目標推進出力から差し引くことで、エンジン1の目標出力を求める(STEP4−5)。
【0064】そして、統括管理コントローラ11は、エンジン1に上記目標出力を発生させるために必要なスロットル開度θthの補正量Δθth2 を求める(STEP4−6)。この補正量Δθth2 は、目標推進出力をエンジン1に発生させるために必要なスロットル開度θth=θth0 +Δθth1 (STEP2−6の説明を参照)から減算するものであり、前記エンジンパワーがSTEP4−5で求めた目標出力に等しくなるようなエンジン1のスロットル開度θth(これはSTEP2−4で用いるマップにより求めることができる)と目標推進出力に対応するスロットル開度θth=θth0 +Δθth1 との偏差として与えられる。
【0065】さらに、統括管理コントローラ11は、目標推進出力に対応するスロットル開度θth=θth0 +Δθth1 から、STEP4−6で求めた補正量Δθth2 を減算することでエンジン1のスロットル開度θthの指令値(=θth0 +Δθth1 −Δθth2 )を決定する(STEP4−7)。
【0066】このようにして発電電動機2の目標補助出力とエンジン1のスロットル開度θthの指令値とを求めた後、統括管理コントローラ11は、該目標補助出力及びスロットル開度θthの指令値をそれぞれ発電電動機コントローラ8及びエンジンコントローラ7に指示する(STEP4−8)。
【0067】このとき、エンジンコントローラ7は、前記E/Gセンサ12による検出データを参照しつつ、スロットル開度θthの指令値に従ってエンジン1のスロットル弁をエンジン駆動装置13を介して駆動すると共に、それに合わせてエンジン1の燃料供給量や点火時期を制御する。
【0068】また、発電電動機コントローラ8は、蓄電装置5から発電電動機2に前記PDU14を介して給電せしめて、該発電電動機2のアシスト動作を行わせると共に、このとき発電電動機2が生成する補助出力が指示された目標補助出力になるように蓄電装置5から発電電動機2への給電量をPDU14により制御する。
【0069】これにより、エンジン1及び発電電動機2はそれぞれ前記目標出力及び目標補助出力を生成し、それらを併せた出力、すなわち、前記目標車両推進出力が変速装置3を介して駆動輪6に伝達されて車両の加速走行がなされる。
【0070】この場合、エンジン1の実際の出力は、スロットル開度θthの指令値に対して一般に応答遅れを伴うが、該スロットル開度θthに対応する発電電動機2の目標補助出力は、前記基本目標補助出力に対して、ある時定数の応答遅れを有して追従させるため、発電電動機2の実際の補助出力とエンジン1の実際の出力とを整合させることができる。
【0071】図2の説明に戻って、前記STEP2−9の判断で、エンジンパワー≦走行抵抗である場合(エンジンパワーが図8のB領域に存する場合)には、統括管理コントローラ11は、車両の要求される運転状態が、エンジン1の出力の一部を使用して発電電動機2の回生動作を行いつつ車両のクルーズ走行(ほぼ定速度での走行)を行うクルーズ回生モードであると判断し、そのモードの制御処理を行う(STEP2−11)。
【0072】このクルーズ回生モードの制御処理は、図5のフローチャートに示すように行われる。
【0073】すなわち、統括管理コントローラ11は、車速Vcar 及びエンジン1の回転数NEの検出データからあらかじめ定められたマップにより発電電動機2の回生動作による基本目標発電量を求める(STEP5−1)。尚、この場合に求められる基本目標発電量は、減速回生モードで求められる目標発電量(STEP3−1の説明を参照)よりも十分に小さなものである。また、このとき求める基本目標発電量は、車速Vcar やエンジン1の回転数NEの他、蓄電装置5の蓄電量等を考慮して定めるようにしてもよい。
【0074】次いで、統括管理コントローラ11は、前述のアシスト走行モードの場合と同様にして、発電電動機コントローラ8に最終的に指示する発電電動機2の目標発電量を、上記基本目標発電量に対して漸変的に追従させるように決定する(STEP5−2。図9を参照)。
【0075】次いで、統括管理コントローラ11は、前記減速回生モードの場合と同様に充放電電流制限処理(詳細は後述)を行って、STEP5−2で求めた目標発電量を適宜補正した後(STEP5−3)、発電電動機2の目標発電量に相当するエンジン1の出力分を前記STEP2−5で求めた目標推進出力に上乗せする(加算する)ことで、エンジン1の目標出力を求める(STEP5−4)。
【0076】そして、統括管理コントローラ11は、エンジン1に上記目標出力を発生させるために必要なスロットル開度θthの補正量Δθth3 を求める(STEP5−5)。この補正量Δθth3 は、目標推進出力をエンジン1に発生させるために必要なスロットル開度θth=θth0 +Δθth1 (STEP2−6の説明を参照)に加算するものであり、前記エンジンパワーがSTEP5−4で求めた目標出力に等しくなるようなエンジン1のスロットル開度θth(これはSTEP2−4で用いるマップにより求めることができる)と目標推進出力に対応するスロットル開度θth=θth0 +Δθth1 との偏差として与えられる。
【0077】さらに、統括管理コントローラ11は、目標推進出力に対応するスロットル開度θth=θth0 +Δθth1 に、STEP5−5で求めた補正量Δθth3 を加算することでエンジン1のスロットル開度θthの指令値(=θth0 +Δθth1 +Δθth3 )を決定する(STEP5−6)。
【0078】このようにして発電電動機2の目標発電量とエンジン1のスロットル開度θthの指令値とを求めた後、統括管理コントローラ11は、該目標発電量及びスロットル開度θthの指令値をそれぞれ発電電動機コントローラ8及びエンジンコントローラ7に指示する(STEP5−7)。
【0079】このとき、エンジンコントローラ7は、前記アシスト走行モードの場合と同様にして、スロットル開度θthの指令値に従ってエンジン1のスロットル弁をエンジン駆動装置13を介して駆動すると共に、それに合わせてエンジン1の燃料供給量や点火時期を制御する。
【0080】また、発電電動機コントローラ8は、前記減速回生モードの場合と同様にして、指示された目標発電量を発電電動機2に生成させるように該発電電動機2から蓄電装置5への給電をPDU14を介して制御し、発電電動機2に回生動作を行わしめ、その発電エネルギーを蓄電装置5に充電させる。この場合、エンジン1の出力のうち、発電電動機2の発電量に相当する分が該発電電動機2の回生動作のためのエネルギー源として使用され、残りの出力(=車両推進出力)が変速装置3を介して駆動輪6に伝達される。
【0081】この場合、エンジン1のスロットル開度θthに対応する発電電動機2の目標発電量は、前記基本目標発電量に対して、ある時定数の応答遅れを有して追従させるため、前記アシスト走行モードの場合と同様に、発電電動機2の実際の発電量とエンジン1の実際の出力とを整合させることができる。
【0082】尚、前述した減速回生モード、アシスト走行モード及びクルーズ回生モードの各モードにおける車両の走行時において、前記変速装置コントローラ9は、前記T/Mセンサ18により検出される変速操作レバーの操作ポジションSP等に基づき、変速装置3の変速動作をアクチュエータ17により行わしめる。また、車両の走行中はクラッチ4を接続状態に保持する。
【0083】以上説明した各モードにおける前記充放電電流制限処理(STEP3−2、STEP4−4、及びSTEP5−3)は、図6のフローチャートに示すように行われ、この充放電電流制限処理を経て各モードにおける発電電動機2の目標発電量、あるいは目標補助出力が決定される。
【0084】すなわち、統括管理コントローラ11は、蓄電装置コントローラ10から蓄電装置5の充放電電流Ib及び温度Tbの検出データを取得する(STEP6−1)。
【0085】次いで、統括管理コントローラ11は、前記STEP2−1で取得した蓄電装置5の蓄電量の検出データから、図10及び図11に示すようにあらかじめ設定されたデータテーブルにより蓄電装置5の充電電流Ibc及び放電電流Ibdの基本制限値(基本の上限値)Lc0,Ld0をそれぞれ求める(STEP6−2)。
【0086】この場合、蓄電装置5の充電電流Ibcに係わる基本制限値Lc0(以下、充電側基本制限値Lc0という)は、例えば20°C(常温)の温度環境下における蓄電装置5の内部抵抗を基準とし、その内部抵抗の蓄電装置5に上記充電側基本制限値Lc0の充電電流Ibcを通電したとき、蓄電装置5の端子間電圧Vbが該蓄電装置5の耐圧限界を超えないように定められている。尚、蓄電装置5の端子間電圧Vbは、蓄電量が多い程、高くなり、また、充電電流Ibcの通電時には該端子間電圧Vbが上昇傾向となるので、上記充電側基本制限値Lc0は、基本的には蓄電装置5の蓄電量が多い程、小さくなる。また、蓄電装置5の放電電流Ibdに係わる基本制限値Ld0(以下、放電側基本制限値Ld0という)は、常温環境下における蓄電装置5の内部抵抗を基準とし、その内部抵抗の蓄電装置5に上記放電側基本制限値Ld0の放電電流Ibdを通電したとき、蓄電装置5の端子間電圧Vbが発電電動機2のアシスト動作が可能な電圧を下回らないように定められている。尚、蓄電装置5の端子間電圧Vbは、蓄電量が少ない程、低くなり、また、放電電流Ibdの通電時には該端子間電圧Vbが下降傾向となるので、上記放電側基本制限値Ld0は、基本的には蓄電装置5の蓄電量が少ない程、小さくなる。
【0087】統括管理コントローラ11はさらに、蓄電装置5の温度Tbに応じた内部抵抗の変化(図7を参照)を考慮して前記充電側及び放電側基本制限値Lc0,Ld0を補正するための補正係数KT を、STEP6−1で取得した温度Tbの検出データから図12に示すようにあらかじめ定められたデータテーブルにより求める(STEP6−3)。
【0088】この補正係数KT は、充電側及び放電側基本制限値Lc0,Ld0をこれらに乗算することで補正するものであり、該基本制限値Lc0,Ld0の基準温度としている常温(20°C)における補正係数KT を「1」としている。そして、前記図7に示したように蓄電装置5の内部抵抗が温度Tbに応じて変化する(温度Tbが低い程、内部抵抗が増加する)ことを考慮し、補正係数KT の値は、温度Tbが低い程、小さくなるように定められている。尚、補正係数KT は、充電側及び放電側基本制限値Lc0,Ld0のそれぞれに対して、各別に設定するようにしてもよい。
【0089】このようにして補正係数KT を求めた後、統括管理コントローラ11は、充電側及び放電側基本制限値Lc0,Ld0のそれぞれに補正係数KT を乗算することによって、最終的に蓄電装置5の充電電流Ibc及び放電電流Ibdのそれぞれの実際の制限値Lc,Ld(以下、これらをそれぞれ充電側電流制限値Lc、放電側電流制限値Ldという)を求める(STEP6−4)。このようにして求められる充電側電流制限値Lc及び放電側電流制限値Ldは、蓄電装置5の蓄電量と温度Tbとに応じたものとなる。
【0090】尚、このような充電側電流制限値Lc及び放電側電流制限値Ldは、蓄電装置5の蓄電量と温度Tbとからマップを使用して直接的に求めるようにしてもよい。
【0091】次いで、統括管理コントローラ11は、発電電動機2の動作状態がアシスト動作(アシスト走行モード)であるか回生動作(減速回生モードもしくはクルーズ回生モード)であるかを判断する(STEP6−5)。
【0092】このとき発電電動機2の動作状態が回生動作である場合には、さらに、該回生動作の開始タイミングであるか否かを、前回の制御サイクルにおける発電電動機2の動作状態との比較により判断する(STEP6−6)。そして、回生動作の開始タイミングである場合には、前記STEP3−1あるいは5−2で求めた発電電動機2の目標発電量を補正するための補正量ΔPgを「0」にリセットした後(STEP6−7)、STEP6−8に進む。また、回生動作の開始タイミングでない場合(回生動作の継続中の場合)には、直ちにSTEP6−8に進む。
【0093】上記STEP6−8では、統括管理コントローラ11は、前記STEP6−1で取得した蓄電装置5の充放電電流Ib(この場合、充電電流Ibc)の大きさ(絶対値)を前記STEP6−4で決定した充電側電流制限値Lcと比較する。
【0094】このとき、充放電電流Ib(充電電流Ibc)の大きさが充電側電流制限値Lcを超えている場合(|Ib|>Ldの場合)には、前記補正量ΔPgを現在の値から所定値α(>0)だけ減算した値に更新した後(STEP6−9)、発電電動機2の目標発電量を、前記STEP3−1あるいは5−2で求めた発電電動機2の目標発電量に補正量ΔPg(≦0)を加算した値に補正する(STEP6−13)。
【0095】また、STEP6−8の判断で|Ib|≦Lcの場合には、補正量ΔPgを現在の値に所定値β(>0)だけ加算した値に更新した後(STEP6−10)、さらに、該補正量ΔPgが「0」を超えたか否かを判断する(STEP6−11)。そして、ΔPg>0である場合には、該補正量ΔPgを「0」にリセットした後(STEP6−12)、前記STEP6−13の処理を行って発電電動機2の最終的な目標発電量を求める(このとき、求められる目標発電量は、STEP3−1あるいは5−2で求めた発電電動機2の目標発電量に等しい)。
【0096】また、STEP6−11でΔPg≦0である場合には、そのままSTEP6−13の処理を行って発電電動機2の最終的な目標発電量を求める。
【0097】尚、STEP6−9で補正量ΔPgを更新するための所定値αは、STEP6−10で補正量ΔPgを更新するための所定値βよりも大きく設定されている(α>β)。
【0098】発電電動機2の回生動作時は、上記のようなSTEP6−1〜6−13の処理が制御サイクル毎に行われることで、発電電動機2の目標発電量は、蓄電装置5の充電電流Ibcが充電側電流制限値Lcを超えると、前記STEP3−1あるいは5−2で求めた発電電動機2の目標発電量よりも前記所定値αだけ小さい値に補正される。この結果、発電電動機2の電機子コイルの通電電流が減少することとなって、蓄電装置5の充電電流Ibcも減少し、該充電電流Ibcが充電側電流制限値Lc以下に収まるようになる。そして、充電電流Ibcが充電側電流制限値Lc以下に収まるようになると、発電電動機2の目標発電量が、制御サイクル毎に、所定値βづつ、STEP3−1あるいは5−2で求めた目標発電量に向かって復帰されていくこととなる。尚、蓄電装置5の充電電流Ibcが充電側電流制限値Lc以下の値に定常的に維持されている状態では、補正量ΔPgは「0」になるので、発電電動機2の目標発電量は、STEP3−1あるいは5−2で求めたものとなる。
【0099】一方、前記STEP6−5の判断で発電電動機2の動作状態がアシスト動作である場合には、さらに、該アシスト動作の開始タイミングであるか否かを、前回の制御サイクルにおける発電電動機2の動作状態との比較により判断する(STEP6−14)。そして、アシスト動作の開始タイミングである場合には、前記STEP4−4で求めた発電電動機2の目標補助出力を補正するための補正量ΔPmを「0」にリセットした後(STEP6−15)、STEP6−16に進む。また、アシスト動作の開始タイミングでない場合(アシスト動作の継続中の場合)には、直ちにSTEP6−16に進む。
【0100】上記STEP6−16では、統括管理コントローラ11は、前記STEP6−1で取得した蓄電装置5の充放電電流Ib(この場合、放電電流Ibd)の大きさ(絶対値)を前記STEP6−4で決定した放電側電流制限値Ldと比較する。
【0101】このとき、充放電電流Ib(放電電流Ibd)の大きさが放電側電流制限値Ldを超えている場合(|Ib|>Ldの場合)には、前記補正量ΔPmを現在の値から所定値γ(>0)だけ減算した値に更新した後(STEP6−17)、発電電動機2の目標補助出力を、前記STEP4−4で求めた発電電動機2の目標補助出力に補正量ΔPm(≦0)を加算した値に補正する(STEP6−21)。
【0102】また、STEP6−16の判断で|Ib|≦Ldの場合には、補正量ΔPmを現在の値に所定値δ(>0)だけ加算した値に更新した後(STEP6−18)、さらに、該補正量ΔPmが「0」を超えたか否かを判断する(STEP6−19)。そして、ΔPm>0である場合には、該補正量ΔPmを「0」にリセットした後(STEP6−20)、前記STEP6−21の処理を行って発電電動機2の最終的な目標補助出力を求める(このとき、求められる目標補助出力は、STEP4−4で求めた発電電動機2の目標補助出力に等しい)。また、STEP6−19でΔPg≦0である場合には、そのままSTEP6−21の処理を行って発電電動機2の最終的な目標発電量を求める。
【0103】尚、STEP6−17で補正量ΔPmを更新するための所定値γは、STEP6−18で補正量ΔPmを更新するための所定値δよりも大きく設定されている(γ>δ)。
【0104】発電電動機2のアシスト動作時は、上記のようなSTEP6−1〜6−5、並びにSTEP6−14〜6−21の処理が制御サイクル毎に行われることで、発電電動機2の目標補助出力は、蓄電装置5の放電電流Ibdが放電側電流制限値Ldを超えると、前記STEP4−4で求めた発電電動機2の目標補助出力よりも前記所定値γだけ小さい値に補正される。この結果、発電電動機2の電機子コイルの通電電流が減少することとなって、蓄電装置5の放電電流Ibdも減少し、該放電電流Ibdが放電側電流制限値Ld以下に収まるようになる。そして、放電電流Ibdが放電側電流制限値Ld以下に収まるようになると、発電電動機2の目標補助出力が、制御サイクル毎に、所定値δづつ、STEP4−4で求めた目標補助出力に向かって復帰されていくこととなる。尚、蓄電装置5の放電電流Ibdが放電側電流制限値Ld以下の値に定常的に維持されている状態では、補正量ΔPmは「0」になるので、発電電動機2の目標補助出力は、STEP4−4で求めたものとなる。
【0105】以上説明した本実施形態のハイブリッド車両の作動によって、発電電動機2の回生動作時における蓄電装置5の充電電流Ibcは、充電側電流制限値Lc以下に制限されることとなり、蓄電装置5の端子間電圧Vbが蓄電装置5の内部抵抗に起因して蓄電装置5の耐圧限界を超えるような過大なものとなる事態を回避することができる。この場合、充電側電流制限値Lcは、蓄電装置5の蓄電量(残容量)と温度Tbとに応じたものに設定するため、上記の事態を確実に回避することができる。そして、この結果、発電電動機2の連続的な回生動作を支障なく行うことができることとなって、発電電動機2の可能な限り多くの発電エネルギーを蓄電装置5に充電することができる。
【0106】同様に、発電電動機2のアシスト動作時における蓄電装置5の放電電流Ibdは、放電側電流制限値Ld以下に制限されることとなり、蓄電装置5の端子間電圧Vbが蓄電装置5の内部抵抗に起因して過大に低くなるような事態を回避し、該端子間電圧Vbを発電電動機2のアシスト動作が可能な電圧に留めることができる。この場合、放電側電流制限値Ldも、蓄電装置5の蓄電量(残容量)と温度Tbとに応じたものに設定するため、端子間電圧Vbの過大な低下を確実に回避することができる。そして、この結果、蓄電装置5の可能な限り多くの蓄電エネルギーを使用して、発電電動機2の連続的なアシスト動作を支障なく行うことができ、ひいては、エンジン1の燃料消費を可能な限り抑制することができる。
【0107】このように本実施形態のハイブリッド車両は、発電電動機2の回生動作やアシスト動作を高いエネルギー効率で行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 辰彦 (外1名)
【公開番号】 特開平11−332017
【公開日】 平成11年(1999)11月30日
【出願番号】 特願平10−137930