| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車両 |
| 【発明者】 |
【氏名】青山 俊一
【氏名】北田 真一郎
【氏名】服部 昇
【氏名】松尾 勇也
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| 【要約】 |
【課題】スムーズな発進、加速性能を保証できる最小容量のモーターを選定する。
【解決手段】クラッチ3の入力軸にエンジン2を連結するとともに、クラッチ3の出力軸にモーター4と変速機5の入力軸を連結し、変速機5の出力軸から駆動輪8に動力を伝達するハイブリッド車両に対して、モーター4を、定トルク領域と定出力領域とを有する特性とするとともに、所定車速未満ではモーター4の定格トルクがエンジン2の定格トルクよりも大きくなるように選定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クラッチの入力軸にエンジンを連結するとともに、前記クラッチの出力軸にモーターと変速機の入力軸を連結し、前記変速機の出力軸から駆動輪に動力を伝達するハイブリッド車両に対して、前記モーターを、定トルク領域と定出力領域とを有する特性とするとともに、所定車速未満では前記モーターの定格トルクが前記エンジンの定格トルクよりも大きくなるように選定することを特徴とするハイブリッド車両。 【請求項2】 請求項1に記載のハイブリッド車両において、前記所定車速は、前記モーターの基底回転速度と前記変速機の最大変速比とにより決まる車速以上とすることを特徴とするハイブリッド車両。 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両において、前記エンジンの定格トルクが前記モーターの定格トルクよりも大きくなる前記モーターの回転速度領域では、前記エンジンの駆動力により走行することを特徴とするハイブリッド車両。 【請求項4】 請求項3に記載のハイブリッド車両において、前記エンジンの定格トルクが前記モーターの定格トルクと等しくなる前記モーターの回転速度が、前記モーターの基底回転速度に等しいかまたは近傍の回転速度となるように、前記モーターの定格を選定することを特徴とするハイブリッド車両。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンおよび/またはモーターを車両の推進源とするハイブリッド車両に関する。 【0002】 【従来の技術】エンジンおよび/またはモーターを車両の推進源とするハイブリッド車両が知られている(例えば、特開平5−50865号公報参照)。この種のハイブリッド車両では、通常の発進時は、クラッチを解放してモーターの駆動力により発進し、車速が増加したらエンジンを起動してクラッチを締結し、エンジンの駆動力により走行する。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、起動直後のエンジンはトルク変動が大きく、急加速を行う場合に、エンジンの起動直後にクラッチを締結すると、エンジンのトルク変動が駆動輪へ伝わり、車両に前後方向の振動が発生して乗員に不快感を与える。 【0004】この問題を解決するために、モーターを大容量にしてほとんどモーターの駆動力のみにより発進、加速を行うようにすれば、クラッチの締結時期を遅らせることができ、エンジンの発生トルクが安定してからクラッチを締結することができる。 【0005】しかしながら、モーターを大容量にすると、モーター自体はもちろんのこと、電力変換器やバッテリーなども大型で重くなり、コストも増加するという問題がある。 【0006】本発明の目的は、スムーズな発進、加速性能を保証できる最小容量のモーターを選定することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】一実施の形態の構成を示す図1に対応づけて本発明を説明すると、(1)請求項1の発明は、クラッチ3の入力軸にエンジン2を連結するとともに、クラッチ3の出力軸にモーター4と変速機5の入力軸を連結し、変速機5の出力軸から駆動輪8に動力を伝達するハイブリッド車両に対して、モーター4を、定トルク領域と定出力領域とを有する特性とするとともに、所定車速未満ではモーター4の定格トルクがエンジン2の定格トルクよりも大きくなるように選定することにより、上記目的を達成する。 (2)請求項2の発明は、所定車速を、モーター4の基底回転速度と変速機5の最大変速比とにより決まる車速以上とする。 (3)請求項3の発明は、エンジン2の定格トルクがモーター4の定格トルクよりも大きくなるモーター4の回転速度領域では、エンジン2の駆動力により走行する。 (4)請求項4の発明は、エンジン2の定格トルクがモーター4の定格トルクと等しくなるモーター4の回転速度が、モーター4の基底回転速度に等しいかまたは近傍の回転速度となるように、モーター4の定格を選定する。 【0008】上述した課題を解決するための手段の項では、説明を分かりやすくするために一実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が一実施の形態に限定されるものではない。 【0009】 【発明の効果】(1)請求項1の発明によれば、エンジン起動直後の過渡時に大きなトルク変動があっても、モーターのトルクを調節することによってエンジンのトルク変動を吸収でき、クラッチ締結前後でエンジントルクとモータートルクの和、すなわち車両の駆動トルクを一定にすることができる。特に、急発進時にはエンジンを起動してクラッチを半締結状態にしながら、エンジンとモーターの駆動力により発進、加速を行うので、起動直後のエンジンの大きなトルク変動が駆動輪へ伝わりやすい。本願発明によれば、そのような急発進時にもモーターのトルク調節によってエンジンのトルク変動を吸収でき、クラッチ締結前後で一定の駆動トルクが得られる。また、モーターの駆動力により発進、加速あるいは低速高負荷運転を行っても、従来のエンジン車両以上の大きな加速力、駆動力を得ることができ、低速で運転効率の悪いエンジンを使用する必要がなく、燃料消費率を改善することができる。 (2)請求項2の発明によれば、スムーズな発進、加速性能を保証しながら最小容量のモーターを選定することができ、ハイブリッド車両のコスト、重量を低減できる。 (3)請求項3および請求項4の発明によれば、高車速領域で運転効率の高いエンジンにより走行することによって、高速、高出力のモーターが不要となり、モーター容量を低減できる。 【0010】 【発明の実施の形態】図1は一実施の形態の構成を示す図である。図において、太い実線は機械力の伝達経路を示し、太い破線は電力線を示す。また、細い実線は制御線を示し、二重線は油圧系統を示す。この車両のパワートレインは、モーター1、エンジン2、クラッチ3、モーター4、無段変速機5、減速装置6、差動装置7および駆動輪8から構成される。モーター1の出力軸、エンジン2の出力軸およびクラッチ3の入力軸は互いに連結されており、また、クラッチ3の出力軸、モーター4の出力軸および無段変速機5の入力軸は互いに連結されている。 【0011】クラッチ3締結時はエンジン2とモーター4が車両の推進源となり、クラッチ3解放時はモーター4のみが車両の推進源となる。エンジン2および/またはモーター4の駆動力は、無段変速機5、減速装置6および差動装置7を介して駆動輪8へ伝達される。無段変速機5には油圧装置9から圧油が供給され、ベルトのクランプと潤滑がなされる。油圧装置9のオイルポンプ(不図示)はモーター10により駆動される。 【0012】モータ1,4,10は三相同期電動機または三相誘導電動機などの交流機であり、モーター1は主としてエンジン始動と発電に用いられ、モーター4は主として車両の推進と制動に用いられる。また、モーター10は油圧装置9のオイルポンプ駆動用である。なお、モーター1,4,10には交流機に限らず直流電動機を用いることもできる。また、クラッチ3締結時に、モーター1を車両の推進と制動に用いることもでき、モーター4をエンジン始動や発電に用いることもできる。 【0013】クラッチ3はパウダークラッチであり、伝達トルクを調節することができる。なお、このクラッチ3に乾式単板クラッチや湿式多板クラッチを用いることもできる。無段変速機5はベルト式やトロイダル式などの無段変速機であり、変速比を無段階に調節することができる。この変速機には有断変速機を用いることもできる。 【0014】モーター1,4,10はそれぞれ、インバーター11,12,13により駆動される。なお、モーター1,4,10に直流電動機を用いる場合には、インバーターの代わりにDC/DCコンバーターを用いる。インバーター11〜13は共通のDCリンク14を介してメインバッテリー15に接続されており、メインバッテリー15の直流充電電力を交流電力に変換してモーター1,4,10へ供給するとともに、モーター1,4の交流発電電力を直流電力に変換してメインバッテリー15を充電する。なお、インバーター11〜13は互いにDCリンク14を介して接続されているので、回生運転中のモーターにより発電された電力をメインバッテリー15を介さずに直接、力行運転中のモーターへ供給することができる。メインバッテリー15には、リチウム・イオン電池、ニッケル・水素電池、鉛電池などの各種電池や、電機二重層キャパシターいわゆるパワーキャパシターを用いることができる。 【0015】コントローラー16は、マイクロコンピューターとその周辺部品や各種アクチュエータなどを備え、エンジン2の回転速度や出力トルク、クラッチ3の伝達トルク、モーター1,4,10の回転速度や出力トルク、無段変速機5の変速比などを制御する。 【0016】コントローラー16には、図2に示すように、キースイッチ20、セレクトレバースイッチ21、アクセルセンサー22、ブレーキスイッチ23、車速センサー24、バッテリー温度センサー25、バッテリーSOC検出装置26、エンジン回転センサー27、スロットル開度センサー28が接続される。キースイッチ20は、車両のキーがON位置またはSTART位置に設定されると閉路する(以下、スイッチの閉路をオンまたはON、開路をオフまたはOFFと呼ぶ)。セレクトレバースイッチ21は、パーキングP、ニュートラルN、リバースRおよびドライブDを切り換えるセレクトレバー(不図示)の設定位置に応じて、P、N、R、Dのいずれかのスイッチがオンする。 【0017】アクセルセンサー22はアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)θを検出し、ブレーキスイッチ23はブレーキペダルの踏み込み状態(この時、スイッチ オン)を検出する。車速センサー24は車両の走行速度Vを検出し、バッテリー温度センサー25はメインバッテリー15の温度Tbを検出する。また、バッテリーSOC検出装置26はメインバッテリー15の充電状態(以下、SOC(State Of Charge)と呼ぶ)を検出する。さらに、エンジン回転センサー27はエンジン2の回転速度Neを検出し、スロットル開度センサー28はエンジン2のスロットルバルブ開度θthを検出する。 【0018】コントローラー16にはまた、エンジン2の燃料噴射装置30、点火装置31、バルブタイミング調節装置32、スロットルバルブ開度調節装置33、補助バッテリー34などが接続される。コントローラー16は、燃料噴射装置30を制御してエンジン2への燃料の供給と停止および燃料噴射量を調節するとともに、点火装置31を制御してエンジン2の点火を行う。また、コントローラー16はバルブタイミング調節装置32を制御してエンジン2の吸気バルブの閉時期を調節するとともに、スロットルバルブ開度調節装置33を制御してエンジン2のスロットルバルブ開度θthを調節する。このスロットルバルブ開度調節装置33はアクセルペダルと機械的に連結されておらず、アクセルペダルの踏み込み量θとは独立に開度θthを調節する。補助バッテリー34は、コントローラー16へ低圧電源を供給する。 【0019】図3および図4はパワートレインの配置例を示す図である。クラッチ3の入力側のモーター1とエンジン2の配置は、図3に示すようにモーター1をエンジン2の上流に配置してもよいし、図4に示すようにモーター1をエンジン2の下流に配置してもよい。図3に示す配置例では、エンジン2の出力軸をクラッチ3の入力軸と直結して1軸で構成するとともに、エンジン2の出力軸をモーター1の出力軸とベルトや歯車により連結する。また、図4に示す配置例では、エンジン2の出力軸をモーター1のローターを貫通してクラッチ3の入力軸と直結し、クラッチ3の入力側を1軸で構成する。 【0020】一方、クラッチ3の出力側のモーター4と無段変速機5の配置は、図3に示すようにモーター4を無段変速機5の上流に配置してもよいし、図4に示すようにモーター4を無段変速機5の下流に配置してもよい。図3に示す配置例では、クラッチ3の出力軸をモーター4のローターを貫通して無段変速機5の入力軸と直結し、クラッチ3の出力側を1軸で構成する。また、図4に示す配置例では、クラッチ3の出力軸を無段変速機5の入力軸を貫通してモーター4の出力軸と直結し、クラッチ3の出力側を1軸で構成する。いずれの場合でもモーター4を無段変速機5の入力軸に連結する。 【0021】なお、パワートレインの配置は図3および図4に示す配置例に限定されず、クラッチ3の入力軸にエンジン2とモーター1を連結するとともに、クラッチ3の出力軸にモーター4と無段変速機5の入力軸を連結し、無段変速機5の出力軸から減速装置6および差動装置7を介して駆動輪8に動力を伝える推進機構であれば、各機器がどのような配置でもよい。 【0022】図5は、無段変速機にトロイダルCVTを用いたパワートレインの配置例を示す。無段変速機5にトロイダルCVTを用いた場合でも、モーター4とトロイダルCVT5のどちらをクラッチ3側に配置してもよい。しかし、いずれの場合でもモーター4を無段変速機5の入力軸に連結する。 【0023】この実施の形態では、基本的に低速、軽負荷時はモーター4の駆動力により走行し、高速、高負荷時はエンジン2の駆動力により走行する。したがって、停車状態からの発進時には、まずモーター4の駆動力により発進、加速を行い、途中でクラッチ3を締結してエンジン2の駆動力による走行に切り換える。 【0024】また、エンジン冷却水温が所定値以上でエンジン2が暖機状態にあり、且つメインバッテリー15のSOCが所定値以上で充電量が十分な場合には、信号待ちなどの停車時に”アイドリングストップ”を行い、燃料消費率の向上を図る。しかし、エンジン冷却水温が所定値未満でエンジン2が冷機状態にある場合、またはメインバッテリー15のSOCが所定値未満で充電量が不十分な場合には、”アイドリングストップ”を行わず、停車時でもエンジン2の発火運転を継続する。 【0025】したがって、停車状態から発進する場合には、エンジン2の発火運転を起動してクラッチ3を締結し、モーター走行からエンジン走行に切り換えるモードと、すでにエンジン2が発火運転中の時にクラッチ3を締結してモーター走行からエンジン走行に切り換えるモードとがある。この明細書では、前者を”アイドルストップモード”と呼び、後者を”通常モード”と呼ぶ。アイドルストップモードには、停車状態からの発進の他に、モーター4の駆動力による低速走行からの加速が含まれる。 【0026】図6(a)は、アイドルストップモードにおける発進、加速時のエンジン2の回転速度Neとモーター4の回転速度Nmを示す。また、図6(b)は、アイドルストップモードにおける発進、加速時のエンジン2のトルクTeとモーター4のトルクTmを示す。これらの図により、アイドルストップモードにおける発進、加速動作を説明する。アイドルストップモードおける発進および低速走行からの加速は、まず、モーター4が車速Vとアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)θとに応じたトルクTmを発生し、車両を加速する。車速Vの増加にともなってモーター4の回転速度Nmも増加する。次に、モーター1によりエンジン2を駆動し、エンジン2の発火運転を起動する。エンジン起動直後にエンジントルクTeが負になるのは、エンジン2がモーター1により駆動されて回転しているからであり、エンジン2が完爆すると正のエンジントルクTeを発生する。 【0027】クラッチ締結時にクラッチ3の入出力軸に速度差があると衝撃が発生するので、クラッチ締結時のモーター4の回転速度Nmとエンジン2の回転速度Neとを一致させる必要がある。そこで、エンジン起動後、エンジン2の回転速度Neがモーター4の回転速度Nmに到達する時期を算出し、クラッチ3の締結時期を決定する。 【0028】一方、クラッチ3を締結すると、モーター4のトルクTmにエンジン2のトルクTeが加わる。クラッチ締結前後でモータートルクTmを一定にすると、クラッチ締結後にエンジントルクTeだけ駆動トルクが増加する。その結果、アクセルペダル踏み込み量θが一定であるにも拘わらず車両が加速され、乗員に違和感を与える。したがって、クラッチ締結前後で駆動トルクが変化しないようにする必要がある。 【0029】そこで、この実施の形態では、上述したクラッチ締結時のエンジン2の発生トルクを予測し、クラッチ締結後のモータートルクTmとエンジントルクTeとの和がクラッチ締結前のモータートルクTmと等しくなるように、クラッチ締結後のモータートルクTmを算出し、クラッチ締結後のモーター4の目標トルクとする。 【0030】図7はエンジン起動直後の発生トルクの変化を示す図である。一般に、エンジンのトルクTeは起動直後に急激に増加し、オーバーシュートしてからスロットルバルブ開度θthとエンジン回転速度Neに依存する安定レベルに落ち着く。 【0031】この実施の形態では、算出したクラッチ締結時期において、モーター回転速度Nmとエンジン回転速度Neとの差が所定差以内にあり、且つ、算出した目標モータートルクTmがモーター4の定格トルク@Tm以内であれば、クラッチ3の締結を決定する。これにより、クラッチ締結時の衝撃発生を防止できる上に、クラッチ締結前後の駆動トルクが変化せず、クラッチ締結前後で連続した一定の加速力が得られる。 【0032】なお、無段変速機5の変速比iは、クラッチ締結後、エンジン回転速度Ne(=モーター回転速度Nm)が所定値に達するまでは最大変速比imaxとする。したがって、発進時または低速走行からの加速時にモータートルクTmが大きく増幅され、小容量のモーターで高い発進、加速性能を実現できる。 【0033】エンジン回転速度Ne(=Nm)が所定値を越えたら、図6(a)に示すように、変速比制御パターンに沿って変速比制御を開始し、変速比iを低減する。なお、変速比制御パターンは車速Vとエンジン回転速度Ne(=モーター回転速度Nm)とにより予め設定される。これにより、モーター4の最高回転速度Ntを低く抑えることができ、モーター4に高速モーターを用いる必要がないのでコストを抑制できる。 【0034】次に、この実施の形態のエンジン2の定格トルク@Teとモーター4の定格トルク@Tmの関係を説明する。図8はエンジン2とモーター4のトルク特性を示す図である。回転速度Neに対する定格トルク@Teがほぼ一定な定トルク特性を有するエンジン2に対して、回転速度Nmに対する定格トルク@Tmが一定な定トルク領域(回転速度0〜基底回転速度Nb)と、回転速度Nmに対する定格出力@Pmが一定な定出力領域(基底回転速度Nb〜最高回転速度Nt)とを有するモーター4を選定する。 【0035】さらに、この実施の形態では、車速Vが所定値V1未満の時に、【数1】@Tm>@Teとなるように、エンジン2とモーター4の定格を選定する。所定車速V1は、モーター4の基底回転速度Nbと上記最大変速比imaxとにより決まる車速、またはその近傍値とする。 【数2】V1=Nb/(k*imax) 数式2において、kは無段変速機5以外の動力伝達機構により決まる定数である。 【0036】なお、所定車速V1は最大変速比imaxにより変化するので、モーター回転速度Nmを用いてエンジン2とモーター4の定格を規定してもよい。すなわち、モーター回転速度Nmが基底回転速度Nb未満の時に、数式1の関係を満たすようにエンジン2とモーター4の定格を選定する。 【0037】この実施の形態では、車速V<V1(またはNm<Nb)の時に@Tm>@Teとなるように選定したエンジン2とモーター4を用いて、発進、加速時や高負荷時などで大きな駆動トルクが必要な場合、あるいはバッテリーの残量が少ない場合を除き、車速V<V1の時はモーター4の駆動力により走行する。 【0038】また、図8から明らかなように、モーター4に定トルク領域と定出力領域を有する特性のモーターを選定したので、定出力領域では回転速度Nmの増加に応じて定格トルク@Tmが減少する。そして、エンジン2とモーター4の定格トルクの大小関係は回転速度N1(=無段変速機5の入力軸回転速度)で逆転し、エンジン定格トルク@Teがモーター定格トルク@Tmより大きくなる。したがって、上記数式1の条件により選定したエンジン2とモーター4において、@Te>@Tmとなる回転速度N1以上の領域では、高負荷時などで大きな駆動トルクが必要な場合(この場合エンジン+モーター)を除き、主としてエンジン2の駆動力により走行する。 【0039】次に、車速V<V1(またはNm<Nb)の時にモーター定格トルク@Tm>エンジン定格トルク@Teとした場合の効果について説明する。所定車速V1未満では、エンジン2の定格トルク@Teよりもモーター4の定格トルク@Tmが大きく、エンジン起動直後の過渡時に大きなトルク変動があっても、モーター4の出力トルクTmを調節することによってエンジントルクの変動を吸収でき、クラッチ締結前後でエンジントルクTeとモータートルクTmの和、すなわち車両の駆動トルクを一定にすることができる。モーターは負のトルクを発生させることもできるので、エンジンのトルク変動をほぼ完全に打ち消すようなアクティブ制御も可能(低回転では制御が比較的容易)であり、ドライバーの期待するトルクをなめらかに出力させることができる。特に、急発進時にはエンジンを起動してクラッチを半締結状態から比較的短時間の内に締結し、エンジンとモーターの駆動力により発進、加速を行うので、起動直後のエンジンの大きなトルク変動が駆動輪へ伝わりやすい。本願発明によれば、そのような急発進時にもモーターのトルク調節によってエンジンのトルク変動を吸収でき、クラッチ締結前後で一定の駆動トルクが得られる。 【0040】また、従来のエンジン車両では、トルクコンバーターによって発進時のエンジントルクが増幅され、大きな駆動トルクを得ている。この実施の形態のハイブリッド車両では、クラッチ3が締結されるまではモーター4の駆動力だけで走行しなければならないが、無段変速機5の入力軸にモーター4を連結するとともに、車速V<V1(またはNm<Nb)で@Tm>@Teとなるようにモーター4を選定するので、発進、加速時に従来のトルク増幅機能を有するトルクコンバーター付きエンジン車両と同等の駆動トルクが得られ、十分な発進、加速性能が得られる。 【0041】さらに、最大変速比imaxに、許容される限り小さい値を設定することによって、モーター走行領域を拡大することができ、それだけ運転効率の高い高車速領域でエンジン2を運転することができ、燃料消費率を向上させることができる。 【0042】さらにまた、登坂などの低速、高負荷時に、エンジントルクTeよりも大きなモータートルクTmによるアシストが得られるならば、エンジンとしてはノックが発生しやすい高負荷ギリギリの領域を避けることができるため、従来は低速、高負荷時のノッキングを避けるために困難であったエンジン2の高圧縮比化を図ることができ、燃料消費率を向上させることができる。 【0043】一方、この実施の形態では、モーター4に定トルク領域と定出力領域とを有する特性のモーターを選定し、@Te>@Tmとなる回転速度N1以上の領域ではエンジン2の駆動力により走行するようにしたが、その効果を説明する。中、高速領域までモーター4の駆動力により走行する場合には、モーター4の容量を大きくする必要があり、電力変換器12やメインバッテリー15を含めてコスト、重量、設置スペースなどが増加する。例えば、最高速度においてエンジン2と同等の駆動トルクを得るためには、モーター4の容量をエンジン並にするとともに、バッテリー出力もこれに対応させることが必要で、電気自動車相当になり、ハイブリッドのメリットが失われる。この実施の形態では、モーター4に定トルク領域と定出力領域とを有する特性のモーターを選定し、車速V<V1(またはNm<Nb)の時に@Tm>@Teとし、さらに@Te>@Tmとなる回転速度N1以上の領域ではエンジン2の駆動力により走行するようにしたので、高い発進、加速性能を維持しながら、モーター4、電力変換器12、メインバッテリー15を小型、軽量とすることができ、コストを低減できる。 【0044】また、車両の減速時にはモーター4により回生制動をかけ、エネルギーを回収して燃料消費率の改善を図る。モーター4に大容量のモーターを用いた場合には、回生発電制御が不能になった時に大きな制動力が働くおそれがある。この実施の形態では、モーター4に定トルク領域と定出力領域とを有する特性のモーターを選定し、車速V<V1(またはNm<Nb)の時に@Tm>@Teとし、さらに回転速度N1以上の領域では@Te>@Tmとなるようにモーター定格を選定したので、回生制動力が従来のエンジンブレーキ力並になり、万一の場合においても乗員に不安感を与えるようなことがない。 【0045】なお、Nb≒N1とすることにより、上述した発進、加速性能を維持しながら、さらにモーター4の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。 【0046】図9は、アイドルストップモードにおける発進、加速動作を示すフローチャートである。このフローチャートにより、一実施の形態の動作を説明する。ステップ1において、エンジン2の冷却水温とメインバッテリー15のSOCとに基づいてアイドルストップモードか否かを判断する。続くステップ2で、車速Vとアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)θとに基づいてクラッチ締結の判定を行う。クラッチ締結判定は図10に示す予め設定した判定マップを参照して行い、判定時点の車速Vとアクセル開度θとの交点がハッチング領域から空白領域へ入ったらクラッチ締結を決定する。図10において、車速Vが所定値V2より低い低速状態では、エンジン2の回転数が低くなって燃費性能や排気浄化性能が低下するので、要求駆動力に相当するアクセル踏み込み量θが大きくてもモーター4のみの駆動力で走行する。ここで、所定値V2には、例えばエンジン回転数が200〜300[rpm]の時の車速を設定する。この場合、バッテリー残量が少なければクラッチオフのままでエンジンを適正な回転数(1200rpmなど)で発電状態とし、バッテリー充電を行いながらモーター走行することも可能である。 【0047】クラッチ締結が決定されるとステップ3へ進み、モーター1によりエンジン2を駆動し、エンジン2の発火運転を起動する。続くステップ4で、エンジン起動後のエンジン回転速度Neとモーター回転速度Nmの変化に基づいて、エンジン回転速度Neがモーター回転速度Nmに到達する時期を算出し、クラッチ3の締結時期を決定する。次に、ステップ5でエンジン2の発生トルクを予測し、続くステップ6で、クラッチ締結後のモータートルクTmとエンジントルクTeとの和がクラッチ締結前のモータートルクTmと等しくなるように、クラッチ締結後のモーター4の目標トルクTmを算出する。 【0048】ステップ7において、モーター回転速度Nmとエンジン回転速度Neとの差が所定差以内にあり、且つ、算出した目標モータートルクTmがモーター4の定格トルク@Tm以内であれば、クラッチ締結時に衝撃を発生することがなく、また、モーター4のトルク制御によって起動直後のエンジン2のトルク変動分を吸収することができるので、クラッチ3の締結を決定する。そして、ステップ8でクラッチ3を締結する。 【0049】クラッチ締結直後のステップ9において、モーター4の出力トルクTmが算出した目標値となるようにトルク制御を行う。これにより、図6(b)に示すように、クラッチ締結後のエンジントルクTeとモータートルクTmとの和が、クラッチ締結前のモータートルクTmと等しくなって、クラッチ締結前後で駆動トルクの変化がなく、連続した一定の加速が可能になる。その後、車速Vの増加につれてモーター4の出力トルクTmを低減しながら、エンジントルクTeを増加し、徐々にモーター走行からエンジン走行に切り換える。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月12日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】永井 冬紀
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| 【公開番号】 |
特開平11−332011 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−128645 |
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