| 【発明の名称】 |
電気自動車用電動機の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 栄次
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| 【要約】 |
【課題】電流指令値が小さい場合にも高い精度で異常検出ができる電気自動車用電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】モータ10に三相駆動電流を供給するインバータ12を制御するための電流指令値Id*,Iq*と、電流センサ14で検出された三相電流値を座標変換器16でdq軸に変換した実電流Id,Iqとの偏差ΔId,ΔIqを積分器28,30で積分し、この積分結果が所定レベルを超えたか否かを異常判定器32で判定する。積分結果が所定の閾値を設定時間以上超えていた場合に異常判定器32が異常を検出し、システム停止を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気自動車用電動機あるいはこれを駆動するためのインバータ等の異常を検出する機能を有する電気自動車用電動機の制御装置であって、電流指令値と実電流との偏差を積分する積分手段と、前記積分手段の出力値が所定値以上となった場合に異常を判定する異常判定器と、を有することを特徴とする電気自動車用電動機の制御装置。 【請求項2】 請求項1記載の電気自動車用電動機の制御装置において、前記積分手段は、前記電気自動車用電動機の電流制御に用いられるPI演算器の積分項を使用することを特徴とする電気自動車用電動機の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車において、構成部品の故障を検知する機能を有する電気自動車用電動機の制御装置の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】電気自動車には、電動機や電動機を駆動するためのインバータ等の構成部品が搭載されている。これらの構成部品が故障した場合には、これを早期に検出する必要があり、従来より電気自動車用電動機等の故障を検出する技術が提案されている。例えば、特開昭60−500477号公報には、電気自動車に搭載されたインバータの故障を検知するための短絡保護装置が開示されている。 【0003】このような従来の故障検出方法においては、例えばインバータに与えられる電流指令値と電動機に流れる実電流との偏差により電動機のコイル断線等の異常を検出していた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の故障検出方法では、電流指令値と実電流との各瞬時値を比較することにより行っていた。このため、電流指令値が小さい場合には、電流指令値と実電流との偏差も小さくなるので、十分に異常検出をすることができなくなるという問題があった。また、電流指令値が小さい場合にも異常検出をさせるためには、異常か否かを判定する電流偏差(スレッシュホルド)を小さくする必要があるが、実電流に含まれるノイズや過渡応答時の電流偏差により誤判定するという問題もあった。 【0005】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電流指令値が小さい場合にも高い精度で異常検出ができる電気自動車用電動機の制御装置を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、電気自動車用電動機あるいはこれを駆動するためのインバータ等の異常を検出する機能を有する電気自動車用電動機の制御装置であって、電流指令値と実電流との偏差を積分する積分手段と、積分手段の出力値が所定値以上となった場合に異常を判定する異常判定器と、を有することを特徴とする。 【0007】また、上記電気自動車用電動機の制御装置において、積分手段として電気自動車用電動機の電流制御に用いられるPI演算器の積分項を使用することを特徴とする。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面にしたがって説明する。 【0009】図1には、本発明に係る電気自動車用電動機の制御装置の構成のブロック図が示される。図1において、電気自動車用電動機であるモータ10は、インバータ12から三相電流を供給されて駆動される。このインバータ12を制御するために、それぞれd軸及びq軸に対応する電流指令値Id*、Iq*が供給される。また、モータ10に供給される三相電流Iu、Iv、Iwは電流センサ14により検出され、三相(uvw軸)とdq軸との間で座標変換を行う座標変換器16によりdq軸上の実電流Id,Iqに変換される。これらの電流指令Id*,Iq*と実電流Id,Iqは、それぞれ減算器18,20に供給され、その偏差ΔId,ΔIqとしてPI制御器22,24に入力される。PI制御器22,24では、偏差ΔId,ΔIqがゼロになるように比例制御及び積分制御が行われ、制御電圧Vd,Vqが出力される。これらの制御電圧Vd,Vqは、dq軸から三相(uvw軸)への変換を行う座標変換器26に入力され、三相電圧に変換され、インバータ10に入力される。 【0010】本実施形態においては、減算器18,20の出力である偏差ΔId,ΔIqは、それぞれ積分器28、30に入力され、ここから積分された値として出力されて異常判定器32に入力される。もしモータ10のコイル断線やインバータ12の故障等が発生した場合にはPI制御器22,24による制御が破綻し、上記偏差ΔId,ΔIqがゼロに収束しなくなる。このため、積分器28、30の出力値のレベルが上昇する。ただし、過渡応答時等でも短時間だけ偏差ΔId,ΔIqが大きくなり、積分器28、30の出力値が上昇することはある。従って、異常判定器32では、積分器28,30の出力値のレベルが所定値を超え、その状態が所定の設定時間以上継続すると異常が発生したと判定し、システム停止等の異常処理を行う。 【0011】このように、電流指令値Id*,Iq*と実電流Id,Iqとの偏差であるΔId,ΔIqは、積分された結果が異常判定器32により監視されているので、これらの偏差ΔId,ΔIqの値が小さい場合にも一定時間継続した場合には異常として検出することが可能となる。従って、電流指令値Id*,Iq*の値が小さい場合に、モータコイルの断線やインバータ故障等による異常が発生した時にも十分に異常を検出することができる。この場合、偏差ΔId,ΔIqは、前述のように積分器28,30で積分されるため、異常状態が継続すれば積分器28,30の出力値のレベルも上昇してゆくので、異常判定器32が異常と判定するレベルを大きな値としておくことができる。従って、ノイズや過度応答時の電流偏差で異常を誤判定することも防止できる。例えば、異常判定器32における異常判定レベルを、インバータ12の最大出力電圧よりも大きく設定しておけば、定常的にはありえない値であるので定常状態での誤判定を防止することができる。更に、積分器28,30はローパスフィルタ(LPF)として作用するので、これによってもノイズや過度応答時における誤判定を防止できる。 【0012】以上のとおり、積分項にはLPFの作用があるのでノイズ対策処理が必要ない。また、異常判定器32における判定ロジックが、積分器28,30の出力のレベル判定と継続時間の計測のみであって単純な動作でよい。従って、制御用マイコンの演算負荷を軽くすることができる。 【0013】図2には、本発明に係る電気自動車用電動機の制御装置の変形例の構成のブロック図が示され、図1と同一要素には同一符号を付してその説明を省略する。図2において特徴的な点は、異常判定器32への入力を、積分器ではなくPI制御器22,24の出力とした点にある。すなわち、PI制御器22,24には、積分動作をさせるための積分項があり、小さな偏差であっても所定時間継続した場合にはその出力である制御電圧Vd,Vqの値が大きくなる。従って、前述したように、電流指令値Id*,Iq*の値が小さい状態でも、モータ10あるいはインバータ12になんらかの異常が発生し、制御電流Id*,Iq*と実電流Id,Iqとの偏差ΔId,ΔIqがなくならない状態となった場合には、異常判定器32により確実に異常状態を判定することが可能となる。 【0014】以上のように、電流制御で使用されるPI制御器22,24の演算結果を利用するので、新たに演算を行う必要がなく、制御用マイコンの演算負荷を軽くすることができる。 【0015】図3には、図2に示された電気自動車用電動機の制御装置における異常判定の動作のフローが示される。図3において、異常判定器32にPI制御器22,24の演算結果であるVd,Vqが入力される(S1)。 【0016】次に異常判定器32では、Vdの絶対値が所定の閾値よりも大きいか否かが判定される(S2)。 【0017】S2において、Vdの絶対値が閾値よりも小さい場合にはS1のステップに戻る。また、S2において、Vdの絶対値が閾値以上の場合には、Vqの絶対値が閾値より大きいか否かが判定される(S3)。 【0018】S3において、Vqの絶対値が所定の閾値未満である場合にはS1のステップに戻る。これに対してVqの絶対値が閾値以上である場合にはVdの絶対値とVqの絶対値とが共に閾値以上となっている継続時間が設定時間よりも長いか否かが判定される(S4)。 【0019】S4において上記継続時間が設定時間未満である場合にはS1のステップに戻る。これに対して継続時間が設定時間以上である場合には異常状態が発生したと判定し、異常判定器32がシステム停止等の異常処理を行う(S5)。 【0020】なお、上述した閾値を設定するかわりに、PI制御器22,24の積分項のリミッタへの到達によって異常の発生を判断することも可能である。 【0021】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、電流指令値と実電流との偏差を積分し、この積分値のレベル判定によって異常判定を行うので、電流指令値が小さく、偏差が小さい場合にも確実に異常の検知を行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月12日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−332002 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−128965 |
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