| 【発明の名称】 |
ハイブリット駆動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 裕士
【氏名】都築 繁男
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| 【要約】 |
【課題】モータジェネレータによる均等充電を可能とし、均等充電のための施設やメンテナンスを不要とする。
【解決手段】バッテリ40における各モジュール40a間の電位差をセンサ42によって検知しておき、該電位差がしきい値以上となった場合には、エンジン1にてモータジェネレータ2を駆動してバッテリ40の均等充電を行う。この均等充電中においては、駆動車輪の駆動は、無段変速機Mを介して伝えられる内燃エンジン1の駆動力により行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃エンジンと、モータジェネレータと、自動変速機と、を備え、前記内燃エンジン及び/又はモータジェネレータの出力を前記自動変速機を介して駆動車輪に伝達し、また前記内燃エンジンの出力により前記モータジェネレータにて発電してバッテリに充電してなる、ハイブリット駆動装置において、前記バッテリを複数のモジュールに分割すると共に各モジュール間の電圧を検知する電圧検知手段と、該電圧検知手段によって検知された各モジュール間の電位差が所定値以上の場合に、前記各モジュールのバッテリが略々フル充電になるように、前記モータジェネレータが前記内燃エンジンの動力によりバッテリを充電すると共に、該内燃エンジンの動力が前記自動変速機を介して駆動車輪を駆動する均等充電モード制御手段と、を備えることを特徴とするハイブリット駆動装置。 【請求項2】 前記均等充電モード制御手段は、前記バッテリの充電を行う場合において前記駆動車輪に伝達される必要駆動力を維持するように、前記内燃エンジンの動力を増加させる、ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリット駆動装置。 【請求項3】 前記各モジュールが略々フル充電になったか否かは、各モジュール間の電圧が下降したか否かで判断する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリット駆動装置。 【請求項4】 前記自動変速機は、プライマリシャフトとセカンダリシャフトとの間に配置されこれら両シャフト間のトルク比を無段に変速する無段変速装置と、前記無段変速装置のプライマリ側に連動する第1の回転要素、該無段変速装置のセカンダリ側に連動する第2の回転要素、前記第1の回転要素及び第2の回転要素の回転をトルク循環を生じる状態で合成して駆動車輪に出力する第3の回転要素を有するプラネタリギヤユニットと、を有し、前記無段変速装置を、前記第3の回転要素がニュートラル位置となるように自己収束するニュートラル制御と、該ニュートラル位置から無段に変速する変速制御とを行う無限変速機構を備えた無段変速機である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハイブリット駆動装置。 【請求項5】 前記均等充電モード制御手段は、前記バッテリの残量容量が所定値以下では急速充電を行う、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のハイブリット駆動装置。 【請求項6】 前記均等充電モード制御手段は、アクセル開度が所定値以上、或は前記バッテリの温度が所定値以上の場合に、前記バッテリの充電を中止する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のハイブリット駆動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内燃エンジン及び/又はモータジェネレータにて車両を駆動するハイブリット駆動装置に係り、詳しくはバッテリの均等充電に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、特開平9−71138号公報に示すように、無段変速装置(CVT)を用いたハイブリッド駆動装置が提案されている。そして、かかるハイブリッド駆動装置においては、モータを駆動するために200〜300Vの高圧のバッテリが用いられている。 【0003】ところで、このようなバッテリは、均一な電圧(例えば、約1.2V)のセルが多数(200〜300個)直列に接続されて構成されているが、充放電を繰り返し行っていると各セルの電圧が均一でなくなり、さらに充放電を繰り返すとその電圧差が次第に大きくなってバッテリの寿命が低下するという問題があった。 【0004】かかる問題を解決する方法として、車両外部の特別な充電装置を用い、車両を止めた状態で月1回程度の頻度で各セルの電圧が均一になるように均等充電を行う方法が提案されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような方法では均等充電のための施設(設備)を各所に配置しなければならないという問題があった。また、該施設まで均等充電のためにわざわざ行かなければならず、そのメンテナンスが面倒という問題があった。 【0006】また、車両外部の特別な充電装置からの充電を必要としないハイブリット駆動車両も案出されているが、このものは、パワー密度が高くかつ長寿命のバッテリを充分な安全率を見込んで数多く搭載する必要があり、ハイブリット駆動車両のコストアップの原因となっている。 【0007】そこで、本発明は、モータジェネレータによる均等充電を可能とし、もって上記課題を解決したハイブリット駆動装置を提供することを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、内燃エンジン(1)と、モータジェネレータ(2)と、自動変速機(M)と、を備え、前記内燃エンジン及び/又はモータジェネレータの出力を前記自動変速機(M)を介して駆動車輪(53)に伝達し、また前記内燃エンジン(1)の出力により前記モータジェネレータ(2)にて発電してバッテリ(40)に充電してなる、ハイブリット駆動装置(A)において、前記バッテリ(40)を複数のモジュール(40a)に分割すると共に各モジュール間の電圧を検知する電圧検知手段(42)と、該電圧検知手段(42)によって検知された各モジュール間の電位差が所定値以上の場合に、前記各モジュール(40a)のバッテリが略々フル充電になるように、前記モータジェネレータ(2)が前記内燃エンジン(1)の動力によりバッテリ(40)を充電すると共に、該内燃エンジン(1)の動力が前記自動変速機(M)を介して駆動車輪(53)を駆動する均等充電モード制御手段(47)と、を備えることを特徴とするハイブリット駆動装置にある(図2参照)。 【0009】請求項2に係る発明は、前記均等充電モード制御手段(47)は、前記バッテリ(40)の充電を行う場合において前記駆動車輪(53)に伝達される必要駆動力を維持するように、前記内燃エンジン(1)の動力を増加させる、ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリット駆動装置にある(図10参照)。 【0010】請求項3に係る発明は、前記各モジュール(40a)が略々フル充電になったか否かは、各モジュール(40a)間の電圧が下降したか否かで判断する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリット駆動装置にある(図9参照)。 【0011】請求項4に係る発明は、前記自動変速機(M)は、プライマリシャフト(8)とセカンダリシャフト(15)との間に配置されこれら両シャフト間のトルク比を無段に変速する無段変速装置(11)と、前記無段変速装置(11)のプライマリ側に連動する第1の回転要素(19c)、該無段変速装置(11)のセカンダリ側に連動する第2の回転要素(19s)、前記第1の回転要素(19c)及び第2の回転要素(19s)の回転をトルク循環を生じる状態で合成して駆動車輪に出力する第3の回転要素(19r)を有するプラネタリギヤユニット(19)と、を有し、前記無段変速装置(11)を、前記第3の回転要素(19r)がニュートラル位置となるように自己収束するニュートラル制御と、該ニュートラル位置から無段に変速する変速制御とを行う無限変速機構(18)を備えた無段変速機である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハイブリット駆動装置にある(図1参照)。 【0012】請求項5に係る発明は、前記均等充電モード制御手段(47)は、前記バッテリ(40)の残量容量が所定値以下では急速充電を行う、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のハイブリット駆動装置にある(図9参照)。 【0013】請求項6に係る発明は、前記均等充電モード制御手段(47)は、アクセル開度が所定値以上、或は前記バッテリ(40)の温度が所定値以上の場合に、前記バッテリ(40)の充電を中止する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のハイブリット駆動装置にある(図9参照)。 【0014】なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、何ら本発明の構成を限定するものではない。 【0015】 【発明の効果】請求項1に係る発明によると、内燃エンジン(1)の動力によりバッテリ(40)を充電するので、均等充電のための施設やメンテナンスが不要となるものでありながら、内燃エンジンによる均等充電により、バッテリ容量の安全率を高く設定する必要がなく、ハイブリット駆動車両のコストダウンを図ることができる。 【0016】請求項2に係る発明によると、前記バッテリ(40)の充電を行う場合においても前記駆動車輪(53)に伝達される必要駆動力は維持されるので、該充電に伴う走行性能の低下を防止でき、該走行性能の低下に伴ってドライバーが違和感を受けることもない。 【0017】請求項3に係る発明によると、前記各モジュール(40a)が略々フル充電になったか否かは、各モジュール(40a)間の電圧が下降したか否かで正確に判断できる。 【0018】請求項4に係る発明によると、自動変速機(M)として無限変速機構(18)を有する無段変速機を使用するようにしたので、駆動車輪(53)に伝達される駆動力を大きくできるとともに、停車時には、入力クラッチを解放することなく、無段変速装置(11)の変速比を制御するだけでトランスミッションの出力トルクを0にできるニュートラル制御(ギヤニュートラル)を行うことができるので、内燃エンジンの駆動力を発電に用いることができる。また、発進時には、ギヤニュートラルからの大きなトルク比を得られる無限変速機構(18)に基づき、無段変速装置(11)の変速比を制御するだけで発進でき、モータジェネレータの駆動力を必要としないので、定常走行時だけでなく、停車時、発進時においても均等充電を中止する必要はない。 【0019】請求項5に係る発明によると、前記バッテリ(40)の残量容量が所定値以下では急速充電を行うようにしたので、均等充電を早期に終了できる。 【0020】請求項6に係る発明によると、アクセル開度が所定値以上、或は前記バッテリ(40)の温度が所定値以上の場合に、前記バッテリ(40)の充電を中止するようにしたので、急加速時の充電に伴う駆動力ロスを回避でき、かつバッテリの寿命低下を防止できる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。 【0022】図1は、車載用ハイブリット駆動装置の全体概略を示す図で、1は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃エンジンであり、2は、ブラシレスDCモータ等のモータジェネレータである。なお、該モータジェネレータ2は、上記モータに限らず、直流直巻モータ、直流分差モータ、誘導モータ等の他のモータでもよい。 【0023】そして、エンジン1の出力軸1aは、フライホィール3等を介してシャフト4に連結されており、該シャフト4とモータジェネレータ2のロータ2aとの間に入力クラッチ6が介在している。更に、エンジン出力軸1a及びロータ2aの中心軸と整列しかつ該ロータに連結しているプライマリシャフト8にはオイルポンプ10の回転側10aが連結されていると共に、ベルト式無段変速装置(CVT)11のプライマリプーリ7が配置されており、更にロークラッチCL を介して動力伝達されるスプロケット13が回転自在に支持されている。 【0024】また、プライマリシャフト8に平行してセカンダリシャフト15が配置されており、該セカンダリシャフト15には、前記CVT11のセカンダリプーリ9、シンプルプラネタリギヤ19、出力ギヤ21、及び前記スプロケット13とチェーン22を介して連動しているスプロケット20が配置されている。上記プラネタリギヤ19及びCVT11は無限変速機構(IVT)18を構成する。なお、CVT11には、ベルト式のものやトロイダル式のものが適用される。 【0025】更に、カウンタ軸23が配置されており、該カウンタ軸23には、前記セカンダリシャフト15に支持されている出力ギヤ21に噛合する大歯車25及び小歯車26が一体に固定されている。また、小歯車26はディファレンシャル装置29のデフキャリヤに連結しているギヤ30に噛合しており、該ディファレンシャル装置29は左右前輪に連結するフロントアクスルシャフト31l,31rにそれぞれ差動回転を出力する。上記IVT18及び歯車21,25,26,30からなる最終減速装置により無段変速機(自動変速機)Mを構成している。 【0026】つまり、本実施の形態に係るハイブリット駆動装置Aは、内燃エンジン1及び/又はモータジェネレータ2の出力を無段変速機Mを介して駆動車輪に伝達するように構成されている。 【0027】ついで、上述したCVT11及びプラネタリギヤ19から構成される無限変速機構(IVT)18について、図2に沿って説明する。なお、該IVTの油圧装置等の詳細は、本出願人による出願にて既に公開になっている以下の公開公報、特開平8−261303号公報、特開平8−326860号公報、特開平8−326893号公報、特開平9−144835号公報、特開平9−166191号公報、特開平9−166215号公報、特開平9−177928号公報を参照されたい。 【0028】前記ロークラッチCL の出力側に連結しているスプロケット13,チェーン22及びスプロケット20にて構成される定速伝動装置16の回転と、前記プライマリプーリ7、セカンダリプーリ9及びベルト12にて構成される前記CVT11の無段変速回転とが、プラネタリギヤ19にてトルク循環を生じるように合成される。即ち、前記プラネタリギヤ19は、サンギヤ19s、リングギヤ19r及びこれら両ギヤに噛合しているピニオン19pを回転自在に支持しているキャリヤ19cを有するシングルピニオンプラネタリギヤからなり、前記サンギヤ19sがCVT11のセカンダリプーリ9に連結されて第2の回転要素を構成し、前記リングギヤ19rが出力ギヤ21に連結されて第3の回転要素を構成し、前記キャリヤ19cが定速伝動装置16のセカンダリ側スプロケット20に連結されて第1の回転要素を構成している。 【0029】また、前記プライマリプーリ7及びセカンダリプーリ9の油圧アクチュエータ7c,9cはそれぞれ固定シーブボス部7a1 ,9a1 に固定されている仕切り部材45,46及びシリンダ部材47,49と、可動シーブ7b,9b背面に固定されているドラム部材50,51及び第2ピストン部材52,53とを有しており、仕切り部材45,46が第2ピストン部材52,53に油密状に嵌合すると共に、これら第2ピストン部材52,53がシリンダ部材47,49及び仕切り部材45,46に油密状に嵌合して、それぞれ第1の油圧室55,56及び第2の油圧室57,59からなるダブルピストン(ダブルチャンバ)構造となっている。 【0030】そして、前記油圧アクチュエータ7c,9cにおける第1の油圧室55,56は、それぞれ可動シーブ7b,9bの背面がピストン面を構成しかつ該ピストン面の有効受圧面積が、プライマリ側及びセカンダリ側にて等しくなっている。また、プライマリ側及びセカンダリ側固定シーブボス部7a1 ,9a1 にはそれぞれ第1の油圧室55,56に連通する油路及び第2の油圧室57,59に連通する油路が形成されており、またプライマリ側及びセカンダリ側の可動シーブ7b,9bをそれぞれ固定シーブ7a,9aに近づく方向に付勢するプリロード用のスプリング65,66が縮設されている。 【0031】ついで、上記無限変速機構(IVT)18に基づく作用について、図2ないし図6に沿って説明する。エンジン1及び/又はモータジェネレータ2の回転は、プライマリシャフト(入力軸)8に伝達される。Dレンジおいて、ロークラッチCL が接続してハイクラッチCH が切断されているローモードにあっては、前記プライマリシャフト8の回転は、プライマリプーリ7に伝達されると共に、プライマリ側スプロケット13、チェーン22及びセカンダリ側スプロケット20からなる定速伝動装置16を介してプラネタリギヤ19のキャリヤ19cに伝達される。一方、前記プライマリプーリ7の回転は、後述する油圧アクチュエータ7c,9cによりプライマリ及びセカンダリプーリのプーリ比が適宜調節されることにより無段に変速されてセカンダリプーリ9に伝達され、更に該プーリ9の変速回転がプラネタリギヤ19のサンギヤ19sに伝達される。 【0032】プラネタリギヤ19において、図3の速度線図に示すように、定速伝動装置16を介して定速回転が伝達されるキャリヤ19cが反力要素となって、ベルト式無段変速装置(CVT)11からの無段変速回転がサンギヤ19sに伝達され、これらキャリヤとサンギヤの回転が合成されてリングギヤ19rを介して出力ギヤ21に伝達される。この際、出力ギヤ21には反力支持要素以外の回転要素であるリングギヤ19rが連結されているため、前記プラネタリギヤ19はトルク循環を生じると共に、サンギヤ19sとキャリヤ19cとが同方向に回転するため、出力軸5は零回転を挟んで正転(Lo)及び逆転(Rev)方向に回転する。即ち、前記トルク循環に基づき、出力軸31l,31rの正転(前進)方向回転状態では、ベルト式無段変速装置11はセカンダリプーリ9からプライマリプーリ7へトルクが伝達され、出力軸の逆転(後進)方向回転状態では、プライマリプーリ7からセカンダリプーリ9へトルクが伝達される。 【0033】そして、ロークラッチCL が切断されかつハイクラッチCH が接続されているハイモードにあっては、定速伝動装置16を介してのプラネタリギヤ19への伝達は断たれ、該プラネタリギヤ19は、ハイクラッチCH の係合により一体回転状態となる。従って、プライマリシャフト8の回転は、専らベルト式無段変速装置(CVT)11及びハイクラッチCH を介して出力ギヤ21に伝達される。即ち、CVT11は、プライマリプーリ7からセカンダリプーリ9に向けて動力伝達する。更に、出力ギヤ21の回転は、カウンタシャフト23のギヤ25,26を介してディファレンシャル装置29に伝達され、左右のアクスル軸31l,31rを介して左右前輪に伝達される。 【0034】図3の速度線図、図5の出力トルク図、図6の出力回転数図にて示すように、ローモードにあっては、ベルト式無段変速装置(以下CVTという)11が増速方向の限度(O/D端)にある場合(図3の線a位置)、サンギヤ19sが最大回転することに基づき、一定回転数のキャリヤ19cの回転に対してリングギヤ19rを逆転し、逆回転(REV)を出力ギヤ21に伝達する。そして、CVT11が減速(U/D)方向に変速することにより、逆回転の回転数が減少し、プラネタリギヤ19及び定速伝動装置16のギヤ比で定まる所定プーリ比において、出力ギヤ21の回転数が零になるギヤニュートラル位置(GN)になる。更に、CVT11が減速方向に変速することにより、リングギヤ19rは正転方向に切換えられ、出力ギヤ21には該正転回転即ち前進方向の回転が伝達される。この際、図5から明らかなように、上記ギヤニュートラル位置GN近傍にあっては、理論的には、出力ギヤ21のトルクは無限大に発散する。 【0035】ついで、CVT11が減速方向(U/D)端になると、ハイクラッチCH が接続してハイモードに切換えられる。該ハイモードにあっては、CVT11の出力回転がそのまま出力ギヤ21に伝達されるため、図3の速度線図にあっては、bに示すように平行線となる。そして今度は、CVT11が増速(O/D)方向に変速されるに従って、出力ギヤ21の回転も増速方向に変更され、その分伝達トルクは減少する。なお、図3におけるλは、サンギヤの歯数Zsとリングギヤの歯数Zrとの比(Zs/Zr)である。 【0036】なお、図4に示すパーキングレンジP及びニュートラルレンジNにあっては、ロークラッチCL 及びハイクラッチCH が共に切断されて、エンジンからの動力は断たれる。この際、パーキングレンジPにあっては、ディファレンシャル装置29がロックされて車軸31l,31rがロックされる。 【0037】また、プライマリプーリ7は、その固定シーブ7aのボス部がプライマリシャフト8にスプライン嵌合されており、該固定シーブボス部に可動シーブ7bが油圧アクチュエータ7cにより軸方向移動自在に支持されている。一方、セカンダリプーリ9は、その固定シーブ9aがセカンダリシャフト15と一体に構成されており、該固定シーブ9aに可動シーブ9bが油圧アクチュエータ9cにより軸方移動自在に支持されている。 【0038】そして、Dレンジ又はRレンジにあり、車速が所定速度以下にあって、かつアクセルペダルを離した状態にあると、制御部からギヤニュートラル信号が出力して、プライマリ及びセカンダリの両油圧アクチュエータ7c,9cにおける第1の油圧室55,56に油圧を供給した状態で、両第2の油圧室57,59の油圧を解放し、両プーリ7,9の軸力を実質的に等しくする。即ち、プライマリ及びセカンダリプーリの軸力の差を、出力トルク方向が正の場合その時点でのCVTの入力トルク及びプーリ比から決定される前記両プーリの軸力の差より、その大小関係を逆転させない範囲で小さい値か、又は出力トルク方向が負の場合のその時点でのCVTの入力トルク及びプーリ比から決定されるプライマリ及びセカンダリプーリの軸力の差より、その大小関係を逆転させない範囲で小さい値になるように制御する。 【0039】これにより、CVTの前進域から又は後進域からギヤニュートラル(GN)点に自己収束する力が発生し、自動的に、IVT18はGN点に移行・保持されて、無負荷或は限りなく無負荷に近い状態となる。なお、CVT11自体は、プライマリ及びセカンダリプーリがベルト張力により拮抗した状態、即ちプーリ比が1.0になる状態が安定状態にあり、該プーリ比1.0に向って力FA が発生し、従ってIVT18がGN点に無負荷状態になると同時に、CVT11がプーリ比1.0に向う力FA が発生し、該無負荷状態でのプーリ比1.0に向う力FAと、該力FA によりGN点から外れることによる負荷状態でのGN点に向う力FN が、渦状態となって前進クリープトルクが発生する(特願平8−263344号参照)。 【0040】そして、Dレンジにあっては、ロークラッチCL が接続され、かつプライマリ及びセカンダリの前記両第1の油圧室55,56に所定油圧が供給されている状態で、セカンダリ側の第2の油圧室59に油圧が徐々に供給され、前記ギヤニュートラル(GN)点からセカンダリプーリ9の有効径が大きくなるアンダードライブ(U/D)方向に移動し、この状態ではプライマリシャフト8からロークラッチCL 及び定速伝動装置16を介してプラネタリギヤ19のキャリヤ19cに伝達されるトルクは、サンギヤ19sを介して所定プーリ比によるCVT11にて規制されつつ(トルク循環)、リングギヤ19rを介して出力ギヤ21に出力する。 【0041】更に、CVT11がU/Dの所定位置以上において、ロークラッチCL を切断すると共にハイクラッチCH を接続し、かつプライマリ側の第2の油圧室57に油圧が供給されるように切換えられる。この状態では、プライマリシャフト8のトルクは、プライマリプーリからセカンダリプーリ9に伝達されるCVTにより、適宜変速され、更にハイクラッチCH を介して出力ギヤ21から取出される。なお、ダウンシフトは、上述の逆の油圧制御により行なわれるが、ローモードにおけるダウンシフトにあっては、所定プーリ比以下では機械的に禁止されている。 【0042】また、Rレンジにあっては、ロークラッチCL が接続され、かつプライマリ及びセカンダリの前記両第1の油圧室55,56に所定油圧が供給されている状態で、プライマリ側の第2の油圧室57に油圧が徐々に供給され、前記ギヤニュートラル(GN)点からプライマリプーリ7の有効径が大きくなるオーバードライブ(O/D)方向に移動し、定速伝動装置16とCVT11との回転がプラネタリギヤ19で合成されて、定速回転が変速回転より高い関係で、出力ギヤ21に逆回転として取出される。 【0043】図7は、ハイブリット駆動装置Aの制御ブロック図であるが、上述したモータジェネレータ2には、同図に示すようにバッテリ40が接続されていて、駆動車輪53を駆動する際に電力の供給を受けるように構成されている。このバッテリ40は、直列に接続された多数(200〜300個)のセルにて構成されており、複数のモジュール40aに分割されている。つまり、各1つのモジュール40aは、複数(例えば、50個程度)のセルにて構成されることとなる。なお、バッテリはニッケル水素電池が好ましく、例えば1個が約1.2Vの電圧のセルを複数個直列に接続して60Vのモジュールを構成し、該モジュールを5個直列に接続して全体で300Vのハイブリット駆動用バッテリを構成する。 【0044】そして、このバッテリ40には、各モジュール40a間の電圧を検知するセンサ(電圧検知手段)42と、バッテリ40の温度を検知する温度センサ41とが取り付けられており、これらのセンサ41,42はバッテリ制御部43に接続されている。 【0045】なお、44はエンジン制御部、45はインバータ、46はM/G制御部、47は車両制御部(均等充電モード制御手段)、48はT/M制御部、50は車速センサ、51はモータ電流センサ、52はバッテリ電流センサである。 【0046】そして、バッテリ制御部43から車両制御部47には、均等充電要求、モジュール電圧、バッテリ温度、バッテリ電流の各情報が入力されており、車両制御部47は、これらの情報を基にバッテリの均等充電制御(詳細は後述)を行うようになっている。また、車両制御部47には、車速センサ50から車速情報が入力され、アクセル開度θの情報が入力されており、車両制御部47からT/M制御部48へはギヤ比要求値についての情報が送られ、車両制御部47からエンジン制御部44へはエンジン出力要求やスロットル開度指令値の各情報が送られるようになっている。そして、この車両制御部47は、車速やアクセル開度の情報を基にエンジン制御(詳細は後述)を行うようになっている。 【0047】図8は、バッテリの均等充電制御の概略を示すフローチャート図であり、センサ42によって検知された各モジュール40a間の電位差がしきい値(例えば、0.3V)以上であるか、バッテリ40の温度が45℃以下であるかの判断が行われる(S1,S2)。そして、該電位差がしきい値以上であって、かつバッテリ40の温度が45℃以下である場合には、バッテリ制御部43から車両制御部47に対して均等充電要求(図7参照)がなされ、車両制御部47は、バッテリが略々フル充電になるように均等充電制御を行い(S3)、同時に、エンジン1の駆動力を増加させるようなエンジン制御を行って、駆動車輪に伝達される駆動力が変化しないようにする(S4)。 【0048】なお、前記電位差がしきい値を超えたか否かの判定(S1)は、* 車両システム起動時(すなわち、ドライバーがキーをオンしたときであって、バッテリ開放時) * 所定以上の電流を放電したとき、のいずれか、又は両方で行えば良い。ここで、判定基準となる電位差(図では0.3V)は判定時期に応じて異ならせても良い。 【0049】均等充電制御においては、内燃エンジン1の出力によりモータジェネレータ2にて発電してバッテリ40の充電を行うが、図9に示すように、バッテリ40の残存容量(SOC)が90%以下では大きな充電電流を流して急速充電を行い(S31)、SOCが90%以上となった場合には充電電流を小さく(例えば1A程度)して充電する(S32,S33)。このような充電電流の制御は、バッテリ電流センサ52で検知した値(充電電流、すなわち、バッテリ電流)に基づき、モータトルク指令値(Tmg)をフィードバック制御することにより行う。また、上述のように急速充電を行うことにより、均等充電を早期に終了できる。 【0050】なお、この均等充電中においては、駆動車輪の駆動は、無限変速機構18を介して伝えられる内燃エンジン1の駆動力により行い、モータジェネレータ2の駆動力は使用しない。つまり、停車時には、入力クラッチ6を解放することなく無段変速装置の変速比を制御するだけでトランスミッションの出力トルクを0にできるギヤニュートラルを形成できるので、内燃エンジン1の駆動力を発電に用いることができる。また、発進時、走行時にも、無段変速機11を制御するだけで発進、走行でき、モータジェネレータ2の駆動力を必要としない走行が可能であるので、走行時だけでなく、停車時、発進時にも均等充電を続けることができる。 【0051】一方、均等充電中においてバッテリ40の温度がしきい値(45℃以上)になった場合には、均等充電を中止する(S34,S37)。これにより、バッテリ40の寿命低下を防止できる。 【0052】また、均等充電中においてフル加速(アクセル開度90%以上)されても、均等充電を一旦中断する(S35,S38)。これにより、エンジン1の全ての駆動力を走行に用いることができ、急加速時の充電に伴う駆動力ロスを回避できる。 【0053】さらに、各モジュール40a全てにおいて電圧降下が始まった場合には、均等充電を終了する(S36)。これにより、各モジュール40aは略々フル充電される。 【0054】またさらに、バッテリ40の均等充電中に、ドライバの意志によりエンジンが停止された場合は、当然に均等充電も終了となるが、このような場合には、エンジンが始動された時点で均等充電制御を再開する。 【0055】なお、図中に示した数値(例えば、しきい値温度45℃や充電電流1A)は、ニッケル水素バッテリの数値であり、他の種類のバッテリを用いた場合には適宜変更すれば良い。 【0056】図10は、均等充電中のエンジン制御の詳細を示すブロック図であり、図11は、エンジンのアクセル開度θ及び車速と駆動力との関係を示す図である。 【0057】このエンジン制御においては、車両制御部47は、アクセル開度θとトランスミッションの出力回転数Nt/m out より、トランスミッションの出力トルクTt/m out を決定する(S41)。 【0058】次に、このようにして決定した出力トルクTt/m out を、トランスミッションのトルク比It/m で割って、トランスミッションの入力トルクTt/m inを決定する(S42)。 【0059】さらに、この入力トルクTt/m inに、M/G回生トルクTmgを加えて、エンジンの出力トルクTe を決定する(S43)。 【0060】このようにして決定された出力トルクTe に基づく信号が、車両制御部47からエンジン制御部44に送られ、エンジン制御部44は電子スロットルをコントロールする。これにより、均等充電を行う場合においては、エンジン1の駆動力は、M/G回生トルクTmgの分だけ増加され、駆動車輪に伝達される駆動力(すなわち、車両走行に使われるトランスミッションの出力トルクTt/m out )は変化しない。これにより、均等充電に伴う走行性能の低下を防止でき、該走行性能の低下に伴ってドライバーが違和感を受けることもない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000100768 【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)4月21日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】近島 一夫
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| 【公開番号】 |
特開平11−308705 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−110739 |
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