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【発明の名称】 無人搬送車の接触式充電器
【発明者】 【氏名】山畑 三三雄

【氏名】浅見 秀夫

【要約】 【課題】充電板からコンタクト板を離脱させる際の直流モータの初期トルクを高めることのできる無人搬送車の接触式充電器を提供する。

【解決手段】床面に設置された充電板Pから離間する退避位置と前記充電板に接触する通電位置との間で直流モータMによって正逆方向に水平軸9回りに回動されるコンタクト板4を有する無人搬送車に搭載された接触式充電器において、コンタクト板を退避位置から通電位置へ回動させる場合には、直流電源に直流モータとトルク低減用抵抗を直列に接続して前記直流モータに給電し、コンタクト板を通電位置から退避位置へ回動させる場合には、直流モータを前記トルク低減用抵抗を介さずに直流電源に接続して直流モータに給電する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 無人搬送車に搭載され、床面に設置された充電板から離間する退避位置と前記充電板に接触する通電位置との間で直流モータによって正逆方向に水平軸回りに回動されるコンタクト板を有する接触式充電器において、コンタクト板を退避位置から通電位置へ回動させる場合には、直流電源に直流モータとトルク低減用抵抗を直列に接続して前記直流モータに給電し、コンタクト板を通電位置から退避位置へ回動させる場合には、直流モータを前記トルク低減用抵抗を介さずに直流電源に接続して直流モータに給電する給電回路を備えたことを特徴とする無人搬送車の接触式充電器。
【請求項2】 直流電源に給電回路と並列にコンデンサが接続されていることを特徴とする請求項1記載の無人搬送車の接触式充電器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属するの技術分野】本発明は、無人搬送車の接触式充電器に関する。
【0002】
【従来の技術】床面を走行して物品を搬送する無人搬送車は、車体に搭載した充電式のバッテリーによって車体に内蔵された走行用モータを駆動して走行しているため、その走行路途中の床面上に設置された、充電用電源に接続されている充電板に無人搬送車に搭載された接触式充電器のコンタクト板を接触させてバッテリーへの充電を行っている。
【0003】図3及び図4は、接触式充電器の搭載位置を示す無人搬送車の背面図及び平面図であって、無人搬送車1は新聞巻取紙Wを保管場所から輪転機へ供給搬送するためのものであり、接触式充電器2はこれらの図に示すように無人搬送車1の車体後部に搭載されている。
【0004】図5は、前記接触式充電器2の側面図、図6は背面図であって、接触式充電器2のハウジング3は、無人搬送車1の車体下部に取り付けられており、前記ハウジング3には床面F上に設置されている銅等の導体で形成されている充電板Pから離間する退避位置と前記充電板Pに接触する通電位置との間で直流モータMによって正逆方向に回動されるコンタクト板4が設けられている。
【0005】前記コンタクト板4は、黄銅等の導体で先端側が上方に湾曲したそり型に形成されており、無人搬送車1の幅方向に一対並列配置され、ゴムダンパー5介してコンタクトブロック6に固定されている取付板7に支持されている。
【0006】また、コンタクトブロック6は直流モータMの回転を減速して出力するウォーム減速機8の水平軸9に固定されている。
【0007】コンタクト板4は通常図5に実線で示す位置に格納されており、充電を行うために無人搬送車1が充電板Pの上方に接触式充電器2を位置させて停止すると直流モータMが駆動され、そり型に湾曲した先端側から充電板Pに接触するように仮想線で示す位置へ向けて回動される。
【0008】この際、コンタクト板4の前端が水平軸9を中心とした円弧を描いて充電板Pに接触してその表面を擦ることによって、通電抵抗を増加させる原因となるコンタクト板4と充電板P相互の接触面の汚れや錆等が除去される。
【0009】コンタクト板4は、接続ケーブル10及び充電用リレー13を介して無人搬送車1に搭載されているバッテリーへ電気的に接続されており、充電板Pと完全に接触した通電位置までコンタクト板4が回動し、充電用リレー13が導通すると、地上側の充電用電源から充電板Pに通電され、無人搬送車1に搭載されているバッテリーに充電が行われる。
【0010】充電が完了すると、充電用リレー13を遮断後、直流モータMは逆方向に駆動されてコンタクト板4は、図5に実線で示す退避位置へ復帰回動する。
【0011】この際、コンタクトブロック6に設けられているストライカ11がリミットスイッチ12のアクチュエータ12Aを揺動させて、コンタクト板4が退避位置へ回動したことを前記リミットスイッチ12で検出しており、その検出信号によって無人搬送車1の走行が可能となるようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前述したように構成されている従来の接触式充電器においては、コンタクト板を充電板に接触させる際にコンタクト板は水平軸回りに円弧を描いて充電板に押し付けられ、充電中に無人搬送車のゴム製の車輪が車体の重量によって変形して車高が僅かに下がってくるため、コンタクト板と充電板間に作用する摩擦力が増加して、充電終了後に充電板からコンタクト板を離脱させることが困難となる問題があった。
【0013】そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決し、充電板からコンタクト板を離脱させる際の直流モータの初期トルクを高めることのできる無人搬送車の接触式充電器を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明の接触式充電器は、無人搬送車に搭載され、床面に設置された充電板から離間する退避位置と前記充電板に接触する通電位置との間で直流モータによって正逆方向に水平軸回りに回動されるコンタクト板を有するものにおいて、コンタクト板を退避位置から通電位置へ回動させる場合には、直流電源に直流モータとトルク低減用抵抗を直列に接続して前記直流モータに給電し、コンタクト板を通電位置から退避位置へ回動させる場合には、直流モータを前記トルク低減用抵抗を介さずに直流電源に接続して直流モータに給電する給電回路を備えたものである。前記直流電源には給電回路と並列にコンデンサが接続されていることが望ましい。
【0015】
【作用】無人搬送車に搭載されたバッテリーに充電を行う場合には、前記無人搬送車を充電板が設置されている場所へ走行させ、前記充電板が無人搬送車に搭載された接触式充電器の下方に位置するように停止させる。
【0016】次いで、直流電源から直流モータへ給電し、コンタクト板を退避位置から通電位置へ回動させる。
【0017】この際、直流モータは前記トルク低減用抵抗によって適正な大きさに駆動トルクが調整された状態でコンタクト板を充電板に接触させ、通電位置まで回動させる。
【0018】コンタクト板が充電板へ接触してから通電位置まで回動する間に、コンタクト板と充電板の接触面は相互に擦れ合って通電抵抗を大きくする原因となるコンタ接触面の汚れや錆等が取り除かれる。
【0019】コンタクト板が充電位置へ停止した後、地上側の充電用電源から充電板に通電されて無人搬送車搭載されているバッテリーの充電が行われる。
【0020】充電終了後、コンタクト板を通電位置から退避位置へ回動させる場合には、直流電源からトルク低減用抵抗を介さずに直流モータへ給電されるため、直流モータの初期トルクが大きくなって充電板から容易にコンタクト板が離脱する。
【0021】また、直流電源に給電回路と並列にコンデンサが接続されている場合には、コンデンサは常時直流電源によって充電されており、直流モータの起動時にコンデンサから放電されて、その電流が直流電源から直流モータへ供給される電流に加わって直流モータの初期トルクを増加させる。
【0022】特に、バッテリーへの充電終了後、コンタクト板を通電位置から退避位置へ回動させる際には、直流電源からトルク低減用抵抗を介さずに直流モータへ供給される電流にコンデンサの放電電流が加えられるため、直流モータに大きな初期トルクが発生し、コンタクト板を充電板から容易に離脱することができる。
【0023】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1は、無人搬送車の接触式充電器の第1実施例を示す直流モータの給電回路を示す図であって、本発明における接触式充電器の機械的な構造部分は、前述した図5及び図6に示す従来のものと同一構成であり、直流モータMの駆動回路のみが異なっている。
【0024】図1の給電回路において、直流モータMは第1リレーL1 と第2リレーL2 を介して端子間電圧が24Vの直流電源としての無人搬送車のバッテリーに接続されている。
【0025】前記給電回路において、図5に示すコンタクト板4を退避位置から充電板Pに接触させる通電位置へ回動させる場合には、第1リレーL1 の接点を図1に実線で示すようにd側に切り換え、また、第2リレーL2 の接点も同様に実線で示すようにd側に切り換えて直流電源から通電すると、実線矢印で示す電流I1 が直流電源から第2リレーL2 、直流モータM、第1リレーL1 、及びトルク低減用抵抗Rを通って電流が流れ、直流モータMがコンタクト板4を退避位置から通電位置へ回動させる。
【0026】この際、トルク低減用抵抗Rによって、直流モータMを流れる電流I1 が制限され、コンタクト板4を回動させるトルクは適正な大きさに調整される。
【0027】直流モータMの駆動力によって、コンタクト板4は充電板Pに接触してその表面を擦っていくが、充電板Pからコンタクト板4に加わる反力による抵抗トルクが直流モータMの駆動トルクに達すると直流モータMは停止する。
【0028】充電板Pから受ける抵抗でコンタクト板4の回動が停止した後、直流モータMへの通電は、第1リレーL1 の接点がd側のままで第2リレーL2 の接点がu側に切り換えられることで遮断される。
【0029】次いで、地上側の充電用電源から充電板Pに通電されて無人搬送車搭載されているバッテリーの充電が行われる。
【0030】バッテリーの充電が完了したら、図1の給電回路における第1のリレーL1 の接点と第2のリレーL2 の接点をともにu側に切り換えて直流電源から通電すると、点線矢印で示す電流I2 が直流電源から第1リレーL1 、直流モータM、第2リレーL2 を通って電流が流れ、直流モータMがコンタクト板4を通電位置から退避位置へ回動させる。
【0031】この際、直流モータMを流れる電流I2 は、トルク低減用抵抗Rを通らないため、電流値が大きくなり、直流モータMの初期トルクが大きくなって充電板Pからコンタクト板4を容易に離脱させることができる。
【0032】なお、図1には示していないが、コンタクト板4が退避位置へ回動した時点で図5に示すストライカ11によって、リミットスイッチ12のアクチュエータ12Aが動作されると直流モータMへの通電は遮断されるようになっている。
【0033】次に、図2は、無人搬送車の接触式充電器の第2実施例を示す、直流モータの給電回路を示す図であって、前述した第1実施例のものと同様に、接触式充電器の機械的な構造部分は、前述した図5及び図6に示すもの従来のものと同一構成である。
【0034】本実施例のものは、図1の給電回路と同様に直流モータMは第1リレーL1 と第2リレーL2 を介して端子電圧が24Vの直流電源としての無人搬送車のバッテリーに接続されているが、前記直流電源の端子間にさらにコンデンサCを並列に接続しており、このコンデンサCは直流電源から供給される電流Ic によって常時充電されている。
【0035】図5におけるコンタクト板4を通電位置に回動させる場合、第1リレーL1 の接点を図2に実線で示すようにd側に切り換え、また、第2リレーL2 の接点も同様に実線で示すようにd側に切り換えると、直流電源からの電流I1 とコンデンサCの放電電流Id が合流して第2リレーL2 を介して直流モータM、第1リレーL1 、及び、トルク低減用抵抗Rを流れ、直流モータMがコンタクト板4を退避位置から通電位置へ回動させる。
【0036】この際、前述した第1実施例のものと同様に、トルク低減用抵抗Rによって直流モータMを流れる電流は制限され、コンタクト板4を回動させるトルクは適正な大きさに調整される。
【0037】コンタクト板4が通電位置へ回動し、充電板Pから受ける抵抗でコンタクト板4の回動が停止した後、直流モータMへの通電は、第1リレーL1 の接点がd側のままで第2リレーL2 の接点がu側に切り換えられることで遮断される。
【0038】次いで、地上側の充電用電源から無人搬送車側のバッテリーへの充電が行われる。バッテリーの充電が完了したら、第1のリレーL1 の接点と第2のリレーL2 の接点をともに点線矢印で示すようにu側に切り換えると、点線矢印で示す電流I2 にコンデンサCから放電される電流Id が加えられた電流I2 +Id が第1リレーL1 、直流モータM、第2リレーL2 を通って流れ、直流モータMがコンタクト板4を通電位置から退避位置へ回動させる。
【0039】直流モータMを流れる電流は、トルク低減用抵抗Rを通らず、また、直流モータMの駆動初期において、直流電源側から供給される電流I2 にコンデンサ側から放電される電流Id が加わるため、直流モータMの初期トルクを直流電源で直接駆動する場合よりも大きくすることができ、充電板Pからコンタクト板4を容易に離脱させることができる。
【0040】なお、コンデンサCの放電電流Id は、コンタクト板4を退避位置と通電位置との間で何れの向きに回動させる場合にも、直流モータMの起動時のみ生じる。放電したコンデンサCは、直流モータMの停止後に直流電源から電流Ic が供給されて充電状態に復帰する。
【0041】
【発明の効果】前述したように、請求項1記載の発明によれば、コンタクト板を退避位置から通電位置へ回動させる場合には、直流電源に直流モータとトルク低減用抵抗を直列に接続して前記直流モータに給電し、コンタクト板を通電位置から退避位置へ回動させる場合には、直流モータを前記トルク低減用抵抗を介さずに直流電源に接続して直流モータに給電する給電回路を備えているため、コンタクト板を通電位置へ回動させる場合には、コンタクト板を充電板に適正な押圧力で接触させるように、直流モータのトルクを調整することができるとともに、コンタクト板を退避位置へ回動させる際には、直流モータの初期トルクを大きくすることができ、充電板からコンタクト板を容易に離脱させることができる。
【0042】また、請求項2記載の発明によれば、前記請求項1記載の発明の効果に加え、直流モータの起動時にコンデンサから放電される電流が直流電源から直流モータへ供給される電流に加えられるため、直流モータの初期トルクを増加させることができ、特に、バッテリーへの充電終了後、コンタクト板を通電位置から退避位置へ回動させる際には、直流電源からトルク低減用抵抗を介さずに直流モータへ供給される電流にコンデンサの放電電流が加えられるため、直流モータに大きな初期トルクが発生し、コンタクト板を充電板から容易に離脱することができる。
【0043】その結果、直流電源の容量が小さい場合でも、充電板からコンタクト板を容易に離脱できるとともに、直流モータ起動時に直流電源から直流モータへ大きな電流が流れることによる直流電源の電圧低下を抑止することができるため、前記直流電源がコンピュータや制御機器等の機器類の電源として共用されている場合に、供給電圧の低下に起因したこれらの機器類の動作障害を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
【出願日】 平成10年(1998)3月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】祐川 尉一 (外4名)
【公開番号】 特開平11−275713
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−70916