| 【発明の名称】 |
ハイブリッド駆動システム |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 淳
【氏名】山田 良昭
|
| 【要約】 |
【課題】発電機3を駆動するエンジン1と、発電機3によりコンバータ4を介して充電される電池21と、電池21および発電機3を電源にインバータ12を介して駆動される車両走行用の電動機5,6と、電動機5,6の出力を車輪8へ伝達する駆動系装置13と、を備える車両において、電動機5,6の出力特性を変えず、かつ変速機を用いることなく、車両に必要な最高速度と最大駆動力を容易に確保できるようにする。
【解決手段】エンジン1と車両の駆動系装置13とに発電機3を選択的に連結する補助動力の伝達機構23と、車速を検出する手段19と、車両の要求駆動力を検出する手段20と、これらの検出信号に基づいて車速が電動機5,6の定出力領域へ移行する所定値以下の低速領域で車両の要求駆動力が電動機5,6の最大トルク以上のときに発電機3を電動機として作動させるように発電機3のコンバータ4および補助動力の伝達機構23を制御する手段18と、を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】発電機を駆動するエンジンと、発電機によりコンバータを介して充電される電池と、電池および発電機を電源にインバータを介して駆動される車両走行用の電動機と、電動機の出力を車輪へ伝達する駆動系装置と、を備える車両において、エンジンと車両の駆動系装置とに発電機を選択的に連結する補助動力の伝達機構と、車速を検出する手段と、車両の要求駆動力を検出する手段と、これらの検出信号に基づいて車速が電動機の定出力領域へ移行する所定値以下の低速領域で車両の要求駆動力が電動機の最大トルク以上のときに発電機を電動機として作動させるように発電機のコンバータおよび補助動力の伝達機構を制御する手段と、を設けたことを特徴とするハイブリッド駆動システム。 【請求項2】発電機を駆動するエンジンと、発電機によりコンバータを介して充電される電池と、電池および発電機を電源にインバータを介して駆動される車両走行用の電動機と、電動機の出力を車輪に伝達する駆動系装置と、を備える車両において、発電機と車両の駆動系装置とにエンジンを選択的に連結する補助動力の伝達機構と、車速を検出する手段と、車両の要求駆動力を検出する手段と、これらの検出信号に基づいて車速が電動機の定出力領域へ移行する所定値以下の低速領域で車両の要求駆動力が電動機の最大トルク以上のときにエンジンの出力を車両の駆動系装置に伝えるように補助動力の伝達機構を制御する手段と、を設けたことを特徴とするハイブリッド駆動システム。 【請求項3】補助動力の伝達機構は、逆転機構を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド駆動システム。 【請求項4】補助動力の伝達機構は、無段変速機を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド駆動システム。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、車両のハイブリッド駆動システムの改良に関する。 【0002】 【従来の技術】車両の排気エミッションを改善するため、エンジンと電動モータを組み合わせるハイブリッド駆動システムとして、エンジンで発電機のみを駆動し、発電された電力をバッテリの充電と電動機の駆動に用い、車両の駆動力については電動機の出力にのみ依存するタイプのものが知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このようなハイブリッド駆動システムでは、電動機の定出力で運転できる回転速度範囲が限られるため、変速機を用いないと、車両に必要な最大駆動力と最高速度を両立させにくいという問題があった。なお、特開平9ー154204号公報には、バッテリの充電率が十分に高い状態においても、車両の要求駆動力に対し電動機の出力が不足する場合、発電機を駆動するようにしたものが開示されているが、バッテリから電動機への電力に発電機からの電力がプラスされても、電動機の出力性能(最大トルク)を越える駆動力は得られない。 【0004】この発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、電動機の出力特性を変えず、かつ変速機を用いることなく、車両に必要な最高速度と最大駆動力を確保できるハイブリッド駆動システムの提供を目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】第1の発明では、発電機を駆動するエンジンと、発電機によりコンバータを介して充電される電池と、電池および発電機を電源にインバータを介して駆動される車両走行用の電動機と、電動機の出力を車輪へ伝達する駆動系装置と、を備える車両において、エンジンと車両の駆動系装置とに発電機を選択的に連結する補助動力の伝達機構と、車速を検出する手段と、車両の要求駆動力を検出する手段と、これらの検出信号に基づいて車速が電動機の定出力領域へ移行する所定値以下の低速領域で車両の要求駆動力が電動機の最大トルク以上のときに発電機を電動機として作動するように発電機のコンバータおよび補助動力の伝達機構を制御する手段と、を設ける。 【0006】第2の発明では、発電機を駆動するエンジンと、発電機によりコンバータを介して充電される電池と、電池および発電機を電源にインバータを介して駆動される車両走行用の電動機と、電動機の出力を車輪に伝達する駆動系装置と、を備える車両において、発電機と車両の駆動系装置とにエンジンを選択的に連結する補助動力の伝達機構と、車速を検出する手段と、車両の要求駆動力を検出する手段と、これらの検出信号に基づいて車速が電動機の定出力領域へ移行する所定値以下の低速領域で車両の要求駆動力が電動機の最大トルク以上のときにエンジンの出力を車両の駆動系装置に伝えるように補助動力の伝達機構を制御する手段と、を設ける。 【0007】第3の発明では、第1の発明または第2の発明における補助動力の伝達機構は、逆転機構を備える。 【0008】第4の発明では、第1の発明または第2の発明における補助動力の伝達機構は、無段変速機を備える。 【0009】 【発明の効果】第1の発明では、電動機の出力は駆動系装置(動力伝達経路を構成する)を介して車輪(駆動輪)に伝達される。車速が所定値以下の低速領域においては、車両の要求駆動力が電動機の最大トルクを越えると、発電機が電動機として作動するようにコンバータおよび補助動力の伝達機構が制御される。これにより、発電機の出力は駆動系装置に伝達され、車両の駆動力として電動機の出力にプラスされるため、電動機の最大トルクを越える駆動力が得られる。この結果、駆動系装置の総減速比は、従前と同じく車両に必要な最高速度が出せるように設定する一方、既述のように発電機を電動機として作動させることにより、電動機の出力特性を変えず、かつ変速機を用いることなく、必要な最大駆動力の確保も可能になる。 【0010】第2の発明においては、電動機の出力は駆動系装置(動力伝達経路を構成する)を介して車輪(駆動輪)に伝達される。車速が所定値以下の低速領域においては、車両の要求駆動力が電動機の最大トルクを越えると、エンジンの出力を駆動系装置に伝えるように補助動力の伝達機構が制御される。これにより、車両の駆動力として電動機の出力にエンジンの出力もプラスされるため、電動機の最大トルクを越える駆動力が得られる。この結果、駆動系装置の総減速比は、従前と同じく車両に必要な最高速度が出せるように設定する一方、既述のように発電機を電動機として作動させることにより、電動機の出力特性を変えず、かつ変速機を用いることなく、必要な最大駆動力の確保も可能になる。 【0011】第3の発明においては、車両の前進時だけでなく、後退時にも電動機の最大トルクを越える駆動力が得られる。 【0012】第4の発明においては、補助動力の伝達時に無段変速機を介してエネルギ効率の最良点付近で発電機またはエンジンを運転させることが可能になる。 【0013】 【発明の実施の形態】図1において、1は発電用のエンジンであり、その出力軸に増速機2を介して発電機3の駆動軸が連結される。発電機3で発電される交流電力はコンバータ4を介して直流電力に変換され、バッテリ21(電池)の充電や電動機5,6の駆動に供給される。 【0014】7は駆動輪8の車軸(アクスル)であり、その中間部にデファレンシャル9が介装される。デファレンシャル9のドライブピニオンにプロペラシャフト10を介して減速機11の出力軸が連結される。 【0015】減速機11には1つの出力軸を挟む2つの入力軸が設けられ、これらのそれぞれに電動機5,6が連結される。そして、各入力軸と出力軸との間に同じ歯数比でかみ合う歯車11a,11bが介装される。 【0016】電動機5,6はインバータ12から交流電力を受けると駆動される。その出力は減速機11、プロペラシャフト10、デファレンシャル9、アクスル7を介して車輪8へ伝達される。つまり、減速機11,プロペラシャフト10,デファレンシャル9,アクスル7が電動機5,6の出力を車輪8へ伝える駆動系装置13(動力伝達機構)を構成する。 【0017】増速機2はエンジン1側の入力軸と発電機3側の出力軸との間に所定の歯数比でかみ合う歯車2a,2bを介装したものであり、その入力軸に補助動力の伝達機構23を構成するものとして補助プロペラシャフト14の一端が連結される。また、入力軸の歯車2aを挟む前後にクラッチ15,16が介装され、補助プロペラシャフト14の他端は傘歯車17a,17bを介して減速機11の一方の入力軸に連結される。 【0018】クラッチ15,16および発電機3のコンバータ4を電動機5,6のインバータ12とともに制御するコントローラ18が設けられ、車両の走行速度(車速)を検出する車速センサ19と、アクセルペダルの踏み量を検出するアクセル開度センサ20と、バッテリ21の充電状態を検出する手段(図示せず)と、を備える。 【0019】コンバータ4はコントローラ18からの信号により、発電機3で発電される交流電力をバッテリ21やインバータ12への直流電力に変換する発電モードと、バッテリ21の直流電力を発電機3への交流電力に変換する電動モードと、に切り替えられる。 【0020】クラッチ15,16はコントローラ18からの信号により、コンバータ4の発電モード時にエンジン1の出力を補助プロペラシャフト14へ伝達せず、増速機2を介して発電機3に入力する一方、コンバータ4の電動モード時はエンジン1から発電機3を切り離し、電動機として運転される発電機3の出力を補助プロペラシャフト14へ伝達するように制御される。 【0021】図2において、Aはバッテリ21の与え得る最高出力ライン、Bは電動機5,6の最高出力ラインであり、電動機5,6はその容量(最大トルク)との関係から、車速が所定値P以下の低速領域では定トルク運転に制御される。また、電動機5,6の定出力領域(車速が所定値を越える中高速域)では、バッテリ21のみを電源に駆動される場合、バッテリ21の最高出力ラインAに沿う駆動力を発生させる一方、バッテリ21および発電機3を電源に駆動されると、発電機3の電力増加分(右上がり斜線領域C)だけ駆動力を高められるように設定される。 【0022】図3はコントローラ18の制御内容を説明するフローチャートであり、キースイッチのオンで起動される。ステップ1で車速センサ19の検出信号に基づいて電動機5,6の運転領域を判定する。定出力領域のときは、ステップ6へ飛び、クラッチ15をオン(接続)するとともにクラッチ16をオフ(切断)する一方、コンバータ4を発電モードに切り替える。 【0023】エンジン1の出力はクラッチ15および増速機2を介して発電機3に入力され、補助プロペラシャフト14へは伝達されない。発電機3で発電される交流電力はコンバータ4を介して直流電力に変換される。 【0024】ステップ7では、車速センサ19の検出信号とアクセル開度センサ20の検出信号とに基づいて、電動機5,6の所要電力(車速とアクセル開度との積で求められる)を計算し、その計算値がバッテリ21の最高出力ラインA(図2参照)以下のときは、ステップ8でバッテリ21の充電状態に応じてエンジン1で発電機3を駆動する一方、ステップ9でバッテリ21のみで電動機5,6を運転するようにインバータ12を制御する。発電された電力量は、バッテリ21に充電される。 【0025】電動機5,6の所要電力がバッテリ21の最高出力ラインAを越えるときは、ステップ7からステップ10へ飛び、不足電力をエンジン1で発電機3を駆動するとともに、ステップ11で電動機5,6をその最高出力ラインB(図2参照)を越えない範囲で運転するようにインバータ12を制御する。 【0026】電動機5,6の定トルク領域のときは、ステップ1からステップ2へ進み、バッテリ21のみを電源にする。そして、ステップ3において、アクセル開度センサ20の検出信号から要求駆動力(アクセル開度)の大きさを判定する。 【0027】要求駆動力が電動機5,6の最大トルク以下のときは、ステップ3からステップ8へ飛び、バッテリ21の充電状態に応じてエンジン1で発電機3を駆動する一方、ステップ9でバッテリ21のみで電動機5,6を運転するようにインバータ12を制御する。 【0028】要求駆動力が電動機5,6の最大トルクを越えるときは、ステップ4でクラッチ15をオフするとともにクラッチ16をオンする一方、ステップ5で発電機3を電動機として運転するよう、コンバータ4を電動モードに切り替える。バッテリ21を電源に発電機3は駆動され、その出力は歯車2a,2b、クラッチ16、補助プロペラシャフト14、傘歯車17a,17bを介して駆動系装置13の減速機11に伝達される。 【0029】このような構成により、車速が所定値以下の低速領域においては、車両の要求駆動力が電動機5,6の最大トルクを越えると、発電機3が電動機として運転され、その出力が電動機5,6の出力にプラスされるため、電動機5,6の最大トルクを越える駆動力が得られる。 【0030】図2の右下がり斜線領域Dが発電機3の補助動力による駆動力の増加分を表す。なお、発電機3はバッテリ21の電力量で駆動されるため、最大駆動力がバッテリ21の最高出力ラインAを越えるようなことはない。 【0031】駆動系装置13の総減速比は、従前と同じく車両に必要な最高速度が出せるように設定する一方、既述のように発電機3から駆動系装置13への補助動力が得られるようにすると、電動機5,6の出力特性を変えず、かつ変速機を用いることなく、必要な最大駆動力を容易に確保できる。 【0032】図4の実施形態では、車両の前進時だけでなく、後退時にも発電機3の補助動力で電動機5,6の最大トルクを越える駆動力が得られるよう、補助動力の伝達機構23(この場合、補助プロペラシャフト14と増速機11との中間)に逆転機構25が設けられる。 【0033】逆転機構25としては、公知の変速機のリバースへの切り替え機構と同じものが採用される。詳しい説明は省略するが、アクチュエータでドグクラッチ付きのスライディグ・ギヤを選択的に変位させることにより、入力回転をそのまま伝達することだけでなく、逆転して伝達することも可能になっている。 【0034】図示しないが、逆転機構と直列に無段変速機(たとえば、CVTまたはトルクコンバータ)を介装すると、エネルギ効率の最良点付近で発電機3を電動機として運転できる。なお、図1と同じ部品に同じ符号を付ける。 【0035】図1において、発電機3を電動機として作動させるときにエンジン1を運転して両方のクラッチ15,16をオンすると、エンジン1の出力も補助動力として駆動系装置13に伝達できる。また、発電機3と増速機2との間を断続するクラッチを追加すると、発電機3の出力のみを伝達する場合と、エンジン1の出力のみを伝達する場合と、発電機3の出力とエンジン1の出力との両方を伝達する場合と、の3段階に補助動力を制御することも可能になる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003908 【氏名又は名称】日産ディーゼル工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月19日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開平11−275710 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−69645 |
|