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【発明の名称】 車両用制御装置
【発明者】 【氏名】松本 武郎

【氏名】浅野 裕美子

【要約】 【課題】相不平衡の検出時間を短縮する。

【解決手段】電力変換装置13から出力される可変周波数及び可変電圧の交流電力を供給して、駆動用誘導電動機14〜17を制御するようにした車両用制御装置において、誘導電動機14〜17の相電流を検出する電流検出手段18〜25と、誘導電動機14〜17に対する指令電圧と相電流とにより誘導電動機14〜17のトルクをベクトル演算するトルク演算回路29〜32と、演算されたトルクが予め決められた設定値を超えたとき不平衡検出信号を出力する不平衡検出手段42とを備えたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電力変換装置から出力される可変周波数及び可変電圧の交流電力により駆動用誘導電動機を制御するようにした車両用制御装置において、上記誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、上記誘導電動機に対する指令電圧と上記相電流とにより上記誘導電動機のトルクの瞬時値をベクトル演算するトルク演算回路と、演算された上記トルクの高周波のリップル分が予め決められた設定値を超えたとき不平衡検出信号を出力する不平衡検出手段とを備えたことを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】 電力変換装置は、交流電源から直流電力に変換するコンバータと、上記直流電力を交流電力に変換するインバータとで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】 電力変換装置は、直流電源から供給された直流電力を交流電力に変換するインバータであることを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項4】 不平衡検出信号により電力変換装置を停止させるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、三相交流の誘導電動機で駆動される鉄道車両の車両用制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は、例えば特開平6−22441号公報に示された従来の車両用制御装置の構成を示すブロック図である。図2において、直流電源1から供給された直流電力がインバータ等の電力変換装置2で三相交流電力に変換され、並列接続された複数の三相誘導電動機3a〜3dに供給される。電流検出手段4a〜4cで検出された各相電流は、バンドパスフィルタ5a〜5cを介して基本波成分のみが抽出される。そして、最大電流検出手段6a〜6cでは、図3に示すように各相で最大値が現れる期間Tの間で各相の最大値A、B、Cを検出して、記憶する。
【0003】さらに、不平衡検出手段7は各相の電流最大値A、B、Cを比較する。通常は図3に示すように、各相電流の最大値A、B、Cが同じ値となるので、各最大値A、B、C間の差は検出されない。 例えば、W相の接続線が電力変換装置2と誘導電動機3a〜3dとの間で断線した場合、W相の負荷インピーダンスが高くなるので、図4に示すようにW相の電流の最大値Cが小さくなる。これにより、不平衡検出手段7が健全なU相及びV相の最大値との差を検出する。この検出された差電流値が予め決められた設定値より大きくなると、相電流の不平衡として不平衡検出手段7により検出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の車両用制御装置は以上のように構成されているので、各相電流の最大値を検出するのに期間Tの間を監視する必要があるため、検出時間が長くかかる。このため、電力変換装置を電源から遮断するのが遅れて事故を拡大させる恐れがあるという問題点があった。
【0005】この発明は、以上のような問題点を解消するためになされたもので、相不平衡の検出時間を短縮することができる車両用制御装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の車両用制御装置は、電力変換装置から出力される可変周波数及び可変電圧の交流電力により駆動用誘導電動機を制御するようにした車両用制御装置において、誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、誘導電動機に対する指令電圧と相電流とにより誘導電動機のトルクの瞬時値をベクトル演算する演算回路と、演算されたトルクの高周波のリップル分が予め決められた設定値を超えたとき不平衡検出信号を出力する不平衡検出手段とを備えたものである。
【0007】請求項2に記載の車両用制御装置は、電力変換装置が交流電源から直流電力に変換するコンバータと、直流電力を交流電力に変換するインバータとで構成されたものである。
【0008】請求項3に記載の車両用制御装置は、電力変換装置を直流電源から供給された直流電力を交流電力に変換するインバータとしたものである。
【0009】請求項4に記載の車両用制御装置は、不平衡検出信号により電力変換装置を停止させるようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は実施の形態1の構成図である。図1において、8は三相用交流電源、9は開閉手段で、後述の電力変換装置13と交流電源8との間に接続されている。10は開閉手段9を介して交流電源8に接続されたコンバータで、所定の直流電圧を出力する。11はコンバータ10から電力が供給されるインバータで、可変周波数及び可変電圧の交流電力を出力する。12はインバータ11の入力側に接続されたフイルタコンデンサである。なお、10〜12で電力変換装置13が構成されている。14〜17は電力変換装置13に並列接続された誘導電動機で、車輪が装着された各車軸毎に設けられている。
【0011】18〜25は、直流変流器等の電流検出手段で、各誘導電動機14〜17の相電流を検出して、それぞれ相電流信号18a〜25aを出力する。26はインバータ11への指令周波数と電力変換装置13の出力電圧との関係を決めたテーブルを備えた変調率演算回路で、運転台から指令されたノッチ信号27及び各誘導電動機14〜17の速度検出手段(図示せず)から入力される周波数信号により指令電圧信号26a及び周波数信号26bを出力する。28はゲートパルス生成回路で、指令電圧信号26a及び周波数信号26aによりゲートパルス信号28aをインバータ11へ出力する。
【0012】29〜32はそれぞれ指令電圧信号26a及び相電流信号18a〜25aが入力されるトルク演算回路で、ベクトル演算により各誘導電動機14〜17のトルクの瞬時値を演算してトルク信号29a〜32aを出力する。33〜36はハイパスフイルタで、誘導電動機14〜17の欠相時にトルク信号29a〜32aに含まれている高周波のリップル分を抽出して、リップル信号33a〜36aを出力する。37〜40は誘導電動機14〜17が発生する最大トルクの例えば20%をしきい値とする設定値を有する比較手段で、リップル信号33a〜36aが設定値を超えたとき比較検出信号37a〜40aを出力する。
【0013】41はOR回路で、比較検出信号37a〜40aの論理和を不平衡検出信号41aとして出力する。なお、37〜41で不平衡検出手段42を構成している。43は不平衡検出信号41aが入力される論理回路で、不平衡検出信号41aにより制御信号43aが出力され、開閉手段9の開放と、コンバータ10及びインバータ11のゲートストップが指令される。
【0014】次に動作について説明する。図1において、交流電源8から開閉手段9を介してコンバータ10に交流電力が供給される。コンバータ10で所定の直流電圧に変換され、さらに可変周波数及び可変電圧のインバータ11で交流電力に変換される。そして、並列接続された複数の誘導電動機14〜17にインバータ11から交流電力が供給される。この結果、誘導電動機14〜17により各車軸が駆動されて車両の推進が行われる。
【0015】ここで、各電流検出手段18〜25が検出した相電流を励磁分とトルク分とに分離して、トルク分の電流と変調率演算回路26からの指令電圧信号26aとにより、発生トルクの瞬時値をトルク演算回路29〜32でベクトル演算する。各誘導電動機14〜17が健全に動作している場合、発生トルクに含まれる高周波のリップル分が比較手段37〜40の設定値以下となるので、不平衡検出信号41aは検出されない。
【0016】例えば、誘導電動機14のW相が断線等により欠相した場合、電力変換装置13の周波数の周期でパルス状のリップルが発生するので、トルク演算回路29から出力されるトルク信号29aにリップル分が含まれる。トルク信号29aに含まれるリップル分はハイパスフイルタ33で抽出され、比較手段37に入力される。そして、比較手段37においてリップル分が設定値を超えていると判断されると、比較検出信号37aが出力され、OR回路41から不平衡検出信号41aが出力される。不平衡検出信号41aにより論理回路43が制御信号43aを出力し、コンバータ10及びインバータ11のゲートストップを指令して、電力変換装置13を停止させると共に、開閉手段9を開放して電力変換装置13を交流電源8から切り放す。
【0017】以上のように、ベクトル演算により発生トルクの瞬時値を演算し、発生トルクに含まれているリップル分を設定値と比較して不平衡検出を行うので、検出時間を短縮して事故の拡大を抑制することができる。
【0018】上記構成において、電力変換装置13をコンバータ10、インバータ11及びフイルタコンデンサ12で構成して交流電源8から交流電力が供給されるものについて説明したが、電力変換装置をインバータで構成して、インバータに直流電源から直流電力を供給するようにしても同様の効果を期待することができる。
【0019】また、電力変換装置13に複数の誘導電動機14〜17が接続されたものについて説明したが、誘導電動機が1台の場合でも同様の効果を期待することができる。
【0020】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、ベクトル演算により発生トルクの瞬時値を演算し、発生トルクに含まれているリップル分を設定値と比較して不平衡検出を行うので、検出時間を短縮して事故の拡大を抑制することができる。
【0021】請求項2の発明によれば、電力変換装置を交流電源から直流電力に変換するコンバータと、直流電力を交流電力に変換するインバータとで構成したことにより、交流電源から安定化された交流電力を得ることができる。
【0022】請求項3の発明によれば、電力変換装置を直流電源から供給された直流電力を交流電力に変換するインバータとしたことにより、直流電力から安定化された交流電力を得ることができる。
【0023】請求項4の発明によれば、不平衡検出信号により電力変換装置を停止させるようにしたことにより、事故の拡大を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
【公開番号】 特開平11−275709
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−72914