| 【発明の名称】 |
車両の制動エネルギー制御装置とその制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】真鍋 晃太
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の車輪に加えられるモータの回生制動エネルギーを制御する回生制動エネルギー制御装置と、ブレーキの摩擦制動エネルギーを制御する摩擦制動エネルギー制御装置とを有する制動エネルギー制御装置であって、ブレーキペダルオフの時に、前記モータの回生制動エネルギー以外に前記ブレーキの摩擦制動エネルギーを掛ける制御が可能であることを特徴とする車両の制動エネルギー制御装置。 【請求項2】 車両の車輪に加えられるモータの回生制動エネルギーを制御する回生制動エネルギー制御装置と、エンジンのエンジンブレーキエネルギーを制御するエンジンブレーキエネルギー制御装置と、ブレーキの摩擦制動エネルギーを制御する摩擦制動エネルギー制御装置とを有する制動エネルギー制御装置であって、ブレーキペダルオフの時に、前記モータの回生制動エネルギー以外に、前記エンジンのエンジンブレーキエネルギーと前記ブレーキの摩擦制動エネルギーを掛ける制御が可能であることを特徴とする車両の制動エネルギー制御装置。 【請求項3】 請求項1に記載の車両の制動エネルギー制御装置の制動エネルギー制御方法において、所定の制動エネルギーを設定し、前記モータの最大の回生エネルギーを掛けて、不足分のみ前記ブレーキの摩擦制動エネルギーで補充することを特徴とする車両の制動エネルギー制御方法。 【請求項4】 請求項2に記載の車両の制動エネルギー制御装置の制動エネルギー制御方法において、所定の制動エネルギーを設定し、前記モータの最大の回生エネルギーを掛けて、不足分のみ前記エンジンのエンジンブレーキエネルギーで、あるいは前記エンジンのエンジンブレーキエネルギーと前記ブレーキの摩擦制動エネルギーで補充することを特徴とする車両の制動エネルギー制御方法。 【請求項5】 請求項1あるいは2に記載の車両の制動エネルギー装置において、前記ブレーキの摩擦制動エネルギーを制御する摩擦制動エネルギー制御装置が、前記ブレーキペダルがオフの時のみ作用し且つ電圧によって液圧を可変に制御するリニアバルブ装置を有することを特徴とする車両の制動エネルギー制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 モータを搭載する車両の制動力を前記モータの回生制動エネルギーとその他の摩擦制動エネルギー等のエネルギーによって確保する車両の制動エネルギー制御装置とその制御方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 モータを搭載した車両の制動エネルギーの制御装置として、従来、特開平7−99704号公報に開示された「電気自動車用動力制御装置」が知られている。図9にこの公報に開示された電気自動車用動力制御装置のブロック図を示す。 【0003】図9において、電気自動車用動力制御装置301は、ブレーキペダル302と、複数のブレーキ機構303と、アクセルペダル305と、回生制動力レンジ切換レバー306と、バッテリー307と、制御装置308とを備えていて、アクセルペダル305の踏み込み量及び回生制動力レンジ切換レバー306のレンジ位置に基づいて同軸に接続された第1モータ309と第2モータ310とを高効率励磁で力行運転し、あるいは回生制動する。またブレーキペダル302が踏み込まれた時には、この踏み込み量に応じて油圧回路で各ブレーキ機構303を動作させて車軸313と一体的に回転される車輪312を制動させる。 【0004】アクセルペダル305が踏み込まれると、この踏み込み量に応じてバッテリー307の直流電圧に基づき、交流の第1モータ309及び第2モータ310を駆動して電気自動車を力行させる。アクセルペダルが戻され、アクセルペダルオフの状態の時は、バッテリー307の充電状態を検知し、バッテリー307が充電可能な場合には、第1モータ309と第2モータ310とを回生運転させるとともに、この回生運転によって得られた回生電力でバッテリー307を充電する。またバッテリー307が満充電かあるいはそれに近い状態の時には、第1モータ309あるいは第2モータ310のいずれかを回生運転させ、それによって得られた電力で残りのモータを力行運転させることによってバッテリー307に対する充電を行うことなく、回生制動を掛ける。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 車両の走行中にブレーキペダルがオフの時であっても、アクセルペダルがオフかあるいは微小な踏み込みの状態の時に、適当な制動エネルギーが必要である。前述のような従来の技術の電気自動車用動力制御装置301においては、ブレーキペダルオフの時に制動エネルギーを得ようとすると、アクセルペダルオフを検知して回生制動エネルギーのみを掛けるだけの制御であったから、前記モータの回生制動エネルギーの限界以上には制動エネルギーを掛けることができないという問題があった。 【0006】そこで前述の事情に鑑みて、本発明はモータを搭載した車両において、ブレーキペダルオフの時にバッテリーの充電状態の如何に係わらず、且つ前記モータの回生制動エネルギーの限界に制限されずに所定の制動エネルギーを得ることを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段と効果】 前述の課題を解決するために以下の手段を提供する。請求項1に記載の発明は、車両の車輪に加えられるモータの回生制動エネルギーを制御する回生制動エネルギー制御装置と、ブレーキの摩擦制動エネルギーを制御する摩擦制動エネルギー制御装置とを有する制動エネルギー制御装置であって、ブレーキペダルオフの時に、前記モータの回生制動エネルギー以外に前記ブレーキの摩擦制動エネルギーを掛ける制御が可能であることを特徴とする車両の制動エネルギー制御装置である。 【0008】このような車両の制動エネルギー制御装置であれば、前記ブレーキペダルがオフであって所定の制動力がほしい時に、前記モータの回生制動エネルギーだけでなく前記ブレーキによる摩擦制動エネルギーも掛けることができる。前記モータで吸収できる回生制動エネルギーはバッテリーの充電状態に依存して変化するが、前記モータの回生制動エネルギーで不足する場合については、前記ブレーキの制動エネルギーで補充することが可能である。従って所定の制動エネルギーが前記バッテリーの充電状態に依存せず、且つ前記モータの回生制動エネルギーの限界に制限されずに確保されるという優れた効果がある。 【0009】請求項2に記載の発明は、車両の車輪に加えられるモータの回生制動エネルギーを制御する回生制動エネルギー制御装置と、エンジンのエンジンブレーキエネルギーを制御するエンジンブレーキエネルギー制御装置と、ブレーキの摩擦制動エネルギーを制御する摩擦制動エネルギー制御装置とを有する制動エネルギー制御装置であって、ブレーキペダルオフの時に、前記モータの回生制動エネルギー以外に、前記エンジンのエンジンブレーキエネルギーと前記ブレーキの摩擦制動エネルギーを掛ける制御が可能であることを特徴とする車両の制動エネルギー制御装置である。 【0010】このような車両の制動エネルギー制御装置であれば、前記ブレーキペダルがオフであって所定の制動力がほしい時に、前記モータの回生制動エネルギーだけでなく前記エンジンのエンジンブレーキエネルギーも掛けることができる。前記モータで吸収できる回生制動エネルギーはバッテリーの充電状態に依存して変化するが、前記モータの回生制動エネルギーで不足する場合については、前記エンジンのエンジンブレーキエネルギーと前記ブレーキの摩擦制動エネルギーを補充することが可能である。従って所定の制動エネルギーが前記バッテリーの充電状態に依存せずに、且つ前記モータの回生制動エネルギーの限界に制限されずに確保されるという優れた効果がある。 【0011】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両の制動エネルギー制御装置の制動エネルギー制御方法において、所定の制動エネルギーを設定し、前記モータの最大の回生エネルギーを掛けて、不足分のみ前記ブレーキの摩擦制動エネルギーで補充することを特徴とする車両の制動エネルギー制御方法である。 【0012】このような車両の制動エネルギー制御装置であれば、前記ブレーキペダルがオフであって所定の制動力がほしい時に、前記モータの回生制動エネルギーだけでなく前記ブレーキの摩擦制動エネルギーも掛けることができる。しかもバッテリーで充電できる範囲において、前記モータの回生制動エネルギーを最大限に前記バッテリーへ回収するので、車両のエネルギー消費量を少なくして走行させることができるという優れた効果がある。また前記モータで吸収できる回生制動エネルギーはバッテリーの充電状態に依存して変化するが、前記モータの回生制動エネルギーで不足する場合については、前記ブレーキの摩擦制動エネルギーで補充される。従って所定の制動エネルギーが前記バッテリーの充電状態に依存せずに、且つ前記モータの回生制動エネルギーの限界に制限されずに確保される効果も合わせ持つ。 【0013】請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の車両の制動エネルギー制御装置の制動エネルギー制御方法において、所定の制動エネルギーを設定し、前記モータの最大の回生エネルギーを掛けて、不足分のみ前記エンジンのエンジンブレーキエネルギーで、あるいは前記エンジンのエンジンブレーキエネルギーと前記ブレーキの摩擦制動エネルギーで補充することを特徴とする車両の制動エネルギー制御方法である。 【0014】このような車両の制動エネルギー制御装置であれば、前記ブレーキペダルがオフであって所定の制動力がほしい時に、前記モータの回生制動エネルギーだけでなく前記エンジンのエンジンブレーキエネルギーあるいは前記エンジンのエンジンブレーキエネルギーと前記ブレーキの摩擦制動エネルギーも掛けることができる。しかもバッテリーで充電できる範囲において、前記モータの回生制動エネルギーを最大限に前記バッテリーへ回収するので、車両のエネルギー消費量を少なくして走行させることができるという優れた効果がある。また前記モータで吸収できる回生制動エネルギーはバッテリーの充電状態に依存して変化するが、前記モータの回生制動エネルギーで不足する場合については、前記エンジンのエンジンブレーキエネルギーや前記ブレーキの摩擦制動エネルギーで補充される。従って所定の制動エネルギーが前記バッテリーの充電状態に依存せずに、且つ前記モータの回生制動エネルギーの限界に制限されずに確保される効果も合わせ持つ。 【0015】請求項5に記載の発明は、請求項1あるいは2に記載の車両の制動エネルギー装置において、前記ブレーキの摩擦制動エネルギーを制御する摩擦制動エネルギー制御装置が前記ブレーキペダルがオフの時のみ作用し且つ電圧によって液圧を可変に制御するリニアバルブ装置を有することを特徴とする車両の制動エネルギー制御装置である。 【0016】このような車両の制動エネルギー制御装置であれば、前記ブレーキの摩擦制動エネルギーを制御するに際して、前記リニアバルブ装置を追加することによって印加する電圧によって液圧を簡単に可変とし、前記ブレーキへの摩擦制動エネルギーを制御できると共に、請求項1あるいは2に記載の発明の効果で述べた効果を得ることができる。 【0017】以上よりモータを搭載した車両において、ブレーキペダルオフの時にバッテリーの充電状態の如何に係わらず、且つ前記モータの回生制動エネルギーの限界に制限されずに所定の制動エネルギーを得ることができるので、本発明の目的が達成される。 【0018】 【発明の実施の形態】 本発明の第1の実施の形態の車両の制動エネルギー制御装置のブロック図を図1に示す。この場合の車両はエンジン50と電動のモータ28とで駆動されるハイブリット車となっているが、これは必ずしもハイブリット車に限定されるものではなく、モータのみで駆動される電気自動車であっても良いし、あるいはエンジンのみによって駆動されるが、別途モータを搭載しているという種類の車両であっても良い。 【0019】図1では特に断っていないが車輪10、12は前輪であって駆動輪として機能しており、一般にFF車といわれる車両に適用されている。しかし本発明は後輪で駆動するFR車にも適用されるし、更には4輪駆動車にも適用可能である。この車輪10、12にはエンジン50とモータ28との選択的なあるいは併合的な駆動力が変速機38を介してディファレンシャルギヤ装置22に伝えられ、更に左右のアクスルシャフト24、26に分岐されて車輪10、12に伝達される。モータ28の駆動力を制御する電気的駆動装置14は、モータ28の回生制動エネルギーによって車輪10、12に回生制動エネルギーを掛ける回生制動エネルギー制御装置でもある。(以下14は回生制動エネルギー制御装置と呼ぶ。)本車両には液圧による摩擦制動エネルギーを制御する摩擦制動エネルギー制御装置30も設けられている。車輪10、12と共に回転するブレーキ回転体としてのロータに摩擦部材としてのパッドがホイールシリンダ32、34に液圧が伝達されることにより摩擦係合され、車輪10、12が制動される。このように、回生制動エネルギー制御装置14による回生制動エネルギーと摩擦制動エネルギー制御装置30による摩擦制動エネルギーとの総和である制動エネルギーが制動エネルギー制御装置46によって制御されて加えられることによって、車輪10、12の回転が抑制されるのである。 【0020】回生制動エネルギー制御装置14は前記モータ28の他に、バッテリ36、変速機38、電力変換装置40、モータ制御装置42等を含む。モータ28には、バッテリ36に蓄えられた直流電流が電力変換装置40により交流に変換されて供給され、発生した駆動力によって車輪10、12は駆動されるので、ある時はモータ28あるいはエンジン50のみによって、またある時はモータ28とエンジン50の駆動力との併合によって車両が走行される。走行時に、モータ28の回転軸が車輪10、12によって強制的に回転させられる状態が発生すると、モータ28には回生起電力が発生するので、これをバッテリ36に充電すれば、モータ28は負荷として作用することになるから回生制動エネルギーが発生することになる。これによって車輪10、12には制動力が掛けられるわけである。電力変換装置40は、インバータ等を含むものであり、モータ制御装置42によって制御される。インバータにおける電流制御によって、モータ28の回生制動エネルギーや駆動エネルギーの大きさは制御されるから、車輪10、12に掛けられる制動力や駆動力が制御されるのである。 【0021】摩擦制動エネルギー制御装置30は前記車輪10、12のホイールシリンダ32、34と、制動エネルギー制御装置46と、主リニアバルブ装置56と、リニアバルブ装置54とアンチロック制御装置58の他に、図3に示すように、後輪である車輪60、62のホイールシリンダ64、66、マスタシリンダ68、定液圧源70等を含むものである。制動エネルギー制御装置46は回生制動エネルギーと摩擦制動エネルギーとを適宜配分制御して総合的に制動エネルギーを制御する。 【0022】図3において、マスタシリンダ68は2つの加圧室72及び74を有するものであり、2つの加圧室72、74には、それぞれブレーキペダル76の操作力に応じた液圧が発生させられる。一方の加圧室72には、液通路80を介して駆動輪である車輪10、12のホイールシリンダ32、34が接続され、他方の加圧室74には、液通路82、主リニアバルブ装置56、リニアバルブ装置54を介して車輪60、62のホイールシリンダ64、66が接続されている。定液圧源70は、マスタリザーバ84、ポンプ85、アキュムレータ86等を含むものであり、マスタリザーバ84の作動液がポンプによって汲み上げられてアキュムレータ86に蓄えられる。アキュムレータ86には2つの圧力スイッチ87、88が取り付けられており、それぞれアキュムレータ86の液圧が上限以上になったこと、下限以下になったことが検知される。これら圧力スイッチ87、88のヒステリシスを有するオン、オフに応じてポンプ85が起動したり、停止させられるようになっている。このことによって、アキュムレータ86には、設定圧力範囲の作動液が常時蓄えられる。定液圧源70は前記加圧室74に接続されており、ブレーキペダル76の踏み込みに伴って、定液圧源70の作動液が加圧室74に供給される。 【0023】前記液通路80の途中には、切替ソレノイドバルブ90、92がそれぞれ設けられている。これらの切替ソレノイドバルブ90、92の開閉により、ホイールシリンダ32、34とマスタシリンダ68とが連通させられたり、遮断されたりする。ホイールシリンダ32、34は、回生摩擦制動エネルギー協調制御やアンチロック制御が行われる場合等に、マスタシリンダ68から遮断される。 【0024】ホイールシリンダ32、34とマスタリザーバ84とを接続する液通路93の途中には、減圧バルブとしての切替ソレノイドバルブ94、96が設けられている。切替ソレノイドバルブ94、96が開状態になると、ホイールシリンダ32、34とマスタリザーバ84とが連通させられ、ホイールシリンダ32、34の液圧が減圧させられ、液圧による制動力が減少させられる。 【0025】またホイールシリンダ32、34と主リニアバルブ装置56、及びリニアバルブ装置54とを接続する液通路98の途中には、増圧バルブとしての切替ソレノイドバルブ100、102が設けられている。切替ソレノイドバルブ100、102は、通常制動時あるいはブレーキペダルオフ時において回生摩擦制動エネルギー協調制御が行われる場合は開状態に保たれるので、ホイールシリンダ32、34と主リニアバルブ装置56及びリニアバルブ54とは連通状態に保たれる。これら切替ソレノイドバルブ100、102をそれぞれバイパスするバイパス通路の途中には、ホイールシリンダ32、34から主リニアバルブ装置56及びリニアバルブ装置54へ向かう作動液の流れは許容するが、逆向きの流れは阻止するチェックバルブ104、106が設けられており、これらチェックバルブ104、106により、ブレーキペダル76の踏み込みが解除された場合に、ホイールシリンダ32、34の作動液が早急に戻される。主リニアバルブ装置56及びリニアバルブ装置54と切替ソレノイドバルブ100、102とを連通する液通路98には、切替ソレノイドバルブ108が設けられている。切替ソレノイドバルブ108は回生摩擦制動エネルギー協調制御や車輪10、12についてアンチロック制御が行われる場合等に、開状態にされる。 【0026】前記主リニアバルブ装置56は液通路82から液通路98に連通される途中に設けられている。また前記リニアバルブ装置54は定液圧源70からの液通路89から液通路98に連通される途中に設けられている。主リニアバルブ装置56及びリニアバルブ装置54とホイールシリンダ64、66との間には、増圧バルブとしての切替ソレノイドバルブ110が設けられていて、切替ソレノイドバルブ110をバイパスするバイパス通路の途中には、ホイールシリンダ64、66から主リニアバルブ装置56及びリニアバルブ装置54へ向かう方向の作動液の流れは許容するが、逆向きの流れは阻止するチェックバルブ112が設けられている。またホイールシリンダ64、66とマスタリザーバ84とを接続する液通路114の途中には、減圧バルブとしての切替ソレノイドバルブ116が設けられている。切替ソレノイドバルブ110とホイールシリンダ64、66との間にはプロポーショニングバルブ118が設けられていて、後輪である車輪60、62のホイールシリンダ64、66の液圧が前輪である車輪10、12のホイールシリンダ32、34の液圧に対して大きくならないように制御されている。 【0027】主リニアバルブ装置56とマスタシリンダ68との間の液通路82には、液圧センサ122が設けられ、主リニアバルブ装置56及びリニアバルブ装置54と切替ソレノイドバルブ108との間には液圧センサ124が設けられている。また液通路98の途中に液圧センサ132が設けられている。この液圧センサ132は、前記液圧センサ124の異常を検出する為に設けられたものであり、切替ソレノイドバルブ108が開状態に保たれた場合に、液圧センサ132の出力信号と液圧センサ124の出力信号とが大きく異なる場合には、液圧センサ124が異常であるとされる。 【0028】図4にリニアバルブ装置54と主リニアバルブ装置56を示すが、この2つの装置の構造と作用は基本的に同一のものである。従って、主として図4(A)のリニアバルブ装置54の説明を以下に記す。図4(B)の主リニアバルブ装置56については主要な部分はリニアバルブ装置54と同じ構成なので、対応した同じ番号を付け、添字のみaからbに替えただけとし、若干の異なる点についてのみ説明し、大部分の説明は省略する。 【0029】リニアバルブ装置54は増圧制御バルブとしての増圧リニアバルブ150a、減圧制御バルブとしての減圧リニアバルブ152a、減圧用リザーバ154a及び切替ソレノイドバルブ156a、チェックバルブ158aから構成されている。増圧リニアバルブ150aは定液圧源70から延び出された液通路89に連結しており、減圧リニアバルブ152aは増圧リニアバルブ150aと減圧用リザーバ154aとを接続する液通路160aの途中に設けられている。また液通路160aはホイールシリンダ側にも流通されている。切替ソレノイドバルブ156aは、液通路162aからマスタリザーバ84への途中に設けられ、減圧用リザーバ154aからマスタリザーバ84へ向かう方向の作動液の流れを阻止しているが、増圧リニアバルブ150aへの電圧の印加が0にされた時は、直ぐに流通に切り替えて減圧用リザーバ154aからの液圧を速やかに低下させてマスタリザーバ84へ戻す。チェックバルブ158aは減圧リニアバルブ152aをバイパスするバイパス通路の途中に設けられ、減圧用リザーバ154aから切替ソレノイドバルブ156aへ向かう方向の作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止するものである。 【0030】増圧リニアバルブ150aは、シーティングバルブ190aと電磁付勢装置194aとで構成されている。シーティングバルブ190aはバルブ200aと、バルブ座202aと、バルブ200aと一体的に移動する被電磁付勢体204aと、バルブ200aがバルブ座202aに着座する向きに被電磁付勢体204aを付勢するスプリング206aとを含むものである。また電磁付勢装置194aは、ソレノイド210aと、そのソレノイド210aを保持する樹脂製の保持部材212aと、第1磁路形成体214aと、第2磁路形成体216aを含むものである。ソレノイド210aの巻線の両端に電圧が印加されると、ソレノイド210aの巻線に電流が流れ、磁界が形成される。ソレノイド210aの巻線に印加される電圧を変化させれば、被電磁付勢体204aと第2磁路形成体216aとの間に作用する磁気力が変化する。被電磁付勢体204aの第2磁路形成体216a側の端面には、嵌合突部220aが形成されており、第2磁路形成体216aの被電磁付勢体204a側の端面には、その嵌合突部220aと軸方向に相対移動可能な状態で嵌合する嵌合穴222aが形成されている。この嵌合穴222aに前記スプリング206aが取り付けられている。 【0031】ソレノイド210aに電圧が印加されると、ソレノイド210a、第1磁路形成体214a、被電磁付勢体204a、第2磁路形成体216a、第1磁路形成体214aを廻ってソレノイド210aに至る磁路が形成されるが、被電磁付勢体204aと第2磁路形成体216aとの間の磁路の磁気抵抗は、被電磁付勢体204aと第2磁路形成体216aとの軸方向の相対位置に依存して変化する。具体的には、被電磁付勢体204aと第2磁路形成体216aとの軸方向の相対位置が変化すれば、被電磁付勢体204aの嵌合突部220aと第2磁路形成体216aの嵌合穴222aとの微小間隔を隔てて互いに対抗する円筒面(嵌合突部220aの外周面と嵌合穴222aの内周面とのうち互いに対抗する部分)の面積が変化する。もし、被電磁付勢体204aと第2磁路形成体216aとが単純に端面どうしで微小間隔を隔てて対向しているのであれば、被電磁付勢体204aと第2磁路形成体216aとの軸方向の距離の減少、即ち接近に伴って磁気抵抗が加速的に減少し、両者の間に作用する磁気力が加速的に増大する。そこで、増圧リニアバルブ150aにおいては、被電磁付勢体204aと第2磁路形成体216aとの接近に伴って、嵌合突部220aと嵌合穴222aとの円筒面の面積が増加し、この円筒面を通る磁束が増加する一方、被電磁付勢体204aの端面と第2磁路形成体216aの端面とのエアギャップを通る磁束が減少する。その結果、ソレノイド210aに印加され電圧が一定であれば、被電磁付勢体204aを第2磁路形成体216aの方向へ付勢する磁気力が、被電磁付勢体204aと第2磁路形成体216aとの軸方向の相対的な移動に関係なくほぼ一定となる。一方スプリング206aから離間する方向へ付勢する付勢力は、被電磁付勢体204aと第2磁路形成体216aとの接近に伴って増大する。従ってバルブ200aに液圧差に基づく付勢体が作用していない状態では、被電磁付勢体204aの第2磁路形成体216の方向への移動が、前記スプリング206aの付勢力と磁気力とが等しくなることにより停止することとなる。 【0032】この被電磁付勢体204aを第2磁路形成体216aへ接近させる方向に作用する磁気力の大きさは、ソレノイド210aの巻線に印加される電圧の大きさと共に増加し、それら印加する電圧と磁気力との関係は予め知ることができる。従って、印加電圧をその関係に従って連続的に変化させることにより、被電磁付勢体204aを付勢する力を任意に変更することができる。印加電圧を増加させると磁気力が増加し、バルブ200aをバルブ座202aに押し付ける向きの力が小さくなり、バルブ200aがバルブ座202aから離れ易くなる。バルブ体200aに作用する作動液の差圧(液通路89の液圧と液通路160aの液圧の差圧)による付勢力が、被電磁付勢体204aに作用する力(磁気力とスプリング206aの付勢力の合力である。)よりも大きくなると、離間させられる。従って印加電圧を増加させると差圧が小さくても、増圧リニアバルブ150aを開状態にすることができるので、開弁圧が小さくなり液通路160aにより高い液圧が流れる(即ち差圧が小さくなる。)。 【0033】減圧リニアバルブ152aも、基本的には増圧リニアバルブ150aと同じものであり、印加電圧を増加させると減圧リニアバルブ152aの開弁圧が小さくされる。従って液通路160aの液圧は低くなる。減圧リニアバルブ152aの構成のうち、増圧リニアバルブ150aと同様であるものは同じ符号を付してあり、説明は省略する。 【0034】本実施の形態の摩擦制動エネルギー制御装置30においては、減圧リニアバルブ152aに供給される作動液の最大液圧は、ポンプ85により供給され、またアキュムレータ86に蓄えられる最大の液圧である。従って、この最大液圧を上回って、減圧リニアバルブ152aを経て減圧用リザーバ154aに流出することは事実上ない。また、減圧用リザーバ154aに蓄えられた作動液は、終了後に、チェックバルブ158a、液通路160a、液通路162a、切替ソレノイドバルブ156aを経てマスタリザーバ84に戻される。 【0035】なお図3において、液通路80には液圧センサ226が設けられていて、マスタシリンダ68の液圧が検出される。また液通路80にはストロークシミュレータ228が設けられていて、切替ソレノイドバルブ90、92が共に閉状態とされた場合に、ブレーキペダル76の踏み込みができずストロークが殆どないという状態にならないようになっている。ブレーキペダル76にはブレーキスイッチ250が備えてあって、ブレーキペダル76が踏み込まれたことが検出できるようになっている。また車輪10、12、60、62の各々の回転速度を検出する車輪速センサ252、254、256、258が設けられ、これらの出力信号に基づいて制動スリップ状態や推定車体速度等が取得される。 【0036】ここで前記リニアバルブ装置54の増圧リニアバルブ150a、減圧リニアバルブ152aのいずれか一方のソレノイド210aに印加される電圧は、液圧センサ124によって検出された液圧が、後述する摩擦制動エネルギーを得る液圧になるように決定される。増圧リニアバルブ150aのソレノイド210aに印加される電圧が大きくなって、バルブ座202aとバルブ200aとが相対的に大きく離間されると液圧センサ124によって検出される液圧は大きくなる。また減圧リニアバルブ152aのソレノイド210aに印加される電圧が大きくなると、検出される液圧は小さくなる。 【0037】このようにリニアバルブ装置54が構成されているので、制動エネルギー制御装置46から摩擦制動エネルギー制御装置30へ指令を出し、リニアバルブ装置54への電圧を自在に制御して印加させることによってホイールシリンダ32、34、64、66への液圧をほぼリニアに増減させて送ることができるという優れた効果がある。 【0038】次に主リニアバルブ装置56であるが、前述のリニアバルブ装置54に対して異なる点は増圧リニアバルブ150bがマスタシリンダ68からの液通路82に連結しており、液通路160bとホイールシリンダ側からの戻りの液通路162bはチェックバルブ156bを介して液通路82に連結されていることである。チェックバルブ156bはマスタシリンダ68からの液通路82を通って来る液圧がホイールシリンダ側へゆくことは阻止するが、逆は流れるようにする機能を持つ。従って液圧による制動が終了した後は、減圧用リザーバ154bに蓄えられた作動液はチェックバルブ158b、液通路160b、液通路162b、チェックバルブ156b、液通路82及びマスタシリンダ68を経て、マスタリザーバ84へ戻される。 【0039】制動エネルギー制御装置46、モータ制御装置42は、ROM、RAM、PU(プロセッシングユニット)等を備えたコンピュータを主体とするものである。制動エネルギー制御装置46の入力部には、前述の各液圧センサ122、124、226が接続されると共に、バッテリ36の充電容量を検出する充電状態検出装置262等が接続され、出力部には、各切替ソレノイドバルブ90、92、94、96、100、102、108、110、116の切替ソレノイドバルブやリニアバルブ装置54、主リニアバルブ装置56のソレノイド210a、210b等が図示しない回路を介して接続されている。ROMには図5のフローチャートで表される回生摩擦制動エネルギー協調制御プログラムが記憶されている。更にこれらの協調制御を行うか否かをバッテリ36の充電状態に基づいて判定する協調制御許可判定プログラムも記憶されている。 【0040】モータ制御装置42の入力部にはモータ28の回転数を検出するエンコーダ260、図示しないアクセルペダルの踏み込み状況を検出するアクセル踏込状況検出装置等が接続され、出力部には電力変換装置40が接続される。この電力変換装置40は、アクセルペダルの踏み込み状況に応じて駆動力が与えられるように制御されたり、回生制動要求エネルギーが得られるように制御されたりする。モータ制御装置42と制動エネルギー制御装置46との間においては、情報の交換が行われる。制動エネルギー制御装置46からモータ制御装置42へは回生制御要求エネルギーを表す情報、回生制動エネルギーの制御を許可するか否かを表す情報等が供給され、モータ制御装置42から制動エネルギー制御装置46へは実際に掛けられている回生制動エネルギーを表す情報が供給される。 【0041】以上のように構成された車両の制動エネルギー制御装置において、ブレーキペダル76が踏み込まれると各車輪10、12、60、62には、摩擦制動エネルギーと回生制動エネルギーとの少なくとも一方を含む制動エネルギーが加えられる。この時駆動輪となる車輪10、12には少なくとも回生制動エネルギーは加えられるが、非駆動輪となる車輪60、62には回生制動エネルギーは加えられないで、摩擦制動エネルギーのみが掛けられる。本発明に係わるブレーキペダルオフの時には車両の車速と図示しないアクスルペダルの踏み込み状況とから設定される所定の制動エネルギーを得る為に、少なくとも回生制動エネルギーを掛け不足する分について液圧による摩擦制動エネルギーで補充する制御を行うが、これについてはフローチャートによって以下に詳しく説明する。 【0042】この第1の実施の形態の車両の制動エネルギー制御装置の回生摩擦制動エネルギー協調制御の流れをフローチャートで示したものが図5である。まずステップ1(S1と略称する。以下他のステップについても同様に扱う。)において、回生摩擦制動エネルギー協調制御の終了条件が満たされるか否かが判定される。満たされない場合はS2に進み制御が継続して実施される。S2ではブレーキペダル76が踏まれている(オン)か否かが判定される。オフの場合にはS3に進んでブレーキペダルオフ液圧制御フラグがオンの指示が出される。従って切替ソレノイドバルブ90、92がオンされマスタシリンダ68とホイールシリンダ32、34との直接の回路は遮断される。次にS4に進み、その時の車両の車速からどれだけの制動エネルギーを得たいかを予め設定された値を基に制動要求エネルギーを計算し設定する。 【0043】次いでS8において車両の車速が設定速度より小さいか否かが判定される。車速が設定速度より小さくない場合には、モータ28の回転数が設定回転数より小さくないわけであり、回生制動エネルギーを掛けることが可能であるからS9に進んで回生制動可能エネルギーの計算に移ってゆく。しかし車速が設定速度より小さい場合にはS10に進んで回生制動可能なエネルギーを0に設定する。モータ28の回転数が設定値より小さくなると、吸収できる回生制動エネルギーが非常に小さくなったり、変化が大きくなったりして、回生制動エネルギーの大きさを良好に制御できなくなるからこのように0に設定するのである。 【0044】車速が設定速度より小さくない時はS9に進むが、モータ28の回生制動エネルギーにはモータ28の容量に応じた上限値である回生制動可能エネルギーがあり、これはまた前記バッテリ36の充電状況によっても影響されるものである。回生制動可能エネルギーが計算されると、S11に進む。ここでS4によって設定された制動要求エネルギーを基に、回生制動要求エネルギーが演算される。満充電やそれに近い状態においては、モータ28の容量一杯の回生制動エネルギーは吸収できず、バッテリ36によって限界を決められてしまう。そこでバッテリ36の充電状態を検知してこれによって回生制動エネルギーの可能な値は回生制動限界マップにより求められる。また既に設定された制動要求エネルギーが回生制動可能エネルギーより小さければ限界の回生制動エネルギーを掛ける必要もない。従って回生制動要求エネルギーはS11に示してある如く車両の制動要求エネルギーと回生制動可能エネルギーの値の小さい方の値となる。この情報を表す情報はモータ制御装置42に供給される。 【0045】回生制動要求エネルギーが演算されると、次にS12に進んで回生制動要求エネルギーが設定される。そしてS13に進んで摩擦制動要求エネルギーが演算される。摩擦制動要求エネルギーは車両の制動要求エネルギーからS12で設定された回生制動要求エネルギーを差し引いたものとなる。しかしこれが負の値となる時、即ち回生制動要求エネルギーの方が制動要求エネルギーより大きいならモータ28の回生制動エネルギーだけで賄うことができるので、液圧による摩擦制動エネルギーを使う必要がなくなり、0が設定される。 【0046】このようにして回生制動要求エネルギーと摩擦制動要求エネルギーが設定された後に、主リニアバルブ装置56及びリニアバルブ装置54の制御となる。今ブレーキペダルオフ液圧制御フラグはS3でオンになっているからS14での判別はオンの側であってS15に進ことになる。ここではリニアバルブ装置の制御が実施される。これは前述したように図4(A)の増圧リニアバルブ150aと減圧リニアバルブ152aとに摩擦制動要求エネルギーに応じた電圧が印加されて、この電圧に応じた液圧を発生し、後輪側のホイールシリンダ64、66へ、また切替ソレノイドバルブ108を介して前輪側のホイールシリンダ32、34へ供給され、摩擦制動エネルギーが掛けられる。この時S16の主リニアバルブ装置はオフとされる。即ち各ホイールシリンダへはリニアバルブ装置から発生される液圧のみ作用されるわけである。以上説明したようにブレーキペダルがオフの状態ではモータ28による回生制動エネルギーと液圧による摩擦制動エネルギーとの協調制御が実施される。 【0047】次にS2においてブレーキペダルがオン即ち踏み込まれている状態においてはS5に進んでブレーキペダルオフ液圧制御フラグがオフとされる。そしてS6に進んでマスタシリンダの液圧が読み込まれる。その後S7に進むが、このマスタシリンダの液圧によって運転者の要求する制動エネルギーの要求の度合いを判断し車両の制動要求エネルギーが計算される。この後はブレーキペダルオフの時の流れと同じとなる。従ってここでは途中の説明は省略する。主リニアバルブ装置、リニアバルブ装置制御のところまで同じであり、次いでS14のブレーキペダルオフ液圧制御フラグはこの場合オフとなっているから、今度はS17に進む。 【0048】この時即ちブレーキペダルオフ液圧制御フラグがオフの状態では、主リニアバルブ装置が制御される。前述の図4(B)の増圧リニアバルブ150bと減圧リニアバルブ152bとに摩擦制動要求エネルギーに応じた電圧が印加されて、液圧を発生し、後輪側のホイールシリンダ64、66へ、また切替ソレノイドバルブ108を介して前輪側のホイールシリンダ32、34へ供給され、摩擦制動エネルギーが掛けられる。この時S18に進んでリニアバルブ装置はオフとされる。このようにブレーキペダルが踏み込まれている時は踏み込み具合に応じてモータ28による回生制動エネルギーと液圧による摩擦制動エネルギーとの協調制御が実施される。 【0049】S1において終了条件が満たされると、S19に進みブレーキペダルオフ液圧制御フラグがオフされ、次いでS20に進み、、マスタシリンダ68とホイールシリンダ32、34とは導通される。従って協調制御が終了してブレーキペダル76の踏み込みだけでの液圧による制御となる。 【0050】ここでS1の終了条件とは、前記ソレノイド210a、210bや液圧センサ122、124、132等々の様々な機器が不具合を起こした時あるいは、アクスルシャフト24、26に駆動トルクが出た時である。この状態となると終了条件が満たされたことになり、協調制御が実施されない。 【0051】以上説明してきた第1の実施の形態において、制御装置と共にその制御方法も述べたが、バッテリ36の充電状態を横軸に取って縦軸に制動エネルギーを取った時の回生制動エネルギーと摩擦制動エネルギーとの配分を示したグラフが図7に示される。この図に示すようにバッテリ36の充電状態に応じて回生制動エネルギーを掛けられる上限のエネルギー値は変化するものであり、その値は満充電の時の0(B点)と、最も充電が不足している時のエネルギー値(A点)とを結ぶ線AB上に乗る。従ってバッテリ36の充電状態が低い時には、車両の制動要求エネルギーに対して大部分は回生制動エネルギーで当てられるが、バッテリ36の充電状態が満充電に近くなるに従って回生制動エネルギーの割合が減ってゆき、摩擦制動エネルギーの割合が多くなって充当させられることになる。 【0052】回生摩擦制動エネルギー協調制御のS11の回生制動要求エネルギーを演算する際に、車両の制動要求エネルギーを上回らない範囲で回生制動エネルギーは可能な限り大きく設定する制御について述べたが、これらは必ずしもこの制御方法に限定する必要はなく、モータ42の回生制動エネルギーの最大限を使わなくても良い。そのような制御の場合は制御の自由度が増すという効果がある。一方図5に示したモータ42の回生制動可能エネルギーを使う方法によれば、モータ42によって回収されバッテリ36に蓄えられる電力を最大限とできるので、車両のエネルギー消費量を低減できるという優れた効果がある。いずれにせよモータ42以外に別のモータを搭載することなく、バッテリ36の充電状態の如何に係わらず所定の制動エネルギーが得られるという効果がある。また第1の実施の形態の車両の制動エネルギー制御装置の制御方法によれば、所定の制動エネルギーが要求された時に、モータ42の最大限の回生制動エネルギー以上であっても摩擦制動エネルギーで補充できるという効果がある。更に従来の技術においては、ブレーキペダルオフの時は回生制動エネルギーのみしか掛けられなかったのに対して、本実施の形態によれば、回生制動エネルギーだけでなく液圧による摩擦制動エネルギーも併用できるので、所定の制動エネルギーがほしい時に、前記モータの回生制動エネルギーの限界に制限されずに確実に確保することができるという優れた効果を有する。 【0053】次に本発明の第2の実施の形態の車両の制動エネルギー制御装置について説明する。この場合はエンジンによるエンジンブレーキを併用するものであり、エンジンのみによって駆動される車両やあるいはエンジンとモータによるハイブリッド車両に適用される。この制御装置においては構成要素となる各装置は第1の実施の形態で示した図1のものと基本的に同様であるが、図2の概略図に示すように、図1のエンジン50を制御するエンジンブレーキエネルギー制御装置52が追加されていて、この信号が制動エネルギー制御装置46へ伝達され、またこの制動エネルギー制御装置46の信号が前記エンジンブレーキエネルギー制御装置52に送られ、エンジン50を制御する点が追加されることのみ異なっている。この第2の実施の形態の車両の制動エネルギー制御装置に含まれる摩擦制動エネルギー制御装置の回路図は、第1の実施の形態の説明で述べた図3と同じであるから説明は省略する。そこで、この第2の実施の形態の車両の制動エネルギー制御装置の制御方法について、フローチャートを用いて説明する。 【0054】図6の回生摩擦制動エンジンブレーキエネルギー協調制御において、各ステップの内容は殆ど図5のものと同一であるが、異なる点はS13に対応するところであり、図6においてはS13−1とこれに続くS13−2のステップがあることである。そこでこの点についてのみ説明し後は省略する。S12にて回生制動要求エネルギーが設定されると、S13−1に進んで、制動要求エネルギーからこの回生制動要求エネルギーを差し引いた値を求め、この値とエンジンブレーキ可能エネルギーとを比較して、小さい方の値をエンジンブレーキ要求エネルギーとする。この時に制動要求エネルギーより回生制動要求エネルギーの方が大きい時は0とする。次にS13−2に進み、摩擦制動要求エネルギーの演算に移る。これは前記制動要求エネルギーから前記回生制動要求エネルギーとエンジンブレーキ要求エネルギーを差し引き、残りのエネルギー値を持って摩擦制動要求エネルギーとする。ただしこの値が負になるようであれば、その時は0とする。 【0055】このようにして求められたそれぞれの値を制動エネルギー制御装置46から回生制動エネルギー制御装置14及び前記エンジンブレーキ制御装置52に指令を出し、更に摩擦制動エネルギー制御装置30へも指令を出して主リニアバルブ装置およびリニアバルブ装置の制御を行うのである。 【0056】前述の図6の協調制御を、横軸にバッテリ36の充電状態を、縦軸に制動エネルギーを示すグラフで表すと図8の如くになる。バッテリ36の充電状態が低い時には主に回生制動エネルギーが当てられ、制動要求エネルギーに満たない分についてはエンジンブレーキエネルギーが当てられる。バッテリ36の充電状態が満充電かあるいはそれに近い状態の時には、モータ42による回生制動エネルギーの吸収できる分は少なくなってゆくので、エンジンブレーキエネルギーを可能な限り使った上で、不足する分については液圧による摩擦制動エネルギーが当てられる。このような制御方法によれば、モータ42による回生制動エネルギーを最大限に使い、次にエンジン50のよるエンジンブレーキエネルギーをできる限り使い、残りを液圧による摩擦制動エネルギーで当てるので、第1の実施の形態の効果で述べたのと同じく、モータ42にてバッテリ36に電力を最大限回収でき、車両の消費エネルギーを低減できる効果があると共に、摩擦制動エネルギーを極力少なく使用するので、図示しないブレーキ装置の摩擦材の摩耗を少なくできるという優れた効果がある。 【0057】この第2の実施の形態においても、制動要求エネルギーを回生制動エネルギーとエンジンブレーキエネルギーと摩擦制動エネルギーで負担する際に、必ずしも前述のような優先順位で振り分けてゆく制御方法でなくても良い。その場合には制御の自由度が増す効果がある。いずれにせよ、この実施の形態においても、バッテリ36の充電の如何に係わらず、前記モータ28の回生制動エネルギーの限界に制限されずに、所定の制動エネルギーを得ることができる効果がある。 【0058】また第1の実施の形態あるいは第2の実施の形態において説明したリニアバブ装置54あるいは主リニアバルブ装置56を前輪側と後輪側のそれぞれに別個に設けて、それぞれ別個の制御をさせることも可能である。その他いちいち例示することはしないが、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づき種々の変形、改良を施した態様で本発明を実施することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月19日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−275708 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−71049 |
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