| 【発明の名称】 |
電気車の接線力係数推定装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大石 潔
【氏名】中野 建
【氏名】宮下 一郎
【氏名】保川 忍
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| 【要約】 |
【課題】主電動機の回転角速度の各演算時点毎に接線力係数を精度良く推定する装置を提供することにある。
【解決手段】主電動機の回転角速度に第1の係数器4の係数と第2の係数器5の係数を乗算したものを第1の情報とし、前記主電動機の発生トルクの計測値または演算値を第2の情報とし、積分器6を設けて該出力を第3の情報とし、該第3の情報の符号を反転した情報と前記第2の情報と前記第1の情報を加算器3に入力して加算した出力を積分器6に入力して積分して得られた前記第3の情報と前記第1の情報の符号を反転した情報とを加算器7にて加算して得られたものを第4の情報とする最小次元外乱オブザーバを形成する。更に前記第4の情報に第3の係数器2の係数を乗算することによって接線力係数を算出する電気車の接線力係数推定装置である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気車の主電動機軸の回転角速度と主電動機の発生トルクの演算値または計測値を入力情報として電気車の接線力係数を推定する装置において、前記主電動機軸の回転角速度情報に該電動機回転子軸に換算した回転系慣性を乗算する第1の係数器4と、該係数器4の出力情報に積分器6の同一のゲイン定数を乗算する第2の係数器5を具え、該第2の係数器出力情報を第1の情報とし、前記主電動機の発生トルクの演算値または計測値である第2の情報を加算する入力加算器3と、該加算器3の出力情報を入力情報とする積分器6と、該積分器6の出力符号を反転した情報を前記入力加算器3に帰還して得られる積分器6の出力を第3の情報とし、該第3情報と前記第1情報の符号を反転した情報とを加算する出力加算器7とから構成される主電動機負荷トルクの推定器1と、該負荷トルク推定情報を第4の情報とし、該第4情報に減速歯車比と動輪半径逆数値と動輪軸換算荷重逆数値とを乗算する第3の係数器2とから成る電気車の接線力係数推定装置。 【請求項2】 電気車の主電動機軸の回転角速度と主電動機の発生トルクの演算値または計測値を入力情報として電気車の接線力係数を推定する装置において、前記主電動機軸の回転角速度情報に該電動機回転子軸に換算した回転系慣性を乗算する第1の係数器4と、該係数器4の出力情報に積分器6のゲイン定数を乗算する第2の係数器5を具え、該第2の係数器出力情報を第1の情報とし、前記主電動機の発生トルクの計測値または演算値である第2の情報を加算する入力加算器3と、該加算器3の出力情報を入力情報とする積分器6と、該積分器6の出力の符号を反転した情報を前記入力加算器3に帰還して得られる積分器6の出力を第3の情報とし、該第3情報と前記第1情報の符号を反転した情報とを加算する出力加算器7と、該出力加算器出力情報を第4の情報とし、該第4情報に減速歯車比と動輪半径逆数値とを乗算する第4の係数器8とから構成される電気車動輪周接線力の推定器と、該動輪周接線力推定器出力情報を第5の情報とし、該第5情報に動輪軸荷重の逆数を乗算する第5の係数器9とから成る電気車の接線力係数推定装置。 【請求項3】 電気車の主電動機軸の回転角速度と主電動機の発生トルクの演算値または計測値を入力情報として電気車の接線力係数を推定する装置において、前記主電動機軸の回転角速度情報に該電動機回転子軸に換算した回転系慣性を乗算する第1の係数器4と、該係数器4の出力情報に積分器6のゲイン定数を乗算する第2の係数器5を具え、該第2の係数器出力情報を第1の情報とし、前記主電動機の発生トルクの計測値または演算値である第2の情報を加算する入力加算器3と、該加算器3の出力情報を入力情報とする積分器6と、該積分器6の出力の符号を反転した情報を前記入力加算器3に帰還して得られる積分器6の出力を第3の情報とし、該第3情報と前記第1情報の符号を反転した情報とを加算する出力加算器7とから構成される主電動機負荷トルクの推定器1と、該負荷トルク推定情報を第4の情報とし、該第4情報に減速歯車比と動輪半径逆数値と動輪軸換算荷重逆数値とを乗算する第3の係数器2と、前記第4情報を微分する微分器11と該微分器出力の符号及び零判別手段12を備えて成る電気車の接線力係数推定装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、電気車の粘着力の有効利用を図った再粘着制御方法を実現する上で必要となる電気車の接線力係数推定装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】電気車は車輪・レール間の接線力(粘着力ともいう)によって加減速を行っているが、この接線力は、一般にすべり速度に対して図4に破線で示すような特性を有している。この接線力を軸重(車軸1軸当たりのレールに加わる垂直荷重)で割ったものを接線力係数、接線力の最大値を軸重で割ったものを粘着係数という。図示の如く、接線力の最大値を超えないトルクを主電動機で発生している場合は、空転・滑走は発生せず、接線力の最大値より左側の微小なすべり速度で電気車は走行する。もし最大値より大きいトルクを発生するとすべり速度は増大し、接線力が低下するのでますますすべり速度が増大する空転・滑走状態になるが、車輪及びレールが乾燥状態では主電動機で発生するトルクは接線力の最大値を超えないように車両の性能が設定されるので、空転・滑走は発生しない。 【0003】しかし、実線で示す如く、レール面が雨等によって湿潤状態にある場合は、粘着係数が低下して接線力の最大値が車両の設定性能に対応した主電動機の発生トルクより小さくなる。この場合、すべり速度が増大し空転状態になり、そのまま放置するとこれに対応して接線力が低下し、車両の加速に必要な加速力がますます低下してしまうので、迅速に空転・滑走を検出し、主電動機が発生するトルクを低減して再粘着させることが必要になる。このようにトルクの制御を行って再粘着させる場合、小さなすべり速度に抑制しつつ、主電動機の発生トルクが極力接線力の最大値近傍の値になるように制御することが、電気車の加減速性能を高める上で必要である。 【0004】このような再粘着制御の実現を目的とした装置として、主電動機の回転周波数(回転速度)を検出し、これからその時間変化率、すなわち動軸加速度を求めて空転・滑走を検出するとともに、動軸加速度からそのときの主電動機トルクに対応した粘着係数からの低下分を推定することによって粘着係数を推定し、再粘着後に推定した粘着係数に対応したトルクを主電動機で発生するようにした再粘着制御装置がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしこの装置の場合、空転・滑走を誤検知することなく確実に検出するためには、特に軸加速度の各演算時点毎の変動を小さく抑制することが必要で、軸加速度の演算間隔を長くすることが一般に用いられている。そのため軸加速度の演算に大きな遅れが発生し、さらに空転・滑走を確実に検出するための閾値との関係から、空転・滑走検出時には空転・滑走速度が大きくなってしまって、図3に示すようにその時点で粘着係数を推定しても、実際には粘着係数ではなくすべり速度が大きくなったときの接線力係数を推定することになり、粘着係数よりは小さな値になっている。 【0006】またこのように大きな遅れをともなって軸加速度を演算しても、なお演算時間毎の軸加速度の演算値の変動が大きいため、接線力係数の推定値も大きく変動することになる。この接線力係数を用いて再粘着制御を行うため、接線力係数の最大値近傍でのトルク制御が実現できない。さらに、空転・滑走を検出してからすべり速度を小さくするために、すなわち再粘着させるために、主電動機での発生トルクを低減した後、推定粘着係数相当のトルクに復帰させる制御を行うことによって、乗り心地が悪化することが考えられる。このように、従来の接線力係数の推定方法では、良好な乗り心地を保ちつつ粘着力の有効利用が可能な再粘着制御が実現できない。 【0007】このように、各演算時点毎の軸加速度の変動を抑制するために、演算時間間隔を大きくして求めた軸加速度を用いて、空転・滑走を検出し、その時の接線力係数を推定する方法では、空転・滑走検出時の接線力しか推定できないことと、一般に空転・滑走検出感度との関係から、空転・滑走が大きくなった、すなわちすべり速度の大きいときの接線力係数の推定にしかならないので、この接線力の推定値を用いて再粘着制御しても、接線力の最大値に対応したトルクを発生することができないので、十分に粘着力の有効利用可能な再粘着制御にはならないことと、空転・滑走を検出してトルクを制御する間欠制御であるため、乗り心地の悪化を招くきらいがある。本発明は上述した点に鑑みて創案されたもので、その目的とするところは、これらの欠点を解決し、主電動機の回転角速度の各演算時点毎に接線力係数を精度良く推定する方法を提供することであり、本推定方法を用いてトルク制御を行うことによって、良好な乗り心地を保ちつつ粘着力の有効利用が可能な再粘着制御が実現できる電気車の接線力係数推定装置を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】つまり、その目的を達成するための手段は、電気車の主電動機軸の回転角速度情報に該電動機回転子軸に換算した回転系の全慣性を乗算する第1の係数器4と、該係数器4の出力情報に積分器6のゲイン定数を乗算する第2の係数器5を具え、該第2係数器出力情報を第1の情報とし、前記主電動機の発生トルクの演算値または計測値である第2の情報を加算する入力加算器3と、該加算器3の出力情報を入力情報とする積分器6と、該積分器出力の符号を反転した情報を前記入力加算器3に帰還して得られる積分器出力を第3の情報とし、該第3情報と前記第1情報の符号を反転した情報とを加算する出力加算器7とから構成される主電動機負荷トルクの推定器1を構成し、該負荷トルク推定情報を第4の情報とし、該第4情報に減速歯車比と動輪半径逆数値と動輪軸換算荷重逆数値とを乗算する第3の係数器2とから前記電気車の接線力係数を推定する。 【0009】負荷トルクの推定器1はいわゆる最小次元外乱オブザーバと称するもので、電動機の負荷トルクまたは慣性、粘性などの機械的はパラメータがステップ状に変化するとき、これらを負荷外乱として一括推定することができる。外乱オブザーバはサーボモータの制御系の外乱抑圧方策として知られており、その原理は下記論文により開示されている。文献名:大石潔、大西公平、宮地邦夫(慶応大学):「オブザーバを用いた他励直流機のトルク制御」、電気学会回転機研究会資料,RM−82−33,1982−2【0010】前記の機械的なパラメータがステップ状ではなく複雑な形で変化してもその変化が緩慢であればそれは微少なステップ的変動の積み重ねとして最小次元外乱オブザーバで推定できる。ところで電動機発生トルクのうち車両の加速に寄与する成分は発生トルクから電動機回転子自身及び減速歯車、駆動輪等回転部分を加速するトルク成分を差し引いた残りである。すなわち外乱推定器1の出力が車両を加速する成分にほかならない。加速トルク成分を動輪周接線力で表すには減速歯車比を乗じ動輪半径で割ればよい。接線力係数は、ここで得られた動輪周接線力をさらに動輪軸換算荷重で割ることにより求められる。あるいは外乱オブザーバ出力すなわち前記第4情報に減速歯車比と動輪半径逆数値と動輪軸換算荷重逆数値等をまとめて乗算する第3の係数器2を設置することにより接線力係数を推定することができる。 【0011】また、前記電気車の接線力係数を推定する際第3の係数器2は軸重を定数としていた。しかし電気車の軸重は乗客数が変わると変動する。そこでつぎのように構成すると、電気車の軸重が変動しても正しい接線力係数を求めることができるすなわち、電気車の主電動機の回転角速度と主電動機の発生トルクの演算値または計測値を入力情報として電気車の接線力係数を推定する方法において、前記主電動機軸の回転角速度情報に該電動機回転子軸に換算した回転系慣性を乗算する第1の係数器4と、該係数器4の出力情報に積分器6のゲイン定数を乗算する第2の係数器5を具え、該第2係数器出力情報を第1の情報とし、前記主電動機の発生トルクの計測値または演算値である第2の情報を加算する入力加算器3と、該加算器3の出力情報を入力情報とする積分器6と、該積分器出力の符号を反転した情報を前記入力加算器3に帰還して得られる積分器出力を第3の情報とし、該第3情報と前記第1情報の符号を反転した情報とを加算する出力加算器7と、該出力加算器出力情報を第4の情報とし、該第4情報に減速歯車比と動輪半径逆数値とを乗算する第4の係数器8とから構成される電気車動輪周接線力の推定器と、該動輪周接線力推定器出力情報を第5の情報とし、該第5情報に動輪軸荷重の逆数を乗算する第5の係数器9とから成る装置を構成することにより、電気車の接線力係数を推定することができる。 【0012】さらに、接線力係数が最大値に達すると、接線力係数の微分値が零になるので推定した接線力係数の微分手段を設けることにより、これを知ることができる。すなわち、電気車の主電動機軸の回転角速度と主電動機の発生トルクの演算値または計測値を入力情報として電気車の接線力係数を推定する方法において、前記主電動機軸の回転角速度情報に該電動機回転子軸に換算した回転系慣性を乗算する第1の係数器4と、該係数器4の出力情報に積分器6のゲイン定数を乗算する第2の係数器5を具え、該第2係数器出力情報を第1の情報とし、前記主電動機の発生トルクの計測値または演算値である第2の情報を加算する入力加算器3と該加算器3の出力情報を入力情報とする積分器6と、該積分器出力の符号を反転した情報を前記入力加算器3に帰還して得られる積分器出力を第3の情報とし、該第3情報と前記第1情報の符号を反転した情報とを加算する出力加算器7とから構成される主電動機負荷トルクの推定器と、該負荷トルク推定情報を第4の情報とし、該第4情報に減速歯車比と動輪半径逆数値と動輪軸換算荷重逆数値とを乗算する第3の係数器2と、前記第4情報を微分する微分器11と該微分器出力の符号及び零判別手段12を備える装置を構成すれば、電気車の接線力係数推定とその接線力係数が最大値に達する時点を推定することができる。以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳述する。 【0013】 【発明の実施の形態】図1は最小次元外乱オブザーバを用いた接線力係数推定の基本構成を表すブロック線であり、請求項1記載の第一実施例に対応する。図2は図1の原理に基づく接線力係数推定のシミュレーション結果を示す図、図3は従来の空転・滑走検出時の接線力係数の推定値をもとに再粘着制御した場合の接線力の推移を示す図、図4はすべり速度に対する車輪・レール間の接線力特性の例を示す図である。また図5、図6は本発明の請求項2及び3に記載した別の実施例を示すブロック線図である。図1は主電動機発生トルクTrqmと回転角速度ωmiを入力として最小次元外乱オブザーバ1により車両加速トルクTlを推定し、その結果に第3の係数器2の係数Rg/(W・g・r)を乗じて電気車の接線力係数μeを推定する装置である。図1において、主電動機回転角速度入力ωmiに第1の係数器4の係数Jmと第2の係数器5の係数aを乗算したものを第1の情報としこの第1情報を加算器3に入力する。また主電動機発生トルクの演算値あるいは計測値Trqmの入力を第2の情報とし加算器3に入力するとともに、積分器6の出力の符号を反転した信号を帰還し加算器3に入力する。積分器6の出力を第3の情報とし次の加算器7に入力するとともに、前記第1情報の符号を反転して加算器7に入力する。かくして負荷トルクまたは車両加速トルク成分Tlを得る。この車両加速トルク成分Tlを第4の情報とする。第4の情報に第3の係数器2により係数Rg/(W・g・r)を乗算し接線力係数の推定値μeを得る。 【0014】図5は軸重Wを車両の積載荷重により変化する点を考慮しこれを第3の入力として接線力係数の推定値μeに反映させるようにする手段を示す。すなわち係数器2の係数を定数項Rg/rと変数1/(W・g)に分け、車両加速トルク成分Tlに定数項Rg/rを乗じて得られる接線力Fμを第5の情報とし、この第5情報FμをW・gで割るか、または逆数1/(W・g)を乗ずることにより積載荷重の変化を考慮した接線力係数の推定値μeを得る。図5は可変軸重の逆数1/(W・g)を乗算する手段の例を示すが、これをW・gの除算手段で実現することも可能である。図6はトルク外乱オブザーバ1を基本とする手段を示すが、あらかじめ電動機発生トルクTrqm入力及び回転角速度ωmi入力に定数項Rg/rを乗じておけば推定器そのものが動輪周接線力オブザーバとなるが、このような装置は図1のトルク外乱オブザーバ1を用いる方法と同等であることはいうまでもない。 【0015】次にこの実施例の動作について説明する。車両全体を1軸モデルで表すと、次に示す(1)〜(7)式の関係式が得られる。 M・dVt/dt=μ(Vs)・W・g−Rv ・・・・・・・・・・(1) J・dωd/dt=T−μ (Vs)・W・g・r ・・・・(2) Vs=Vd−Vt ・・・・・・・・・・・・・(3) Trqm=Jm・dωmi/dt ・・・・・・・・・・・・・(4) Tm1=Jm1・dωm1/dt ・・・・・・・・・・・・・(5) Trqm・Rg=T ・・・・・・・・・・・・・(6) Tm1・Rg=T1 ・・・・・・・・・・・・・(7) ここに、Vt: 車両進行速度、Vd: 動輪周速度、Vs: すべり速度 (動輪周速度と車両速度との差速度) 、Rv:列車の走行抵抗、M :1動輪軸に換算した列車全体の重量、μ(Vs) :接線力係数、W :軸重、g :重力加速度、r: 動輪半径、Rg :歯車比、T :動軸入力トルク、T1: 動軸出力トルク、Trqm: 主電動機軸まわりの入力トルク、Tm1 :主電動機軸まわりの出力トルク、J : 動輪軸まわりの慣性モーメント、Jm:電動機軸に換算した回転軸まわりの慣性モーメント(入力トルクに対応したもの)、Jm1: 主電動機軸まわりの慣性モーメント(入力トルクに対応したもの) 、ωd: 動軸出力トルクによって発生する動輪軸角速度、ωmi: 主電動機軸まわりの入力トルクに対応した主電動機の回転角速度、ωm1: 主電動機軸まわりの出力トルクに対応した主電動機の回転角速度である。 【0016】さらに、Tm1= (J・dωd/dt)/Rg =〔T−μ (Vs)・W・g・r〕/Rg ・・・・・・・・(8) 上記(6)〜(8)式から、Trqm−Tm1=〔μ (Vs)・W・g・r〕/Rg・・・・・・(9) が得られる。ここで、Trqm−Tm1を負荷外乱と見なせば、図1に破線で示す最小次元外乱オブザーバ1を構成し、その出力Fμを係数器2に入力することによって、(10)式のように接線力係数の推定値μeが求められる。 μe=(Trqm−Tm1) ・〔a/(s+a)〕・〔Rg/( W・g・r)〕 ・・・(10) ここに、s: ラプラス演算子、a: 外乱オブザーバの極であり、極aの逆数はオブザーバの推定遅れの時定数を意味している。である。 【0017】図2は、外乱オブザーバの極aを変えた場合の接線力係数の推定シミュレーション結果の例を示す特性図であって、図4に示すような接線力係数の特性を仮定して、指令トルクをランプ関数状に増大させていったときの結果を示している。図2において、接線力係数は真値μ(Vs)を、また接線力係数の推定誤差は接線力係数μ(Vs)と接線力係数の推定値μeの差を表しており、図示の如く、外乱オブザーバの極が5000の場合と100の場合共に、接線力係数の真値μ(Vs)に接線力係数の推定値μeが良く追従していて、その推定誤差は非常に小さく、高い精度で接線力係数が推定できていることが分かる。 【0018】このように外乱オブザーバによって接線力係数の推定値μeを時々刻々演算し、このμeに対応したトルクを指令して主電動機で発生するように制御することによって、接線力をピーク点近傍に維持する制御が可能になる。接線力がピーク点近傍にあるか、ピーク点のどちら側にあるかを判別するには図6のように負荷トルク推定出力に微分器11及び符号判別器12とを設け、その出力が正値、負値、零値を判定すればよい。接線力係数の微分値はdμ(Vs)/dVsで表されるが、この式は{dμ(Vs)/dt}/{dVs/dt}と変形される。ただしdtは時間微分である。すなわち前記微分器11は{dμ(Vs)/dt}を出力する。接線力係数の微分値の符号により現在の接線力係数の状態を正確に評価することができる。接線力係数を推定する最小次元外乱オブザーバはローパスフィルタの機能があるので、微分演算に対してはある程度ノイズを抑制したものになっている。ここで接線力係数の微分は無次元化された出力情報を基に演算せず、負荷トルク推定器または接線力推定器の出力を歯車比、車輪径、軸重を乗除せずに微分しても等価な情報が得られる。この微分値の符号により現在の接線力係数の状態を正確に評価する方法は前記軸重が変動する場合にも図6の実施方法により適用可能であることはいうまでもない。 【0019】 【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、時々刻々接線力係数を精度良く推定できるので、この推定値を用いて主電動機のトルク制御を行うことによって、接線力のピーク点近傍に発生トルクを維持することができ、良好な乗り心地を維持しつつ粘着力の有効利用が可能となり、実用上、極めて有用性の高いものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003115 【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社 【識別番号】598125394 【氏名又は名称】大石 潔
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)2月27日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−252716 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月17日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−61938 |
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