トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 搬送システムにおける案内レールおよび搬送システム
【発明者】 【氏名】安井 信雄

【氏名】野▲崎▼ 隆

【要約】 【課題】リニアモータを用いた搬送システムの誤動作や損傷を低減する。

【解決手段】移動体20は車輪22を有しており、案内レール21上を走行可能になされている。案内レール21は、移動体20の車輪22が走行する底板部25と、カバー部26とから構成されている。カバー部26は、底板部25上にその一端が立設された断面逆U字状のカバー部材27と、底板部25におけるカバー部材27の他端に対向する位置に立設されたカバー部材28とから構成されており、これによりカバー部材27とカバー部材28との間には開放部29が形成される。また、底板部25上にはマグネット30が配設されており、これによりマグネット30はカバー部26によって保護されるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リニアモータを用いた搬送システムにおいて、磁界を発生することが可能な第1の磁界発生手段と、前記第1の磁界発生手段を保持する保持部材とを有する移動体を案内する案内レールであって、磁界を発生することが可能であり、前記移動体の前記第1の磁界発生手段とともに前記移動体に推力を付与して前記移動体を移動させることが可能な第2の磁界発生手段を有しており、前記第2の磁界発生手段の少なくとも上方、下方および両側の側方を覆うようにカバーが形成され、いずれか一方の側方には前記保持部材が挿通させられる開放部が設けられていることを特徴とする搬送システムにおける案内レール。
【請求項2】 前記移動体に電力を供給する給電手段を備えており、前記カバーは、前記給電手段の少なくとも上方、下方および両側の側方を覆うように形成され、いずれか一方の側方には前記保持部材が挿通させられる開放部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送システムにおける案内レール。
【請求項3】 前記カバーは、非磁性体から形成されていることを特徴とする請求項2に記載の搬送システムにおける案内レール。
【請求項4】 磁界を発生することが可能な第1の磁界発生手段を有する移動体と、前記移動体を案内する請求項1ないし3のいずれかに記載の案内レールとを具備する搬送システムにおいて、前記移動体は、前記第1の磁界発生手段を保持する保持部材を有しており、前記保持部材が前記開放部に挿通させられ、前記保持部材に保持された前記第1の磁界発生手段が前記カバーに覆われた空間内に配置されるようにしたことを特徴とする搬送システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リニアモータを用いて移動体を移動させる搬送システムにおける案内レール、および搬送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】搬送システムにおいては、案内レールに沿って荷物を積載した移動体を移動させることにより荷物を搬送している。このように移動体を移動させる手段としては、リニア直流モータを用いるものが知られている。
【0003】従来のリニア直流モータを用いた搬送システムの一例を図1に示す。同図に示すように、移動体3は車輪8を有しており、これによりレール5上を紙面垂直方向に走行可能になされている。符号1はレール5に沿って設けられた給電線を示し、給電線1から受電コイル2を介して移動体3側に電力を供給している。このように受電コイル2が受け取った電力によって、コイル4、およびレール5上に配置されたマグネット6から構成されるリニア直流モータが移動体3に推力を付与するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のような搬送システムにおいては、移動体3はその上部に荷物等を積載する必要があるため、レール5の上方を走行することになり、コイル4はレール5と対向する位置、すなわち移動体3の下部側に取り付けられている。このため、従来の搬送システムでは、レール5側に設けられたマグネット6の上方が開放した状態となっており、上方から金属物体等が落下してきた場合、マグネット6が損傷してしまうことがあった。また、金属片等の塵埃がマグネット6に付着すると、移動体3に推力を付与するリニア直流モータが正常に作動、または移動しなくなることがある。
【0005】本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、システムの誤動作や損傷を低減することが可能な搬送システムにおける案内レール、および搬送システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の搬送システムにおける案内レールは、リニアモータを用いた搬送システムにおいて、磁界を発生することが可能な第1の磁界発生手段と、前記第1の磁界発生手段を保持する保持部材とを有する移動体を案内する案内レールであって、磁界を発生することが可能であり、前記移動体の前記第1の磁界発生手段とともに前記移動体に推力を付与して前記移動体を移動させることが可能な第2の磁界発生手段を有しており、前記第2の磁界発生手段の少なくとも上方、下方および両側の側方を覆うようにカバーが形成され、いずれか一方の側方には前記保持部材が挿通させられる開放部が設けられていることを特徴とする。
【0007】この構成によれば、金属片等の塵埃が多い環境下で使用した場合にも、移動体に推力を付与する第2の磁界発生手段の開放部を除く四方がカバーにより覆われているため、第2の磁界発生手段に金属片等の塵埃が付着してしまうことを低減できる。また、使用中若しくは工事中等に、上方から落下してきた金属物体等から第2の磁界発生手段を保護することができる。これらのことによって、搬送システムに誤動作や損傷が生じる可能性を低減できる。
【0008】また、請求項2に記載の搬送システムにおける案内レールは、請求項1に記載の搬送システムにおける案内レールにおいて、前記移動体に電力を供給する給電手段を備えており、前記カバーは、前記給電手段の少なくとも上方、下方および両側の側方を覆うように形成され、いずれか一方の側方には前記保持部材が挿通させられる開放部が設けられていることを特徴とする。
【0009】この構成によれば、給電手段の開放部を除く四方がカバーで覆われているため、金属物体等の落下物から給電手段を保護することができる。また、給電手段への塵埃の付着を低減することができる。これらのことにより、搬送システムの誤動作や損傷を低減することができる。
【0010】また、請求項3に記載の搬送システムにおける案内レールは、請求項2に記載の搬送システムにおける案内レールにおいて、前記カバーは、非磁性体から形成されていることを特徴とする。
【0011】この構成によれば、移動体が給電手段の発生する電磁波から電力を受け取っている場合、非磁性体のカバーによって、給電手段の発生する電磁波の外部への放射を低減することができる。
【0012】また、請求項4に記載の搬送システムは、磁界を発生することが可能な第1の磁界発生手段を有する移動体と、前記移動体を案内する請求項1ないし3のいずれかに記載の案内レールとを具備する搬送システムにおいて、前記移動体は、前記第1の磁界発生手段を保持する保持部材を有しており、前記保持部材が前記開放部に挿通させられ、前記保持部材に保持された前記第1の磁界発生手段が前記カバーに覆われた空間内に配置されるようにしたことを特徴とする。
【0013】この構成によれば、第2の磁界発生手段を保持する保持部材が挿通させられる開放部を除いた四方がカバーで覆われているため、第2の磁界発生手段を金属物体等の落下物から保護することができる。また、第2磁界発生手段への塵埃の付着を低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。まず、図2は本発明の一実施形態に係る搬送システムを示す。同図に示すように、この搬送システムは、後述するリニア直流モータにより駆動される移動体20と、移動体20を案内する案内レール21とを有している。
【0015】ここで、図3は図2のIII-III線に沿って視た図であり、図2および図3に示すように、移動体本体20aの前後左右の下部から下方に連なる車輪支持部材23に車輪22が取り付けられており、これにより移動体20は案内レール21上を図3中の紙面垂直方向に走行可能になされている。移動体本体20aは、上方が開放した箱状に形成されており、荷物等を収容することが可能となっている。また、移動体本体20aの下部には、L字状のアーム部材(保持部材)24の一端が取り付けられており、アーム部材24の他端は後述する開放部29を挿通させられ、カバー部26に覆われた空間内に配置されている。
【0016】図3に示すように、案内レール21は、非磁性体であるアルミニウムから形成されており、移動体20の車輪22が走行する底板部25と、カバー部26とから構成されている。カバー部26は、底板部25上にその一端が立設された断面逆U字状のカバー部材27と、底板部25におけるカバー部材27の他端に対向する位置に立設されたカバー部材28とから構成されており、これによりカバー部材27とカバー部材28との間には開放部29が形成される。
【0017】カバー部26の図中左側の側壁には、取付部材31aを介して案内レール21の長手方向に沿って給電線(給電手段)31が敷設されており、図示せぬ給電回路から電流が供給されるようになっている。一方、アーム部材24の端部にはE字状の受電コイル32が設けられており、給電線31を覆うように配置されている。この構成の下、給電線31に電流が供給されると、給電線31の周囲に形成される磁界によって受電コイル32に起電力が発生し、この電力が後述する電源回路に供給される。
【0018】また、底板部25の図の中央付近には、案内レール21の長手方向に沿ってマグネット(第2の磁界発生手段)30が配設されている。一方、アーム部材24には、マグネット30と対向する位置に一次コイル(第1の磁界発生手段)33が取り付けられている。一次コイル33は、後述する一次コイル駆動回路から電流が供給されることにより磁界を発生させるものであり、マグネット30とともに移動体20を移動させる推力を発生するリニア直流モータ34を構成している。このリニア直流モータ34により推力が付与された移動体20が案内レール21に沿って走行する。
【0019】図4に示すように、上述したように受電コイル32に発生した起電力は、電源回路43により電圧調整等が行われた後、移動体本体20aに設けられたコントローラ40および一次コイル駆動回路42に供給される。コントローラ40は、外部との通信を行う通信装置41を介して外部から送信される指令情報に基づいて、一次コイル駆動回路42を制御している。ここで、指令情報とは、例えば案内レール21において、移動体20を荷物積載等のために一時停止させる場所などに配置されたバーコードであり、通信装置41がこのバーコードを読み取ることによってコントローラ40が一時停止場所であることを検知するようになっている。
【0020】本実施形態に係る搬送システムでは、工事中などに金属物体等が案内レール21の上方から落下してきた場合にも、カバー部26がマグネット30および給電線31を保護しているため、図1に示す従来のシステムと比較してマグネット30および給電線31の損傷等を低減することができる。
【0021】また、この搬送システムを金属片等の塵埃の多い環境下で使用した場合にも、開放部29以外の部分がカバー部26によって覆われているため、マグネット30および給電線31に金属片等が付着してしまうことを低減できる。従って、マグネット30に金属片等の塵埃が付着することに起因するリニア直流モータ34の誤動作が減少する。
【0022】また、カバー部26は非磁性体であるアルミニウムから形成されているため、給電線31に電流が供給されたときに発生する電磁波の外部への放射を低減できる。
【0023】また、上述したコントローラ40への指令情報であるバーコードをカバー部26の内側に配置しておくことによって、バーコードへの塵埃の付着を低減することができる。従って、通信装置41が塵埃等の付着により汚れたバーコードを誤って読み取ってしまうことに起因する搬送システムの誤動作が減少する。
【0024】なお、上述の実施形態においては、図5に示すような変形が可能である。同図に示すように、この変形例においては、カバー部材27は、底板部25に立設された側壁50と、マグネット30および給電線31の上方を覆う上方カバー51とがボルト52で組み合わされた構造となっている。このように、カバー部26を複数の部材の組立構造とすることにより案内レール21の製造を簡易とすることができる。また、上方カバー51の取り外しが可能であるため、メンテナンス等の作業が簡易となる。
【0025】また、図6に示すように、側壁50の上部を支点として上方カバー51を回動可能に設けるようにしてもよい。この場合、上方カバー51を図中一点鎖線で示す位置に移動させることによりマグネット30および給電線31を露出させてメンテナンス等の作業を行うことができる。
【0026】また、上述の実施形態では、リニア直流モータ34は、移動体20側に一次コイル33を配置する構成となっているが、移動体20側にマグネットを配置し、案内レール21の底板部25上に適当な間隔で一次コイルを配置するようにしてもよい。
【0027】また、上述の実施形態では、移動体20の走行時の姿勢を安定させるためのサスペンション機構等を設けていないが、移動体20に公知のサスペンション機構等を設けるようにしてもよい。また、上述の実施形態に係る案内レール21は、車輪等を用いずに磁力によって移動体を浮上させた状態で走行させる磁気浮上式搬送システムに適用することもできる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、リニアモータを用いた搬送システムにおいて、移動体に推力を付与する第2の磁界発生手段がカバーで覆われた構造となっているため、システムの故障や損傷を低減することができる。
【出願人】 【識別番号】000002059
【氏名又は名称】神鋼電機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 研二
【公開番号】 特開平11−252713
【公開日】 平成11年(1999)9月17日
【出願番号】 特願平10−43793