| 【発明の名称】 |
シリーズ式ハイブリッド電気自動車 |
| 【発明者】 |
【氏名】今井 貞雄
【氏名】堀井 裕介
【氏名】武田 信章
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、シリーズ式ハイブリッド電気自動車に関し、ドライバビリティを極力損なうことなくエンジンのオーバランを確実に防止する。
【解決手段】エンジン17と、エンジン17に駆動される発電機16と、バッテリ15と、バッテリ15又は発電機16からの電力により作動する電動機11と、バッテリ15の電圧を検出する電圧検出手段19と、エンジン制御手段18とをそなえ、電圧検出手段19によりバッテリ15の電圧が所定値以下であることが検出されると、エンジン制御手段18によりエンジン17の回転数が上記一定回転数よりも低い回転数に制御されるように構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通常運転時に略一定回転数で回転するエンジンと、該エンジンにより駆動される発電機と、該発電機により発電された電力を蓄えるバッテリと、該バッテリ又は該発電機から供給される電力により車両の駆動系を駆動する電動機と、該バッテリの電圧を検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段により該バッテリの電圧が所定値以下であることが検出されると、該エンジンの回転数を該一定回転数よりも低い回転数に制御するエンジン制御手段とをそなえていることを特徴とする、シリーズ式ハイブリッド電気自動車。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンと電動機(モータ)とをそなえたハイブリッド電気自動車に関し、特に、エンジンを発電専用に用いる、シリーズ式ハイブリッド電気自動車に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、エンジンと電動機(モータ)とをそなえたいわゆるハイブリッド電気自動車が各種開発されており、一部では既に実用化されている。このようなハイブリッド電気自動車としては、エンジンを発電機の駆動専用に設けたシリーズ式ハイブリッド電気自動車や、エンジンの出力軸と車輪とが機械的に接続されたパラレル式ハイブリッド電気自動車があり、また、これら以外にも、上記パラレル式ハイブリッド電気自動車と上記シリーズ式ハイブリッド電気自動車との両方の特徴を有するようなハイブリッド電気自動車も開発されている。 【0003】また、一般にハイブリッド電気自動車は、走行モードとしてバッテリ走行モードとハイブリッド走行モードとの2つの走行モードをそなえており、車両の負荷やバッテリの蓄電状態等の条件に応じて、これらの2つの走行モードを使い分けるようになっている。ここで、バッテリ走行モードとは、バッテリの残存容量が比較的多い場合に用いられる走行モードであり、エンジンを停止させてバッテリに蓄えられた電力をモータに供給し、モータの駆動力のみで走行する走行モードをいう。 【0004】また、ハイブリッド走行モードとは、バッテリの残存容量が比較的少ない場合に用いられる走行モードであって、エンジンの作動を利用して走行するモードをいう。したがって、シリーズ式ハイブリッド電気自動車では、ハイブリッド走行モードは、エンジンにより発電機を駆動して電力を発生し、この電力をモータに供給することで走行するモードであり、パラレル式ハイブリッド電気自動車では、ハイブリッド走行モードは、エンジンの駆動力をそのまま走行用駆動力として用いるモードとなる。 【0005】さて、図3は上述したようなハイブリッド電気自動車のうち、シリーズ式ハイブリッド電気自動車の要部構成を示す模式図であって、51はモータ、54はインバータ、55はバッテリ、56は発電機、57はエンジンである。そして、このハイブリッド電気自動車では、上述したように、バッテリ走行モード時には発電専用のエンジン57により発電機56が駆動され、この発電機56で発電された電力によりモータ51の駆動及びバッテリ55の充電が行なわれる。また、このときのエンジン回転数は、発電機56の発電効率が最も高くなるような所定回転数に維持される。 【0006】ところで、車両の急加速時や急勾配路の登坂時等、モータ51の負荷が急増した時には、バッテリ55が大電流を放電するためバッテリ55の電圧が著しく低下する。このとき、バッテリ電圧が所定値を下回ると、発電機56の特性上、発電機56の負荷が急激に小さくなり、シリーズ式ハイブリッド電気自動車のハイブリッド走行モードでは、エンジン57がオーバラン(過回転)するおそれがある。なお、このようなバッテリ電圧の低下度合は、バッテリ55の劣化度合に応じたものとなり、バッテリ55の劣化が激しいほど電圧値の低下も大きくなる。 【0007】このようなエンジン57のオーバランについて図を用いて簡単に説明すると、図5は発電機負荷トルクとエンジントルクとの関係を示す図であって、横軸はエンジン回転数及び発電機回転数、縦軸は発電機56の負荷トルクである。また、図中、線aはバッテリ電圧が通常の電圧値(約350V)のときの特性線、線bはバッテリ電圧が低下したとき(約280V)のときの特性線、線cは発電時のエンジントルクの特性線である。 【0008】まず、急発進時について説明すると、急発進時には、バッテリ電圧が通常の出力電圧(約350V)から低下して(約280V)、発電機56の負荷トルクは線b上を移動する。ここで、エンジン57及び発電機56が目標回転数まで上昇する際、B点までは発電機56の負荷トルク特性がエンジン57のトルク特性と同様に右上がりの特性となっているためエンジン回転数は緩やかに上昇する。 【0009】しかしながら、エンジン回転数(及び発電機回転数)がB点を越えると、発電機56の特性は右下がりとなり、一方、エンジン57のトルク特性は右上がりの特性のままであるため、相対的に発電機56の負荷が減少してエンジン回転数が急上昇してしまうのである。次に、ハイブリッド走行モード時に定常走行状態から急加速した場合について説明する。まず、定常走行時は、エンジン回転数が目標回転数に略一定に保持され、通常の出力電圧(約350V)で運転が行なわれる(図中A点)。このとき、車両を急加速させると、バッテリ電圧が低下(約280V)して(図中C点)、発電機56の負荷トルクが急激に減少するため、やはりエンジン回転数が急上昇してしまうのである。 【0010】そこで、従来では、このようなエンジン57のオーバランを防止すべく、シリーズ式ハイブリッド電気自動車のハイブリッド走行モード時に、バッテリ電圧が所定値以下になるとモータ51の出力トルクを抑制するような制御が行なわれていた。そして、モータ51の出力トルクを抑制することで、バッテリ電圧の急低下を防止し、エンジン57のオーバランを防止するようにしていた。 【0011】図4は上述のような従来の技術を簡単に説明するためのフローチャートである。まず、シリーズ式ハイブリッド電気自動車のハイブリッド走行モード時において、ステップS101でバッテリ55の電圧値が所定値以下まで低下したか否かが判定される。そして、電圧値が所定値以下であれば、ステップS102に進みモータ51のトルク抑制制御が行なわれる。なお、このようなトルク抑制制御は、モータ51に供給される電力を制限することで行なわれる。また、電圧値が所定値より大きければ、トルク抑制制御は実行されない。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の技術では、モータの出力を直接抑制してしまうため車両の動力性能が著しく低下するという課題があった。特に、電圧低下が生じるのは、車両の急加速時や急勾配路の登坂時等、ドライバが出力を要求している時であり、このような場合にモータの出力を抑制するとドライバビリティが損なわれてしまうという課題もあった。 【0013】なお、特開平6−225403号公報には、車両負荷に応じて発電機の出力を変更するようにした技術が開示されている。すなわち、この技術では、車両負荷が所定値以上であれば発電機の出力が高レベルに制御され、車両負荷が所定値未満であれば所定の低レベルに制御されるのである。しかしながら、この技術は、パラレル式ハイブリッド電気自動車に対して適用される技術であり、シリーズ式ハイブリッド電気自動車への適用は困難である。また、上記の技術では、車両負荷が所定値以上となると発電機の出力を高めるべくエンジン回転数を上昇させるので、シリーズ式ハイブリッド電気自動車へこの技術を適用しようとすると、エンジンのオーバランを助長するような制御となってしまうという課題がある。 【0014】本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、ドライバビリティを極力損なうことなくエンジンのオーバランを確実に防止するようにした、シリーズ式ハイブリッド電気自動車を提供することを目的とする。 【0015】 【課題を解決するための手段】本発明のシリーズ式ハイブリッド電気自動車では、通常時には、エンジンは発電機の発電効率が最も高くなるような略一定の回転数で回転し、発電機で発電された電力がバッテリに供給される。また、電動機は、バッテリに供給された電力や発電機から直接供給される電力により作動して、これにより車両の駆動系が駆動される。 【0016】そして、電圧検出手段によりバッテリの電圧が所定値以下であることが検出されると、エンジン制御手段によりエンジンの回転数が通常の回転数よりも低い回転数に制御され、エンジンのオーバランが抑制される。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の一実施形態としてのシリーズ式ハイブリッド電気自動車について説明すると、図1はその要部機能を示す模式的な機能ブロック図、図2はその動作を説明するためのフローチャートである。まず、図1を用いてシリーズ式ハイブリッド電気自動車の要部構成について説明すると、図中11はモータ(原動機)、13は車輪、14はインバータ、15はバッテリ、16は発電機、17はエンジンである。 【0018】また、このハイブリッド電気自動車は、シリーズ式ハイブリッド電気自動車として構成されており、エンジン17は、主に、発電機16を駆動して電力をバッテリ15に供給するために設けられている。すなわち、車両はモータ(電動機)11の回転駆動力により走行するように構成されている。また、このモータ11にはインバータ14を介してバッテリ15や発電機16が電気的に接続されており、モータ11の出力軸には駆動輪13,13が連結されている。 【0019】さらに、インバータ14,発電機16及びエンジン17は、エンジン制御手段としてのコントローラ18に接続されており、このコントローラ18によりインバータ14,発電機16及びエンジン17の作動がそれぞれ制御されるようになっている。また、バッテリ15には、バッテリ15の電力残存容量を検出しうる充電容量センサ19が付設されており、この充電容量センサ19も図示するようにコントローラ18に接続されている。 【0020】そして、コントローラ18では、充電容量センサ19からの検出信号やその他の図示しないセンサ類からの検出信号に基づいて、車両の走行モードをバッテリ走行モードとハイブリット走行モードとのいずれか一方に切り替えるようになっている。すなわち、充電容量センサ19によりバッテリ15に蓄電された電力の残存容量が所定値以上であることが検出された場合には、コントローラ18はエンジン17及び発電機16の作動を停止させて、バッテリ15に蓄えられた電力によりモータ11を駆動するようになっている(バッテリ走行モード)。 【0021】また、バッテリ15に蓄電された電力の残存容量が低下して、残存容量が所定値以下であることが検出されると、コントローラ18はエンジン17を作動させる。そして、エンジン17により発電機16を作動させて、この発電機16により得られた電力をバッテリ15に蓄電するとともに、この電力をインバータ14を介してモータ11に供給するようになっているのである(ハイブリット走行モード)。 【0022】なお、このハイブリッド走行モード時には、エンジン回転数はコントローラ18により略一定の回転数に制御されるようになっている。ここで、この一定の回転数とは、発電機16の効率が最も高くなるような回転数である。そして、ハイブリッド走行モード時には、例えばコントローラ18によりスロットル開度が目標スロットル開度に制御され、エンジン17の回転数が目標回転数(上記の一定回転数)を維持するようにこのスロットル開度がフィードバック制御されるようになっている。 【0023】ところで、バッテリ15に付設された充電容量センサ19は、電力の残存容量以外にも、バッテリ15の電圧値を検出するようになっている。すなわち、充電容量センサ19はバッテリ電圧センサ(電圧検出手段)としての機能を兼ね備えている。そして、本発明のシリーズ式ハイブリッド電気自動車では、ハイブリッド走行モード時に、バッテリ電圧センサ19によりバッテリ15の電圧値が所定値以下であることが検出されると、コントローラ18によりエンジン17の回転数が通常の回転数(上記の一定回転数)よりも低い所定回転数に制御されるようになっている。 【0024】なお、このような制御を行なうのは、主に以下の理由によるものである。つまり、急加速時や急勾配の登坂路の走行時等、モータ11の負荷が急増した時には、バッテリ15が大電流を放電するためバッテリ15の電圧が著しく低下する。このとき、バッテリ電圧が所定値を下回ると、ハイブリッド走行モードであれば発電機16の負荷が急に小さくなり、これによりエンジン17がオーバランするおそれがある。 【0025】そこで、本発明のシリーズ式ハイブリッド電気自動車では、上述したように、ハイブリッド走行モード時にバッテリ15の電圧値が所定値以下であることが検出されると、エンジン17の回転数を低下させ、これによりエンジン17のオーバランを防止するようになっているのである。この場合、具体的には、発電機16の励磁電流はオンのままにしておき、エンジン17を強制的にアイドル回転数まで低下させるのである。 【0026】このような場合には、エンジン17がアイドル運転状態となるため発電機16による発電が中止されることになるが、このときにはバッテリ15に蓄えられた電力によりモータ11が駆動されるので、ドライバビリティを損なうこともない。また、急加速等が終了してモータ11の負荷が軽減されると、バッテリ15の電圧値は再び上昇してもとの値近傍に復帰するので、このような場合には、エンジン17の回転数を再び上昇させて発電を再開するようになっている。 【0027】また、上述のようなモータ11への負荷が急増するような運転状態は、一時的であることが多く、したがって、エンジン17をアイドル運転状態として発電を中止しても、バッテリ15に蓄えられた電力で十分にモータ11を駆動することができるのである。本発明の一実施形態としてのシリーズ式ハイブリッド電気自動車は、上述のように構成されているので、その動作の一例を図2に示すフローチャートにしたがって説明すると、以下のようになる。 【0028】まず、ハイブリッド走行モード時において、ステップS1においてバッテリ15の電圧が所定値以下まで低下したか否かが判定される。このとき、バッテリ電圧が所定値より大きければ、ステップS2に進み、エンジン17の運転状態を通常の発電運転状態に制御する。また、ステップS1においてバッテリ電圧が所定値以下であることが判定されると、ステップS3に進んでエンジン17を強制的にアイドル運転状態に制御してリターンする。そして、再びステップS1でバッテリ電圧が所定値より大きくなったことが判定されるまで、このアイドル運転を続行するのである。 【0029】このように、本発明のシリーズ式ハイブリッド電気自動車によれば、上述のような簡素な構成で、車両の動力性能に影響を与えることなく、エンジン17のオーバランを確実に防止することができるという利点がある。これにより、ドライバビリティの悪化を招くこともなく、ドライバが違和感を感じることもない。また、本発明によれば、新たな部品等を追加することなく、コントローラ18の制御ソフトを変更するだけで、エンジン17のオーバランを防止することができるので、コストの増加や重量の増加を招くこともないという利点がある。 【0030】なお、本発明のシリーズ式ハイブリッド電気自動車は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、バッテリ15の電圧が所定値以下であることが検出されるとエンジン17の回転数をアイドル回転数に制御するように構成されているが、このときのエンジン回転数はアイドル回転数に限定されるものではなく、発電機16の発電を中止するようなエンジン回転数であればよい。 【0031】また、本実施形態では、バッテリ15の電圧値が所定値以下であるか否かを判定するようになっているが、バッテリ電圧値自体ではなく、電圧の低下率(単位時間あたりの電圧低下量)を検出するようにして、この電圧の低下率が所定の低下率を越えた場合に、エンジン回転数制御を行なうようにしてもよい。 【0032】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明のシリーズ式ハイブリッド電気自動車電によれば、電圧検出手段によりバッテリの電圧が所定値以下であることが検出されると、エンジン制御手段によりエンジンの回転数が通常の回転数よりも低い回転数に制御されるので、ドライバビリティの悪化を招くことなくエンジンのオーバランを確実に防止することができるという利点がある。また、本発明によれば、新たな部品等を追加する必要もなく、制御ソフトを変更するだけで良いので、コストの増加や重量の増加を招くこともないという利点がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006286 【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月6日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】真田 有
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| 【公開番号】 |
特開平11−252709 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月17日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−55447 |
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