トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 電気自動車用ブレーカ装置
【発明者】 【氏名】宮崎 正

【氏名】紀平 宗二

【要約】 【課題】ジャンクションボックスの小型化に寄与できると共に、ジャンクションボックスへの組み付けを容易にすることが可能な電気自動車用ブレーカ装置を提供する。

【解決手段】ブレーカ装置10のケース11の内部には、一対の電極ユニット12,12が設けられ、各電極ユニット12が電流値測定用のコイル29に挿通されている。そして、ブレーカ装置10は、ジャンクションボックス15に収容され、蓄電装置14から駆動モータへの電力の供給をスイッチ操作可能とすると共に、コイル29によって各電極ユニット12の電流値を測定し、これに基づいて制御装置によって漏電を検出することができるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁体よりなるケースに、電気自動車に備えられた蓄電装置の一対の電極に連ねることが可能な一対の導通路を設け、各導通路の途中に設けた固定電極と可動電極とのスイッチ操作に基づいて切離可能とした電気自動車用ブレーカ装置において、両導通路の電流値の差を測定するための電流値測定手段を、前記ケースに設けたことを特徴とする電気自動車用ブレーカ装置。
【請求項2】 前記電流値測定手段が一対のコイルで構成され、そのコイルの内側に、前記固定電極に連絡されたバスバーが貫通していることを特徴とする請求項1記載の電気自動車用ブレーカ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車用ブレーカ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車充電用ブレーカ装置には、例えば、図10に示したブレーカ装置1にように、電気自動車のバッテリー2に連なる安全対策用のジャンクションボックス3に収容されて用いられるものが知られている。ジャンクションボックス3には、一対の導通路4,4が並行して延びており、各導通路4の一端がバッテリー2の各電極2A,2Aに接続されると共に、他端が走行用駆動モータ等の各種電気機器に接続されている。各導通路4には、バッテリー2側からヒューズ5、リレー6、ブレーカ装置1が順に連ねられ、リレー6とブレーカ装置1とを連絡するケーブル1Aが電流値測定用のコイル7に挿通された構成となっている。そして、両導通路4,4の電流値の差をコイル7,7で測定し、それが所定値以上となったときに、漏電が生じたものと認識してリレー6をオフにする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したブレーカ装置を用いると、ジャンクションボックス3に、コイル7を固定するためのスペースをリレー6とブレーカ装置1との間に確保しなければならなかったので、ジャンクションボックス3全体が大きくなってしまうという問題があった。また、コイル7にケーブル1Aを挿通させて組み付けなければならず、作業性が悪いという問題があった。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ジャンクションボックスの小型化に寄与できると共に、ジャンクションボックスへの組み付けを容易にすることが可能な電気自動車用ブレーカ装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、絶縁体よりなるケースに、電気自動車に備えられた蓄電装置の一対の電極に連ねることが可能な一対の導通路を設け、各導通路の途中に設けた固定電極と可動電極とのスイッチ操作に基づいて切離可能とした電気自動車用ブレーカ装置において、両導通路の電流値の差を測定するための電流値測定手段を、ケースに設けたところに特徴を有する。
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1記載の電気自動車用ブレーカ装置において、電流値測定手段が一対のコイルで構成され、そのコイルの内側に、固定電極に連絡されたバスバーが貫通しているところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用及び効果】請求項1の構成によれば、電気自動車用ブレーカ装置によれば、電気自動車の蓄電装置とそれに連なる各種電気機器との間に、本発明の電気自動車用ブレーカ装置をセットするだけで、固定電極と可動電極との切離によって蓄電装置から各電気機器への電力の供給をスイッチ操作できると共に、電流値測定手段によって蓄電装置の電極に連なる両導通路の電流値の差を測定できる。
【0008】請求項2の構成によれば、電気自動車の各種電気機器を駆動させると蓄電装置から一対の導通路に流れる電流値が変化し、これに伴い両コイルに誘導起電力が生じる。そして、漏電があった場合には、両導通路の電流値に差が生じるから、その差が両コイルの誘導起電力に反映される。
【0009】
【発明の実施の形態】<第1実施形態>【0010】以下、本発明を具体化した第1実施形態について図1〜図8を参照して説明する。本実施形態の電気自動車用ブレーカ装置10(以下、「ブレーカ装置10」という)は、合成樹脂製のケース11内に収容された一対の電極ユニット12,12(図4参照)をレバー13の回動操作で接離可能としたものであって、電気自動車において例えば蓄電装置14と走行用駆動モータ(図示せず)とを繋ぐジャンクションボックス15内に収容されている。
【0011】図2に示すように、ケース11は、上面が開放された箱形のケース本体20の上面にパネル21を備えた構成となっている。そして、ケース本体20の四隅部に設けた取り付け脚部22を介して電気自動車のジャンクションボックス15内に固定される。
【0012】ケース本体20内は、図2及び図3に示すように、2枚の仕切壁20A,20Aによって幅方向に3室23A,23B,23Bに区分され、その中央室23Aには、一対の電極ユニット12,12(図4参照)が並行状態に配置されており、この中央室23Aの上面開放部が、前記パネル21によって閉塞されている(図2及び図3参照)。
【0013】各電極ユニット12は、図5に示すように、一対の固定電極25,26と、その外周に摺動可能に嵌装される可動電極27とを備えている。各固定電極25,26は丸棒状に形成されており、同図の右側の固定電極25が左側の固定電極26に比べて全長が長く形成されている。両固定電極25,26は、その互いに対向する先端面の中心に取付孔25A,26Aが穿設され、その内部に合成樹脂からなる非導電性の連結棒28の両端が圧入されて所定寸法を開けた絶縁状態で同一軸線上に一体化されている。また、長い方の固定電極25には、その途中部分にフランジ状のストッパ25Bが備えられ、それよりも先端側(図5の左側)で可動電極27がスライドし、そのストッパ25Bよりも基端側が後述の電流値測定用のコイル29に挿通されている。
【0014】一方、可動電極27は、図4に示すように、両電極ユニット12の固定電極25,26に嵌合可能な一対の筒体27A,27A同士を、これらの外面を覆う合成樹脂製の連結体33によって一体的に連結した構成となっている。筒体27Aの内周面には、図5に示すように、ルーバ接点32が装着されており、これが固定電極25,26との間で押しつぶされて、筒体27Aと各固定電極25,26とが電気接続される。
【0015】可動電極27には、連結体33の側部から仕切壁20Aの外側室23B,23B(図3参照)に向けてエンボス状の連結軸(図示せず)が突出形成されており、これが後述のレバー13に連結されている。また、可動電極27とケース本体20の一端部との間には、図3、図7及び図8に示すように、引っ張りコイルバネ35が差し渡されており、可動電極27を長い方の固定電極25側に付勢している。さらに、パネル21には、図7に示すように、可動電極27に係合して、その可動電極27を両固定電極25,26間を導通させた状態に保持するためのロックアーム36が備えられている。また、ロックアーム36の一部36Aは、パネル21の上面に露出しており、そこを押すとロックアーム36と可動電極27との係合が解除されるようになっている。
【0016】各電極ユニット12には、図5に示すように、前記両固定電極25,26の後端面から後方に取付板25C,26Cが延設され、この取付板25C,26Cが次述のバスバー40,40と共に、ケース本体20の両端部にインサート成形したナットNとボルトBとによって固定されている。バスバー40は、金属板の中間部を絶縁カバー40Aで覆って、そのカバー40Aから露出させた金属板の両端部に取付孔40B,40Bを貫通形成した構成となっており、一端がケース本体20から外方に延出されている。そして、バスバー40と前記電極ユニット12とによって本ブレーカ装置10の一対の導通路41,41(図4参照)が構成されている。
【0017】レバー13は、合成樹脂により形成されており、図2に示すように、一対のアーム片31,31の上端部の間にハンドル部31Aを差し渡した全体として門形状をなす。このレバー13は、上記した電極ユニット12のうち図5の左寄り部分を跨ぐようにしてそのアーム片31先端がケース本体20のうち仕切壁20Aの外側室23B(図2参照)に差し込まれ、ケース本体20に固定した回動軸34を中心として回動可能となっている。また、アーム片31,31の中間には長孔(図示せず)が形成され、ここに上記した可動電極27の連結軸が嵌合されてレバー13の回動操作を可動電極27のスライド移動に変換可能としている。これにより、レバー13を図5の左側の回動端に位置させると(図5より更にレバー13は左側に倒れる)、可動電極27が固定電極25,26間に跨って両固定電極25,26間が導通されてブレーカ装置10がオン状態となり、レバー13を図5の右側の回動端に位置させると、図6に示す通り可動電極27は固定電極25側に位置して両固定電極25,26間が非導通となって、ブレーカ装置10がオフ状態となる。
【0018】さて、ケース本体20のうち図5における右寄りには、コイル収容室42が設けられており、ここに一対の電流値測定用のコイル29が収容されている。そして、各コイル29の軸孔には、図4に示すように、各電極ユニット12の固定電極25が挿通され、コイル29の出力ケーブル29Aは、図示しない制御装置に接続される。
【0019】次に、本実施形態の作用について述べる。本実施形態のブレーカ装置10を、図1に示すように、電気自動車のジャンクションボックス15に組み付けるには、以下のようである。まず、ブレーカ装置10のケース本体20の四隅部に設けた取り付け脚部22にボルトB2を通し、ジャンクションボックス15の底板の一端寄りに固定する。次いで、ブレーカ装置10のうち同図における手前側の一対のバスバー40,40にケーブルを接続し、各ケーブルでリレー50とヒューズ51とを直列接続すると共に、このケーブルをジャンクションボックス15から外に延出して蓄電装置14の電極14A,14Aに接続する。また、ブレーカ装置10の他端側のバスバー40,40に、走行用駆動モータから延びたハーネスを接続する。さらに、コイル29の出力ケーブル29Aを図示しない制御装置に接続し、その制御装置の出力ケーブルをリレー50に接続して組み付け作業が完了する。ここで、本実施形態のブレーカ装置10では、電流値測定用のコイル29を内蔵しているから、従来のブレーカ装置で必要であった電流値測定用のコイルにケーブルを挿通させる作業及びそのコイルをジャンクションボックスに取り付ける作業が不要となる。また、本ブレーカ装置10では、リレー50とブレーカ装置10との間に電流値測定用のコイルを配置するためのスペースを確保しなくてもよくなったから(従来のものでは確保する必要があった。図10参照)、ジャンクションボックス15全体が小さくなる。
【0020】さて、ジャンクションボックス15のリレー50及びブレーカ装置10は、通常はオン状態にしておく。ブレーカ装置10をオン状態にするためには、レバー13を図5の左側に倒す。すると、可動電極27が固定電極25,26間に跨ってブレーカ装置10が導通状態となる。このとき、パネル21に備えたロックアーム36が、図7に示すように可動電極27に係合して、ブレーカ装置10がオン状態に保持される。
【0021】この状態で、電気自動車を運転するとブレーカ装置10の一対の導通路41,41(図4参照)を経て走行用駆動モータに直流電流が流れる。そして、電気自動車のアクセルが踏み込み具合が変わる度に、導通路41,41に流れる直流電流の値が変化し、これに伴って両コイル29,29に誘導起電力が生じ、これが出力ケーブル29Aを介して図示しない制御装置に入力される。ここで、駆動モータまでのハーネス等で漏電があった場合には、両導通路41,41の電流値に差が生じ、その差が両コイル29,29の誘導起電力に反映される。そして、この誘導起電力の差が制御装置に取り込まれて所定の設定値以上になったと認識されると、リレー50が開状態に切り替わり、電力の供給を絶って危険を回避する。
【0022】一方、電気自動車を修理等する際のには、安全のためにブレーカ装置10をオフ状態にする。ブレーカ装置10をオフ状態にするためには、ロックアーム36のうちパネル21の上面に露出した部分36A(図2参照)を押して、可動電極27との係合を解除し、レバー13を図5の右側に倒す。すると、可動電極27が一方の固定電極26から離れて他方の固定電極25側に位置し、両固定電極25,26間が非導通状態となって電流が流れなくなる(図6参照)。これにより、安心して電気自動車の修理等を行える。なお、ヒューズ51は、電流値の差に関係なく過電流が流れたときにジャンクションボックス15内で電流を遮断する。
【0023】このように本実施形態のブレーカ装置10によれば、蓄電装置14から走行用駆動モータへの電力の供給をスイッチ操作できると共に、蓄電装置14の電極14Aに連なる両導通路41,41の電流値の差を電流値測定用のコイル29によって測定することができる。従って、本ブレーカ装置10では、電流値測定手段を備えない従来のブレーカ装置に比べて、取り付け作業が容易でかつジャンクションボックス15の小型化が可能となる。
【0024】<第2実施形態>第2実施形態のブレーカ装置63は、図9に模式的に示されており、導通路41のうちバスバー61をコイル29に挿通させた点が、前記第1実施形態と異なっている。
【0025】本実施形態の電極ユニット60は、第1実施形態の電極ユニット12の固定電極25のうち図5におけるストッパ部25Bより後方(図5における右側)を、直に同図に示した取付板25Cとしたもので、その他は第1実施形態の電極ユニット12と同じ構成となっている。そして、両電極ユニット60の両端部が、図9に示すように、バスバー61,62と共にケース11にボルトBによって固定されている。図9の左側のバスバー61は、その大部分がケース11の内部に収容されて一端のみがケース11から延出されている。そして、このバスバー61がケース11内に収容された電流値測定用のコイル29に挿通されている。その他の構成に関しては、第1実施形態と同じであり、重複説明は省略する。
【0026】本実施形態のような構成とすると、第1実施形態と同様の効果に加え、従来のブレーカ装置に使用されていた電極ユニットを利用できる。また、そもそもブレーカ装置には相手側に接続するためのバスバーが本来的に備えられており、本ブレーカ装置60では、そのバスバー61をコイル29に挿通させてあるから、ブレーカ装置10の構成を複雑化せずにコイル29を内蔵することができる。
【0027】<他の実施形態>本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0028】(1)前記実施形態の電流値測定手段は、コイル29によって構成されていたが、その他に、例えば、熱電電流計、熱線電流計等であってもよい。
【0029】(2)前記実施形態では、走行用駆動モータに電力を供給する回路の途中にブレーカ装置10を組み込んだ例を示したが、例えば、パワーウィンド、パワーシート等に電力を供給する回路の途中にブレーカ装置10を組み込んでもよい。
【出願人】 【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社ハーネス総合技術研究所
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】後呂 和男 (外1名)
【公開番号】 特開平11−252703
【公開日】 平成11年(1999)9月17日
【出願番号】 特願平10−47920