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【発明の名称】 電気車の回生制御方法
【発明者】 【氏名】刀谷 郁也

【要約】 【課題】回生コンタクタのアークを防止する。

【解決手段】力行、回生可能な走行回路を具える電気車の回生制御方法である。直流モータに電力を供給するに先立ち、回生コンタクタを閉じかつ方向指示器の指示に従って前進又は後進コンタクタのいずれか一方を閉じた状態で、オン巾の小さい小パルスで前記主スイッチング部を複数回導通させる回生力行判別導通処理を行う。回生力行判別導通処理後に直流モータのアマチュア電流Ia又はプラギング電流Ipを検出し、この検出値と予め定めた回生可能基準電流値Idとに基づいて回生の可否を判別する回生可否判別処理を行う。回生可否判別処理により回生可能と判断したときに回生力行判別導通処理からアマチュア電流が十分に小さな値になるまでの微小時間t1を経過した後に前記回生コンタクタの接点を開く回生コンタクタ遅延離脱処理を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】バッテリと、走行用の直流モータと、この直流モータと前記バッテリとの間に設けられかつ導通により該直流モータに前記バッテリからの電力を供給しうるスイッチング部と、前記直流モータのフィールドコイルの励磁極性を切り換えしうる前進及び後進コンタクタと、前記直流モータの回転速度を調節しうるアクセルと、前記フィールドコイルの励磁極性を指示する方向指示器と、前記直流モータのアマチュアと前記バッテリとの間に設けられかつ直流モータに電力を供給する力行運転から回生制動への切り換えに際して離脱する接点を具える回生コンタクタとを含む力行、回生可能な走行回路を具える電気車の回生制御方法であって、前記直流モータに電力を供給するに先立ち、前記回生コンタクタを閉じかつ前記方向指示器の指示に従って前進又は後進コンタクタのいずれか一方を閉じた状態で、オン巾の小さい小パルスで前記スイッチング部を導通させる回生力行判別導通処理と、この回生力行判別導通処理後に前記直流モータのアマチュア電流Ia又はプラギング電流Ipを検出し、この検出値と予め定めた回生可能基準電流値Idとに基づいて回生の可否を判別する回生可否判別処理と、前記回生可否判別処理により回生可能と判断したときに、前記回生力行判別導通処理からアマチュア電流が十分に低下するまでの微小時間t1を経過した後に前記回生コンタクタの接点を開く回生コンタクタ遅延離脱処理とを行うことを特徴とする電気車の回生制御方法。
【請求項2】前記回生可否判別処理により回生不能と判断したときに、直ちに力行制御を行うことを特徴とする請求項1記載の電気車の回生制御方法。
【請求項3】前記小パルスのオン巾は、調節具により調節自在かつ電気車のキースイッチがオフされた場合でも記憶動作可能な記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1又は2記載の電気車の回生制御方法。
【請求項4】前記微小時間t1は、20〜80ミリ秒であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1記載の電気車の回生制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばバッテリ式フォークリフトなどの電気車に好適に用いうる回生制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図5には、従来のバッテリ式フォークリフトの走行回路cを例示している。図において、走行回路cは、バッテリBAと、走行用の直流モータ4と、この直流モータ4と前記バッテリBAとの間に設けられかつ導通により該直流モータ4にバッテリBAからの電力を供給しうるスイッチング部CH1とを具えている。
【0003】前記直流モータ4は、常閉の接点を有する回生用コンタクタMG、ヒューズHなどを介してバッテリBAの+側に接続するアーマチュア4Aと、前進コンタクタMFと後進コンタクタMRとの間に介在するフィールドコイル4Bとからなる直巻式のモータであり、図示しないモータ軸を駆動輪に連係している。
【0004】また前進コンタクタMFと後進コンタクタMRとは、通常走行時においては運転席などに配される方向指示器(図示せず)の正転、逆転指示により接点f又はrに開閉動作し、前記フィールドコイル4Bの励磁極性を切り換えしうる。また前、後進コンタクタMF、MRは、前記スイッチング部CH1を介して前記バッテリBAの−側へと接続される。
【0005】また前記回生用コンタクタMGと前記バッテリBAとを結ぶ第1のラインL1と、前記アマチュア4Aと前、後進コンタクタMF、MRとを結ぶ第2のラインL2とは、回生時の回生抵抗R及び予備励磁用のスイッチング部CH2を直列に配した第3のラインL3により接続される他、アマチュア用のプラギングダイオードD2を介して接続される。
【0006】さらに前進、後進コンタクタMF、MRと前記スイッチング部CH1との間を結ぶ第4のラインL4と前記第1のラインL1とは、第1の回生ダイオードD1を介して接続されている。また、前記スイッチング部CH1とバッテリBAのマイナス端子とを結ぶ第5のラインL5と前記第1のラインL1とは、第2の回生用ダイオードD3を介して接続されている。
【0007】なお前記第2のラインL2には、前記直流モータ4のアマチュア電流Ia及びフィールド電流Ifを検出しうる電流検出器STa、STfがそれぞれ設けられるとともに、前記プラギングダイオードに流れるプラギング電流Ipを検知しうる電流検出器STpなどが設けられている。
【0008】そして、フォークリフトの例えば前進力行運転時では、前進コンタクタMF、回生コンタクタMGの接点をそれぞれ図5のfの位置に切り換えた後、スイッチング部CH1を図示しないアクセルの操作量に応じてチョッパ導通する。これにより、バッテリBAの+側からヒューズH、回生コンタクタMG、アマチュア4A、後進コンタクタMRの接点f、フィールドコイル4B、前進コンタクタMFの接点f、スイッチング部CH1、バッテリBAの−側へと電流が流れアマチュア4Aが正転する。
【0009】ところで、フォークリフトは、直流モータ4の発進時や逆転駆動させる場合には、先ず回生制動が可能であるか否かの判断を行った上で、回生可能なら回生制動を行いバッテリに電流を帰還させバッテリの消耗を防止するとともに、回生不能の場合、又は回生制動実行中からもはや回生できなくなった場合には、力行又はプラギングを行うようになっている。
【0010】例えば前進力行運転中から、逆転制動がなされた場合、回生制動が可能であるときには、図6に示すように、回生コンタクタMGの接点を開き、また前進コンタクタMF、後進コンタクタMRの接点を方向指示器の示す向き、すなわち逆転側(接点r)に切り換えて、スイッチング部CH2を微小時間導通する予備励磁が行われる。
【0011】この予備励磁により、フィールドコイル4Bには、図6に示すように前記アマチュア4Aの回転方向と逆方向の励磁極性となる予備励磁電流I1が流れ、この励磁極性と逆方向に回転し続けるアマチュア4Aには起電力Vが発生する。またこの起電力Vが、一定電圧まで増大すると、前記電流I1に加えて、電流I2が流れ始める。
【0012】前記電流I2は、前記第2の回生用ダイオードD3を通って前記第1のラインL1に向けて流れるとともに、この電流I2が一定の値まで増大すると、回生用のスイッチング部CH2の導通を強制的に遮断する。この回生用のスイッチング部CH2のオフにより、バッテリBAからの電流は遮断されるが、前記電流I2は、第2の回生用ダイオードD3、アーマチュア4A、電流検出器STa、STf、前進コンタクタMF、フィールドコイル4B、後進コンタクタMR、スイッチング部CH1、第2の回生用ダイオードD3という向きで依然として流れ続けようとする。
【0013】この状態で、スイッチング部CH1の導通を遮断すると、図7に矢印で示すように、前記第2の回生用ダイオードD3、アーマチュア4A、電流検出器STa、STf、前進コンタクタMF、フィールドコイル4B、後進コンタクタMR、第1の回生用ダイオードD1、第1のラインL1、バッテリBAの+側、バッテリBAの−側、第5のラインL5、第2の回生用ダイオードD3という向きで回生電流I3が流れる。
【0014】このように直流モータ4にて発電された電力がバッテリBAへと回生されることにより、バッテリBAが充電され、省エネ効果を発揮するとともに直流モータ4は回生電流I3の2乗に比例した回生制動トルクTにより制動がかかる。
【0015】ところで、方向指示器が中立状態から操作された場合、又は逆転制動操作の場合には、回生制動が可能か否かを判断しなければならない。従来、このためにアマチュア4Aの回転数などを検知しうる回転数センサなどを別途設ける方法があるが、この種のセンサは高価であるため、フォークリフトの車両価格が高くなるという問題がある。
【0016】そこで、近年では、回生コンタクタMGを閉じるとともに方向指示器にしたがって前、後進コンタクタMF、MRを所定の接点に切り換えした後、図8に示すように、オン巾の小さい小パルスでスイッチング部CH1を複数回導通するとともに、この導通後(例えば時間tc)、アマチュア4Aに発生するプラギング電流Ipを前記電流検出器STpにより検知し、このプラギング電流Ipが予め定めた基準値Idを上回るときには回生可能と判断して回生制動を行うとともに、プラギング電流値が予め定めた基準値を下回るときには回生不能と判断してプラギング制動を行うようにしている。
【0017】また、回生可能と判断された場合には、直ちに(例えば図8で時間teで)回生コンタクタ離脱信号を出力し、その約14ミリ秒後(時間tf)に回生コンタクタの接点が離脱するようになっていた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のように回生可能と判断された場合、直ちに回生コンタクタ離脱信号を出力して回生コンタクタMGの接点を離脱させると、該接点に流れている電流が十分に低下していないため、該回生コンタクタMGの接点でアークが発生してしまい、接点の損傷や溶着などの不具合が生じ、回生コンタクタの寿命を著しく低下させるという問題があった。
【0019】本発明は、以上のような問題点に鑑み案出されたもので、コンタクタを離脱させるタイミングを規制することを基本として、回線コンタクタの接点の長寿命化を図りうる電気車の回生制御方法を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記載の発明は、バッテリと、走行用の直流モータと、この直流モータと前記バッテリとの間に設けられかつ導通により該直流モータに前記バッテリからの電力を供給しうるスイッチング部と、前記直流モータのフィールドコイルの励磁極性を切り換えしうる前進及び後進コンタクタと、前記直流モータの回転速度を調節しうるアクセルと、前記フィールドコイルの励磁極性を指示する方向指示器と、前記直流モータのアマチュアと前記バッテリとの間に設けられかつ直流モータに電力を供給する力行運転から回生制動への切り換えに際して離脱する接点を具える回生コンタクタとを含む力行、回生可能な走行回路を具える電気車の回生制御方法であって、前記直流モータに電力を供給するに先立ち、前記回生コンタクタを閉じかつ前記方向指示器の指示に従って前進又は後進コンタクタのいずれか一方を閉じた状態で、オン巾の小さい小パルスで前記スイッチング部を導通させる回生力行判別導通処理と、この回生力行判別導通処理後に前記直流モータのアマチュア電流Ia又はプラギング電流Ipを検出し、この検出値と予め定めた回生可能基準電流値Idとに基づいて回生の可否を判別する回生可否判別処理と、前記回生可否判別処理により回生可能と判断したときに、前記回生力行判別導通処理からアマチュア電流が十分に低下するまでの微小時間t1を経過した後に前記回生コンタクタの接点を開く回生コンタクタ遅延離脱処理とを行うことを特徴としている。
【0021】ここで、「アマチュア電流が十分に低下する」とは、回生コンタクタの接点を開いたときに該接点間に該接点を損傷させるアークが発生しない程度に低下することをいい、アマチュア電流が完全に流れなくなる状態をも含む。
【0022】また請求項2記載の発明は、前記回生可否判別処理により回生不能と判断したときに、直ちに力行制御を行うことを特徴とする請求項1記載の電気車の回生制御方法である。
【0023】また請求項3記載の発明は、前記小パルスのオン巾は、調節具により調節自在かつ電気車のキースイッチがオフされた場合でも記憶動作可能な記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1又は2記載の電気車の回生制御方法である。
【0024】また請求項4記載の発明は、前記微小時間t1は、20〜80ミリ秒であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1記載の電気車の回生制御方法である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を、電気車にバッテリ式のフォークリフトを採用した場合を例にとり図面に基づいて詳述する。図1には、フォークリフトの走行回路Cを示しており、従来技術で説明したのと同一のものについては同一の符号を付しここでの説明は省略する。図1に示す例においては、従来の走行回路と比べ、プラギング電流を検出する電流検出器STpが設けられていない点において相違しており、その他の点は同一である。
【0026】図2には、本例のフォークリフトの制御ブロック図を示している。本例ではアクセル装置2と、方向指示器6と、後述する回生力行判別導通処理でスイッチング部CH1を導通する小パルスのオン巾を調節自在に設定しうる調節具3と、前記電流検出器STa、STfで検知されたアマチュア電流Ia、フィールド電流Ifの各信号が制御部5の入力インターフェースIへと入力される。そして、本例ではアマチュア4Aの回転方向を検知するための回転方向検出用のセンサやスピードセンサは有していない。
【0027】前記アクセル装置2は、例えば前後に傾動可能な操作レバー2aと、この操作量に対応した速度指令値を出力するポテンショメータ9とから構成されるものを示す。また方向指示器6は、操作レバー2aの傾動方向により正転又は逆転としての信号を出力する方向指示器6としてのリミットスイッチ6a、6bを具えるものを例示している。
【0028】また、前記調節具3は、例えばフォークリフトの運転席などに設けられる液晶ディスプレイ装置と調節スイッチとを含み(いずれも図示せず)、前記小パルスのオン巾を確認しながら調節しうるものを例示している。
【0029】また、制御部5は、作業用メモリとしての読み込み書き込み自在なRAM、プログラム等の処理手順が予め記憶されているROMとを含んでいる。なお前記ROMはEPROM(Erasable and Programmable Read-Only Memory)などを用いることにより、前記調節具3にて変更された小パルスのオン巾を、電気車のキースイッチがオフされた後も記憶保持しうるように構成されたものを示す。
【0030】以上のように構成された本実施形態においては、例えば通常走行時では、前記アクセル装置2の操作レバー2aが図において右向きに傾動操作されると、直流モータ4の目標速度がポテンショメータ9により、また操作レバー2aとともに傾動する扇状のドグ2bによって前記方向指示器としてのリミットスイッチ6bが作動しアマチュア4Aを正転で回転させる回転方向指令が前記制御部5へと入力される。
【0031】また制御部5は、前記回転方向指示に基づいて前進コンタクタMFのリレーコイルMFCを励磁し、前進コンタクタMFを図1に示す接点fに切り換えた後、スイッチング部CH1を前記目標速度に応じてチョッパ導通する。これにより、バッテリBAの+側からヒューズH、回生コンタクタMG、アマチュア4A、後進コンタクタMRの接点f、フィールドコイル4B、前進コンタクタMFの接点f、スイッチング部CH1、バッテリBAの−側へと電流が流れアマチュア4Aが正転し、フォークリフトが前進へ通常走行できる。なお逆転の場合には、フィールドコイル4Bの励磁方向が前記の場合と逆になる。
【0032】そして、本発明では、アクセル装置2が中立から非中立に操作された場合や、逆転制動された場合には、前記直流モータ4に電力を供給するに先立ち、回生可能か否かを判別する。
【0033】例えば、アマチュア4Aが正転しているときに前記アクセル装置2の操作レバー2aを正転から逆転に倒すなどいわゆる逆転制動動作(したがって、方向指示器6の出力は、「逆転」となる。)が行われた場合などについて、図3に示すフローチャート及び図4に示すタイムチャートに基づいて説明する。
【0034】前記制御部5は、直流モータ4に電力を供給するに先立ち、回生力行を判別するためにスイッチング部CH1を複数回導通させる小パルスのオン巾をROMなどから読み込む(ステップS1)。そして制御部5は、アクセル装置2、前記方向指示器6の指示がある場合には(ステップS2でY)、その操作にしたがって前進コンタクタMF、後進コンタクタMRの接点をrに切り換え(ステップS3)、かつ前記回生コンタクタMGを閉じる(ステップS4)。
【0035】次に制御部5は、前記読み込んだオン巾の小さい小パルスで前記スイッチング部CH1を導通させる回生力行判別導通処理を行う。
【0036】本実施形態では、この回生力行判別導通処理において、スイッチング部CH1の導通周期が図4(A)、(B)に示すように、16ミリ秒としたものを例示し、前記オン巾tonの小さい小パルスとは、例えばオン巾/全オン巾(16ミリ秒)で示される導通比が15%以下のものを例示している。したがって、小パルスのオン巾の時間は、1パルス当たり2.4ミリ秒以下とするのが望ましい。また、本実施形態ではこの小パルスによる回生力行判別導通処理を2回繰り返して行うものを示す(ステップS6、S18)。
【0037】また図4には、このような回生力行判別導通処理を行った場合のアマチュア電流Iaの変化を、前記スイッチング部CH1を導通する小パルスに重ね合わせて示している。
【0038】図4(A)では、アマチュア4Aの回転方向とフィールドコイル4Bの励磁極性とが同じ場合を示している。この場合には、点線で示すようにアマチュア電流Iaは、小パルスのオフととともに直ちに立ち下がり、これを繰り返しても前記回生力行判別導通処理ではアマチュア電流Iaは増大しない。
【0039】他方、図4(B)には、アマチュア4Aの回転方向とフィールドコイル4Bの励磁極性とが逆となりかつ前記アマチュアの回転数が回生可能な回転数である場合を示している。この場合には、小パルスをオフしてもアマチュア電流Iaは、すぐには低下せず2回ゆっくりと低下していくため、例えば小パルスで前記スイッチング部CH1を2回導通することにより、このようなアマチュア電流Iaが累積されて所定の値まで徐々に上昇することとなる。このように、スイッチング部CH1を複数回導通した場合には、アマチュア電流をある程度まで上昇させうる結果、検出精度が向上する利点がある。
【0040】なお図4(C)に示すように、アマチュア4Aの回転方向とフィールドコイル4Bの励磁極性とが逆かつアマチュアの回転数がさらに大きい場合には、図4(C)に示すように、小パルス1回の導通でもアマチュア電流Iaの立ち下がりはさらにゆっくりと行われる。
【0041】次に、制御部5は、この回生力行判別導通処理後に本例では前記直流モータ4のアマチュア電流Iaを電流検出器STaから読み込み、このアマチュア電流Iaと予め定めた回生可能基準電流値Idとを比較して回生の可否を判別する回生可否判別処理を行うものを例示している。
【0042】本例では前記回生力行判別導通処理を、2回繰り返して行っているため、各導通後にそれぞれ回生可否判別処理を行うものを示す(ステップS6、S18)。
【0043】なお前記回生可能基準電流値Idは、上述したように前記調節具3を用いて各フォークリフトのモータ毎に任意に設定することができる。また回生可否判別処理は、本実施形態では前記各回生力行判別導通処理後、12ミリ秒経過した時点tc1、tc2にて行っている。
【0044】また前記回生可否判別処理を繰り返し、アマチュア電流Iaが予め定めた回生可能基準電流値Id未満である場合(ステップS18でN、図4(A)の状態)、制御部5は、現在の状態を回生不能と判断し、直ちに力行制御を行う(ステップS15)。このときの時間的遅れはtb(図4(A)に示す)は例えば4ミリ秒であり、力行制御が遅れることが防止される。
【0045】他方、前記回生可否判別処理により、アマチュア電流Iaが予め定めた回生可能基準電流値Id以上である場合(ステップS6又はステップS18でY)、制御部5は、現在の状態を回生可能と判断する。そして、本実施形態では直ちに回生コンタクタMGの接点を開くのではなく、当該回生力行判別導通処理を終えたときから10ミリ秒以上、本例では20ミリ秒待機し(ステップS7)、20ミリ秒経過した時点tgで前記回生コンタクタの接点を開く回生コンタクタMG離脱信号を出力する(ステップS8)。
【0046】これにより、図4(B)又は(C)に示すように、回生コンタクタ離脱信号が出力された時点tgから約16ミリ秒経過した時点tfにて回生コンタクタMGの接点が開くこととなる。すなわち、本実施形態では回生力行判別導通処理を終えた時点からトータル36ミリ秒の微小時間t1経過した時点で回生コンタクタMGの接点が開くこととなる。このとき、点線にて示すアマチュア電流Iaは、回生コンタクタMGの接点が開いた場合であってもアークが発生しない十分小さな値、本例では0Aまで低下しているため、該接点でアークが生じず、回生コンタクタの接点を有効に保護することができる。
【0047】なお本例では、アマチュア電流Iaが0Aのときに回生コンタクタMGの接点が開かれるものを例示しているが、回生コンタクタMGの接点を開いたときに該接点間にアークが発生しない値までアマチュア電流Iaが低下すれば足り、例えば本実施形態の場合、10A程度でも接点の損傷には影響を及ぼすアークは生じず、実質的に50A程度で接点の損傷に影響を及ぼすアークが生じていた。したがって、少なくとも回生コンタクタMGの接点の離脱時にアマチュア電流が50A未満、より好ましくは40A未満、さらに好ましくは10A未満まで低下するような微小時間t1を設定することが好ましい。
【0048】より具体的には前記微小時間t1として、本発明者らの種々の実験の結果、好ましくは20〜80ミリ秒、より好ましくは20〜50ミリ秒、さらに好ましくは30〜40ミリ秒とするのが望ましい。なお前記微小時間t1が80ミリ秒を超えると、制御遅れなどが生じる傾向があり、円滑な力行、プラギングなどを行えない傾向があり、逆に前記微小時間t1が、20ミリ秒未満であると、アマチュア電流が十分小さな値まで低下することを期待できない場合がある。
【0049】そして前記回生コンタクタMGを離脱させた後は、予備励磁を行い(ステップS9)、アマチュア4Aの起電力により回生電流が十分に大きくなったときにスイッチング部CH1をオフし、回生電流をバッテリへと戻して前述した回生チョッパ処理を行いうる(ステップS10)。なお回生電流がある程度の値まで減少すると(ステップS11でY)、回生チョッパ処理を終了する(ステップS12)。
【0050】そして、走行を終了したときには(ステップS13でY)、ステップS2に戻るが、走行を終了していない場合(ステップS13でN)、力行運転を行うべく回生コンタクタMGを閉じる(ステップS14)。このとき、回生コンタクタMGに流れる電流は回生不能な程度まで十分に小さい値になっており、ここでも接点を損傷させるようなアークの発生は防止できる。また、回生コンタクタMGが閉じた後は、力行チョッパ(プラギング)処理を継続して行い(ステップS15)、走行を終了したときには(ステップS16でY)、ステップS2に戻る。
【0051】なお本実施形態では、回生の可否判断にアマチュア電流Iaを検出するものを例示したが、勿論プラギング電流Ipでも良く、さらにはアマチュア電流Iaとプラギング電流Iaの双方を検出して回生可否判断を行っても良い。また本例では、バッテリ式フォークリフトを例にとり説明したが、例えば乗用を目的とした電気自動車にも採用しうる。また前記微小時間t1は、使用するバッテリ、コンタクタの容量などにより種々定め得る。
【0052】
【発明の効果】叙上の如く請求項1記載の方法によれば、アマチュア電流が十分に小さくなる微小時間経過後に回生コンタクタの接点を開く回生コンタクタ遅延離脱処理を行うことによって、該接点でアークが生じず、回生コンタクタの接点を効果的に保護することができる。
【0053】また請求項2記載の発明では、前記回生可否判別処理により回生不能と判断したときに、直ちに力行制御を行うことにより、制御遅れを生じることなく迅速に力行運転を行える。
【0054】また請求項3記載の発明では、前記小パルスのオン巾は、調節具により調節自在かつ電気車のキースイッチがオフされた場合でも記憶動作可能な記憶手段に記憶されることによって、電気車毎に任意の設定が可能となる。
【0055】また請求項4記載の発明では、前記微小時間t1は、20〜80ミリ秒であることによって、制御遅れなどが生じることなしに回生コンタクタの接点でアークの発生を確実に防止しうる。
【出願人】 【識別番号】000232807
【氏名又は名称】日本輸送機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 正
【公開番号】 特開平11−234803
【公開日】 平成11年(1999)8月27日
【出願番号】 特願平10−28743