| 【発明の名称】 |
電気自動車のモータ制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 忍
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| 【要約】 |
【課題】後戻り現象を引き起こすことなく、また、急加速やスリップを生じることなく車両を登坂路発進させることが可能で、運転者のアクセル操作感覚と車両の挙動が一致した違和感のない電気自動車用モータの制御方法を提供する。
【解決手段】メインCPU14は、アクセル12の開度に応じたPWM出力と、進行方向制御回路18を介した車両の進行方向信号をモータ駆動回路16に供給する。この時、エンコーダA22、エンコーダB24は、モータ20の回転を監視し、PWM出力によるモータ電圧の上昇初期段階におけるモータ20の回転方向を検出し、進行方向と逆方向の回転を検出した場合、登坂路発進であると判断して、登坂路で車両が後戻りせずに静止した状態を維持できるモータトルクを発生する登坂発進電圧レベルによる制御に切り換え、車両の状態維持を行いつつ制限速度以下で発進した後、通常走行制御に移行する走出し電圧制御を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気自動車の発進時のモータ回転量を制御し初期発進を行い、その後アクセルの操作量に基づく通常走行制御に移行し電気自動車の走行を行う電気自動車のモータ制御方法において、発進時のモータの電圧上昇初期区間でモータの回転方向判定を行うステップと、前記判定結果に基づいて、モータの正転時と逆転時とでモータ制御電圧パターンを選択する選択ステップと、前記選択結果に基づいて、モータを駆動する駆動ステップと、を含み、前記選択ステップで、正転が検出された場合には、平坦路発進または降坂路発進であると判断して予め設定された制限速度以下で発進した後、通常走行制御に移行する走出し電圧制御を行い、逆転が検出された場合には、登坂路発進であると判断して予め設定された登坂発進電圧で車両の後退禁止を行いつつ制限速度以下で発進した後、通常走行制御に移行する走出し電圧制御を行うことを特徴とする電気自動車のモータ制御方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車のモータ制御方法、特に発進時の道路の勾配状態に応じたモータ制御を行う電気自動車のモータ制御方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、自然環境等を考慮して、無公害の運送システムである電気自動車が実用化されている。この電気自動車は、ガソリン車のような排気ガスを放出すること無く、また、低騒音、低振動で走行可能である。そのため、従来のガソリン車より運転中の微妙な車両の挙動が浮き彫りにされる。例えば、発進時のアクセル操作と実際の車両の挙動の反応性が問題になる。通常、運転者は、車両を発進させようとしてアクセルをONすると、前記アクセルの操作量に応じて、車両駆動用のモータが回転し車両は走行を開始する。車両が平坦な道路(平坦路)で発進する場合には、運転者のアクセル操作量に対応した発進加速度が得られて、車両は運転者の感覚に合致した挙動を示し、滑らかに発進する。しかし、上り坂(登坂路)において発進操作(前進)を行うと、モータが所定トルクを発生するまでの間に、運転者の前進しようとする意図に反して車両の自重によりバックしてしまう、いわゆる後戻り現象を起こしてしまう。なお、後戻り現象は意図的に後退しようとした時の前進現象も含む。 【0003】この現象を低減するために、例えば特開平1ー99410号公報には、車両の後戻りを検出したら直ちにモータ電圧を最大にして車両の後戻りを抑制する技術が開示されている。また、特開平5−95601号公報には、発進時の車両の傾斜を検出する傾斜センサを設け、車両の傾斜角度に応じたモータの駆動制御を行う技術が開示されている。これらの構成によれば、後戻り現象を生じることなく車両の発進を行うことができる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、登坂路における発進において、後戻りを検出して直ちにモータ電圧を最大にすると、後戻り現象は発生しないが、車両の急加速や車輪のスリップ等を招き、やはり運転者のアクセル操作感覚と車両の挙動が一致せず、違和感のあるモータ制御になってしまうという問題がある。また、傾斜センサ等によって、車両の発進状態に適したモータ制御を行えば、前述したような違和感は生じないが、センサ等部品点数が増加し、コストアップの原因になると共に制御の複雑化に繋がるという問題がある。 【0005】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、登坂路発進において、運転者のアクセル操作感覚と車両の挙動が一致した違和感の無いモータ制御を容易な構成で行うことのできる電気自動車のモータ制御方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するために、本発明は、電気自動車の発進時のモータ回転量を制御し初期発進を行い、その後アクセルの操作量に基づく通常走行制御に移行し電気自動車の走行を行う電気自動車のモータ制御方法において、発進時のモータの電圧上昇初期区間でモータの回転方向判定を行うステップと、前記判定結果に基づいて、モータの正転時と逆転時とでモータ制御電圧パターンを選択する選択ステップと、前記選択結果に基づいて、モータを駆動する駆動ステップと、を含み、前記選択ステップで、正転が検出された場合には、平坦路発進または降坂路発進であると判断して予め設定された制限速度以下で発進した後、通常走行制御に移行する走出し電圧制御を行い、逆転が検出された場合には、登坂路発進であると判断して予め設定された登坂発進電圧で車両の後退禁止を行いつつ制限速度以下で発進した後、通常走行制御に移行する走出し電圧制御を行うことを特徴とする。 【0007】ここで、前記制限速度以下の発進とは、例えば、傾斜角20°の登降坂路で車両の安全が確保できる発進速度状態であり、例えば、最大0.7Km/hまた、前記登坂発進電圧とは、傾斜角20°の登坂路で車両が後戻りせずに静止した状態を維持できるモータトルクを発生することのできる電圧レベルをいう。この構成によれば、新たな部品を追加することなく、登坂路において、急加速やスリップを生じることなく車両を発進させることが可能で、運転者のアクセル操作感覚と車両の挙動が一致した違和感のない電気自動車のモータ制御を行うことができる。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。図1は、本実施形態の電気自動車用モータの制御方法を実現する制御装置10の構成ブロック図である。 【0009】運転者が操作するアクセル12の開度に応じた出力がメインCPU14に提供される。当該メインCPU14は、前記アクセル12から提供される出力に応じたパルス幅変調(PWM)出力をモータ駆動回路16に提供する。また、進行方向制御回路18は、前記メインCPU14から出力される信号(シフトレバー等の操作に基づく信号)に基づいて、モータ駆動回路16の正転制御または逆転制御を決定する回転方向信号を出力する。前記モータ駆動回路16は、入力された前記PWM出力と回転方向信号に応じた電圧をモータ20に加えて、当該モータ20を所望の方向に所望の回転数で回転させて、車両を動かすための所望のトルクを発生させる。 【0010】また、前記モータ20には、エンコーダA22とエンコーダB24とが取り付けられ、モータ20の回転方向と回転数に応じた方形パルスを出力し、前記メインCPU14に供給している。前記エンコーダA22とエンコーダB24は常に位相のずれたパルスを出力するように配置され、前記メインCPU14は前記エンコーダA22及びエンコーダB24からのパルスが入力される順番でモータ20の回転方向を検出している。また、前記エンコーダA22及びエンコーダB24ともにモータ20の1回転あたりの出力パルス数が決まっているため、前記メインCPU14は単位時間当たりのパルス数をカウントすることによりモータ20の回転数、すなわち車速を算出することができる。 【0011】なお、前記メインCPU14は前記PWM出力に応じて、ブレーキ制御回路26にも制御信号を出力し、PWM出力のタイミングに合わせて前記モータ20に内蔵された電磁ブレーキ28を動作させている。 【0012】次に、本実施形態の電気自動車用モータの制御手順を図2のフローチャート及び図3のタイミングチャートを用いて説明する。 【0013】まず、車両の走行を開始しようとして、運転者がアクセル12をONすると、メインCPU14はPWM出力を所定量ずつ順次アップする(S100)。なお、車両発進時の安全性を考慮して、図3の示すようにアクセルONとPWM出力は僅かなタイムラグを有して反応する。PWM出力がアップし始めると、図3に示すように、PWM出力の上昇初期段階でモータ20の回転の正負(進行方向制御回路18から指示された方向を正とする)の判断を開始する(逆転検出期間)。すなわち、メインCPU14は前記エンコーダA22及びエンコーダB24からのパルスに基づいて、モータ20がモータ駆動回路16の制御方向(進行方向制御回路18から指示された方向)、例えば後退方向に回転しているか否か(車両が逆方向に進んでいるか否か)を判断する(S101)。モータ20の逆回転が検出されない場合、車両が実際に進行方向に走行を開始したか否かの判断を行う(S102)。走行を開始していない場合、すなわちPWM出力がアップしているにも関わらず車両が停止している場合、モータ20が車両の走行を開始するために必要なトルクを発生していないものと判断して、(S100)に戻ってPWM出力をさらにアップする。 【0014】一方、車両の走り出しが確認された場合、メインCPU14は、走り出し制御が完了したと判断して、通常走行制御に移行する。すなわち、メインCPU14は、アクセル12の踏み込み角度から運転者が希望する車速を算出する(S103)。同時に、モータ20の回転数から現在の車速を算出する(S104)。そして、メインCPU14は、現在の車速が先に算出した希望車速か否かの判断を行い(S105)、希望車速の場合は、(S103)に戻って、さらに、希望車速と実際の車速の監視を継続して行う。 【0015】また、(S105)で希望車速でないと判断された場合、メインCPU14は、希望車速と実際の車速との差分、すなわち、(現在車速−希望車速)を算出し(S106)、算出結果がマイナス(−)の場合、PWM出力を所定量アップし(S107)、算出結果がプラス(+)の場合、PWM出力を所定量ダウンする(S108)。PWM出力のアップ・ダウン制御を行ったら(S103)に戻って、さらに、希望車速と実際の車速の監視を継続し、PWM出力の微調整を行う。この時のPWM出力と車速との関係を図4のタイミングチャートに示す。(S102)の判断で、車両が前進したと判断された場合、車両は、少なくとも降坂路または平坦路で発進操作を行ったと見なすことができる。 【0016】降坂路で発進操作を行う場合、メインCPU14がモータ20の電磁ブレーキ28を開放すると、車両はPWM出力の供給前に自らの重量により走行を開始してしまう。この時、PWM出力を『ゼロ』から上昇させるとPWM出力による加速より早い加速度で車両が走行を開始してしまう。その後、PWM出力によりモータ20が車両の速度コントロールをできるトルクを発生するようになると、一度、必要以上に加速した車両が減速し、アクセル角度に基づく車速に調整されることになる。その結果、発進時に加速及び減速が行われると共に、所望速度に調整されるまでの時間が長くなり、違和感の大きな発進制御になってしまう。この違和感は、運転者の所望する発進スピードが遅いほど強く感じられる。そのため、メインCPU14はPWM出力の上昇前にモータの正回転を検出した場合、降坂路における発進であると判断して、図4中段に示すように、予め設定されたモータ電圧初期レベル(例えば、傾斜角20°の降坂路で設定可能な最低速度例えば、0.7Km/hを上回らないで走行可能な電圧レベル)を印加する。これによって、車両が自重により走行を開始した初期の段階でPWM出力に整合させることが可能になり、過剰な加速を行うことなく所望の速度に迅速に調整することができる。なお、メインCPU14はPWM出力の上昇前にモータの正回転を検出しなかった場合、車両は、平坦路で発進操作が行われていると判断する。この場合も、前記モータ電圧初期レベルからPWM出力の供給を行うが、車両の自重による加速度が発生しないため、図4下段に示すように、図4中段に示す降坂路時よりPWM出力勾配の大きな電圧パターンで車両の加速を行う。なお、この場合も発進速度は、予め設定された速度、例えば0.7Km/h以下である。このように、メインCPU14がモータ駆動回路16に対して、モータ電圧初期レベルからPWM出力の供給を行うことによって、降坂路及び平坦路において、図4に示すように滑らかな車両の加速を行うことができる。 【0017】一方、(S101)において、モータ20が逆方向に進んでいる(逆回転している)ことが確認された場合、つまり、車両の発進操作が登坂路等で行われた場合であり、メインCPU14の制御により、PWM出力がモータ駆動回路16に供給されると同時に、モータ20の電磁ブレーキ28が開放される。この時、PWM出力によるモータ20のトルクが車両の自重による後戻り力より小さい場合、車両は、運転者の意図に反して後戻りする。この場合、図4下段に示すモータ電圧初期レベルより大きな登坂発進電圧レベル(例えば、傾斜角20°の登坂路で車両が後戻りせずに静止した状態を維持できるモータトルクを発生することのできる電圧レベル)からPWM出力の供給を行う(S109)。前記登坂発進電圧レベルは、車両の後戻り現象を防止し車両の静止を維持するモータトルクを発生するのみであるため、そこから通常の発進制御(例えば、0.7Km/h以下の発進)を行えば、車両が急加速したり、車輪がスリップしたりすることがない。メインCPU14は、前記登坂発進電圧レベルで、車両の走り出しを確認した場合、走り出し制御が完了したと判断して、(S103)〜(108)の通常走行制御に移行する。 【0018】このように、PWM出力上昇初期段階でモータ正転または逆転を検出して逆転時には、登坂発進電圧レベルで発進操作を開始することによって、後戻り現象を確実に防止し、違和感のない発進時のモータ制御を行うことができる。また、降坂路及び平坦路においてもモータ電圧初期レベルで発進操作を行うことにより、急加速や減速の無いスムーズな違和感のない発進時のモータ制御を行うことができる。 【0019】なお、登坂発進電圧レベルや前記電圧初期レベルは、電気自動車の重量等によって、任意に選択することが可能で、発進時の安全スピードが確保できる範囲内で設定することが望ましい。また、(S107)及び(S108)のPWM出力のアップ・ダウン調整は、電気自動車の走行フィーリングや安全性に影響しない範囲内で任意に変更可能である。 【0020】 【発明の効果】本発明によれば、新たな部品を追加することなく、急加速やスリップを生じることなく、登坂路における電気自動車の発進が可能で、運転者のアクセル操作感覚と電気自動車の挙動が一致した違和感のない電気自動車用モータの制御を行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000185617 【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月16日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−205912 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−6443 |
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