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【発明の名称】 磁気浮上式鉄道用地上コイル
【発明者】 【氏名】小村 昭義

【氏名】古川 陽子

【氏名】服部 憲一

【氏名】辻本 静夫

【要約】 【課題】磁気浮上式鉄道用地上コイルにおいて、推進コイルが作る磁場によって浮上コイルに発生する渦電流損を低減する。

【解決手段】磁気浮上式鉄道用地上コイルにおいて、8の字浮上コイル1の垂直辺3と単層推進コイル2の垂直辺4が進行方向位置に関して一致しないように配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気浮上式鉄道において、上方の導電体コイルと下方の導電体コイルとを互いに逆向きに接続した8の字形の浮上用コイルの垂直辺と、推進用励磁電源を接続した導電体コイルを一列に配列した推進用コイルの垂直辺が進行方向位置に関して一致していないことを特徴とする磁気浮上式鉄道用地上コイル。
【請求項2】 磁気浮上式鉄道において、上方の導電体コイルと下方の導電体コイルとを互いに逆向きに接続した8の字形の浮上用コイルを進行方向に2個有する田の字形の浮上用コイルの進行方向中心位置と、該田の字形浮上用コイルとコイルピッチが同一である、推進用励磁電源を接続した導電体コイルを一列に配列した推進用コイルの進行方向中心位置が一致していないことを特徴とする磁気浮上式鉄道用地上コイル。
【請求項3】 磁気浮上式鉄道において、上方の導電体コイルと下方の導電体コイルとを互いに逆向きに接続した8の字形の浮上用コイルの進行方向中心位置と、該8の字形浮上用コイルとコイルピッチが同一である、推進用励磁電源を接続した導電体コイルを一列に配列した推進用コイルの進行方向中心位置が一致していないことを特徴とする磁気浮上式鉄道用地上コイル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気浮上式鉄道用地上コイルに係わり、特に浮上案内コイルと推進コイルで構成される地上コイルの配置に関する。
【0002】
【従来の技術】超電導磁石を用いた磁気浮上式鉄道では、図10に示すように、8の字形の上下コイルに鎖交する磁束の差により浮上力を得る浮上コイル1と、電源から電線を介して電流を供給することにより推力を得る推進コイル2の2種類の地上コイルが設置されている。軌道両側の浮上コイル1はヌルフラックス線11と呼ばれる導線で接続されており、浮上コイル1は案内力を得る働きを併せ持っている。
【0003】浮上コイルと推進コイルの配置を図11に示す。8の字浮上コイル1を進行方向に2個有する田の字浮上コイル5と、推進コイルを一列に並べた単層推進コイル2が同一ピッチLpで平行に並んだ配置となっている。この際、田の字浮上コイル5の進行方向中心位置6と単層推進コイル2の進行方向中心位置7が一致しており、田の字浮上コイル5の垂直辺3と単層推進コイル2の垂直辺4が重なり合う部分が存在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】磁気浮上式鉄道用地上コイルでは、様々な磁場変動によってコイルを構成する素線内に渦電流損が発生する。このような損失は磁気ドラッグと呼ばれ、磁気浮上式鉄道の走行特性を低下させる。このうちの一つとして、推進コイルが作る磁場によって浮上コイルに発生する渦電流損がある。
【0005】図11に示すような従来の地上コイル配置では、田の字浮上コイル5の垂直辺6と単層推進コイル2の垂直辺7が重なっているため、単層推進コイル2が作る磁場によって田の字浮上コイル5に発生する渦電流損が大きくなるという問題がある。
【0006】本発明は、推進コイルが作る磁場によって浮上コイルに発生する渦電流損を低減できる磁気浮上式鉄道用地上コイルを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】8の字浮上コイルと単層推進コイルを進行方向にずらして配置することにより、上記の目的を達成することができる。
【0008】8の字浮上コイルと単層推進コイルを進行方向にずらして設置すれば、8の字浮上コイルの垂直辺と単層推進コイルの垂直辺の重なりがずれるため、単層推進コイルが作る磁場によって8の字浮上コイルに発生する渦電流損を低減することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1に構成原理図を示す。図1では、車両の進行方向に沿って8の字浮上コイル1と単層推進コイル2が平行に並んでいる。この際、8の字浮上コイル1の垂直辺3と単層推進コイル2の垂直辺4とが進行方向にずれるように配置されている。このため、単層推進コイル2が作る磁場によって8の字浮上コイル1に発生する渦電流損を低減することができる。
【0010】図2に本発明の一実施形態を示す。図2では、田の字浮上コイル5の進行方向中心位置6と、この田の字浮上コイルとコイルピッチが等しい単層推進コイル2の進行方向中心位置7とが進行方向にずれて配置されている。このため、田の字浮上コイル5の垂直辺と単層推進コイル2の垂直辺が重なっておらず、単層推進コイル2が作る磁場によって田の字浮上コイル5に発生する渦電流損を低減することができる。
【0011】図3に本発明のその他の実施形態を示す。本実施形態では、田の字浮上コイル5の進行方向中心位置6と、この田の字浮上コイルとコイルピッチが等しい単層推進コイル2の進行方向中心位置7の進行方向のずれが丁度コイルピッチLpの1/4となって配置されている。田の字浮上コイルの進行方向中心位置と単層推進コイルの進行方向中心位置を進行方向にずらした効果が最大となるのがこのケースである。渦電流損解析によると、このケースでは単層推進コイルが作る磁場によって田の字浮上コイルに発生する渦電流損は約41W/コイルとなる。図7に示した従来の地上コイルでは単層推進コイルが作る磁場によって田の字浮上コイルに発生する渦電流損は約52W/コイルであるので、図3に示すコイル配置にすることにより単層推進コイルが作る磁場によって田の字浮上コイルに発生する渦電流損を20%程度低減できる効果がある。
【0012】この際の推進コイルが作る磁束密度の時間変化を図12と図13に示す。従来の地上コイル配置については図11に示す点P1での磁束密度を図12に、本実施形態の地上コイル配置については図3に示す点P2の磁束密度を図13に例示している。本実施形態のコイル配置では磁場発生源である単層推進コイルの垂直辺と田の字浮上コイルの垂直辺との距離が増大したことによって、従来のコイル配置に比べてBxが大幅に減少している。このBxはByやBzに比べて浮上コイルの渦電流損に与える影響が大きい。このため、単層推進コイルが作る磁場によって田の字浮上コイルに発生する渦電流損が低減されるのである。
【0013】図4に本発明の一実施形態を示す。図2では、8の字浮上コイル1の進行方向中心位置6と、この8の字浮上コイルとコイルピッチが等しい単層推進コイル2の進行方向中心位置7とが進行方向にずれて配置されている。このため、8の字浮上コイル1の垂直辺と単層推進コイル2の垂直辺が重なっておらず、単層推進コイル2が作る磁場によって田の字浮上コイル5に発生する渦電流損を低減することができる。
【0014】図5に本発明のその他の実施形態を示す。本実施形態では、8の字浮上コイル1の進行方向中心位置6と、この8の字浮上コイルとコイルピッチが等しい単層推進コイル2の進行方向中心位置7の進行方向のずれが丁度コイルピッチLpの1/2となって配置されている。8の字浮上コイルの進行方向中心位置と単層推進コイルの進行方向中心位置を進行方向にずらした効果が最大となるのがこのケースである。
【0015】図6に本発明のその他の実施形態を示す。本実施形態は、複数個の8の字浮上コイル1で構成されるコイルブロック8と複数個の単層推進コイル2で構成されるコイルブロック9を図1で示した構成原理に基づき推進方向にずらしてガイドウェーに設置するものである。コイルブロックは地上コイルを複数個まとめてブロック化したものであり、地上コイルのガイドウェイへの設置を効率化することができる。
【0016】図7に本発明のその他の実施形態を示す。本実施形態は、図1の構成原理に基づいて複数個の8の字浮上コイル1と複数個の単層推進コイル2を進行方向にずらして配置したコイルブロック10をガイドウェーに設置するものである。
【0017】図8に本発明のその他の実施形態を示す。本実施形態は、図1の構成原理に基づいて複数個の8の字浮上コイルと複数個の単層推進コイルを進行方向にずらして配置したコイルブロック10をガイドウェーに設置するものである。この際、コイルブロック端部に進行方向長さが任意のコイルを配置することで、複数個の8の字浮上コイルの全長と複数個の単層推進コイル全長を一致させることができる。図9にコイルブロック端部の詳細図を示す。本実施形態では、図9に示すように、コイルブロック端部に他の単層推進コイル2aと進行方向長さが異なる単層推進コイル2bを1個配置している。このようなコイル配置にすることによって、図8に示すように浮上コイル全体と推進コイル全体で進行方向のずれがないコイルブロック10が得られる。本実施形態では、他の単層推進コイル2aと進行方向長さの異なる推進コイル2bをコイルブロック端部に配置したが、これを浮上コイルについて適用してもよい。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、推進コイルが作る磁場によって浮上コイルに発生する渦電流損を低減できる。これにより、磁気浮上式鉄道の走行特性の向上が見込める。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成9年(1997)12月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎
【公開番号】 特開平11−187503
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平9−355170