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【発明の名称】 シングルアーム形パンタグラフ
【発明者】 【氏名】中島 伸治

【氏名】越波 進

【要約】 【課題】雪や氷の付着による事故から開放され、更には従来の騒音の問題からも軽減されたシングルアーム形パンタグラフを得ることにある。

【解決手段】ヒンジカバーは、ヒンジ部を二つの部材で挟持せしめるもので、くの字側の凸起部のヒンジカバーは、少なくとも前記上枠と下枠が回動できる傾斜を有する略三角形状であり、しかも下枠側に相当する略三角形状の底部には所定の深さの切込溝が設けられ、またこの切込溝の最深部位置の略三角形状内部には邪魔板を設けて略三角形状内部の先端部分に空洞部を形成し、更に切込溝の最深部位置の略三角形状の底部に少なくとも前記切込溝幅以上の長さを有する凸起部を設け、反凸起部側のヒンジカバーは、少なくとも前記上枠と下枠が回動できるように上枠及び下枠側から切り込まれ、更にヒンジ部から脱着できるように形成されたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 すり板を備えた舟体を支持する舟支えに上枠の一方が取着され、この上枠の他方に回動する下枠の一方が取着されてくの字状を形成し、この下枠の他方を台枠で支持し、前記上枠と下枠とを接続するヒンジ部にはヒンジカバーを取着するシングルアーム形パンタグラフであって、前記ヒンジカバーは、ヒンジ部を二つの部材で挟持せしめるもので、前記くの字側の凸起部のヒンジカバーは、少なくとも前記上枠と下枠が回動できる傾斜を有する略三角形状であり、しかも下枠側に相当する略三角形状の底部には所定の深さの切込溝が設けられ、またこの切込溝の最深部位置の略三角形状内部には邪魔板を設けて略三角形状内部の先端部分に空洞部を形成し、更に切込溝の最深部位置の略三角形状の底部に少なくとも前記切込溝幅以上の長さを有する凸起部を設け、前記くの字側の反凸起部側のヒンジカバーは、少なくとも前記上枠と下枠が回動できるように上枠及び下枠側から切り込まれ、更にヒンジ部から脱着できるように形成され、くの字側の凸起部のヒンジカバーと反凸起部側のヒンジカバーによって、ヒンジ部が被包むされるよう構成したことを特徴とするシングルアーム形パンタグラフ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電車のシングルアーム形パンタグラフに係わり、特に走行中にパンタグラフのヒンジ部に雪が溜まったり、雨水が凍結してヒンジ部に氷が付着したり、更には高速走行による風切り音が発生したりすることを防止するために開発されたシングルアーム形パンタグラフに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、パンタグラフのヒンジ部に雪が溜まったり、雨水が凍結してヒンジ部に氷が付着した場合の対策は講じられていなかった。また、高速走行による風切り音が発生した騒音対策に関しては種々の検討が行われている。図5は従来のパンタグラフのヒンジ部を示す概略図で、11は上枠、12は下枠、13はヒンジ部である。ヒンジ部13は、撓み線14及び連結金具15によって、上枠11と下枠12が連結されてくの字状を形成している。また、上枠11と下枠12とは回動可能のごとく接続されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構成では、カバー内に雪が溜まり、凍結するため、パンタグラフの上下動作が阻害され、架線に対するパンタグラフの離線が生じ、走行ができなくなる。
【0004】風切り音に対しては、種々の検討が行われているが、風によるカルマル渦を減少させる効率のよい手段、例えば時速250Km/hの高速運転で行われた場合の最良手段はまだ開発されていないため、騒音公害に対して種々の課題が取り上げられている。本発明は上述した点に鑑みて創案されたもので、その目的とするところは、これらの欠点を解決し、雪や氷の問題、或いは騒音の問題を軽減したシングルアーム形パンタグラフを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】つまり、その目的を達成するための手段は、すり板を備えた舟体を支持する舟支えに上枠の一方が取着され、この上枠の他方に回動する下枠の一方が取着されてくの字状を形成し、この下枠の他方を台枠で支持し、前記上枠と下枠とを接続するヒンジ部にはヒンジカバーを取着するシングルアーム形パンタグラフに関するものである。
【0006】前記ヒンジカバーは、ヒンジ部を二つの部材で挟持せしめるもので、くの字側の凸起部のヒンジカバーは、少なくとも前記上枠と下枠が回動できる傾斜を有する略三角形状であり、しかも下枠側に相当する略三角形状の底部には所定の深さの切込溝が設けられ、またこの切込溝の最深部位置の略三角形状内部には邪魔板を設けて略三角形状内部の先端部分に空洞部を形成し、更に切込溝の最深部位置の略三角形状の底部に少なくとも前記切込溝幅以上の長さを有する凸起部を設けている。
【0007】くの字側の反凸起部側のヒンジカバーは、少なくとも前記上枠と下枠が回動できるように上枠及び下枠側から切り込まれ、更にヒンジ部から脱着できるように形成され、くの字側の凸起部のヒンジカバーと反凸起部側のヒンジカバーによって、ヒンジ部が被包むされるよう構成したことにある。以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳述する。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例を示す全体構成図、図2(a),(b),(c)は図1のヒンジカバーの一方を示す説明図で、(a)は側面図、(b)は底面図、(c)は(b)のA−A線断面図である。図3(a),(b)は図1のヒンジカバーの他方を示す説明図で、(a)は側面図、(b)は平面図である。図1及び図2において、1は凸起部のヒンジカバー、2は反凸起部側のヒンジカバー、3は上枠、4は下枠、5は台枠、6は舟体、7は舟支えであり、本発明のシングルアーム形パンタグラフは、すり板を備えた舟体6を支持する舟支え7に上枠3の一方が取着され、この上枠3の他方に回動する下枠4の一方が取着されてくの字状を形成し、この下枠4の他方を台枠5で支持し、上枠3と下枠4とを接続するヒンジ部にはヒンジカバー1及び2を取着して構成されたものである。
【0009】ヒンジカバーは、ヒンジ部を二つの部材で挟持せしめるもので、くの字側の凸起部のヒンジカバー1は、図2(a),(b),(c)に示すように、少なくとも上枠3と下枠4が回動できる傾斜を有する略三角形状であり、しかも下枠側に相当する略三角形状の底部1aには所定の深さの切込溝1bが設けられ、またこの切込溝1bの最深部位置1cの略三角形状内部には邪魔板1dを設けて略三角形状内部の先端部分に空洞部1eを形成し、更に切込溝1bの最深部位置1cの略三角形状の底部1aに少なくとも前記切込溝幅以上の長さを有する凸起部1fを設けている。更に、上枠3と下枠4との連結具(図示せず)に凸起部のヒンジカバー1を取り付けるための孔1gが穿設されている。なお、邪魔板1dをヒンジカバー1の内部に取り付ける構造や、切込溝1bの深さ,形状や、凸起部1fの形状は、雪や氷の落下することが出来たり、またこれらの形状によって低騒音化が実現出来ればいかようであってもよい。
【0010】くの字側の反凸起部側のヒンジカバー2は、同様に図3に示すごとく、少なくとも前記上枠3と下枠4が回動できるように上枠及び下枠側から切り込まれ、更にヒンジ部から脱着できるように形成されている。なお、2aは前述した連結具に取り付けるための孔である。以上のごとくして、本発明のシングルアーム形パンタグラフは、くの字側の凸起部のヒンジカバーと反凸起部側のヒンジカバーによって、ヒンジ部が被包されるよう構成されている。なお、ヒンジカバー2の形状は、ヒンジカバー1と同様にしていかような形状であってもよい。
【0011】次に、その作用を図4を参照して説明する。くの字側の凸起部のヒンジカバー1と反凸起部側のヒンジカバー2は、締鋲材8によって連結具に締結され、ヒンジ部を被包している。電車が矢印B方向に走行した場合には、雪はヒンジ部の図2(c)に示す邪魔板1dに当たり、次第に積層されていく状態となる。しかし、ヒンジカバー1の底部1aには、図2(b)に示すように、切込溝1bが設けられているので、ある程度積層されたらこの切込溝1bから落下する。もちろんパンタグラフの振動も重畳されることは言うまでもない。
【0012】このようにして、降雪の場合には、雪がヒンジ部に溜まることなく落下するので、パンタグラフの架線への追従が円滑に行われ、すり板と架線との離線はなくなり、アークによる架線の切断やすり板の損傷から回避される。また、切込溝1bを設けたことなどによるカルマル渦の発生によって生じる騒音は、凸起部1fを設けたことによって低減できる。更に、従来のシングルアーム形パンタグラフに対し、ヒンジカバー2を設けた事によって、一層の低騒音化が図られる。ここで、雨水が凍結した場合の説明を割愛したが、雪の場合と同様の効果を有することは言うまでもない。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、雪や氷の付着による事故から開放され、更には従来の騒音の問題からも軽減されたシングルアーム形パンタグラフを得ることが可能となり、実用上、極めて有用性の高いものである。
【出願人】 【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月12日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−178106
【公開日】 平成11年(1999)7月2日
【出願番号】 特願平9−362323