| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車両の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】玉川 裕
【氏名】石川 元士
【氏名】矢野 亨
【氏名】大嶋 義和
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| 【要約】 |
【課題】モータによる駆動補助をより適切に実行して、モータ駆動用の電気エネルギを節約することができるハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】車速VCARに応じて所定加速要求閾値DAPTHを算出し(S41)、アクセル開度θAPの変化量DAPが所定加速要求閾値DAPTH以下であるときは、モータ出力指令値MOTORCOMを減少方向に補正する(S43)。所定加速要求閾値DAPTHは、車速VCARが高くなるほど増加するように設定されているので、高車速時は低車速時に比べて減少方向の補正が実行される割合が高くなり、モータによる駆動補助が抑制されてモータ駆動用の電気エネルギが節約される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の駆動軸を駆動するエンジンと、電気エネルギにより前記駆動軸の駆動補助を行うモータと、該モータへ電力を供給する蓄電手段とを備えるハイブリッド車両の制御装置において、前記車両の運転状態に応じて前記モータによる駆動補助を実行する駆動補助制御手段と、前記エンジンの出力に対応した出力パラメータを検出する出力パラメータ検出手段とを備え、前記駆動補助制御手段は、該検出した出力パラメータの値が所定出力閾値を越えたときは、前記モータの出力を減少方向に補正することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項2】 車両の駆動軸を駆動するエンジンと、電気エネルギにより前記駆動軸の駆動補助を行うモータと、該モータへ電力を供給する蓄電手段とを備えるハイブリッド車両の制御装置において、前記車両の運転状態に応じて前記モータによる駆動補助を実行する駆動補助制御手段と、前記車両の運転者の加速要求を示す加速要求パラメータを検出する加速要求検出手段と、前記エンジンの出力に対応した出力パラメータを検出する出力パラメータ検出手段とを備え、前記駆動補助制御手段は、前記加速要求パラメータ値が加速要求閾値より小さいときは、前記モータの出力を減少方向に補正し、前記加速要求閾値は、前記検出した出力パラメータの値が増加するほど増加するように設定されることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項3】 前記モータ出力の減少方向の補正に同期して、前記エンジンの出力を増加方向に補正するエンジン出力補正手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項4】 前記蓄電手段は、電気二重層コンデンサであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、原動機としてエンジンおよびモータを備えたハイブリッド車両の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】原動機としてエンジンおよびモータを備えたハイブリッド車両は従来より知られており、そのようなハイブリッド車両の原動機の制御装置として、たとえば特開平3−121928号公報に記載されたものが知られている。 【0003】この装置では、エンジンの負荷が所定閾値以上のときモータが駆動され、エンジンの駆動補助が実行される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の装置は、主として大型バスの発進加速時に、モータによる駆動補助を実行することを考慮したものであり、エンジンの高回転時や高車速時において、さらに加速するような場合について考慮してないため、以下のような問題があった。 【0005】すなわち、例えば高車速時においては、運転者がそれほど急激な加速を意図しない場合でも、アクセルペダルの踏み込み量が大きくなる傾向があるため、モータによる駆動補助は必要でないにも拘わらず、駆動補助が実行されることがあり、電気エネルギがむだに消費されて、駆動補助が必須の低車速からの加速時に十分な駆動補助ができなくなるという問題があった。また高車速時、あるいはエンジンの高回転時は、走行抵抗やモータの逆起電力が大きくなるので、効果的に駆動補助を行うためには、大量の電気エネルギが必要となる点も考慮しなければならない。 【0006】本発明は上述した点に鑑みなされたものであり、モータによる駆動補助をより適切に実行して、モータ駆動用の電気エネルギを節約し、低車速時のように駆動補助が必須の場合に十分な駆動補助を実行することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、車両の駆動軸を駆動するエンジンと、電気エネルギにより前記駆動軸の駆動補助を行うモータと、該モータへ電力を供給する蓄電手段とを備えるハイブリッド車両の制御装置において、前記車両の運転状態に応じて前記モータによる駆動補助を実行する駆動補助制御手段と、前記エンジンの出力に対応した出力パラメータを検出する出力パラメータ検出手段とを備え、前記駆動補助制御手段は、該検出した出力パラメータの値が所定出力閾値を越えたときは、前記モータの出力を減少方向に補正することを特徴とする。 【0008】この構成によれば、検出したエンジンの出力パラメータの値が所定出力閾値を越えたときは、モータの出力が減少方向に補正され、モータによる駆動補助が抑制されるので、車速、あるいはエンジン回転数の高い高出力状態での駆動補助が抑制されて、モータ駆動用の電気エネルギが節約され、低車速時のように駆動補助が必須の場合に十分な駆動補助を実行することができる。 【0009】請求項2に記載の発明は、車両の駆動軸を駆動するエンジンと、電気エネルギにより前記駆動軸の駆動補助を行うモータと、該モータへ電力を供給する蓄電手段とを備えるハイブリッド車両の制御装置において、前記車両の運転状態に応じて前記モータによる駆動補助を実行する駆動補助制御手段と、前記車両の運転者の加速要求を示す加速要求パラメータを検出する加速要求検出手段と、前記エンジンの出力に対応した出力パラメータを検出する出力パラメータ検出手段とを備え、前記駆動補助制御手段は、前記加速要求パラメータ値が加速要求閾値より小さいときは、前記モータの出力を減少方向に補正し、前記加速要求閾値は、前記検出した出力パラメータの値が増加するほど増加するように設定されることを特徴とする。 【0010】この構成によれば、運転者の加速要求を示す加速要求パラメータの値が加速要求閾値より小さいときは、モータの出力が減少方向に補正され、前記加速要求閾値は、検出したエンジンの出力パラメータの値が増加するほど増加するように設定される。その結果、エンジンの高出力状態では、加速要求閾値が大きくなり、モータ出力の減少方向の補正が実行される割合が高くなるので、エンジンの高出力状態での駆動補助が抑制されて、モータ駆動用の電気エネルギが節約され、低車速時のように駆動補助が必須の場合に十分な駆動補助を実行することができる。 【0011】請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記モータ出力の減少方向の補正に同期して、前記エンジンの出力を増加方向に補正するエンジン出力補正手段をさらに備えることを特徴とする。 【0012】この構成によれば、モータ出力の減少方向の補正に同期して、エンジンの出力が増加方向に補正されるので、良好な運転性を維持することができる。 【0013】請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記蓄電手段は、電気二重層コンデンサであることを特徴とする。 【0014】この構成によれば、短時間に高出力の放電が可能となり、モータによるより適切な駆動補助を行うことができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。 【0016】(第1の実施形態)図1は本発明の実施の一形態にかかるハイブリッド車両の駆動系およびその制御装置の構成を模式的に示す(センサ、アクチュエータ等の構成要素は省略してある)図であり、内燃エンジン(以下「エンジン」という)1によって駆動される駆動軸2は、変速機構4を介して駆動輪5を駆動できるように構成されている。モータ3は、駆動軸2を直接回転駆動できるように配設されており、また駆動軸2の回転による運動エネルギを電気エネルギに変換して出力する回生機能を有する。モータ3は、パワードライブユニット(以下「PDU」という)13を介してスーパーキャパシタ(静電容量の大きな電気二重層コンデンサ)14と接続されており、PDU13を介して駆動、回生の制御が行われる。 【0017】エンジン1を制御するエンジン電子コントロールユニット(以下「ENGECU」という)11、モータ3を制御するモータ電子コントロールユニット(以下「MOTECU」という)12、スーパーキャパシタ14の状態の判別に基づくエネルギマネジメントを行うマネジメント電子コントロールユニット(以下「MGECU」という)15および変速機構4を制御する変速機構電子コントロールユニット(「T/MECU」という)16が設けられており、これらのECUはデータバス21を介して相互に接続されている。各ECUは、データバス21を介して、検出データやフラグの情報等を相互に伝送する。 【0018】図2は、エンジン1、ENGECU11およびその周辺装置の構成を示す図である。エンジン1の吸気管102の途中にはスロットル弁103が配されている。スロットル弁103にはスロットル弁開度(θTH)センサ104が連結されており、当該スロットル弁103の開度に応じた電気信号を出力してENGECU11に供給する。また、スロットル弁103はいわゆるドライブバイワイヤ型(DBW)のものであり、その弁開度を電気的に制御するためのスロットルアクチュエータ105が連結されている。スロットルアクチュエータ105は、ENGECU11によりその作動が制御される。 【0019】燃料噴射弁106はエンジン1とスロットル弁103との間で且つ吸気管102の図示しない吸気弁の少し上流側に各気筒毎に設けられており、各燃料噴射弁106はプレッシャーレギュレータ(図示せず)を介して燃料タンク(図示せず)に接続されていると共にENGECU11に電気的に接続されて当該ENGECU11からの信号により燃料噴射弁106の開弁時間および開弁時期が制御される。 【0020】スロットル弁103の直ぐ下流には管107を介して吸気管内絶対圧(PBA)センサ108が設けられており、この絶対圧センサ108により電気信号に変換された絶対圧信号はENGECU11に供給される。 【0021】また、絶対圧センサ108の下流には吸気温(TA)センサ109が取付けられており、吸気温TAを検出して対応する電気信号を出力してENGECU11に供給する。エンジン1の本体に装着されたエンジン水温(TW)センサ110はサーミスタ等から成り、エンジン水温(冷却水温)TWを検出して対応する温度信号を出力してENGECU11に供給する。 【0022】エンジン回転数(NE)センサ111はエンジン1の図示しないカム軸周囲またはクランク軸周囲に取り付けられ、エンジン1のクランク軸の180度回転毎に所定のクランク角度位置で信号パルス(以下「TDC信号パルス」という)を出力し、このTDC信号パルスはENGECU11に供給される。 【0023】エンジン1の各気筒の点火プラグ113は、ENGECU11に接続されており、ENGECU11により点火時期が制御される。 【0024】エンジン1の排気管114の途中には、排気ガス中のHC,CO,NOx等の浄化を行う三元触媒115が装着されており、またその上流側には空燃比(LAF)センサ117が装着されている。LAFセンサ117は排気ガス中の酸素濃度にほぼ比例する電気信号を出力しENGECU11に供給する。LAFセンサ117により、エンジン1に供給される混合気の空燃比を、理論空燃比よりリーン側からリッチ側までの広範囲に亘って検出することができる。 【0025】三元触媒115には、その温度を検出する触媒温度(TCAT)センサ118が設けられており、その検出信号がENGECU11に供給される。また、当該車両の車速VCARを検出する車速センサ119およびアクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセル開度」という)θAPを検出するアクセル開度センサ120が、ENGECU11に接続されており、これらのセンサの検出信号がENGECU11に供給される。 【0026】ENGECU11は各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路、中央演算処理回路(以下「CPU」という)、CPUで実行される各種演算プログラムおよび演算結果等を記憶する記憶手段、燃料噴射弁106、点火プラグ113に駆動信号を供給する出力回路等から構成される。他のECUの基本的な構成は、ENGECU11と同様である。 【0027】図3は、モータ3、PDU13、スーパーキャパシタ14、MOTECU12およびMGECU15の接続状態を詳細に示す図である。 【0028】モータ3には、その回転数を検出するためのモータ回転数センサ202が設けられており、その検出信号がMOTECU12に供給される。PDU13とモータ3とを接続する接続線には、モータ3に供給する、またはモータ3から出力される電圧および電流を検出する電流電圧センサ201が設けられており、またPDU13にはその温度、より具体的にはモータ3の駆動回路の保護抵抗若しくはIGBTモジュール(スイッチング回路)の温度TDを検出する温度センサ203が設けられている。これらのセンサ201、203の検出信号がMOTECU12に供給される。 【0029】スーパーキャパシタ14とPDU13とを接続する接続線には、スーパーキャパシタ14の出力端子間の電圧、およびスーパーキャパシタ14から出力されるまたはスーパーキャパシタ14へ供給される電流を検出する電圧電流センサ204が設けられており、その検出信号がMGECU15に供給される。 【0030】図4は、変速機構4とT/MECU16との接続状態を示す図である。変速機構4には、ギヤ位置GPを検出するギヤ位置センサ301が設けられており、その検出信号がT/MECU16に供給される。本実施の形態では、変速機構4は自動変速機であるため、変速アクチュエータ302が設けられ、T/MECU16によりその作動が制御される。 【0031】図5および6は、全要求駆動力、すなわち運転者が車両に要求する駆動力をモータ3とエンジン1にどれだけ配分するかを決定する駆動力配分処理の手順を示すフローチャートであり、本処理は、MOTECU12で所定時間(例えば1msec)毎に実行される。なお、本処理をMGECU15で実行するように構成してもよい。 【0032】図5において、まずステップS1では、スーパーキャパシタ14の残容量を、たとえば次の方法により検出する。 【0033】すなわち、前記電流電圧センサ204により検出されたキャパシタ出力電流および入力電流(充電電流)を所定時間毎に積算して、放電量積算値CAPADISCH(正の値)および充電量積算値CAPACHG(負の値)を算出し、キャパシタ残容量CAPAREMを次式(1)により算出する。 【0034】 CAPAREM=CAPAFULL−(CAPADISCH+CAPACHG) ‥‥(1) ただし、CAPAFULLは、スーパーキャパシタ14がフルチャージ(満充電)状態のときの放電可能量である。 【0035】そして、この算出されたキャパシタ残容量CAPAREMに、温度等によって変化するスーパーキャパシタ14の内部抵抗により補正を施して、最終的なスーパーキャパシタ14の残容量を検出する。以下の説明では、補正後の残容量の、フルチャージ放電可能量CAPAFULLに対する割合(%)を残容量CAPAREMCという。 【0036】なお、本実施の形態では、放電量積算値CAPADISCH及び充電量積算値CAPACHGを用いてスーパーキャパシタ14の残容量を検出するようにしたが、これに代えて、スーパーキャパシタ14の開放端電圧を検出するようにしてもよい。 【0037】次にステップS2では、この検出された残容量に応じて、モータ3側の配分量、すなわち全要求駆動力(目標駆動力POWERCOM)中モータ3が出力すべき駆動量(この量は、目標駆動力に対する比率で表現するため、以下「配分率」という)PRATIOを、出力配分率設定テーブルを検索して決定する。 【0038】図7は、出力配分率設定テーブルの一例を示す図であり、横軸がスーパーキャパシタ14の残容量CAPAREMCを示し、縦軸が配分率PRATIOを示している。この出力配分率設定テーブルには、このスーパーキャパシタ14において充放電効率が最もよくなる、残容量に対する配分率が予め設定されている。 【0039】続くステップS3では、前記アクセル開度センサ120によって検出されたアクセル開度θAPに応じて、図8に示すアクセル−スロットル特性の設定テーブルを検索し、スロットルアクチュエータ105に対する指令値(以下、「スロットル弁開度指令値」という)θTHCOMを決定する。 【0040】アクセル−スロットル特性の設定テーブルは、本実施の形態では、図8に示すように、アクセル開度θAPをそのまま指令値θTHCOMにしているが、これに限る必要はないことはいうまでもない。 【0041】そして、ステップS4では、この決定されたスロットル弁開度指令値θTHCOMに応じて、図9に示すスロットル弁開度に応じたモータ出力配分の設定テーブルを検索し、配分率PRATIOTHを決定する。 【0042】スロットル弁開度に応じたモータ出力配分の設定テーブルは、図9に示すように、スロットル弁開度指令値θTHCOMが全開近傍(たとえば50度以上)のときに、モータの出力を増量するように設定されている。 【0043】なお、本実施の形態では、スロットル弁開度指令値θTHCOMに応じて配分率PRATIOTHを決定するようにしたが、これに限らず、車速やエンジン回転数等のうちいずれか一つ、または複数個をパラメータとしてこの配分率を決定するようにしてもよい。 【0044】続くステップS5では、スロットル弁開度指令値θTHCOMおよびエンジン回転数NEに応じて、図10に示す目標出力マップを検索し、目標駆動力POWERCOMを決定する。 【0045】ここで、目標出力マップとは、運転者が要求する目標駆動力POWERCOMを決定するためのマップをいい、スロットル弁開度指令値θTHCOM(このスロットル弁開度指令値はアクセル開度θAPと1対1に対応するため、アクセル開度θAPであってもよい)およびエンジン回転数NEに応じて目標駆動力POWERCOMが設定されている。 【0046】さらに、ステップS6では、この目標駆動力POWERCOMを発生するためのスロットル弁開度の補正項θTHADD(すなわち、目標駆動力POWERCOMは、スロットル弁開度をθTHCOM+θTHADDにしたときに発生する)を算出し、ステップS7では、前記車速センサ119により検出された車速VCAR、およびエンジンの余裕出力EXPOWERに応じて、図11に示す車両状態判別マップを検索して、車両の走行状態VSTATUSを決定する。 【0047】ここで、エンジンの余裕出力EXPOWERは、次式(2)により算出される。 【0048】 EXPOWER=POWERCOM−RUNRST ‥‥(2) ただし、RUNRSTとは、当該車両の走行抵抗をいい、車速VCARに応じて設定されたRUNRSTテーブル(図示せず)を検索して決定される。目標駆動力POWERCOMおよび走行抵抗RUNRSTは、たとえばW(ワット)を単位としてそれぞれ設定されている。 【0049】このように車速VCARおよび余裕出力EXPOWERによって決定される走行状態VSTATUSとは、余裕出力EXPOWERに対するモータ3のアシスト配分比率をいい、たとえば0から200までの整数値(単位は%)に設定される。そして、走行状態VSTATUSが「0」のときはアシストすべきでない状態(減速状態またはクルーズ状態)であり、走行状態VSTATUSが「0」より大きいときはアシストすべき状態(アシスト状態)である。 【0050】続くステップS8では、走行状態VSTATUSが「0」より大きいか否かを判別し、VSTATUS>0のとき、すなわちアシスト状態のときにはアシストモードとして、図6のステップS31に進む一方、VSTATUS≦0のとき、すなわち減速状態またはクルーズ状態のときには回生モード(減速回生モードまたはクルーズ充電モード)として、図6のステップS12に進む。 【0051】ステップS31では、次式(3)により、モータ要求出力MOTORPOWERを算出する。 【0052】 MOTORPOWER=POWERCOM×PRATIO×PRATIOTH×VSTATUS …(3) 続くステップS32では、モータ要求出力MOTORPOWERを目標に時定数をもってモータ出力指令値MOTORCOMに変換する。 【0053】図12は、モータ要求出力MOTORPOWERと変換されたモータ出力指令値MOTORCOMとの関係を示す図であり、図中、実線がモータ要求出力MOTORPOWERの時間推移の一例を示し、鎖線がそのモータ出力指令値MOTORCOMの時間推移を示している。 【0054】同図から分かるように、モータ出力指令値MOTORCOMは、モータ要求出力MOTORPOWERを目標に時定数をもって、すなわち時間遅れをもって徐々に近づくように制御されている。これは、モータ出力指令値MOTORCOMを、モータ3がモータ要求出力MOTORPOWERを直ちに出力するように設定すると、エンジン出力の立ち上がりの遅れによりこの出力を受け入れる準備ができず、ドライバビリティの悪化を招く。したがって、この準備ができるまで待ってから、モータ要求出力MOTORPOWERを出力するようにモータ3を制御する必要があるからである。 【0055】図6のステップS33では、図13に示すアシスト抑制処理を実行する。 【0056】図13のステップS41では、車速VCARに応じて図14に示すDAPTHテーブルを検索し、加速要求閾値DAPTHを算出する。DAPTHテーブルは、車速VCARが増加するほど、加速要求閾値DAPTHが増加するように設定されている。次いで、アクセル開度θAPの変化量DAP(=θAP(今回値)−θAP(前回値))が、加速要求閾値DAPTHより大きいか否かを判別し(ステップS42)、DAP>DAPTHであるときは、モータ出力指令値MOTORCOMを補正することなく本処理を終了する一方、DAP≦DAPTHであるときは、モータ3によるアシストを抑制すべく、モータ出力指令値MOTORCOMを減算補正項DMOTORCOMにより減少方向に補正して(ステップS43)、本処理を終了する。 【0057】これにより、同一のアクセル開度変化量DAPであっても車速VCARが高いほど、加速要求閾値DAPTHが増加し、ステップS43が実行されてモータ3によるアシストが抑制される。その結果、走行抵抗の大きい状態での、モータ駆動用の電気エネルギのむだな消費が抑制され、低車速時のように駆動補助が必須の場合に十分な駆動補助を実行することができる。 【0058】なお、図14のDAPTHテーブルは、エンジン回転数NEに応じて、図14と同様の傾向に設定してもよく、その場合には、図13のステップS41では、エンジン回転数NEに応じて加速要求閾値DAPTHを算出する。このようにすることにより、モータ3の逆起電力の大きい状態でアシストが抑制され、電気エネルギの消費を節約することができる。 【0059】続くステップS34では、このモータ出力指令値MOTORCOMに応じて、スロットル弁開度の目標値θTHOを閉方向に制御するための補正項(減量値)θTHASSISTを算出した後に、ステップS18に進む。 【0060】この補正項θTHASSISTは、モータ出力指令値MOTORCOMでモータ3側の出力が増えた分だけエンジン1側の出力を抑えるためのものであり、この補正項θTHASSISTを算出するのは、次の理由による。 【0061】すなわち、ステップS3で決定されたスロットル弁開度指令値θTHCOMおよび前記ステップS6で算出されたその補正項θTHADDの和によってスロットル弁開度の目標値θTHOを決定し、この目標値θTHOによって前記スロットルアクチュエータ105を制御した場合には、エンジン1側の出力のみによって目標駆動力POWERCOMが発生する。したがって、目標値θTHOを補正せずに、前記ステップS10で変換されたモータ出力指令値MOTORCOMによりモータ3を制御したときには、エンジン1側の出力とモータ3側の出力との総和が目標駆動力POWERCOMを超えることになり、運転者が要求した駆動力以上の駆動力が発生してしまう。このため、モータ3の出力分に相当するエンジン1側の出力を抑制し、これによりモータ3側の出力とエンジン1側の出力との総和が目標駆動力POWERCOMになるように、補正項θTHASSISTを算出している。 【0062】ステップS34の処理により、図13のステップS43でモータ出力指令値MOTORCOMが減少方向に補正されたときは、モータ出力の減少分に対応して、補正項θTHASSISTが増加し、モータ出力の減少分がエンジン出力で補償され、良好な運転性が維持される。 【0063】一方図6のステップS12では、現在の回生モードが減速回生モードであるか否かを判別する。この判別は、余裕出力EXPOWERに基づいて行い、EXPOWER<0であるか否か(または0近傍の負の所定値より小さいか否か)を判別することにより行う。なお、この判別はアクセル開度θAPの変化量DAPが負の所定量DAPDより小さいか否かを判別することにより行うようにしてもよい(その場合には、DAP<DAPDのとき減速回生モードと判別し、DAP≧DAPDであるときクルーズ回生モードと判別する)。 【0064】ステップS12で、余裕出力EXPOWERが0より小さいとき(0近傍の負の所定値より小さいとき)には、減速回生モードと判別して、モータ要求出力MOTORPOWERを減速回生出力REGPOWERに設定する(ステップS13)。ここで、減速回生出力REGPOWERは、図示しない減速回生処理ルーチンで算出されたものを使用する。 【0065】続くステップS14では、減速回生モードにおける最適なスロットル弁開度の目標値θTHO、すなわち上記減速回生処理ルーチンで算出されたスロットル弁開度の目標値θTHOを読込んで設定した後に、ステップS19に進む。 【0066】一方、ステップS12で、余裕出力EXPOWERが0近傍の値であるとき(ステップS8の答が否定(NO)であるので走行状態VSTATUSは、0である)には、クルーズ充電モードと判別して、モータ要求出力MOTORPOWERをクルーズ充電出力CRUISEPOWERに設定する(ステップS15)。ここで、クルーズ充電出力CRUISEPOWERは、図示しないクルーズ充電処理ルーチンで算出されたものを使用する。 【0067】続くステップS16では、前記ステップS10と同様に、モータ要求出力MOTORPOWERを目標に時定数をもってモータ出力指令値MOTORCOMに変換し、ステップS17では、このモータ出力指令値MOTORCOMに応じて、スロットル弁開度の目標値θTHOを開方向に制御するための補正項(増量値)θTHSUBを算出した後に、ステップS18に進む。 【0068】ここで、補正項θTHSUBを算出するのは、前記補正項θTHASSISTを算出した理由とちょうど逆の理由による。 【0069】すなわち、クルーズ充電モードのときには、モータ要求出力MOTORPOWERとしては、アシストモードのときのモータ要求出力MOTORPOWERと逆符号の値が設定される。すなわち、クルーズ充電モードのときのモータ出力指令値MOTORCOMにより、モータ3は、目標駆動力POWERCOMを減少させる方向に制御される。このため、クルーズ充電モードのときに、目標駆動力POWERCOMを維持するためには、モータ出力指令値MOTORCOMにより減少した出力分を、エンジン1側の出力によって賄わなければならないからである。 【0070】ステップS18では、次式(4)によりスロットル弁開度の目標値θTHOを算出する。 【0071】 θTHO=θTHCOM+θTHADD+θTHSUB−θTHASSIST ‥‥(4) 続くステップS19では、スロットル弁開度の目標値θTHOが所定値θTHREF以上であるか否かを判別し、θTHO<θTHREFのときには、吸気管内絶対圧PBAが所定値PBAREF以下であるか否かを判別する(ステップS20)。 【0072】ステップS20で、PBA>PBAREFのときには、本駆動力配分処理を終了する一方、ステップS19で、θTHO≧θTHREFのとき、またはステップS20で、PBA≦PBAREFのときには、変速機構4の変速比を低速比(Low)側に変更した(ステップS21)後に、本駆動力配分処理を終了する。 【0073】ステップS21に処理が移行する状態は、スーパーキャパシタ14の残容量が減少してモータ要求出力MOTORPOWERが減少し、この減少分をエンジン1側で賄う必要があるが、エンジン1側ではこれ以上出力を上げらない状態である。このときには、変速機構4の変速比を低速比側に変更して、前記駆動軸2に発生するトルクを一定(ステップS21に移行する前と同じトルク)に維持し、ドライバビリティを維持している。なお、この変速比の変更処理は、実際には、T/MECU16が、MOTECU12からの指示にしたがって実行する。 【0074】次にENGECU11が実行するエンジン制御について説明する。 【0075】図15は、エンジン制御処理の全体構成を示すフローチャートであり、本処理は、前記ENGECU11により、たとえば所定時間毎に実行される。 【0076】先ずエンジン回転数NE、吸気管内絶対圧PBA等の各種エンジン運転パラメータの検出を行い(ステップS131)、次いで運転状態判別処理(ステップS132)、燃料制御処理(ステップS133)、点火時期制御処理(ステップS134)及びDBW制御処理(ステップS135)を順次実行する。 【0077】すなわち、エンジン回転数NE、吸気管内絶対圧PBA等に応じた燃料噴射量の制御、及び点火時期の制御を行うとともに、実際のスロットル弁開度θTHが、図6のステップS18で算出したスロットル弁開度の目標値θTHOとなるように、スロットルアクチュエータ105の駆動制御を行う(ステップS135)。 【0078】上述した実施形態では、図6のステップS31〜S33が駆動補助制御手段に相当し、アクセル開度θAPが加速要求パラメータに相当し、アクセル開度センサ120が加速要求検出手段に相当し、車速VCARまたはエンジン回転数NEが、エンジン出力に対応した出力パラメータに相当し、車速センサ119またはエンジン回転数センサ111が出力パラメータ検出手段に相当し、図6のステップS34、S18及び図15のステップS135がエンジン出力補正手段する。 【0079】(第2の実施形態)本実施形態は、図13のアシスト抑制処理を、図16に示すアシスト抑制処理に代えたものであり、これ以外の点は第1の実施形態と同一である。 【0080】図13のステップS51、S52では、エンジン回転数NEが所定回転数閾値NEH(例えば、2500rpm)より高いか否か、及び車速VCARが所定車速閾値VCARH(例えば、80km/h)より高いか否かを判別し、NE>NEHであるとき、またはVCAR>VCARHであるときは、図13のステップS43と同様のモータ出力指令値MOTORCOMの減少方向の補正を実行し(ステップS53)、NE≦NEHかつVCAR≦VCARHであるときは、モータ出力指令値MOTORCOMの補正を行うことなく処理を終了する。 【0081】図16の処理により、例えば図17に示すように車速VCARが所定車速閾値VCARHを越える時刻t1において、モータ出力指令値MOTORCOMが減算補正項DMOTORCOMだけ減少方向に補正される。これにより、高車速時またはエンジンの高回転時におけるアシストが抑制され、電気エネルギのむだな消費を抑制することができる。またこの場合も、図6のステップS34の処理により、エンジン出力EPOWERがモータ出力の減少分に対応した加算補正値DEPOWER分だけ増加補正され、運転性が確保される。なお、図17の例では、車速VCARが所定車速閾値に達する時刻t1において、エンジン回転数NEも所定回転数閾値NEHに達する場合が示されている。 【0082】本実施形態では、所定回転数閾値NEHまたは所定車速閾値VCARHが、特許請求の範囲に記載した「所定出力閾値」に相当する。 【0083】(その他の実施形態)なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の形態で実施することができる。たとえば、蓄電手段としては、スーパーキャパシタだけでなく、バッテリを用いていてもよい。 【0084】また加速要求パラメータは、アクセル開度θAPに限らず、スロットル弁開度θTHを用いてもよい。その場合には、スロットル弁開度センサ104が、加速要求検出手段に相当する。 【0085】また図13のステップS43または図16のステップS53では、モータ出力指令値MOTORCOMを減少方向に補正するようにしたが、モータ出力指令値MOTORCOMを「0」に設定し、アシストを行わないようにしてもよい。 【0086】また、いわゆるDBW型のスロットル弁に代えて、通常のアクセルペダルと機械的にリンクしたスロットル弁を備えたエンジンでもよい。その場合、モータ出力に応じた吸入空気量の制御は、スロットル弁をバイパスする通路と、その通路の途中に設けた制御弁により行うようにすればよい。さらに、吸入空気量の制御は、電磁駆動型の吸気弁(カム機構ではなく、電磁的に駆動される吸気弁)を備えたエンジンでは、吸気弁の開弁期間を変更することにより行うようにしてもよい。 【0087】また、変速機構4は、変速比を無段階に変更可能な無段変速機構としてもよく、その場合にはギヤ位置GPを検出することに代えて、駆動軸と従動軸の回転数比から変速比を求めるようにする。 【0088】 【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、検出したエンジンの出力パラメータの値が所定出力閾値を越えたときは、モータの出力が減少方向に補正され、モータによる駆動補助が抑制されるので、車速、あるいはエンジン回転数の高い高出力状態での駆動補助が抑制され、モータ駆動用の電気エネルギが節約され、低車速時のように駆動補助が必須の場合に十分な駆動補助を実行することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月28日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】渡部 敏彦
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| 【公開番号】 |
特開平11−164406 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)6月18日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−344304 |
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