トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 ハイブリッド自動車の制御装置
【発明者】 【氏名】森田 比呂志

【要約】 【課題】減速エネルギの回生効率および運転性を向上することである。

【解決手段】原動機としてのエンジン3および原動機かつ発電機としてのモータ1のそれぞれの出力軸を車両の駆動輪2に連結し、エンジン3およびモータ1の少なくとも一方の駆動力により車両を駆動するとともに、モータ1を発電機として機能させることにより減速エネルギを回生する。ブレーキが非作動から作動に変化した時点で、クラッチ4を切断してエンジン3を切り離し、クラッチ4を接続していると仮定した場合に発生するエンジンブレーキとしての制動力と、ブレーキの操作量に応じた要求制動力の一部または全部との和に相当する負荷をモータ1に発生させつつエネルギの回生を実施するようモータ1を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原動機としてのエンジンおよび原動機かつ発電機としてのモータのそれぞれの出力軸を車両の駆動輪に連結し、該エンジンおよび該モータの少なくとも一方の駆動力により車両を駆動するとともに、該モータを発電機として機能させることによりエネルギを回生するようにしたハイブリッド自動車の制御装置において、前記エンジンの前記出力軸の前記駆動輪に対する連結を選択的に切断するクラッチ手段と、ブレーキの作動に伴う要求制動力を検出するブレーキ状態検出手段と、ブレーキが非作動から作動に変化した時点で、前記クラッチ手段を切断して前記モータによりエネルギの回生を実施するとともに、該クラッチ手段を接続している場合のエンジンブレーキとしての制動力と、前記ブレーキ状態検出手段により検出された要求制動力の一部または全部との和に相当する負荷を発生するよう前記モータを制御する制御手段とを備えたことを特徴とするハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項2】 車両の速度を検出する車速検出手段と、前記エンジンの前記出力軸の前記駆動輪との連結部に介装された変速機の変速比を検出する変速比検出手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記車速検出手段により検出された車速と前記変速比検出手段により検出された変速比とから前記クラッチ手段を接続していると仮定した場合におけるエンジン回転数である想定エンジン回転数を求め、該想定エンジン回転数に基づき、前記エンジンブレーキとしての制動力を求めることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項3】 前記変速機は運転者の操作によるシフト位置に応じて切り替えられるドライブレンジおよびニュートラルレンジを有し、前記制御手段は、前記変速機をドライブレンジからニュートラルレンジにシフト位置とは無関係に強制設定することにより前記クラッチ手段の機能を実現することを特徴とする請求項2記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項4】 前記制御手段は、前記車速検出手段により検出された車速が予め決められた所定値よりも高い場合には、前記制御を行わないことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項5】 前記制御手段は、前記ブレーキ状態検出手段により検出された要求制動力が予め決められた所定値よりも高い場合には、前記制御を行わないことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原動機としてのエンジンおよび原動機かつ発電機としてのモータの少なくとも一方の駆動力により車両を駆動するとともに、該モータを発電機として機能させることによりエネルギを回生するようにしたハイブリッド自動車の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のハイブリッド自動車としては、例えば、実開平6−14445号公報に開示されているようなものが知られている。このハイブリッド自動車は、原動機としてのエンジンと、原動機かつ発電機としてのモータを備え、エンジンの出力軸(クランク軸)およびモータの回転軸(入出力軸)はそれぞれ変速機の入力軸に連結され、該変速機の出力軸がディファレンシャル装置を介して駆動輪の車軸に連結されている。エンジンと変速機の間およびモータと変速機の間にはそれぞれクラッチが介装されており、これらの間の連結を選択的に切断できるようになっている。
【0003】車両の推進は、エンジンおよびモータのいずれか一方または双方の駆動力によって行われ、ブレーキスイッチがオンされたときに、モータを発電機として機能させて減速エネルギを回生するとともに、エンジンと変速機の間のクラッチを切断することによりエンジンを切り離して減速エネルギの回生効率を向上するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のハイブリッド自動車においては、車両減速時にエンジンと変速機の間のクラッチを単に切断するものであるから、エンジンを切り離さないものと比較してエネルギの回生効率は向上するが、エンジンフリクション等によるエンジンブレーキの作用が無くなり、運転者は通常はエンジンブレーキの作用による減速が行われることを期待しているため、運転性が悪化するという問題があった。
【0005】また、従来のハイブリッド自動車においては、ブレーキの作動をトリガとして、減速エネルギの回生やエンジンと変速機の間のクラッチの切断等の制御を実施するが、ブレーキの操作量は全く考慮されていないため、減速エネルギの一部は回生されるものの、その多くはブレーキの作動に伴い熱として無駄に消費されており、非効率的であるという問題があった。
【0006】本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、減速エネルギの回生効率を向上するとともに、運転性を向上することができるハイブリッド自動車の制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明のハイブリッド自動車の制御装置は、原動機としてのエンジンおよび原動機かつ発電機としてのモータのそれぞれの出力軸を車両の駆動輪に連結し、該エンジンおよび該モータの少なくとも一方の駆動力により車両を駆動するとともに、該モータを発電機として機能させることによりエネルギを回生するようにしたハイブリッド自動車の制御装置において、前記エンジンの前記出力軸の前記駆動輪に対する連結を選択的に切断するクラッチ手段と、ブレーキの作動に伴う要求制動力を検出するブレーキ状態検出手段と、ブレーキが非作動から作動に変化した時点で、前記クラッチ手段を切断して前記モータによりエネルギの回生を実施するとともに、該クラッチ手段を接続している場合のエンジンブレーキとしての制動力と、前記ブレーキ状態検出手段により検出された要求制動力の一部または全部との和に相当する負荷を発生するよう前記モータを制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】請求項1記載の本発明のハイブリッド自動車の制御装置では、減速エネルギの回生効率を向上すべくクラッチ手段を切断してエンジンを切り離した場合に、該クラッチ手段を接続していると仮定した場合に発生するエンジンブレーキとしての制動力と、ブレーキの作動に伴う要求制動力の一部または全部との和に相当する負荷を発生するようモータを制御するようにしたから、モータによってエンジンブレーキに相当する減速がなされることになり、エンジンの切り離しの有無により生じるブレーキ操作の違和感を無くすことができ、運転性を向上することができるとともに、要求制動力の大小に応じてモータが発生する負荷に対応するエネルギをも回生することが可能となり、エネルギの回生効率をさらに向上することができる。
【0009】上記目的を達成するために、請求項2記載の本発明のハイブリッド自動車の制御装置は、請求項1記載のハイブリッド自動車の制御装置において、車両の速度を検出する車速検出手段と、前記エンジンの前記出力軸の前記駆動輪との連結部に介装された変速機の変速比を検出する変速比検出手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記車速検出手段により検出された車速と前記変速比検出手段により検出された変速比とから前記クラッチ手段を接続していると仮定した場合におけるエンジン回転数である想定エンジン回転数を求め、該想定エンジン回転数に基づき、前記エンジンブレーキとしての制動力を求めることを特徴とする。
【0010】請求項2記載の本発明のハイブリッド自動車の制御装置では、車速と変速比から想定エンジン回転数を求め、これに基づきエンジンブレーキとしての制動力を求めて、モータにより該制動力に相当する負荷を発生させるようにしたから、実際のエンジンフリクションによる制動力にきわめて近い状態を再現することができ、エンジンの切り離しに伴う運転性の低下を少なくすることができる。
【0011】上記目的を達成するために、請求項3記載の本発明のハイブリッド自動車の制御装置は、請求項2記載のハイブリッド自動車の制御装置において、前記変速機は運転者の操作によるシフト位置に応じて切り替えられるドライブレンジおよびニュートラルレンジを有し、前記制御手段は、前記変速機をドライブレンジからニュートラルレンジにシフト位置とは無関係に強制設定することにより前記クラッチ手段の機能を実現することを特徴とする。
【0012】請求項3記載の本発明のハイブリッド自動車の制御装置は、ブレーキ作動時にエンジンを切り離すクラッチ手段の機能を変速機の見かけ上のシフト位置はそのままで、ドライブレンジからニュートラルレンジに強制設定することにより実現するようにしたものである。
【0013】上記目的を達成するために、請求項4記載の本発明のハイブリッド自動車の制御装置は、請求項1記載のハイブリッド自動車の制御装置において、前記制御手段は、前記車速検出手段により検出された車速が予め決められた所定値よりも高い場合には、前記制御を行わないことを特徴とする。
【0014】請求項4記載の本発明のハイブリッド自動車の制御装置は、高速走行中の場合には、前記制御を行うと、モータの回転数が極めて高くなる場合があり、モータに対する負担が大きくなる場合があるので、これを防止するようにしたものである。
【0015】上記目的を達成するために、請求項5記載の本発明のハイブリッド自動車の制御装置は、請求項1記載のハイブリッド自動車の制御装置において、前記制御手段は、前記ブレーキ状態検出手段により検出された要求制動力が予め決められた所定値よりも高い場合には、前記制御を行わないことを特徴とする。
【0016】請求項5記載の本発明のハイブリッド自動車の制御装置は、いわゆる急ブレーキをかけた場合には、クラッチ手段を切断すると、モータに対して極めて急激に大きな力が作用し、モータに対する負担が大きくなるので、これを防止するようにしたものである。
【0017】
【発明の効果】請求項1記載のハイブリッド自動車の制御装置によれば、エンジンの切り離しの有無により生じるブレーキ操作の違和感を無くすことができ、運転性を向上することができるとともに、減速エネルギの回生効率を向上することができるという効果がある。
【0018】請求項2および3記載のハイブリッド自動車の制御装置によれば、請求項1についての前記効果に加えて、実際のエンジンフリクションによる制動力にきわめて近い状態を再現することができ、運転性をさらに向上することができるという効果がある。
【0019】請求項4記載のハイブリッド自動車の制御装置によれば、請求項1についての前記効果に加えて、高速運転中に減速する場合におけるモータに対する負担が軽減され、モータ寿命を長くすることができるという効果がある。
【0020】請求項5載のハイブリッド自動車の制御装置によれば、請求項1についての前記効果に加えて、急減速する場合におけるモータに対する負担が軽減され、モータ寿命を長くすることができるという効果がある。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態のハイブリッド自動車の要部構成を示す図、図2は本発明の実施形態の制御手段の各種信号の入出力を示す図である。
【0022】図1において、1は車両駆動及びエネルギの回生に用いられる第1モータ(電気モータ)であり、この第1モータ1の出力軸は差動装置9を介して駆動輪2の車軸に連結されている。
【0023】3は電子制御式のスロットル弁及び燃料噴射弁を有するエンジンであり、エンジン3の出力軸(クランク軸)はトルクコンバータ11、無段変速機10(CVT)を介して第1モータ1の出力軸に連結されている。エンジン3の出力軸と該無段変速機10の入力軸は第1クラッチ4を介して連結されており、これらの間を選択的に接続又は切断できるようになっている。
【0024】5はエアコン等の補機6の駆動及びエンジン3を回転駆動するための第2モータ(電気モータ)である。第2モータ5の出力軸は減速機を介してエンジンの出力軸(クランク軸)に連結されている。第2モータ5の出力軸と該減速機の入力軸は第2クラッチ7を介して連結されており、これらの間を選択的に接続又は切断できるようになっている。
【0025】また、図示は省略しているが、このハイブリッド自動車は、エンジン3の回転数を検出するエンジン回転数検出手段、第1モータ1の回転数を検出する第1モータ回転数検出手段、第2モータ5の回転数を検出する第2モータ回転数検出手段、ブレーキのオン(作動)若しくはオフ(非作動)またはその操作量を検出するブレーキ状態検出手段(ブレーキセンサ)、アクセルの作動状態を検出するアクセル状態検出手段(アクセルセンサ)、車両の速度を検出する車速検出手段、第1クラッチ4のオン(接続)又はオフ(切断)を検出する第1クラッチ状態検出手段、第2クラッチ7のオン(接続)又はオフ(切断)を検出する第2クラッチ状態検出手段、無断変速機10の変速比を検出する変速比検出手段、無段変速機10のシフト位置を検出するシフト位置検出手段を備えている。
【0026】これらの各手段からの信号は、図2に示されているように、車両走行状態判別手段、各部指令モード判定手段を含む制御手段8に入力される。即ち、エンジン回転数検出手段によるエンジン回転数Ne、第1モータ回転数検出手段による第1モータ回転数Nma、第2モータ回転数検出手段による第2モータ回転数Nmb、ブレーキ状態検出手段によるブレーキセンサ信号BR、アクセル状態検出手段によるアクセルセンサ信号AC、車速検出手段による車速VSP、第1クラッチ状態検出手段による第1クラッチ断接信号CL1、第2クラッチ状態検出手段による第2クラッチ断接信号CL2、変速比検出手段による変速比検出信号GRは、それぞれ制御手段8に入力される。
【0027】制御手段8は、これらの信号及びその他の信号やデータ等に基づき、第1クラッチ4、第2クラッチ7、第1モータ1、第2モータ5、及びエンジン(スロットル弁や燃料噴射弁等)3に対して、第1クラッチ指令信号MCL1を含む各種の指令信号を出力し、これらを制御する。
【0028】図3は本発明の実施形態の制御手段による処理を示すフローチャートである。まず、制御手段8は各部(各手段)からの信号を読み込む(S1)。即ち、エンジン回転数Ne、第1モータ回転数Nma、第2モータ回転数Nmb、ブレーキセンサ信号BR、アクセルセンサ信号AC、車速信号VSP、第1クラッチ断接信号CL1、第2クラッチ断接信号CL2および変速比検出信号GRを読み込む。
【0029】次いで、現在の車速VSPが予め設定された所定値(設定車速)VSET未満か否かを判断し(S2)、現在の車速VSPが所定値VSET未満であると判断した場合(Yの場合)には、アクセルセンサ信号AC=0(オフ)か否かを判断する(S3)。S3でアクセルセンサ信号AC=0であると判断した場合(Yの場合)には、第1クラッチ4に対して現在指令している第1クラッチ指令信号MCL1=1(接続)か否かを判断する(S4)。
【0030】S4で第1クラッチ指令信号MCL1=1である、すなわち接続されていると判断した場合(Yの場合)には、第1モータ1が発生すべきエンジンフリクションによる制動力に相当する負荷TEF=0とする(S5)。
【0031】その後、ブレーキセンサ信号BR=0(オフ)か否かを判断し(S6)、ブレーキセンサ信号BR=0でない、すなわちブレーキが踏み込まれたと判断した場合(Nの場合)には、ブレーキの踏み込み量(操作量)BRが予め設定された所定値(設定操作量)BRSET以下であるか否かを判断する(S7)。この設定操作量は、例えば急ブレーキをかけた場合の減速力に基づき予め決定され、記憶手段に記憶保持されている。
【0032】S7でブレーキの踏み込み量BRが所定値BRSET以下でないと判断した場合(Nの場合)には、第1クラッチを切断することなくS8に進み、予め準備されたデータテーブルにしたがって、ブレーキの踏み込み量に応じた要求制動力に相当する負荷TBRを求める(S8)。このデータテーブルは、ブレーキの踏み込み量(操作量)と負荷TBRとの関係が予め実験的あるいは理論的に求められ、図示しない記憶手段に記憶保持されている。
【0033】その後、エンジンフリクションによる制動力に相当する負荷TEFとブレーキの踏み込み量による要求制動力に相当する負荷TBRとを加算して、第1モータ1に発生させるべき目標負荷TMGを求める(S9)。
【0034】次いで、第1クラッチ4を切断または接続するための第1クラッチ指令信号MCL1を出力し(S10)、第1モータ1に対する指令信号として目標負荷TMGを出力して(S11)、この処理を終了する。
【0035】S2で現在の車速VSPが所定値VSET未満でないと判断した場合(Nの場合)、およびS3でアクセルセンサ信号AC=0でない、すなわちアクセル作動と判断した場合(Nの場合)には、第1クラッチ4に対する第1クラッチ指令信号MCL1=1として(S12)、この処理を終了する。
【0036】S4で第1クラッチ指令信号MCL1=1でないと判断した場合(Nの場合)には、現在の車速VSPと変速比(ギア比)に基づき、第1クラッチ4を接続していると仮定した場合の想定エンジン回転数Neを求め(S13)、この想定エンジン回転数Neに基づき、データテーブルをマップ検索することにより想定フリクションTEFを求める(S14)。
【0037】ここで、S13およびS14を詳細に説明する。制御手段8は、図4に示されているように、無段変速機10のコースト(アクセルオフ)時の変速比との関係における車速VSPとエンジン回転数Neとの関係を示すデータを有しているとともに、図5に示されているように、エンジン回転数NeとエンジンフリクショントルクTEFとの関係を示すデータを有している。これらのデータは予め実験的あるいは理論的に求められて、図示しない記憶手段に記憶保持されている。
【0038】制御手段8は、車速検出手段による現在の車速と変速比検出手段による現在の変速比に基づき、図4に示したデータが設定されたデータテーブルを検索して対応するエンジン回転数(想定エンジン回転数)Neを求め、このエンジン回転数Neに基づき、図5に示したデータが設定されたデータテーブルを検索して対応するエンジンフリクショントルク(想定フリクション)TEFを求める。
【0039】再び図3を参照する。S14で想定フリクションTEFを求めた後、ブレーキセンサ信号BR=0(オフ)か否かを判断し(S15)、ブレーキセンサ信号BR=0でない、すなわちブレーキが踏み込まれたと判断した場合(Nの場合)には、S8に進み、ブレーキセンサ信号BR=0である、すなわちブレーキが踏み込まれていないと判断した場合(Yの場合)には、ブレーキの踏み込み量による要求制動力は0であるから、これに相当する負荷TBR=0として(S16)、S9に進む。
【0040】S6でブレーキセンサ信号BR=0である、すなわちブレーキが踏み込まれていないと判断した場合(Yの場合)には、ブレーキの踏み込み量による要求制動力は0であるから、これに相当する負荷TBR=0として(S17)、S9に進む。S7でブレーキの踏み込み量BRが所定値BRSET以下であると判断した場合(Yの場合)には、第1クラッチ4に対する第1クラッチ指令信号MCL1=0として(S18)、S8に進む。
【0041】この実施形態における変速機10は、D(ドライブ)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、その他のレンジを有しており、これらのレンジは運転者によるシフトレバーの位置変更により変更される。そして、第1クラッチ4によるエンジン切り離し機能は、変速機10のNレンジによって実現される。
【0042】すなわち、図6に示されているように、エンジン3を切り離す場合には、制御手段8は変速機10を制御する変速機コントロールユニット12に対して第1クラッチ4の切断を指令するための指令信号MCL1=0を送り、変速機コントロールユニット12はこの指令信号にしたがってライン圧ソレノイド13にドレーン信号を送る。
【0043】通常、Dレンジでは、車速、アクセル開度等の信号に基づき、ライン圧ソレノイドをデューティー制御し、所定の変速比を得ている。このライン圧がドレーンされると、変速機10のフォワードクラッチ、ハイクラッチがオフ状態となり、Dレンジにもかかわらず、N(ニュートラル)状態とすることができ、これによってエンジン3を切り離すようにしている。
【0044】図7は本発明の実施形態の各部の作動とトルクや回転数の変化等の関係を示す図である。上から順に、(a)はアクセルのオン・オフ、(b)はブレーキのオン・オフ、(c)は車速の変化、(d)は第1モータトルクの変化、(e)はエンジントルクの変化、(f)はエンジン回転数の変化、(g)は第1クラッチのオン・オフを示している。なお、横軸は時間(t)を示している。
【0045】簡単に説明すると、アクセルが解放、すなわちアクセルセンサ信号がオフになると((a)のt1)、エンジントルクが減少し((e)のt1)、次いで、ブレーキが踏み込まれると、すなわちブレーキセンサ信号がオンになると((b)のt2)、第1クラッチ4がオフ(切断)となり((g)のt2)、エンジン回転数が降下し((f)のt2)、これと同時に第1モータ1がエンジンブレーキに相当する負荷およびブレーキの操作量に相当する負荷を発生し、すなわち第1モータトルクが大きく負となって、これらの負荷に相当するエネルギの回生が実施され((d)のt2)、これに伴い車速が減少する((c)のt3)。
【0046】その後、ブレーキが解放、すなわちブレーキセンサ信号がオフになると((b)のt3)、第1モータ1が発生する負荷はブレーキ操作量に応じた負荷の分だけ減少されて、エンジンブレーキに相当する負荷のみとなり、第1モータトルクは小さく負となって、この負荷に相当するエネルギの回生が実施される((d)のt3)。
【0047】上述した実施形態によると、アクセルがオフでブレーキがオフからオンになったことが検出された時点で、第1クラッチ4を切断してエンジン3のクランク軸を第1モータ1の回転軸から切り離すようにしているから、エンジン3のエンジンフリクション等によるエネルギの消費分に相当するエネルギをも回生することができ、減速エネルギの回生量を多くすることができる。
【0048】また、減速エネルギの回生中にエンジン1を切り離すことにより、減速エネルギの回生量は多くなるが、エンジンフリクションによるエンジンブレーキの作用が無くなると、運転者は通常はエンジンブレーキの作用による減速が行われることを期待しているので、運転性が悪化してしまう。
【0049】そこで、この実施形態では、車速VSPと変速比GRに基づき想定エンジン回転数Neを求め、この想定エンジン回転数Neに基づきエンジンフリクショントルクTEFを求めて、これに相当する負荷を第1モータ4によって発生させるようにしたから、第1クラッチ4を接続している場合におけるエンジン3による負荷、すなわちエンジンブレーキに相当する負荷が発生することとなり、エンジンブレーキ相当の減速が行われることになるから、運転性を向上することができる。
【0050】さらに、ブレーキをオンした場合にはブレーキの操作量に応じて、ブレーキ制動分(TBR)の一部あるいは全部に相当する負荷を発生させるようにしたから、この負荷に相当するエネルギをさらに回生することができ、減速エネルギの回生効率を向上することができる。
【0051】なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】前田 均 (外1名)
【公開番号】 特開平11−164404
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−342025