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【発明の名称】 車両制御装置
【発明者】 【氏名】深津 利成

【要約】 【課題】この発明は、二つの直流他励モータを制御することができる小型の車両制御装置を提供することを課題とする。

【解決手段】駆動回路39は、電機子電流検出器36、界磁電流検出器23及び34からそれぞれ検出値を入力し、互いに直列に接続された第1及び第2のモータの電機子13及び24に共通の電機子チョッパ素子37をオン/オフすると共に界磁電流制御回路部17及び28内の界磁チョッパ素子18〜21及び29〜32をオン/オフすることにより、第1及び第2のモータの電機子電流及び界磁電流をそれぞれ制御して双方のモータを所望の回転数あるいはトルクで駆動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 それぞれバッテリの両端間に接続された第1及び第2の界磁電流制御回路部の複数の界磁チョッパ素子を駆動回路でオン/オフ制御することにより第1及び第2のモータの界磁巻線に流れる電流を制御する車両制御装置において、バッテリの両端間に第1のモータの電機子と第2のモータの電機子と第1及び第2のモータに共通の電機子チョッパ素子とを互いに直列に接続し、この共通の電機子チョッパ素子を駆動回路によりオン/オフ制御することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】 第1のモータの電機子と第2のモータの電機子との直列回路に並列に回生制動制御用の電機子チョッパ素子を接続し、駆動回路で回生制動制御用の電機子チョッパ素子をオン/オフ制御することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両制御装置に係り、特に二つの直流他励モータを用いて駆動する車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図3に二モータ式の三輪フォークリフトを概略的に示す。駆動輪となる前輪1及び2と操舵輪となる一つの後輪3が設けられており、左右の前輪1及び2にそれぞれ減速機4及び5を介して第1及び第2の直流他励モータ6及び7が連結されている。前輪1及び2を互いに同一方向に同一回転数で回転することにより、車両の前方あるいは後方への直進が行われる。また、後輪3を操舵すると共に旋回半径に応じて左右の前輪1及び2の回転数に差を設けることによって車両の旋回を行うことができ、特に旋回の内側になる前輪を外側の前輪に対して逆回転させることにより、さらに旋回半径を小さくすることができる。
【0003】このようなフォークリフトのモータ6及び7を駆動制御する従来の車両制御装置の回路構成を図4に示す。バッテリ11の正極にスイッチ12の一端が接続され、このスイッチ12の他端とバッテリ11の負極との間に第1のモータ6の電機子13、電機子電流検出器14及び電機子チョッパ素子15が直列に接続されると共に、電機子13と電機子電流検出器14との直列回路に並列にフライホイールダイオード16が接続されている。また、スイッチ12の他端とバッテリ11の負極との間に、第1のモータ6用の界磁電流制御回路部17が接続されている。この界磁電流制御回路部17は、第1及び第2の界磁チョッパ素子18及び19の直列回路と、第3及び第4の界磁チョッパ素子20及び21の直列回路とが互いに並列に接続されたもので、第1及び第2の界磁チョッパ素子18及び19の接続点Aと第3及び第4の界磁チョッパ素子20及び21の接続点Bとの間に第1のモータ6の界磁巻線22及び界磁電流検出器23が直列に接続されている。
【0004】同様に、スイッチ12の他端とバッテリ11の負極との間に第2のモータ7の電機子24、電機子電流検出器25及び電機子チョッパ素子26が直列に接続されると共に、電機子24と電機子電流検出器25との直列回路に並列にフライホイールダイオード27が接続されている。また、スイッチ12の他端とバッテリ11の負極との間に、第2のモータ7用の界磁電流制御回路部28が接続されている。この界磁電流制御回路部28は、第1及び第2の界磁チョッパ素子29及び30の直列回路と、第3及び第4の界磁チョッパ素子31及び32の直列回路とが互いに並列に接続されたもので、第1及び第2の界磁チョッパ素子29及び30の接続点Cと第3及び第4の界磁チョッパ素子31及び32の接続点Dとの間に第2のモータ7の界磁巻線33及び界磁電流検出器34が直列に接続されている。
【0005】第1のモータ6用の電機子チョッパ素子15及び界磁電流制御回路部17の第1〜第4の界磁チョッパ素子18〜21と第2のモータ7用の電機子チョッパ素子26及び界磁電流制御回路部28の第1〜第4の界磁チョッパ素子29〜32の各ゲート端子はそれぞれ駆動回路35に接続されている。駆動回路35は、電機子チョッパ素子15及び第1〜第4の界磁チョッパ素子18〜21をオン/オフすることにより第1のモータ6の電機子電流及び界磁電流を制御すると共に、電機子チョッパ素子26及び第1〜第4の界磁チョッパ素子29〜32をオン/オフすることにより第2のモータ7の電機子電流及び界磁電流を制御する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4から分かるように、従来の車両制御装置は、第1のモータ6を駆動制御するための制御回路と第2のモータ7を駆動制御するための制御回路とが互いに並列に接続された回路構成を有しているために、制御装置を構成する素子、特に大電流を制御するための素子の個数が多く、車両制御装置全体が大型化するという問題点があった。この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、二つの直流他励モータを制御することができる小型の車両制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る車両制御装置は、それぞれバッテリの両端間に接続された第1及び第2の界磁電流制御回路部の複数の界磁チョッパ素子を駆動回路でオン/オフ制御することにより第1及び第2のモータの界磁巻線に流れる電流を制御する車両制御装置において、バッテリの両端間に第1のモータの電機子と第2のモータの電機子と第1及び第2のモータに共通の電機子チョッパ素子とを互いに直列に接続し、この共通の電機子チョッパ素子を駆動回路によりオン/オフ制御するものである。なお、第1のモータの電機子と第2のモータの電機子との直列回路に並列に回生制動制御用の電機子チョッパ素子を接続し、この電機子チョッパ素子を駆動回路によってオン/オフして回生制動の制御を行うこともできる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.図1にこの発明の実施の形態1に係る車両制御装置の回路構成を示す。この車両制御装置は、図3に示した三輪フォークリフトのように、左右の前輪1及び2にそれぞれ減速機4及び5を介して連結された第1及び第2の直流他励モータ6及び7を駆動制御するための装置である。バッテリ11の正極にスイッチ12の一端が接続され、このスイッチ12の他端とバッテリ11の負極との間に第1のモータ6の電機子13、第2のモータ7の電機子24、電機子電流検出器36及び電機子チョッパ素子37が直列に接続されると共に、電機子13及び24と電機子電流検出器36との直列回路に並列にフライホイールダイオード38が接続されている。電機子電流検出器36、電機子チョッパ素子37及びフライホイールダイオード38は、それぞれ第1のモータ6と第2のモータ7に共通の部材である。
【0009】スイッチ12の他端とバッテリ11の負極との間に、第1のモータ6用の界磁電流制御回路部17が接続されている。この界磁電流制御回路部17は、第1及び第2の界磁チョッパ素子18及び19の直列回路と、第3及び第4の界磁チョッパ素子20及び21の直列回路とが互いに並列に接続されたもので、第1及び第2の界磁チョッパ素子18及び19の接続点Aと第3及び第4の界磁チョッパ素子20及び21の接続点Bとの間に第1のモータ6の界磁巻線22及び界磁電流検出器23が直列に接続されている。
【0010】同様に、スイッチ12の他端とバッテリ11の負極との間に第2のモータ7用の界磁電流制御回路部28が接続されている。この界磁電流制御回路部28は、第1及び第2の界磁チョッパ素子29及び30の直列回路と、第3及び第4の界磁チョッパ素子31及び32の直列回路とが互いに並列に接続されたもので、第1及び第2の界磁チョッパ素子29及び30の接続点Cと第3及び第4の界磁チョッパ素子31及び32の接続点Dとの間に第2のモータ7の界磁巻線33及び界磁電流検出器34が直列に接続されている。
【0011】さらに、共通の電機子チョッパ素子37と界磁電流制御回路部17及び28の各界磁チョッパ素子18〜21及び29〜32の各ゲート端子にそれぞれ駆動回路39が接続されている。
【0012】すなわち、この実施の形態1に係る制御装置は、図4に示した従来の車両制御装置において、第1のモータ6の電機子13を制御するための電機子電流検出器14、電機子チョッパ素子15及びフライホイールダイオード16と第2のモータ7の電機子24を制御するための電機子電流検出器25、電機子チョッパ素子26及びフライホイールダイオード27とを互いに別々に設ける代わりに、第1のモータ6の電機子13と第2のモータ7の電機子24とを互いに直列に接続し、これらの電機子に共通の電機子電流検出器36、電機子チョッパ素子37及びフライホイールダイオード38を接続したものである。
【0013】次に、この車両制御装置の動作について説明する。まず、第1のモータ6の電機子13及び第2のモータ7の電機子24の印加電圧と電流は、共通の電機子チョッパ素子37をオン/オフすることにより制御される。電機子チョッパ素子37がオンのときには、バッテリ11からスイッチ12、電機子13及び24、電機子電流検出器36及び電機子チョッパ素子37を経てバッテリ11へと電流が流れ、一方、電機子チョッパ素子37がオフのときには、電機子13及び24から電機子電流検出器36及びフライホイールダイオード38を経て電機子13及び24へと電流が流れる。
【0014】また、第1のモータ6の界磁巻線22及び第2のモータ7の界磁巻線33により形成される界磁は、それぞれ界磁電流制御回路部17内の第1〜第4の界磁チョッパ素子18〜21及び界磁電流制御回路部28内の第1〜第4の界磁チョッパ素子29〜32をオン/オフすることにより制御される。例えば、界磁巻線22に接続点AからBに向けて電流を流す場合には、界磁電流制御回路部17内の第1の界磁チョッパ素子18をオンして第4の界磁チョッパ素子21をオン/オフする。第4の界磁チョッパ素子21がオンのときには、バッテリ11から第1の界磁チョッパ素子18、界磁巻線22、界磁電流検出器23及び第4の界磁チョッパ素子21を経てバッテリ11へと電流が流れる。第4の界磁チョッパ素子21をオフすると、界磁巻線22が有するインダクタンスエネルギにより、界磁巻線22から界磁電流検出器23、第3の界磁チョッパ素子20及び第1の界磁チョッパ素子18を経て界磁巻線22へと電流が流れる。
【0015】駆動回路39は、電機子電流検出器36、界磁電流検出器23及び34からそれぞれ検出値を入力し、共通の電機子チョッパ素子37と界磁電流制御回路部17及び28内の各界磁チョッパ素子18〜21及び29〜32をオン/オフすることにより第1のモータ6の電機子電流及び界磁電流を制御して第1のモータ6を所望の回転数あるいはトルクで駆動すると共に第2のモータ7の電機子電流及び界磁電流を制御して第2のモータ7を所望の回転数あるいはトルクで駆動する。
【0016】ここで、第1のモータ6に関して電機子13の印加電圧をVa1、電流をIa1、抵抗をRa1、界磁巻線22の界磁電流をIf1、ブラシ電圧降下をVbu1とすると、第1のモータ6の回転数n1[rpm]は、 n1=(1/2π){(Va1−Vbu1−Ia1Ra1)/Kφ1}×60 ・・・(1)と表される。なお、Kφ1は界磁電流If1の関数である。同様に、第2のモータ7に関して電機子24の印加電圧をVa2、電流をIa2、抵抗をRa2、界磁巻線33の界磁電流をIf2、ブラシ電圧降下をVbu2とすると、第2のモータ7の回転数n2[rpm]は、 n2=(1/2π){(Va2−Vbu2−Ia2Ra2)/Kφ2}×60 ・・・(2)と表される。なお、Kφ2は界磁電流If2の関数である。
【0017】第1及び第2のモータ6及び7として互いに同一の定格のモータを用いると、第1のモータ6の電機子電圧Va1、電機子電流Ia1、電機子抵抗Ra1及びブラシ電圧降下Vbu1はそれぞれ第2のモータ7の電機子電圧Va2、電機子電流Ia2、電機子抵抗Ra2及びブラシ電圧降下Vbu2に等しくなるので、第1のモータ6の界磁電流If1と第2のモータ7の界磁電流If2が互いに同じになるように界磁チョッパ素子18〜21及び29〜32をオン/オフ制御すれば、関数Kφ1とKφ2が等しくなって、双方のモータ6及び7の回転数n1及びn2は互いに等しくなる。
【0018】第1及び第2のモータ6及び7のトルクT1及びT2[N・m]は、T1=Kφ1・Ia1T2=Kφ2・Ia2と表されるので、双方のモータ6及び7の回転数n1及びn2が等しいときには、トルクT1及びT2も互いに等しくなる。従って、双方の回転数n1及びn2が共に0である車両の発進時には、左右の前輪1及び2にそれぞれ連結された第1及び第2のモータ6及び7は互いに同じトルクで駆動される。同様に、第1及び第2のモータ6及び7が同じ回転数で回転して車両が直進する場合にも、双方のモータ6及び7は互いに同じトルクで駆動される。
【0019】次に、駆動回路39により共通の電機子チョッパ素子37をオン/オフして電機子電流Ia1=Ia2を調節すると共に界磁電流制御回路部17及び28内の各界磁チョッパ素子18〜21及び29〜32をオン/オフして界磁電流If1及びIf2をそれぞれ調節すれば、上記の式(1)及び(2)に基づいて双方のモータ6及び7の回転数n1及びn2をそれぞれ所望の値に設定することができる。そこで、車両を旋回させる場合には、双方のモータ6及び7の回転数n1及びn2を旋回半径に応じた回転数比になるように設定すればよい。
【0020】特に、内輪の回転数が0となるような旋回半径に対しては、内輪に連結されたモータの界磁電流を0としてこのモータのトルクを0とすればよい。例えば、車両を左方へ旋回させる際に、界磁電流If1が0となるように界磁電流制御回路部17内の界磁チョッパ素子18〜21を制御すれば、左側の前輪1に連結された第1のモータ6のトルクが0となり、これに応じた旋回半径が得られる。同様に、駆動回路39による制御に基づき、内輪に連結されたモータの界磁電流を外輪に連結されたモータの界磁電流に対して反対向きにすれば、内輪が逆回転し、さらに旋回半径を小さくすることができる。
【0021】このように、第1及び第2のモータ6及び7の電機子13及び24を互いに直列に接続して共通の電機子チョッパ素子37で制御しても、これら双方のモータ6及び7の制御を行うことが可能となる。
【0022】なお、駆動回路39は電機子電流検出器36で検出される電機子13及び24の電機子電流に基づいて電機子チョッパ素子37を制御したが、図示しない電圧検出器によって各電機子13及び24に印加される電圧を検出し、この電圧に基づいて電機子チョッパ素子37を制御するように構成することもできる。
【0023】実施の形態2.図2に実施の形態2に係る車両制御装置の回路構成を示す。この車両制御装置は、図1に示した実施の形態1の車両制御装置において、フライホイールダイオード38の代わりに、電機子13及び24と電機子電流検出器36との直列回路に並列に回生制動制御用の電機子チョッパ素子40を接続し、この電機子チョッパ素子40を駆動回路39でオン/オフ制御するように構成したものである。
【0024】回転中の第1及び第2のモータ6及び7を制動させる際に、駆動回路39で界磁チョッパ素子18〜21及び29〜32を制御して界磁巻線22及び33の界磁電流If1及びIf2を増加させ、電機子チョッパ素子37をオフすると共に回生制動制御用の電機子チョッパ素子40をオン/オフして電機子13及び24を流れる電流を制御することにより、回生制動を制御することが可能となる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る車両制御装置によれば、第1のモータの電機子と第2のモータの電機子を共通の電機子チョッパ素子で制御するように構成したので、装置を構成する素子数が削減され、車両制御装置の小型化が達成される。また、第1のモータの電機子と第2のモータの電機子との直列回路に並列に回生制動制御用の電機子チョッパ素子を接続して、この電機子チョッパ素子を駆動回路でオン/オフすれば、回生制動の制御を行うことも可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
【出願日】 平成9年(1997)10月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照 (外7名)
【公開番号】 特開平11−136811
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−296919