| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車両の発電制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大蔵 一真
【氏名】北島 康彦
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| 【要約】 |
【課題】エンジン駆動発電機による発電電力制御の応答性能を改善する。
【解決手段】所要電力の発電用のエンジン駆動発電機3の回転速度指令値N*と第1のトルク指令値T*とを演算し、エンジン駆動発電機3の回転速度検出値Nを回転速度指令値N*に一致させるために発電機3の第2のトルク指令値T1*を演算する。回転速度検出値Nと回転速度指令値N*とに基づいて第2のトルク指令値T1*を制限し、発電機3のトルクが第2のトルク指令値T1*に一致するように発電機3を制御し、第2のトルク指令値T1*が第1のトルク指令値T*に一致するようにエンジン4を制御する。エンジン駆動発電機の所要発電電力の変更時、実際の発電電力がオーバーシュート、アンダーシュートしないで、良好な応答性が得られ、応答性を調整するためのパラメーターが不要となり、調整工数が削減される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン駆動発電機により所要電力を発電してバッテリーおよび/または走行用電動機へ供給するハイブリッド車両の発電制御装置において、前記所要電力を発電するための前記エンジン駆動発電機の回転速度指令値と第1のトルク指令値とを演算する第1の演算手段と、前記エンジン駆動発電機の回転速度を検出する検出手段と、前記回転速度検出値を前記回転速度指令値に一致させるための前記発電機の第2のトルク指令値を演算する第2の演算手段と、前記回転速度検出値と前記回転速度指令値とに基づいて前記第2のトルク指令値を制限する制限手段と、前記発電機のトルクが前記第2のトルク指令値に一致するように前記発電機を制御する発電機制御手段と、前記第2のトルク指令値が前記第1のトルク指令値に一致するように前記エンジンを制御するエンジン制御手段とを備えることを特徴とするハイブリッド車両の発電制御装置。 【請求項2】 請求項1に記載のハイブリッド車両の発電制御装置において、前記制限手段は、前記回転速度指令値が変化したときに、前記回転速度検出値が前記回転速度指令値に到達するまでの間、前記第2のトルク指令値を前記回転速度指令値が変化する前の値に制限することを特徴とするハイブリッド車両の発電制御装置。 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の発電制御装置において、前記エンジン制御手段は、前記第2のトルク指令値を前記第1のトルク指令値に一致させるためのスロットル開度指令値を演算し、スロットルバルブを駆動制御することを特徴とするハイブリッド車両の発電制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド車両におけるエンジン駆動発電機の発電電力を制御する装置に関する。 【0002】 【従来の技術とその問題点】走行駆動源に電動機を用い、エンジン駆動発電機により発電を行ってバッテリーを充電するとともに、走行用電動機へ電力を供給するハイブリッド車両の発電制御装置が知られている(例えば、特開平8−65813号公報参照)。この種の装置では、エンジンにより発電機の回転速度を制御しながら、発電機により所要電力を発電している。 【0003】しかしながら、エンジンの回転速度を制御する制御系には機械的な要素が含まれるため、電気的な要素のみによる発電機の制御系に比べて応答速度が遅く、所要発電電力を変えたときの応答性が悪く、また、その調整が難しいという問題がある。 【0004】本発明の目的は、エンジン駆動発電機による発電電力制御の応答性能を改善することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】 (1) 請求項1の発明は、エンジン駆動発電機により所要電力を発電してバッテリーおよび/または走行用電動機へ供給するハイブリッド車両の発電制御装置に適用される。そして、所要電力を発電するためのエンジン駆動発電機の回転速度指令値と第1のトルク指令値とを演算する第1の演算手段と、エンジン駆動発電機の回転速度を検出する検出手段と、回転速度検出値を回転速度指令値に一致させるための発電機の第2のトルク指令値を演算する第2の演算手段と、回転速度検出値と回転速度指令値とに基づいて第2のトルク指令値を制限する制限手段と、発電機のトルクが第2のトルク指令値に一致するように発電機を制御する発電機制御手段と、第2のトルク指令値が第1のトルク指令値に一致するようにエンジンを制御するエンジン制御手段とを備える。 (2) 請求項2のハイブリッド車両の発電制御装置は、制限手段によって、回転速度指令値が変化したときに、回転速度検出値が回転速度指令値に到達するまでの間、第2のトルク指令値を回転速度指令値が変化する前の値に制限するようにしたものである。 (3) 請求項3のハイブリッド車両の発電制御装置は、エンジン制御手段によって、第2のトルク指令値を第1のトルク指令値に一致させるためのスロットル開度指令値を演算し、スロットルバルブを駆動制御するようにしたものである。 【0006】 【発明の効果】本発明によれば、エンジン駆動発電機の所要発電電力を変えたときに、実際の発電電力がオーバーシュート、アンダーシュートするようなことがなく、良好な応答性が得られる上に、応答性を調整するためのパラメーターがなくなり、調整工数が削減される。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明をシリーズ・ハイブリッド車両SHEVの発電制御装置に応用した一実施の形態を説明する。図1は一実施の形態の構成を示す図である。車両のパワートレインは、走行駆動源である三相同期電動機1と、電動機1に電力を供給するバッテリー2と、電動機1およびバッテリー2に電力を供給する三相同期発電機3と、発電機3を駆動するエンジン4を備えている。なお、発電機3の回転子はエンジン4の出力軸に直結されている。電動機1には、その回転速度および回転位置を検出するための回転センサー5と、電動機1に流れる三相電流を検出するための電流センサー6が設置される。また、エンジン4には、エンジン4と発電機3の回転速度Nおよび回転位置を検出するための回転センサー7が設置される。さらに、発電機3には、発電機3に流れる三相電流を検出するための電流センサー8が設置される。 【0008】発電出力演算回路9は、バッテリー2の充電状態SOCや車両の走行状態、エンジン4の運転状態などに基づいて所要発電電力P*を演算し、さらに所要発電電力P*を発電するためのエンジン4および発電機3の回転速度指令値N*と、発電機3の発電トルク指令値T*を演算する。 【0009】ここで、エンジン4により駆動されて発電中の発電機3は負のトルクを発生していると考えられ、この明細書では発電機3の負のトルクを発電トルクと呼ぶ。なお、発電機3とエンジン4の回転速度は同一であるから、発電機3の発電効率とエンジン4の運転効率を無視すれば、発電機3の発電トルクはエンジン4の出力トルクと等しくなる。一方、電動機1は、正のトルクすなわち駆動トルクを発生して車両を推進させるとともに、負のトルクすなわち回生トルクを発生して車両に制動をかける。 【0010】回転数制御回路10は、例えば比例積分制御などによって、回転センサー7による回転速度検出値Nを回転速度指令値N*に一致させるための発電トルク指令値T1*を演算し、発電機3の回転速度を制御する。トルク制限回路11は、回転速度指令値N*が変化したときに、回転速度検出値Nが指令値N*に到達するまでの間、発電トルク指令値T1*を制限して発電トルク指令値T2*を出力する。ベクトル演算回路12は、発電トルク指令値T2*と発電機3の各種パラメーターとを用いて発電機3の電流指令値を演算する。例えば、発電機3の回転子とともに回転するd−q座標系を設定し、発電トルク指令値T2*に比例するq軸電流指令値iq*を次式により演算する。 【数1】iq*=T2*/(p・φ) 数式1において、pは発電機3の極対数、φは発電機3の電機子巻線鎖交磁束数である。なお、発電機3は同期発電機であるから、界磁磁束分に相当するd軸電流id*は0とする。 【0011】なお、三相同期発電機3の回転速度検出値Nおよびバッテリー2の端子電圧に応じてd軸電流id*を負の値に設定すれば、弱め界磁効果が得られる。 【0012】また、発電機3に三相誘導発電機を用いることもできる。この場合には、周知の誘導電動機のベクトル制御によって、上述した同期発電機3と同様に発電トルクを制御することができる。 【0013】電流制御インバーター13は、回転センサー7による発電機3の回転速度Nと、電流センサー8による三相同期発電機3の電流検出値とに基づいて、発電機3の電流検出値が電流指令値に一致するように制御しながら、三相同期発電機3で発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリー2へ供給する。さらに具体的には、回転センサー7により検出される発電機3の回転子の回転位置に基づいて、上述した二相電流iq*、id*を三相交流電流に変換し、電流検出値が電流指令値に一致するように発電機3の駆動電圧を制御する。 【0014】トルク制御回路14は、発電トルク指令値T2*が発電トルク指令値T*となるようなスロットル開度指令値α*を演算する。上述したように、発電機3の発電効率とエンジン4の運転効率を無視すれば、発電中の発電機3の発電トルクTgとエンジン4の出力トルクTeは等しい。また、発電機3は所要発電電力P*を得るために指令値T*に等しい発電トルクを出力しなければならないから、発電機3に対する最終的な発電トルク指令値T2*を、所要発電電力Pを満たす発電トルク指令値T*に一致させなければならない。そこで、T2*がT*に一致するようにエンジン4の出力トルクTeを制御することによって、エンジン4の出力トルクTeと発電機3の発電トルクとを等しくする。なお、発電中のエンジン4の運転効率と発電機3の発電効率による損失分は、所要発電電力P*の演算における効率ηにより調整できる。 【0015】スロットル制御回路15は、スロットルバルブ16の開度αが指令値α*となるように制御する。エンジン制御装置17は、回転センサー7や、不図示の吸入空気量センサー、排ガスセンサー、冷却水温度センサーなどの各種センサーを用いてエンジン4の運転状態を検出し、エンジン4の燃料噴射制御や点火時期制御などを行う。 【0016】車両駆動トルク演算回路18は、不図示のアクセルセンサー、ブレーキセンサー、車速センサーなどにより検出される乗員の操作および車両の走行状態に基づいて、電動機1のトルク指令値T’を演算する。ベクトル演算回路19は、電動機トルク指令値T’と電動機1の各種パラメーターとに基づいて、電動機1の電流指令値を演算する。電流制御インバーター20は、回転センサー5による電動機1の回転速度と、電流センサー6による三相同期電動機1の電流検出値とに基づいて、電動機1の電流検出値が電流指令値に一致するように制御しながら、バッテリー2の直流電力を交流電力に変換して電動機1を駆動するとともに、電動機1からの交流回生電力を直流電力に逆変換してバッテリー2へ供給する。 【0017】なお、発電出力演算回路9、回転数制御回路10、トルク制限回路11、ベクトル演算回路12、電流制御インバーター13、トルク制御回路14、スロットル開度制御回路15、車両駆動トルク演算回路18、ベクトル演算回路19、電流制御インバーター20は、マイクロコンピューターを中心とした電子回路により構成される。 【0018】次に、一実施の形態の動作を説明する。一実施の形態の動作を理解しやすくするために、まずトルク制限回路11がない場合の動作を、制御結果のタイムチャートである図2を参照しながら説明する。この場合、発電トルク指令値T2*=T1*である。 【0019】図2において、発電出力演算回路9による所要発電電力P*が時刻t1でP1からP2に変化し、時刻t2でP2からP1へ変化した場合の、(a)は回転速度指令値N*と回転速度検出値Nを示し、(b)は発電トルク指令値T*と発電トルク指令値T1*および実際の発電トルクTgを示し、(c)はスロットル開度指令値α*と実際のスロットル開度αを示す。また、(d)は実際のエンジントルクTeを示し、(e)は所要発電電力P*(=|N*・T*|)と実際の発電電力P(=|N・Tg|)を示す。ここで、所要発電電力P1のときの発電機3の回転速度指令値をN1、発電トルク指令値をT1、発電効率をη1とし、所要発電電力P2のときの発電機2の回転速度指令値をN2、発電トルク指令値をT2、発電効率をη2とすると、所要発電電力P1、P2はそれぞれ次のように表される。 【数2】P1=N1・T1/η1,P2=N2・T2/η2【0020】発電機3のトルク制御系は、ベクトル演算回路12、電流制御インバーター13、回転センサー7および発電機3の巻線によって構成される。この発電機トルク制御系は電気的な要素のみにより閉ループが構成されており、回転数制御回路10の発電トルク指令値T1*に対する発電機3の出力トルクTgの応答が速い。したがって、回転数制御回路10を含めた回転速度制御系におけるフィードバック・ゲインを高く設定でき、図2(a)に示すように回転速度指令値N*に対して回転速度検出値Nがすばやく追従している。 【0021】また、時刻t1において、発電トルク指令値T*が−Tg1から−Tg2へ増加すると、スロットル開度指令値α*はα1からα2へ増加し、実際のスロットル開度αが指令値に追従して増加する。そして、実スロットル開度αに比例した空気量がエンジン4へ吸入され、その吸入空気量に応じた燃料噴射制御および点火時期制御などが行われる。この結果、エンジン4の出力トルクTeはTe3からTe4へ増加する。この時点において、エンジン4の出力トルクTe4が、発電機3の発電トルク−Tg2および摩擦などの負荷トルクの合計値と釣り合い、回転数がN2に維持される。 【0022】ここで、エンジン4のトルク制御系は、トルク制御回路14、スロットル開度制御回路15、スロットルバルブ16、および不図示の開度センサーなどから構成されている。このエンジン4のトルク制御系は、スロットルバルブアクチュエーターや吸入空気系などの機械的な要素を含んでおり、フィードバックゲインを高く設定できず、トルク指令値に対するエンジン4の出力トルクTeの応答は発電機3のトルク制御系に比べて遅い。 【0023】上述したように、発電機3とエンジン4の回転速度Nは、発電機3の回転速度制御系によって回転速度指令値N*に一致するように制御され、制御の応答性が速い。時刻t1、t2において、所要発電電力P*の変化にともなって回転速度指令値N*と発電トルク指令値T*が変化したとき、発電機3の回転速度制御系によって制御される回転速度Nはその指令値N*にすばやく追従するが、エンジン4のトルク制御系によって制御されるエンジントルクTeには応答遅れが発生する。発電機3の回転速度制御系は、このエンジントルクTeの応答遅れを補償しようと動作するため、図2(b)示すように、時刻t1、t2において発電トルク指令値T1*(=T2*)が発電トルク指令値T*と逆の方向に振れている。つまり、発電機3のトルク制御系が、エンジントルクの立ち上がりの遅れを発電機3の出力トルクで補おうとしている。その結果、発電電力Pも所要発電電力P*と逆の方向に変化し、バッテリー2の充電電力が不安定になって好ましくない。 【0024】このような不具合をなくすために、この実施の形態ではトルク制限回路11を備えている。図3はトルク制限回路11がある場合の制御結果を示すタイムチャートであり、制御条件と表示内容は図2と同様である。この図を参照してこの実施の形態の動作を説明する。トルク制限回路11は、回転速度指令値N*が変化したときに、回転速度検出値Nが指令値N*に到達するまでの間、それまでの発電トルク指令値T1*を維持する。すなわち、回転数Nが指令値N*に到達するまでの間t1〜t3は、それまでの発電トルク指令値T1*=Tg1を維持し、発電トルク指令値T2*=Tg1とする。その間、トルク制御回路14は発電トルク指令値T*と発電トルク指令値T2*との差に応じてスロットル開度指令値α*を増加させる。この結果、エンジン4の出力トルクTeが増加し、回転速度がN2へと上昇する。時刻t3で回転速度がN2に達すると、トルク制限回路11のトルク制限機能が解除されるので、発電トルクが−Tg2へ、エンジントルクがTe4へ増加する。なお、時刻t2〜t4の間も同様に動作する。 【0025】このように、発電機3の回転速度Nと発電トルクTgが、定常時も過渡時も良好に制御されるので、発電電力Pのスパイク状の飛びはねがなくなり、バッテリー2に悪影響をあたえるようなことが避けられる。 【0026】以上の一実施の形態の構成において、発電機3がエンジン駆動発電機を、エンジン4がエンジンを、バッテリー2がバッテリーを、電動機1が走行用電動機を、発電出力演算回路9が第1の演算手段を、回転センサー7が検出手段を、回転数制御回路10が第2の演算手段を、トルク制限回路11が制限手段を、ベクトル演算回路12、電流制御インバーター13、回転センサー7および電流センサー8が発電機制御手段を、トルク制御回路14、スロットル開度制御回路15、エンジン制御装置17および回転センサー7がエンジン制御手段をそれぞれ構成する。 【0027】上述した一実施の形態では本発明をシリーズ・ハイブリッド車両SHEVに応用した例を示したが、本発明はシリーズ・ハイブリッド車両に限定されず、例えば低負荷時に電動機で走行し、高負荷時にエンジンで走行するシリーズ・パラレルハイブリッド車両SPHVにも応用できる。また、発電機3および電動機1は三相同期機に限定されず、三相誘導機を用いてもよい。さらに、バッテリー2には一般の電池の他に、パワーキャパシター(電気二重層コンデンサー)を用いることもできる。さらにまた、上述した実施の形態ではエンジンに発電機を直結する例を示したが、動力伝達機構によりエンジンと発電機を接続してもよい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月27日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】永井 冬紀
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| 【公開番号】 |
特開平11−136806 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月21日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−294244 |
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