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【発明の名称】 ハイブリッド電気自動車
【発明者】 【氏名】岡村 廸夫

【氏名】最上 明矩

【要約】 【課題】電動機の駆動電源のエネルギー効率を高め、サイクル寿命を向上させる。

【解決手段】エンジン1と電動機4により駆動されるハイブリッド電気自動車において、エンジン1の出力軸に連結される発電機2と、エンジン1の出力軸と駆動輪6の駆動軸との間の係合・解放を行う係合機構5と、電気エネルギーを蓄え電動機4に駆動電流を供給する複数のコンデンサからなる蓄電装置3とを備えると共に、蓄電装置3は、複数のコンデンサに並列に接続して充電電圧に応じ充電電流を制限する並列モニタと、駆動電流を制御する出力電流制御手段とを有し、発電機2の発電電力により蓄電装置3の複数のコンデンサを充電する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと電動機により駆動されるハイブリッド電気自動車において、前記エンジンの出力軸に連結される発電機と、前記エンジンの出力軸と駆動輪の駆動軸との間の係合・解放を行う係合機構と、電気エネルギーを蓄え前記電動機に駆動電流を供給する複数のコンデンサ及び前記駆動電流を制御する出力電流制御手段を有する蓄電装置とを備え、前記発電機の発電電力により前記複数のコンデンサを充電して、走行領域に応じて前記エンジンと電動機による駆動制御、及び前記係合機構の係合・解放制御を行うように構成したことを特徴とするハイブリッド電気自動車。
【請求項2】 前記蓄電装置は、電流源型の充電電流制御手段及び前記複数のコンデンサに並列に接続して充電電圧に応じ充電電流を制限する並列モニタを有し、該充電電流制御手段を介して前記発電機の発電電力により前記複数のコンデンサを充電するように構成したことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド電気自動車。
【請求項3】 前記充電電流制御手段は、スイッチングコンバータからなることを特徴とする請求項2記載のハイブリッド電気自動車。
【請求項4】 前記出力電流制御手段は、双方向出力のスイッチングコンバータからなり、回生制動の際に電流源として回生電力で前記複数のコンデンサを充電するように構成したことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド電気自動車。
【請求項5】 前記係合機構は、回生制動の際に係合し、前記発電機の回生電力で前記複数のコンデンサを充電するように構成したことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド電気自動車。
【請求項6】 前記発電機は、前記複数のコンデンサに対し電流源型に制御されることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド電気自動車。
【請求項7】 前記係合機構は、変速機とクラッチからなることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド電気自動車。
【請求項8】 前記エンジンの最良効率点以下の出力の走行領域では、前記係合機構が解放され、前記複数のコンデンサの充電状態に応じて前記エンジンが最良効率点で間欠的に運転されることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド電気自動車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンと電動機により駆動されるハイブリッド電気自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は典型的なパラレル・ハイブリッド電気自動車の従来例を示す図、図6はエンジンと電動機の動力の配分の1例を示す図 図7は典型的なシリーズ・ハイブリッド電気自動車の構成例を示す図である。図中、21、31はエンジン、22、32は発電機、23、33は電子回路と二次電池、24、34は電動機、25はクラッチ、26、35は駆動輪を示す。
【0003】従来の方式による鉛電池とディーゼルエンジンを併用したハイブリッド車(例えば日野自動車(株)によるHIMR)は既に実用に供され、キャパシタとガソリンエンジンのハイブリッド車(例えばトヨタ自動車(株)によるプリウス)も試作車が発表されている。それらの構造は、図5に概要を示すようにエンジン21と電動機24による2つ駆動動力源を持ち、それらの動力が並列に駆動輪26に伝達されるものである。すなわち、エンジン21の出力軸にクラッチ25を介して駆動輪26を接続すると共に、発電機23を接続してその発電出力を電子回路と二次電池23に充電し、この電子回路と二次電池23により駆動される発電機23にも駆動輪26を接続している。
【0004】上記の如きハイブリッド車のエンジン21と電動機24の動力の配分は、例えばエンジン21にディーゼルエンジンを使用した場合、図6に示すようにエンジン効率の悪い低速大トルク領域を電動機24で大幅アシストして、黒鉛などの発生を防いでいる。
【0005】また、図7に示すようにエンジン31と駆動輪35との間に発電機32、電子回路と二次電池33、電動機34を直列に接続し、エンジン31は専ら発電機32を駆動する発電に徹し、その発電電力を電子回路と二次電池33に蓄えて、走行は完全に電子回路と二次電池33により駆動する電動機34だけで行おうとするシリーズ・ハイブリッド方式の車も発表(1997年8月23日発行の日本経済新聞、トヨタ・コースター・ハイブリッド)されている。このハイブリッド車は、発電するエンジンをエネルギー効率の最良な回転数で作動させ、電池の充電状態により起動、停止すれば、高い燃費効率が得られる点でシンプルで優れた方式の車といえる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図5で示したパラレル・ハイブリッド電気自動車は、エンジン21が充分回転していない条件下では電子回路と二次電池(鉛電池)23で駆動される電動機24の出力から仰がなければならないので、走行条件によっては、鉛電池の充放電が頻繁となり、電池の発熱や劣化を生じる。その結果、電池によるアシストが減少して図6の破線で示すように、エンジン21の出力を増やさざるを得ないためハイブリット型にした効果が減少し、事実上エンジン21で走行している状態になってしまうことさえある。
【0007】また、図7で示したシリーズ・ハイブリッド電気自動車の最大の問題点は、二次電池の寿命である。特に鉛電池の場合には、短時間での充放電に弱く、しかも放電深度を浅くして使用しないと寿命が短くなるので、その寿命を実用程度まで長くするには、電池を大量に積み込んで、その容量の5〜10%程度の範囲で充放電に用いることである。これはつまり電池を必要容量の10〜20倍も積載することになる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するものであって、電動機の駆動電源のエネルギー効率を高め、サイクル寿命を向上させるものである。
【0009】そのために本発明は、エンジンと電動機により駆動されるハイブリッド電気自動車において、前記エンジンの出力軸に連結される発電機と、前記エンジンの出力軸と駆動輪の駆動軸との間の係合・解放を行う係合機構と、電気エネルギーを蓄え前記電動機に駆動電流を供給する複数のコンデンサ及び前記駆動電流を制御する出力電流制御手段を有する蓄電装置とを備え、前記発電機の発電電力により前記複数のコンデンサを充電して、走行領域に応じて前記エンジンと電動機による駆動制御、及び前記係合機構の係合・解放制御を行うように構成したことを特徴とするものである。
【0010】また、前記蓄電装置は、充電を定電流で行うスイッチングコンバータからなる充電電流制御手段及び前記複数のコンデンサに並列に接続して充電電圧に応じ充電電流を制限する並列モニタを有し、該充電電流制御手段を介して前記発電機の発電電力により前記複数のコンデンサを充電するように構成し、前記出力電流制御手段は、双方向出力のスイッチングコンバータからなり、回生制動の際に電流源として回生電力で前記複数のコンデンサを充電するように構成し、前記係合機構は、回生制動の際に係合し、前記発電機の回生電力で前記複数のコンデンサを充電するように構成し、前記発電機は、前記複数のコンデンサに対し電流源型に制御され、前記係合機構は、変速機とクラッチからなることを特徴とするものである。
【0011】さらに、前記エンジンの最良効率点以下の出力の走行領域では、前記係合機構が解放され、前記複数のコンデンサの充電状態に応じて前記エンジンが最良効率点で間欠的に運転されることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係るハイブリッド電気自動車の実施の形態を示す図、図2はエンジンと電動機の動力配分の例を示す図、図3は電子回路とコンデンサからなるコンデンサ蓄電装置の構成例を示す図であり、図中、1はエンジン、2は発電機、3は電子回路とコンデンサ、4は電動機、5は伝達機構とクラッチ、6は駆動輪、11は電流ポンプ、12はコンデンサ・バンク、13はコンデンサ、14は並列モニタ、15は双方向出力コンバータを示す。
【0013】図1において、エンジン1は、その出力軸が発電機2及び伝達機構とクラッチ5に連結され、駆動輪6及び発電機2を駆動するものである。伝達機構とクラッチ5は、エンジン1の出力軸と駆動輪6の駆動軸との間の係合・解放を行う係合機構であり、エンジン1の出力を駆動輪6に伝達(変速)したり、切り離したりする操作を行うものである。電子回路とコンデンサ3は、エンジン1により駆動される発電機2の発電電力及び電動機4の回生電力により充電、蓄電され、電動機4を駆動する蓄電電源としてのコンデンサとその充放電を制御する電子回路からなる蓄電装置である。駆動輪6は、その駆動軸が伝達機構とクラッチ5及び電動機4に連結され、エンジン1と電動機4により駆動されるものである。
【0014】エンジン1と電動機4の出力配分は、アクセルの踏み込み量等の駆動要求に応じて図2に示すように低速領域では、電動機4の出力を使ってコンデンサに蓄えられた電力で走行するが、エンジン1の効率最良点の出力を使って走行可能となる高速領域では、エンジン1の出力のみで走行し、さらに高速領域になるとエンジン1の効率最良点の出力に電動機4の出力を加えて走行する。
【0015】さらに、走行条件に応じて制御されるエンジンと電動機の出力配分について詳述する。まず、低速領域では、先に述べたようにコンデンサに蓄えられた電力で走行するが、エンジン1は、コンデンサの充電状態を監視して起動/停止を行い、エネルギー効率最良点で間欠的に運転してコンデンサを充電する。エンジン1が連続運転に至る定常的な高速走行領域では、効率最良点で駆動系にエンジン1の出力軸が機械的に接続されてエンジン1の出力で走行する。そして、それ以上に出力を必要とする領域では、エンジン1は効率最良点での運転を続けるが、コンデンサで駆動される電動機4の出力がエンジン1に並列に供給され、電動機4の制御によって最大出力までをカバーする。
【0016】したがって、本発明に係るハイブリッド電気自動車の走行を制御する制御装置では、車速センサ等により検出される走行領域、アクセルの踏み込み量等により検出される駆動要求やコンデンサの端子間電圧により検出される充電状態に基づき、基本的にはエンジン1を間欠又は連続運転しながら駆動要求に応じて電動機4の出力を制御する。すなわち、低速領域では、伝達機構とクラッチ5を解放とすることにより、充電状態に応じてエンジン1を効率最良点で間欠運転してコンデンサの充電をしながら、駆動要求に応じて電動機4の出力を制御して駆動し、高速領域になると、伝達機構とクラッチ5を係合とすることにより、エンジン1を効率最良点で連続運転して駆動しながら、駆動要求に応じてエンジン1の出力に加えるように電動機4の出力を制御する。
【0017】回生制動時は、電動機4を発電機として用いるので、回生電力によりコンデンサを充電する。全出力の半分ほどの容量しか持たない電動機とした場合、最大限の回生制動には電動機4の容量が不足するので、発電機2も同時に回生電力の吸収に用いるようにしてもよい。
【0018】次に、電子回路とコンデンサからなるコンデンサ蓄電装置(ECS;EnergyCapacitor System)の構成例について説明する。図1に示した電子回路とコンデンサ3は、例えば図3に示すように構成される。図3において、電流ポンプ11は、スイッチング・コンバータで構成し、発電機2とコンデンサ13との間に挿入して、充電されるコンデンサ13から見て充電電源である発電機2が電流源となるように発電機2からの出力電流を制御する。なお、発電機自体を制御して発電機2からの出力電流を電流源型にしてもよい。このように充電電源を電流源とすることにより、コンデンサを高効率で充電することができる。一方、走行用の電動機4への出力は、発電機2及びコンデンサ13からの電流をスイッチングコンバータからなる双方向出力コンバータ15を制御して行い、回生制動の際には、負荷から逆に回生発電された電力を双方向出力コンバータ15を通してコンデンサ13に供給する。つまり、双方向出力コンバータ15は、回生制動の際に充電器となってコンデンサ13側からは電流源と見える動作を行い、コンデンサ13を高効率で充電する。コンデンサ・バンク12は、並列モニタ14を並列に接続した各単セル(コンデンサ12)を必要な電圧が得られるだけ直列に接続したものである。応用の規模と単セルの容量の関係で、これらのバンクをさらに何組かを並列に設けてもよい。各単セルは、並列モニタの作用によって、定格電圧いっぱいまで充電され、蓄電容量を合理的に使うことができる。
【0019】なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、伝達機構とクラッチとしたが、クラッチのみでもよいし、無段変速機を併用するものであってもよい。また、同じ駆動輪をエンジンと電動機によりパラレルに駆動するパラレル・ハイブリッド電気自動車として説明したが、エンジンにより前輪(又は後輪)を駆動し、電動機により後輪(又は前輪)を駆動する構成のハイブリッド電気自動車にも同様に適用することができる。この場合には、図1において、電動機4は、その出力軸を駆動輪6ではなく他の駆動輪に連結され、ホィールモータで駆動する場合には、左右輪に対応して1対のホィールモータが用意される。さらには、回生制動の際には、電動機を発電機として使うだけでなく、従来のものと同様に発電機も利用してもよいことは勿論である。この場合、回生用発電機の容量を発電機と電動機を合計したものとして活用することができる。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、常にエンジンの運転を効率最良点で行い、コンデンサの蓄電電力と組み合わせて走行させるので、エネルギー効率を向上させることができ、また、コンデンサの充放電を定電流で行うので、コンデンサの入出力エネルギー量を向上させることができる。しかも、コンデンサを蓄電装置として用いるので、従来の二次電池に比べてサイクル寿命を大幅に向上させることができる。さらに、図4に示すようにエンジンを効率最良点で運転させた上に、コンデンサの蓄電電力を加えて車の最大駆動力をカバーするので、車の最大駆動力以下でエンジンを設計することができ、積載機器の軽量化及び小型化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】393013560
【氏名又は名称】株式会社岡村研究所
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 龍吉 (外7名)
【公開番号】 特開平11−122709
【公開日】 平成11年(1999)4月30日
【出願番号】 特願平9−285040